特許第6267952号(P6267952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267952
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/06 20060101AFI20180115BHJP
   F25B 40/00 20060101ALI20180115BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F25B41/06 B
   F25B40/00 V
   F25B1/00 304A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-262168(P2013-262168)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-117902(P2015-117902A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】図司 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】浅利 峻
(72)【発明者】
【氏名】高山 司
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−205558(JP,A)
【文献】 特開2008−089220(JP,A)
【文献】 実開昭49−113444(JP,U)
【文献】 特開2011−153738(JP,A)
【文献】 特開2008−014602(JP,A)
【文献】 特開平09−166363(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01050724(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/06
F25B 1/00
F25B 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張、蒸発器を順次冷媒配管により接続した冷凍サイクル装置において、
低外気温時、前記膨張の最大冷媒流量を増加させる最大冷媒流量増加手段を備え、
前記最大冷媒流量増加手段は、前記膨張弁の冷媒入口側と出口側とを連通させるバイパス路と、前記バイパス路に介装されたバイパス弁と、により構成され、低外気温時、前記圧縮機の吸込側過熱度が所定値よりも過大であり、かつ前記膨張弁の開度が最大開度であるときに、前記バイパス弁を開弁し、かつ前記圧縮機の吸込側過熱度が所定の範囲内となるように前記膨張弁の開度を調整することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記バイパス弁は、開閉弁または第二膨張弁であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記凝縮器からの液冷媒と前記圧縮機の吸込みガス冷媒とを熱交換する液−ガス熱交換手段を具備していることを特徴とする請求項1または2記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記圧縮機の吸込みガス冷媒と吐出ガス冷媒とを熱交換するガスーガス熱交換手段を具備していることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷凍サイクル装置に係り、特に、低外気温時でも効率の良い運転を行うことができる冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍サイクル装置では、低外気温時に、高圧側と低圧側の圧力差を確保するために、凝縮器用のファンの回転数を低下させて高圧側圧力を上げる制御を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4215543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷凍サイクル装置においては、低外気温時に、高圧側圧力が高めに保持されることになるため、成績係数(COP)が低下するという課題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低外気温度でも効率が良い運転が可能な冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機、凝縮器、膨張、蒸発器を順次冷媒配管により接続した冷凍サイクル装置において、低外気温時、前記膨張の最大冷媒流量を増加させる最大冷媒流量増加手段を備え、前記最大冷媒流量増加手段は、前記膨張弁の冷媒入口側と出口側とを連通させるバイパス路と、前記バイパス路に介装されたバイパス弁と、により構成され、低外気温時、前記圧縮機の吸込側過熱度が所定値よりも過大であり、かつ前記膨張弁の開度が最大開度であるときに、前記バイパス弁を開弁し、かつ前記圧縮機の吸込側過熱度が所定の範囲内となるように前記膨張弁の開度を調整する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の冷凍サイクル装置の構成を示す冷凍サイクル図。
図2】(a)は、一点鎖線で示す従来の冷凍サイクル装置における高圧側圧力を低外気温に対応させて低下させた時と、実線で示す従来の冷凍サイクル装置における高圧側圧力を低外気温時に高めに保持した時の、冷媒の圧力Pと比エンタルピーhとの相対関係を示すP−h線図、(b)は、同(a)の一点鎖線で示す運転時の水熱交換器内部における水および冷媒の温度Tと比エンタルピーhとの相対関係を示す線図。
図3】(a)は、破線で示す第1の実施形態の冷媒の圧力Pと比エンタルピーhとの相対関係を、図2(a)の実線で示す従来例のものと共に示すP−h線図、(b)は、同、第1の実施形態の水熱交換器内部と液−ガス熱交換器の内部における水および冷媒の温度Tと比エンタルピーhとの相対関係を示す図。
図4】(a)は、図1で示す第1の実施形態において、戻り水温が低くなった場合の水熱交換器と液−ガス熱交換器の内部の水および冷媒の温度Tと比エンタルピーhとの関係を示すT−h線図、(b)は、第1の実施形態において、水熱交換器内部の水の流れ方向を反対方向(パラレルフロー)にした場合の、実線で示す戻り水温が高い場合と、点線で示す戻り水温が低い場合の、水熱交換器内部と液−ガス熱交換器の内部における水および冷媒の温度Tと比エンタルピーhとの関係を示すT−h線図。
図5】第1の実施形態の変形例である冷凍サイクル装置の構成を示す冷凍サイクル図。
図6】第1の実施形態の他の変形例である冷凍サイクル装置の構成を示す冷凍サイクル図。
図7】第2の実施形態の冷凍サイクル装置の構成を示す冷凍サイクル図。
図8】(a)は、破線で示す第2の実施形態における冷媒の圧力Pと比エンタルピーhとの相対関係を、図2(a)の実線で示す従来例のものと共に示すP−h線図、(b)は、第2の実施形態の水熱交換器内部とガス−ガス熱交換器の内部における水および冷媒の温度Tと、比エンタルピーhとの関係を示すT−h線図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の冷凍サイクル装置を図面を参照して説明する。
【0009】
なお、複数の図面中、同一又は相当部分には同一符号を付している。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の冷凍サイクル装置の構成を示す冷凍サイクル図である。この図1に示すように第1の実施形態の冷凍サイクル装置1は、例えば空冷式のチラーであり、密閉型ロータリ圧縮機等の圧縮機2の冷媒吐出口2a、図示省略のインバータにより回転数制御が可能な凝縮器用ファン3を備えた空気熱交換器よりなる凝縮器4、液−ガス熱交換器20の液冷媒流路20a、膨張手段の一例である膨張弁5、水熱交換器6の蒸発器6a、液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20b、アキュムレータ7および圧縮機2の冷媒吸込口2bをこの順に冷媒配管8により接続して冷媒を循環させる。
【0011】
圧縮機2は高圧ケース等の密閉容器を備え、図示省略のインバータにより回転数制御可能に構成されている。膨張弁5は例えばPMV(パルスモータバルブ)等により構成され、入力される開度制御用パルス信号のパルス数により開度が制御される。
【0012】
水熱交換器6は、冷媒配管8に接続されて冷媒を通す蒸発器6aと、循環ポンプ9を備えた通水管10に接続されて循環水を通す水流路6bと、を熱交換可能に設け、この水流路6bを通る循環水を冷却して冷水を生成する。この冷水は冷房等に使用される。
【0013】
上記冷媒配管8は、膨張弁5の冷媒入口側と出口側とを連通させるバイパス管11を具備しており、このバイパス管11には電磁弁等の開閉弁であるバイパス弁12を介装している。
【0014】
このバイパス弁12は、低外気温時、最大開度に制御される膨張弁5に流れる最大流量よりも多い冷媒流量を流すための最大冷媒流量増加手段として構成されており、膨張弁5と共に、図示省略の信号線を介して制御器15にそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
液−ガス熱交換器20は、凝縮器4からの高温高圧の液冷媒を通す液冷媒流路20aと、水熱交換器6の蒸発器6aからの低温低圧の吸込ガス冷媒を通すガス冷媒流路20bとを熱交換可能に設け、凝縮器4から流出した液冷媒を冷却し、アキュムレータ7直前の吸込ガスを加熱するように構成されている。
【0016】
そして、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2の吐出側圧力Pdを検出する吐出圧力センサ13、圧縮機2の吸込側圧力Psを検出する吸込圧力センサ14、圧縮機2の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ34、圧縮機2の吸込温度Tsを検出する吸込温度センサ35を設け、これら各センサを図示省略の信号線を介して制御器15に接続している。
【0017】
制御器15は、圧縮機2、熱交換促進用の凝縮器用ファン3および循環ポンプ9の図示省略の各インバータに、図示省略の信号線を介してそれぞれ接続されている。
【0018】
制御器15は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、CPUやROM、RAM、その他のメモリを具備しており、圧縮機2の吸込側過熱度SHおよび吐出側過熱度DSHと飽和温度とをそれぞれ算出する過熱度等算出手段、膨張弁5の開度を制御する膨張弁開度制御手段、バイパス弁12の開閉を制御するバイパス弁開閉制御手段、圧縮機2と凝縮器用ファン3および循環ポンプ9の運転回転数を制御する回転数制御手段等を備えている。
【0019】
過熱度等算出手段は、吐出圧力センサ13と吸込圧力センサ14からそれぞれ読み込んだ圧縮機2の吸込側圧力Psと吐出側圧力Pdに基づいた冷媒の飽和温度と、吐出温度センサ34と吸込温度センサ35から読み込んだ圧縮機2の吐出温度Tdと吸込温度Tsから吸込側過熱度SHおよび吐出側過熱度DSHを算出する。
【0020】
膨張弁開度制御手段は、PMVよりなる膨張弁5に与える制御用パスル信号のパルス数を制御することにより、膨張弁5の開度を制御する一方、この膨張弁5の最大開度のパルス数はメモリに記憶しており、膨張弁5の開度を常時監視している。
【0021】
そして、制御器15は中間季(春・秋)や冬季等の低外気温での低圧縮運転時に、最大開度に制御される膨張弁5を流れる最大流量よりも多い冷媒流量を流すために、バイパス弁12を開弁制御する最大冷媒流量増加制御手段を具備している。
【0022】
ここで低外気温とは、利用側が水を利用するチラーや冷凍機の場合は、外気温が水熱交換器6の蒸発器6aの出口水温度よりも低い場合(外気温<出口水温)をいう。また、利用側が空気を利用する空気調和機等の場合は、外気温が室内への吹出空気温度(すなわち設定温度)よりも低い場合(外気温<設定温度)をいう。
【0023】
通常の冷凍サイクル装置では、吸込側過熱度SHを一定の範囲内に制御するために膨張弁5の開度を制御する。膨張弁5は、その入口側と出口側の圧力差により冷媒を流すため、外気温度の低下に伴い凝縮圧力が低下してきた場合、冷媒流量を確保して吸込側過熱度SHを一定の範囲内に制御するために、その開度が大きくなる傾向にある。
【0024】
バイパス弁12を具備しない従来の冷凍サイクル装置では、低外気温時に膨張弁5が全開にもかかわらず冷媒流量が不足するため、吸込圧力すなわち飽和蒸発温度が低下し、COP(成績係数)が低下するという課題があった。COP低下の原因は、圧縮比増大による圧縮機2の入力(電力)増加と、圧縮機2が吸込む冷媒の密度低下による冷房能力低下を補うために圧縮機2の回転数が増加することが挙げられる。また、結果として吸込側過熱度SHは過大となる。図2(a),(b)中の一点鎖線は、この時のP−h線図とT−h線図を示している。
【0025】
そこで、図2(a),(b)中、実線で示す従来例では、低外気温時に、凝縮器用ファン3の回転数を減少させて高圧側の凝縮圧力を上げることにより、膨張弁5の差圧を確保して冷媒流量を確保し、吸込側圧力と吸込側過熱度SHを一定の範囲内に制御していた。ただし、この場合でも凝縮圧力が高めに保持されることによる圧縮比の増大により、COPが低下するという課題があった。
【0026】
そこで、第1の実施形態では、低外気温時に凝縮器用ファン3の回転数を減少させて高圧側の凝縮圧力を上げることはせずに、外気温度に対応させて凝縮温度を低下させる。制御器15の最大冷媒流量増加制御手段は低外気温時、すなわち、圧縮機2の吸込側過熱度SH(算出値)が所定値(例えば3K)よりも過大であり、かつ膨張弁5の開度が最大開度であるときに、膨張弁5の冷媒流量が不足していると判断して最大冷媒流量増加手段のバイパス弁12を開弁する。同時に、圧縮機2の吸込側過熱度SHが所定の範囲内となるように膨張弁5の開度を調整する。
【0027】
このため、凝縮器4で放熱して凝縮した液冷媒は開弁中のバイパス弁12と膨張弁5とを介してそれぞれ流れるので、水熱交換器6の蒸発器6aへ流れる冷媒流量は、膨張弁5の最大開度時に流れる最大冷媒流量よりも増加する。これにより、所定の範囲内に圧縮機2の吸込側過熱度SHを調整可能となり、低外気温時にも、冷凍サイクル装置1内を循環する冷媒流量を確保することができる。結果として、吸込側圧力の低下を抑制することができるためCOPが向上する。
【0028】
一方、バイパス弁12を開弁して低圧縮運転を行うと、低圧縮のために吐出側過熱度DSHが大きく低下する。よって、低圧縮比になるほど、圧縮機2の密閉容器である高圧ケース内に吐出された高温高圧のガス冷媒が、この高圧ケース内で放熱した際に、過熱度が低いために液化し易くなる。このために、高圧ケース内で液化した冷媒が高圧ケース内の下底部に溜められている冷凍機油に滴下し、冷凍機油が希釈することがある。
【0029】
また、通常、高圧ケースを有するロータリ圧縮機には吐出側過熱度DSHの下限値が設定されており、吸込側過熱度SHを大きく制御することで吐出側過熱度DSHを下限値よりも大きくすることは、冷凍サイクル上は可能であるが、図2(a)に示すように水熱交換器6の戻り水の温度が同一の下では蒸発温度を大きく低下させる必要があり、その場合、冷凍サイクルの効率が低下(消費電力の増加)してしまう。
【0030】
そこで、この第1の実施形態によれば、図3(a),(b)に示すように、液−ガス熱交換器20において、凝縮器4からの高温液冷媒によりアキュムレータ7直前の吸込ガスを加熱して温度を上げることにより、吸込側過熱度SHと吐出側過熱度DSHを共に上げることができる。
【0031】
吸込側過熱度SHを、水熱交換器6の戻り水の温度よりも高温の液冷媒により確保できるので、図3(a),(b)に示すように、蒸発器6aの蒸発温度を所望値に維持することが可能となる。なお、図3(a)中、破線は第1の実施形態に係る冷凍サイクル装置1の低外気温時のP−h線図である。
【0032】
また、図4(a),(b)に示すように、吸込側過熱度SHは、液−ガス熱交換器20を設けることにより、液冷媒と吸込側ガス冷媒との熱交換器により確保できるので、低圧縮運転を含めた通年の全ての運転時において、利用側負荷が低下して戻り水温が低くなった場合に、所望の蒸発温度の維持が可能となる。すなわち、部分負荷時の高効率運転が可能となる。
【0033】
さらに、図4(b)に示すように、水熱交換器6の水流路6bの水の流れ方向と蒸発器6aの冷媒の流れ方向を並行流(パラレルフロー)とした場合では、水出口と冷媒出口の温度差が小さくなるので、蒸発器6aの性能をフルに発揮させることも可能となり、外気条件に関わらずに高効率運転が可能である。
【0034】
(第1の実施形態の変形例)
図5は、第1の実施形態の変形例に係る冷凍サイクル装置1Aの冷凍サイクルの構成図である。この冷凍サイクル装置1Aは、図1で示す冷凍サイクル装置1の液−ガス熱交換器20を使用するか否かを、冷凍サイクルの運転状況に応じて切り替えるための第1の開閉弁31および第2の開閉弁32を介装した点に特徴がある。さらに、液−ガス熱交換器20の液冷媒流路20aの出口側と膨張弁5との間に凝縮温度センサ36を有している。
【0035】
第1の開閉弁31は、液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bの入口側と、蒸発器6aの出口側とを接続する入口側冷媒配管部8aの途中に介装されている。第2の開閉弁32は、液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bの出口側と、蒸発器6aの出口側とを接続する出口側冷媒配管部8bの途中に介装されている。これら第1,第2の開閉弁31,32は図示省略の信号線を介して制御器15に接続され、制御器15により開閉制御される。
【0036】
したがって、第1の開閉弁31が全開、第2の開閉弁32が全閉のときに、液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bが導通して、液−ガス熱交換器20が冷凍サイクルに挿入される。一方、第1の開閉弁31が全閉、第2の開閉弁32が全開のときに、液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bが非導通となり、液−ガス熱交換器20はバイパスされる。
【0037】
外気温のさらなる低下に伴い液冷媒の温度が低下した超低圧圧運転時の場合には、凝縮液と蒸発ガスの温度が逆転する現象が発生する場合がある。
【0038】
凝縮液温度よりも蒸発ガス温度が高い場合に液−ガス熱交換器20で熱交換すると、凝縮器4で液化した冷媒が二相化する可能性がある。
【0039】
そのため、制御器15は、凝縮温度センサ36により検知される凝縮液温度と、吸込温度センサ35により検知される蒸発ガス温度とを比較し、凝縮液温度よりも蒸発ガス温度が高いときは、液−ガス熱交換器20をバイパスするように、第1の開閉弁31を全閉、第2の開閉弁32を全開とする。
【0040】
(第1の実施形態の他の変形例)
図6は、第1の実施形態の他の変形例に係る冷凍サイクル装置1Bの冷凍サイクルの構成図である。この冷凍サイクル装置1Bは、図5で示す冷凍サイクル装置1Aの第1の開閉弁31及び第2の開閉弁32を一つの四方弁33に置き換えた点に特徴がある。
【0041】
四方弁33は4つの接続口33a〜33dを有し、第1接続口33aが蒸発器6aの出口側、第2接続口33bが液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bの入口側、第3接続口33cが液−ガス熱交換器20のガス冷媒流路20bの出口側、第4接続口33dがアキュムレータ7の入口側にそれぞれ接続される。
【0042】
液−ガス熱交換器20を利用する場合、四方弁33は、第1接続口33aと第2接続口33bとが連通し、第3接続口33cと第4接続口33dとが連通するように制御器15により切換えられる(図6中の実線)。
【0043】
一方、液−ガス熱交換器20を利用しない(バイパスする)場合、四方弁33は、第1接続口33aと第4接続口33dとが連通し、第2接続口33bと第3接続口33cとが連通するよう制御器15により切換えられる(図6中の破線)。
【0044】
そして、図5に示す冷凍サイクル装置1A同様に、制御器15は、凝縮温度センサ36により検知される凝縮液温度と、吸込温度センサ35により検知される蒸発ガス温度とを比較し、凝縮液温度よりも蒸発ガス温度が高いときは、液−ガス熱交換器20をバイパスするように、四方弁33を切換え制御する。
【0045】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る冷凍サイクル装置1Cの冷凍サイクルの構成図である。この冷凍サイクル装置1Cは、図1で示す冷凍サイクル装置1の液−ガス熱交換器20を、ガス−ガス熱交換器30に置換すると共に、このガス−ガス熱交換器30を使用するか否かを、冷凍サイクルの運転状況に応じて切り替えるための第1の開閉弁31と、第2の開閉弁32を介装した点に特徴がある。
【0046】
すなわち、ガス−ガス熱交換器30は、圧縮機2から吐出された高温高圧の吐出ガスを流す吐出ガス流路30aと、圧縮機2の吸込側に吸い込まれるアキュムレータ7直前の低温低圧の吸込ガスを流す吸込ガス流路30bとを有し、これら吐出ガス流路30aを流れる高温高圧の吐出ガスと、低温低圧の吸込ガスとを熱交換可能に構成している。
【0047】
つまり、高温高圧の吐出ガスにより、低温低圧の吸込ガスを加熱可能に構成した点に特徴がある。
【0048】
また、第1の開閉弁31は、ガス−ガス熱交換器30の吸込ガス流路30bの入口側と、蒸発器6aの出口側とを接続する入口側冷媒配管部8aの途中に介装されている。第2の開閉弁32は、ガス−ガス熱交換器30の吸込ガス流路30bの出口側と、蒸発器6aの出口側とを接続する出口側冷媒配管部8bの途中に介装されている。これら第1,第2の開閉弁31,32は図示省略の信号線を介して制御器15に接続され、制御器15により開閉制御される。
【0049】
したがって、第1の開閉弁31が全開、第2の開閉弁32が全閉のときに、ガス−ガス熱交換器30の吸込ガス流路30bが導通して、ガス−ガス熱交換器30が冷凍サイクルに挿入される。一方、第1の開閉弁31が全閉、第2の開閉弁32が全開のときに、ガス−ガス熱交換器30の吸込ガス流路30bが非導通となり、ガス−ガス熱交換器30はバイパスされる。
【0050】
すなわち、上記第1の実施形態に係る冷凍サイクル装置1の液−ガス熱交換器20では、圧縮機の吸込温度は液冷媒の温度未満までしか加熱できないため、外気温のさらなる低下に伴い液冷媒の温度が低下した超低圧圧運転時の場合には、蒸発温度を低下させて大きめの吸込側過熱度SHを確保することによって吐出側過熱度DSHを確保する必要があった。結果的に、吐出側過熱度DSHを確保するために吸込側圧力が低下することとなり、圧縮比増加により低圧縮運転時の効率が低下してしまう。
【0051】
しかし、この第2の実施形態の冷凍サイクル装置1Cによれば、ガス−ガス熱交換器30により蒸発器6aの下流側、かつアキュムレータ7の直前で低温低圧の吸込ガスを高温高圧の吐出ガスにより加熱するので、超低圧圧運転時においても、所望の蒸発温度を維持しつつ所要の吐出側過熱度DSHを確保するための大き目の吸込側過熱度SHを確保することができる。
【0052】
そして、制御器15は、吐出圧力センサ13により検出された圧縮機2の吐出側圧力Pdと、吸込圧力センサ14により検出されたアキュムレータ7直前の圧縮機2の吸込側圧力Psから飽和温度と吸込側過熱度SHおよび吐出側過熱度DSHを演算し、通常はこの吸込側過熱度SHが所定範囲内になるように膨張弁5の開度を制御し、同時に吐出側過熱度DSHも監視する。
【0053】
外気温の低下により吐出側圧力が低下し、膨張弁5が最大開度に制御されているにもかかわらず吸込側圧力が低下し始めたら、まずは最大冷媒流量を増加させるためにバイパス弁12を開弁制御する。膨張弁5の開度の制御対象は吸込側過熱度SHのままである。これにより吸込側圧力すなわち蒸発温度の低下を抑制する。その後、さらなる外気温度の低下により、吐出側過熱度DSHが所定の閾値未満に低下した場合には、制御器15は、第1の開閉弁31を全開、第2の開閉弁32を全閉に制御して吐出側過熱度DSHを制御対象とした膨張弁5の開度制御へ移行する。
【0054】
また、この間も吸込圧力センサ14と吸込温度センサ35により吸込側過熱度SHを監視し、この吸込側過熱度SHが所定範囲内に入った場合には、制御器15は、第1の開閉弁31を全閉、第2の開閉弁32を全開に制御して、通常の吸込側過熱度SHの制御方法へ復帰する。
【0055】
そして、図8(a),(b)に示すように、この冷凍サイクル装置1Cによれば、ガス−ガス熱交換器30により蒸発器6aの下流側において、高温高圧の吐出ガスにより低温低圧の吸込ガスを加熱するので、超低圧圧縮運転時においても、所望の蒸発温度を維持しつつ、所望の吐出側過熱度DSHを確保するための大き目の吸込側過熱度SHを取ることが可能となる。なお、図8(a)中、破線は第2の実施形態に係る冷凍サイクル装置1Cの低外気温時のP−h線図である。
【0056】
そして、上記超低圧圧縮運転時以外では、ガス−ガス熱交換器30において、吐出ガスにより吸込ガスを加熱するので、吐出ガス温度が低下し、凝縮器4での放熱性能が低下する分、冷凍サイクルとしての能力を低下させることになるが、その場合は、第1,第2の開閉弁31,32の開閉制御により、ガス−ガス熱交換器30を非導通にしてこのガス−ガス熱交換器30をバイパスして使用しないので、冷凍サイクルの効率を通常の冷凍サイクルと同等に維持することができる。
【0057】
すなわち、第2の実施形態に係る冷凍サイクル装置1Cによれば、上記第1の実施形態に係る冷凍サイクル装置1よりも、高効率な低圧圧縮運転が可能な外気温度範囲の拡大が可能であると共に、部分負荷時を含めた通年の冷房運転時にはガス−ガス熱交換器30をバイパスさせて使用しないことにより、効率低下を抑制することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、吸込側過熱度SHが過大かつ膨張弁5の開度が最大開度であるときにバイパス弁12を開弁制御する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば蒸発器6aの温度(すなわち蒸発温度)が所定値よりも低下したときに、バイパス弁12を開弁するように制御してもよい。
【0059】
また、上記バイパス弁12に代えて、上記膨張弁5の容量の異なる膨張弁を設けてもよい。例えば、膨張弁5に、これよりも小容量の膨張弁を並列に接続すれば、細かい冷媒流量制御が可能であり、膨張弁5よりも大容量の膨張弁を並列に接続すれば、冷媒流量制御の幅を大きくすることができる。また、バイパス弁12に代えて流量調整可能な流量調整弁を設けてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、本発明を冷房専用チラーに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば冷房と暖房を四方弁により切換えるヒートポンプチラーや水熱交換器6に代えて空気熱交換器を設けた冷凍サイクル装置でもよい。
【0061】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B,1C…冷凍サイクル装置、2…圧縮機、4…凝縮器、5…膨張弁、6…水熱交換器、6a…蒸発器、11…バイパス管、12…バイパス弁、13…吐出圧力センサ、14…吸込圧力センサ、15…制御器、20…液−ガス熱交換器、30…ガス−ガス熱交換器、31…第1の開閉弁、32…第2の開閉弁、33…四方弁、34…吐出温度センサ、35…吸込温度センサ、36…凝縮温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8