(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一のカルボン酸がレブリン酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸又は3−エトキシプロピオン酸であること、を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の接合用組成物。
第一の被接合部材と、第二の被接合部材と、前記第一の被接合部材と前記第二の被接合部材とを接合する請求項1〜7のうちのいずれかに記載の接合用組成物で構成された接合層と、を有すること、を特徴とする接合体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、(1)本発明の接合用組成物の好適な一実施形態、(2)本発明の接合用組成物の製造方法の好適な一実施形態、(3)本発明の接合用組成物を用いた被接合部材の接合方法(接合体の製造方法)の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では重複する説明は省略することがある。
【0028】
(1)接合用組成物
本実施形態の接合用組成物は、銀ナノ粒子と、分散媒と、前記銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に付着している、炭素鎖にO原子を含む第一のカルボン酸と、を含むこと、を特徴とする接合用組成物である。以下において、これら各成分等について説明する。
【0029】
(1−1)銀ナノ粒子
銀ナノ粒子の粒径及び形状については、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の銀ナノ粒子を用いることができる。具体的には、平均一次粒径が1μm未満の銀ナノ粒子を用いることができ、好ましい平均粒径は10〜100nmである。銀ナノ粒子の平均一次粒径が10nm以上であれば、銀ナノ粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に銀ナノ粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、100nm以下であれば、銀ナノ粒子の分散性が経時的に変化し難く、好ましい。
【0030】
銀ナノ粒子の平均一次粒径が小さくなり過ぎると、被覆有機物の占める体積の増加の影響が大きくなり、銀ナノ粒子の平均一次粒径が大きくなり過ぎると、融着温度の上昇及び焼結層の高密度化速度が低下してしまうからである。
【0031】
なお、本発明の接合用組成物を用いて形成される接合層のマイグレーションの問題を考慮して、イオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウム等の粒子を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
【0032】
また、本実施形態の接合用組成物における銀ナノ粒子の粒径は、一定でなくてもよい。銀ナノ粒子の平均一次粒径は、上述のとおり、100nm以下であることが好ましいが、接合用組成物が凝集を生じたりせず、本発明の効果を著しく損なわない成分であれば、かかる100nm超の平均一次粒径を有する銀ナノ粒子を含んでもよい。
【0033】
加えて、必要に応じて、例えば平均粒径1〜15μmの銀マイクロ粒子等の無機マイクロ粒子(無機粗粒子)を添加してもよい。そのような場合は、ナノメートルサイズの銀ナノ粒子がミクロンサイズの無機マイクロ粒子の周囲で融点降下することにより、良好な導電パスを得ることができる。
【0034】
ここで、本実施形態の接合用組成物における銀ナノ粒子及び無機マイクロ粒子の粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。ナノサイズの銀微粒子の融点降下を示すためには、広角X線回折法で求めた結晶子径が適当である。例えば広角X線回折法では、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、回折法で2θが30〜80°の範囲で測定することができる。この場合、試料は、中央部に深さ0.1〜1mm程度の窪みのあるガラス板に表面が平坦になるように薄くのばして測定すればよい。また、理学電機(株)製のJADEを用い、得られた回折スペクトルの半値幅を下記のシェラー式に代入することにより算出された結晶子径(D)を粒径とすればよい。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
【0035】
無機マイクロ粒子の粒径は、銀ナノ粒子の粒径よりも大きければ特に限定されないが、平均粒径が1〜50μmであること、が好ましい。無機マイクロ粒子の平均粒径を1μm以上とすることで、無機マイクロ粒子の良好な分散性を確保すると共に、銀ナノ粒子との平均粒径の差を十分大きくすることができ、いわゆる微粒粗粒混合による緻密化を図ることができる。また、無機マイクロ粒子の平均粒径を50μm以下とすることで、接合層が厚くなり過ぎることを防止することができる。
【0036】
本実施形態の接合用組成物における無機マイクロ粒子の構成元素としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ、鉄並びに白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金)のうちの少なくとも1種が挙げられる。上記構成元素としては、金、銀、銅、ニッケル、ビスマス、スズ又は白金族元素よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、更には、銅又は銅よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属、即ち、金、白金、銀及び銅のうちの少なくとも1種であるのが好ましく、銀とすることが最も好ましい。これらの元素は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよく、併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。
【0037】
例えば、無機マイクロ粒子として銀マイクロ粒子を用いる場合、本実施形態の接合用組成物を用いて形成した接着層の導電率は良好となるが、マイグレーションの問題を考慮して、銀及びその他の金属からなる接合用組成物を用いることによって、マイグレーションを起こりにくくすることができる。当該「その他の金属」としては、上述のイオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウムが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態の接合用組成物における無機マイクロ粒子と銀ナノ粒子との組み合わせは、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、低温焼結性を有する銀ナノ粒子と無機マイクロ粒子とを組み合わせればよい。また、2種類以上の銀ナノ粒子と無機マイクロ粒子とを組み合わせてもよい。
【0039】
(1−2)第一のカルボン酸(有機物)
本実施形態の接合用組成物において、銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部には、有機物である「炭素鎖にO原子を含む第一のカルボン酸」が付着しており、当該第一のカルボン酸が銀ナノ粒子の表面を部分的又は全体的に被覆している。当該第一のカルボン酸は、本実施形態の接合用組成物においていわゆる分散剤として上記銀ナノ粒子とともに実質的に銀コロイド粒子を構成する。第一のカルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。
【0040】
なお、銀ナノ粒子の表面に付着する化合物は、当該第一のカルボン酸に加えて、銀ナノ粒子に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入して銀ナノ粒子に付着した微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、銀ナノ粒子に微量付着した有機物等は含まれない概念である。なお、上記「微量」とは、具体的には、銀コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
【0041】
上記第一のカルボン酸は、銀ナノ粒子を被覆して当該銀ナノ粒子の凝集を防止するとともに銀コロイド粒子を形成することが可能な有機物であり、被覆の形態については特に規定しないが、本実施形態においては、分散性及び導電性等の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、第一のカルボン酸以外の被覆有機物(例えばアミン)を含んでもよい。なお、これらの有機物は、銀ナノ粒子と化学的又は物理的に結合している場合、アニオンやカチオンに変化していることも考えられ、本実施形態においては、これらの被覆有機物に由来するイオンや錯体等も上記被覆有機物に含まれる。
【0042】
かかるアミンとしては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。例えば、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、1,2−エタンジアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、ペンタノールアミン、アミノイソブタノール等のジアミンやアルコキシアミン、アミノアルコールに加えプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン(直鎖状アルキルアミン、側鎖を有していてもよい。)、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン、アニリン、アリルアミン等の第1級アミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の第2級アミン、トリプロピルアミン、ジメチルプロパンジアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、キノリン等の第3級アミン等が挙げられる。
【0043】
上記アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
【0044】
ここで、第一のカルボン酸は、炭素鎖に電気陰性度の高いO原子を含んでいる。このO原子は、カルボキシル基(−COOH)に含まれるO原子以外のO原子を意味し、例えば、エーテル基(−O−)、メトキシ基(−OCH
3)、エトキシ基(−OCH
2CH
3)、及びアセチル基(−COCH
3)等に含まれるO原子を意味する。銀ナノ粒子がO原子を含むことで被接合部材との濡れ性が増加し、被接合部材との強固な接合が形成される。
【0045】
更に、本実施形態の接合用組成物においては、前記カルボン酸の炭素数が5以下であること、が好ましい。炭素数が多くなると銀ナノ粒子の分散安定性が向上するが、多くなり過ぎると銀ナノ粒子中に占める被覆有機物の体積が増加し、接合組成物で形成される接合層の高密度化には不利になるためである。
【0046】
具体的な第一のカルボン酸としては、例えば、マロン酸モノメチル、レブリン酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸又は3−エトキシプロピオン酸が挙げられる。なかでも、レブリン酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸又は3−エトキシプロピオン酸が好ましい。
【0047】
本実施形態の接合用組成物における銀コロイド中の被覆有機物(第一のカルボン酸)の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましい。有機物含有量が0.1質量%以上であれば、得られる接合用組成物の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、接合用組成物の導電性が良い傾向がある。有機物のより好ましい含有量は0.3〜30質量%であり、更に好ましい含有量は0.5〜15質量%である。
【0048】
(1−3)分散媒
本実施形態の接合用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で種々の分散媒を含み得るが、分散媒中に第二のカルボン酸を含むことが好ましい。分散媒中に第二のカルボン酸が含まれると当該第二のカルボン酸はフラックスとして働くため、無垢Cu被接合部材の接合により好適となる。カルボキシル基が多いほどフラックス効果が高いが、本実施形態の接合用組成物では、リシノール酸又はオレイン酸等のモノカルボン酸でも十分に効果が発揮され、無垢Cu被接合部材を良好に接合することができる。
【0049】
かかる第二のカルボン酸としては、上記の第一のカルボン酸と異なるモノカルボン酸であって、銀ナノ粒子の表面に付着せず、沸点が200℃以上という条件を満たすものであればよい。更には、第二のカルボン酸がリシノール酸又はオレイン酸であること、が好ましい。
【0050】
当該分散媒としては、例えば炭化水素、アルコール、エーテル及びエステル等を用いることができる。炭化水素としては、脂肪族炭化水素、環状炭化水素及び脂環式炭化水素等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
炭化水素としては、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、脂環式炭化水素及び不飽和炭化水素等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
環状炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、例えば、リモネン、ジペンテン、テルピネン、ネソール、シネン、オレンジフレーバー、テルピノレン、フェランドレン、メンタジエン、テレベン、サイメン、ジヒドロサイメン、モスレン、カウツシン、カジェプテン、ピネン、テレビン、メンタン、ピナン、テルペン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0052】
不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、アセチレン、ベンゼン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、テルペン系アルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、2−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、チアンシ酸、リシノール酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、アクリル酸、メタクリル酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。
【0053】
これらのなかでも、水酸基を有する不飽和炭化水素が好ましい。水酸基は銀ナノ粒子の表面に配位しやすく、当該銀ナノ粒子の凝集を抑制することができる。水酸基を有する不飽和炭化水素としては、例えば、テルペン系アルコール、アリルアルコール、オレイルアルコール、チアンシ酸、リシノール酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。好ましくは、水酸基を有する不飽和脂肪酸であり、例えば、チアンシ酸、リシノール酸、没食子酸及びサリチル酸等が挙げられる。
【0054】
前記不飽和炭化水素はリシノール酸であることが好ましい。リシノール酸はカルボキシル基とヒドロキシル基とを有し、無機粒子の表面に吸着して当該無機粒子を均一に分散させると共に、無機粒子の融着を促進する。
【0055】
また、アルコールは、OH基を分子構造中に1つ以上含む化合物であり、脂肪族アルコール、環状アルコール及び脂環式アルコールが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、OH基の一部は、本発明の効果を損なわない範囲でアセトキシ基等に誘導されていてもよい。
【0056】
脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、ノナノール、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、イソトリデカノール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の飽和又は不飽和C6−30脂肪族アルコール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、クレゾール、オイゲノール等が挙げられる。
【0057】
更に、脂環式アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、テルピネオール(α、β、γ異性体、又はこれらの任意の混合物を含む。)、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール(モノテルペンアルコール等)、ジヒドロターピネオール、ミルテノール、ソブレロール、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、ピノカルベオール、ベルベノール、テルソルブ(MTPH)等が挙げられる。
【0058】
本実施形態の接合用組成物中に分散媒を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良く、接合用組成物中の分散媒の含有量は、1〜30質量%であるのが好ましい。分散媒の含有量が1〜30質量%であれば、接合性組成物として使いやすい範囲で粘度を調整する効果を得ることができる。分散媒のより好ましい含有量は1〜20質量%であり、更に好ましい含有量は1〜15質量%である。なお、分散媒の含有量が多過ぎると、分散媒の揮発に起因するボイドが接合層に多く発生するおそれがある。
【0059】
(1−4)その他の成分
本実施形態の接合用組成物には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、高分子分散剤、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
【0060】
上記高分子分散剤としては、市販されている高分子分散剤を使用することができる。市販の高分子分散剤としては、例えば、上記市販品としては、例えば、ソルスパース(SOLSPERSE)11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(日本ルーブリゾール(株)製);DISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015、2090、2096(ビックケミー・ジャパン(株)製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学工業(株)製)、ビックケミー社DISPERBYKシリーズでは等が挙げられ、エボニック社のTEGODispersシリーズでは610、610S、630、651、655、750W、755W等が挙げられ、楠本化成のディスパロンシリーズではDA−375、DA−1200等が挙げられ、低温焼結性及び分散安定性の観点からは、DISPERBYK−102、ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース28000を用いることが好ましい。
【0061】
高分子分散剤の含有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が0.1%以上であれば得られる接合用組成物の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は分散安定性が低下することとなる。このような観点から、高分子分散剤のより好ましい含有量は0.03〜3質量%であり、更に好ましい含有量は0.05〜2質量%である。
【0062】
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
ここで、被接合部材が、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)である場合、樹脂成分としては、それ自体のPETへの密着性が良好であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールからなる群から選ばれるものを用いるとよい。このようなケトン−ホルムアルデヒド縮合体やその水素添加物としては、エボニックデグサジャパン(株)TEGO(登録商標)VariPlusシリーズ(SK,APなど)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、日信化学工御油株式会社製のソルバイン(登録商標)シリーズ(ソルバインALなど)が、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールとしては、積水化学工業株式会社製のエスレック(登録商標)シリーズ(エスレックKS−1、BL−1など)が挙げられる。その中でもポリビニルピロリドンは高極性な多価アルコール(特にジオール溶媒)への溶解性も高く、エステル、ケトン等の溶媒にも良好に溶解可能である為、好適に用いることができる。
【0064】
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
上記有機物とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の接合用組成物に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる接合用組成物が得られる。本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤が好ましい。
【0066】
ここで、本実施形態の接合用組成物には、主成分として、銀ナノ粒子がコロイド化した銀コロイド粒子が含まれるが、かかる銀コロイド粒子の形態に関しては、例えば、銀ナノ粒子の表面の一部に第一のカルボン酸が付着して構成されている銀コロイド粒子、上記銀ナノ粒子をコアとして、その表面が第一のカルボン酸で被覆されて構成されている銀コロイド粒子、それらが混在して構成されている銀コロイド粒子等が挙げられるが、特に限定されない。なかでも、銀ナノ粒子をコアとして、その表面が第一のカルボン酸で被覆されて構成されている銀コロイド粒子が好ましい。当業者は、上述した形態を有する銀コロイド粒子を、当該分野における周知技術を用いて適宜調製することができる。
【0067】
本実施形態の接合用組成物は、上述のように、銀ナノ粒子、第一のカルボン酸及び分散媒で構成されるが、銀ナノ粒子、第一のカルボン酸及び分散媒(及びその他の任意成分)のほかに、銀コロイド粒子を構成しない有機成分及び残留還元剤等を含んでいてもよい。
【0068】
本実施形態の接合用組成物の粘度は、固形分の濃度は本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整すればよいが、例えば0.01〜5000Pa・Sの粘度範囲であればよく、0.1〜1000Pa・Sの粘度範囲がより好ましく、1〜100Pa・Sの粘度範囲であることが特に好ましい。当該粘度範囲とすることにより、基材上に接合用組成物を塗布する方法として幅広い方法を適用することができる。
【0069】
基材上に接合用組成物を塗布する方法としては、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー方式、バーコート法、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、ピントランスファー法、刷毛による塗布方式、流延法、フレキソ法、グラビア法、オフセット法、転写法、親疎水パターン法、又はシリンジ法等のなかから適宜選択して採用することができるようになる。粘度の観点から、ディスペンサー法、ピントランスファー法又はスクリーン印刷等が特に好ましい。
【0070】
粘度の調整は、銀ナノ粒子の粒径の調整、有機物の含有量の調整、分散媒及びその他の成分の添加量の調整、各成分の配合比の調整、増粘剤の添加等によって行うことができる。接合用組成物の粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(例えばアントンパール社製のレオメーターMCR301)により測定することができる。
【0071】
(2)接合用組成物の製造
次に、本実施形態の接合用組成物を製造するためには、主成分としての、第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子(銀コロイド粒子)を調製する。
【0072】
第一のカルボン酸、分散媒及びその他の成分並びに重量減少率は、特に限定しないが、加熱を行って調整するのが簡便である。また、銀ナノ粒子を作製する際に添加する第一のカルボン酸等の量を調整することで行ってもよく、銀ナノ粒子調製後の洗浄条件や回数を変えてもよい。
【0073】
加熱はオーブンやエバポレーター等で行うことができる。加熱温度は50〜300℃程度の範囲であればよく、加熱時間は数分間〜数時間であればよい。加熱は減圧下で行ってもよい。減圧下で加熱することで、より低い温度で第一のカルボン酸の量の調整を行うことができる。常圧下で行う場合は、大気中でも不活性雰囲気中でも行うことができる。更に、有機物量の微調整のために第一のカルボン酸やアミン等を後で加えることもできる。
【0074】
本実施形態の第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、銀ナノ粒子を含む分散液を調製し、次いで、その分散液の洗浄を行う方法等が挙げられる。銀ナノ粒子を含む分散液を調製する工程としては、例えば、下記のように、溶媒中に溶解させた金属塩(又は金属イオン)を還元させればよく、還元手順としては、化学還元法に基づく手順を採用すればよい。
【0075】
即ち、上記のような第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子は、銀ナノ粒子を構成する銀の塩と、分散剤としての第一のカルボン酸と、分散媒(基本的にトルエン等の有機系であるが、水を含んでいてもよい。)と、を含む原料液(成分の一部が溶解せず分散して
いてもよい。)を還元することにより調製することができる。この還元によって、分散剤としての第一のカルボン酸が銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に付着している銀コロイド粒子が得られる。当該銀コロイド粒子を後述する工程において分散媒に添加することにより、本発明の接合用組成物を得ることができる。
【0076】
第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を得るための出発材料としては、種々の公知の金属塩又はその水和物を用いることができ、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、シュウ酸銀、ギ酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩;例えば、塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等の金塩;例えば、塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩;例えば、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩等が挙げられるが、適当な分散媒中に溶解し得、かつ還元可能なものであれば特に限定されない。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。
【0077】
また、上記原料液においてこれらの金属塩を還元する方法は特に限定されず、例えば、還元剤を用いる方法、紫外線等の光、電子線、超音波又は熱エネルギーを照射する方法等が挙げられる。なかでも、操作の容易の観点から、還元剤を用いる方法が好ましい。
【0078】
上記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素、水素ガス等の水素化合物;例えば、一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸スズ等の低原子価金属塩;例えば、エチレングリコール、グリセリン、ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等が挙げられるが、分散媒に溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば特に限定されない。上記還元剤を使用する場合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
【0079】
上記金属塩、有機成分、溶媒及び還元剤を用いて、第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を調製する具体的な方法としては、例えば、上記金属塩を有機溶媒(例えばトルエン等)に溶かして金属塩溶液を調製し、当該金属塩溶液に分散剤としての有機物を添加し、ついで、ここに還元剤が溶解した溶液を徐々に滴下する方法等が挙げられる。
【0080】
上記のようにして得られた分散剤としての第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を含む分散液には、銀ナノ粒子の他に、金属塩の対イオン、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高いため、銀ナノ粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。あるいは、沈殿しなくても、金属塩の対イオン、還元剤の残留物、又は分散に必要な量以上の過剰な分散剤が残留していると、導電性を悪化させるおそれがある。そこで、銀ナノ粒子を含む溶液を洗浄して余分な残留物を取り除くことにより、第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を確実に得ることができる。
【0081】
上記洗浄方法としては、例えば、第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を含む分散液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、アルコール(メタノール等)を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。このような洗浄によって有機溶媒を除去することにより、本実施形態の第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子を得ることができる。
【0082】
本実施形態の接合用組成物は、上記において得た第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子と、上記本実施形態で説明した分散媒と、を混合することにより得られる。かかる第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子と分散媒との混合方法は特に限定されるものではなく、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。スパチュラのようなもので撹拌したりして、適当な出力の超音波ホモジナイザーを当ててもよい。
【0083】
複数の金属を含む金属コロイド分散液を得る場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる金属コロイド分散液を製造する場合には、上記の第一のカルボン酸で被覆された銀ナノ粒子の調製において、銀ナノ粒子を含む分散液と、その他の金属ナノ粒子を含む分散液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
【0084】
(3)接合方法
本実施形態の接合用組成物を用いれば、加熱を伴う部材同士の接合において高い接合強度を得ることができる。即ち、上記接合用組成物を第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に塗布する接合用組成物塗布工程と、第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に塗布した接合用組成物を、所望の温度(例えば300℃以下)で焼成して接合する接合工程と、により、第1の被接合部材と第2の被接合部材とを接合することができる。この際、加圧することもできるが、特に加圧しなくとも十分な接合強度を得ることができるのも本発明の利点のひとつである。また、焼成を行う際、段階的に温度を上げたり下げたりすることもできる。また、予め被接合部材表面に界面活性剤又は表面活性化剤等を塗布しておくことも可能である。
【0085】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、前記接合用組成物塗布工程での接合用組成物として、上述した本実施形態の接合用組成物を用いれば、第1の被接合部材と第2の被接合部材とを、高い接合強度をもってより確実に接合できる(接合体が得られる)ことを見出した。
【0086】
ここで、本実施形態の接合用組成物の「塗布」とは、接合用組成物を面状に塗布する場合も線状に塗布(描画)する場合も含む概念である。塗布されて、加熱により焼成される前の状態の接合用組成物からなる塗膜の形状は、所望する形状にすることが可能である。したがって、加熱による焼成後の本実施形態の接合体では、接合用組成物は、面状の接合層及び線状の接合層のいずれも含む概念であり、これら面状の接合層及び線状の接合層は、連続していても不連続であってもよく、連続する部分と不連続の部分とを含んでいてもよい。
【0087】
本実施形態において用いることのできる第1の被接合部材及び第2の被接合部材としては、接合用組成物を塗布して加熱により焼成して接合することのできるものであればよく、特に制限はないが、接合時の温度により損傷しない程度の耐熱性を具備した部材であるのが好ましい。
【0088】
このような被接合部材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミクス、ガラス又は金属等を挙げることができるが、なかでも、金属製の被接合部材が好ましい。金属製の被接合部材が好ましいのは、耐熱性に優れているとともに、銀ナノ粒子が金属である本発明の接合用組成物との親和性に優れているからである。
【0089】
また、被接合部材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された部材や親水化処理等の表面処理を施した部材を用いてもよい。
【0090】
接合用組成物を被接合部材に塗布する工程では、種々の方法を用いることが可能であるが、上述のように、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー式、バーコート式、スピンコート式、インクジェット式、ディスペンサー式、ピントランスファー法、刷毛による塗布方式、流延式、フレキソ式、グラビア式、又はシリンジ式等のなかから適宜選択して用いることができる。
【0091】
上記のように塗布した後の塗膜を、被接合部材を損傷させない範囲で、例えば300℃以下の温度に加熱することにより焼成し、本実施形態の接合体を得ることができる。本実施形態においては、先に述べたように、本実施形態の接合用組成物を用いるため、被接合部材に対して優れた密着性を有する接合層が得られ、強い接合強度がより確実に得られる。
【0092】
本実施形態においては、接合用組成物がバインダー成分を含む場合は、接合層の強度向上及び被接合部材間の接合強度向上等の観点から、バインダー成分も焼結することになるが、場合によっては、各種印刷法へ適用するために接合用組成物の粘度を調整することをバインダー成分の主目的として、焼成条件を制御してバインダー成分を全て除去してもよい。
【0093】
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のオーブン等を用いて、被接合部材上に塗布または描画した上記接合用組成物の温度が、例えば300℃以下となるように焼成することによって接合することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、被接合部材同士を接合できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲の温度であることが好ましい。ここで、上記焼成後の接合用組成物においては、なるべく高い接合強度を得るという点で、有機物の残存量は少ないほうがよいが、本発明の効果を損なわない範囲で有機物の一部が残存していても構わない。
【0094】
なお、本発明の接合用組成物には、有機物である第一のカルボン酸が含まれているが、従来の例えばエポキシ樹脂等の熱硬化を利用したものと異なり、有機物の作用によって焼成後の接合強度を得るものではなく、前述したように融着した銀ナノ粒子の融着によって十分な接合強度が得られるものである。このため、接合後において、接合温度よりも高温の使用環境に置かれて残存した有機物が劣化ないし分解・消失した場合であっても、接合強度の低下するおそれはなく、したがって耐熱性に優れている。
【0095】
本実施形態の接合用組成物によれば、例えば300℃程度の低温加熱による焼成でも高い導電性を発現する接合層を有する接合を実現することができるため、比較的熱に弱い被接合部材同士を接合することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、接合できる焼成時間であればよい。
【0096】
本実施形態においては、上記被接合部材と接合層との密着性を更に高めるため、上記被接合部材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性ペースト受容層を設ける方法等が挙げられる。
【0097】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。以下においては、実施例において本発明の接合用組成物について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0098】
≪実施例1≫
3−エトキシプロピルアミン40mmolとドデシルアミン10 mmolの計50 mmolを混合し、マグネティックススターラーで十分に撹拌した。ここに、撹拌を行いながら、別途準備したシュウ酸銀10mmolを添加し、増粘させた。得られた粘性物質を120℃の恒温槽に入れ、約15分間反応させ反応物を得た。その後メトキシ酢酸100mmolを該反応物に加え、再度100℃の恒温槽に入れ15分間撹拌した。メタノール10mlを加えて撹拌後、遠心分離により金属銀ナノ粒子を沈殿させて分離し、上澄みを捨てた。この操作をもう一度繰り返し、金属銀ナノ粒子を得た。
平均一次粒径は、SEM((株)日立製のS−4800型)にて撮影した粒子画像を使用し算出した。異なる撮影点のSEM像5点以上から、合計200個以上の粒子を画像処理ソフト(MITANI CORPORATION、 Win ROOF)を使用し一次粒径を測定し、算術平均で平均一次粒径を算出したところ、40nmであった。
また、得られた金属銀ナノ粒子2gに、ミクロン銀粒子(D50=2.5μm, 福田金属箔粉工業(株)製)1g、分散媒としてイソトリデカノール0.3g、リシノール酸0.002gを所定量加えて撹拌混合し、接合用組成物を得た。そして、以下の評価試験を行い、結果を表1に示した。
【0099】
[評価試験1]接合強度測定
該接合用組成物を、銀メッキ層(20mm角、厚さ1mm)に、メタルマスクを用いて1mm角に塗布し、その上に、金メッキを施したSiチップ(1mm角)を積層した。得られた積層体を、リフロー炉((株)シンアペックス製)に入れ、大気雰囲気で昇温から取り出しまでトータル時間60分間、最大温度280℃にて焼成処理を行った。焼成処理の際、加圧は行わず無加圧で行った。積層体を取り出した後、常温にてボンドテスター((株)レスカ製)を用いて接合強度(シェア強度)試験を行った。
【0100】
≪実施例2≫
分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0101】
≪実施例3≫
メトキシ酢酸の代わりに、エトキシ酢酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。また、下記の評価試験も行った。
【0102】
≪実施例4≫
メトキシ酢酸の代わりに、3−エトキシプロピオン酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0103】
≪実施例5≫
メトキシ酢酸の代わりに、レブリン酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0104】
≪実施例6≫
メトキシ酢酸の代わりにレブリン酸を添加し、分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0105】
≪比較例1≫
メトキシ酢酸の代わりに3−エトキシプロピルアミンを添加したこと以外は、実施例1と同様に接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0106】
≪比較例2≫
メトキシ酢酸の代わりに3−エトキシプロピルアミンを添加し、分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0107】
≪比較例3≫
メトキシ酢酸の代わりに3−エトキシプロピルアミン及びヘキシルアミン混合物(モル比=1:1)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0108】
≪比較例4≫
メトキシ酢酸の代わりに3−エトキシプロピルアミン及びヘキシルアミン混合物(モル比=1:1)を添加し、分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0109】
≪比較例5≫
メトキシ酢酸の代わりに2−(2−アミノエトキシ)エタノールを添加し、分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0110】
≪比較例6≫
メトキシ酢酸の代わりに2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールを添加し、分散媒からリシノール酸を除いたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0111】
【表1】
【0112】
≪実施例7≫
分散媒中のリシノール酸添加量を0.025gにしたこと以外は、実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示した。ただし、ここでは5mm×5mmSiチップを用い、下記の評価試験2及び3も行った。
【0113】
[評価試験2]ボイド率測定
焼成処理を行った積層体を日本クラウトクレーマー(株)製の超音波探傷装置(探触子80MHz・φ3mm・PF=10mm)にてボイドを評価した。接合界面での反射ピークが最も高くなるところに微調整し、材質音速=Si:9600mm/sとして測定した。ボイド率は反射強度の閾値55%とし、それ以上をボイドとみなした。
【0114】
[評価試験3]高温信頼性
上記[評価試験1]で焼成した積層体を冷熱衝撃試験機((株)ヒューテック製)に入れ、大気雰囲気で−40℃と200℃でそれぞれ10分間キープするサイクルを、任意のサイクル数で取り出した。20サイクル後に0サイクルに対してボイド率が5%以上増加しなかった場合を「○」、0.5%以上増加した場合を「×」とした。
【0115】
≪実施例8≫
メトキシ酢酸の代わりにレブリン酸を用い、分散媒中のリシノール酸添加量を0.025gにし、めっき無し無酸素銅基板(10wt%硫酸水溶液中で1min超音波処理をした。)を用いて焼成処理を窒素雰囲気中で行ったこと以外は実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0116】
≪実施例9≫
メトキシ酢酸の代わりにレブリン酸を用い、分散媒中のリシノールをオレイン酸0.025gにし、めっき無し無酸素銅基板を用いて焼成処理を窒素雰囲気中で行ったこと以外は実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0117】
≪比較例7≫
メトキシ酢酸の代わりに3−エトキシプロピルアミンを用い、めっき無し無酸素銅基板を用いて焼成処理を窒素雰囲気中で行ったこと以外は実施例1と同様にして接合用組成物を調製し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0118】
【表2】
【0119】
表1から、本発明の接合用組成物を使用すれば、焼成接合時に加圧を要することなく、シェア強度が40MPa以上の十分な接合強度の接合層が得られることがわかる。また、表2から、本発明の接合用組成物を使用すれば、焼成接合時に加圧を要することなく、大気焼成若しくは不活性雰囲気焼成、又は、めっき有基板接合若しくはめっき無し基板接合に関わらず、低ボイド率で接合強度が強く、優れた耐熱信頼性を有する接合層が得られることがわかる。
大気焼成若しくは不活性雰囲気焼成、又は、めっき有基板接合若しくはめっき無し基板接合に関わらず、低ボイド率で接合強度が強く、優れた耐熱信頼性を有する接合層を得るための接合用組成物を提供する。本発明は、銀ナノ粒子と、分散媒と、前記銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に付着している、炭素鎖にO原子を含む第一のカルボン酸と、を含むこと、を特徴とする接合用組成物である。