特許第6267954号(P6267954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267954
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20180115BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20180115BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F28F9/02 301J
   F28D9/02
   F25B39/04 H
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-264033(P2013-264033)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-121335(P2015-121335A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 信雄
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−258082(JP,A)
【文献】 特開2003−207229(JP,A)
【文献】 特開2002−267289(JP,A)
【文献】 特開2012−229880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/00 − 39/04
F28D 9/02
F28F 3/00 − 3/14
F28F 9/00 − 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の伝熱プレートを含む本体部を備え、前記本体部は、凝縮対象である第一流体を流通させる第一流路と、前記第一流体を冷却する第二流体を流通させる第二流路と、前記第一流路に前記第一流体を流出入させる一対の第一連通路と、前記第二流路に前記第二流体を流出入させる一対の第二連通路とを有し、前記第一流路及び前記第二流路が前記伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記第一連通路及び前記第二連通路のそれぞれが前記伝熱プレートを貫通して該伝熱プレートの積層方向に延びている、プレート式熱交換器において、
前記本体部は、
前記伝熱プレートの積層方向の途中位置にある複数の第一流路であって前記第一流体の流路において始点となる前記複数の第一流路によって構成される基準ブロックと、
前記基準ブロックを構成する第一流路を除いた少なくとも一つの第一流路によって構成される複数の流路ブロックと、を有し、
各ブロックは、第一流体の流れ方向に隣り合うブロックを構成する第一流路同士が流れ方向の折り返し流路を形成するように接続されることによって、前記一対の第一連通路のうちの一方の第一連通路から、前記一対の第一連通路のうちの他方の第一連通路まで延びる前記第一流体の流路を形成し、
前記複数の流路ブロックのうちの少なくとも一つの流路ブロックは、前記積層方向において前記基準ブロックの両側のそれぞれに配置され且つ前記基準ブロックからの流れ方向の折り返し回数が同じ第一流路によって構成され、
前記一方の第一連通路は、前記基準ブロックを構成する第一流路のみと連通し、
前記他方の第一連通路は、前記第一流体の流路の終端となる流路ブロックを構成する第一流路のみと連通し、
前記第一流体の流路の終端位置の流路ブロックを構成する第一流路の数が、前記基準ブロックを構成する第一流路の数より小さい、ことを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記第一流体の流れ方向に隣り合うブロックにおいて、下流側の前記ブロックを構成する第一流路の数が、上流側の前記ブロックを構成する第一流路の数以下である、請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記第一流体の流れ方向に隣り合うブロックにおいて、下流側の前記ブロックを構成する第一流路の数が、上流側の前記ブロックを構成する第一流路の数より小さい、請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記第一流体の流路の終端位置にある流路ブロックは、一つの第一流路である終端流路によって構成され、
前記本体部は、
前記基準ブロックを構成する複数の第一流路と前記積層方向における該基準ブロックより一端側及び他端側のそれぞれにある少なくとも一つの第一流路とを連通させることによって前記第一流体の流路を分岐させる分岐路と、
前記終端流路の上流側において、前記積層方向の一端側における前記分岐路を始点とする第一流体の流路の終端となる第一流路と前記積層方向の他端側における前記分岐路を始点とする第一流体の流路の終端となる第一流路とを連通させると共に前記終端流路と連通することで、前記分岐路によって分岐された第一流体の流れを合流させて前記終端流路に流入させる合流流路と、を有する、請求項1〜3のいずれか一方に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器として用いられるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一流体と第二流体との熱交換によって第一流体を凝縮させる凝縮器として、プレート式熱交換器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のプレート式熱交換器は、図5に示す如く、複数の伝熱プレート2,…を含む本体部3を備える。本体部3は、第一流路30と、第二流路31と、一対の第一連通路32,33と、一対の第二連通路34,35とを有する。第一流路30は、凝縮対象である第一流体Aを流通させる。第二流路31は、第一流体Aを冷却するための第二流体Bを流通させる。一対の第一連通路32,33は、第一流路30に連通し、該第一流路30に第一流体Aを流出入させる。一対の第二連通路34,35は、第二流路31に連通し、該第二流路31に第二流体Bを流出入させる。
【0004】
より具体的に説明する。本体部3において、複数の伝熱プレート2,…は、積層されている。これにより、第一流路30と第二流路31とが伝熱プレート2,…を境にして交互に形成される。
【0005】
また、複数の伝熱プレート2,…は、少なくとも四つの開口(採番しない)をそれぞれ有する。そして、複数の伝熱プレート2,…が積層されることによって、伝熱プレート2に形成された各開口が伝熱プレート2の積層方向にそれぞれ連なる。これにより、第一流路30に第一流体Aを流入させる一方の第一連通路32と、第一流路30から第一流体Aを流出させる他方の第一連通路33と、第二流路31に第二流体Bを流入させる一方の第二連通路34と、第二流路31から第二流体Bを流出させる他方の第二連通路35とが、伝熱プレート2を貫通して該伝熱プレート2の積層方向に延びるように形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このプレート式熱交換器1では、一方の第一連通路32に供給された第一流体Aが第一流路30を通って他方の第一連通路33に流出し、一方の第二連通路34に供給された第二流体Bが第二流路31を通って他方の第二連通路35に流出する。これにより、プレート式熱交換器1では、第一流路30と第二流路31とを仕切る伝熱プレート2の広範な伝熱面を介して第一流体Aと第二流体Bとが熱交換し、第一流体Aが凝縮する。
【0007】
ところで、この種のプレート式熱交換器1では、積層される伝熱プレート2,…の数が多くなると、熱交換に寄与する伝熱面積が広くなるため、熱交換性能が高くなるとされている。
【0008】
しかしながら、伝熱プレート2,…に形成された開口が連なることによって一対の第一連通路32,33及び一対の第二連通路34,35のそれぞれが形成されているため、一対の第一連通路32,33及び一対の第二連通路34,35の各流路長は、伝熱プレート2の数が多くなると、その数に応じて長くなる。このため、第一流路30に第一流体Aを流入させる第一連通路(一方の第一連通路)32における第一流体Aの流通抵抗が大きくなり、第一流体Aが流通し難くなる。
【0009】
また、第一流体Aは、下流側に進むにつれて凝縮し、体積が小さくなる。しかしながら、前記プレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路の各位置における総流路断面積(各第一流路30における一方の連通路からの距離(流路長)が等しい位置での流路断面積の総計)が一定であることから、第一流路30の終端位置では第一流体の流速が低下し、その結果、第一流路の終端位置における第一流体と第二流体との熱交換効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−287572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、第一連通路における圧力損失を抑えると共に、第一流体の流路の終端位置における第一流体の流速の低下を抑えることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るプレート式熱交換器は、
積層された複数の伝熱プレートを含む本体部を備え、前記本体部は、凝縮対象である第一流体を流通させる第一流路と、前記第一流体を冷却する第二流体を流通させる第二流路と、前記第一流路に前記第一流体を流出入させる一対の第一連通路と、前記第二流路に前記第二流体を流出入させる一対の第二連通路とを有し、前記第一流路及び前記第二流路が前記伝熱プレートを境にして交互に形成され、前記第一連通路及び前記第二連通路のそれぞれが前記伝熱プレートを貫通して該伝熱プレートの積層方向に延びている、プレート式熱交換器において、前記本体部は、前記伝熱プレートの積層方向の途中位置にある複数の第一流路であって前記第一流体の流路において始点となる前記複数の第一流路によって構成される基準ブロックと、前記基準ブロックを構成する第一流路を除いた少なくとも一つの第一流路によって構成される複数の流路ブロックと、を有し、各ブロックは、第一流体の流れ方向に隣り合うブロックを構成する第一流路同士が流れ方向の折り返し流路を形成するように接続されることによって、前記一対の第一連通路のうちの一方の第一連通路から、前記一対の第一連通路のうちの他方の第一連通路まで延びる前記第一流体の流路を形成し、
前記複数の流路ブロックのうちの少なくとも一つの流路ブロックは、前記積層方向において前記基準ブロックの両側のそれぞれに配置され且つ前記基準ブロックからの流れ方向の折り返し回数が同じ第一流路によって構成され、前記一方の第一連通路は、前記基準ブロックを構成する第一流路のみと連通し、前記他方の第一連通路は、前記第一流体の流路の終端となる流路ブロックを構成する第一流路のみと連通し、前記第一流体の流路の終端位置の流路ブロックを構成する第一流路の数が、前記基準ブロックを構成する第一流路の数より小さい、ことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、一方の第一連通路(第一流路に第一流体を流入させる第一連通路)が伝熱プレートの積層方向の途中位置にある複数の第一流路のみに連通しているため、一方の第一連通路の前記積層方向の長さが抑えられて該第一連通路における第一流体の圧力損失が抑えられる。
【0014】
しかも、第一流体の流路の終端となる流路ブロックの第一流路の数が基準ブロックの第一流路の数より小さく、これにより、前記流路ブロックの第一流路の総流路断面積が第一流路の流路の始点となる基準ブロックを構成する第一流路の総流路断面積より小さくなるため、第一流体が下流側に進むにつれて凝縮して体積が減少しても、第一流体の流路の終端位置における第一流体の流速の低下が抑えられる。
【0015】
前記プレート式熱交換器では、前記第一流体の流れ方向に隣り合うブロックにおいて、下流側の前記ブロックを構成する第一流路の数が、上流側の前記ブロックを構成する第一流路の数以下であってもよい。
【0016】
かかる構成によれば、第一流体の流路において下流側に進むにつれて流路ブロック毎に総流路断面積が適宜小さくなるため、第一流体の凝縮が進んで体積が小さくなっていっても、各流路ブロックでの第一流体の流速の低下が好適に抑えられる。
【0017】
また、前記第一流体の流れ方向に隣り合うブロックにおいて、下流側の前記ブロックを構成する第一流路の数が、上流側の前記ブロックを構成する第一流路の数より小さくてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、第一流体の流路において下流側に進むにつれて流路ブロック毎に総流路断面積が漸減するため、第一流体の凝縮が進んで体積が小さくなっていっても、各流路ブロックでの第一流体の流速低下が好適に抑えられる。
【0019】
前記プレート式熱交換器において、前記第一流体の流路の終端位置にある流路ブロックが、一つの第一流路である終端流路によって構成され、前記本体部が、前記基準ブロックを構成する複数の第一流路と前記積層方向における該基準ブロックより一端側及び他端側のそれぞれにある少なくとも一つの第一流路とを連通させることによって前記第一流体の流路を分岐させる分岐路と、前記終端流路の上流側において、前記積層方向の一端側における前記分岐路を始点とする第一流体の流路の終端となる第一流路と前記積層方向の他端側における前記分岐路を始点とする第一流体の流路の終端となる第一流路とを連通させると共に前記終端流路と連通することで、前記分岐路によって分岐された第一流体の流れを合流させて前記終端流路に流入させる合流流路と、を有することが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、分岐路によって分岐された第一流体の流路が合流流路によって合流させられて一つの流路となって他方の連通路に流入するため、第一流体の流路における終端位置での流路断面積を第一流体の流路の始点となる複数の第一流路(基準ブロックを構成する複数の第一流路)の総流路断面積に比べて十分小さくすることができる。その結果、終端流路において十分な流速が得られる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、第一連通路における圧力損失を抑えると共に、第一流体の流路の終端位置における第一流体の流速の低下を抑えることのできるプレート式熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の概略全体斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の概略分解斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第一流体及び第二流体の流路を説明するための概要図である。
図4図4(A)は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第一流体の流路の模式図であり、図4(B)は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第二流体の流路の模式図である。
図5図5は、従来のプレート式熱交換器の第一流体及び第二流体の流路を説明するために概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
プレート式熱交換器は、図1に示すように、積層された複数の伝熱プレート2,…を含む本体部3を備える。また、プレート式熱交換器1は、本体部3を挟む一対のエンドプレート4,5を備える。このプレート式熱交換器1は、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させて(具体的には、第一流体Aを第二流体Bによって冷却して)第一流体Aを凝縮させる。即ち、本実施形態のプレート式熱交換器1は、凝縮器として用いられる。
【0025】
本体部3は、図2図4(B)に示すように、第一流体Aを流通させる第一流路30と、第二流体Bを流通させる第二流路31と、第一流路30に連通する一対の第一連通路32,33であって、第一流路30に第一流体Aを流出入させる一対の第一連通路32,33と、第二流路31に連通する一対の第二連通路34,35であって、第二流路31に第二流体Bを流出入させる一対の第二連通路34,35とを有する。尚、以下の説明において、一対の第一連通路32,33のうちの一方の第一連通路32を「第一流入連通路」と称し、一対の第一連通路32,33のうちの他方の第一連通路33を「第一流出連通路」と称する。また、一対の第二連通路34,35のうちの一方の第二連通路34を「第二流入連通路」と称し、一対の第二連通路34,35のうちの他方の第二連通路35を「第二流出連通路」と称する。
【0026】
本体部3において、第一流路30及び第二流路31は、伝熱プレート2を境にして交互に形成されている。また、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35のそれぞれは、伝熱プレート2を貫通し、複数の伝熱プレート2,…の積層方向(以下、第一方向という)に延びている。そして、第一流路30同士は、互いに連通することによって第一流入連通路32から第一流出連通路33までの第一流体Aの流路を形成する。また、第二流路31同士は、互いに連通することによって第二流入連通路34から第二流出連通路35までの第二流体Bの流路を形成する。
【0027】
本体部3を構成する複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、図2に示すように、金属プレートをプレス成形したもので、第一流路30及び第二流路31を画定する伝熱部20と、伝熱部20と面交差する方向に該伝熱部20の外周から延出した環状の嵌合部21とを備える。
【0028】
各伝熱プレート2において、伝熱部20の表裏には、図示しない複数の凹条及び凸条が交互に形成されている。そして、各伝熱プレート2の伝熱部20には、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35等を形成するための開口(採番しない)が形成されている。即ち、伝熱プレート2における伝熱部20には、第一方向に延びる流路を形成するために伝熱部20を貫通する複数の開口が設けられている。
【0029】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、伝熱プレート2として、上述のように、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35を形成するための開口が適宜形成されたもの以外に、後述する分岐路36、第一接続路37a,37b、合流流路38、第二接続路39a,39b等を形成するための開口が適宜形成されたものを備える。尚、本実施形態では、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、第二流出連通路35、分岐路36、第一接続路37a,37b、合流流路38、及び第二接続路39a,39b等の流路について詳述することとし、これらを形成するための開口の数や、配置、サイズに関する説明は割愛する。
【0030】
複数の伝熱プレート2,…は、互いに重ね合わされる。このとき、隣り合う伝熱プレート2,…の伝熱部20の凸条同士が交差衝合すると共に、隣り合う伝熱プレート2,…の嵌合部21同士が嵌合する。この状態で、隣り合う伝熱プレート2,…との密接部分がロウ付けによって封止されることにより、本体部3が形成される。
【0031】
一対のエンドプレート4,5のそれぞれは、金属プレートをプレス成形したもので、伝熱プレート2と略同形である。即ち、エンドプレート4,5は、伝熱部20と略同形の封止部40,50と、封止部40,50と面交差する方向に該封止部40,50の外周全周から延出した環状の嵌合部41,51とを備える。
【0032】
一方のエンドプレート(以下、第一エンドプレートという)4は、隣り合う伝熱プレート2に形成された開口であって、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35を形成するための開口と対応する開口(採番しない)を有する。すなわち、第一エンドプレート4の封止部40の四箇所に開口が設けられている。そして、第一エンドプレート4の封止部40の外面には、配管を接続するための筒状のノズル(採番しない)が各開口に対応した位置に接続されている。
【0033】
これに対し、他方のエンドプレート(以下、第二エンドプレートという)5の封止部50には、開口が設けられていない。即ち、第二エンドプレート5は、重ね合わされた伝熱プレート2,…の開口によって形成される流路を封止可能な封止部50を備える。
【0034】
第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5は、本体部3を挟み込むように、積層された複数の伝熱プレート2,…に重ね合わされる。この状態のとき、第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5のそれぞれの嵌合部41,51は、隣り合う伝熱プレート2の嵌合部21と嵌合している。そして、第一エンドプレート4及び第二エンドプレート5のそれぞれと隣り合う伝熱プレート2,…(本体部3)との密接部分がロウ付けによって封止される。
【0035】
以上より、本体部3には、図2及び図3に示すように、伝熱プレート2,…を境にして、凝縮させる流体である第一流体Aを流通させる第一流路30と、第一流体Aを冷却するための第二流体Bを流通させる第二流路31とが交互に形成される。本実施形態の第一流体Aは、例えば、フロン、アンモニア等であり、第二流体Bは、例えば、水、ブライン等である。
【0036】
また、複数の伝熱プレート2,…の開口が連なることによって、本体部3において、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35のそれぞれが第一方向に延びている。
【0037】
より具体的に説明する。本実施形態において、伝熱プレート2,…の伝熱部20は、平面視長方形状に形成されている。
【0038】
第一流入連通路32及び第二流出連通路35は、伝熱部20の長手方向(第一方向と直交する方向:以下、第二方向という)における伝熱プレート2,…の一端側に設けられる。また、第一流出連通路33及び第二流入連通路34は、第二方向における伝熱プレート2,…の他端側に設けられる。
【0039】
これにより、プレート式熱交換器1では、第一流体Aが第一流路30内で第一方向と直交する第二方向に流通し、第二流体Bが第二流路31内で第二方向に流通する。即ち、本実施形態に係るプレート式熱交換器1では、第一流路30において第一流体Aが伝熱部20の長手方向に流通し、第二流路31においても第二流体Bが伝熱部20の長手方向に流通する。
【0040】
尚、図3において、第一流入連通路32、第一流出連通路33、第二流入連通路34、及び第二流出連通路35は、便宜上、第二方向に並ぶように記載されている。しかし、実際の配置では、第一流入連通路32及び第二流出連通路35は、第二方向の一端側において伝熱部20の短手方向(第一方向及び第二方向と直交する方向:以下、第三方向という)に並ぶように設けられ、第二流入連通路34及び第一流出連通路33は、第二方向の他端側において伝熱部20の短手方向(第三方向)に並ぶように設けられている。
【0041】
プレート式熱交換器1において、第一方向の途中位置にある複数の第一流路30,…は、第一流体Aの流路の始点となる基準流路Ra,…である。本実施形態の基準流路Rbの数は、三つである。各基準流路Raを流れる第一流体Aの向きは同じである。第一流入連通路32は、基準流路Raのみに連通している。また、プレート式熱交換器1において、第一流体Aの流路の終端となる第一流路30が終端流路Rbである。この終端流路Rbの数は、基準流路Raの数よりも少ない。本実施形態の終端流路Rbの数は、一つである。第一流出連通路33は、終端流路Rbのみに連通している。
【0042】
プレート式熱交換器1では、複数の第一流路が、複数の一次流路ブロック(流路ブロック)に区分けされている。具体的には、プレート式熱交換器1は、図4(a)に示すように、複数の基準流路Raによって構成される基準ブロックBL1と、基準ブロックを構成する第一流路30(基準流路Ra)を除いた少なくとも一つの第一流路30によって構成される一次流路ブロックBL2,…であって、第一方向において基準ブロックBL1の両側に設けられる少なくとも一つの一次流路ブロックBL2,…と、を有する。本実施形態のプレート式熱交換器1では、複数の第一流路30,…は、一つの基準ブロックBL1と、四つの一次流路ブロック(第一〜第四の一次流路ブロック)BL2〜BL5に区分けされている。また、一流体Aの流れ方向に隣り合う一次流路ブロックBLn,BLn+1(n:1〜4)において、下流側の一次流路ブロックBLn+1を構成する第一流路の数30が、上流側の一次流路ブロックBLnを構成する第一流路30の数以下である。これら各ブロックBL1〜BL5は、第一流体Aの流れ方向に隣り合うブロックBLn,BLn+1を構成する第一流路30同士が第一流体Aの流れ方向の折り返し流路を形成するように接続されることによって、第一流入連通路32から第一流出連通路33まで延びる第一流体Aの流路を形成する。即ち、第一流体Aの流路において、共通のブロックBLを構成する(共通のブロックBLnに含まれる)各第一流路30では、第一流体Aが同じ方向に流れ、流れ方向において隣り合うブロックBLn,BLn+1を構成する第一流路30同士では、第一流体Aが反対方向に流れる。
【0043】
また、各ブロックBL1〜BL5は、基準ブロックBL1(基準ブロックBL1を構成する基準流路Ra)からの第二方向における流れ方向の折り返し回数が同じ第一流路30によって構成される。このため、基準ブロックBL1からの第二方向における折り返し回数が同じであれば、基準ブロックBL1に対して第一方向の一端側にある第一流路30と他端側にある第一流路30とであっても、共通のブロックBLnを構成する。
【0044】
具体的には、基準ブロックBL1は、折り返し回数が0回の第一流路30(即ち、基準流路Ra)によって構成され、第一の一次流路ブロックBL2は、折り返し回数が1回の第一流路30によって構成され、第二の一次流路ブロックBL3は、折り返し回数が2回の第一流路30によって構成され、第三の一次流路ブロックBL4は、折り返し回数が3回の第一流路30によって構成され、第四の一次流路ブロックBL5は、折り返し回数が4回の第一流路30(終端流路Rb)によって構成される。尚、本実施形態における「流れ方向の折り返し」とは、流路構成(第一流路30同士が連通すること)により、第二方向において、一端から他端側へ向かう第一流体Aの流れが他端から一端側に向かう流れになること、及び、他端から一端側へ向かう第一流体Aの流れが一端から他端側に向かう流れになることをいう。
【0045】
そして、基準ブロックBL1は、第一流入連通路32と連通する第一流路30であって、第一流体Aが第二方向の一端から他端側に流れる三つの第一流路30,30,30(基準流路Ra,Ra,Ra)によって構成される。また、第一の一次流路ブロックBL2は、基準ブロックBL1を第一方向に挟むように設けられると共に、第一流体Aが第二方向の他端から一端側に流れる二つの第一流路30,30によって構成される。第二の一次流路ブロックBL3は、第一の一次流路ブロックBL2を第一方向に挟むように設けられると共に、第一流体Aが第二方向の一端から他端側に流れる二つの第一流路30,30によって構成される。第三の一次流路ブロックBL4は、第一方向における第二の一次流路ブロックBL3の一端側に設けられると共に、第一流体Aが第二方向の他端から一端側に流れる一つの第一流路30によって構成される。第四の一次流路ブロックBL5は、第三の一次流路ブロックBL4に対して第一方向の一端側に設けられると共に、第一流体Aが第二方向の一端から他端側に流れる一つの第一流路30(終端流路Rb)によって構成される。
【0046】
ここで第一流入連通路32から第一流出連通路33までの第一流体Aの流路(流通系統)について詳しく説明する。
【0047】
本実施形態のプレート式熱交換器1では、第一方向の途中位置にある複数の第一流路30、30、30を基準流路Ra、Ra、Raとする。また、本体部3は、各基準流路Raと基準ブロックBL1よりも第一方向の一端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通させると共に、各基準流路Raと基準ブロックBL1よりも第一方向の他端側にある少なくとも一つの第一流路30とを連通させる分岐路36を有する。
【0048】
分岐路36は、複数の基準流路Ra,Ra,Raを互いに連通すると共に、これら三つの基準流路Ra,Ra,Raのうちの一端側の基準流路Raと第一方向において隣り合う一つの第一流路30、及び三つの基準流路Ra,Ra,Raのうちの他端側の基準流路Raと第一方向において隣り合う一つの第一流路30とを連通させる。これにより、第一流体Aの流路は、二つの流路(分岐流路)に分岐する。
【0049】
また、本体部3は、分岐路36と連通する第一流路(第一の一次流路ブロックBL2を構成する複数の第一流路)30,…の下流端と、第一方向において当該第一流路30を挟んで基準流路Raと反対側に隣り合う第一流路(第二の一次流路ブロックBL3を構成する第一流路)30とを連通する複数の第一接続路37a,…を有する。分岐路36と第一接続路37aとは、第二方向に間隔を空けて配置される。本実施形態において、分岐路36は、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通し、第一接続路37aは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通している。
【0050】
また、本体部3は、第一接続路37aと連通する第一流路(第二の一次流路ブロックBL3を構成する複数の第一流路)30,…の下流端同士を連通する合流流路38を有する。この合流流路38は、本体部3において、第一流体Aの流路における第二の一次流路ブロックBL3と第三の一次流路ブロックBL4との間に設けられ、第二の一次流路ブロックBL3を構成する第一流路30,…と第三の一次流路ブロックBL4を構成する第一流路30とを連通する。そして、第二の一次流路ブロックBL3を構成する複数(本実施形態の例では二つ)の第一流路30,…のそれぞれを流れる第一流体Aの流れを合流させ、この合流させた第一流体Aの流れを、第三の一次流路ブロックBL4を構成する第一流路(本実施形態の例では一つの第一流路)30に流入させる。即ち、合流流路38は、分岐路36によって分岐された第一流体Aの流路を合流(集合)させて一つ(一本)の流路にする。この合流流路38は、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通している。また、本実施形態の合流流路38は、第一流出連通路33と同軸となるように、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通している。即ち、本実施形態では、第一流出連通路33と合流流路38とは、第一方向において、重ならない領域(位置)に配置されている。
【0051】
この合流流路38は、終端流路Rbと直接又は間接に連通する。本実施形態の合流流路38は、一つの第一流路30(第三の一次流路ブロックBL4を構成する第一流路30)を介して終端流路Rbと連通する。具体的には、合流流路38は、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通し、第一の一次流路ブロックBL2を第一方向に挟んだ一対の第一流路30,30のうちの他端側の第一流路30から一端側の第一流路30まで延び、さらに、第二の一次流路ブロックBL3と第一方向の一端側に隣り合う第一流路30(第三の一次流路ブロックBL4)まで延びている。
【0052】
この合流流路38に連通する第一流路(第三の一次流路ブロックBL4に含まれる第一流路)30は、第一方向における一端側に隣り合う終端流路Rbと第一接続路37bによって連通する。即ち、本体部3は、第一方向において隣り合う終端流路Rbと第一流路30とを連通する第一接続路37bを有する。この第一接続路37bは、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通している。
【0053】
このように、本体部3において複数の第一流路30,…が連通することで、第一流体Aが、第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通する分岐路36、合流流路38、及び第二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通する第一接続路37a,37b、を通じて下流側の流路ブロックBLを構成する第一流路30に流入する度に、第一流体Aの流れが方向が第二方向において折り返される。
【0054】
次に、第二流入連通路34から第二流出連通路35までの第二流体Bの流路(流通系統)について詳しく説明する。
【0055】
本体部3において、複数の第二流路31,…は、複数の二次流路ブロックblに区分けされている。各ブロックbl1〜bl5は、第二流体Bの流れ方向に隣り合うブロックbln,bln+1(n:1〜3)を構成する第二流路31同士が第二流体Bの流れ方向の折り返し流路を形成するように接続されることによって、第二流入連通路34から第二流出連通路35まで延びる第二流体Bの流路を形成する。即ち、第二流体Bの流路において、共通のブロックblを構成する(共通のブロックblnに含まれる)各第二流路31では、第二流体Bが同じ方向に流れ、流れ方向において隣り合うブロックbln,bln+1を構成する第二流路31同士では、第二流体Bが反対方向に流れる。
【0056】
また、各二次流路ブロックbln,…は、基準ブロックBL1及び第一〜第四の一次流路ブロックBL2〜BL5と同様に、第二流入連通路34からの第二流体Bの流れ方向の折り返し回数が同じ1又は複数の第二流路(即ち、第二方向において同じ向きに第二流体Bが流れる第二流路)31,…によって構成されている。
【0057】
本実施形態の複数の第二流路31,…は、図4(B)に示すように、三つの二次流路ブロックbl1,bl2,bl3に区分けされる。具体的に、複数の第二流路31,…は、第二流体Bの流路の上流端から下流側に向かって、順に、第一〜第三の二次流路ブロックbl1,bl2,bl3に区分けされる。
【0058】
第一の二次流路ブロックbl1は、図2図4(B)に示すように、第一流体Aの流路における合流流路38よりも下流側の第一流路30と対応する位置(隣接する位置)に配置される第二流路31であって、第二流体Bが第二方向の他端から一端側に流れる少なくとも一つの第二流路31を含む。第三の二次流路ブロックbl3は、第一流体Aの流路における最上流の第一流路30(基準ブロックBL1)と対応する位置、即ち、各基準流路Raと隣接する位置に配置される第二流路31であって、第二流体Bが第二方向の他端から一端側に流れる複数の第二流路31,…を含む。第一の二次流路ブロックbl2は、第一及び第二の一次流路ブロックBL2,BL3と対応する位置、即ち、第一及び第二の一次流路ブロックBL2,BL3に含まれる第一流路30と隣接する位置に配置される第二流路31であって、第二流体Bが第二方向の一端から他端側に流れる複数の第二流路31,…を含む。本実施形態の第二の二次流路ブロックbl2は、第三の二次流路ブロックbl3を第一方向に挟む位置に設けられる。
【0059】
また、本体部3は、各二次流路ブロックbl1,bl2,bl3間の第二流路31同士を連通させる第二接続路39a,39bを有する。具体的には、第一の二次流路ブロックbl1を構成する少なくとも一つの第二流路31の下流端と、第二の二次流路ブロックbl2を構成する複数の第二流路31,…のそれぞれとが、一方の第二接続路39aによって連通する。また、第二の二次流路ブロックbl2を構成する複数の第二流路31,…の下流端それぞれと、第三の二次流路ブロックbl3を構成する複数の第二流路31,…それぞれとが、他方の第二接続路39bによって連通する。
【0060】
一方の第二接続路39aと他方の第二接続路39bとは、第二方向に間隔をあけて配置されている。具体的には、一方の第二接続路39aは、二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の一端部を貫通し、第一方向において本体部3の一端の第二流路31から他端の第二流路31まで延びている。他方の第二接続路39bは、二方向における伝熱プレート2(伝熱部20)の他端部を貫通し、第二の二次流路ブロックbl2における第一方向の一端の第二流路31から他端の第二流路31まで延びる。また、他方の第二接続路39bは、第二流入連通路34と同軸となるように配置されている。
【0061】
第二流入連通路34は、第一の二次流路ブロックbl1に含まれる少なくとも一つの第二流路31それぞれと連通する。本実施形態の第二流入連通路34は、本体部3における一端側の三つの第二流路31,31,31と連通する。
【0062】
第二流出連通路35は、第三の二次流路ブロックbl3に含まれる複数の第二流路31,…それぞれと連通する。本実施形態の第二流出連通路35は、各基準流路Raと対応する(隣接する)位置にある四つの第二流路31,31,31,31と連通する。
【0063】
以上のプレート式熱交換器1によれば、第一流入連通路32が伝熱プレート2の積層方向(第一方向)の途中位置にある複数の基準流路Ra,…のみに連通しているため、第一流入連通路32の第一方向の長さが抑えられて該第一流入連通路32における第一流体Aの圧力損失が抑えられる。
【0064】
しかも、本実施形態のプレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路の終端となる第四の一次流路ブロックBL5の第一流路30(終端流路Rb)の数が基準ブロックBL1の第一流路30(基準流路Ra)の数より小さく、これにより、第四の一次流路ブロックBL5の第一流路30(終端流路Rb)の総流路断面積が基準ブロックBL1の第一流路30(基準流路Ra)の総流路断面積より小さくなるため、第一流体Aが下流側に進むにつれて凝縮して体積が減少しても、第一流体Aの流路の終端位置における第一流体Aの流速の低下(詳しくは、基準流路Raでの第一流体Aの流速に対する終端流路Rbでの第一流体Aの流速の低下)が抑えられる。
【0065】
また、第一流体Aは、下流側に進むにつれて第二流体Bとの熱交換によって凝縮し、体積が減少する。そこで、本実施形態のプレート式熱交換器1では、第一流体Aの流路において下流側に進むにつれて一次流路ブロックBL1〜BL5毎に総流路断面積が適宜小さくなるため、第一流体Aの凝縮が進んで体積が小さくなっていっても、各一次流路ブロックBL1〜BL5での第一流体Aの流速の低下が好適に抑えられる。
【0066】
また、本実施形態のプレート式熱交換器1では、分岐路36によって分岐された第一流体Aの流路が合流流路38によって合流させられて一つの流路となって第一流出連通路33に流入するため、第一流体Aの流路における終端位置での流路断面積を第一流体Aの流路の始点となる複数の基準流路Ra,…(基準ブロックBL1を構成する複数の第一流路30,…)の総流路断面積に比べて十分小さくすることができる。その結果、終端流路Rbにおいて第一流体Aの十分な流速が得られる。
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0067】
各一次流路ブロックBLnに含まれる第一流路30の具体的な数は、限定されない。即ち、第一流体Aの流れ方向に隣り合う一次流路ブロックBLn,BLn+1において、下流側の一次流路ブロックBLn+1を構成する第一流路の数30が、上流側の一次流路ブロックBLnを構成する第一流路30の数以下で、且つ、終端流路Rbの数が、基準流路Raの数より小さければよい。
【0068】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1では、第一流体Aの流れ方向に隣り合う一次流路ブロックBLn,BLn+1において、下流側の一次流路ブロックBLn+1を構成する第一流路の数30が、上流側の一次流路ブロックBLnを構成する第一流路30の数以下であるが、この構成に限定されない。例えば、第一流体Aの流れ方向に隣り合う一次流路ブロックBLn,BLn+1において、下流側の一次流路ブロックBLn+1を構成する第一流路30の数が、上流側のブロックBLnを構成する第一流路の数より小さくてもよい。
【0069】
かかる構成によれば、第一流体Aの流路において下流側に進むにつれて一次流路ブロックBLn,BLn+1毎に総流路断面積が漸減するため、第一流体Aの凝縮が進んで体積が小さくなっていっても、各一次流路ブロックBL1〜BL5での第一流体Aの流速低下が好適に抑えられる。
【0070】
また、一次流路ブロックBLnの具体的な数は限定されない。上記実施形態のプレート式熱交換器1では、例えば、一次流路ブロックBLnが五つ(基準ブロックBL1を含む)設けられているが、二つ以上設けられていればよい。
【0071】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1において、第一流体Aの流路における合流流路38よりも上流側の部位では、分岐路36によって第一方向の一端側に分岐された第一流体Aの流路(分岐流路)と、分岐路36によって第一方向の他端側に分岐された第一流体Aの流路(分岐流路)とが、第一方向において基準ブロックBL1を基準にして対称に形成されているが、この構成に限定されず、非対称に形成されてもよい。
【0072】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1では、分岐路によって分岐された第一流体Aの流路が合流流路38によって合流させられた後、第一流出連通路33に連通しているが、この構成に限定されない。即ち、分岐路36によって分岐された第一流体Aの流路(分岐流路)のそれぞれが、互いに合流することなく別々に第一流出連通路33に連通していてもよい。かかる構成によっても、第一流体Aの流れ方向に隣り合う一次流路ブロックBLn,BLn+1において、下流側の一次流路ブロックBLn+1を構成する第一流路の数30が、上流側の一次流路ブロックBLnを構成する第一流路30の数以下で、且つ、終端流路Rbの数が、基準流路Raの数より小さければ、第一流体Aの流路における終端流路Rbでの第一流体Aの流速低下を抑えることができる。
【0073】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1において、終端流路Rbを構成する第一流路30の具体的な数は限定されない。上記実施形態のプレート式熱交換器1の終端流路Rbは一つであるが、並列に配置された複数の終端流路Rb,…であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1において、基準流路Raの具体的な数も、限定されない。上記実施形態のプレート式熱交換器1の基準流路Raの数は、例えば、三つであるが、二つでもよく、四つ以上でもよい。
【0075】
また、上記実施形態のプレート式熱交換器1は、分岐路36を有しているが、分岐路36がない構成でもよい。即ち、第一接続路37の配置等によって、第一方向における基準ブロックBL1の両側それぞれに一次流路ブロックBLnが構成されていればよい。
【符号の説明】
【0076】
1…プレート式熱交換器、2…伝熱プレート、20…伝熱部、21…嵌合部、3…本体部、30…第一流路、31…第二流路、32…第一流入連通路(一方の第一連通路)、33…第一流出連通路(他方の第一連通路)、34…第二流入連通路(他方の第二連通路)、35…第二流出連通路(一方の第二連通路)、36…分岐路、37a,37b…第一接続路、38…合流流路、39a,39b…第二接続路、4…第一エンドプレート、5…第二エンドプレート、40,50…封止部、41,51…嵌合部、A…第一流体、B…第二流体、BL,BLn…一次流路ブロック、BL1…基準ブロック、BL2…第一の一次流路ブロック、BL3…第二の一次流路ブロック、BL4…第三の一次流路ブロック、BL5…第四の一次流路ブロック、bl,bln…二次流路ブロック、bl1…第一の二次流路ブロック、bl2…第二の二次流路ブロック、bl3…第三の二次流路ブロック、Ra…基準流路、Rb…終端流路
図1
図2
図3
図4
図5