【実施例】
【0014】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部の先端方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
【0015】
サイドノック式筆記具Aは、
図1に示すように、軸筒10と、該軸筒10の前端に接続された先口20と、軸筒10内で進退するように設けられたリフィール30と、該リフィール30に固定された係合部材40と、軸筒10の前側でリフィール30を進退操作可能な操作部材50と、リフィール30及び係合部材40を後方へ付勢する付勢部材60と、軸筒10の後端側に開閉可能に設けられたクリップ70と、該クリップ70を閉鎖方向へ弾発する弾発部材80とを備える。
【0016】
軸筒10は、長尺筒状(図示例によえば長尺円筒状)に形成され、その前端側の開口部に先口20を接続するとともに、後端側を閉鎖している。なお、軸筒10の他例としては、前軸と後軸等の複数の筒体を接続してなる態様や、後端部に別体の尾栓を接続した態様、先口20を一体に有する態様等とすることも可能である。
図示例の軸筒10の周壁の前側と後側には、
図5に示すように、操作部材50を径方向へ貫通させるための操作部材用貫通孔11と、クリップ70を径方向へ貫通させるクリップ用貫通孔12とが設けられる。
【0017】
操作部材用貫通孔11は、軸筒10の周壁前側の把持部位を径方向へ貫通する矩形状の孔である(
図5参照)。軸筒10外周面において、操作部材用貫通孔11の前半部側の周囲には、軸筒10の周壁を部分的に凹曲状に凹ませた凹曲面部11aが設けられる。この凹曲面部11aは、後述する操作部材50を押す指を軸筒径内方向へ沈み込ませて、操作部材50に対する操作性を向上する。
【0018】
クリップ用貫通孔12は、軸筒10の周壁後端寄りを径方向へ貫通する略矩形状の孔であり、
図1に示すように、クリップ70のクリップ支持部72、開閉操作部71b及び弾発部材80を軸筒10内へ挿入する。
【0019】
また、軸筒10外周面の後部側には、クリップ本体71の内面に対向する部分の全てを、他の部分よりも軸筒径内方向へ没入させたクリップ没入部13が設けられる(
図1及び
図5参照)。
このクリップ没入部13は、軸筒10の円筒状の外周面輪郭(あるいは、軸筒10外周面の前側の部分)よりも径内方向へ凹んでおり、前後方向へわたって略平坦に形成される。
そして、このクリップ没入部13の軸筒径方向の深さは、図示例によれば、クリップ本体71が、その厚みの半分以上を軸筒内側へ沈み込ませて表面を軸筒10外周面輪郭から若干突出させるように、適宜に設定される(
図1参照)。
このクリップ没入部13は、クリップ本体71を軸筒径内方向へ没入させて、該クリップ本体71が軸筒10の外周輪郭から突出する寸法を小さくしている。
【0020】
また、軸筒10外周面におけるクリップ没入部13の前側には、傾斜面14が設けられる(
図1及び
図5参照)。この傾斜面14は、前方側からクリップ没入部13面へ徐々に傾斜する面であり、クリップ没入部13とクリップ本体71との間に、紙や衣服のポケット等の被挟持物を挟む際に、該被挟持物をスムーズに導く。
【0021】
また、軸筒10内周面において、操作部材用貫通孔11と径方向に対向する部分には、ガイド凸部16a及びガイド凹部16bが設けられる(
図5及び
図2〜
図4参照)。
【0022】
ガイド凸部16aは、クリップ幅方向(
図2の左右方向)に間隔を置いて二つ設けられる(
図2及び
図3参照)。各ガイド凸部16aは、前後方向へ連続する略レール状の突起であり、少なくとも操作部材50と接触する前後方向の範囲に設けられる。
二つのガイド凸部16a,16aのクリップ幅方向の両側には、操作部材50の延設支持部52が嵌り合う(
図3(IV)参照)。
【0023】
ガイド凹部16bは、前後方向へわたって連続する凹部であり、少なくとも係合部材40と摺接する前後方向の範囲に設けられる。図示例のガイド凹部16bは、操作部材用貫通孔11の前後方向範囲においては、
図2〜
図3に示すように二つのガイド凸部16a,16aの間に位置する。
このガイド凹部16bには、後述する係合部材40が嵌り合い前後方向へ案内される。
【0024】
また、先口20は、先窄み円錐筒状に形成され、軸筒10の前端側に螺合接続され、リフィール30の前端側を進退可能に挿通する。この先口20内の段部には、付勢部材60(圧縮コイルバネ)の前端部が受けられる。
【0025】
また、リフィール30は、前部側の繰出機構部31が先口20内の段部に前進不能に係止された状態で、後部側の芯タンク32が進退されることで鉛芯を繰出すシャープペンシル用リフィールであり(
図9参照)、芯タンク32の後端部を係合部材40に接続している。
繰出機構部31は、複数の爪を放射状に配置したチャック、該チャックの周囲に嵌脱するチャックリング、チャック前方側で鉛芯を環状に緩く保持する芯ホルダー等を備え、前記チャックの進退動作により芯タンク32から供給される鉛芯を送り前端の筆記部から繰り出す周知の機構であり、圧縮スプリングに弾発された状態で芯タンク32に相対し進退するように接続される。
【0026】
係合部材40は、リフィール30と一体的に進退可能な部位であり、
図7に示すように、リフィール30の前後方向の途中箇所を保持する保持部41と、該保持部41から後方へ延設された接続部42と、該接続部42の後端に接続されてリフィール30の後端部に着脱可能に圧入固定される圧入部43と、保持部41よりも後側で後述する操作部材50の仮係止部54に当接される被係止部44と、軸筒10内周面のガイド凹部16bに嵌り合う被ガイド部45とを有し、可撓性を有する合成樹脂材料から一体に成型されている。なお、鉛芯の消耗に伴ってリフィール30を交換する際には、この係合部材40からリフィール30が外される。
【0027】
保持部41は、リフィール30を挿通するとともに、操作部材50が軸筒径内方向へ撓んだ際に該操作部材50の被押圧片部51に摺接される部材である。この保持部41は、図示例によれば、略円筒状に形成され、その後端側の外周部に、操作部材50の内面に摺接されて前方へ押し動かされる被摺接面41aを有する。被摺接面41aは、後方斜め操作部材50側へ突出し、操作部材50の複数の摺接突起51c,51c(
図6参照)を受けている。
【0028】
接続部42は、軸筒10内周面における反リフィール30側の部分に沿って後方へ延設された長尺状に形成され、その後端に圧入部43を接続している(
図7参照)。
【0029】
圧入部43は、リフィール30の後端を圧入可能な形状であればよく、図示例によれば、略角筒状に形成され、その内面にリフィール30を不動に保持している。
【0030】
被係止部44は、係合部材40後端における被押圧片部51側の部分から後方へ突出する長尺片状を呈し、その突端を軸筒径内方向へ凹む段状に形成してなる(
図7(b)参照)。この被係止部44は、仮係止部54に対する当接面を、軸筒軸方向に対し略直交するように形成している。
【0031】
被ガイド部45は、接続部42及び圧入部43における反操作部材50側に、軸筒前後方向へわたって設けられた長尺矩形状の突起であり、軸筒10内周面のガイド凹部16bに、前後方向へ摺動可能に嵌り合っている(
図2〜
図4参照)。この被ガイド部45は、係合部材40及び該係合部材40と一体的なリフィール30の進退を案内する。
【0032】
また、操作部材50は、
図6に示すように、前端側を自由端とする片持ち状に前方へ延設された被押圧片部51と、被押圧片部51に対し軸筒径方向の反対側(
図1及び
図6によれば下方側)に間隔を置きながら前方へ延設された延設支持部52と、これら被押圧片部51と延設支持部52とをこれらの後端側で接続する接続部53と、係合部材40の被係止部44に係脱可能な仮係止部54と、軸筒10周壁に掛止される第一の係止部55及び第二の係止部56とを一体に有する側面視略横向きU字状に形成される。
この操作部材50は、被押圧片部51と延設支持部52との間が、前方へ向かって広がるように一体成型され(
図6(b)参照)、前記間を狭めるように弾性変形させて軸筒10内に収納されている(
図1参照)。
【0033】
被押圧片部51は、前後方向へわたる略矩形平板状の表部51aと、該表部の幅方向(
図6(a)によれば上下方向)の両端から軸筒内側へ突出する側部51b,51bとを有する横断面凹状に形成され、両側部51b,51bの間には、係合部材40に摺接させるための摺接突起51c,51cが設けられる。各摺接突起51cは、前方斜め径外方向へ傾く傾斜面を有する突起である。
【0034】
表部51aの前部側には、筆記部を突出するための突出操作用被押圧部51a1が設けられる。この突出操作用被押圧部51a1は、指等により押圧された際の滑り止めとなるように、断面凹凸状に形成される。
突出操作用被押圧部51a1の幅方向の中央側には、前後方向へ延びるスリット51a2が設けられる(
図6参照)。このスリット51a2は、両側部51b,51bの幅狭方向への弾性変形を容易にすることで、操作部材50が軸筒径外方向側から軸筒10内へ挿入される際の組付け性を向上している。
【0035】
また、表部51aの後端寄りには、突出状態の筆記部を没入するための没入操作用被押圧部51a3が設けられる。
没入操作用被押圧部51a3は、図示例によれば、操作部材50の後端部寄りに形成された凹曲面状の凹みである。この表部51aの他例として、突起や凹凸、単なる平坦面等とすることも可能である。
【0036】
側部51bは、表部51aの幅方向両端側からそれぞれ軸筒内側へ突出するとともに軸筒前後方向へ延びる略板状に形成される。
各側部51bにおける外側面には、係止突起51b1が設けられる。
係止突起51b1は、
図2(II)に示すように、軸筒内へ向かって楔状に傾斜する外側面を有し、操作部材50が軸筒径方向に沿って軸筒内へ挿入される際に、操作部材用貫通孔11の内縁を乗越えてその内側に係止される。
【0037】
また、延設支持部52は、被押圧片部51に対し、軸筒径方向に間隔を置くとともに、操作部材50の幅方向へ間隔を置いて二つ設けられる(
図6及び
図2(III)参照)。
各延設支持部52は、後述する接続部53から前方へ突出し延設され、図示例によれば、被押圧片部51の約半分の長さを有する。
【0038】
接続部53は、被押圧片部51の後端側と各延設支持部52の後端側とを接続する部分である。
【0039】
また、仮係止部54は、被押圧片部51の裏側において、両側部51b,51bの間で前方へ突出する帯板状に形成される。被押圧片部51が軸筒内へ揺動した際、この仮係止部54は、その突端部により、係合部材40の被係止部44を受ける(
図8(b)参照)。
【0040】
また、第一の係止部55は、被押圧片部51の後端側を、軸筒径内方向へ凹ませた段部であり、操作部材50が通常の後退位置にある際に、操作部材用貫通孔11の後端内縁に当接する(
図8(a)(b)参照)。
そして、第二の係止部56は、第一の係止部55よりも後側で、さらに軸筒径内方向へ凹ませた段部であり、操作部材50が前進した際に軸筒径外方向へ移動して、操作部材用貫通孔11の後端内縁に当接する(
図8(c)参照)。
【0041】
そして、操作部材50は、被押圧片部51を軸筒10の操作部材用貫通孔11(
図5参照)に挿通して外部へ露出させた状態で、接続部53及び延設支持部52が軸筒10内に保持される。
詳細に説明すれば、操作部材50は、被押圧片部51の前部側の係止突起51b1を軸筒内周面に当接させ(
図2(II)参照)、第一の係止部55を操作部材用貫通孔11の後端内縁に係止し、延設支持部52の前端側を、軸筒径方向における反対側で軸筒内周面に当接させて保持される。
【0042】
また、付勢部材60は、圧縮コイルバネであり、その前端部を先口20内に当接するとともに、後端部を、係合部材40の保持部41内に挿入し、該保持部41内の段部に当接させて、係合部材40及びリフィール30を後方へ付勢している。
この付勢部材60の他例としては、係合部材40及びリフィール30を後方へ引っ張るバネや、板バネ等の他の付勢部材とすることも可能である。
【0043】
クリップ70は、
図1に示すように、軸筒外周面に沿って前後方向へわたるクリップ本体71と、該クリップ本体71の後端寄りから軸筒内側へ突出するクリップ支持部72とを一体的に具備し、クリップ支持部72を、軸筒10周壁のクリップ用貫通孔12に挿通させて、該周壁の内面よりも内側で回転可能に支持しており、クリップ本体71後部側の開閉操作部71bが押圧操作されることで、クリップ本体71前端側の当接部71a(玉部と称される場合もある)と、軸筒10外周のクリップ没入部13との間を開放する。
【0044】
また、弾発部材80は、図示例によれば、圧縮コイルバネであり、その一端部をクリップ本体71の開閉操作部71bの裏面に当接させるとともに、その他端部を軸筒10内における周壁内面に当接させて、開閉操作部71bと軸筒10との間を拡げる方向へ弾発する。
【0045】
次に、上記構成のサイドノック式筆記具について、製造手順の一例を説明する。
軸筒10に対しクリップ70を装着する際には、クリップ70の開閉操作部71b裏面側に、予め弾発部材80が装着される。そして、クリップ70は、
図1に示すように、軸筒10のクリップ用貫通孔12に対し、径外方向側から挿入され、軸筒10内で支持される。
【0046】
また、軸筒10内にリフィール30及び係合部材40等を装着する際には、リフィール30に対し係合部材40及び付勢部材60が予め嵌め合せられ、これらが、軸筒10の前端開口部から内部へ挿入され、軸筒10前端に先口20が螺合接続される。
軸筒10内にて、係合部材40は、軸筒前後方向へわたる被ガイド部45(
図7(b)参照)を、軸筒10内周面のガイド凹部16bに嵌め合せる(
図2〜
図4参照)。
【0047】
なお、前記手順において、付勢部材60は、リフィール30及び係合部材40を軸筒10内へ挿入した後で、係合部材40に装着するようにしてもよい。
また、軸筒10内にリフィール30及び係合部材40等を装着する作業は、上述したクリップ70の装着作業の前とすることも可能である。
【0048】
そして、軸筒10に操作部材50が装着される。操作部材50は、
図1に示すように、軸筒径外方向側から、延設支持部52が操作部材用貫通孔11内へ挿入される。この際、両側部51b,51bが径内方向へ撓むようにして、両係止突起51b1,51b1が操作部材用貫通孔11内縁を乗越える。そして、操作部材50の両係止突起51b1,51b1は、
図2(II)に示すように、軸筒10内側から操作部材用貫通孔11の内縁に係止され、上述したように延設支持部52及び接続部53が軸筒10内に保持される。
【0049】
次に、完成後のサイドノック式筆記具Aについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図8(a)(b)に示すように、操作部材50の被押圧片部51の前側が、軸筒内側へ押圧されると、その押圧力により被押圧片部51が軸筒内側へ揺動する。この際、被押圧片部51と延設支持部52の間が弾性的に狭まる(
図8(b)参照)。
すると、係合部材40の被摺接面41aが、軸筒内側へ揺動する被押圧片部51の摺接突起51cの傾斜面に摺接されることで、係合部材40及びリフィール30が前進し、リフィール30前端の筆記部が、先口20前端から突出し、仮係止部54の突端と被係止部44とが軸筒軸方向へ当接し合う(
図8(b)参照)。
この状態は、被押圧片部51に指等によって加えられる比較的軽い押圧力、および仮係止部54と被係止部44の当接により保持される。
【0050】
また、この状態から、筆記部を没入させる際には、被押圧片部51に対する押圧力を緩めれば、被押圧片部51が係合部材40に摺接されて元の状態に復帰し、これに伴って、仮係止部54が被係止部44から軸筒径外方向へ離脱する。
よって、筆記部(リフィール30前端)の突出状態を、被押圧片部51を軽く指で押さえる押圧力により保持でき、また、この押圧力を緩めれば筆記部を速やかに没入させることができ、ひいては、筆記する時だけ筆記部を突出させ、不使用時には筆記部を常に没入させることができる。
【0051】
また、前記のように被係止部44を押し込んだ状態(
図8(b)参照)で前進させれば、被押圧片部51後方側の第二の係止部56が軸筒内周面に係止されて(
図8(c)参照)、筆記部の突出状態を維持することができる。
詳細に説明すれば、
図8(b)に示す状態のまま操作部材50を前進させれば、被押圧片部51前端側が操作部材用貫通孔11前端縁の内側にもぐり込む。一方、被押圧片部51の後部側は、被押圧片部51と延設支持部52の間の広がり方向の弾発力(言い換えれば、弾性的な復元力)により、軸筒径外方向へ移動して、第二の係止部56を操作部材用貫通孔11後端縁に係止させる。
よって、この状態では、被押圧片部51から指を離す等して、被押圧片部51に対する押圧力を解除した場合でも、筆記部(リフィール30前端)の突出状態を維持することができる。
そして、この状態から筆記部を没入させるには、被押圧片部51後端側を指等により軸筒内側へ押圧すれば、第二の係止部56が操作部材用貫通孔11の後端縁から軸筒径内方向へ外れて、操作部材50が付勢部材60の付勢力により後退し、同時に係合部材40及びリフィール30も後退して、リフィール30前端の筆記部が没入する。この没入状態は、被押圧片部51後端の第一の係止部55が操作部材用貫通孔11の後端縁に係止されて保持される。
【0052】
また、リフィール30前端から鉛芯を繰出す場合には、被押圧片部51の前端を操作部材用貫通孔11前端縁の内側に潜り込ませるとともに第二の係止部56を操作部材用貫通孔11の後端縁に係止した状態(
図9(a)参照)から、この操作部材50を、
図9(b)に示すように、さらに前進させれば、リフィール30前端側の繰出機構部31がリフィール30内の段部に係止され前進不能になるとともに、後方側の芯タンク32が前進するため、繰出機構部31が作動して、リフィール30前端から鉛芯が繰り出される。
そして、操作部材50から前記前進方向の力が除去された際には、操作部材50、係合部材40及びリフィール30は、付勢部材60の付勢力により後退し、第二の係止部56を操作部材用貫通孔11の後端内縁に係止した状態(
図9(b)参照)に戻る。この際、繰出機構部31内では、繰出機構部31と共に後退するチャック(図示せず)により鉛芯が後退不能に挟持される。
【0053】
なお、上記実施例では、特に好ましい態様として、被押圧片部51と延設支持部52の間が前方へ向かって広がるように操作部材50を成型したが、他例としては、これらの間を略平行にして操作部材50を成型した態様とすることも可能である。
【0054】
また、上記実施例によれば、シャープペンシル用のリフィール30を装着した態様としたが、他例としては、リフィール30をボールペン用リフィールに置換して、当該サイドノック式筆記具Aをボールペンとして用いることも可能である。
【0055】
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は、上記実施例の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明は省略する。
【0056】
図10に示すサイドノック式筆記具Bは、軸筒10’と、該軸筒10’の前端に接続された先口20’と、軸筒10’内で進退するように設けられたリフィール30’と、該リフィール30’に固定された係合部材40’と、軸筒10’の前側でリフィール30’を進退操作可能な操作部材50’と、リフィール30’及び係合部材40’を後方へ付勢する付勢部材60とを備える。
【0057】
軸筒10’は、長尺筒状(図示例によえば長尺円筒状)に形成され、その前端側の開口部に先口20’を接続している。
軸筒10’の周壁の前側と後側には、
図10に示すように、操作部材50’を径方向へ貫通させるための操作部材用貫通孔11’が設けられる。
この軸筒10’において、操作部材用貫通孔11’に対し軸筒径方向の逆側の内周面には、上記軸筒10と略同様にして、係合部材40’を前後方向へ案内する溝や突起等が設けられる。
【0058】
また、先口20’は、先窄み円錐筒状に形成され、軸筒10’の前端側に螺合接続され、リフィール30’の前端側を進退可能に挿通する。この先口20’内の段部には、付勢部材60(圧縮コイルバネ)の前端部が受けられる。
【0059】
リフィール30’は、インクを充填した円筒状のインクタンクと、該インクタンクの前端に圧入接続された筆記部(具体的にはボールペンチップ)とからなるボールペン用リフィールである。
このリフィール30’は、軸筒10’内で、係合部材40’と一体的に進退するように、該係合部材40’内に挿入され着脱可能に接続されている。
【0060】
また、係合部材40’は、リフィール30’と一体的に進退可能な部位であり、
図12に示すように、リフィール30’の前後方向の途中箇所を保持する保持部41’と、該保持部41’から後方へ延設された接続部42’と、該接続部42’の後端に接続されてリフィール30’の後端部に着脱可能に圧入固定される圧入部43’と、保持部41’よりも後側で操作部材50’の仮係止部54’(
図11参照)に当接される被係止部44’と、軸筒10’内周面の溝又は凹部等に嵌り合う被ガイド部45’とを有し、可撓性を有する合成樹脂材料から一体に成型されている。なお、鉛芯の消耗に伴ってリフィール30’を交換する際には、この係合部材40’からリフィール30’が外される。
【0061】
保持部41’は、リフィール30’を挿通するとともに、操作部材50’が軸筒径内方向へ撓んだ際に該操作部材50’の被押圧片部51’に摺接される部材である。この保持部41’は、図示例によれば、略円筒状に形成され、その後端側の外周部に、操作部材50’の内面に摺接されて前方へ押し動かされる被摺接面41a’を有する。被摺接面41a’は、操作部材50’の摺接突起51c’(
図11参照)を受ける。
【0062】
接続部42’は、軸筒10’内周面における反リフィール30’側の部分に沿って後方へ延設された長尺状に形成され、その後端に圧入部43’を接続している(
図12参照)。
【0063】
被係止部44’は、接続部42’から幅広方向(
図12(a)によれば上下方向)へ突出するようにした平面視略三角形状の突起であり、後方斜め幅広方向へ向かう傾斜面と、この傾斜面の後端に接続された当接面とを有する。前記当接面は、仮係止部54’に対し当接させるための面であり、軸筒軸方向に対し略直交するように形成されている。この被係止部44’は、接続部42’の幅方向の両側に二つ設けられる。
【0064】
また、接続部42’において、二つの被係止部44’,44’の間には、単数もしくは複数(図示例によれば二つ)のスリット46’が設けられる。このスリット46’は、接続部42’を前後方向へわたって貫通しており、操作部材50’の仮係止部54’が被係止部44’の傾斜面を乗越えるようにして係止される際に、接続部42’を幅狭方向へ弾性変形させてその乗越えを容易にする。
【0065】
操作部材50’は、
図11に示すように、前端側を自由端とする片持ち状に前方へ延設された被押圧片部51’と、被押圧片部51’に対し軸筒径方向の反対側(
図11(b)によれば下方側)に間隔を置きながら前方へ延設された延設支持部52’と、これら被押圧片部51’と延設支持部52’とをこれらの後端側で接続する接続部53’と、係合部材40’の被係止部44’に係脱可能な仮係止部54’とを一体に有する側面視略横向きU字状に形成される。
この操作部材50’は、被押圧片部51’と延設支持部52’との間が、前方へ向かって広がるように一体成型され(
図11(b)参照)、前記間を狭めるように弾性変形させて軸筒10’内に収納されている(
図10参照)。
【0066】
被押圧片部51’は、横断面凹状に形成され、その両側部の間には、係合部材40’に摺接させるための摺接突起51c’が設けられる。この摺接突起51c’は、前方斜め径外方向へ傾く傾斜面を有する突起である。
【0067】
被押圧片部51’の幅方向の中央側には、前後方向へ延びるスリット51a’が設けられる(
図11(a)参照)。このスリット51a’は、被押圧片部51’の幅狭方向への弾性変形を容易にすることで、操作部材50’が軸筒径外方向側から軸筒10’内へ挿入された際の組付け性を向上している。
【0068】
被押圧片部51’の両側面には、係止突起51b1’,51b1’が設けられる。
係止突起51b1’は、操作部材50’が軸筒径方向に沿って軸筒内へ挿入される際に、操作部材用貫通孔11’の内縁を乗越えてその内側に係止される。
【0069】
また、仮係止部54’は、摺接突起51c’よりも後側において、被押圧片部51’の裏面から軸筒径内方向へ突出する側面視凸状の突起であり、その前端面を、係合部材40’の被係止部44’を受けるための当接面としている。
【0070】
次に、上記サイドノック式筆記具Bについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図10に示すように、操作部材50’の被押圧片部51’の前側が、軸筒内側へ押圧されると、その押圧力により被押圧片部51’が軸筒内側へ揺動する。この際、被押圧片部51’と延設支持部52’の間が弾性的に狭まる。
すると、係合部材40’の被摺接面41a’が、軸筒内側へ揺動する被押圧片部51’の摺接突起51c’の傾斜面に摺接されることで、係合部材40’及びリフィール30’が前進し、リフィール30’前端の筆記部が、先口20’前端から突出し、また、仮係止部54’が被係止部44’の傾斜面(
図12(a)参照)を乗越えるようにして相対的に被係止部44’の後側へ移動し、仮係止部54’と被係止部44’とが軸筒軸方向へ当接し合う(
図10(b)参照)。
この状態は、被押圧片部51’に指等によって加えられる比較的軽い押圧力、および仮係止部54’と被係止部44’の当接により保持される。
【0071】
また、この状態から、筆記部を没入させる際には、被押圧片部51’に対する押圧力を緩めれば、被押圧片部51’が係合部材40’に摺接されて元の状態に復帰し、これに伴って、仮係止部54’が被係止部44’から軸筒径外方向へ離脱する。
よって、筆記部(リフィール30’前端)の突出状態を、被押圧片部51’を軽く指で押さえる押圧力により保持でき、また、この押圧力を緩めれば筆記部を速やかに没入させることができ、ひいては、筆記する時だけ筆記部を突出させ、不使用時には筆記部を常に没入させることができる。
【0072】
なお、サイドノック式筆記具Bについては、被押圧片部51’の没入状態を保持する構成を設けなかったが、上記サイドノック式筆記具Aと略同様の構成によって、被押圧片部51’の没入状態を保持可能にしたり、シャープペンシル用リフィールから鉛芯を繰出せる構成にしたり等することも可能である。
【0073】
また、サイドノック式筆記具Bについて、軸筒10’の後端側を延設し、サイドノック式筆記具Aのものと同様のクリップ70を装着することも可能である。