(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単一の層または2つの層を部分的にヒートシールすることによってパウチまたは袋に成形された物品であって、前記層が、請求項1に記載の置換フェニレン芳香族ジエステルを含むランダムプロピレン/エチレンコポリマーを含む、物品。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.ポリマー組成物
本開示は、ポリマー組成物を提供する。一実施形態では、ポリマー組成物は、(a)0.65より大きいエチレン組込み指数を有するランダムプロピレン/エチレンコポリマー、および(b)置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。
【0018】
(a)ランダムプロピレン/エチレンコポリマー
本明細書で使用されるときの「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、重合された形態において、(i)過半数の重量割合のプロピレンモノマーおよび(ii)エチレンモノマーを含有する、コポリマーである。「ランダムプロピレン/エチレンコポリマー」とは、個々のエチレンモノマー繰り返し単位がランダム分布または統計学的分布においてそのポリマー鎖中に存在する、ポリマーである。
【0019】
「ランダム」という用語は、ポリマー鎖にわたったコモノマー分布の尺度である、「B値」によって規定されている。「ケーニッヒB値(Koenig B-value)」は、ポリマー鎖にわたった、プロピレンとエチレンとのコポリマー、または、プロピレンとエチレンと少なくとも1つの不飽和コモノマーとのコポリマーのエチレン単位の分布を計算する。ケーニッヒB値は0から2までの範囲であり、1は、コモノマー単位の完全にランダムな分布を表す。ケーニッヒB値が高くなるほど、コポリマー中でのコモノマー分布がより交互になる。ケーニッヒB値が低くなるほど、コポリマー中でのコモナー分布がよりブロック状またはクラスター状になる。本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーは、0.90、0.93または0.95から0.96、0.98または1.0までのB値を有する。
【0020】
本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーは、0.65より大きいエチレン組込み指数を有する。本明細書で使用されるときの「エチレン組込み指数」または「EII」という用語は、コポリマー(「Et」)中に存在する合計エチレンと比較した、ポリマー骨格中に存在するエチレンの量(すなわち、エチレンに由来した単位)である。EIIは、下記式
【数2】
によって測定される。
【0021】
「骨格エチレン」という用語は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン不溶(XI)部分中のエチレンの量である。骨格エチレンの重量パーセントは、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン不溶部分についての
13C NMR分光法によって測定される。骨格エチレンの重量パーセントは、キシレン不溶部分の合計重量に基づいている。
【0022】
一実施形態では、EIIは、0.60または0.65または0.7から0.75、0.80または0.85までである。
【0023】
一実施形態では、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーは、エチレンに由来した3.2wt%から3.6wt%までの単位を含み、かつ0.75から0.80までのEIIを有する。
【0024】
「キシレン可溶部分」(XS)という用語は、キシレン中に可溶なランダムプロピレン/エチレンコポリマーの画分である。「キシレン不溶部分」(XI)は、キシレン中に不溶なランダムプロピレン/エチレンコポリマーの画分である。
【0025】
ランダムプロピレン/エチレンコポリマー中の「エチレンの合計重量パーセント」(または「Et」)は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン可溶(XS)部
分とキシレン不溶部分(XI)の両方の中のエチレンの量である。エチレンの合計重量パーセントは、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーについての
13C NMR分光法によって測定される。合計エチレンの重量パーセントは、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーの合計重量に基づいている。
【0026】
一実施形態では、ポリマー組成物は、2.0より大きいエチレン比を有する。本明細書で使用されるときの「エチレン比」という用語は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン不溶部分(XI)中に存在するエチレンと、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン可溶部分(XS)中に存在するエチレンとを比較している。エチレン比は、下記のように測定される。
【数3】
【0027】
XIエチレンの重量パーセントは、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのXI部分の合計重量に基づいている。XSエチレンの重量パーセントは、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのXS部分の合計重量に基づいている。XIエチレンおよびXSエチレンの場合、エチレンの量は、
13C NMR分光法によって測定される。エチレン比は、ポリプロピレン骨格中へのエチレン挿入の有効性の指標である。
【0028】
一実施形態では、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーは、1.50より大きいエチレン比を有し、または、2.0超から4.0、もしくは3.8、もしくは3.5までのエチレン比を有する。
【0029】
ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのキシレン可溶部分は、1wt%、または2wt%、または4.0wt%から15wt%までである。XS部分は、コポリマー中のエチレン含量の関数である。
【0030】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーのXSおよびEtは、下記式
【数4】
を満たす。
【0031】
(b)置換フェニレン芳香族ジエステル
本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有する。出願人は、内部電子供与体としての置換フェニレン芳香族ジエステルを有した触媒組成物が、従来の触媒系と比較したとき、骨格中へのより多くのエチレンの組込みにより、EIIを予想外に増大させることを発見した。
【0032】
本明細書で使用されるときの「置換フェニレン芳香族ジエステル」(または「SPAD」)という用語は、置換1,2−フェニレン芳香族ジエステル、置換1,3フェニレン芳香族ジエステルまたは置換1,4フェニレン芳香族ジエステルであり得る。
【0033】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造(II)を有した1,2−フェニレン芳香族ジエステルである。
【化1】
式中、R
1〜R
14は同じでありまたは異なる。R
1〜R
14のそれぞれは、水素、1個から20個までの炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せから選択される。R
1〜R
14のうち少なくとも1つは水素ではない。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は、水素原子と炭素原子のみを含む置換基を指し、分岐状種もしくは非分岐状種、飽和種もしくは不飽和種、環式種、多環式種、縮合種または非環式種、およびそれらの組合せを含める。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアルキニル基が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「置換ヒドロカルビル」および「置換炭化水素」という用語は、1つまたは複数の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用されるとき、「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV族、V族、VI族およびVII族の非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例には、ハロゲン(F Cl、Br、I)、N、O、P、B、SおよびSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基およびケイ素含有ヒドロカルビル基も含む。本明細書で使用されるとき、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つまたは複数のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用されるとき、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つまたは複数のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は炭素鎖中にあってもよいし、なくてもよい。
【0036】
一実施形態では、R
1〜R
4のうち少なくとも1つ(または2つ、または3つ、または4つ)のR基(複数可)は、1個から20個までの炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せから選択される。
【0037】
一実施形態では、SPADは、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである。
【0038】
一実施形態では、本ポリマー組成物は、1から100までのMFRを有する。
【0039】
出願人は、コポリマー中に存在するエチレン(Et)の合計量と比較したとき、ランダ
ムプロピレン/エチレンコポリマーの熱的特性についてのより正確な計量を、エチレン組込み指数(EII)が提供することを発見した。実施例の節において示されているように、出願人は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーのEIIと熱的特性との間に直接相関を見出した。熱的特性のこうした相関は、合計エチレン含量(Et)を測定するとき、必ずしも当てはまるわけではない。言い換えると、Etは2つのコポリマーに関して同じであり得るが、2つのコポリマーの熱的特性は非常に異なり得る。
【0040】
このようにして、出願人は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーに関した熱的特性、光学的特性およびヒートシール特性を特性決定するための改良型の方法を作り出した。EIIは、ランダムプロピレンコポリマーから製造されたフィルム/層のヒートシールの特性、すなわち、ヒートシール強度、ヒートシール開始温度、ホットタック強度および/またはホットタック開始温度等の特性を評価するときに特に有利である。
【0041】
2.フィルム
本開示はフィルムを提供する。一実施形態では、(a)置換フェニレン芳香族ジエステルを含有しかつ0.65より大きいエチレン組込み指数を有するランダムプロピレン/エチレンコポリマー、(b)5.0wt%未満のキシレン可溶分含量を含むフィルムが、提供される。
【0042】
「フィルム」という用語は、長さ寸法および幅寸法を有しかつある厚さをそれらの間に有した2つの主要面を有する、シート、ラミネートもしくはウェブ等であり、またはそれらの組合せである。フィルムは、(ただ1つの層を有する)単層フィルムまたは(2つ以上の層を有する)多層フィルムであってよい。一実施形態では、フィルムは、0.5ミルまたは0.8ミルまたは1ミルから約10ミルまでの厚さを有した、単層フィルムである。
【0043】
「多層フィルム」という用語は、2つ以上の層を有するフィルムである。多層フィルムの層どうしは、下記の非限定的な方法の1つまたは複数によって接合される:共押出、押出コーティング、気相蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルションコーティングまたは懸濁液コーティング。一実施形態では、多層フィルムは、1.0ミルから2ミルまで、または3ミルまで、または最大10ミルまでの厚さを有する。
【0044】
フィルムは、押出フィルムであってよい。「押出」および「押出する」という用語は、溶融した可塑性材料がダイの中を通るように仕向け、任意選択により冷却または化学的硬化が後続する、連続的形状を形成するためのプロセスである。ダイの中を通る押出の直前に、比較的高い粘度のポリマー材料が回転スクリューの中に供給され、この回転スクリューにより、ポリマー材料がダイの中を通るように仕向けられる。押出機は、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機またはラム押出機であってよい。ダイは、フィルムダイ、ブローンフィルムダイ、シートダイ、パイプダイ、チュービングダイまたは異形押出ダイであってよい。押出品の非限定的な例には、パイプ、フィルムおよび/または繊維が挙げられる。
【0045】
フィルムは、共押出フィルムであってよい。「共押出」および「共押出する」という用語は、押出物が合流または密着して積層構造になるように配設された2個以上の開口部を有した単一のダイの中を通して、2つ以上の材料を押出するためのプロセスである。共押出は、その他のプロセスの一態様として、例えば、フィルムブローイングプロセス、フィルムキャスティングプロセスおよび押出コーティングプロセス中に用いることもできる。
【0046】
フィルムは、ブローンフィルムであってよい。「ブローンフィルム」または「フィルムブローイング」という用語は、ポリマーフィルムを延伸するために、空気または別のガス
で満たされた気泡を形成するようにポリマーまたはコポリマーが押出される、フィルムを製造するためのプロセスである。次いで、気泡が崩壊して、フラットフィルム形態において収集される。
【0047】
一実施形態では、フィルムは単層射出成形フィルムであり、20ミルの厚さおよび約6.5%未満のヘイズ値を有する。
【0048】
一実施形態では、フィルムは単層射出成形フィルムであり、80ミルの厚さおよび約20%未満のヘイズ値を有する。
【0049】
一実施形態では、フィルムは単層射出成形フィルムであり、120ミルの厚さおよび約36%未満のヘイズ値を有する。
【0050】
3.物品
本開示は物品を提供する。一実施形態では、第2のシール部分と接触している第1のシール部分を含むヒートシールを備える物品が、提供される。第1のシール部分および第2のシール部分のそれぞれが、1つの層の構成要素である。層は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有する本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーを含む。
【0051】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、0.65より大きいエチレン組込み指数、および5.0wt%未満のキシレン可溶分含量を有する。
【0052】
一実施形態では、層はフィルムの構成要素であり、またはそうでないならフィルムになっている。
【0053】
「ヒートシール」という用語は、互いに接触させて熱および/または圧力を加えることで、接触している表面どうしが溶融して相互に混ざり合い、それにより2つの層の間に接着が形成される、2つの層の合体(または2枚のフィルムの合体、または2枚のフィルム部分の合体)である。ヒートシールは、(例えば、加熱バー、熱線、熱風、赤外線放射または超音波シーリングの使用により)これらの層(またはそれらの表面)を、少なくともそれらのそれぞれの軟化点まで加熱することによって生成される。
【0054】
図1Aは、ポリマー組成物のフィルムが物品10に成形された、本開示の一実施形態を図示している。物品10は、第2のシール部分16と接触している第1のシール部分14を有する、ヒートシール12を含む。第1のシール部分14および第2のシール部分16のそれぞれが、層18の構成要素である。
図1Aでは、第1のシール部分14および第2のシール部分16は、同じ層である層18の構成要素になっており、この結果、物品10がパウチまたは袋に成形されている。一実施形態では、第1のシール部分14および第2のシール部分16のそれぞれが、単一フィルムの構成要素であってよい。
【0055】
図1Bは、ポリマー組成物が物品20に成形された、本開示の一実施形態を図示している。物品20は、第2のシール部分26と接触している第1のシール部分24を有する、ヒートシール22を含む。第1のシール部分24は、層28の構成要素であり、第2のシール部分26は、層29の構成要素である。第1のシール部分24および第2のシール部分のそれぞれは、(SPADを含んだ)本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーを含有する。
図1Bでは、第1のシール部分24および第2のシール部分26は、異なる層の構成要素である。さらなる実施形態では、第1のシール部分24は、第1のフィルムの構成要素であり、第2のシール部分26は、第2のフィルムの構成要素である。
【0056】
図1Cは、ポリマー組成物が物品30に成形された、本開示の一実施形態を図示してい
る。物品30は、第1の層38および第2の層39を有する多層フィルム37を含む。第1の層38は、第2のシール部分36と接触している第1のシール部分34を有する、ヒートシール32を含む。第1のシール部分34および第2のシール部分36のそれぞれは、本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーを含有する。第2の層39は、第1の層38と同一の広がりを有し、または実質的に同一の広がりを有する。第1のシール部分34および第2のシール部分36は、同じフィルムまたは層の構成要素であってよい。代替的には、第1のシール部分34および第2のシール部分36は、異なるフィルムの構成要素である。
【0057】
一実施形態では、ヒートシール12および/またはヒートシール22および/またはヒートシール32は、恒久的なヒートシールである。
【0058】
一実施形態では、ヒートシール12および/またはヒートシール22および/またはヒートシール32は、ピールシール等の剥離可能なシールである。
【0059】
ヒートシールを有する物品に関した適切な用途は、エチレン含量の量に依存している。物品は、スナック食品および/またはチップス等、食品包装のための袋の中に用いることができる。ヒートシールを有した物品は、例えば牛乳、水、フルーツジュースといった液体、例えばアイスクリームミックスといったエマルション、例えばピーナッツバターといったペースト、缶詰、ジャム、ゼリー、生地、挽肉、粉末、ナッツおよび砂糖等のような、流動可能な材料を収納するために使用することができる。
【0060】
一実施形態では、物品は成型品である。成型品は、押出品、射出成形品、ブロー成形品、回転成形品および熱成形品であってよい。「成形」とは、それによりポリマーが溶融して、所望の形状の逆になっている金型内に導かれ、所望の形状およびサイズの部品が形成されるプロセスである。成形は、無圧式または加圧式であってよい。
【0061】
「射出成形」とは、それによりポリマーが溶融して、所望の形状の逆になっている金型内に高圧で注入され、所望の形状およびサイズの部品が形成されるプロセスである。金型は、鋼およびアルミニウム等の金属から製造することができる。「回転成形」は、中空プラスチック製品を製造するために使用されるプロセスである。回転成形は、加熱段階、溶融段階、成形段階および冷却段階のすべてが、金型内にポリマーが入れられた後で行われ、したがって、外部圧力が形成中に加えられないという点で、その他の加工方法とは異なる。
【0062】
「ブロー成形」は、中空プラスチック容器を製造するためのプロセスである。ブロー成形は、軟化したポリマーを金型の中心に配置すること、ブローピンを用いて金型壁に沿ってポリマーを膨張させること、および冷却により製品を凝固させることを含む。押出ブロー成形、射出ブロー成形および延伸ブロー成形という、3つの一般的種類のブロー成形がある。射出ブロー成形は、押出できないポリマーを加工するために使用することができる。延伸ブロー成形は、吹き込むのが困難なポリプロピレン等の結晶質ポリマーおよび結晶性ポリマーのために使用され得る。
【0063】
一実施形態では、物品は二軸配向フィルムである。
【0064】
一実施形態では、物品は容器である。容器はフィルムを含む。フィルムは、本ランダムプロピレン/エチレンコポリマーおよび置換フェニレン芳香族ジエステルからなる。ヒートシールは、第1のフィルム部分を第2のフィルム部分にシールまたは結合させて、容器内部を画定する(同様に容器外部も画定する)。ヒートシールは、上記で開示されたヒートシール構成のいずれであってもよい。容器のヒートシールは、恒久的なヒートシールま
たは剥離可能なヒートシール(すなわち、ピールシール)であってよい。適切な容器の非限定的な例には、軟包装および剛性包装が挙げられる。
【0065】
一実施形態では、ヒートシールは、開口型容器を形成するための部分的なヒートシールである。
【0066】
一実施形態では、ヒートシールは、外部環境から容器内部を完全に閉ざす、完全なヒートシールである。
【0067】
一実施形態では、第1のフィルム部分および第2のフィルム部分のそれぞれが、単一フィルムの構成要素である。言い換えると、単一フィルムは、それ自体の上に折り重なっており、軟質の容器を形成するように、ヒートシールがフィルム外周部の周りに形成されている。
【0068】
一実施形態では、第1のフィルム部分は、第1のフィルムの構成要素である。第2のフィルム部分は、第2のフィルムの構成要素である。第1のフィルムおよび第2のフィルムは、鏡像のように噛み合っており、共通のフィルム外周部を形成するように整列している。ヒートシールは、フィルム外周部の周りに形成されて、軟質の容器を形成しかつ容器内部を画定する。
【0069】
一実施形態では、食料品は、容器内部に入れられる。本明細書で使用されるときの「食料品」とは、食品または飲料等の可食物である。「可食」物とは、人間、哺乳類、鳥類および/または魚類による消費に適し、かつ非毒性な組成物であると理解されている。一実施形態では、食料品は、米国における食品規制、薬物規制、化粧品(FD&C)規制および/または欧州連合におけるユーロコントロール実験センター(E.E.C.)規格等の適用規格に適合した材料である。適切な食料品の非限定的な例には、菓子材料、パスタ、スナック食品、クラッカーおよびスナックチップス等の押出式スナック、マシュマロ、ペイストリー、ペット用(犬、猫、鳥類、魚類)食品、シリアル、ソーセージならびにチーズが挙げられる。
【0070】
適切な容器の非限定的な例には、スナック食品用袋、ポテトチップ用袋、即席食品用のレトルトパウチ、シガレット用の上包み、水用パウチ、シャンプー用の小型で軟質なポウチ、小型のしょう油用袋、チーズ用上包み、パン屋用袋、および菓子屋用/キャンディー用袋等、食料品用の軟質の袋が挙げられる。
【0071】
試験方法
13C NMR特性決定(エチレン含量、ケーニッヒB値、トライアド分布、トライアド立体規則性、エチレンおよびプロピレンに関した数平均配列長(すなわち、それぞれleおよびlp)が、下記のようにして実施される。
試料調製
試料は、0.025MのCr(AcAc)
3を含有するテトラクロロエタン−d
2/オルトジクロロベンゼンの約2.7gの50/50混合物を、Norell 1001−7 10mmNMRチューブ中の0.20gの試料に加えることによって調製される。試料は、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、チューブおよびその内容物を150℃に加熱することによって溶解され、均質化される。各試料は、均質性を確保するために目視により検査される。
データ取得パラメーター
データは、Bruker Dual DUL高温用CryoProbeを備えた、Bruker400MHz分光計を使用して収集される。データは、データファイル1個当たり1280個のトランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、およ
び、120℃の試料温度を用いた逆ゲートデカップリングを使用して取得される。すべての測定は、ロックモードにおいて非回転試料について行われる。試料は、データ取得前に7分間、熱平衡させておく
【0072】
示差走査熱量測定(DSC)は、融点(Tm)、結晶化温度(Tc)および融解熱(ΔHf)を測定するために用いられる。この方法では、試料は素早く加熱され、次いで、すべての結晶子を確実に溶融させておくために5分間220℃に保持される。試料は次いで、10℃/分において220℃から0℃まで冷却され、5分間0℃に保持される。続いて、試料は、10℃/分において0℃から220℃まで再加熱される。
【0073】
ポリプロピレンのためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析法。ポリマーは、屈折率検出器および4個のPLgel Mixed−A(20μm)カラム(Polymer Laboratory Inc.)を備えた、PL−220シリーズ高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置によって分析される。オーブン温度は150℃に設定され、オートサンプラーのホットゾーンおよびウォームゾーンの温度は、それぞれ135℃および130℃である。溶媒は、約200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を含有する、窒素パージした1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は1.0mL/分であり、注入量は200μlだった。2mg/mLの試料濃縮物が、N
2パージして予備加熱されたTCB(200ppmのBHTを含有する)中に試料を、160℃において穏やかに撹拌しながら2.5時間かけて溶解させることによって調製される。
【0074】
GPCカラムセットは、分子量分布が狭い20種のポリスチレン標準物質を流すことによって較正される。これらの標準物質の分子量(MW)は、580g/molから8,400,000g/molまでの範囲であり、これらの標準物質は、6種の「カクテル状」混合物の中に含まれていた。各標準物質混合物は、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔がある。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/mol以上の分子量に関しては、20mLの溶媒中で0.005gにおいて調製され、1,000,000g/mol未満の分子量に関しては、20mLの溶媒中で0.001gにおいて調製される。ポリスチレン標準物質は、撹拌しながら150℃において30分かけて溶解される。上記の狭い標準物質の混合物を最初に、かつ最大分子量の構成要素から減少していく順序で流して、分解作用を最小化する。対数的分子量較正は、溶離液体積の関数として四次の多項式当てはめを用いて行われる。等価なポリプロピレン分子量が、ポリプロピレン(Th.G. Scholte, N.L.J. Meijerink, H.M. Schoffeleers, and A.M.G. Brands, J. Appl. Polym. Sci., 29, 3763 - 3782 (1984))およびポリスチレン(E. P. Otocka, R. J. Roe, N. Y. Hellman, P. M. Muglia, Macromolecules, 4, 507 (1971))に関して報告されたマルク−ホウインク係数を用いる下記式の使用によって計算され、
【数5】
【0075】
式中、M
ppはPPと等価なMWであり、M
PSはPSと等価なMWであり、PPおよびPSに関したマルク−ホウインク係数のlog Kおよびaの値は、以下に列挙されている。
【表1-1】
【0076】
ヘイズおよび透明度は、ASTM D1003に従って測定される。
【0077】
「ヒートシール強度」とは、材料を23℃に冷却した後にシールを分離するために必要とされる(重力ポンドにおける)力の尺度である。
【0078】
「ヒートシール開始温度」(「HSIT」)という用語は、所与の圧力を所与の厚さのフィルムに所与の長さの時間をかけて適用することによりシールを形成することができる、周囲より高い第1の温度として規定されている。
【0079】
「ホットタック開始温度」(「HTIT」)という用語は、ホットタック強度が4ニュートン/インチまたは4N/inになる温度である。しばしば、この開始温度は、ASTM F1921の方法Bを用いて2ミルのフィルムが0.5N/inの強度を有したシールを形成する、最低温度として表される。一般に、より低い開始温度が望ましいが、これはシールを形成するために必要とされるエネルギーが少なくなり、さらには、初期シールが所与のシールジョー温度で形成されるのに要する時間も短くなるためである。この結果、製造速度を上昇させることができる。
【0080】
「ホットタック強度」とは、ヒートシールが完全に冷める(結晶化する)機会を得ることになる前に、ヒートシールを分離するために必要とされる(ニュートンにおける)力の尺度である。
【0081】
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系ポリマーに関しては2.16kgの重りを用いて、ASTM D1238試験方法に従って230℃において測定される。
【0082】
キシレン可溶部分は、ASTM D5492−06から翻案された方法によって測定される。その手順は、2gの試料を秤量すること、およびこの試料を、24/40すり合わせ部を有した400mlフラスコ内で、200ml o−キシレン中に溶解させることからなる。フラスコは水冷凝縮器に接続されており、その内容物は、撹拌され加熱されてN
2下で還流され、次いで、還流しながらさらに30分の間維持される。この溶液は次いで、キシレン不溶画分の結晶化を可能にするために、最低でも45分の間、25℃に温度制御された水浴中で冷却される。溶液が冷却されて不溶画分が溶液から沈殿したらすぐに、キシレン不溶部分(XI)からのキシレン可溶部分(XS)の分離を、25ミクロン濾紙を用いたろ過によって実施する。100mlのろ液が、予め重さを量ったアルミニウム鍋の中に収集され、o−キシレンが、窒素流下でこの100mlのろ液から蒸発する。溶媒が蒸発したらすぐに、鍋および内容物は、30分の間または乾燥するまで、100℃真空オーブン内に入れられる。鍋は次いで、室温まで冷めるままにしておいてから、重さを量る。キシレン可溶部分は、XS(wt%)=[(m
3−m
2)
*2/m
1]
*100として計算され、式中、m
1は使用される試料の元々の重量であり、m
2は空のアルミニウム鍋の重量であり、m
3は鍋および残渣の重量である。
【0083】
定義
逆の記載がない限り、文脈から示唆されない限り、または当分野において慣例でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づいており、すべての試験方法は、本開示の出願日のときに現行のものである。米国特許の実務のために、参照した特許、特許出願ま
たは特許公報のいずれの内容も、特に、(本開示において具体的に提供されたいずれの定義とも矛盾しない程度の)定義の開示および当分野における一般的知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれている(または、その等価な米国版が参照によりそのように組み込まれている)。
【0084】
本開示における数値範囲は概算であり、したがって、そうでないと示されていない限り、範囲の外側の値を含み得る。数値範囲は、任意の下限値と任意の上限値との間に少なくとも2単位の間隔があることを条件にして、1単位の増加において、下限値と上限値を含む上限値から上限値までのすべての値を含む。一例として、組成的特性、物理的特性、または、例えば分子量等のようなその他の特性が100から1,000までであるならば、100、101、102等、および100から144まで、155から170まで、197から200まで等のような部分範囲といった、すべての個々の値が、明示的に列挙されている。1未満の値または1より大きい分数(例えば、1.1、1.5等)を含む値を包含する範囲に関しては、1単位は適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。10未満の1桁の数(例えば、1から5まで)を含む範囲に関しては、1単位は、一般的に0.1であるとみなされる。これらは、具体的に意図されているものの例にすぎず、列挙された下限値から上限値の間の数値に関してあり得るすべての組合せは、本開示において明示的に記載されたとみなすべきである。数値範囲は、本開示の中では、とりわけ組成物のパーセントに関して提供されている。
【0085】
「組成物」および同様の用語は、2つ以上の構成要素の混合物またはブレンドである。ケーブル用シースまたはその他の製造物品を製作する材料の混合物またはブレンドについての文脈において、組成物は、混合物のすべての構成要素、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンコポリマー、金属水和物、および、硬化触媒、抗酸化剤、難燃剤等のような任意のその他の添加剤を含める。
【0086】
「備える」、「含む」、「有する」および同様の用語は、あらゆるさらなる構成要素、ステップまたは手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かに関わらず、排除することを意図されていない。いかなる疑義も避けるために、「備える」という用語の使用により請求されたすべてのプロセスは、逆の記載がない限り、1つもしくは複数のさらなるステップ、設備もしくは構成部品、および/または材料を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、後続するいかなる列挙の範囲からも、実現可能性に関して本質的でないものを除いて、その他のあらゆる構成要素、ステップまたは手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に記述または列挙されていない、あらゆる構成要素、ステップまたは手順を排除する。逆の記載がない限り、「または」という用語は、列挙された構成員について個別ならびに任意の組合せにおいて言及する。
【0087】
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されたポリマーである。この普遍的用語は、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーであるコポリマー、および2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0088】
「ケーニッヒB値」は、ポリマー鎖にわたったコモノマー分布の尺度である。「ケーニッヒB値」により、ポリマー鎖にわたって、プロピレンとエチレンとのコポリマー、または、プロピレンとエチレンと少なくとも1つの不飽和コモノマーとのコポリマーのエチレン単位の分布を計算する。ケーニッヒB値は0から2までの範囲であり、1は、コモノマー単位の完全にランダムな分布を表す。ケーニッヒB値が高くなるほど、コポリマー中でのコモノマー分布がより交互になる。ケーニッヒB値が低くなるほど、コポリマー中でのコモノマー分布がよりブロック状またはクラスター状になる。
【0089】
ケーニッヒB値は、J.L.Koenig(Spectroscopy of Polymers, 2
nd Edition,
Elsevier, 1999)の方法に従って測定される。Bは、プロピレン/エチレンコポリマーに関して、
【数6】
と規定されており、
【0090】
式中、f(EP+PE)=EPダイアド分率とPEダイアド分率の合計であり、FEおよびFP=コポリマー中でのエチレンおよびプロピレンの各モル分率である。ダイアド分率は、f(EP+PE)=[EPE]+[EPP+PPE]/2+[PEP]+[EEP+PEE]/2に従った、トライアドデータから導出することができる。ケーニッヒB値は、各コポリマーダイアドの割り当てにより、その他のコポリマーに関しても同様に計算することができる。例えば、プロピレン/1−オクテンコポリマーに関したB値の計算には、下記式を使用する。
【数7】
【0091】
「ポリマー」は、同じ種類か異なる種類かに関わらず、モノマーの重合により調製されたポリマー化合物である。したがって、ポリマーという普遍的用語は、ただ1種類のモノマーから調製されたポリマーであるホモポリマーという用語、および、以下で規定されているインターポリマーという用語を包摂する。
【0092】
「ポリオレフィン」、「PO」および同様の用語は、単純なオレフィンに由来したポリマーである。多数のポリオレフィンは熱可塑性物質であり、本開示の目的に関してはゴム相を含み得る。代表的なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンおよびそれらの様々なインターポリマーが挙げられる。
【0093】
本明細書で使用されるときの「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、(重合性モノマーの合計量に基づいて)多数派の重量パーセントの重合されたプロピレンモノマー、少数派の重量パーセントの重合されたエチレンモノマーを含む、コポリマーである。エチレンは、α−オレフィンとみなされる。
【実施例】
【0094】
1.比較用試料1〜6
比較用試料1〜6のそれぞれは、The Dow Chemical Companyから市販されている、内部電子供与体としてジイソブチルフタレートを含んだマグネシウム含有触媒のSHAC(商標)205から製造された、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0095】
重合は、気相流動層重合反応器(14インチの反応器直径)の中で実施される。共触媒はトリエチルアルミニウムであり、外部電子供与体はジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、n−プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)またはn−プロピルトリエトキシシラン(PTES)であり、活性制限剤はイソプロピルミリステート(IPM)である。
【0096】
比較用試料(CS)1〜6は以下で、表1においてさらに特性決定されている。
【表1-2】
【0097】
図2は、CS1〜CS6のポリマーに関したヒートシール挙動を比較している。表1および
図2は、従来の触媒を使用しながらエチレンコモノマーを増やしても、ヒートシール強度が改善しないことを示している。
図2では、7.47wt%のエチレンを含んだCS5は、5.5wt%のエチレンを含んだCS1と比較したとき、ヒートシール強度の改善を示していない。その他のすべての要因が等しいとき、
図2は、プロピレン/エチレンコポリマー中でのエチレンのwt%の増大が、ヒートシール強度の増大と相関していないことを示している。
【0098】
2.実施例1および比較用試料7
A.実施例1 SPADを含んだプロ触媒組成物の合成
周囲温度において、351gの混合されたハロゲン化マグネシウム/ハロゲン化チタンアルコラートを、1.69kgのクロロベンゼンと4.88kgの塩化チタン(IV)との混合物中で撹拌する。10分後、164.5gの5−tert−ブチル−3−メチル−1,2−フェニレンジベンゾエートを含む750mLのクロロベンゼン溶液を加え、続いてさらに0.46kgのクロロベンゼンを加える。混合物を100℃において60分の間撹拌し、沈降するままにしておき、次いで100℃においてろ過する 固体を70℃において15分の間3.16kgのクロロベンゼン中で撹拌し、沈降するままにしておき、次いで70℃においてろ過する 固体を、2.36kgのクロロベンゼンと4.84kgの塩化チタン(IV)との混合物中で撹拌し、10分後、416gのクロロベンゼン中の109.7gの5−tert−ブチル−3−メチル−1,2−フェニレンジベンゾエートの溶液を加え、続いて、さらに0.20kgのクロロベンゼンを加える。混合物を105〜110℃において30分の間撹拌し、沈降するままにしておき、次いで105〜110℃においてろ過する。固体を105〜110℃において30分の間、3.10kgのクロロベンゼンと4.84kgの塩化チタン(IV)との混合物中で撹拌し、沈降するままにしておき、次いで105〜110℃においてろ過する。冷却後、固体を、45℃において3.47kgのヘキサンによって2回洗浄し、続いて周囲温度において3.47kgの2−メチルブタンによって最終洗浄する。固体を真空にさらして残留揮発分を除去し、次いで683gの鉱物と合わせてスラリーを生成する。
【0099】
B.比較用試料7
CS7に関したプロ触媒組成物は、The Dow Chemical Companyから市販されている、内部電子供与体としてジイソブチルフタレートを含んだマグネシウム含有触媒のSHAC(商標)205である。
【0100】
C.重合
重合は、気相流動層重合反応器(14インチの反応器直径)の中で実施される。
【0101】
実施例1に関しては、プロ触媒組成物は、上記の2(A)のSPAD含有プロ触媒組成物であり、共触媒はトリエチルアルミニウムであり、外部電子供与体はジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)であり、活性制限剤はイソプロピルミリステート(IPM)である。
【0102】
比較用試料7に関しては、プロ触媒組成物はSHAC(商標)205であり、共触媒はトリエチルアルミニウムであり、外部電子供与体はn−プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)であり、活性制限剤はイソプロピルミリステートである。
【0103】
以下の表2は、実施例1のプロピレン/エチレンコポリマーを、CS7のプロピレン/エチレンコポリマーと比較している。
【表2】
【0104】
実施例1は、3.4%の合計エチレン含量(Et)および4.7%のXSを含む。比較用試料7は、3.4%の合計エチレン含量および8.2%のXSを含む。
【0105】
図3は、実施例1と比較用試料7との間でDSCによる溶融の比較を表している。
図4は、実施例1と比較用試料7との間でDSCによる冷却の比較を表している。
図3〜
図4における熱流は、ワット(ジュール/秒)毎グラム(W/g)において測定される。
【0106】
実施例1およびCS7は、同じ合計エチレン含量Et、すなわち3.4wt%の合計エチレン含量を有する。しかしながら、実施例1は、CS7と比較したとき、より低い溶融温度およびより低い結晶化温度を有する。
図3および
図4は、実施例1と比較用試料7の両方が同じ合計エチレン含量を有してはいるが、実施例1におけるポリマー骨格中への有効なエチレン挿入のため、実施例1は、比較用試料7のものより低い溶融温度およびより低い結晶化温度を有することを示している。さらに、実施例1に関した溶融ピークの高さは、CS7に関した溶融ピークの高さと比較したときより小さい強度を有し、実施例1においてエチレンが、CS7におけるエチレンより均一に分布されていることを実証している。
【0107】
図3および
図4は、実施例1およびCS7が同じ合計エチレン含量を有するにもかかわらず、実施例1が、CS7が含むより多くの骨格エチレンを含むことを示している。
図3および
図4は、表2におけるデータと一致している。表2は、CS7(EII0.58)より大きなEII(0.79)を有した実施例1を示している。実施例1は、CS7(1.38)より大きなエチレン比(3.79)を有する。
【0108】
D.光学性
図5は、実施例1とCS7のヘイズ値を比較している。ヘイズは、ASTM D1003に従って測定される。透明度は、ASTM D1746に従って測定される。実施例1は、CS7と比較してより低いヘイズ値を有する。
【0109】
図6Aは、実施例1のTEM画像である。
図6Bは、比較用試料7のTEM画像である。
図6Bは、光に干渉してより高いヘイズ値をもたらす、比較用試料7中の明瞭な分域を明示している。
図6A(実施例1)は、これらの明瞭な分域を有しておらず、実施例1に関したより低いヘイズ値をもたらす。
【表3】
【表4】
【0110】
ASTM D2457に従って測定された45度光沢。SPAD含有触媒を用いて製造された実施例1は、従来の触媒を用いて製造されたCS7と比較したとき、より少ないヘイズと、より大きい透明度と、より高い光沢とを有する。
【0111】
E.ヒートシール特性
図7〜
図8は、本ランダムプロピレン/エチレンコポリマー(実施例1)によって製造されたフィルムが、従来のプロピレン/エチレンコポリマーと比較してより良好なヒートシール特性を有することを実証している。実施例1は、CS7(
図7〜
図8)と比較してより強いシール強度を、同じドゥエル時間においてもたらす。実施例1は、CS7より低いヒートシール開始温度を有する。実施例1は、比較用試料7より高い最大シール強度を有する。
【0112】
本開示は、本明細書の中に含まれている実施形態および例示に限定されないが、下記請求項の範囲に含まれるような、それらの実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組合せを含む実施形態の修正形態を包含することを特に意図されている。