(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料モノマーとして、少なくとも、炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーから構成される(メタ)アクリル系ポリマー、アルカリ金属塩、架橋剤、ケトーエノール互変異性を起こす化合物、及び、鉄を活性中心とする触媒を含有する粘着剤組成物であって、
前記鉄を活性中心とする触媒が、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)鉄、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄から選択される少なくとも1種であり、
前記架橋剤が、イソシアネート化合物であり、
前記炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを6〜10重量部含有し、
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記ケトーエノール互変異性を起こす化合物を0.001〜25重量部含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
<(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明の粘着剤組成物は、原料モノマーとして、少なくとも、炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーから構成される(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする。前記炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体(被保護体)に対する粘着力を低く制御することが容易となり、軽剥離性や再剥離性に優れ、また、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、架橋の制御を容易に行うことができ、好ましい態様となる。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0026】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、原料モノマーの主成分として、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものであり、好ましくは、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものである。前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を主成分として使用することができる。
【0027】
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0028】
なかでも、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0029】
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100重量%に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、60重量%以上、更に好ましくは、70重量%以上、最も好ましくは85〜97重量%である。50重量%未満になると、粘着剤組成物の適度な濡れ性や凝集力が劣ることになり、好ましくない。
【0030】
また、本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、原料モノマーとして、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものである。前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を主成分として使用することができる。
【0031】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における粘着(接着)力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうるカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基はアルカリ金属塩、およびオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンと適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても、好適に用いることができる。
【0032】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0033】
前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、6重量部以上含有し、好ましくは、6〜15重量部、より好ましくは、6〜12重量部である。6重量部未満になると、詳細な理由は明らかではないが、前記(メタ)アクリル系ポリマーと共に、鉄を活性中心とする触媒とアルカリ金属塩を使用する場合、架橋反応の進行が悪くなり、高速剥離時における粘着力が高くなり、軽剥離化が実現できなくなる傾向にあり、好ましくない。
【0034】
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0035】
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。
【0036】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸などがあげられる。
【0037】
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、2重量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましい。2重量部を超えると、極性作用が大きいカルボキシル基のような酸官能基が、多数存在し、帯電防止剤として配合するアルカリ金属塩に、カルボキシル基等の酸官能基が相互作用することにより、イオン伝導が妨げられ、導電効率が低下し、十分な帯電防止性が得られなくなる恐れがあり、好ましくない。
【0038】
更に、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、本発明の特性を損なわない範囲内であれば、特に限定することなく用いることができる。たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの粘着(接着)力向上や架橋化基点として働く官能基を有する成分を適宜用いることができる。これら重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0040】
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0041】
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0042】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0043】
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0044】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0045】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0046】
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0047】
本発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、0〜40重量部であることが好ましく、0〜30重量部であることがより好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、帯電防止剤として使用するアルカリ金属塩との良好な相互作用、および良好な再剥離性を適宜調節することができる。
【0048】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0049】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0050】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被着体(被保護体)への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0051】
<アルカリ金属塩>
本発明の粘着剤組成物は、アルカリ金属塩を含有することを特徴とする。前記アルカリ金属塩を含有することにより、優れた帯電防止性を付与することができる。
【0052】
前記アルカリ金属塩は、イオン解離性が高いため、微量の添加量でも優れた帯電防止能を発現する点で、好ましい。前記アルカリ金属塩としては、たとえば、Li
+、Na
+、K
+よりなるカチオンと、Cl
−、Br
−、I
−、AlCl
4−、Al
2Cl
7−、BF
4−、PF
6−、SCN
−、ClO
4−、NO
3−、CH
3COO
−、C
9H
19COO
−、CF
3COO
−、C
3F
7COO
−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、C
4F
9SO
3−、C
2H
5OSO
3−、C
6H
13OSO
3−、C
8H
17OSO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(C
3F
7SO
2)
2N
−、(C
4F
9SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3C
−、AsF
6−、SbF
6−、NbF
6−、TaF
6−、F(HF)
n−、(CN)
2N
−、(CF
3SO
2)(CF
3CO)N
−、(CH
3)
2PO
4−、(C
2H
5)
2PO
4−、CH
3(OC
2H
4)
2OSO
3−、C
6H
4(CH
3)SO
3−、(C
2F
5)
3PF
3−、CH
3CH(OH)COO
−、及び、(FSO
2)
2N
−よりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。
【0053】
前記アルカリ金属塩として、リチウム塩やカリウム塩を使用することがより好ましい態様であり、リチウム塩が更に好ましく、中でも、LiBr、LiI、LiBF
4、LiPF
6、LiSCN、LiClO
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、Li(C
2F
5SO
2)
2N、Li(FSO
2)
2N、Li(CF
3SO
2)
3Cなどのリチウム塩であり、さらに好ましくはLiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、Li(C
2F
5SO
2)
2N、Li(C
3F
7SO
2)
2N、Li(C
4F
9SO
2)
2N、Li(FSO
2)
2N、Li(CF
3SO
2)
3Cなどのリチウム塩が特に好ましい。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩の含有量は、1重量部以下が好ましく、0.001〜0.9重量部がより好ましく、より好ましくは0.005〜0.8重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と低汚染性の両立がしやすいため、好ましい。
【0055】
<鉄を活性中心とする触媒>
本発明の粘着剤組成物は、鉄を活性中心とする触媒を含有することを特徴とする。通常、アクリル系粘着剤組成物(溶液)などを調製する際に使用する、スズ(Sn)触媒は、毒性が強いため、地球環境等の観点からも、今後使用しないことが好ましい態様である。
【0056】
前記鉄を活性中心とする触媒としては、特に制限なく、公知のものを使用できるが、例えば、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)
鉄、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄などがあげられる。これら鉄を活性中心とする触媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記鉄を活性中心とする触媒の含有量は、1重量部以下が好ましく、0.001〜0.5重量部がより好ましく、0.002〜0.2重量部が更に好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなり、好ましい態様となる。
【0058】
<オキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン>
本発明の着剤組成物は、オキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。前記オルガノポリシロキサンを使用することにより、粘着剤表面の表面自由エネルギーが低下し、高速剥離時の軽剥離化を実現しているものと推測される。
【0059】
前記オルガノポリシロキサンは、公知のオキシアルキレン基(ポリオキシアルキレン鎖)を主鎖に有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
【化1】
(式中、R
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6のオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖中のアルキレン基は、直鎖又は分岐していてもよく、前記オキシアルキレン鎖の末端が、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよい。また、R
1又はR
2のいずれか一方が、ヒドロキシル基でもよく、又は、アルキル基、アルコキシ基であってもよく、前記アルキル基、アルコキシ基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。nは、1〜300の整数である。)
【0060】
前記オルガノポリシロキサンは、シロキサンを含む部位(シロキサン部位)を主鎖とし、この主鎖の末端にオキシアルキレン鎖が結合しているものが使用される。前記オキシアルキレン基を主鎖に有するオルガノポリシロキサンを用いることにより、前記(メタ)アクリル系ポリマーおよびアルカリ金属塩との相溶性のバランスがとれ、軽剥離化を実現しているものと推測される。
【0061】
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6の炭化水素基を含むオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖として、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられるが、なかでもオキシエチレン基やオキシプロピレン基が好ましい。なお、R
1及びR
2が、共にオキシアルキレン鎖を有する場合、同一であっても、異なっていてもよい。
【化2】
【0062】
また、前記オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
【0063】
更に、前記オキシアルキレン鎖の末端は、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよいが、中でも、アルコキシ基であることがより好ましい。粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせる場合、末端がヒドロキシル基のオルガノポリシロキサンでは、セパレーターとの相互作用が生じ、セパレーターを粘着剤層表面から剥がす際の剥離力が上昇する場合がある。
【0064】
また、nは、1〜300の整数であり、好ましくは10〜200であり、より好ましくは20から150である。nが前記範囲内にあると、ベースポリマーである前記(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性のバランスが取れて好ましい態様となる。更に、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。前記オルガノポリシロキサンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
上記オキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品として、商品名が、X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6004、KF−889(以上、信越化学工業社製)、BY16−201、SF8427(以上、東レ・ダウコーニング社製)、IM22(旭化成ワッカー社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0066】
また、主鎖にオキシアルキレン基(ポリオキシアルキレン鎖)を有する(結合する)オルガノポリシロキサン以外に、側鎖にオキシアルキレン基を有する(結合する)オルガノポリシロキサンを用いることも、可能であり、主鎖よりも側鎖にオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンを用いることが、より好ましい態様である。前記オルガノポリシロキサンは、公知のオキシアルキレン基(ポリオキシアルキレン鎖)を側鎖に有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
【化3】
(式中、R
1は1価の有機基、R
2,R
3及びR
4はアルキレン基、もしくはR
5はヒドロキシル基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m, nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a, bが同時に0となることはない。)
【0067】
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基又はベンジル基,フェネチル基等のアルキル基で例示される1価の有機基であり、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。R
2,R
3及びR
4はメチレン基,エチレン基,プロピレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基を用いることができる。ここで、R
3及びR
4は異なるアルキレン基であり、R
2はR
3又はR
4と同じであっても、異なっていてもよい。R
3及びR
4はそのオキシアルキレン側鎖中に溶解し得るアルカリ金属塩の濃度を上げるために、そのどちらか一方が、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。R
5はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基またはアセチル基,プロピオニル基等のアシル基で例示される1価の有機基であってもよく、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。上記ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンのなかでも、ヒドロキシル基末端を有するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが相溶性のバランスがとりやすいと推測されるため好ましい。
【化4】
【0068】
上記オルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品としての商品名KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6022、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−2516(以上、信越化学工業社製)SF8428、FZ−2162、SH3749、FZ−77、L−7001、FZ−2104、FZ−2110、L−7002、FZ−2122、FZ−2164、FZ−2203、FZ−7001、SH8400、SH8700、SF8410、SF8422(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4440,TSF−4441、TSF−4445、TSF−4450、TSF−4446、TSF−4452、TSF−4460(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)、BYK−333、BYK−307、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)などがあげられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0069】
本発明で使用する上記オルガノポリシロキサンとしては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が、1〜16が好ましく、より好ましくは3〜14である。HLB値が前記範囲内を外れると、被着体への汚染性が悪くなり、好ましくない。
【0070】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンの含有量は、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部であり、更に好ましくは0.05〜1重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と軽剥離性(再剥離性)の両立がしやすいため、好ましい。
【0071】
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層とする。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着シート(粘着剤層)を得ることができる。
【0072】
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの架橋剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0073】
前記イソシアネート化合物としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、上記イソシアネートをアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。イソシアネート化合物は2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより、粘着性と耐反発性(曲面への粘着性)を両立することが可能となり、より接着信頼性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0074】
前記エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
【0075】
前記メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
【0076】
前記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
【0077】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部含有されていることが好ましく、0.1〜8重量部含有されていることがより好ましく、0.2〜5重量部含有されていることがさらに好ましく、0.4〜3重量部含有されていることが最も好ましい。前記含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となって偏光板と粘着剤組成物層(架橋前)との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。さらに、架橋剤量が多いと剥離帯電特性が低下する傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0078】
更に、本発明の粘着剤組成物には、ケト−エノール互変異性を起こす化合物を含有してもよい。ケト−エノール互変異性を起こす化合物とは、ケト(ケトン、アルデヒド)とエノールの間の互変異性を起こす化合物のことであり、前記鉄を活性中心とする触媒に対して、キレート化剤として作用するため、ポットライフが伸び、好ましい態様となる。
【0079】
前記ケト−エノール互変異性を起こす化合物としては、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸−n−プロピル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸−n−ブチル、プロピオニル酢酸−sec−ブチル、プロピオニル酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸ベンジル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、ノナン−4,6−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、トリデカン−6,8−ジオン、1−フェニルブタン−1,3−ジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、メチルフェニルケトン、シクロヘキサノンなどを挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0080】
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記ケト−エノール互変異性を起こす化合物の含有量は、25重量部以下が好ましく、0.001〜15重量部がより好ましく、0.01〜5重量部が更に好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤組成物のポットライフが長くなり、好ましい態様となる。
【0081】
更に、本発明の粘着剤組成物には、オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物を含有してもよい。上記化合物を粘着剤組成物に含有することにより、さらに被着体への濡れ性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
【0082】
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルアリルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;その他、ポリオキシアルキレン鎖(ポリアルキレンオキシド鎖)を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物(およびその誘導体を含む)、ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物(およびその誘導体を含む)等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン鎖含有モノマーを、ポリオキシアルキレン鎖含有化合物としてアクリル系ポリマーに配合してもよい。かかるポリオキシアルキレン鎖含有化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)のブロック共重合体、PPG−PEG−PPGのブロック共重合体、PEG−PPG−PEGのブロック共重合体等が挙げられる。前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の誘導体としては、末端がエーテル化されたオキシプロピレン基含有化合物(PPGモノアルキルエーテル、PEG−PPGモノアルキルエーテル等)、末端がアセチル化されたオキシプロピレン基含有化合物(末端アセチル化PPG等)等が挙げられる。
【0084】
また、前記ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物の具体例としては、オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体が挙げられる。前記オキシアルキレン基としては、オキシアルキレン単位の付加モル数が、アルカリ金属塩に配位する観点から、1〜50が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜20がさらに好ましい。また、前記オキシアルキレン基の末端は、水酸基のままや、アルキル基、フェニル基等で置換されていていてもよい。
【0085】
前記オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体は、単量体単位(成分)として、(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドを含む重合体であることが好ましく、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレングリコール基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、たとえば、メトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、ブトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、2−エチルヘキシル−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノール−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、メトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型などがあげられる。
【0086】
また、前記単量体単位(成分)として、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)を用いることができる。その他単量体単位の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜14のアルキル基を有すアクリレートおよび/またはメタクリレートが挙げられる。
【0087】
さらに、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)としては、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、リン酸基含有(メタ)アクリレート、シアノ基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、酸無水物基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等を適宜用いることも可能である。
【0088】
好ましい一態様としては、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物が、少なくとも一部に(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物である。前記(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物を配合することにより、ベースポリマーと帯電防止成分との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。中でも特にPPG−PEG−PPGのブロック共重合体を用いた場合には低汚染性に優れた粘着剤組成物が得られる。上記ポリエチレンオキシド鎖含有化合物としては、前記化合物全体に占める(ポリ)エチレンオキシド鎖の質量が5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは5〜80重量%、もっとも好ましくは5〜75重量%である。
【0089】
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の分子量としては、数平均分子量(Mn)が50000以下のものが好ましく、200〜30000がより好ましく、200〜10000が更に好ましく、200〜5000のものが特に好ましく用いられる。Mnが50000よりも大きすぎると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下し粘着剤層が白化する傾向にある。Mnが200よりも小さすぎると、前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。なお、ここでMnとは、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により得られたポリスチレン換算の値をいう。
【0090】
また、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の市販品としての具体例は、たとえば、アデカプルロニック17R−4、アデカプルロニック25R−2(以上、いずれもADEKA社製)、エマルゲン120(花王社製)などが挙げられる。
【0091】
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の配合量としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、例えば0.01〜5重量部含有することが好ましく、0.03〜3重量部がより好ましく、0.05〜1重量部が更に好ましい。配合量が少なすぎると帯電防止成分のブリードを防止する効果が少なくなり、多すぎると前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。
【0092】
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0093】
<粘着シート>
また、本発明の粘着シートは、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を、基材(支持フィルム、支持体)の少なくとも片面に形成してなることが好ましい。本発明の粘着シートによると、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被着体(被保護体)への帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された粘着シートとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性粘着シート(表面保護フィルム)として非常に有用となる。
【0094】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を基材上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材などに転写することも可能である。
【0095】
また、前記基材上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を基材に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を基材上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を基材上に塗布して粘着シートを作製する際には、基材上に均一に塗布できるよう、前記粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0096】
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類(粘着シート、粘着フィルムなど)の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0097】
本発明の粘着シートは、通常、上記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な軽剥離性(再剥離性)と粘着性のバランスを得やすいため、好ましい。前記粘着シートは、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の基材の片面または両面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
【0098】
本発明の粘着シートを構成する基材の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記基材の厚みが、前記範囲内にあると、被着体(被保護体)への貼り合せ作業性と被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
【0099】
前記基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0100】
また、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合は、前記粘着剤層を、基材(支持フィルム、支持体)の少なくとも片面に形成してなることが好ましく、更に、前記基材が、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムであることが好ましい。前記基材を用いることにより、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が抑えられるため、好ましい。なお、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された表面保護フィルムとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。また、基材がプラスチックフィルムであり、前記プラスチックフィルムに帯電防止処理を施すことにより、表面保護フィルム自身の帯電を低減し、かつ、被着体への帯電防止能が優れるものが得られる。
【0101】
また、前記基材は、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に、可とう性を有するプラスチックフィルムであることがより好ましい。基材が可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0102】
前記プラスチックフィルムとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0103】
本発明においては、前記プラスチックフィルムに施される帯電防止処理としては特に限定されないが、一般的に用いられる基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチックフィルムに練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
【0104】
前記帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0105】
前記カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0106】
前記アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
前記両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0108】
前記ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0109】
前記導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0110】
前記導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。
【0111】
前記帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
【0112】
前記帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上述帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチックフィルムに塗布、乾燥することで形成される。
【0113】
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0114】
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる
【0115】
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.03〜1μm程度である。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0116】
前記導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
【0117】
前記導電性物質層の厚みとしては通常0.002〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。前期範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0118】
また、練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチックフィルムの総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチックフィルムに用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。
【0119】
本発明の粘着シートや表面保護フィルムには必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
【0120】
前記セパレーターを構成する材料としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0121】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0122】
本発明の粘着シート(表面保護フィルムに使用する場合を含む)は、前記粘着シートに用いられる粘着剤層のTAC偏光板の表面(TAC表面)に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(剥離速度30m/min:高速剥離)(対TAC粘着力)が、2.2N/25mm以下であることが好ましく、2.1N/25mm以下であることがより好ましく、0.05〜2.0N/25mmであることが更に好ましい。前記粘着力を2.2N/25mm以下とすることにより、偏光板や液晶表示装置の製造工程で、粘着シートを剥離しやすく、生産性、取り扱い性が向上するため好ましい。また、前記ピール粘着力(剥離速度30m/min:高速剥離)が2.2N/25mmを超えると、被着体から粘着シート(表面保護フィルム)が剥がれ難くなり、粘着シート(表面保護フィルム)が不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0123】
また、本発明の粘着シートは、粘着剤層を含む粘着シートであって、前記粘着剤層が、アルカリ金属塩、及び、鉄原子を含有し、TAC偏光板の表面(TAC表面)に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(剥離速度30m/min:高速剥離)(対TAC粘着力)が、2.2N/25mm以下であり、2.1N/25mm以下であることが好ましく、0.05〜2.0N/25mmであることがより好ましい。前記粘着力を2.2N/25mm以下とすることにより、偏光板や液晶表示装置の製造工程で、粘着シートを剥離しやすく、生産性、取り扱い性が向上するため好ましい。また、前記ピール粘着力(剥離速度30m/min:高速剥離)が2.2N/25mmを超えると、被着体から粘着シート(表面保護フィルム)が剥がれ難くなり、粘着シート(表面保護フィルム)が不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。なお、前記粘着剤層に使用する原料や、前記アルカリ金属塩としては、特定限定されないが、例えば、上述した前記(メタ)アクリル系ポリマーや、架橋剤、アルカリ金属塩、オキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン等を使用でき、更に粘着シートの調製方法なども、同様に使用できる。また、前記鉄原子としては、上述した前記鉄を活性中心とする触媒を使用することも可能である。
【0124】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層に対して、前記鉄原子の含有量が、1〜1500ppmであることが好ましく、1.5〜750ppmであることがより好ましく、3〜300ppmであることが更に好ましい。前記粘着剤層(全体の重量)に対して、前記鉄原子が、前記範囲内にあることにより、架橋反応が早期に完了することとなり、前記粘着剤層のTAC表面に対する粘着力においても、低く抑えることができ、好ましい態様となる。
【0125】
本発明の粘着シート(表面保護フィルムに使用する場合を含む)は、前記粘着シートに用いられる粘着剤層のTAC偏光板に対する23℃×50%RHでの、剥離角度150°、剥離速度30m/minで剥離(高速剥離)したときに発生する偏光板表面の電位(剥離帯電圧:kV、絶対値)が、1.5kV以下が好ましく、1.0kV以下がより好ましい。前記剥離帯電圧が、1.5kVを超えると、例えば、液晶ドライバ等の損傷を招く恐れがあり、好ましくない。
【0126】
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されたものであることが好ましい。前記粘着シートは高速剥離時の粘着力が低く抑えることができ、軽剥離性、再剥離性及び作業性に優れるため、加工、搬送、出荷時等の表面保護用途(表面保護フィルム)に使用できるため、前記光学部材(偏光板など)の表面を保護するために、有用なものとなる。特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いることができるため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用に非常に有用となる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0128】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10重量部、アクリル酸(AA)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、酢酸エチル157重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
【0129】
<帯電防止処理フィルムの作製>
帯電防止剤(ソルベックス社製、マイクロソルバーRMd−142、酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10重量部を、水30重量部とメタノール70重量部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
【0130】
得られた帯電防止剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ:0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
【0131】
<実施例1>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液500重量部(固形分100重量部)に、オキシアルキレン基を側鎖に有するオルガノポリシロキサン(商品名:KF-353、信越シリコーン(株)製、HLB値:10)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液2重量部(固形分0.2重量部)、帯電防止剤であるアルカリ金属塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF
3SO
2)
2:LiTFSI、東京化成工業社製)を酢酸エチルで1%に希釈した溶液5重量部(固形分0.05重量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)1.5重量部(固形分1.5重量部)、架橋触媒(鉄を活性中心とする触媒)として、トリス(アセチルアセトナト)鉄(Fe(AcAc)
3、東京化成工業社製、1重量%酢酸エチル溶液)0.5重量部(固形分0.005重量部)、アセチルアセトン0.25重量部を加えて、混合攪拌を行い、粘着剤溶液を調製した。
【0132】
〔粘着シートの作製〕
上記粘着剤溶液を、上記の帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シートを作製した。
【0133】
<実施例2〜11、比較例1〜5>
表1に示すように、原料モノマー等の種類や配合量等を変更し、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマー(単に、ポリマーということがある。)を調製した。なお、表中に記載のない添加剤については、実施例1と同様の配合量で調製した。また、前記ポリマーを用い、実施例1と同様にして、粘着剤組成物および粘着シート(表面保護フィルム)を得た。
【0134】
<実施例12>
実施例1において、前記オルガノポリシロキサン(商品名:KF−353、信越シリコーン(株)製、HLB値:10)を0.2重量部使用した代わりに、実施例12においては、オルガノポリシロキサンを含まないポリエーテル型界面活性剤(商品名:17R−4、(株)ADEKA製、数平均分子量2500、PO含有率60重量%)を0.2重量部使用したこと以外は、実施例1等と同様にして、粘着剤組成物および粘着シート(表面保護フィルム)を得た。
【0135】
[評価]
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマー(ポリマー)、粘着剤組成物(溶液)、及び、粘着シートについて、下記の測定方法又は評価方法により評価を行った。なお、評価結果としては、ポリマーの物性評価を表1に示し、粘着剤組成物の評価を表2に示し、粘着シート(表面保護フィルム)の評価を表3に示した。
【0136】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
【0137】
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0138】
<ガラス転移温度の理論値>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
【0139】
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA):−15℃
4−ヒドロキブチルアクリレート(4HBA):−32℃
アクリル酸(AA):106℃
【0140】
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
【0141】
<ガラス転移温度の測定>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
【0142】
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
【0143】
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0144】
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
【0145】
<ポットライフ>
粘着剤組成物(溶液)について、回転粘度計(TOKIMEC社製、B型粘度計)を用いて、25℃、20rpmの条件下で、粘度測定を行い、ポットライフを評価した。
○:粘着剤祖組成物(溶液)の調製(配合)から24時間後の粘度が、調製直後の粘度の2倍未満の場合
×:粘着剤祖組成物(溶液)の調製(配合)から24時間後の粘度が、調製直後の粘度の2倍以上、もしくはゲル化した場合
【0146】
<対TAC剥離帯電圧>
作製した粘着シートを幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレータを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライト、厚み:2mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせたTAC偏光板(日東電工(株)製、商品名「SEG1423DU」、幅:70mm、長さ:100mm)表面(TAC面)に、片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。続いて、23℃×50%RHの環境下に1日放置した後、
図1に示すように所定の位置にサンプルをセットした。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度30m/min(分)となるように剥離した。このときに発生する偏光板表面の電位(「対TAC剥離耐電圧」:kV)を所定の位置に固定してある電位測定機(春日電機社製、KSD−0103)にて測定した。サンプルと電位測定機との距離はアクリル板表面測定時100mmとした。なお、測定は23℃×50%RHの環境下で行った。
【0147】
なお、本発明の粘着シートの剥離帯電圧(絶対値)としては、1.5kV以下であることが好ましく、より好ましくは1.0kV以下である。前記剥離帯電圧が1.5kVを超えると、例えば、液晶ドライバ等の損傷を招く恐れがあり、好ましくない。
【0148】
<対TAC粘着力>
作製した粘着シートを幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、セパレータを剥離した後、貼り合わせ機(テスター産業(株)製、小型貼り合わせ機)を用いて、TAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU、幅:70mm、長さ:100mm)の表面(TAC表面:被着面)に0.25MPa、0.3m/min(分)の条件でラミネートし、評価サンプルを作製した。
ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度30m/min、剥離角度180°で剥離したときの粘着力(N/25mm)を測定し、「対TAC粘着(剥離)力」とした。測定は23℃×50%RHの環境下で行った。
【0149】
なお、本発明の粘着シートにおける対TAC粘着(剥離)力としては、2.2N/25mm以下であることが好ましく、2.1N/25mm以下であることがより好ましく、2.0N/25mm以下であることが更に好ましい。前記粘着力を2.2N/25mm以下とすることにより、偏光板や液晶表示装置の製造工程で、粘着シートを剥離しやすく、生産性、取り扱い性が向上するため好ましい。また、前記ピール粘着力(剥離速度30m/分:高速剥離)が2.2N/25mmを超えると、被着体から粘着シート(表面保護フィルム)が剥がれ難くなり、粘着シート(表面保護フィルム)が不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0150】
<粘着剤層中の鉄原子の含有量分析>
実施例、及び、比較例より得られた粘着シートを構成する粘着剤層を50mg採取し、加圧酸分解法により、前処理をした後、Agilent Technologies社製ICP MSにより、鉄原子の含有量に関して、定量分析(単位:ppm)を行った。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
注)表2中のFe原子含有量(ここでの単位:ppm)は、粘着剤層(全体の重量)中のFe原子の含有量を示す。また、Sn触媒を使用する際、Fe原子含有量は、測定装置の下限値検出限界未満であり、この場合を「非検出」とした。
【0153】
【表3】
【0154】
なお、表1、及び、表2中の配合内容については、固形分の重量を示した。表1及び表2で用いた略号は、以下のとおりである。
【0155】
2EHA:2−エチルへキシルアクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
C/HX:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHX」(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(架橋剤)
LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF
3SO
2)
2、東京化成工業社製、アルカリ金属塩(帯電防止剤)
KTFSI:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(KN(CF
3SO
2)
2、関東化学社製、アルカリ金属塩(帯電防止剤)
Fe(AcAc)
3:トリス(アセチルアセトナト)鉄、東京化成工業社製、鉄を活性中心とする触媒(架橋触媒)
Sn:ジラウリン酸ジブチルスズ、東京化成工業社製(スズ触媒)
【0156】
表2及び表3の評価結果より、全ての実施例において、粘着剤組成物(溶液)について、ポットライフに優れ、更に得られた粘着シートについては、帯電防止性、及び、粘着特性に優れ、特に高速剥離時における軽剥離性(再剥離性)に優れることが確認でき、光学用途等の表面保護用途に適用できることが確認できた。
【0157】
一方、比較例1、2、及び5においては、原料モノマーとして、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの配合量が少なかったため、高速剥離時における粘着力が高く、軽剥離性・再剥離性に劣ることが確認された。また、比較例3においては、帯電防止剤を配合しなかったため、帯電防止性に劣ることが確認された。比較例4においては、粘着剤組成物の調製時に、鉄を活性中心とする触媒(鉄原子を含む)の代わりに、Sn(スズ)触媒を配合したため、ポットライフに劣ることが確認された。