(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クラッチ機構(64)は、通電時に前記切り離し状態となり、通電停止時に前記連結状態となるように構成されている逆作動型の電磁クラッチである請求項3に記載の電動ブレーキ装置。
運転者の手で操作されるパーキングブレーキレバー(96)に、前記押圧機構(6)に一端を接続したワイヤケーブル(5)の他端を接続した請求項1または2に記載の電動ブレーキ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような電動ブレーキ装置は、電動モータに電力を供給するバッテリの充電量の異常低下や、センサ故障や、電気配線の断線等といった電気的失陥が発生すると、電動モータが作動しなくなるおそれがある。この場合、摩擦パッドをブレーキディスクに押さえ付けることができないので、ブレーキディスクと一体に回転する車輪に制動力を発生させることができなくなるおそれがある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、電気的失陥が生じたときにも、制動力を発生させることが可能な電動ブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の発明者は、次の構成を電動ブレーキ装置に採用した。
電動モータと、
その電動モータの回転が入力される回転軸と、
軸方向に移動可能に支持された直動部材と、
前記回転軸の回転を前記直動部材の軸方向移動に変換する運動変換機構と、
前記直動部材の軸方向前方に配置された摩擦パッドとを有し、
前記直動部材が前記摩擦パッドを押圧することにより、車輪と一体に回転するブレーキディスクに前記摩擦パッドを押さえ付ける電動ブレーキ装置において、
運転者の操作力により前記回転軸を軸方向前方に押圧する押圧機構を設け、
その押圧機構で前記回転軸を押圧したときに前記回転軸と前記直動部材とが一体に軸方向前方に移動して前記摩擦パッドを押圧することを特徴とする電動ブレーキ装置。
【0007】
このようにすると、電動モータが動作しない状態においても、運転者の操作力により回転軸を軸方向前方に押圧し、回転軸と直動部材とを一体に軸方向前方に移動させることで、摩擦パッドをブレーキディスクに押さえ付けることが可能となる。そのため、電気的失陥が生じたときにも、制動力を発生させることが可能である。また、回転軸が軸方向前方に押圧されたとき、回転軸は、回転せずに直動部材と一体に軸方向前方に移動するので、回転軸の回転が何らかの原因で阻害されている場合にも、制動力を発生させることが可能である。
【0008】
前記直動部材は、前記回転軸を囲むように配置された外輪部材とし、
前記運動変換機構は、前記回転軸に外接すると同時に前記外輪部材に内接する複数の遊星ローラと、それらの遊星ローラを自転可能かつ公転可能に支持するキャリヤと、前記外輪部材の内周に設けられた螺旋凸条と、その螺旋凸条と係合するように前記遊星ローラの外周に設けられた円周溝または螺旋溝とを有する遊星ローラ機構とし、
前記回転軸の外周に、前記キャリヤを軸方向後側から支持する鍔部を設けたものとすることができる。
【0009】
このようにすると、遊星ローラ機構は、送りねじ機構等の他の運動変換機構に比べて、高い増力比(回転軸に入力される回転トルクに対する直動部材の軸方向推力の比)を有するため、電動ブレーキ装置のサイズを小型化することができる。そして、回転軸が押圧機構で押圧されて軸方向前方に移動したときに、回転軸の外周に設けられた鍔部がキャリヤを軸方向前方に押し動かすので、キャリヤで支持された遊星ローラも軸方向前方に移動し、遊星ローラと係合する外輪部材も軸方向前方に移動する。その結果、回転軸が押圧機構で押圧されて軸方向前方に移動したときに、直動部材たる外輪部材が、回転軸と一体に軸方向前方に移動する。
【0010】
上記電動ブレーキ装置は、以下の構成を加えることができる。
揺動可能に支持され、運転者の足で操作されるブレーキペダルと、
そのブレーキペダルとは独立して揺動可能に支持され、前記押圧機構に一端を接続したワイヤケーブルの他端が接続されたワイヤコネクタ部と、
前記ブレーキペダルと前記ワイヤコネクタ部とが一体に揺動するように前記ブレーキペダルと前記ワイヤコネクタ部の間を連結する連結状態と、前記ブレーキペダルに作用する運転者の操作力が前記ワイヤコネクタ部に伝達するのを遮断するように前記ブレーキペダルと前記ワイヤコネクタ部の間を切り離す切り離し状態とを切り換えるクラッチ機構とを設ける。
【0011】
このようにすると、電気的失陥が生じたときに、クラッチ機構を切り離し状態から連結状態に切り換えることにより、電気的失陥が生じていないときと同様、運転者がブレーキペダルを操作することで制動力を発生することが可能となり、電気的失陥の発生時の操作性に優れる。
【0012】
前記クラッチ機構は、通電時に前記切り離し状態となり、通電停止時に前記連結状態となるように構成されている逆作動型の電磁クラッチとすると好ましい。
【0013】
このようにすると、クラッチ機構への通電を停止したときに、クラッチ機構が連結状態になるので、電動ブレーキ装置が電源を喪失したときにも、制動力が発生できなくなる事態を回避することができ、高い安全性を確保することができる。
【0014】
また、上記電動ブレーキ装置は、以下の構成を加えることができる。
前記電動モータに電力を供給するバッテリの充填量を検知するバッテリセンサと、
そのバッテリセンサの検知信号に基づいて前記クラッチ機構を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記バッテリセンサで前記バッテリの充電量が予め設定された閾値を下回っていることが検知されたときに、前記クラッチ機構を前記切り離し状態から前記連結状態に切り換えるように制御するように構成されている。
【0015】
このようにすると、バッテリの充電量が閾値を下回ったときに、クラッチ機構が連結状態になるので、バッテリの充電量が低下したときに制動力が発生できなくなる事態を回避することができる。
【0016】
運転者の手で操作されるパーキングブレーキレバーに、前記押圧機構に一端を接続したワイヤケーブルの他端を接続することも可能である。これにより、電動ブレーキ装置の上記機構をパーキングブレーキとして使用することが可能となる。
【0017】
前記押圧機構としては、例えば、
前記回転軸の軸方向に直交する軸線まわりに回動可能に支持され、その回動角度に応じて前記回転軸を軸方向前方に押圧する形状を有するカム部材と、
前記カム部材と一体に回動し、前記ワイヤケーブルの一端が接続されたワイヤレバーとを有するものを採用することができる。
【0018】
また、前記押圧機構としては、例えば、
前記回転軸の軸方向後方に配置され、回り止めした状態で軸方向に移動可能に支持された直動ディスクと、
その直動ディスクの軸方向後方に対向して配置され、軸方向後方への移動が規制された状態で回動可能に支持された回動ディスクと、
前記直動ディスクの回動ディスクに対する対向面に形成された傾斜溝と、前記回動ディスクの直動ディスクに対する対向面に形成された傾斜溝との間に組み込まれたボールと、
前記回動ディスクと一体に回動し、前記ワイヤケーブルの一端が接続されたワイヤレバーとを有するボールランプ機構を採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の電動ブレーキ装置は、電動モータが動作しない状態においても、運転者の操作力により回転軸を軸方向前方に押圧し、回転軸と直動部材とを一体に軸方向前方に移動させることで、摩擦パッドをブレーキディスクに押さえ付けることが可能である。そのため、電気的失陥が生じたときにも、制動力を発生させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、
図2に、この発明の第1実施形態の電動ブレーキ装置を示す。この電動ブレーキ装置は、車輪と一体に回転するブレーキディスク1と、ブレーキディスク1を間にして軸方向に対向する一対の摩擦パッド2,3と、摩擦パッド2,3を移動させるための電動モータ4とを有し、この電動モータ4から伝達する動力で摩擦パッド2,3をブレーキディスク1に押さえ付けることにより、制動力を発生するものである。また、この電動ブレーキ装置は、電気的失陥により電動モータ4が動作しない状態においても制動力の発生を可能とするため、運転者の操作力で引っ張られるように設けられたワイヤケーブル5と、そのワイヤケーブル5の一端に接続された押圧機構6とを有する。
【0022】
この電動ブレーキ装置は、ブレーキディスク1を間にして軸方向に対向する一対の対向部7,8をブレーキディスク1の外径側に位置するブリッジ9で連結した形状のキャリパボディ10を有する。キャリパボディ10の一方の対向部7とブレーキディスク1の間に摩擦パッド2が配置され、他方の対向部8とブレーキディスク1の間に摩擦パッド3が配置されている。各摩擦パッド2,3は、キャリパボディ10に取り付けられたパッドピン(図示せず)でブレーキディスク1の軸方向に移動可能に支持されている。
【0023】
図3に示すように、キャリパボディ10は、車輪を支持するナックル(図示せず)にボルト11で固定されたキャリパブラケット12に取り付けた一対のスライドピン13で、ブレーキディスク1の軸方向に移動可能に支持されている。これにより、
図2に示す摩擦パッド3が軸方向前方に移動してブレーキディスク1に押さえ付けられたときに、ブレーキディスク1から受ける反力によってキャリパボディ10が軸方向後方に移動し、このキャリパボディ10の移動によって、反対側の摩擦パッド2もブレーキディスク1に押さえ付けられるようになっている。
【0024】
図4に示すように、キャリパボディ10の一方の対向部8は、軸方向の前後両端が開口した円筒状のキャリパハウジング8Aと、キャリパハウジング8Aの軸方向後側の端部から軸方向と直角な方向(ブレーキディスク1と平行な方向)に延びるキャリパフランジ8Bとからなる。
【0025】
キャリパハウジング8Aには、回転軸14と、回転軸14を囲むように配置された外輪部材15と、回転軸14の回転を外輪部材15の軸方向移動に変換する遊星ローラ機構16とが組み込まれている。外輪部材15の軸方向前方に摩擦パッド3が配置されている。
【0026】
キャリパフランジ8Bには、電動モータ4が取り付けられている。電動モータ4と回転軸14の間には、電動モータ4の回転を回転軸14に減速して伝達する減速機構17が設けられている。減速機構17は、キャリパハウジング8Aの軸方向後側の端部開口とキャリパフランジ8Bの側面とを覆うように設けられたカバー18内に収容されている。
【0027】
電動モータ4は、ロータ19とステータ20とモータハウジング21とを有する。モータハウジング21はキャリパフランジ8Bに固定されている。ロータ19は、モータハウジング21に装着した軸受22で回転可能に支持されたロータ軸19Aと、ロータ軸19Aの外周に固定されたロータコア19Bとからなる。ステータ20は、モータハウジング21の内周に固定されたステータコア20Aと、ステータコア20Aに巻回された電磁コイル20Bとからなる。電磁コイル20Bに通電すると、ステータコア20Aとロータコア19Bの間に働く電磁力によってロータコア19Bに回転力が発生し、ロータコア19Bと一体にロータ軸19Aが回転する。
【0028】
図5に示すように、減速機構17は、電動モータ4のロータ軸19Aの回転を減速して伝達する第1のギヤ列23と、第1のギヤ列23から伝達された回転を更に減速して伝達する第2のギヤ列24と、第2のギヤ列24から伝達された回転を更に減速して回転軸14に伝達する第3のギヤ列25とを有する。電動モータ4の回転は、これらの複数のギヤ列23,24,25を介して順次減速して伝達され、回転軸14に入力される(
図4参照)。
【0029】
減速機構17には、減速機構17を構成する複数のギヤ列23,24,25に含まれるギヤ26(ここでは第2のギヤ列24の出力側のギヤ)の回転を阻止するパーキングロック状態と、ギヤ26の回転を許容するアンロック状態とを切り替え可能なロック機構27が設けられている。ロック機構27は、ギヤ26の側面に周方向に等間隔に設けられた複数の係止孔28と、これらの係止孔28に係脱可能に設けられたロックピン29と、このロックピン29を移動させるためのロックアクチュエータ30とを有する。
【0030】
このロック機構27は、電動モータ4の作動により摩擦パッド3がブレーキディスク1に押さえ付けられているときに、ロックアクチュエータ30でロックピン29を移動させて、ギヤ26の側面の係止孔28にロックピン29を係合させることにより、ブレーキディスク1に対する摩擦パッド3の押圧力が解除される方向のギヤ26の回転を一時的に阻止することが可能となっている。
【0031】
図6に示すように、遊星ローラ機構16は、回転軸14に外接すると同時に外輪部材15に内接する複数の遊星ローラ31と、これらの遊星ローラ31を自転可能かつ公転可能に支持するキャリヤ32と、外輪部材15の内周に設けられた螺旋凸条33と、螺旋凸条33と係合するように遊星ローラ31の外周に設けられた円周溝34とを有する。
【0032】
図7に示すように、複数の遊星ローラ31は、周方向に等間隔となるように配置されている。各遊星ローラ31は、回転軸14の外周および外輪部材15の内周にそれぞれ転がり接触している。回転軸14の遊星ローラ31に対する接触部分は円筒面である。そして、回転軸14が回転したとき、遊星ローラ31は、ローラ軸を中心に自転しながら、回転軸14を中心に公転する。すなわち、遊星ローラ31は、回転軸14の外周から受ける回転力によって自転し、これに伴い、遊星ローラ31は外輪部材15の内周を転がって公転する。
【0033】
外輪部材15の内周の螺旋凸条33は、円周方向に対して斜めに延びる螺旋状の凸状である。一方、遊星ローラ31の外周の円周溝34は、円周方向に対して平行に延びる溝である。この実施形態では遊星ローラ31の外周にリード角が0度の円周溝34を設けているが、円周溝34のかわりに、螺旋凸条33と異なるリード角をもつ螺旋溝を設けてもよい。
【0034】
図6に示すように、外輪部材15は、キャリパハウジング8Aの内面で軸方向に移動可能に支持されている。キャリパハウジング8Aの内面の外輪部材15に対する接触部分は円筒面である。外輪部材15は、摩擦パッド3の背面に形成された凸部35と係合する凹部36を有し、この凸部35と凹部36の係合によって、キャリパハウジング8Aに対して回り止めされている(
図4参照)。
【0035】
キャリヤ32は、遊星ローラ31を間にして軸方向に対向する一対のキャリヤプレート37,38と、周方向に隣り合う遊星ローラ31の間を軸方向に延びてキャリヤプレート37,38同士を連結する連結部39と、各遊星ローラ31を自転可能に支持するローラ軸40とを有する。各キャリヤプレート37,38は回転軸14を貫通させる環状に形成され、その内周には回転軸14の外周に摺接する滑り軸受41がそれぞれ装着されている。
【0036】
各ローラ軸40の両端部は、一対のキャリヤプレート37,38にそれぞれ形成された長孔42で外輪部材15の半径方向に移動可能に支持されている。さらに、各ローラ軸40の両端部には、周方向に間隔をおいて配置されたすべての遊星ローラ31のローラ軸40に外接するように弾性リング43が掛け渡されている。この弾性リング43は、各遊星ローラ31を回転軸14の外周に押さえ付けることにより、遊星ローラ31と回転軸14の間の滑りを防止している。
【0037】
キャリパハウジング8A内には、外輪部材15に対して軸方向後方に離れた位置に環状の軸受支持部材44が設けられている。軸受支持部材44の内周には、回転軸14を回転可能に支持するラジアル軸受45が組み込まれている。ラジアル軸受45の内周と回転軸14の外周との間のはめあいは、すきまばめまたは中間ばめとされている。この軸受支持部材44は、キャリパハウジング8Aの軸方向後側の端部内周に装着したストッパリング46によって軸方向後方への移動が規制されている。
【0038】
各遊星ローラ31とその軸方向後側のキャリヤプレート38との間には、遊星ローラ31を自転可能に支持するスラスト軸受47が組み込まれている。また、遊星ローラ31の軸方向後側のキャリヤプレート38と軸受支持部材44との間には、キャリヤプレート38と一体に公転するスラスト板48と、スラスト板48を公転可能に支持するスラスト軸受49とが組み込まれている。
【0039】
軸受支持部材44は、スラスト板48とスラスト軸受49とを介してキャリヤプレート38を軸方向に支持することで、キャリヤ32の軸方向後方への移動を規制している。また、軸方向前側のキャリヤプレート37は、回転軸14の軸方向前端に装着した止め輪50で軸方向前方への移動が規制されている。したがって、キャリヤ32は、軸方向前方と軸方向後方の移動がいずれも規制され、キャリヤ32に保持された遊星ローラ31も軸方向移動が規制された状態となっている。
【0040】
回転軸14の外周には、キャリヤ32を軸方向後側から支持する鍔部51が形成されている。鍔部51は、軸方向後側のキャリヤプレート38の軸方向後方に対向するように配置され、回転軸14が軸方向前方に移動したときに、鍔部51がキャリヤプレート38を軸方向前方に押し動かすようになっている。鍔部51は、回転軸14と継ぎ目のない一体構造となるように形成してもよく、回転軸14の外周に別部材を固定して形成してもよい。また、鍔部51とキャリヤプレート38の間にスラスト軸受を組み込んでもよい。また、鍔部51は、スラスト板48を介してキャリヤ32を軸方向後側から支持するようにしてもよく、軸受支持部材44やスラスト軸受49等を介してキャリヤ32を軸方向後側から支持するように構成することも可能である。
【0041】
外輪部材15の軸方向前側の端部には、外輪部材15の軸方向前端の開口を閉塞するシールカバー52が取り付けられている。このシールカバー52は、外輪部材15の内部に異物が侵入するのを防止している。また、軸方向に伸縮可能に形成された筒状のベローズ53の一端が、外輪部材15の軸方向前側の端部に固定され、ベローズ53の他端が、キャリパハウジング8Aの軸方向前側の開口縁部に固定されている。ベローズ53は、外輪部材15とキャリパハウジング8Aの摺動面間に異物が侵入するのを防止している。
【0042】
この遊星ローラ機構16は、電動モータ4を回転させると、電動モータ4の回転が減速機構17を介して回転軸14に入力され、遊星ローラ31が自転しながら公転する(
図4参照)。このとき、螺旋凸条33と円周溝34のリード角の差によって外輪部材15と遊星ローラ31が軸方向に相対移動するが、遊星ローラ31はキャリヤ32と共に軸方向の移動が規制されているので、遊星ローラ31は軸方向に移動せず、外輪部材15が軸方向に移動する。ここで、外輪部材15が軸方向前方に移動する方向の回転が電動モータ4から回転軸14に入力されたときは、外輪部材15が摩擦パッド3を押圧することにより、
図1に示す摩擦パッド2,3がブレーキディスク1に押さえ付けられて、ブレーキディスク1と一体に回転する車輪に制動力が負荷される。また、外輪部材15が軸方向後方に移動する方向の回転が電動モータ4から回転軸14に入力されたときは、
図1に示す摩擦パッド2,3がブレーキディスク1から離反して、車輪に対する制動力が解除される。
【0043】
図8に示すように、押圧機構6は、回転軸14の軸方向後端に対向して軸方向に移動可能に設けられたスライド部材54と、回転軸14の軸方向に直交する軸線まわりに回動可能に支持されたカム部材55と、スライド部材54とカム部材55の間に組み込まれたリンク部材56と、ワイヤケーブル5の一端に設けられたワイヤエンド金具5aが接続されるワイヤレバー57とを有する。ワイヤレバー57の一端はカム部材55に連結されており、ワイヤレバー57の他端に接続されたワイヤケーブル5が引っ張られたときに、ワイヤレバー57とカム部材55とが一体に回動するようになっている。
【0044】
スライド部材54は、カバー18に設けられた軸方向に延びるガイド孔58の内面で摺動可能に支持されている。スライド部材54の軸方向後側の端面には、リンク部材56の一端を受け支える凹部59が形成されている。カム部材55の外周には、カム面60が形成されている。カム面60は、ワイヤケーブル5の引っ張り操作によりカム部材55が回動したときに、その回動角度に応じて、リンク部材56を介してスライド部材54を軸方向前方に押圧する形状をもつように形成されている。また、ワイヤレバー57には、ワイヤケーブル5の引っ張り操作によるワイヤレバー57の回動方向とは反対の方向にワイヤレバー57を付勢するリターンスプリング61が取り付けられている(
図2参照)。
【0045】
この押圧機構6は、
図8に示すワイヤケーブル5を引っ張ると、ワイヤケーブル5に作用する引張力によってカム部材55が回動し、このカム部材55の回動角度に応じて、カム面60がリンク部材56を介してスライド部材54を軸方向前方に押し動かし、その結果、スライド部材54の軸方向前側の端面が回転軸14を軸方向前方に押圧する。
【0046】
図1に示すように、運転者の足で操作されるブレーキペダル62には、ワイヤケーブル5の端部に設けられたワイヤエンド金具5bが接続されるワイヤコネクタ部63と、クラッチ機構64とが取り付けられている。ブレーキペダル62は、支点軸65を中心に揺動可能に支持されている。ブレーキペダル62には、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出するストロークセンサ66(
図9参照)が取り付けられている。ワイヤコネクタ部63は、ブレーキペダル62の支点軸65と同じ位置に揺動中心をもつように揺動可能に支持されている。ここで、ワイヤコネクタ部63は、ブレーキペダル62がワイヤコネクタ部63とは切り離して揺動可能となるように、ブレーキペダル62とは独立して揺動可能とされている。
【0047】
クラッチ機構64は、運転者がブレーキペダル62を踏み込んだときにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63とが一体に揺動するようにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63の間を連結する連結状態と、ブレーキペダル62に作用する運転者の操作力がワイヤコネクタ部63に伝達するのを遮断するようにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63の間を切り離す切り離し状態とを切り換え可能に構成されている。ここで、クラッチ機構64は、通電時に切り離し状態となり、通電停止時に連結状態となるように構成された逆作動型の電磁クラッチである。
【0048】
この電動ブレーキ装置の電動モータ4およびクラッチ機構64は、
図9に示すブレーキ制御部70で制御される。このブレーキ制御部70の入力側には、ブレーキペダル62の操作量を検知するストロークセンサ66と、摩擦パッド3がブレーキディスク1を押圧する押圧力を検知する押圧力センサ67と、電動モータ4に電力を供給するバッテリ68の充填量を検知するバッテリセンサ69とが接続されている。
【0049】
押圧力センサ67としては、例えば、摩擦パッド3でブレーキディスク1を押圧したときにその押圧力の大きさに応じてたわみを生じる軸受支持部材44のたわみ量または変位量に基づいて摩擦パッド3の押圧力を検知するものや、摩擦パッド3でブレーキディスク1を押圧したときにスラスト軸受49と軸受支持部材44の間に作用する圧力に基づいて摩擦パッド3の押圧力を検知するもの等を採用することができる。
【0050】
ブレーキ制御部70の出力側には、電動モータ4と、クラッチ機構64と、バッテリ警告灯71と、ブレーキ警告灯72とが接続されている。バッテリ警告灯71は、バッテリ68の充電量不足の異常を運転者に報知するために運転席に設けられた車載装置であり、ブレーキ警告灯72は、ブレーキの作動不良等の異常を運転者に報知するために運転席に設けられた車載装置である。
【0051】
次に、
図10に基づいて、ブレーキ制御部70による電動モータ4およびクラッチ機構64の制御例を説明する。この制御は、電動モータ4に電力を供給するバッテリ68の充電量の異常低下により電動モータ4が作動しなくなったときに、制動力の発生を可能とする制御である。
【0052】
ブレーキ制御部70は、先ずクラッチ機構64のON/OFF状態を確認する(ステップS
1)。バッテリ68の充電量が正常範囲にあるとき、クラッチ機構64はOFF状態である。クラッチ機構64がOFF状態であると判断されたときは、バッテリ68の充電量が予め設定された閾値を下回っているか否かを判定する(ステップS
2)。そして、バッテリ68の充電量が閾値を下回っていると判定されたときは、バッテリ68の充電不足により電動モータ4が作動しないおそれがあると考えられるので、バッテリ警告灯71を点灯させるとともに(ステップS
3)、電動ブレーキの制御(すなわち、運転者によるブレーキペダル62の操作量に応じた押圧力が生じるように電動モータ4を作動させる制御)を停止し(ステップS
4)、更に、クラッチ機構64を切り離し状態から連結状態に切り換える(ステップS
5)。
【0053】
この状態で、運転者が
図1に示すブレーキペダル62を踏み込み操作すると、ブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63が一体に揺動するので、ワイヤケーブル5のワイヤコネクタ部63の側の端部が引っ張られ、そのワイヤケーブル5に作用する引張力によって押圧機構6のワイヤレバー57が揺動する。このとき、
図8に示すカム部材55がワイヤレバー57と一体に回動し、このカム部材55の回動角度に応じて、カム部材55のカム面60がリンク部材56を介してスライド部材54を軸方向前方に押圧し、そのスライド部材54が回転軸14を軸方向前方に押し動かす。そして、
図6に示す回転軸14が軸方向前方に押圧されて移動するときに、回転軸14の外周に設けられた鍔部51がキャリヤ32を軸方向前方に押し動かすので、キャリヤ32で支持された遊星ローラ31も軸方向前方に移動し、遊星ローラ31と係合する外輪部材15も軸方向前方に移動し、その外輪部材15が摩擦パッド3を軸方向前方に押し動かす。その結果、摩擦パッド3がブレーキディスク1に押さえ付けられる。
【0054】
その後、
図10に示すように、クラッチ機構64のON/OFF状態を確認する(ステップS
1)。この状態ではクラッチ機構64がON状態と判断されるので、ブレーキ制御部70は、バッテリ68の充電量があらかじめ設定された閾値(ステップS
2の閾値よりも大きい値)を上回っているか否かを判定する(ステップS
6)。そして、バッテリ68の充電量が閾値を上回っていると判定されたときは、バッテリ68の充電不足が解消されたと考えられるので、バッテリ警告灯71を消灯させるとともに(ステップS
7)、電動ブレーキの制御を再び開始し(ステップS
8)、更に、クラッチ機構64を連結状態から切り離し状態に切り換える(ステップS
9)。
【0055】
次に、
図11に基づいて、ブレーキ制御部70による電動モータ4およびクラッチ機構64の他の制御例を説明する。この制御は、押圧力センサ67の故障や電気配線の断線等といった電気的失陥により、電動モータ4が作動しなくなったときに、制動力の発生を可能とする制御である。
【0056】
ブレーキ制御部70は、先ずクラッチ機構64のON/OFF状態を確認する(ステップS
11)。電動ブレーキが正常であるとき、クラッチ機構64はOFF状態である。クラッチ機構64がOFF状態であると判断されたときは、電動ブレーキに異常があるかどうかを判定する(ステップS
12)。電動ブレーキに異常があるかどうかの判定は、例えば、運転者によるブレーキペダル62の操作に応じて電動モータ4を作動させる制御を行なっているときに、押圧力センサ67で検知される押圧力が、ブレーキペダル62の操作量に応じた目標値に達するか否かを検出し、目標値に達しないときは電動ブレーキに異常があると判定する方法により行なうことができる。そして、電動ブレーキに異常があると判定されたときは、ブレーキ警告灯72を点灯させるとともに(ステップS
13)、電動ブレーキの制御(すなわち、運転者によるブレーキペダル62の操作量に応じた押圧力が生じるように電動モータ4を作動させる制御)を停止し(ステップS
14)、更に、クラッチ機構64を切り離し状態から連結状態に切り換える(ステップS
15)。
【0057】
ここで、電動モータ4で駆動される電動ブレーキ装置が複数の車輪にそれぞれ設けられている場合、各電動ブレーキ装置に対応して複数のワイヤコネクタ部63とクラッチ機構64をブレーキペダル62に設け、そして、異常がある電動ブレーキ装置に対応するクラッチ機構64のみを連結状態にするように構成することができる。
【0058】
その後、ブレーキ制御部70は、クラッチ機構64のON/OFF状態を確認する(ステップS
11)。この状態ではクラッチ機構64がON状態と判断されるので、電源投入時の自己診断制御等により電動ブレーキが正常に復帰したか否かを判定する(ステップS
16)。電動ブレーキが正常に復帰したと判定されたときに、ブレーキ警告灯72を消灯させるとともに(ステップS
17)、電動ブレーキの制御を再び開始し(ステップS
18)、更に、クラッチ機構64を連結状態から切り離し状態に切り換える(ステップS
19)。
【0059】
以上のように、この電動ブレーキ装置は、電動モータ4が動作しない状態においても、運転者の操作でワイヤケーブル5を引っ張ることにより回転軸14を軸方向前方に押圧し、回転軸14と外輪部材15とを一体に軸方向前方に移動させることで、摩擦パッド3をブレーキディスク1に押さえ付けることが可能である。そのため、電気的失陥が生じたときにも、制動力を発生させることができる。また、回転軸14が軸方向前方に押圧されたとき、回転軸14は、回転せずに外輪部材15と一体に軸方向前方に移動するので、回転軸14の回転が何らかの原因で阻害されている場合にも、制動力を発生させることが可能である。
【0060】
また、この電動ブレーキ装置は、電気的失陥が生じたときに、電気的失陥が生じていないときと同様、運転者がブレーキペダル62を操作することで制動力を発生することが可能である。そのため、電気的失陥の発生時の操作性に優れる。
【0061】
クラッチ機構64としては、通電時に連結状態となり、通電停止時に切り離し状態となる正作動型の電磁クラッチを採用することも可能であるが、上記実施形態のように、通電時に切り離し状態となり、通電停止時に連結状態となるように構成されている逆作動型の電磁クラッチを採用すると好ましい。このようにすると、クラッチ機構64への通電を停止したときに、クラッチ機構64が連結状態になるので、電動ブレーキ装置が電源を喪失したときにも、制動力を確保することができる。
【0062】
電動モータ4の回転が入力される回転軸14の回転を、摩擦パッド3を押圧する直動部材の軸方向移動に変換する運動変換機構としては、遊星ローラ機構16以外の機構(例えば、送りねじ機構等)を採用することも可能である。しかし、上記実施形態のように遊星ローラ機構16を採用すると、遊星ローラ機構16は、送りねじ機構等の他の運動変換機構に比べて、高い増力比(回転軸14に入力される回転トルクに対する直動部材の軸方向推力の比)を有するため、電動ブレーキ装置のサイズを小型化することができる。そして、この遊星ローラ機構16を採用した場合、上記実施形態のように、回転軸14の外周に鍔部51を設けることにより、直動部材たる外輪部材15を回転軸14と一体に軸方向前方に移動させることが可能となる。
【0063】
図12に、押圧機構6の他の例を示す。この押圧機構6は、回転軸14の軸方向後方に配置された直動ディスク80と、直動ディスク80の軸方向後方に対向して配置された回動ディスク81と、直動ディスク80と回動ディスク81の間に設けられたボール82と、ワイヤケーブル5の一端が接続されたワイヤレバー83とを有する。直動ディスク80は、回り止めした状態で軸方向に移動可能に支持されている。回動ディスク81は、スラスト軸受84で軸方向後方への移動が規制された状態で回動可能に支持されている。
【0064】
図13に示すように、回動ディスク81の直動ディスク80に対する対向面には、周方向に間隔をおいて複数の傾斜溝86が形成されている。同様に、直動ディスク80の回動ディスク81に対する対向面にも、周方向に間隔をおいて複数の傾斜溝87が形成されている(
図12参照)。
【0065】
図14(a)、(b)に示すように、傾斜溝86は、最深部88から一方の周方向に向かって次第に浅くなるように形成され、傾斜溝87は、最深部89から他方の周方向に向かって次第に浅くなるように形成されている。ボール82は、この両傾斜溝86,87の間に組み込まれている。
【0066】
図12に示すように、ワイヤレバー83の一端は回動ディスク81に連結されており、ワイヤレバー83の他端に接続されたワイヤケーブル5が引っ張られたときに、ワイヤレバー83と回動ディスク81が一体に回動するようになっている。ワイヤレバー83には、ワイヤケーブル5の引っ張り操作によるワイヤレバー83の回動方向とは反対の方向にワイヤレバー83を付勢するリターンスプリング89が取り付けられている。
【0067】
この押圧機構6は、ワイヤケーブル5を引っ張ると、
図14(b)に示すように、ワイヤケーブル5に作用する引張力によって回動ディスク81が回動し、これに伴いボール82が傾斜溝86,87内を最深部88,89から浅くなる方向に転がるので、回動ディスク81の回動角度に応じて回動ディスク81と直動ディスク80の軸方向の間隔が拡大する。ここで、回動ディスク81は、軸方向後方への移動が規制されているので、直動ディスク80が軸方向前方に移動する。この結果、回転軸14を軸方向前方に押し動かす。その結果、直動ディスク80が回転軸14を軸方向前方に押圧し、回転軸14が軸方向前方に押し動かされることになる。
【0068】
図12に示す押圧機構6では、回転軸14が直動ディスク80で直接押圧されるようにしたが、
図15に示すように、回転軸14の外周に固定されたギヤ90を直動ディスク80で押圧し、そのギヤ90を介して回転軸14が軸方向前方に押圧されるようにしてもよい。
【0069】
図16に、クラッチ機構64の他の例を示す。ブレーキペダル62およびワイヤコネクタ部63は、支点軸65を中心に揺動可能に支持されている。ここで、ワイヤコネクタ部63は、ブレーキペダル62がワイヤコネクタ部63とは切り離して揺動可能となるように、ブレーキペダル62とは独立して揺動可能とされている。ブレーキペダル62には、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出するストロークセンサ66が取り付けられている。ワイヤコネクタ部63の揺動側の端部には、ワイヤケーブル5が接続されている。
【0070】
クラッチ機構64は、支点軸65を中心に揺動可能に支持されたソレノイド取り付け部材91と、ソレノイド取り付け部材91に取り付けられたソレノイドアクチュエータ92と、ブレーキペダル62に形成された第1のプランジャ係合孔93と、ワイヤコネクタ部63に形成された第2のプランジャ係合孔94とを有する。ソレノイドアクチュエータ92は、支点軸65と平行に進退するプランジャ95を有し、通電停止時にプランジャ95が前進し、通電時にプランジャ95が後退するように構成されている。そして、第1のプランジャ係合孔93と、第2のプランジャ係合孔94は、ブレーキペダル62が踏まれていない初期位置にある状態で、ソレノイドアクチュエータ92のプランジャ95と同一線上に位置するように配置されている。
【0071】
このクラッチ機構64は、
図17に示すように、ソレノイドアクチュエータ92のプランジャ95を前進させることにより、運転者がブレーキペダル62を踏み込んだときにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63とが一体に揺動するようにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63の間を連結する連結状態とすることができる。また、
図16に示すように、ソレノイドアクチュエータ92のプランジャ95を後退させることにより、ブレーキペダル62に作用する運転者の操作力がワイヤコネクタ部63に伝達するのを遮断するようにブレーキペダル62とワイヤコネクタ部63の間を切り離す切り離し状態にすることができる。ここで、ソレノイドアクチュエータ92のプランジャ95は、通電停止時に前進し、通電時に後退するので、このクラッチ機構64は、通電時に切り離し状態となり、通電停止時に連結状態となるように構成された逆作動型の電磁クラッチとして機能している。
【0072】
図18に、この発明の第2実施形態の電動ブレーキ装置を示す。この電動ブレーキ装置は、ワイヤケーブル5の端部をパーキングブレーキレバー96に接続した点のみが第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
ワイヤケーブル5は、運転者の手で操作されるパーキングブレーキレバー96に接続されている。パーキングブレーキレバー96は、支点軸97を中心に揺動可能に支持され、揺動側の端部に設けられたグリップ98を手で引き上げる操作により、パーキングブレーキレバー96がワイヤケーブル5を引っ張る方向に揺動するようになっている。また、パーキングブレーキレバー96には、グリップ98が上昇する方向へのパーキングブレーキレバー96の揺動は許容し、かつ、グリップ98が下降する方向へのパーキングブレーキレバー96の揺動を阻止するラチェット機構(図示せず)が内蔵されている。グリップ98の先端には、グリップ98が下降する方向へのパーキングブレーキレバー96の揺動を阻止するラチェット機構を一時的に解除するためのボタン99が設けられている。
【0074】
この実施形態の電動ブレーキ装置は、駐車中の車輪に制動力を継続的に負荷するパーキングブレーキを、運転者の操作力により行なうので、電動モータ4に電力を供給するバッテリ68の充電量の異常低下や、押圧力センサ67の故障や、電気配線の断線等といった電気的失陥が発生したときにも、確実にパーキングブレーキを行なうことができ、安全性が高い。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。