(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267901
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】自動停車装置
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20180115BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20180115BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20180115BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20180115BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20180115BHJP
B60W 10/18 20120101ALI20180115BHJP
B60W 10/20 20060101ALI20180115BHJP
B60W 10/184 20120101ALI20180115BHJP
B60W 30/12 20060101ALI20180115BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20180115BHJP
B60T 7/14 20060101ALI20180115BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20180115BHJP
B62D 137/00 20060101ALN20180115BHJP
【FI】
B60W40/08ZYW
B60T7/12 A
B60J5/00 A
B60J5/04 C
B62D6/00
B60W10/00 132
B60W10/184
B60W10/20
B60W30/12
B60W30/09
B60T7/14
B62D101:00
B62D137:00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-187482(P2013-187482)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-54547(P2015-54547A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】田近 秀騎
【審査官】
田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−017889(JP,A)
【文献】
特開平05−079246(JP,A)
【文献】
特開2007−230529(JP,A)
【文献】
特開平08−016994(JP,A)
【文献】
特開平11−157432(JP,A)
【文献】
特開2009−151522(JP,A)
【文献】
特開2009−163434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
B60J 5/00 − 5/14
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
B62D 6/00 − 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両を自動で停車させる自動停車装置であって、
前記車両におけるドライバの異常を検知するドライバ異常検知部と、
前記車両を制動するための主ブレーキ及びパーキングブレーキと、
前記車両のドアを開閉するためのドアエンジンと、
前記車両の操舵を制御するための操舵アクチュエータと、を備え、
前記主ブレーキ、前記パーキングブレーキ、前記ドアエンジン及び前記操舵アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車両が走行する車線の車線情報と前記車両の走行状態に関する走行情報とに基づいて、前記車両の車線逸脱可能性の有無を判定し、
前記車線逸脱可能性が有る場合において、
前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した否かを判定し、前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した場合、前記車両が車線逸脱しないように前記操舵アクチュエータを制御する操舵制御を実行し、
前記操舵制御を実行した後、前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した否かを判定し、前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した場合、前記主ブレーキを作動させて前記車両を停車させる制動制御を実行し、
前記制動制御で前記車両を停車させた後、前記パーキングブレーキを作動させるパーキングブレーキ制御を実行し、
前記制動制御で前記車両を停車させた後、前記ドアが開扉状態又は開扉可能状態となるように前記ドアエンジンを制御するドア制御を実行する、ことを特徴とする自動停車装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記パーキングブレーキのエア排出弁を作動させることにより前記パーキングブレーキ制御を実行し、
前記ドアエンジンにおけるドア開バルブを作動させることにより前記ドア制御を実行すること、を特徴とする請求項1記載の自動停車装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記パーキングブレーキ制御を実行した後、前記ドア制御を実行すること、を特徴とする請求項1又は2記載の自動停車装置。
【請求項4】
前記制御部は、HMI装置をさらに制御し、
前記制御部は、
前記操舵制御の実行と共に、警報を前記HMI装置により前記ドライバに発せさせ、
前記操舵制御を実行した後、前記制動制御の実行前に、前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した否かを判定し、前記ドライバ異常検知部で前記ドライバの異常を検知した場合、当該警報よりも強い強警報を前記HMI装置により前記ドライバに発せさせる、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の自動停車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動停車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動停車装置に関する技術として、例えば特許文献1に記載された車両制御システムが知られている。この車両制御システムは、レーダ装置等によって先行車両を検知し、先行車両への衝突が予測される場合に当該衝突回避のための制動を行うシステム(いわゆる、PCS[Pre−Clash−Safety])を有しており、これにより、先行車に対する追突を防止することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記の従来技術では、例えば走行中にドライバが運転不能となったとき等の異常時において、十分に対応することが困難となる場合がある。そこで、近年の自動停車装置では、ドライバの異常時における安全性を高めることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能な自動停車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る自動停車装置は、車両に搭載され、車両を自動で停車させる自動停車装置であって、車両におけるドライバの異常を検知するドライバ異常検知部と、車両を制動するための主ブレーキ及びパーキングブレーキと、車両のドアを開閉するためのドアエンジンと、主ブレーキ、パーキングブレーキ及びドアエンジンを制御する制御部と、を備え、制御部は、ドライバ異常検知部でドライバの異常を検知した場合、主ブレーキを作動させて車両を停車させる制動制御と、制動制御で車両を停車させた後、パーキングブレーキを作動させるパーキングブレーキ制御と、制動制御で車両を停車させた後、ドアが開扉状態又は開扉可能状態となるようにドアエンジンを制御するドア制御と、を実行することを特徴とする。
【0007】
この自動停車装置では、車両の走行中にドライバが運転不能となった場合、ドライバの異常が検知されると、制動制御により、車両が衝突することなく自動的に停車させられる。そして、かかる停車後においては、パーキングブレーキ制御によりパーキングブレーキが作動され、車両の逸走が防止されると共に、ドア制御によりドアが開扉状態又は開扉可能状態とされ、乗客が車外へ容易に避難可能となる。従って、本発明によれば、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能となる。
【0008】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、制御部は、パーキングブレーキのエア排出弁を作動させることによりパーキングブレーキ制御を実行し、ドアエンジンにおけるドア開バルブを作動させることによりドア制御を実行する場合がある。
【0009】
また、制御部は、パーキングブレーキ制御を実行した後、ドア制御を実行することが好ましい。この場合、車両逸走を防止した状態で乗客を車外へ退避させることができる。
【0010】
また、車両の操舵を制御するための操舵アクチュエータを備え、制御部は、ドライバ異常検知部でドライバの異常を検知した場合、制動制御で車両を停車させる前に、車両が車線逸脱しないように操舵アクチュエータを制御する操舵制御を実行することが好ましい。
この場合、ドライバの異常時の対応において操舵制御による車両逸脱防止を連携させることができ、ドライバの異常時における安全性を一層高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能な自動停車装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る自動停車装置を示す概略ブロック図である。
【
図2】
図1の自動停車装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る自動停車装置を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る自動停車装置1は、車両Vに搭載され該車両Vを自動で停車させるものであり、ここでは、車両Vのドライバの異常を検知し、操舵制御及び制動制御を組み合わせ自動で車両Vを停車させる。
【0015】
適用される車両Vとしては、例えばバス等の商用車が挙げられる。なお、車両Vとしては、特に限定されるものではなく、例えば大型車両や中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等の何れであってもよい。
【0016】
この自動停車装置1は、車線認識部2、ドライバ状態検出部3、及び走行情報取得部4を備えている。車線認識部2は、車両Vが走行する車線を認識するものであり、例えば単眼カメラ等の車線センサを含んでいる。ドライバ状態検出部3は、ドライバの状態(顔向きや心拍数等)を検出するものであり、例えば車内カメラ及び心拍数計測器等を含んでいる。走行情報取得部4は、車両Vの車速やヨーレート等の走行状態に関する走行情報を取得するものであり、車速センサ及びヨーレートセンサ等を含んでいる。
【0017】
また、自動停車装置1は、操舵アクチュエータ5、パーキングブレーキ6、ドアエンジン7及びHMI(Human Machine Interface)装置8を備えている。操舵アクチュエータ5は、車両Vの操舵を制御するためのアクチュエータである。この操舵アクチュエータ5は、例えば、モータによる駆動力をステアリング機構に伝達し、該ステアリング機構に操舵トルクを付与する。
【0018】
パーキングブレーキ(PKB)6は、車両Vを制動するためのものである。パーキングブレーキ6としては、電動パーキングブレーキを用いることができる。パーキングブレーキ6は、ブレーキチャンバに設けられたPKBエア排出弁(エア排出弁)6aを有し、このPKBエア排出弁6aの作動によってエアを排出することにより、車輪に所望の制動力を付与する。
【0019】
ドアエンジン7は、車両Vのドアを開閉するためのものである。ドアエンジン7は、ドア開バルブ7aを有し、このドア開バルブ7aの作動によってドアを開扉状態又は開扉可能状態とする。HMI装置8は、音、表示及び体感の少なくとも何れかによる注意喚起をドライバに発する。
【0020】
また、自動停車装置1は、自動停車ECU(Electronic Control Unit,制御部)10を備えている。この自動停車ECU10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータにより構成されている(以下のECUにおいて同様)。
【0021】
自動停車ECU10には、上記の各要素2〜8が有線又は無線で接続されていると共に、エンジン制御ECU11とブレーキ制御ECU12とボディ制御ECU13とTM制御ECU14とが有線又は無線で接続されている。なお、自動停車ECU10の接続としては、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内LAN回路を利用することができる。
【0022】
エンジン制御ECU11は、車両Vのエンジンを制御するものである。ブレーキ制御ECU12は、車両Vのブレーキ装置を制御するものである。当該ブレーキ装置としては、特に限定されるものではないが、例えば液圧ブレーキ装置や回生ブレーキ装置等が挙げられる。ボディ制御ECU13は、車両Vのボディに係る機器(ドア、ウィンカ及び車外表示灯等)を制御するものである。TM制御ECU14は、車両Vのトランスミッションを制御するものである。
【0023】
このような自動停車ECU10は、ドライバの異常を検知した場合において、車両Vが車線逸脱しないように操舵アクチュエータ5を制御する操舵制御と、非常ブレーキを作動させて車両Vを停車させる制動制御と、車両Vの停車後にパーキングブレーキ6を作動させるパーキングブレーキ制御と、車両Vの停車後にドアを開扉状態又は開扉可能状態させるドア制御と、を実行する(詳しくは、後述)。
【0024】
制動制御における非常ブレーキとしては、ブレーキ制御ECU12で上記ブレーキ装置を作動させることによるブレーキを含んでいる。また、非常ブレーキとしては、エンジン制御ECU11及びTM制御ECU14の制御によるエンジンブレーキを含んでいてもよい。なお、このような制動制御については、一般的な標準設定されたPCSシステムを利用することができる。
【0025】
次に、上述した自動停車装置1により車両Vを自動的に停車させる場合の一例について、
図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0026】
図2は、
図1の自動停車装置の動作を示すフローチャートである。
図2に示すように、自動停車装置1では、自動停車ECU10により次の自動停車制御が実行される。すなわち、まず、車線認識部2で認識した車線情報及び走行情報取得部4で取得した走行情報に基づいて、車両Vの車線逸脱可能性が判定される(S1)。
【0027】
車両Vの車線逸脱可能性が無い場合(上記S1でOKの場合)、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される(S50)。一方、車両Vの車線逸脱可能が有る場合(上記S1でNGの場合)、ドライバ操作の有無が判定される(S2)。ここで、ドライバ操作については、各ECU11〜14での制御状況に基づき判定してもよいし、別途設けられたセンサ(ペダルセンサ等)からの入力に基づき判定してもよい。また、ドライバ操作には、例えば、車両Vの運転に係る操作及び各種装置に対する操作等が含まれていてもよい。
【0028】
続いて、ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常(NG)であるか正常(OK)であるかが推定される(S3)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。
【0029】
一方、上記S2にてドライバ操作が無い場合、又は、上記S3にてドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバに何らかの異常が発生したと判断され(ドライバ異常が検知され)、車両Vが車線逸脱する可能性がある旨の逸脱警報がHMI装置8からドライバへ発せられる(S4)。
【0030】
続いて、逸脱警報が発せられた後に再び、上記S2と同様に、ドライバ操作の有無が判定される(S5)。ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S6)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。
【0031】
一方、逸脱警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、例えば車線情報及び走行情報に基づいて次の操舵制御に係る各処理が実行される。すなわち、車線の基準位置に対する車両Vの車幅方向のずれである横偏差が算出され、車両Vの車線逸脱を回避するための目標ヨーレートが設定され、当該目標ヨーレートに応じた目標操舵角が設定される(S7〜S9)。そして、車両Vの操舵角が目標操舵角となるように操舵アクチュエータ5により操舵制御が実行されると共に、警報がHMI装置8によりドライバに発せられる(S10)。
【0032】
続いて、上記S2と同様に、ドライバ操作の有無が再度判定される(S11)。ドライバ操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S12)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。
【0033】
一方、操舵制御が実行され且つ警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、当該警報よりも強い強警報がHMI装置8によりドライバに発せられる(S13)。なお、ここでの強警報として、少なくとも音及び体感による警報を用いることが好ましい。
【0034】
強警報が発せられた後に再び、上記S2と同様に、ドライバによる操作の有無が判定される(S14)。ドライバの操作が有る場合、ドライバ状態検出部3で検出されたドライバ状態に基づいてドライバ状態が異常又は正常であるかが推定される(S15)。ドライバ状態がOKと推定された場合、上記S50へ移行し、自動停車制御がOFFとなって上記S1の処理へ戻される。
【0035】
一方、強警報が発せられたのにも関わらず、未だドライバ操作が無い場合、又は、ドライバ状態がNGと推定された場合、ドライバ異常が検知され、ボディ制御ECU13により車外表示灯が作動(点灯)され、車両Vの周囲にドライバ異常が通知される(S16)。そして、制動制御が実行されて非常ブレーキが作動され、これにより、車両Vが減速されて停車される(S17)。
【0036】
制動制御による車両Vの停車後、パーキングブレーキ制御が実行され、車両Vが逸走しないようにパーキングブレーキ6が作動される。具体的には、パーキングブレーキ6においてPKBエア排出弁6aが作動されてエアが排出され、これにより、車輪に制動力が付与されて車両Vの逸走が防止される(S18)。
【0037】
最後に、パーキングブレーキ制御によりパーキングブレーキ6が作動された後、ドア制御が実行され、車両Vのドアが開扉状態又は開扉可能状態となるようにドアエンジン7が制御される。具体的には、ドアエンジン7のドア開バルブ7aが作動されることにより、ドアが自動的に開かれて開扉状態とされる、又は、ドアが乗客等により開けられるように開扉可能状態とされることとなる(S19)。
【0038】
以上、本実施形態の自動停車装置1においては、車両Vの走行中にドライバが例えば健康起因による運転不能状態(危篤状態等)となった場合、このドライバの異常が検知され、制動制御により自動的に車両Vが衝突することなく停車させられる(上記S14,S15,S17)。そして、かかる停車後においては、パーキングブレーキ制御によりパーキングブレーキ6を作動され、車両Vの逸走が防止される(上記S18)。これと共に、ドア制御によりドアエンジン7が制御され、ドアが開扉状態又は開扉可能状態とされ、乗客が車外へ容易に避難可能となる(上記S19)。従って、本実施形態によれば、ドライバの異常時における安全性を高めることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、上述したように、パーキングブレーキ制御を実行した後、ドア制御を実行している。これにより、車両Vの逸走を防止した状態にて乗客を車外へ退避させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、上述したように、制動制御で車両Vを停車させる前に、車両Vが車線逸脱しないように操舵アクチュエータ5を制御する操舵制御を実行している。すなわち、車線逸脱防止システムを利用した操舵制御による車両逸脱防止を制動制御と連携させ、ドライバ異常時における安全性を一層高めることが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態では、上述したように、各制御(制御システム)に移行する際、ドライバ操作の有無を判定する(上記S2,S5,S11,S14)と共に、ドライバ状態の推定を行っている(上記S3,S6,S12,S15)。これにより、ドライバの異常検知において、ドライバ操作の有無だけでなく、ドライバ操作が有る場合でも当該ドライバ操作が正常状態でなされたものであるかの判断を考慮することができる。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように、強警報を発してもドライバが正常な操作を行わない場合(上記S14で無し、及び上記S15でNGの場合)、車外表示灯を点灯させることにより周辺車両に異常を周知することが可能となる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0044】
例えば、上記実施形態では、自動レーンチェンジ制御を実行してもよく、具体的には、非常ブレーキを作動させて車両Vを停車させる前(例えば上記S16,S17の間)に、自動的に最も左側の車線に移動するように車両Vの走行を制御してもよい。この場合、車両Vを自動停車させるに際して道路交通の妨げになるのを抑制することができる。
【0045】
上記実施形態において、ドライバ状態を検出するドライバ状態検出部3及びドライバ操作を検出するための各ECU11〜14の少なくとも何れかが、ドライバ異常検知部を構成する。また、非常ブレーキを作動させるためのブレーキ制御ECU12(又は、これに加えて、エンジン制御ECU11、TM制御ECU14)が、主ブレーキを構成する。
【符号の説明】
【0046】
1…自動停車装置、3…ドライバ状態検出部(ドライバ異常検知部)、5…操舵アクチュエータ、6…パーキングブレーキ、6a…PKBエア排出弁(エア排出弁)、7…ドアエンジン、7a…ドア開バルブ、10…自動停車ECU(制御部)、11…エンジン制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、12…ブレーキ制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、13…ボディ制御ECU(ドライバ異常検知部)、14…TM制御ECU(主ブレーキ,ドライバ異常検知部)、V…車両。