(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の技術にあっては、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーは、一定の絶縁距離を介するよう配する必要があるが、リング状に曲げ加工したバスバーはスプリングバック等により、所定形状を維持させておくことが困難であり、樹脂モールドによる成形が困難となる上、所定の間隔をあけて径方向に積層して配置されているため、バスバーユニットの径方向の小型化には限界がある。また、板状部材の幅方向とバスバーホルダの軸方向とが一致しているため、板状部材の幅によりバスバーユニットの軸方向の小型化が制限される。したがって、従来技術にあっては、製造コストを低減しつつ、バスバーユニットを小型化するという点で改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みたものであって、製造コストを低減しつつ、小型化できるバスバーユニッ
トおよびバスバーユニットを備えたブラシレスモータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のバスバーユニットは、
複数の相のコイルに給電するためのリング状のバスバーユニットであって、相毎に設けられ、前記コイルの一端と接続される端子を有する複数の相用バスバーと、前記コイルの他端と接続される端子を有する中性点用バスバーと、を備え、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーは、互いに所定の絶縁距離を存した状態で前記バスバーユニットの軸方向に沿って積層配置され、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーのうち少なくとも1個のバスバーは、長尺の板状部材の幅方向と前記バスバーユニットの径方向とが一致するように前記板状部材を曲げ加工することにより形成されるとともに、前記端子が形成された複数のバスバーピースと、隣り合う前記バスバーピース同士を連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記板状部材を曲げ加工したときに変形が抑制される非変形部と、前記非変形部よりも幅狭に形成され、前記板状部材を曲げ加工したときに積極的に変形可能な変形部と、を備え、前記変形部は、前記非変形部を挟んで前記バスバーユニットの周方向の両側に一対配置されて、前記非変形部と前記バスバーピースとを連結していることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、相用バスバーおよび中性点用バスバーのうち少なくとも1個のバスバーは、長尺の板状部材の幅方向とバスバーユニットの径方向とが一致するように前記板状部材を曲げ加工することにより形成されるので、例えば金属板材等から長尺の板状部材を打ち抜いてバスバーを形成できる。このため、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜いてバスバーを形成する必要がないので、歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。また、複数のバスバーピースと、隣り合うバスバーピース同士を連結する連結部を備え、連結部の少なくとも一部分の幅は、バスバーピースの幅よりも狭いので、長尺の板状部材を容易に曲げ加工してバスバーを形成できる。
また、相用バスバーおよび中性点用バスバーは、板状部材の板厚方向と一致するバスバーユニットの軸方向に沿って積層配置されるので、板状部材の幅方向とバスバーユニットの軸方向とが一致するように配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、軸方向に小型化(薄型化)ができる。また、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーが径方向に積層して配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、バスバーユニットの径方向の大型化を抑制できる。
このように、本発明のバスバーユニットによれば、製造コストを低減しつつ、小型化できる。
また、変形部は、非変形部を挟んでバスバーユニットの周方向の両側に一対配置されているので、板状部材を曲げ加工したときに連結部の特定箇所にのみ曲げ応力が集中するのを抑制するとともに、一対の変形部に曲げ応力を分散できる。したがって、板状部材を曲げ加工したときに不具合が発生するのを防止するとともに、バスバーユニットの耐久性を高めることができる。
【0012】
また、前記少なくとも1個のバスバーは、前記中性点用バスバーであることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、従来、金属板材等を打ち抜いて環状に形成していた中性点用バスバーにとりわけ好適であり、中性点用バスバーの歩留まりを向上して製造コストを低減できる。
【0016】
また、前記板状部材を曲げ加工したとき、前記バスバーピースの前記周方向の端面と、前記非変形部の前記周方向の端面とが当接するように形成され、前記変形部と前記非変形部との隅部および前記変形部と前記バスバーピースとの隅部の少なくともいずれか一方の隅部には、前記周方向に凹んだ逃げ部が形成されていることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、板状部材を曲げ加工したとき、バスバーピースの周方向の端面と、非変形部の周方向の端面とが当接するので、板状部材を曲げ加工したときに、各バスバーピースの位置決めを容易にできる。さらに、変形部と非変形部との隅部および変形部とバスバーピースとの隅部の少なくともいずれか一方の隅部には、周方向に凹んだ逃げ部が形成されているので、板状部材を曲げ加工したときに、隅部に板状部材が密集して干渉するのを回避できるとともに、隅部に曲げ応力が集中するのを防止できる。したがって、板状部材を曲げ加工したときに、不具合が発生するのを確実に防止できる。
【0018】
また、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーは、絶縁性材料によりモールドされていることを特徴としている。
【0019】
この構成によれば、相用バスバーと中性点用バスバーとの間に入り込んだ樹脂材料により、各バスバー間の絶縁を確保できる。また、従来技術では、バスバーホルダの軸方向に開口する溝部に各バスバーを挿入して配置していたため、製造工程が煩雑となるおそれがあった。これに対して、本発明によれば、樹脂材料によりモールドするだけで相用バスバーおよび中性点用バスバーを簡単に保持できる。したがって、製造工程の簡素化により製造コストを低減できる。
【0020】
また、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを保持する円筒状のバスバーホルダを備え、前記バスバーホルダの外周面には、前記板状部材を挿入可能な環状の溝部が軸方向に並んで複数形成され、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーは、前記溝部に前記板状部材を挿入しつつ、前記板状部材の幅方向と前記バスバーユニットの径方向とが一致するように前記板状部材を曲げ加工することにより形成されることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、バスバーホルダの外周面に溝部が形成され、この溝部に板状部材を挿入しつつ板状部材を曲げ加工することにより相用バスバーおよび中性点用バスバーを形成するので、歩留まりを向上して製造コストを低減しつつ、樹脂モールド以外の方法により各バスバーを保持できる。
【0022】
また、本発明のバスバーユニットの製造方法は、金属板材から長尺の前記板状部材を打ち抜くプレス工程と、前記板状部材の幅方向と前記バスバーユニットの径方向とが一致するように、前記板状部材を曲げ加工する曲げ工程と、を有することを特徴としている。
【0023】
この構成によれば、金属板材から長尺の板状部材を打ち抜くプレス工程を備えているので、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜く場合と比較して、歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。また、板状部材の幅方向とバスバーユニットの径方向とが一致するように、板状部材を曲げ加工する曲げ工程を有しているので、長尺の板状部材を曲げ加工して容易にC字状のバスバーを形成できる。
【0024】
また、本発明のブラシレスモータは、上記のバスバーユニットと、前記複数の相のコイルが巻回された複数のティースを有するステータと、前記ステータに対して回転自在に設けられたロータと、内部に前記ステータが固定されるモータケースと、を備え、前記複数の相のコイルは、前記モータケース内に配された前記バスバーユニットによって電気的に接続されていることを特徴としている。
【0025】
この構成によれば、低コストであるとともに、軸方向かつ径方向に小型なブラシレスモータを形成できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、相用バスバーおよび中性点用バスバーのうち少なくとも1個のバスバーは、長尺の板状部材の幅方向とバスバーユニットの径方向とが一致するように前記板状部材を曲げ加工することにより形成されるので、例えば金属板材等から長尺の板状部材を打ち抜いてバスバーを形成できる。このため、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜いてバスバーを形成する必要がないので、歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。また、複数のバスバーピースと、隣り合うバスバーピース同士を連結する連結部を備え、連結部の少なくとも一部分の幅は、バスバーピースの幅よりも狭いので、長尺の板状部材を容易に曲げ加工してバスバーを形成できる。
また、相用バスバーおよび中性点用バスバーは、板状部材の板厚方向と一致するバスバーユニットの軸方向に沿って積層配置されるので、板状部材の幅方向とバスバーユニットの軸方向とが一致するように配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、軸方向に小型化(薄型化)ができる。また、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーが径方向に積層して配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、バスバーユニットの径方向の大型化を抑制できる。
このように、本発明のバスバーユニットによれば、製造コストを低減しつつ、小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一実施形態)
続いて、この発明の第一実施形態について、図面に基づいて説明する。以下では、まず第一実施形態に係るブラシレスモータ1について説明した後、バスバーユニットについて説明する。なお、以下の説明では、ブラシレスモータ1の中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oに対して直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに周回する方向を周方向という。
【0029】
図1は、ブラシレスモータ1の断面斜視図であり、
図2は、ステータコア12の斜視図である。
図1および
図2に示すように、ブラシレスモータ1は、例えば、電動パワーステアリング装置(EPS;Electric Power Steering)の駆動源として用いられるものであって、ステータ2と、ステータ2の内側に配置されたロータ3とを有している。ロータ3は、ステータ2に固定されたブラケット4に対して回転自在に支持されている。
【0030】
ロータ3は、内部に不図示のラック軸が挿入される。ラック軸は、ギヤボックス内でラック・アンド・ピニオン機構を形成し、ステアリングホイールの操作に応じてブラシレスモータ1の軸方向に移動自在になっている。ラック軸の両端は、ナックルアームなどを介して車両の車輪に連結されている。
【0031】
ステータ2は、円筒形状に形成されたステータハウジング(モータケース)11の内周に、ステータコア12が焼き嵌めや圧入等の固定手段により固定されている。ステータハウジング11には、開放された両端部のそれぞれの周縁部にボルト孔13が形成されており、ブラケット4や、不図示のブラケット等を固定できる。ステータハウジング11のブラケット4側の端部には、ブラケット4と印籠接合する際に使用されるインロー部11Aが形成されている。
【0032】
ステータコア12には、環状の外周部31から径方向中央に向かって、コイル16を巻装するための複数(この実施形態では9個)のティース14が延設されている。ステータコア12の内周側には、隣接するティース14間に蟻溝状のスロット40が複数箇所(この実施形態では9箇所)に形成されている。各ティース14には、インシュレータ15を装着した上からコイル16がいわゆる集中巻き方式にて巻回されている。各コイル16の巻き始め端部45Aおよび巻き終わり端部45Bは、それぞれブラケット4とは反対側に向かって引き出されている。
【0033】
インシュレータ15の径方向外側には、軸方向に沿って外周壁71が立設されている。外周壁71には、各コイル16の巻き始め端部45Aの引き出し位置に対応する部位に、巻き始め端用凹部72が形成されている。また、インシュレータ15の外周壁71には、巻き終わり端部45Bの引き出し位置に対応する部位に、巻き終わり端用凹部73が形成されている。
【0034】
コイル16は、周方向に沿って、例えばU相、V相、W相の順に割り当てられている。すなわち、この実施形態のブラシレスモータ1は、U相、V相、W相の3相のコイル16を備えた3相ブラシレスモータとなっている。
ステータコア12は、軸線に対してスキューさせてある。つまり、ティース14およびスロット40は、中心軸Oに対して捩れるように形成されている。ステータコア12は、周方向に分割されて各々ティース14を有する複数のコアユニットを互いに接合することにより形成されてもよいし、周方向に分割せずに一体形成されてもよい。
【0035】
ブラケット4は、略円筒形状に形成されており、ステータハウジング11に対して不図示のボルトによって締結固定されている。ブラケット4の軸方向における端部には、ステータハウジング11に対してブラケット4を突き当てたときに、ステータハウジング11のインロー部11Aと嵌合する嵌合部4Aが設けられている。嵌合部4Aの外周面は、不図示の溝が形成されており、この溝には、Oリングなどのパッキン23が装着されている。ブラケット4の嵌合部4Aとは反対側の端部は、ラック軸を挿入可能に開口している。ブラケット4内には、開口側にベアリング25が圧入されている。
【0036】
ブラケット4のベアリング25よりもステータ2側には、レゾルバステータ26Aが固定されている。レゾルバステータ26Aは、ロータ3の回転位置を検出するレゾルバ26を構成している。ブラケット4の外周部には、レゾルバステータ26Aからの電気信号を取り出すためのセンサコネクタ27が固定されている。
【0037】
レゾルバステータ26Aは、磁性材料からなるプレートを積層して構成されたレゾルバステータコア41を有するとともに、レゾルバステータコア41の径方向内側に向かって延設された不図示のティースを有している。ティースは、周方向で等間隔に配置されている。各ティースには、インシュレータ53を装着した上から不図示のレゾルバコイルが巻回されている。各レゾルバコイルの巻線の端部は、インシュレータ53の一部を突出させて形成した端子保持部55に引き出されている。
【0038】
端子保持部55には、レゾルバコイルの巻線の端部の数に合わせてハーネス接続端子56が一体成形されている。各ハーネス接続端子56には、レゾルバコイルの巻線の端部が1本ずつ固定されている。レゾルバステータ26Aは、ハーネス接続端子56とレゾルバコイルの端部の接続箇所およびレゾルバコイルの全体を覆うように樹脂材料によりコーティングされている。このコーティングは、ハーネス接続端子56とレゾルバコイルの端部の接続箇所およびレゾルバコイルの巻線を保護している。
【0039】
センサコネクタ27は、先端部に信号ケーブルを嵌合可能な受部61を有し、基端部がブラケット4に挿入されている。また、センサコネクタ27の基端部の外周には、ブラケット4の外面に密着させるツバ部62が設けられている。センサコネクタ27は、ボルト5がツバ部62を介してブラケット4に対して螺着されることにより、ブラケット4に対して締結固定されている。さらに、センサコネクタ27には、内部を貫通するようにコネクタ端子63が一体成形されている。各コネクタ端子63のレゾルバステータ26A側の端部は、ハーネス接続端子56の配置に合わせて配列されており、それぞれハーネス接続端子56に接続されている。
【0040】
ロータ3は、中心軸Oに沿うように中空の回転軸部材22を有する。回転軸部材22の一方端部は、ブラケット4に圧入されたベアリング25によって軸支されている。回転軸部材22の一方端部の外周面には、レゾルバ26を構成するレゾルバロータ26Bが固定されている。さらに、回転軸部材22の外周面であって、ステータコア12に臨む位置には、ロータマグネット33が金属プレート32を介してブラケット34により固定されている。ロータマグネット33は、例えば環状の永久磁石からなるものであって、複数の磁極が周方向に配置されている。
【0041】
回転軸部材22の端部には、不図示のボールナットが固定される。このボールナットは、ラック軸の一部に形成されているボールネジとの間に複数のボールを介在させることにより、ボールナット機構を構成する。ボールナットは、ステータハウジング11に固定される不図示のブラケットに設けられたベアリングに対して、回転自在に支持される。
【0042】
ここで、各コイル16の巻き始め端部45A、および巻き終わり端部45Bは、それぞれバスバーユニット17に接続されている。バスバーユニット17は、ステータハウジング11内のブラケット4とは反対側の端部であって、回転軸部材22の周囲を取り囲むように配置されている。バスバーユニット17は、ステータハウジング11の外周部に突設された電源コネクタ18に接続されている。
電源コネクタ18の先端部には、不図示の外部電源から延設された電源ケーブルを嵌着するための受部19が一体成形されている。電源コネクタ18は、外部電源から電源ケーブルを介して供給される電流をバスバーユニット17に供給している。
【0043】
電源コネクタ18の基端部の外周には、ステータハウジング11の外面に密着させるツバ部20が設けられている。電源コネクタ18は、ボルト21がツバ部20を介してステータハウジング11に対して螺着されることにより、ステータハウジング11に締結固定されている。
さらに、電源コネクタ18には、内部を貫通する3本の電源コネクタ端子64が互いに絶縁されて一体成形されている。各電源コネクタ端子64のバスバーユニット17側の端部には、バスバーユニット17の給電部52U,52V,52Wがそれぞれ接続される。
【0044】
(バスバーユニット)
図3は、バスバーユニット17を軸方向外側からみた斜視図であり、
図4は、バスバーユニット17をステータコア12(
図1参照)側からみた斜視図である。
図3および
図4に示すように、バスバーユニット17は各相のコイル16(
図2参照)をスター結線方式にて結線するとともに、各相のコイル16に給電を行うためのものである。バスバーユニット17は、全体としてリング状に形成されており、ブラシレスモータ1の中心軸Oと同軸上に配置されている。したがって、バスバーユニット17の軸方向、径方向および周方向は、ブラシレスモータ1の軸方向、径方向および周方向と一致している。
【0045】
バスバーユニット17は、U相、V相およびW相の相毎に設けられ、コイル16の巻き始め端部45Aと電気的に接続される相用端子を有する各相用バスバー(U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47W)と、コイル16の他端と電気的に接続される中性点用端子89を有する中性点用バスバー81と、U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81を一体的に保持する絶縁性の樹脂モールド体46と、を備えている。以下に、バスバーユニット17の各構成部品について、詳細に説明する。
【0046】
図5および
図6は、各相用バスバー(U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47W)と中性点用バスバー81との積層状態を示す斜視図であって、
図5は軸方向外側からみた斜視図であり、
図6はステータコア12(
図1参照)側からみた斜視図である。なお、
図5および
図6においては、樹脂モールド体46(
図3および
図4参照)の図示を省略している。また、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wは、それぞれ給電部52U,52V,52Wの位置が異なる点を除いて、基本的な構成はほぼ同一である。したがって、以下では、主にU相用バスバー47Uについて説明をし、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wについては詳細な説明を省略する。
【0047】
図5および
図6に示すように、U相用バスバー47Uは、例えば銅等の金属材料からなる板部材からプレス加工等によって打ち抜かれて形成されている。U相用バスバー47Uは、ブラシレスモータ1の中心軸Oを中心として所定の曲率半径を有するC字状に形成されている。
U相用バスバー47Uには、U相のコイル16の巻き始め端部45Aに対応する位置に、複数(この実施形態では3個)のU相用端子49Uが径方向の外側に向かって突設されている。U相用端子49Uは、後述の樹脂モールド体46から径方向外側に突出している(
図3参照)。
【0048】
各U相用端子49Uの先端には、二又状に設けられた一対の舌片部51a,51aが一体成形されている。一対の舌片部51a,51aは、コイル16の巻き始め端部45Aを挟持可能になっている。
また、一対の舌片部51a,51aの間には、接合部51bが設けられている。接合部51bは、軸方向に沿って外側(
図5における上側)を指向するように、一対の舌片部51a,51aの間から立設されている。接合部51bには、一対の舌片部51a,51aにより挟持されたコイル16の巻き始め端部45Aが、例えば溶接等の固着手段により電気的に接続される。
【0049】
U相用バスバー47Uには、軸方向に沿って外側(
図5における上側)を指向するように、給電部52Uが立設されている。給電部52Uは、電源コネクタ18を貫通する電源コネクタ端子64(
図1参照)に対して、例えば溶接等の固着手段により機械的および電気的に接続される。これにより、外部電源は、電源コネクタ端子64およびバスバーユニット17を介して、コイル16に給電することができる。
【0050】
V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wは、それぞれU相用バスバー47Uと同様にC字状に形成されており、それぞれV相用端子49VおよびW相用端子49Wと、給電部52V,52Wとを有している。
V相用端子49VおよびW相用端子49Wは、U相用端子49Uと同様に、それぞれ一対の舌片部51a,51aと、一対の舌片部51a,51aの間に設けられた接合部51bと、を有している。
【0051】
各相の給電部52U,52V,52Wは、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wを軸方向に沿って積層したとき、互いに一定の距離を存して干渉しないように周方向にずれ、かつ電源コネクタ18の電源コネクタ端子64に対応する位置に形成されている。また、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wを軸方向に沿って積層したとき、周方向に沿って、U相用端子49U、V相用端子49VおよびW相用端子49Wがこの順で突出した状態になる。
【0052】
(中性点用バスバー)
図7は、中性点用バスバー81の製造工程のうち、プレス工程の説明図である。
中性点用バスバー81は、ブラシレスモータ1(
図1参照)の中心軸Oを中心として所定の曲率半径を有するC字状に形成されている。詳細は後述するが、中性点用バスバー81は、
図7に示すように、金属板材Tから長尺の板状部材T1を打ち抜いた後、板状部材T1の幅方向Hとバスバーユニット17(
図3参照)の径方向とが一致するように板状部材T1を曲げ加工することにより形成される
【0053】
図6に示すように、中性点用バスバー81は、3個のバスバーピース82と、隣り合うバスバーピース82同士を連結する2個の連結部83と、を備えている。3個のバスバーピース82は、略同一形状、同一の長さとされている。
各バスバーピース82には、それぞれ複数(本実施形態では3個、中性点用バスバー81としては合計9個)の中性点用端子89が、径方向の外側に向かって突設されている。各中性点用端子89は、中性点用バスバー81の周方向に略等間隔に配置される。また、各バスバーピース82の3個の中性点用端子89には、それぞれ、U相、V相、W相のコイル16の他端が1つずつ接続される。これにより、1つのバスバーピース82により、相、V相、W相のコイル16の他端が電気的に同電位となるため、電気的には、隣り合うバスバーピース82間を接続する必要性はないが、後述するように、板状部材T1からの曲げ加工性等の向上のために、連結された隣り合うバスバーピース82同士間の連結部83に、幅狭の変形部85が存在しても電気的な問題はない。
【0054】
中性点用端子89は、U相用端子49Uと同様に、それぞれ一対の舌片部89a,89aと、一対の舌片部89a,89aの間に設けられた接合部89bと、を有している。一対の舌片部89a,89aは、コイル16の巻き終わり端部45Bを挟持可能になっている。また、接合部89bには、一対の舌片部89a,89aにより挟持されたコイル16の巻き終わり端部45Bが、例えば溶接等の固定手段により電気的に接続される。
【0055】
各バスバーピース82の間には、連結部83が設けられている。連結部83は、非変形部84と、非変形部84の周方向における両端に設けられた変形部85とを備えている。
非変形部84は、周方向にわたってバスバーピース82と同一の幅(径方向幅)となるように形成されている。非変形部84は、板状部材T1(
図7参照)を曲げ加工したときに、変形が抑制されるようになっている。
変形部85は、非変形部84よりも幅狭に形成されており、板状部材T1(
図7参照)を曲げ加工したときに、積極的に変形可能となっている。変形部85は、中性点用バスバー81の径方向の外側においてバスバーピース82と非変形部84とを接続している。
【0056】
中性点用バスバー81は、隣り合うバスバーピース82の周方向の端面82aと非変形部84の周方向の端面84aとが当接するように、C字状に曲げ加工して形成されている。これにより、各バスバーピース82は、非変形部84の端面84aによって位置決めされるとともに、径方向の内側への移動が規制される。
ここで、変形部85と非変形部84との隅部および変形部85とバスバーピース82との隅部には、円弧状に切り欠かれることにより、周方向に凹んだ逃げ部86が形成されている。逃げ部86は、板状部材T1(
図7参照)を曲げ加工した時に、変形部85と非変形部84との隅部および変形部85とバスバーピース82との隅部に板状部材T1が密集して干渉するのを回避し、曲げ応力が集中するのを防止している。
【0057】
(中性点用バスバーの製造工程)
図8は、中性点用バスバーの製造工程のうち、曲げ工程の説明図であり、
図9は、曲げ工程における連結部83の拡大図である。なお、
図8および
図9では、曲げ工程を行う前のバスバーピース82について、二点鎖線で図示している。
続いて、中性点用バスバー81の製造工程について説明する。
中性点用バスバー81の製造工程は、
図7に示すプレス工程と、
図8に示す曲げ工程と、を有している。
【0058】
まず、中性点用バスバー81の製造工程では、
図7に示すように、金属板材Tから長尺の板状部材T1を打ち抜くプレス工程を行う。プレス工程では、金属板材Tの長手方向Lに沿うように、中性点用バスバー81のバスバーピース82と連結部83とが展開された板状部材T1を打ち抜いている。本実施形態では、金属板材Tから、端材が最小限となるよう複数の板状部材T1を打ち抜いている。
【0059】
金属板材Tから板状部材T1を打ち抜く際の板取りレイアウトは、特に限定されない。本実施形態では、例えば金属板材Tの幅方向Hの一方側(
図7における上側)の縁部に沿うとともに、中性点用バスバー81の径方向の内側が幅方向Hの他方側(
図7における下側)となるように、第一の板状部材T1の打ち抜き位置を設定する。また、金属板材Tの幅方向Hの他方側(
図7における下側)の縁部に沿うとともに、中性点用バスバー81の径方向の内側が幅方向Hの一方側(
図7における上側)となるように、第二の板状部材T1の打ち抜き位置を設定する。このとき、第一の板状部材T1および第二の板状部材T1のバスバーピース82と連結部83とが互いに対向するように、第一の板状部材T1および第二の板状部材T1打ち抜き位置を千鳥状に設定する。以降、同様にして複数の板状部材T1の打ち抜き位置を設定する。板状部材T1の打ち抜きは、例えば順送プレスにより行う。なお、プレス工程では、金属板材Tから板状部材T1を打ち抜くのと同時に、中性点用端子89の接合部89bを軸方向に沿うように曲げる曲げ加工を行ってもよい。
【0060】
次いで、中性点用バスバー81の製造工程では、
図8に示すように、プレス工程により金属板材T(
図7参照)から打ち抜かれた板状部材T1を曲げ加工する曲げ工程を行う。曲げ工程では、板状部材T1の幅方向と中性点用バスバー81の径方向(すなわちバスバーユニット17(
図3参照)の径方向)とが一致するように、板状部材T1の曲げ加工を行う。
【0061】
ここで、
図9に示すように、曲げ工程では、隣り合うバスバーピース82の周方向の端面82aと、連結部83の非変形部84における周方向の端面84aとが当接するように、バスバーピース82を径方向の内側に移動させて曲げ加工を行う。これにより、作業者は、各バスバーピース82が非変形部84の端面84aによって位置決めされるとともに、径方向の内側への移動が規制されるので、所定の曲率半径を有するC字状の中性点用バスバー81を簡単に形成できる。
なお、板状部材T1は、加工後のスプリングバックによって塑性変形しようとするため、所定曲率半径を有する中性点用バスバー81とするためには、板状部材T1を曲げ加工する際に、スプリングバックを想定して所望の曲率半径よりも若干小さめに加工しておく。このように加工しておくことで、最終的な所定曲率半径を有する中性点用バスバー81とすることができる。
曲げ工程が終了した時点で、中性点用バスバー81の製造工程が終了する。
【0062】
このように、金属板材Tから長尺の板状部材T1を打ち抜いて中性点用バスバー81を形成できるので、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜いてバスバーを形成する必要がない。したがって、従来技術に比べて、金属板材Tのうち廃棄する部分(端材)を減少させることができるので、歩留まりを向上でき、中性点用バスバー81の製造コストを低減できる。また、連結部83における変形部85の幅は、バスバーピース82の幅よりも狭いので、長尺の板状部材T1を容易に曲げ加工して中性点用バスバー81を形成できる。
【0063】
上述したU相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81は、
図3に示すように、軸方向の外側から内側(
図3における上側から下側)に向かってこの順に一定の絶縁距離を存するよう所定間隔を開けて積層された状態で、樹脂モールド体46によってモールドされる。U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81の間には、樹脂モールド体46を形成する樹脂材料が入り込む。したがって、U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81は、互いに電気的に絶縁された状態で樹脂モールド体46にモールドされる。
【0064】
樹脂モールド体46の外周面46Aからは、周方向に沿って、U相用端子49U、V相用端子49V、W相用端子49Wおよび中性点用端子89が突出している。
また、樹脂モールド体46における軸方向の外側(
図3における上側)の一端面46Bからは、周方向に沿うように並んで各給電部52U,52V,52Wが突出している。
また、
図4に示すように、樹脂モールド体46における軸方向の内側(
図3における紙面手前側)の他端面46Cには、複数(本実施形態では9個)の突起部44が軸方向の内側に向かって突設されている。突起部44は、周方向にわたって等間隔に配置されている。
図2に示すように、突起部44は、インシュレータ15の軸方向の端部に形成された凹部77に嵌合される。これにより、バスバーユニット17は、ステータ2に対して周方向に位置決めされた状態で、ステータ2の軸方向の外側(
図2における上側)の端部に配置される。
【0065】
図10は、コイル16の結線状態を模式的に示した説明図である。
このように構成されたバスバーユニット17は、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wの各相用端子49U,49V,49Wに各相のコイル16の巻き始め端部45Aを電気的に接続するとともに、中性点用バスバー81の中性点用端子89に各相のコイル16の巻き終わり端部45Bを電気的に接続する。これにより、各相のコイル16は、スター結線方式にて結線された状態になる。また、各相のコイル16と並列に接続される他の各相のコイル16も同様に接続され、それぞれのバスバーピース82間は、連結部83にて電気的に接続されている。
【0066】
本実施形態によれば、中性点用バスバー81は、長尺の板状部材T1の幅方向Hとバスバーユニット17の径方向とが一致するように板状部材T1を曲げ加工することにより形成されるので、金属板材Tから長尺の板状部材T1を打ち抜いて中性点用バスバー81を形成できる。このため、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜いてバスバーを形成する必要がないので、歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。また、3個のバスバーピース82と、隣り合うバスバーピース82,82同士を連結する連結部83を備え、連結部83を形成する変形部85の幅は、バスバーピース82の幅よりも狭いので、長尺の板状部材T1を容易に曲げ加工して中性点用バスバー81を形成できる。
また、U相用端子49U、V相用端子49V、W相用端子49Wおよび中性点用バスバー81は、板厚方向と一致するバスバーユニット17の軸方向に沿って積層配置されるので、板状部材の幅方向とバスバーユニットの軸方向とが一致するように配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、軸方向に小型化(薄型化)ができる。また、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーが径方向に積層して配置された従来技術のバスバーユニットと比較して、バスバーユニット17の径方向の大型化を抑制できる。
このように、本実施形態のバスバーユニット17によれば、製造コストを低減しつつ、小型化できる。
【0067】
また、変形部85は、非変形部84を挟んでバスバーユニット17の周方向の両側に一対配置されているので、板状部材T1を曲げ加工したときに、連結部83の特定箇所にのみ曲げ応力が集中するのを抑制するとともに、一対の変形部85に曲げ応力を分散できる。したがって、板状部材T1を曲げ加工したときに不具合が発生するのを防止するとともに、バスバーユニット17の耐久性を高めることができる。
【0068】
また、板状部材T1を曲げ加工したとき、バスバーピース82の周方向の端面82aと、非変形部84の周方向の端面84aとが当接するので、板状部材T1を曲げ加工したときに、各バスバーピース82の位置決めを容易にできる。さらに、変形部85と非変形部84との隅部および変形部85とバスバーピース82との隅部には、周方向に凹んだ逃げ部86が形成されているので、板状部材T1を曲げ加工したときに、隅部に板状部材T1が密集して干渉するのを回避できるとともに、隅部に曲げ応力が集中するのを防止できる。したがって、板状部材T1を曲げ加工したときに、不具合が発生するのを確実に防止できる。
【0069】
また、U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81は、樹脂材料によりモールドされているので、U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81の間に入り込んだ樹脂材料により、各バスバー間の絶縁を確保できる。また、従来技術では、バスバーホルダの軸方向に開口する溝部に各バスバーを挿入して配置していたため、製造工程が煩雑となるおそれがあった。これに対して、本実施形態によれば、樹脂材料によりモールドするだけでU相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81を簡単に保持できる。したがって、製造工程の簡素化により製造コストを低減できる。
【0070】
また、本実施形態のバスバーユニット17の製造工程によれば、金属板材Tから長尺の板状部材T1を打ち抜くプレス工程を備えているので、従来技術のように金属板材から環状やC字状の部材を打ち抜く場合と比較して、歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。また、本実施形態のバスバーユニット17の製造工程は、板状部材T1の幅方向Hとバスバーユニット17の径方向とが一致するように、板状部材T1を曲げ加工する曲げ工程を有しているので、長尺の板状部材T1を曲げ加工して容易にC字状のバスバーを形成できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、低コストであるとともに、軸方向かつ径方向に小型なブラシレスモータ1を形成できる。
【0072】
(第一実施形態の各変形例)
図11は、第一実施形態の第一変形例に係る中性点用バスバー81の説明図である。
図12は、第一実施形態の第二変形例に係る中性点用バスバー81の説明図である。
続いて、第一実施形態の各変形について説明をする。
第一実施形態において、中性点用バスバー81は、隣り合うバスバーピース82同士を連結する連結部83を備えており、連結部83は、非変形部84と、非変形部84の周方向における両端に設けられた変形部85とを備えていた(
図6参照)。
これに対して、連結部83は、第一実施形態の形状に限定されることはなく、以下のような各変形例に係る連結部83であってもよい。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0073】
図11に示すように、第一実施形態の第一変形例に係る中性点用バスバー81は、連結部83の幅(径方向幅)がバスバーピース82同士間わたって同一となるとともに、バスバーピース82の幅よりも狭くなっている。すなわち、連結部83は、全体が変形部85となっている。なお、曲げ工程では、例えば治具等を用いることにより、連結部83が全体にわたって所定の曲率半径を有するように曲げ加工するのが望ましい。このように、連結部83の全体が変形部85となっている場合であっても、長尺の板状部材T1を容易に曲げ加工して中性点用バスバー81を形成できるので、製造コストを低減しつつ、バスバーユニット17を小型化できる。とりわけ、連結部83の全体にわたって曲げることができるので、連結部83の特定箇所に曲げ応力が集中するのを確実に抑制できる。
【0074】
図12に示すように、第一実施形態の第二変形例に係る中性点用バスバー81は、連結部83が、非変形部84と、非変形部84の周方向における両端に設けられた変形部85とを備えるとともに、非変形部84の径方向の内側面に、径方向の外側に凹む弧状部84bが形成されている。
曲げ工程では、弧状部84bが当接可能な位置決めピン98を用いて非変形部84の位置決めをしつつ曲げ加工を行う。このように、非変形部84に弧状部84bを設けることで、連結部83を位置決めしつつ中性点用バスバー81を形成できる。とりわけ、連結部83を位置決めしつつ、塑性変形しやすい変形部85のみを確実に変形させることができるので、曲げ加工の後に、いわゆるスプリングバックによって中性点用バスバー81の曲率半径が変化するのを効果的に抑制できる。
【0075】
(第二実施形態)
図13は、第二実施形態に係るバスバーユニット17の斜視図である。
第一実施形態に係るバスバーユニット17は、U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81が、軸方向に所定間隔を開けて積層された状態でモールドされることにより、樹脂モールド体46によって保持されていた(
図3参照)。
これに対して、
図13に示すように、第二実施形態に係るバスバーユニット17は、円筒状のバスバーホルダ146により保持されている点で、第一実施形態とは異なっている。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0076】
第二実施形態に係るバスバーユニット17は、円筒状のバスバーホルダ146を備えている。バスバーホルダ146は、例えば予め樹脂材料により形成されており、外周面には、周方向に沿って4本の略環状の溝部146a〜146dが軸方向に平行に並んで形成されている。
各溝部146a〜146dの幅は、それぞれU相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81の各バスバーの厚さと略同一となっている。
各溝部146a〜146d内には、それぞれU相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81の各バスバーが、径方向の外側から挿入配置される。
【0077】
図14は、第二実施形態に係るバスバーユニット17の製造工程の説明図である。なお、
図14では、第一実施形態の第一変形例に係る中性点用バスバー81をバスバーホルダ146に組み付ける場合を図示している。
図14に示すように、バスバーユニット17の製造工程は、曲げ工程を有している。曲げ工程では、板状部材T1を中性点用バスバー81用の溝部146dに挿入しつつ、板状部材T1の幅方向Hとバスバーホルダ146の径方向(すなわちバスバーユニットの径方向)とが一致するように、板状部材T1を曲げ加工する。このとき、溝部146d内において、板状部材T1をバスバーホルダ146に対して巻き付けるように曲げ加工を行う。これにより、特別な治具を使用することなく、かつバスバーホルダ146を治具替わりにして板状部材T1を曲げ加工を行い、バスバーホルダ146に中性点用バスバー81を組み付けることができる。
【0078】
U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wについても、同様にバスバーホルダ146に組み付けることができる。すなわち、3枚の板状部材T1をそれぞれ同様に溝部146a〜146cに挿入しつつ、板状部材T1の幅方向Hとバスバーホルダ146の径方向(すなわちバスバーユニットの径方向)とが一致するように、それぞれの板状部材T1を曲げ加工することにより、バスバーホルダ146にU相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wを組み付けることができる。
【0079】
第二実施形態によれば、予めバスバーホルダ146の外周面に溝部146a〜146dが形成され、この溝部146a〜146dに板状部材T1を挿入しつつ板状部材T1を曲げ加工することにより、中性点用バスバー81、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wを形成するので、歩留まりを向上して製造コストを低減しつつ、樹脂モールド以外の方法により各バスバーを保持できる。
【0080】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0081】
上述の各実施形態では、ブラシレスモータ1は、例えば、電動パワーステアリング装置に用いられるものである場合について説明した。しかしながら、ブラシレスモータ1の適用は電動パワーステアリング装置に限定されることはなく、様々な電装品にブラシレスモータ1を適用することが可能である。
【0082】
上述の各実施形態では、内部に不図示のラック軸が挿入される中空の回転軸部材22を備えるロータ3と、ステータハウジング11のブラケット4とは反対側の端部に設けられたバスバーユニット17を有するブラシレスモータ1を例に本発明を説明した。しかしながら、本発明は、中実の回転軸部材からなるロータと、ステータハウジングとブラケットとの間に設けられたバスバーユニットからなる小型のブラシレスモータにも適用可能である。
【0083】
また、上述の各実施形態では、ブラシレスモータ1を例に本発明を説明した。しかしながら、本発明の適用は、ブラシレスモータ1に限られることはなく、バスバーユニット17を備えた種々の電動モータに対して適用ができる。
【0084】
U相用バスバー47U、V相用バスバー47V、W相用バスバー47Wおよび中性点用バスバー81の形状は、上述の各実施形態に限定されない。例えば、各相用端子49U,49V,49Wおよび中性点用端子89の個数やピッチ角等は、ブラシレスモータ1の相数等に対応して任意に設定できる。
【0085】
各実施形態では、中性点用バスバー81が、バスバーピース82と連結部83とを備えた構成を例に説明をした。これに対して、U相用バスバー47U、V相用バスバー47VおよびW相用バスバー47Wが、それぞれバスバーピース82と連結部83とを備えていてもよい。
【0086】
各実施形態では、中性点用バスバー81が、3個のバスバーピース82と、隣り合うバスバーピース82同士を連結する連結部83と、を備えている場合を例に説明をした。これに対して、バスバーピース82の個数は3個に限定されない。したがって、バスバーピース82の個数は、2個でもよいし、4個以上であってもよい。
【0087】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。