(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267797
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】イヤーピース
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-534039(P2016-534039)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014068965
(87)【国際公開番号】WO2016009520
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2016年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】516379283
【氏名又は名称】株式会社ジーフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕貴
【審査官】
武田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−049628(JP,A)
【文献】
実開平01−048996(JP,U)
【文献】
特開2010−016787(JP,A)
【文献】
特開2010−130517(JP,A)
【文献】
実開平06−034393(JP,U)
【文献】
特開2003−143682(JP,A)
【文献】
特開2012−244350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、
外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、
前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、
からなり、
前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設けたイヤーピース。
【請求項2】
前記第一遮音壁体を除くすべての遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設けた請求項1に記載のイヤーピース。
【請求項3】
前記吸音路が、遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通した貫通孔又は前記吸音路が遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通しない非貫通凹面である請求項1又は請求項2に記載のイヤーピース。
【請求項4】
前記吸音路を、前記導音開口部に対して対称に配置した請求項3に記載のイヤーピース。
【請求項5】
前記吸音路を構成する貫通孔の形状を、円形、だ円形、三角形、四角形又は切れ込み形状とした請求項3又は請求項4に記載のイヤーピース。
【請求項6】
前記吸音路を構成する非貫通凹面の配置を、前記導音開口部を中心として放射状に配置した請求項3又は請求項4に記載のイヤーピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、外耳道に挿入して使用するイヤーピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、1又は複数の遮音壁体で外耳道を遮蔽することにより外部からの音声を遮断するイヤーピースは存在する(例えば、特許文献1)。また、前記遮音壁体により、外耳道内から外部への音漏れが抑制されることも知られている。
【0003】
一方で、前記遮音壁体で外部からの音声を完全に遮断してしまうと閉塞感やハウリングあるいは外部からの音声を聞きとれずに危険に遭遇してしまう等、様々な不具合が生じてしまうことも知られており、前記遮音壁体の一部に外耳道と外部とを連通する貫通孔を設けたイヤーピースも存在する(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−295533号公報
【特許文献2】特開2011−049628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1のイヤーピースを外耳道に挿入した際は、最も外部に近い側の遮音壁体、外耳道及び鼓膜によって形成されるスペースは、密閉状態であるためイヤホンスピーカから外耳道内に放たれた音声の一部は、鼓膜や外耳道などに反射し、当該スペースの中で反射を繰り返しながら減衰していく。したがって、当該反射音の大部分と導音開口部を通じて外耳道内に放たれる音声との混成音が鼓膜に到達することになる。
【0006】
上述した特許文献2のイヤーピースを外耳道に挿入した際は、最も外部に近い側の遮音壁体、外耳道及び鼓膜によって形成されるスペースは、密閉状態ではないため前記反射音の一部は外部に放出され得る。しかし、その代わりに当該スペースに外部から音声が混入してしまうため、当該外部からの音声と導音開口部を通じて外耳道内に放たれる音声との混成音が鼓膜に到達することになる。
【0007】
そこで、本願発明では、最も外部に近い側の遮音壁体、外耳道及び鼓膜によって形成されるスペースにおいて、イヤホンスピーカから外耳道内に放たれた音声の反射音を吸音し減衰させるとともに、外部から混入する音声も極力遮断する、イヤーピースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設けたイヤーピースを提供する。
【0009】
また、本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体を除くすべての遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設けたイヤーピースを提供する。
【0010】
また、本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設け、前記吸音路が、遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通した貫通孔又は前記吸音路が遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通しない非貫通凹面であるイヤーピースを提供する。
【0011】
また、本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設け、前記吸音路が、遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通した貫通孔又は前記吸音路が遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通しない非貫通凹面であり、かつ、前記吸音路を、前記導音開口部に対して対称に配置したイヤーピースを提供する。
【0012】
また、本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設け、前記吸音路が、遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通した円形、だ円形、三角形、四角形又は切れ込み形状の貫通孔であり、かつ、前記吸音路を、前記導音開口部に対して対称に配置したイヤーピースを提供する。
【0013】
また、本願発明のイヤーピースは、上述の課題を解決するために、イヤホンスピーカからの出力音声を導く円筒形状の導音開口部と前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体とを備え外耳道に挿入して使用するイヤーピースであって、外耳道に挿入した際に外部近傍位置で外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽する1又は複数の第一遮音壁体と、前記第一遮音壁体よりも鼓膜に近い位置に設ける1又は複数の前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体と、からなり、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体のうち少なくとも最も鼓膜に近い位置に配設する第二遮音壁体の鼓膜側の面に吸音路を設け、前記吸音路が、遮音壁体の表面から遮音壁体の裏面までを貫通しない非貫通凹面であり、かつ、前記吸音路を、前記導音開口部を中心として放射状に及び前記導音開口部に対して対称に配置したイヤーピースを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本願発明のイヤーピースは、第二遮音壁体に吸音路を設けることにより、第一遮音壁体、外耳道及び鼓膜によって形成されるスペースのうち前記第一遮音壁体と第二遮音壁体との間のスペースに反射音を吸音することができるため、当該反射音がイヤホンスピーカの出力音声と混ざることを抑制できる。
【0015】
また、本願発明のイヤーピースは、前記第二遮音壁体とともに第三遮音壁体にも吸音路を設けることにより、前記第二遮音壁体と第三遮音壁体との間のスペース及び前記第三遮音壁体と前記第一遮音壁体との間のスペースに反射音を吸音することができるため、当該反射音がイヤホンスピーカの出力音声と混ざることをより抑制できる。
【0016】
また、本願発明のイヤーピースは、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体に設ける吸音路の具体的構造を貫通孔又は非貫通凹面としたため、容易に製造することができ得る。
【0017】
また、本願発明のイヤーピースは、前記第一遮音壁体とは異なる遮音壁体に設ける吸音路を導音開口部に対して対称的に配置したため、バランスよく均等に吸音可能である。
【0018】
また、本願発明のイヤーピースは、吸音路を構成する貫通孔形状を円形、だ円形、三角形、四角形、切れ込み形状のいずれかとしたため、より容易に製造することができ得る。
【0019】
また、本願発明のイヤーピースは、吸音路を構成する非貫通凹面の配置を対称な放射状としたため、バランスよく均等に吸音可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は実施例1のイヤーピースの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は実施例1のイヤーピースをイヤホンに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は実施例1のイヤーピースを外耳道に挿入した状態及び作動を示す説明図である。
【
図4】
図4は実施例1のイヤーピースを外耳道に挿入した状態及び作動を示す拡大図である。
【
図5】
図5は実施例2のイヤーピースの構成を示す説明図である。
【
図6】
図6は実施例3のイヤーピースを鼓膜側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明のイヤーピースを、イヤホンの先端に取り付けた後に外耳道内に挿入して使用する。
【実施例1】
【0022】
まずは、実施例1のイヤーピースの構成について、
図1から
図3に従い説明する。
【0023】
イヤーピース(1)は、イヤホンスピーカからの出力音声を外耳道内に導く円筒形状の導音開口部(11)と、前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体(20)と、前記遮音壁体のうち所定の遮音壁体上に設ける吸音路(30)と、で構成する(
図1)
【0024】
なお、本実施例のイヤーピース(1)をイヤホンの先端に取り付けた後の状態を
図2に示す(
図2)。
【0025】
前記導音開口部(11)について、イヤホンスピーカからの出力音声を外耳道内に導く機構であればいかなる構造であっても良いものとする。
【0026】
前記遮音壁体(20)は、当該イヤーピースを外耳道(41)に挿入した際に、鼓膜(42)から最も遠い外部近傍位置に配設される1体の第一遮音壁体(21)と、前記鼓膜に最も近い位置(外部から離れた位置)に配設される第二遮音壁体(22)と、前記第一遮音壁体と前記第二遮音壁体との間に配設される第三放遮音壁体(23)と、で構成する(
図1及び
図3)。
【0027】
前記第一遮音壁体(21)は、イヤーピースを外耳道に挿入した際に、外耳道壁(41)面全周にわたって当接し、外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽するために設けられる(
図3)。
【0028】
前記第一遮音壁体(21)において、外部から外耳道内及び外耳道内から外部への音声を極力遮蔽するとは、以下の様な特殊な場合を除いて遮蔽することを意図した記載である。前記特殊な場合とは、例えば、1体の遮音壁体では物理的に遮蔽できない程度の非常に強い(大きい)外部音声が発生した場合(第一遮音壁体を2体以上配設した場合についても同様)や外耳道の形状の個人差による要因で外耳道壁(41)面全周にわたる当接が一部離れその隙間から音声が混入又は漏れる場合等を想定する。
【0029】
前記第二遮音壁体(22)上には、表面(鼓膜側)から裏面までを貫通する前記吸音路(30)を構成する所定の貫通孔(31、32)を設ける(
図1及び
図3)。
【0030】
前記第二遮音壁体(22)の大きさについて、外耳道への挿入を考慮し前記第三遮音壁体よりも小さくしいている(
図1及び
図3)。
【0031】
前記第三遮音壁体(23)上にも、表面(鼓膜側)から裏面までを貫通する前記吸音路(30)を構成する所定の貫通孔(31、32)を設ける(
図1及び
図3)。
【0032】
前記第三遮音壁体(23)の大きさについて、外耳道への挿入を考慮し前記第二遮音壁体よりも大きくかつ前記第一遮音壁体よりも小さくしている(
図1及び
図3)。
【0033】
前記貫通孔のうち、前記第二遮音壁体(22)の縁部及び前記第三遮音壁体(23)の縁部には、製造(加工)が容易な三角形状の切欠き貫通孔(32)を設けた(
図1)。
【0034】
また、前記貫通孔のうち、前記第二遮音壁体(22)の縁部以外の部分及び前記第三遮音壁体(23)の縁部以外の部分には、製造(加工)が容易な円形状の貫通孔(31)を設けた(
図1)。
【0035】
前記貫通孔の形状について、吸音が可能であればその他の形状も許容し得る。例えば、だ円形状や四角形状や切れ込み形状でも良い。
【0036】
前記貫通孔(31、32)の配置について、前記導音開口部(11)に対して対称に配置することが好ましい(
図1)。
【0037】
前記遮音壁体(20)のうち前記第一遮音壁体(21)とは異なる遮音壁体について、本実施例では2体としているが1体でも良く、又3体以上設けても良いものとする(
図1)。
【0038】
次に、イヤーピースの吸音作動について、
図3及び
図4に従い、説明する。
【0039】
イヤホンスピーカからの出力音声(音楽等)は、実線矢印で図示するように導音開口部(11)を経由して外耳道(41)内に放たれる(
図3及び
図4)。
【0040】
前記外耳道(41)内に放たれた音声は、実線弧状線で図示するように拡散し、外耳道壁や鼓膜(42)に到達し反射する(
図4)。
【0041】
前記反射した音は、第一遮音壁体(21)と外耳道(41)と鼓膜(42)で閉じられたスペースで反射を繰り返し減衰していく。例えば、点線矢印で図示する上方の外耳道壁(41)に反射した音は、第二遮音壁体(22)上に設けた貫通孔(31)を通過し、前記第二遮音壁体と第三遮音壁体(23)との間の第一吸音スペース(51)に到達し吸音される(
図4)。
【0042】
また、点線矢印で図示する下方の鼓膜(42)に反射した音は、前記第二遮音壁体(22)上に設けた貫通孔(31)を通過し、前記第二遮音壁体と前記第三遮音壁体(23)との間の第一吸音スペース(51)に到達し吸音された後、さらに前記第一吸音スペースに到達した音の一部は、前記第三遮音壁体上に設けた貫通孔(31)も通過し、前記第三遮音壁体と前記第一遮音壁体(21)との間の第二吸音スペース(52)に到達し吸音される(
図4)
【実施例2】
【0043】
実施例2は、遮音壁体が2体でその大きさが同一であるイヤーピースであり、その構成について実施例1と異なる部分についてのみ
図5に従い説明する。
【0044】
イヤーピース(1)は、イヤホンスピーカからの出力音声を外耳道内に導く円筒形状の導音開口部(11)と、前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体と、前記遮音壁体のうち所定の遮音壁体上に設ける吸音路(31)と、で構成し、前記遮音壁体は、当該イヤーピースを外耳道に挿入した際に、鼓膜から離れた外部近傍位置に配設される1体の第一遮音壁体(21)と、前記鼓膜に近い位置に配設される第二遮音壁体(22)と、で構成する(
図5)。
【0045】
前記第一遮音壁体(21)と前記第二遮音壁体(22)とは、同一の大きさとしている(
図5)。
【0046】
その他の構成については、実施例1と同様であるため、省略する。
【0047】
また、イヤーピースの吸音作動についても実施例1と略同様であるため、省略する。
【実施例3】
【0048】
実施例3は、吸音路の具体的な構成が異なるイヤーピースであり、その構成について実施例2と異なる部分についてのみ
図6に従い説明する。
【0049】
イヤーピースは、イヤホンスピーカからの出力音声を外耳道内に導く円筒形状の導音開口部(11)と、前記導音開口部の周囲に設ける複数の遮音壁体(20)と、前記遮音壁体のうち所定の遮音壁体上に設ける吸音路(33)と、で構成し、前記遮音壁体は、当該イヤーピースを外耳道に挿入した際に、鼓膜から離れた外部近傍位置に配設される1体の第一遮音壁体と、前記鼓膜に近い位置に配設される第二遮音壁体(22)と、で構成する(
図6)。
【0050】
前記第二遮音壁体(22)上には、前記導音開口部(11)を中心として放射状に、4本の直線状の非貫通凹面(33)を対称に設けている(
図6)。
【0051】
前記非貫通凹面(33)の配置及び本数について、利用者が必要とする条件、遮音壁体の材質、形状、大きさ等を考慮して随時設計変更することも許容し得る。
【0052】
次に、イヤーピースの吸音作動について、
図6に従い説明をする。
【0053】
イヤホンスピーカからの出力音声(音楽等)は、前記導音開口部(11)を経由して外耳道内に放たれ、拡散し、外耳道壁や鼓膜などに反射する。前記反射した音は、遮音壁体と外耳道と鼓膜で閉じられたスペースで反射を繰り返し減衰していく。例えば、鼓膜に反射した音は、第二遮音壁体(22)上に設けた非貫通凹面(33)と外耳道との隙間を通過し、前記第二遮音壁体と第一遮音壁体との間の吸音スペースに到達し吸音される(
図6)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明のイヤーピースは、反射音の一部を吸音することにより優れた音声性能を発揮する優れたイヤーピースであるので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0055】
1 イヤーピース
11 導音開口部
20 遮音壁体
21 第一遮音壁体
22 第二遮音壁体
23 第三遮音壁体
30 吸音路
31 第二遮音壁体及び第三遮音壁体の縁部に設けた三角形状切欠き貫通孔(吸音路)
32 第二遮音壁体及び第三遮音壁体の縁部以外の部分に設けた円形状貫通孔(吸音路)
33 第二遮音壁体の鼓膜側の表面に設けた非貫通凹面(吸音路)
41 外耳道、外耳道壁
42 鼓膜
51 第一吸音スペース
52 第二吸音スペース