特許第6267788号(P6267788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6267788-電磁波吸収材料及びその調製方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267788
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】電磁波吸収材料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/38 20060101AFI20180115BHJP
   C01G 49/00 20060101ALI20180115BHJP
   H01F 1/34 20060101ALI20180115BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20180115BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   C04B35/38
   C01G49/00 B
   H01F1/34 140
   H05K9/00 M
   C04B35/64
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-516860(P2016-516860)
(86)(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公表番号】特表2016-540710(P2016-540710A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】CN2014085053
(87)【国際公開番号】WO2015043347
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】201310441214.8
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505327398
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ホウイン
(72)【発明者】
【氏名】コン・シェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ダージュン
【審査官】 吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−330126(JP,A)
【文献】 特開2008−177242(JP,A)
【文献】 特開2009−196841(JP,A)
【文献】 特開2009−152256(JP,A)
【文献】 特開平10−074612(JP,A)
【文献】 特開昭49−052809(JP,A)
【文献】 特開2005−289667(JP,A)
【文献】 特開平10−050512(JP,A)
【文献】 特開2003−109814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/26 − 35/40
H01F 1/34
C01G 49/00
C04B 35/626
C04B 35/64
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe、MnO、ZnO、及びMgOのうちの少なくとも1つを含む主組成物と、
CeO及びPのうちの少なくとも1つを含む、CeOのPに対するモル比が1:1〜2:1である補助組成物と、
焼結添加剤と
を含み、
電磁波吸収材料の総モル量に基づいて、Feの含有量が40モル%〜54モル%であり、MnOの含有量が12モル%〜20モル%であり、ZnOの含有量が22モル%〜25モル%であり、MgOの含有量が5モル%〜10モル%であり、CeOの含有量が0.1モル%〜3.5モル%であり、Pの含有量が0.1モル%〜2.5モル%であり、
前記焼結添加剤の含有量が0.2モル%〜3.5モル%である
ことを特徴とする電磁波吸収材料。
【請求項2】
Fe、MnO、ZnO、及びMgOのうちの少なくとも1つを含む主組成物と、
CeO及びPのうちの少なくとも1つを含む、CeOのPに対するモル比が1:1〜2:1である補助組成物と、
焼結添加剤と
を含み、
電磁波吸収材料の総モル量に基づいて、Feの含有量が45モル%〜50モル%であり、MnOの含有量が13モル%〜16モル%であり、ZnOの含有量が22モル%〜25モル%であり、MgOの含有量が5モル%〜10モル%であり、CeOの含有量が1.5モル%〜3.0モル%であり、Pの含有量が1モル%〜2モル%であり、
前記焼結添加剤の含有量が0.2モル%〜3.5モル%である
ことを特徴とする電磁波吸収材料。
【請求項3】
前記焼結添加剤が、Nb、MoO、Bi、V、及びSiOからなる群から選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載の電磁波吸収材料。
【請求項4】
前記電磁波吸収材料の総モル量に基づいて、Nbの含有量が0.1モル%〜2.5モル%であり、MoOの含有量が0.1モル%〜1.5モル%であり、Biの含有量が0.2モル%〜1.5モル%であり、Vの含有量が0.1モル%〜1.5モル%であり、SiOの含有量が0.2モル%〜2.5モル%である請求項3に記載の電磁波吸収材料。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電磁波吸収材料を調製する方法であって、
主組成物及び焼結添加剤を含む混合物を提供する工程と、
前記混合物を溶媒及び分散剤と共に第1の粉砕及び第1の焼結に付して第1の粉末を形成する工程と、
前記第1の粉末をCeO及びPと共に第2の粉砕に付して第2の粉末を形成する工程と、
前記第2の粉末を成形及び第2の焼結に付す工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第1の粉砕が、湿式粉砕によって実施される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の粉砕が、ボールミル粉砕によって実施される請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の粉砕が、400r/分〜450r/分の粉砕速度で8時間〜12時間実施される請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の焼結が、
前記第1の粉砕工程から得られる粉砕生成物を3℃/分〜5℃/分の昇温速度で700℃〜950℃の温度に加熱する第1の加熱と、
前記第1の加熱工程から得られる加熱生成物を700℃〜950℃の温度で1時間〜4時間維持することと
を含む請求項5から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2の粉砕が、300r/分〜450r/分の粉砕速度で4時間〜10時間実施される請求項5から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記成形が、ブレード鋳造、コーティング、プレス成形、及び射出成形のうちの少なくとも1つによって実施される請求項5から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2の焼結が、
前記第1の焼結工程から得られる焼結生成物を0.5℃/分〜3℃/分の昇温速度で1,000℃〜1,150℃の温度に加熱する第2の加熱と、
前記第2の加熱工程から得られる加熱生成物を1,000℃〜1,150℃の温度で2時間〜4時間維持することと
を含む請求項5から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記成形工程の前に、前記第2の粉末を篩分けすることを更に含む請求項5から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第1の焼結工程の前に、前記第1の粉砕工程から得られる粉砕生成物を乾燥させることを更に含む請求項5から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥が、60℃〜80℃の温度で10時間〜20時間実施される請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年9月25日に中華人民共和国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201310441214.8号の優先権及び利益を主張し、これらの全文を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示の例示的な実施形態は、一般的には、磁性材料に関し、より具体的には、波吸収材料及び前記波吸収材料を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁誘導ワイヤレス充電システムの受信端末モジュールにおける磁気ディスクは、材料に侵入する電磁波を吸収することができ、それによって、電磁波が受信端末デバイスの電磁信号に干渉するのを防ぎ、また、受信端末におけるバッテリ等のコンポーネントにおいて電磁波が熱を発生させるのを防ぐことができる。Al−Si−Fe合金及び樹脂から作製される現用の複合材料の場合、Al−Si−Fe合金の粒子が均一且つ一定の形状を有し、樹脂中の粒子の配置が特定の配向を有することを必要とする。さもなければ、複合材料の初期透磁率が非常に低くなることがある。樹脂中の粒子の配置が良好な配向を有する場合でさえも、特定の量の樹脂が存在することにより、前記材料の初期透磁率が高くならないことがある。しかし、金属が存在することから、前記材料の抵抗率は比較的高い。これら問題点から、ワイヤレス充電システムの効率及び安全性が低くなり、バッテリ等のコンポーネントの明白な発熱効果が生じることがある。
【0004】
特許文献1には、低温で焼結され、高い透磁率を有するNiCuZnフェライトが開示されている。Ni−Cu−Znフェライトは、Fe、ZnO、CuO、及びNiOからなる群から選択される主組成物と、NaCO、B、及びTaからなる群から選択される補助組成物とを含有する。酸化物に基づく主組成物によれば、Feが40.5モル%〜49.6モル%であり;ZnOが30モル%〜47モル%であり;CuOが5モル%〜20モル%であり;残部がNiOである。主組成物の重量に基づいて、補助組成物の合計は、0.16重量%〜1.65重量%である。Ni−Cu−Znフェライトは、比較的高い磁気伝導率を有するが、磁気損失が比較的高いため未だ要件を満たすことができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許公開第102211929号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施形態は、上記問題点のうちの少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、波吸収材料が提供される。前記波吸収材料は、Fe、MnO、ZnO、及びMgOのうちの少なくとも1つを含有する主組成物と、CeO及びPのうちの少なくとも1つを含有する補助組成物と、焼結添加剤とを含み、CeOのPに対するモル比は、約1:1〜約2:1である。
【0008】
本開示の第2の態様によれば、前記波吸収材料を調製する方法が提供される。前記方法は、主組成物及び焼結添加剤を含む混合物を提供することと、前記混合物を溶媒及び分散剤と共に第1の粉砕及び第1の焼結に付して第1の粉末を形成することと、前記第1の粉末をCeO及びPと共に第2の粉砕に付して第2の粉末を形成することと、前記第2の粉末を成形及び第2の焼結に付すこととを含む。
【0009】
本開示の実施形態によれば、波吸収材料は、CeO及びPを含有し、CeOのPに対するモル比は、約1:1〜約2:1である。CeO及びPは、互いに対して相乗効果を有し得るので、波吸収材料の抵抗率及び初期透磁率をいずれも改善することができる。更に、波吸収材料の磁気損失を非常に低いレベルにまで低減することができるので、この波吸収材料を用いるデバイスの充電効率を大きく改善することができる。
【0010】
本開示の実施形態の更なる態様及び利点の一部を以下の明細書に提供し、一部は以下の明細書から明らかになるか、又は本開示の実施形態の実施から習得される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の実施形態のこれら及び他の態様及び利点は、添付図面を参照して記載される以下の明細書から明らかになり、そして、より容易に理解されるであろう。
図1図1は、本開示の実施形態に係る波吸収材料を調製する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本開示の実施形態について詳細に言及する。図面を参照して本明細書に記載する実施形態は、説明及び例示のためのものであり、本開示を広く理解するために用いられる。前記実施形態は、本開示を限定すると解釈すべきではない。更に、「第1の」及び「第2の」等の用語は、説明の目的のために本明細書で使用されるものであり、相対的な重要性又は重要度を示したり、意味したりすることを意図するものではない。
【0013】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、数値範囲の定義は、特に指定しない限り、常に両端を含む。
【0014】
本開示の第1の態様によれば、波吸収材料が提供される。前記波吸収材料は、主組成物と、補助組成物と、焼結添加剤とを含む。前記主組成物は、酸化第二鉄(Fe)、酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化マグネシウム(MgO)のうちの少なくとも1つを含有する。前記補助組成物は、二酸化セリウム(CeO)及び五酸化リン(P)のうちの少なくとも1つを含有する。CeOのPに対するモル比は、約1:1〜約2:1である。
【0015】
本開示の幾つかの態様によれば、波吸収材料は、ランタニド金属酸化物に属し、高融点を有するCeOを含有する。CeOは、波吸収材料の結晶粒を精錬し、抵抗率及び初期透磁率を増大させ、渦電流損失を低減することができる。一方、波吸収材料は、非金属酸化物Pを含有する。Pは、粒界近傍の金属イオンの空隙率を高め、粒界の移動を加速させ、波吸収材料の密度及び初期透磁率を増大させることができる。本開示の実施形態によれば、CeO及びPが含有され、CeOのPに対するモル比は、約1:1〜約2:1である。CeO及びPは、互いに対して相乗効果を有し得、波吸収材料の抵抗率及び初期透磁率をいずれも増大させることができる。更に、波吸収材料の磁気損失を非常に低いレベルにまで低減することができるので、この波吸収材料を用いるデバイスの充電効率を大きく改善することができる。
【0016】
本開示の幾つかの実施形態によれば、波吸収材料の総モル量に基づいて、Feは、約40モル%〜約54モル%であり、MnOは、約12モル%〜約20モル%であり、ZnOは、約22モル%〜約25モル%であり、MgOは、約5モル%〜約10モル%であり、CeOは、約0.1モル%〜約3.5モル%であり、Pは、約0.1モル%〜約2.5モル%であり、焼結添加剤は、約0.2モル%〜約3.5モル%である。
【0017】
本開示の幾つかの実施形態によれば、波吸収材料の総モル量に基づいて、Feは、約45モル%〜約50モル%、MnOは、約13モル%〜約16モル%、ZnOは、約22モル%〜約25モル%、MgOは、約5モル%〜約10モル%、CeOは、約1.5モル%〜約3.0モル%、Pは、約1モル%〜約2モル%であり、焼結添加剤は、約0.2モル%〜約3.5モル%である。
【0018】
本開示の幾つかの実施形態によれば、焼結添加剤は、波吸収材料の焼結温度を低下させることができるので、磁気ディスクは、比較的低温で液相焼結を形成することができる。延いては、最終的な波吸収材料の密度及び強度をいずれも増大させることができる。幾つかの実施形態では、焼結添加剤は、Nb、MoO、Bi、V、及びSiOのうちの少なくとも1つを含有する。
【0019】
本開示の幾つかの実施形態によれば、波吸収材料の総モル量に基づいて、Nbは、約0.1モル%〜約2.5モル%、MoOは、約0.1モル%〜約1.5モル%、Biは、約0.2モル%〜約1.5モル%、Vは、約0.1モル%〜約1.5モル%、SiOは、0.2モル%〜約2.5モル%である。
【0020】
本開示の幾つかの実施形態では、Nbは、粒界の厚み及び抵抗率を増大させて、材料の抵抗率を増大させることができる。Biの量が制御されているので、液相焼結が形成され得る。更に、結晶粒の成長が促進され、材料の密度が改善され、結晶粒の外側及び内側の気孔率がいずれも低下する。適切な量のBiを用いれば、波吸収材料の初期透磁率を増大させることができる。少量のSiO粉末がFeを希薄にすることができ、Fe2+及びFe3+の電導率を制限することができる。したがって、波吸収材料の抵抗率が改善される。SiO粉末は、表面透過性が優れている、比面積が大きい、密度が低い、機械的性質が優れている、熱安定性が優れている等の幾つかの利点を有する。SiO粉末を添加すれば、波吸収材料の強度を改善することができる。MoO、Bi、及びVを添加すれば、焼結温度を低下させることができ、波吸収材料が比較的低温で液相焼結を形成することができる。延いては、波吸収材料の密度及び強度を増大させることができる。
【0021】
本開示の第2の態様によれば、波吸収材料を調製する方法が提供される。図1に示す通り、前記方法は、工程S1〜S4を含む。
【0022】
工程S1では、主組成物及び焼結添加剤を含有する混合物を提供する。
【0023】
工程S2では、前記混合物を溶媒及び分散剤と共に第1の粉砕及び第1の焼結に付して第1の粉末を形成する。
【0024】
工程S3では、前記第1の粉末をCeO及びPと共に第2の粉砕に付して第2の粉末を形成する。
【0025】
工程S4では、前記第2の粉末を成形及び第2の焼結に付す。
【0026】
本開示の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、主組成物を補助組成物と混合して第1の混合物を形成することと、前記第1の混合物を溶媒及び分散剤と混合して第2の混合物を形成することと、前記第2の混合物を湿式粉砕及び乾燥して第1の粉末を形成することと、前記第1の粉末を予焼結して予焼結された第1の粉末を得ることと、前記予焼結された第1の粉末をCeO及びPと混合して第2の粉末を得ることと、前記第2の粉末をボールミル粉砕及び篩分けして第3の粉末を得ることと、前記第3の粉末を成形及び焼結することとを含む。
【0027】
本開示の幾つかの実施形態によれば、工程S2における第1の粉砕は、湿式粉砕によって実施される。前記湿式粉砕は、約400r/分〜約450r/分の粉砕速度で約8時間〜約12時間行われる。
【0028】
本開示の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、工程S2において第1の粉砕生成物を乾燥させることを更に含む。前記乾燥は、約60℃〜約80℃の温度で約10時間〜約20時間実施される。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態によれば、第1の焼結は、第1の粉砕工程から得られる粉砕生成物(乾燥工程が含まれている場合、乾燥生成物)を約3℃/分〜約5℃/分の昇温速度で約700℃〜約950℃の温度に加熱する第1の加熱と、前記第1の加熱工程から得られる加熱生成物を約700℃〜約950℃の温度で約1時間〜約4時間維持することとを含む。幾つかの実施形態では、前記方法は、第1の焼結生成物を冷却することを更に含む。
【0030】
本開示の幾つかの実施形態によれば、工程S2における第2の粉砕は、ボールミル粉砕によって実施される。前記ボールミル粉砕は、約300r/分〜約450r/分の粉砕速度で約4時間〜約10時間実施される。
【0031】
本開示の幾つかの実施形態によれば、前記成形は、テープ鋳造、コーティング、プレス成形、及び射出成形のうちの少なくとも1つによって実施される。
【0032】
本開示の幾つかの実施形態によれば、第2の焼結は、第1の焼結工程から得られる粉砕生成物を約0.5℃/分〜約3℃/分の昇温速度で約1,000℃〜約1,150℃の温度に加熱する第2の加熱と、前記第2の加熱工程から得られる加熱生成物を約1,000℃〜約1,150℃の温度で約2時間〜約4時間維持することとを含む。幾つかの実施形態では、前記方法は、第2の焼結生成物を冷却することを更に含む。
【0033】
本開示の実施形態によれば、CeO及びPを添加し、CeOのPに対するモル比は約1:1〜約2:1である。CeO及びPは、互いに対して相乗効果を有し得るので、調製された波吸収材料の抵抗率及び初期透磁率を改善することができる。更に、波吸収材料の磁気損失を非常に低いレベルにまで低減することができるので、この波吸収材料を用いるデバイスの充電効率を大きく改善することができる。
【実施例】
【0034】
上記特徴及び以下に説明する特徴は、本開示の範囲を逸脱することなしに、指定する特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又はそれ自体においても使用され得ることが理解されるであろう。
【0035】
以下、幾つかの例示的且つ非限定的な実施例を、本発明をより理解するため及びその具体的な実施形態のために提供する。
【0036】
実施形態1
本実施形態E1は、波吸収材料及び前記波吸収材料を調製する方法を提供する。
【0037】
主組成物及び焼結添加剤を混合して第1の混合物を形成し、次いで、溶媒及び分散剤を前記第1の混合物に添加して第2の混合物を形成した。前記第2の混合物を450r/分の粉砕速度で8時間湿式粉砕によって粉砕して第1の粉末を得た。主組成物、焼結添加剤、溶媒、及び分散剤の詳細な組成及び含有量を表1に示す。
【0038】
第1の粉末を容器に入れ、80℃の乾燥機で10時間乾燥させた。
【0039】
乾燥した粉末を更に細かく砕き、焼結炉で予焼結した。具体的には、更に細かく砕いた粉末を5℃/分の昇温速度で950℃に加熱し、次いで、950℃で2時間維持した。次いで、焼結粉末を焼結炉と一緒に冷却した。
【0040】
予焼結粉末をCeO及びPと混合し、400r/分の回転速度で6時間ボールミル粉砕し、篩分けして、第2の粉末を形成した。
【0041】
第2の粉末をプレス成形によって環状に成形した。前記環の外径は20mm、内径は5mm、高さは8mmであった。
【0042】
成形生成物を焼結して波吸収材料A1を形成した。具体的には、前記成形生成物を2℃/分の昇温速度で300℃に加熱し、次いで、300℃で30分間維持し、次いで、300℃から550℃に昇温し、得られた生成物を550℃で30分間維持し、次いで、550℃から900℃に昇温し、得られた生成物を900℃で60分間維持し、次いで、900℃から1,100℃に昇温し、得られた生成物を1,100℃で120分間維持した。最後に、焼結生成物を焼結炉と一緒に冷却した。
【0043】
実施形態E2〜7(E2〜E7)
波吸収材料A2〜A7を調製する方法は、対応する波吸収材料の含有量が異なり、表1に記載されている通りであることを除いて、実施形態1と実質的に同様である。
【0044】
比較実施形態1〜3(CE1〜CE3)
波吸収材料CA1〜CA3を調製する方法は、対応する波吸収材料の含有量が異なり、表1に記載されている通りであることを除いて、実施形態1と実質的に同様である。
【0045】
比較実施形態4(CE4)
波吸収材料CA4は、中国特許公開第102211929号明細書の実施形態1に従って調製した。
【0046】
【表1】
【0047】
試験
1)初期透磁率
初期透磁率は、Aglient Technologies,Inc,USから市販されているHP4284Aインピーダンスアナライザー及び専用フィクスチャ16454Aを用いて試験した。試験する予焼結粉末を、プレス成形によって円柱状に成形した。前記円柱の外径は20mm、内径は5mm、高さは8mmであった。前記円柱を1回巻きコイルとみなした。前記コイルのインピーダンスを検出することによってコイルのインダクタンスを得、次いで、試験した材料の初期透磁率を計算することができる。試験周波数は、100kHzであった。結果を表2に示す。
【0048】
2)抵抗率
抵抗率は、Semilab社から市販されているRT−100抵抗率計を用いて試験した。試験する粉末を、長さ20mm〜25mm、断面対角線長10mm〜15mmの立方体状に成形した。前記立方体を抵抗率計で試験し、次いで、マニュアルに従って抵抗率を計算した。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2から分かる通り、本開示の実施形態に係る波吸収材料は、初期透磁率が高いだけでなく、抵抗率も高い。比較実施形態に従って調製した波吸収材料は、初期透磁率は高いが、抵抗率が比較的低い。
【0051】
本明細書全体を通して、「ある実施形態」、「幾つかの実施形態」、「1つの実施形態」、「別の実施形態」、「ある例」、「特定の例」、又は「幾つかの例」に対する言及は、実施形態又は実施例に関連して記載されている具体的な機構、構造、材料、又は特徴が本開示の少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所に記載されている「幾つかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、「ある実施形態では」、「別の例では」、「ある例では」、「特定の例では」、又は「幾つかの例では」等のフレーズは、必ずしも本開示の同じ実施形態又は実施例を指すものではない。更に、具体的な機構、構造、材料、又は特徴は、1以上の実施形態又は実施例において任意の好適な方法で組み合わせてよい。
【0052】
例示的な実施形態を図示及び記載してきたが、当業者は、本開示の趣旨及び原理を逸脱することなしに実施形態を変形、代替、及び改変できることを理解するであろう。かかる変形、代替、及び改変は、全て特許請求の範囲及びその等価物の範囲内である。
図1