(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記釣竿の後側に延びる方向に対して第3の角度を成して断面視で直線状に前記釣竿の後側に延び、前記保持部の前面に結合される第3の支持部材、及び、前記釣竿の後側に延びる方向に対して前記第3の角度よりも小さい第4の角度を成して断面視で直線状に前記釣竿の後側に延び、該第3の支持部材に直接結合される第4の支持部材、を含み、前記釣竿の後側に延びる前側支持部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の釣糸ガイド。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る釣糸ガイドの構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示した釣糸ガイドの構成を示す側面図である。
図3は、
図1に示した釣糸ガイドの構成を示す前面図である。
図4は、
図1に示した釣糸ガイドの構成を示す後面図である。
【0009】
実施形態1に係る釣糸ガイド100は、環状のガイドリング110を保持する保持部120と、保持部120に結合され、保持部120を支持する前側(トップ側)支持部130と、保持部120に結合され、保持部120を支持する後側(グリップ側)支持部140と、を主に含む。
【0010】
ガイドリング110は、釣糸を通すことが可能な開口112を有する。ガイドリング110は、リング状に構成され、その内周面である開口112部分での摺動抵抗が小さい部材、例えば、チタン、SUS、セラミックス等によって形成されている。
保持部120は、円形状の開口122を有し、この開口122にガイドリング110を収容して保持する。
【0011】
前側支持部130は、例えば板状の材料により形成されたものであって、屈曲部130aにおいて屈曲している。すなわち、前側支持部130は、保持部120の前面に結合され、釣竿Rに向かって延びる支持部材132と、この支持部材132に結合され、釣竿Rに沿って延びる固定部134と、を含む。
支持部材132には、例えば、軽量化のために開口136が形成されている。
固定部134は、釣竿Rとともに糸で巻かれた後、接着剤が付与されることにより、釣竿Rに固定される。糸は、マルチフィラメントが用いられ(モノフィラメントでもよい)、例えばナイロン等の合成樹脂繊維や木綿等の天然繊維から成る。また、接着剤は、例えばエポキシ系、アクリル系、ウレタン系等の合成樹脂接着剤であり、糸にも含浸される。
【0012】
後側支持部140は、例えば板状の材料により形成されたものであって、屈曲部140a及び屈曲部140bにおいて屈曲している。すなわち、後側支持部140は、保持部120の下端部124に結合され、釣竿Rの延びる方向D(以下「方向D」という。)に対して第1の角度α
1を成して釣竿Rに向かって延びる第1の支持部材142と、この第1の支持部材142に結合され、方向Dに対して第1の角度α
1より小さい第2の角度α
2を成して釣竿Rに向かって延びる第2の支持部材144と、この第2の支持部材144に結合され、釣竿Rに沿って延びる固定部146と、を含む。なお、角度α
1は、第1の支持部材142と同一の方向に延びるガイドリング110が方向Dに対して成す角度、すなわち、ガイドリング110の傾斜角度に相当する。この角度α
1は、釣糸がガイドリング110を滑らかに通過することが可能となるように定められる。
固定部146は、固定部134と同様に、釣竿Rとともに糸で巻かれた後、接着剤が付与されることにより、釣竿Rに固定される。糸及び接着剤としては、固定部134に関連して説明したものと同様のものを用いることができる。
【0013】
後側支持部140の幅は、第1の支持部材142から固定部146に向かうに従って減少している。具体的には、第1の支持部材142の下端部の幅W
1は、保持部120の下端部124の幅W
0より小さく、第2の支持部材144の下端部の幅W
2は、第1の支持部材142の下端部の幅W
1より小さくなっている。
【0014】
第1の支持部材142が方向Dに対して成す第1の角度α
1の大きさは、第1の支持部材142の下端部の幅W
1の大きさに比例して定められたものであり、第2の支持部材144が方向Dに対して成す第2の角度α
2の大きさは、第2の支持部材144の下端部の幅W
2の大きさに比例して定められたものである。具体的には、第1の支持部材142の下端部の幅W
1は、第2の支持部材144の下端部の幅W
2より「大きい」ため、第1の支持部材142の第1の角度α
1は、第2の支持部材144の第2の角度α
2より「大きく」なっている。逆の言い方をすれば、第2の支持部材144の下端部の幅W
2は、第1の支持部材142の下端部の幅W
1より「小さい」ため、第2の支持部材144の第2の角度α
2は、第1の支持部材142の第1の角度α
1より「小さく」なっている。
【0015】
このように第1の支持部材142の第1の角度α
1(第2の支持部材144の第2の角度α
2)が第1の支持部材142の下端部の幅W
1(第2の支持部材144の下端部の幅W
2)に比例して定められている理由について、さらに
図5を参照して説明する。
図5(a)〜
図5(g)は、本発明の実施形態1に係る釣糸ガイドが糸の絡みを抑えるメカニズムの一例を概念的に示す模式図である。
【0016】
まず、
図5(a)に示すように、ガイドリング110を通過してガイドリング110の前方に位置する釣糸の一部S
1が、風などの影響により緩んでU字状を形成して後方(矢印A1に示す方向)に向かって移動する。なお、釣竿Rの先端部(トップ)に取り付けられた釣糸ガイド(トップガイド)を通過した糸がグリップ側に向かって移動して釣糸ガイド100の後
側支持部140の後方に回り込んだ後にさらに釣竿Rのトップに向かって移動した場合にも、
図5(a)に示したようなU字状の部分S
1が形成される現象が生ずることがある。このような現象は、仕掛けを投入(又は再投入)するときに起こる傾向がある。
図5(b)に示すように、U字状を形成した部分(U字状部分)S
1は、ガイドリング110及び後
側支持部140の後方に回り込む。この後、釣糸の前方部分S
0が前方に引っ張られることに伴い、U字状部分S
1は、後
側支持部140の固定部146に沿って前方(矢印A
2に示す方向)に向かって移動する。
【0017】
図5(c)に示すように、U字状部分S
1は、後
側支持部140の屈曲部140bに差し掛かる。第2の支持部材144の下端部の幅W
2は、釣竿Rに固定される固定部146の幅に適合するように小さくなっているため、仮に、第2の支持部材144の傾斜が
図5(c)に示すものよりも急であれば、U字状部分S
1は、屈曲部140bに引っ掛かる可能性がある。これが釣糸の絡みの一因となりうる。ところが、本実施形態に係る釣糸ガイド100においては、第2の支持部材144が方向Dに対して成す角度α
2は、第2の支持部材144の下端部の幅W
2の大きさに比例して定められている。すなわち、角度α
2は、第2の支持部材144の下端部の幅W
2の大きさに合わせて、小さくなっている。これにより、U字状部分S
1は、屈曲部140bに引っ掛かりにくく、矢印A
3に示す方向に向かって移動し易くなっている。これにより、
図5(d)に示すように、U字状部分S
1は、矢印A
4に示す方向に向かって第2の支持部材144の上をスライドして進行する。
【0018】
この後、U字状部分S
1は、屈曲部140aに差し掛かる。屈曲部140aの前方には、第2の支持部材144よりも傾斜が急な第1の支持部材142が位置している。ところが、第1の支持部材142の下端部の幅W
1が大きいため、U字状部分S
1が屈曲部140aに引っ掛かる可能性は低い。また、第2の支持部材144の上をスライドして屈曲部140aに達したU字状部分S
1は、矢印A
4に示す方向に向かう慣性を有する。これにより、U字状部分S
1は、
図5(e)に示すように、第1の支持部材142の上をスライドして進む(矢印A
5)。
【0019】
この後、
図5(f)に示すように、U字状部分S
1は、矢印A
5に示す方向に向かって保持部120の上をスライドして進行した後、
図5(g)に示すように、保持部120の前方に出ることによって解かれる。これにより、釣糸の絡みが抑えられる。
【0020】
なお、
図5(a)〜
図5(g)は、釣糸の1つのU字状部分S
1がガイドリング110及び後
側支持部140の第2の支持部材144の後方に回り込む場合を例示したが、本実施形態による効果は、
図5(h)に示すように複数のU字状部分(例えばU字状部分S
1〜S
3)がガイドリング110及び後
側支持部140の第2の支持部材144の後方に回り込んだ場合においても同様に得られるものである。
【0021】
このように、第2の支持部材144の下端部の幅W
2は、釣竿Rに取り付け可能なサイズに形成する必要のある固定部146の大きさに適合するように、小さく形成されているため、第2の支持部材144が釣竿Rの延びる方向に対して大きな傾斜を有するように形成されてしまうと、釣糸が第2の支持部材144の下端部(すなわち屈曲部140b)に引っ掛かる可能性がある。よって、本実施形態では、第2の支持部材144の傾斜角度α
2は、この第2の支持部材144の下端部の幅W
2が小さいことに応じて、小さく定められている。
また、第1の支持部材142の下端部の幅W
1は、第2の支持部材144の下端部の幅W
2よりも大きいため、釣糸が第1の支持部材142の下端部(すなわち屈曲部140a)に引っ掛かる可能性は低い。また、第1の支持部材142は、第2の支持部材144の上方に隣接しているので、第2の支持部材144の上をスライドして第1の支持部材142に至った釣糸は、慣性により第1の支持部材142の上を進行しようとする。よって、本実施形態では、第1の支持部材142の傾斜角度α
1は、この第1の支持部材142の下端部の幅W
1が大きいことに応じて、大きく定められている。
【0022】
次に、後側支持部140が備える屈曲部140aの別の意義について、さらに
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態1に係る釣糸ガイド100の屈曲部140aの意義を概念的に説明する模式図である。
図6(a)は、従来技術に係る釣糸ガイドの一部分を簡略化して示す側面図であり、
図6(b)は、
図1に示した釣糸ガイド100の一部分を簡略化して示す側面図である。
【0023】
図6(a)に示すように、従来技術に係る釣糸ガイド10は、ガイドリング20を保持する保持部30と、この保持部30に結合され、この保持部30を支持する支持部40と、を含む。支持部40は、保持部30に結合され、全体的に湾曲しながら釣竿Rに向かって延びる支持部材42と、この支持部材42に結合され、釣竿Rに沿って延びる固定部44と、を含む。
【0024】
図6(a)と
図6(b)とを比較すれば明らかなように、固定部との結合部分において支持部材(
図6(a)では「支持部材42」、
図6(b)では「第2の支持部材144」)が方向Dに対して成す角度は、ともにα
2である。また、ガイドリング(
図6(a)では「ガイドリング20」、
図6(b)では「ガイドリング110」)が方向Dに対して成す角度もまた、ともにα
1である。
ところが、本実施形態に係る釣糸ガイド100では、後側支持部140を屈曲部140aにおいて屈曲させることによって、後側支持部140の長さを短く抑えつつ角度α
1及びα
2を実現することができる。これにより、本実施形態に係る釣糸ガイド100は、従来技術に係る釣糸ガイド10に比べて、大幅に低背位化を図ることができる。また、本実施形態に係る釣糸ガイド100は、第1の支持部材142及び第2の支持部材144のうちの少なくとも一方の長さを適宜定めることにより、所望の角度α
1及びα
2を実現しながら、ガイドリング110の高さを簡単に定めることができる。
【0025】
なお、上述した保持部120、前側支持部130及び後側支持部140は、例えば、チタン、SUS、セラミックスや樹脂等の材料を用いて一体的に形成することができる。
【0026】
また、本実施形態では、前側支持部130の支持部材132、並びに、後側支持部140の第1の支持部材142及び第2の支持部材144が直線状に延びる断面形状を有する場合を例示したが、これらの部材は、湾曲した断面形状を有するように形成されてもよい。
【0027】
さらにまた、本実施形態では、後側支持部140が1個の屈曲部140aを形成して第1の支持部材142及び第2の支持部材144という2つの支持部材を有する場合を例示したが、後側支持部140は、n個の屈曲部を形成して第1〜第(n+1)個の支持部材を有するように形成されてもよい(但し、nは2以上の自然数)。
【0028】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係る釣糸ガイドの構成を示す側面図である。
図8は、
図7に示した釣糸ガイドの構成を示す前面図である。
【0029】
本実施形態に係る釣糸ガイド200においては、上述した実施形態1に係る釣糸ガイド100とは反対に、前側(トップ側)支持部210が、方向Dに対して相互に異なる角度を成して延びる2つの支持部材、すなわち、第1の支持部材212及び第2の支持部材214を有し、後側(グリップ側)支持部220が1つの支持部材222のみを有する。
【0030】
具体的には、前側支持部210は、例えば板状の材料により形成されたものであって、屈曲部210a及び屈曲部210bにおいて屈曲している。すなわち、前側支持部210は、保持部120の前面に結合され、方向Dに対して第1の角度α
3を成して釣竿Rに向かって延びる第1の支持部材212と、この第1の支持部材212に結合され、方向Dに対して第1の角度α
3より小さい第2の角度α
4を成して釣竿Rに向かって延びる第2の支持部材214と、この第2の支持部材214に結合され、釣竿Rに沿って延びる固定部216と、を含む。
【0031】
第1の支持部材212が方向Dに対して成す第1の角度α
3の大きさは、第1の支持部材212の下端部の幅W
3の大きさに比例して定められたものであり、第2の支持部材214が方向Dに対して成す第2の角度α
4の大きさは、第2の支持部材214の下端部の幅W
4の大きさに比例して定められたものである。具体的には、第1の支持部材212の下端部の幅W
3は、第2の支持部材214の下端部の幅W
4より「大きい」ため、第1の支持部材212の第1の角度α
3は、第2の支持部材214の第2の角度α
4より「大きく」なっている。逆の言い方をすれば、第2の支持部材214の下端部の幅W
4は、第1の支持部材212の下端部の幅W
3より「小さい」ため、第2の支持部材214の第2の角度α
4は、第1の支持部材212の第1の角度α
3より「小さく」なっている。
【0032】
一方、後側支持部220は、例えば板状の材料により形成されたものであって、屈曲部220aにおいて屈曲している。すなわち、後側支持部220は、保持部120の下端部124に結合され、釣竿Rに向かって延びる支持部材222と、この支持部材222に結合され、釣竿Rに沿って延びる固定部224と、を含む。
【0033】
本実施形態に係る釣糸ガイド200では、ガイドリング110の「後方」に位置する釣糸の一部が風などの影響により緩んでU字状を形成し、このU字状部分がガイドリング110及び前側支持部210の「前方」に回り込んだ場合に、前側支持部210の第1の支持部材212及び第2の支持部材214が、それぞれ、上述した実施形態1における後側支持部140の第1の支持部材142及び第2の支持部材144と同様に機能して、釣糸の絡みが抑えられる。
【0034】
なお、本実施形態では、前側支持部210が1個の屈曲部210aを形成して第1の支持部材212及び第2の支持部材214という2つの支持部材を有する場合を例示したが、前側支持部210は、n個の屈曲部を形成して第1〜第(n+1)個の支持部材を有するように形成されてもよい(但し、nは2以上の自然数)。
【0035】
(実施形態3)
上述した実施形態1に係る釣糸ガイド100と実施形態2に係る釣糸ガイド200とを組み合わせたものが実施形態3に係る釣糸ガイドである。すなわち、本実施形態に係る釣糸ガイドは、前側支持部として、実施形態2における前側支持部210を用い、後側支持部として、実施形態1における後側支持部140を用いたものである。
本実施形態に係る釣糸ガイドによれば、ガイドリング110の「前方」に位置する釣糸の一部が形成したU字状部分がガイドリング110及び後側支持部の「後方」に回り込んだ場合、及び、ガイドリング110の「後方」に位置する釣糸の一部が形成したU字状部分がガイドリング110及び前側支持部の「前方」に回り込んだ場合の両方に対応することができる。