(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267917
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】自転車用荷籠カバー
(51)【国際特許分類】
B62J 9/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
B62J9/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-211527(P2013-211527)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-74324(P2015-74324A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−006688(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3180643(JP,U)
【文献】
特開2000−108970(JP,A)
【文献】
特開2013−121807(JP,A)
【文献】
実開平07−013682(JP,U)
【文献】
実開平05−078691(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00
B62J 19/00
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に開口部を有する袋形状の本体部からなり、前記開口部を下に向けて自転車に取り付けた荷籠の全体を内部の荷物と共に上から被せるように被覆することができる自転車用荷籠カバーにおいて、
前記本体部は、略矩形形状の表側シート部材(11)と、前記表側シート部材(11)と略同一形状の裏側シート部材(12)と、これらの両側縁部のそれぞれに配置される略矩形形状の襠部シート部材(13, 14)とからなり、
それぞれの襠部シート部材(13, 14)は、その中央縦方向を折目として折り畳まれ、表側シート部材(11)と裏側シート部材(12)の上縁部の接着において、この上縁部の接着と同時に両側の襠部シート部材(13, 14)の上縁部の全体を共に接着し、襠部シート部材(13, 14)の両側縁部は表側及び裏側シート部材(11, 12)の縦方向側縁部に接着され、これにより前記本体部は下端に開口部を有し、畳まれた状態では平面状を成し、広げられて荷籠を被覆できる状態でボックス形状を呈するものとなり、
本体部を平面状に畳んで、それぞれの2つ折りにされた襠部シート部材(13, 14)において、その襠部シート部材(13, 14)の重ね合わせ面の上方部分の対応する位置に少なくとも一対の係止部材(21, 21, 22, 22, 23, 23, 24, 24)を設け、これら少なくとも一対の係止部材(21, 21, 22, 22, 23, 23, 24, 24)を相互に係止することにより、本体部が広げられた際に、本体部の内容積が小さく限定され、
本体部の下端周縁部の全体又はその一部には、伸縮自在の弾性部材(25)を設けて下端開口部の開口を拡縮させることができることを特徴とする自転車用荷籠カバー。
【請求項2】
前記一対の係止部材(21, 21, 22, 22, 23, 23, 24, 24)が留めホック又は面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の自転車用荷籠カバー。
【請求項3】
裏側シート部材(12)の下端中央部から上方に向かって切欠部(16)を設け、この切欠部(16)が自転車のハンドルポストに設けられた荷籠支持部に適合することを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用荷籠カバー。
【請求項4】
前記切欠部(16)の周縁部に補強テープ(18)を設け、本体部の下端部に設けられた弾性部材(25)は、切欠部(16)以外の部分に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の自転車用荷籠カバー。
【請求項5】
本体部が柔軟な合成樹脂製の透明シート状体からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の自転車用荷籠カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の前部ハンドル部や後部荷台部に取り付けた荷籠を被覆することができる荷籠カバーに関するものであって、とりわけ荷籠内に荷物を収納した状態で、その荷物と共にその全体を上からカバーできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の荷籠カバーとしては、下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
特許文献1に記載の発明にあっては、カバー本体部の略四辺形の上端開口部の3辺が上方に延長し、蓋部が水平状態から斜めに傾斜した状態にまで変更でき、内容積が拡張するものである。
【0003】
特許文献2に記載の考案では、カバー本体部の開口部が下面側に設けられ、その下面側にバンド部材を設け、このバンド部材の適宜位置に係止具を設けたことを特徴とするものであり、このカバーが本願発明と同タイプのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3517775号公報
【特許文献2】実用新案登録第3133865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の荷籠カバーには、蓋部が備わり、本願発明とはそのタイプが異なるが、下端に開口部を有し、当該開口部を下に向けて、荷籠の上からすっぽりとその全体を被覆する上記特許文献2に記載の荷籠カバーとは同タイプのものである。
本願発明においては、この後者のタイプと同様に、本体部の下端に開口部を有し、当該開口部を下に向けて、荷籠の上から内部に収納された荷物と共にその全体を被覆することができる荷籠カバーを提案するものであって、且つ、その内容積を簡単に変更できるものを提供することをその課題としている。
【0006】
というのも、上記特許文献2に記載の考案では、荷籠に収納される荷物の多寡は全く考慮されていなかったからである。
即ち、荷籠から荷物がはみ出すような場合には、上記特許文献2に記載の荷籠カバーでは、その下端部が荷籠の下端部を被覆することができず、荷籠の全体を被覆出来ないという問題(降雨時には収納した荷物が濡れてしまう。)が生じ、他方、これに対処するために、予めカバーの上下長さを長く形成しておくと、今度は、荷物が荷籠内部に完全に収納された状態では、カバーの下端部が荷籠の下端部から下方に垂れ下がり、その結果、カバーの下端部がタイヤに触れて、汚損するという問題が生じるのである。
これを解決するために、上記特許文献1に記載の荷籠カバーを利用しようとすると、その取り付けは瞬時に行うことはできず、従って、買い物途中でゲリラ豪雨等に会った際には間に合わないのである。
【0007】
更に、本願発明においては、上記の通り、昨今頻繁に生じているゲリラ豪雨等の対策のために、買い物途中でこのゲリラ豪雨等に出くわした際に、内部の荷物と共に荷籠を極めて簡単に直ちに被覆できる荷籠カバーを提供することを目的としており、従って、不使用時には小さく折り畳めるものが相応しい。
それ故、不使用時には、小さく折り畳むことができる荷籠カバーを提供することも本願発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、下端部に開口部を有する袋形状の本体部からなり、前記開口部を下に向けて自転車に取り付けた荷籠の全体を内部の荷物と共に上から被せるように被覆することができる自転車用荷籠カバーにおいて、前記本体部は、略矩形形状の表側シート部材と、前記表側シート部材と略同一形状の裏側シート部材と、これらの両側縁部のそれぞれに配置される略矩形形状の襠部シート部材とからなり、それぞれの襠部シート部材は、その中央縦方向を折目として折り畳まれ、
表側シート部材と裏側シート部材の上縁部の接着において、この上縁部の接着と同時に両側の襠部シート部材の上縁部の全体を共に接着し、襠部シート部材の両側縁部は表側及び裏側シート部材の縦方向側縁部に接着され、これにより前記本体部は下端に開口部を有し、畳まれた状態では平面状を成し、広げられて荷籠を被覆できる状態でボックス形状を呈するものとなり、本体部を平面状に畳んで、それぞれの2つ折りにされた襠部シート部材において、その襠部シート部材の重ね合わせ面の上方部分の対応する位置に少なくとも一対の係止部材を設け、これら
少なくとも一対の係止部材を相互に係止することにより、本体部が広げられた際に、本体部の内容積が小さく限定され、本体部の下端周縁部の全体又はその一部には、伸縮自在の弾性部材を設けて下端開口部の開口を拡縮させることができることを特徴とする自転車用荷籠カバーである。
【0009】
ここで、表側シート部材及び裏側シート部材において、表側及び裏側というのは、使用時、表側が自転車の前方方向側を意味し、裏側がその反対方向側を意味する(以下同じである。)。
【0010】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記一対の係止部材が留めホック又は面ファスナーであることを特徴とする自転車用荷籠カバーである。
【0011】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、裏側シート部材の下端中央部から上方に向かって切欠部を設け、この切欠部が自転車のハンドルポストに設けられた荷籠支持部に適合することを特徴とする自転車用荷籠カバーである。
【0012】
本発明の第4のものは、上記第3の発明において、前記切欠部の周縁部に補強テープを設け、本体部の下端部に設けられた弾性部材は、切欠部以外の部分に設けられていることを特徴とする自転車用荷籠カバーである。
【0013】
本発明の第5のものは、上記何れかの発明において、本体部が柔軟な合成樹脂製の透明シート状体からなることを特徴とする自転車用荷籠カバーである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のものにおいては、本体部が、表側シート部材と、裏側シート部材と、これらの両側縁部のそれぞれに配置される襠部シート部材とからなり、それぞれの襠部シート部材は、その中央縦方向を折目として折り畳まれ、襠部シート部材の上縁部は前記表側及び裏側シート部材の上縁部と共に接着され、襠部シート部材の両側縁部は表側及び裏側シート部材の縦方向側縁部に接着され、これにより前記本体部は下端に開口部を有し、畳まれた状態では平面状を成し、広げられて荷籠を被覆できる状態でボックス形状を呈するものとなり、これらの構成部材により容易に製作することができる。
【0015】
そして、本体部を平面状に畳んで、それぞれの2つ折りにされた襠部シート部材において、その襠部シート部材の重ね合わせ面の上方部分の対応する位置に少なくとも一対の係止部材を設け、これら一対の係止部材を相互に係止することにより、本体部が広げられた際に、本体部の内容積が小さく限定される。
即ち、上記係止部材を相互に係止した状態で、本体部の内容積は小さくなり、これらの係止部材を相互に開放した状態で、本体部の内容積は最大のものとなる。
【0016】
このように、内容積を大小変更できるようにした理由は、荷籠内に大きな荷物を収納した場合、又は多くの荷物を収納してこれらの荷物が荷籠の上方開口から外部にはみ出した状態となった際に、これら荷物と荷籠の全体を被覆できるようにするためには、荷籠カバーの上下方向の長さを当然荷籠の上下長さよりも大きくする必要があるからである。
【0017】
他方、収納する荷物が少なく、荷物が荷籠の内部に収まった状態では、荷籠カバーの上下長さが荷籠の上下長さよりも大きくした場合には、荷籠カバーの下端部が荷籠の下方にまで垂れ下がり、荷籠カバーの下端部がタイヤに触れて、汚れてしまう。或いは、タイヤに触れて損傷してしまうという問題が生じるのである。
このような問題を解決するために、本願発明に係る荷籠カバーが創案されたのである。
即ち、上記のように係止部材を相互に係止するだけで、その内部容積が小さくなり、その結果、荷籠カバーの下端部は、荷籠の下端から下に垂れ下がることが防止され、それ故、荷籠カバーの下端部は汚損することが無くなるのである。
【0018】
本発明の第2のものは、上記一対の係止部材を具体化したものであって、点で係止できる留めホックや、線状に係止できる面ファスナー等を使用できることを特定したものである。
【0019】
本発明の第3のものにおいては、上記の第1又は第2の発明において、裏側シート部材の下端中央部から上方に向かって切欠部を設け、この切欠部が自転車のハンドルポストに設けられた荷籠支持部に適合できるようにしたものである。
これにより、本発明に係る荷籠カバーをハンドルポストに保持された前部荷籠(前籠)に適用することができるものとなる。
【0020】
本発明の第4のものにおいては、上記第3の発明において、切欠部の周縁部に補強テープを設けて、切欠部周縁部の補強を行い、本体部の下端部に設けられた弾性部材は、切欠部以外の部分に設けたものであり、本体部の下端周縁部をより具体化したものである。
【0021】
本発明の第5のものにおいては、本体部の全体を柔軟な合成樹脂製の透明シート状体から形成したものであり、カバーを被覆後、荷籠内の荷物を外部から視認できること、そして不使用時には容易に折り畳むことができるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の荷籠カバーに係る一実施形態の分解説明図である。
【
図2】上記実施形態を図示し、その(A)が斜視図、その(B)が開口部側の底面説明図である。
【
図3】上記実施形態に係る荷籠カバーを自転車の前籠に被覆した状態を示す説明図であって、この図では、前籠内に荷物が収容され、この荷物は前籠よりも大きく、前籠の上方に飛び出した状態に収容されたものである。
【
図4】上記実施形態に係る荷籠カバーの内容積を小さくした状態で、荷籠をカバーした状態を図示するものであり、その(A)が荷籠に被覆した直後の状態、その(B)が本体部の上方部分を折曲した状態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る荷籠カバーに係る一実施形態の分解説明図を示している。この図においては、図示の都合上、上下の縦方向を横向きにして表現しており、図中Uが上方向を、図中Dが下方向を示している。以下、この横方向を上下(縦)方向として説明する
【0024】
本発明に係る荷籠カバーの本体部は、表側シート部材11と、裏側シート部材12と、これら両者の両側縁部に配置される襠部シート部材13、14とから成る。
これらの構成部材は、全て透明のEVA樹脂(エチレン酢酸ビニルコポリマー)から形成されている。
【0025】
表側シート部材11と裏側シート部材12とは、略同一形状を有しており、両者共に略長方形形状を有する。
これら表側及び裏側シート部材11、12の両側縁部(図では上下の両側縁部)のそれぞれに、襠部シート部材13、14が配置される。
【0026】
襠部シート部材13、14は、縦長の略長方形形状を有し、その中央縦方向に折目13f、14fを設け、この折目13f、14fに沿って二つ折りしている。
これら二つ折りした襠部シート部材13、14の折目13f、14fを内側に配置して、即ち対称に配置して表側シート部材11及び裏側シート部材12と接着(熱溶着)される。
【0027】
即ち、襠部シート部材13の上縁部13uは、裏側シート部材12の上縁部12uに接着され、襠部シート部材13の上縁部13vは、表側シート部材11の上縁部11uに接着され、襠部シート部材14の上縁部14uは、裏側シート部材12の上縁部12uに接着され、襠部シート部材14の上縁部14vは、表側シート部材11の上縁部11uに接着される。
【0028】
他方、襠部シート部材13の下縁部13sは、裏側シート部材12の下縁部12sに接着され、襠部シート部材13の下縁部13tは、表側シート部材11の下縁部11sに接着され、襠部シート部材14の下縁部14sは、裏側シート部材12の下縁部12sに接着され、襠部シート部材14の下縁部14tは、表側シート部材11の下縁部11sに接着される。
【0029】
このようにして、
図2(A)に示す荷籠カバーの本体部が形成される。
図2は、上記実施形態を図示し、その(A)が斜視図、その(B)が開口部側の底面説明図である。
図1に示した構成部材の適宜必要個所を接着して本発明に係る荷籠カバーの全体が形成される。
【0030】
図2(A)の斜視図から解る通り、紙面裏側に表側シート部材11が位置し、紙面手前側に裏側シート部材12が位置し、これら両者の両側縁部には襠部シート部材13、14が配置している。
また、裏側シート部材12の下端中央部から上方に向かって切欠部16が形成されているが、この切欠部16は、自転車の前籠の背面側の前籠支持部が適合する部分である。
【0031】
この切欠部16の周縁部には補強テープ18を縫着しているが、この補強テープ18は布製の細長テープを利用して、切欠部16の周縁部の上面及び下面の両面を被覆するように設けている。
【0032】
尚、この
図2(A)では、本体部の下端周縁部に設けられるべきゴム紐等の弾性部材の図示は、下端部の構成の明瞭化のために、省略している。
即ち、この図の下端部において、表側シート部材11、裏側シート部材12、両側の襠部シート部材13、14の構成が明瞭に現れるからである。
【0033】
そして、本発明の特徴部分である係止部材21、21、22、22、23、23、24、24が一対ずつ、襠部シート部材13、14のそれぞれの重ね合わせ面の上方部分に設けられている。
これらの一対の係止部材21、21(その他の係止部材22、22、23、23、24、24の構成も同じである。)は、雄雌の留めホックから形成されており、これらの雄雌留めホックを相互に係止することにより、これらの留めホックの部位で重ね合わされた襠部シート部材13、14が拡開しないこととなるのである。
【0034】
これによって、本体部が広げられてもその内容積は係止部材21、21、22、22、23、23、24、24が係止された部分で襠部シート部材13、14が広がらず、その内容積が小さく限定されるのである。これについては、後の図を用いて更に詳説する。
図2(B)は、上記(A)図に示した本体部の切欠部16を除く下端部分にゴム紐等の弾性部材を挿通した状態の底面図である。
【0035】
このように本体部の下端周縁部に弾性部材25が切欠部16の部分を除き挿通されることにより、下端開口部20の開口がすぼまり、収縮した状態となる。
使用に際しては、この開口部20を拡開して、荷物が収納した荷籠に上からすっぽりと被せ、その後手を離せば、開口部が収縮して荷籠の底面角部に引っ掛かり、被覆取り付けが完了する。
【0036】
尚、説明するまでもないが、上記弾性部材25は、本体部の下端周縁部に形成された挿通部内に挿通されて形成されるが、ゴム紐等の弾性部材25の長さを、本体部の下端周縁部の長さよりも短いものを配設して、その両端部を縫着して固定することにより、本体部の下端周縁部が収束された状態に維持され、使用する際には、この下端周縁部を拡開して、荷籠に被せ、被せた後には本体部の下端開口部が収束して簡単に取り付けることができるものである。この構成は従来のものと同じである。
【0037】
また、
図2(B)においては、この弾性部材25を挿通している関係上、その底面図はその本体部の下端部分の厚みが厚く表現されており、
図2(A)においては、この弾性部材を挿通する前の状態であるために、その全体が平面状に表現されている。尚、
図2(A)においては、本体部下端の弾性部材の挿通部の図示は省略している。
【0038】
図3は、上記実施形態に係る荷籠カバーを自転車の前籠に被覆した状態を示す説明図であって、この図では、前籠N内に荷物Bが収容され、この荷物Bは前籠Nよりも大きく、前籠Nの上方に飛び出した状態に収容されたものである。
このような場合には、一対4組(左右二対ずつ)の係止部材21、21、22、22、23、23、24、24は相互に分離した状態として、襠部シート部材13、14の全体が拡開できるようにしておくのである。
図3がこの状態を示している。
この
図3の状態で、荷籠カバーの内容積は最大のものとなる。
【0039】
使用に際しては、上記の係止部材21、21、22、22、23、23、24、24の全てを開放して、下端開口部から荷物と共に前籠の全体を被覆すればよいのである。
本体部の下端部にはゴム紐等の弾性部材が挿通されているために、簡単に荷籠の下端角部に引っ掛けることができ、簡単に装着が完了する。
【0040】
図4は、上記実施形態に係る荷籠カバーの内容積を小さくした状態で、荷籠にカバーした状態を図示するものであり、その(A)が荷籠に被覆した直後の状態、その(B)が本体部の上方部分を折曲した状態を図示している。
【0041】
この図に示した状態は、襠部シート部材13、14の重ね合わせ面の上方部分に設けられた一対4組(左右二対ずつ)の係止部材21、21、22、22、23、23、24、24の全てを相互に係止し、この状態で荷籠Nに被覆するのである。
荷籠N内の荷物Bは、荷籠の内部にその全てが収容されているために、すべての係止部材を相互に係止した状態で、その内容積は、最小のものとなっており、この実施形態では、その内容積を荷籠の体積と略同一としているのである。
【0042】
上記と同様に、荷籠カバーの本体部の下端開口部を下に向け、前籠Nに上から被覆することにより、荷籠Nの全体を被覆することができ、本体部の下端部に設けた弾性部材の収縮力により荷籠の底面角部に簡単に引っ掛けて固定することができる。
【0043】
その後、係止部材21、21、22、22、23、23、24、24を相互に係止した表側シート部材11及び裏側シート部材12の部分を前方又は後方に折り畳めば、荷籠の全体の被覆が完了する。
尚ここで、係止部材の係止を一部に限定することにより、つまり、上方の左右一対の係止部材22、22、24、24にみを係止することにより、本体部の内容積を上記の場合よりも少し大きく設定することができるのである。
【0044】
従って、それぞれの襠部シート部材13、14の上方部分に係止部材を左右二対以上設けることにより、これら各対の係止部材を選択的に係止することにより、本体部の内容積を適宜変更することができることとなるのである。
【0045】
但し、この係止部材として面ファスナーを使用する場合には、例えば、両側のそれぞれの襠部シート部材の重ね合わせ面の上方側縁部に一対の面ファスナーを設けて実施する場合には、係止部材が上記のような点での係止でなく、線状に係止されるために、その係止範囲を適宜限定することにより、本体部の内容積を適宜小さく変更することができることとなる。
【0046】
これにより、荷籠内の荷物のはみ出し具合に応じて、適宜係止部材を選択して相互に係止して使用することができることとなるのである。
以上のように、本発明に係る荷籠カバーにおいては、例えば、ゲリラ豪雨が発生した際等に、折り畳まれた当該荷籠カバーの係止部材を適宜選択して相互に係止し、その後拡開して荷籠及び荷物を直ぐにカバーすることが出来ることとなるのである。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその実施形態を種々設計変更することができる。
表側シート部材、裏側シート部材、襠部シート部材のサイズは、自由に設計することができる。即ち、各種自転車の荷籠のサイズに適合させればよい。
その材質も自由に選択することができ、勿論、透明又は半透明のものでなくともよい。
その材質は、柔軟なものが好ましい。折畳み自在と成すためである。
各構成部材の接着箇所は、熱溶着でなく、接着材による接着であってもよい。
【0048】
本発明においては、その接着箇所において、表側シート部材と裏側シート部材の上縁部の接着において、この上縁部の接着と同時に両側の襠部シート部材の上縁部の全体を共に接着している点が一つの特徴となっており、この構成を採用することにより、極めて良好にその内容積又は体積が大小良好に変更され、しかも簡単に平面的に折り畳まれるものとなるのである。
【0049】
本体部の下端周縁部に設ける弾性部材も、ゴム紐でなく、伸縮性のない紐部材でもよく、これを下端周縁部に設けた挿通部内に挿通し、両端部を固縛する形式のものであってもよい。
切欠部の周縁部に設けた補強テープも任意に設けることができ、この補強テープの材質も自由に選択することができる。
【0050】
最後に、本発明においては、上記実施形態において、一対の係止部材として留めホックを利用したが、既に述べた通り、留めホック以外に、これを面ファスナーで実施することもできる。
面ファスナーを利用する場合には、二つ折りされたそれぞれの襠部シート部材の重ね合わされた面の上方部分、特にその上方部分の両側縁部に面ファスナーを一対又は二対以上設けてもよいし、その上方部分の側縁部の全体に面ファスナーを一対のみ設けて実施することも可能である。
【0051】
以上、本発明は、簡易な構成ではあるが、簡単にスピーディにカバーを荷籠及びその内容物に上から被せることができ、買い物途中でゲリラ豪雨等に出くわした際も、極めて簡単に荷籠及び収納荷物のサイズに合わせてその内容積を変更して被覆することができる極めて便利な荷籠カバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0052】
11 表側シート部材
12 裏側シート部材
13、14 襠部シート部材
16 切欠部
18 補強テープ
20 開口部
21、22、23、24 係止部材
25 弾性部材