【課題を解決するための手段】
【0010】
マイクロホン・システムを使用して音声をオーディオ信号に変換するステップと、
マイクロホン・システムがユーザによって装着されたとき、音源からマイクロホン・システムまでの音響音声の音声伝播経路の伝達関数と整合または実質的に整合する整合伝達関数を有する整合フィルタを用いてオーディオ信号をフィルタリングするステップと
を備える、拡散性雑音を有する環境内で受信された音声信号の信号対雑音比を増加させる新しい方法が提供される。
【0011】
伝達関数は、好ましくは、マイクロホン・システムの伝達関数を含む。
【0012】
本開示を通して、整合伝達関数が、他の伝達関数の、複素スカラが乗算された、複素共役と等しいか、または実質的に等しいとき、整合フィルタは、別の伝達関数と整合または実質的に整合する整合伝達関数を有すると言われる。この場合、複素スカラの値は、整合フィルタが因果的(causal)フィルタであるように選択されてもよい。
【0013】
整合フィルタは、マイクロホン・システムがユーザによって装着されたとき、音源からマイクロホン・システムまでの音声伝播経路のインパルス応答が時間シフトされ、時間逆転されたインパルス応答に、場合によっては整合フィルタが因果的フィルタとなるように時間シフトされたインパルス応答に等しいか、または実質的に等しいインパルス応答を有してもよい。
【0014】
整合フィルタは、伝達関数によって生じる振幅スペクトルの変化を補償するために、フィルタリングされたオーディオ信号の振幅スペクトルの等化を実行することができる。
【0015】
新しい方法は、信号対雑音比のさらなる改善のために、複数のフィルタリングされたオーディオ信号を加算して和オーディオ信号を取得するステップをさらに備えることができる。
【0016】
さらに、音源によって発せられた音声を第1のオーディオ信号に変換するように構成された第1のマイクロホン・システムと、
第1のオーディオ信号を第1のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第1の整合フィルタであって、第1の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第1のオーディオ信号を提供する第1のマイクロホン・システムまで伝播する音声の第1の音声伝播経路の第1の伝達関数と整合または実質的に整合する第1の整合伝達関数を有する、第1の整合フィルタと、
第1のフィルタリングされたオーディオ信号に少なくとも部分的に基づいてユーザの聴力損失を補償する聴力損失補償出力信号を提供するように構成された聴力損失プロセッサと
を備える新しい補聴器が提供される。
【0017】
補聴器は、
音声を第2のオーディオ信号に変換するように構成された第2のマイクロホン・システムと、
第2のオーディオ信号を第2のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第2の整合フィルタであって、第2の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第2のオーディオ信号を提供する第2のマイクロホン・システムまで伝播する音声の第2の音声伝播経路の第2の伝達関数と整合または実質的に整合する第2の整合伝達関数を有する、第2の整合フィルタと、
和オーディオ信号を得るために、第1のフィルタリングされたオーディオ信号と第2のフィルタリングされたオーディオ信号とを加算するように構成された第1の加算器と
をさらに備えてもよく、聴力損失プロセッサは、聴力損失補償出力信号を提供するために和オーディオ信号を処理するように構成されてもよい。
【0018】
第1の整合フィルタは、マイクロホンの出力部において提供されるオーディオ信号をフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするために、第1のマイクロホン・システムのマイクロホンの出力部に接続されてもよい。
【0019】
第1の整合フィルタは、複数のマイクロホンの合成出力部において提供されるオーディオ信号をフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするために、第1のマイクロホン・システムの複数のマイクロホンの合成出力部に接続されてもよい。
【0020】
第1の整合フィルタは、第1のマイクロホン・システムがユーザによって装着されたとき、第1の整合フィルタが音源から第1のマイクロホン・システムまでの第1の音声伝播経路の因果的フィルタであることを保証するために場合によっては時間シフトされた、時間逆転され、場合によっては時間シフトされたインパルス応答に等しいか、または実質的に等しいインパルス応答を有してもよい。
【0021】
第1の整合フィルタは、第1の伝達関数によって生じる振幅スペクトルの変化を補償するために、第1のフィルタリングされたオーディオ信号の振幅スペクトルの等化を実行することができる。
【0022】
第2の整合フィルタは、マイクロホンの出力部において提供されるオーディオ信号をフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするために、第2のマイクロホン・システムのマイクロホンの出力部に接続されてもよい。
【0023】
第2の整合フィルタは、複数のマイクロホンの合成出力部において提供されるオーディオ信号をフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするために、第2のマイクロホン・システムの複数のマイクロホンの合成出力部に接続されてもよい。
【0024】
第2の整合フィルタは、第2のマイクロホン・システムがユーザによって装着されたとき、第2の整合フィルタが音源から第2のマイクロホン・システムまでの第2の音声伝播経路の因果的フィルタであることを保証するために場合によっては時間シフトされた、時間逆転され、場合によっては時間シフトされたインパルス応答に等しいか、または実質的に等しいインパルス応答を有することができる。
【0025】
第2の整合フィルタは、第2の伝達関数によって生じる振幅スペクトルの変化を補償するために、第2のフィルタリングされたオーディオ信号の振幅スペクトルの等化を実行することができる。
【0026】
第1および第2の整合伝達関数は、第1の加算器が第1および第2のフィルタリングされたオーディオ信号を同相で加算することができるように、第1のフィルタリングされたオーディオ信号の位相と第2のフィルタリングされたオーディオ信号の位相とを実質的に等しくすることができる。
【0027】
以下では、補聴器がユーザによって装着されたときの音源からオーディオ信号を提供するマイクロホン・システムまでの第2の伝播経路の伝達関数を、マイクロホン関連伝達関数と呼ぶ。
【0028】
マイクロホン関連伝達関数は、好ましくは、マイクロホン・システムの伝達関数を含む。
【0029】
好ましくは、補聴器はまた、聴力損失補償出力信号を、人間の聴覚システムによって受信され得る音響出力信号または埋込み型トランスデューサ信号などの聴覚出力信号へ変換するための出力トランスデューサを備える。
【0030】
新しい補聴器は、BTE、RIE、ITE、ITC、CICなどの補聴器、またはこれらの組合せなどの任意のタイプの補聴器であってもよい。
【0031】
新しい補聴器は、性能を最適化するために補聴器間のデータ交換を利用する新しい両耳用補聴器システムの一部を形成してもよい。
【0032】
整合フィルタは、たとえば、多くの同時会話がある集会などの、拡散性音響雑音が著しく多い環境内で音源から発せられる信号のSNRを改善するように動作する。
【0033】
頭部関連伝達関数(HRTF)と同様に、マイクロホン関連伝達関数は、頭部の周囲での回折、肩からの反射、耳介および外耳道による反射などのために、補聴器のユーザに対する音源の方向と距離、およびユーザの解剖学的構造に依存する。
【0034】
したがって、最適な性能のために、選択された方向および距離の1つまたは複数のマイクロホン関連伝達関数が、個々のユーザについて決定され、1つまたは複数のそれぞれの整合フィルタによって整合または実質的に整合される。
【0035】
聴取者が音源の遠方場に存在する場合、HRTFのようなマイクロホン関連伝達関数は、距離とともに変化しない。典型的には、音源までの距離が1.5mよりも長いとき、聴取者は、音源の遠方場に存在する。
【0036】
したがって、決定されたマイクロホン関連伝達関数のうちの少なくともいくつかは、選択された方向の遠方場マイクロホン関連伝達関数であってもよい。
【0037】
ユーザに対して個別に決定されたマイクロホン関連伝達関数の代わりに、近似マイクロホン関連伝達関数が使用されてもよい。近似マイクロホン関連伝達関数は、KEMAR(登録商標)頭部などの人工頭部を使用して決定されてもよい。このようにして、補聴器ユーザが拡散性雑音を有する環境内で改善されたSNRを得るのに十分な精度となりうる、個々のマイクロホン関連伝達関数に近似するマイクロホン関連伝達関数が提供される。
【0038】
近似マイクロホン関連伝達関数は、人間の集団に対して以前に決定されたマイクロホン関連伝達関数の平均として決定されてもよい。この集団は、それぞれの対応する個々のマイクロホン関連伝達関数により近接して整合する近似マイクロホン関連伝達関数を得るために、個々のマイクロホン関連伝達関数が決定されるべき人の特定の特徴に適合するように選択されてもよい。たとえば、集団は、年齢、人種、性別、家族、耳のサイズなどに、単独で、または任意の組合せに従って選択されてもよい。適切なマイクロホン関連伝達関数は、いくつかの方向にわたる平均を含むこともできる。
【0039】
近似マイクロホン関連伝達関数は、たとえば、対象患者がより若い時のフィッティング・セッションで、以前に決定されたマイクロホン関連伝達関数であってもよい。
【0040】
補聴器内の整合フィルタによって整合または実質的に整合されたマイクロホン関連伝達関数の選択された方向は、好ましくは、ユーザの視線の前方方向を含むが、任意の方向または多数の方向を含んでもよい。
【0041】
補聴器が複数の整合フィルタを備える場合、補聴器は、整合フィルタの出力部において提供されるフィルタリングされたオーディオ信号を加算して、聴力損失補償出力信号に処理するための聴力損失プロセッサに入力される和オーディオ信号に取得するように構成された加算器も備える。
【0042】
音源が発した音がそれぞれの伝播経路に沿ってそれぞれのマイクロホンまで伝わる方向に音源が配置され、伝播経路の伝達関数がそれぞれの整合フィルタに整合または実質的に整合されていれば、整合フィルタは記録された信号からの音源からマイクロホンへの音波の伝播に由来する位相成分を等化する。その結果、これに続き、加算器はフィルタリングされた信号を同相で加算し、出力信号和のSNRをさらに改善する。これは、拡散性雑音が時間と空間の両方で無相関であり、フィルタリングによりSNRが改善され、マイクロホン間で平均化されるという事実による。
【0043】
和オーディオ信号のSNRをさらに改善するために、それぞれの整合フィルタに接続されるマイクロホンをさらに回路に追加し、フィルタリングされたオーディオ信号がさらに加算器に入力されるようにしてもよい。
【0044】
加算器は、加算器に入力される信号の加重和を形成してもよい。
【0045】
第1のマイクロホン・システムは、音声を第1のオーディオ信号に変換するように構成された第1のマイクロホンを備えてもよく、第2のマイクロホン・システムは、音声を第2のオーディオ信号に変換するように構成された第2のマイクロホンを備えてもよい。
【0046】
新しい補聴器は、左耳補聴器と右耳補聴器とを備え、左耳補聴器および右耳補聴器のうちの1つが新しい補聴器である新しい両耳用補聴器システムの一部を形成してもよい。
【0047】
新しい両耳用補聴器システムでは、左耳補聴器および右耳補聴器のうちの1つは、左耳補聴器および右耳補聴器のうちの他の1つのマイクロホンから発するオーディオ信号をフィルタリングするたように構成された少なくとも1つの整合フィルタを有していてもよい。
【0048】
新しい両耳用補聴器システムは、第1の補聴器と第2の補聴器とを備えることができ、第1および第2の補聴器の各々は、
音源によって発せられた音声を第1のオーディオ信号に変換するように構成された第1のマイクロホン・システムと、
第1のオーディオ信号を第1のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第1の整合フィルタであって、第1の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第1のオーディオ信号を提供する第1のマイクロホン・システムまで伝播する音声の第1の音声伝播経路の第1の伝達関数と整合または実質的に整合する第1の整合伝達関数を有する、第1の整合フィルタと、
第1のフィルタリングされたオーディオ信号に少なくとも部分的に基づいてユーザの聴力損失を補償する聴力損失補償出力信号を提供するように構成された聴力損失プロセッサと
を備えてもよい。
【0049】
第1および第2の補聴器の各々は、
音声を第2のオーディオ信号に変換するように構成された第2のマイクロホン・システムと、
第2のオーディオ信号を第2のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第2の整合フィルタであって、第2の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第2のオーディオ信号を提供する第2のマイクロホン・システムまで伝播する音声の第2の音声伝播経路の第2の伝達関数と整合または実質的に整合する第2の整合伝達を有する、第2の整合フィルタと、
和オーディオ信号を得るために、第1のフィルタリングされたオーディオ信号と第2のフィルタリングされたオーディオ信号とを加算するように構成された第1の加算器と
をさらに備えることができ、聴力損失プロセッサは、聴力損失補償出力信号を提供するために和オーディオ信号を処理するように構成されてもよい。
【0050】
さらに、第1および第2の補聴器のうちの1つの聴力損失プロセッサは、第1および第2の補聴器のうちの他の1つの第1の加算器の出力部に接続された入力部を有してもよく、プロセッサは、左耳補聴器および右耳補聴器の第1の加算器の出力を加算するように構成されてもよい。
【0051】
第1の補聴器は、第1の補聴器の第1の加算器の出力部に接続された第1の入力部と、第2の補聴器の第1の加算器の出力部に接続された第2の入力部と、第1の補聴器の和オーディオ信号と第2の補聴器の和オーディオ信号との両耳和を提供するための出力部とを備える第2の加算器を有しいてもよく、聴力損失プロセッサは、聴力損失補償出力信号を提供するために両耳和オーディオ信号を処理するように構成されてもよい。
【0052】
信号は、補聴器の技術分野において周知のように、左耳補聴器と右耳補聴器との間で有線または無線で通信してもよい。
【0053】
以下では、整合フィルタの1つの伝達関数が導かれる。
【0054】
補聴器、たとえば、n個のマイクロホンを有する両耳用補聴器システムにおいて、第n番目のマイクロホンが、ユーザが聞くことを望む音声信号、たとえば、発話などの雑音の多いバージョンの音声信号を受信すると仮定する。第n番目のマイクロホンは、
S
n(ω)=H
n(ω)X(ω)+V
n(ω)
に従ってスペクトルS
n(ω)を有するオーディオ信号s
n(t)を出力する。ここで、ωは、角周波数である。
【0055】
X(ω)は発話信号スペクトルであり、H
n(ω)は、音源から第nのマイクロホンまでの音声伝播を記述する第nのマイクロホン関連伝達関数であり、V
n(ω)は、対応するマスカ信号スペクトルである。さらに、
【数1】
を仮定する。
【0056】
ここで、Eは、期待演算子であり、
*は、複素共役を表す。さらに、マスカがガウス分布を有することも仮定する。受信信号スペクトルをベクトル形式で書き表すと、
【数2】
となる。
【0057】
所与のX(ω)を測定する条件付き確率s(ω)は、
【数3】
に比例する。ここで、R
vv−1は、マスカの自己共分散行列の逆数である。この式の自然対数をとり、定数項を除去すると、
【数4】
となる。
【0058】
微分し、ゼロに設定すると、
【数5】
となる。
【0059】
マスカが空間的に白色であるという事実を使用すると、これは、
【数6】
に簡略化される。
【0060】
ここで、引数Tを有する指数関数は、対応する時間領域の態様が因果的であることのみを目的として含まれる。時間領域では、
【数7】
【0061】
ここで、
【数8】
は、畳み込み演算子である。すなわち、
【数9】
は、関数f
1およびf
2の畳み込みを意味する。h
n(t)は、H
n(ω)の逆フーリエ変換であり、s
n(t)は、第nの測定されたマイクロホン信号である。
【数10】
は、フィルタリング演算を補償するための周波数にわたる振幅等化を記述するフィルタである。ここで、F
−1(・)は、(・)の逆フーリエ変換である。
【0062】
新しい補聴器は、処理されるべきオーディオ信号が、それぞれ複数の周波数チャネルにおいて個別に処理される複数の信号成分に分割されるマルチチャネル補聴器であってもよい。
【0063】
整合フィルタのうちの1つ、いくつか、またはすべては、複数の周波数チャネルに分割されてもよく、または、補聴器の全周波数範囲で依然として動作してもよく、または、補聴器回路の他の部分が分割される以外の周波数チャネル、典型的にはより少ない周波数チャネルに分割されてもよい。
【0064】
新しい補聴器では、整合フィルタのうちの1つ、いくつか、またはすべては、それぞれの選択された周波数帯域において動作してもよい。
【0065】
選択された周波数帯域の各々は、周波数チャネルのうちの1つもしくは複数、または周波数チャネルのすべてを含んでもよい。選択された周波数帯域は、断片化されてもよく、すなわち、選択された周波数帯域は、連続する周波数チャネルを含む必要はない。
【0066】
複数の周波数チャネルは、ワーピングされた周波数チャネルを含むことができ、たとえば、すべての周波数チャネルは、ワーピングされた周波数チャネルであってもよい。
【0067】
選択された周波数帯域の外側で、オーディオ信号は、従来の方法における聴力損失補償のために処理されてもよい。
【0068】
このように、拡散性雑音が存在しない周波数チャネルにおいて整合フィルタリングが回避されてもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、「実質的に」および「およそ」という用語は、電気工学の分野において経験される変動および不正確さを説明し、絶対的なものからの逸脱がそのように変更された用語または表現の範囲内に含まれることを意味するように意図される。たとえば、それらは、±5%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下などの、±10%以下である偏差を指してもよい。
【0070】
新しい補聴器におけるフィルタリングを含む信号処理は、専用ハードウェアによって実行されてもよく、もしくは信号プロセッサにおいて実行されてもよく、または専用ハードウェアと1つもしくは複数の信号プロセッサの組合せにおいて実行されてもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などの用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかのCPU関連エンティティを指すように意図される。プロセッサという用語は、CPU関連エンティティであってもなくてもよい何らかのハードウェアを含む任意の集積回路を指すこともある。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、フィルタを含んでもよい。
【0072】
たとえば、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などは、限定はしないが、プロセッサ上で実行されているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行のスレッド、および/またはプログラムであってもよい。
【0073】
例示として、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などという用語は、プロセッサ上で実行されるアプリケーションとハードウェア・プロセッサの両方を示す。1つまたは複数の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはそれらの任意の組合せは、プロセスおよび/または実行のスレッド内に存在してもよく、1つまたは複数の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはそれらの任意の組合せは、他のハードウェア回路と組み合わせて、1つのハードウェア・プロセッサ上に局在化されてもよく、および/または、他のハードウェア回路と組み合わせて、2つ以上のハードウェア・プロセッサ間に分散されてもよい。
【0074】
また、プロセッサ(または類似の用語)は、信号処理を実行することができる任意の構成要素または構成要素の任意の組合せであってもよい。たとえば、信号プロセッサは、ASICプロセッサ、FPGAプロセッサ、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路構成要素、または集積回路であってもよい。
【0075】
本発明の一実施形態による補聴器は、音源によって発せられた音声を第1のオーディオ信号に変換するように構成された第1のマイクロホン・システムと、第1のオーディオ信号を第1のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第1の整合フィルタであって、第1の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第1のマイクロホン・システムまで至る第1の音声伝播経路の第1の伝達関数と整合または実質的に整合する第1の整合伝達関数を有する、第1の整合フィルタと、第1のフィルタリングされたオーディオ信号に少なくとも部分的に基づいてユーザの聴力損失を補償する聴力損失補償出力信号を提供するように構成された聴力損失プロセッサと、を備える。
【0076】
補聴器は、第2のオーディオ信号を提供するように構成された第2のマイクロホン・システムと、第2のオーディオ信号を第2のフィルタリングされたオーディオ信号にフィルタリングするように構成された第2の整合フィルタであって、第2の整合フィルタが、ユーザが補聴器を装着したとき、音源から第2のマイクロホン・システムまで至る第2の音声伝播経路の第2の伝達関数と整合または実質的に整合する第2の整合伝達関数を有する、第2の整合フィルタと、和オーディオ信号を得るために、第1のフィルタリングされたオーディオ信号と第2のフィルタリングされたオーディオ信号とを加算するように構成された第1の加算器とをさらに備え、聴力損失プロセッサは、聴力損失補償出力信号を提供するために和オーディオ信号を処理するように構成されてもよい。
【0077】
第1および第2の整合伝達関数は、第1のフィルタリングされたオーディオ信号の位相と第2のフィルタリングされたオーディオ信号の位相とを実質的に等しくし、第1の加算器が第1および第2のフィルタリングされたオーディオ信号を同相で加算することができるようにしてもよい。
【0078】
第1および第2の整合伝達関数は、第1および第2のフィルタリングされたオーディオ信号の振幅スペクトルを、音源によって発せられた音声の振幅スペクトルと実質的に等しくしてもよい。
【0079】
音源は、ユーザの視線方向に存在してもよい。
【0080】
第1の整合フィルタは、第1の音声伝播経路のインパルス応答を時間反転し、時間シフトしたインパルス応答と実質的に等しいインパルス応答を有してもよい。
【0081】
補聴器は、第1のオーディオ信号が、それぞれ複数の周波数チャネルにおいて個別に処理される複数の信号成分に分割されるマルチチャネル補聴器であってもよい。
【0082】
前記第1の整合フィルタは、選択された周波数帯域においてフィルタリングを実行するように構成されてもよい。
【0083】
前記複数の周波数チャネルは、ワーピングされた周波数チャネルを含んでもよい。
【0084】
本発明の実施形態による両耳用補聴器システムは、第1の補聴器と第2の補聴器とを備え、第1の補聴器は、本明細書で説明する補聴器のいずれかである。
【0085】
本発明の実施形態による両耳用補聴器システムは、第1の補聴器と第2の補聴器とを備え、第1および第2の補聴器の各々は、本明細書で説明する補聴器のいずれかである。
【0086】
第2の補聴器は、第1の加算器を有し、第1の補聴器は、第2の加算器を有し、第2の加算器は、第1の補聴器の加算器の出力部に接続された第1の入力部と、第2の補聴器の第1の加算器の出力部に接続された第2の入力部とを有し、第1の補聴器の第2の加算器は、第1の補聴器の和オーディオ信号と第2の補聴器の和オーディオ信号とに基づく両耳和オーディオ信号を提供するための出力部を備え、聴力損失プロセッサは、聴力損失補償出力信号を提供するために両耳和オーディオ信号を処理するように構成されていてもよい。
【0087】
本発明の実施形態による、拡散性雑音を有する環境内で受信された音声信号の信号対雑音比を増加させる方法は、マイクロホン・システムを使用して音響音声をオーディオ信号に変換するステップと、マイクロホン・システムがユーザによって装着されたとき、音源からマイクロホン・システムまで至る音声伝播経路の伝達関数と実質的に整合する整合伝達関数を有する整合フィルタを用いてオーディオ信号をフィルタリングするステップとを含む。
【0088】
前記方法は、信号対雑音比の改善のために、複数のフィルタリングされたオーディオ信号を加算して和オーディオ信号を得るステップをさらに含んでもよく、フィルタリングされたオーディオ信号のうちの1つは、オーディオ信号をフィルタリングするステップからもたらされてもよい。
【0089】
他の特徴および利点は、以下の詳細な説明において説明される。