(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図8に基づいて詳細に説明する。
図1に示す車両11はワンボックスタイプの乗用車であり、車両11の一部である車体12の側部に開口部12aが設けられている。また、車両11には、開口部12aを開閉するスライドドア13が設けられている。このスライドドア13はローラアッシー14を備えている。また、
図2に示すように、車体12の側部にガイドレール15が取り付けられており、ローラアッシー14はガイドレール15により移動可能に支持されている。
【0019】
ローラアッシー14がガイドレール15に沿って移動すると、スライドドア13は車体12の側部に沿って、
図1中に実線で示す全閉位置と、2点鎖線で示す全開位置と、の間で車両11の前後方向に移動する。
【0020】
車両11には、スライドドア13を自動的に開閉するために、車両用開閉装置16が設けられている。車両用開閉装置16を、以下、「開閉装置16」と記載する。開閉装置16は、車体12に設けられた駆動ユニット17と、駆動ユニット17の動力をスライドドア13に伝達する第1ケーブル18及び第2ケーブル19と、車体12に設けた2個の反転プーリ20,21と、を備えている。反転プーリ20は、車両11の前後方向でガイドレール15の前端付近に配置されている。また、反転プーリ21は、ガイドレール15の後端付近に配置されている。駆動ユニット17は、車両11の前後方向で反転プーリ20と反転プーリ21との間、すなわちガイドレール15の中間位置に配置されている。
【0021】
図2に示すように、第1ケーブル18は、駆動ユニット17から車両11の前方に向けて配索され、かつ、反転プーリ20で方向が変換されて、第1ケーブル18の一端がローラアッシー14に接続されている。第2ケーブル19は、駆動ユニット17から車両11の後方に向けて配索され、かつ、反転プーリ21で向きが変換されて、第2ケーブル19の一端がローラアッシー14に接続されている。
【0022】
第1ケーブル18の他端及び第2ケーブル19の他端は、それぞれ駆動ユニット17に導かれており、駆動ユニット17の動力で第1ケーブル18が引かれると、スライドドア13は車両11の前方に向けて動作する。これに対して、駆動ユニット17の動力で第2ケーブル19が引かれると、スライドドア13は車両11の後方に向けて動作する。
【0023】
駆動ユニット17の構造を、
図3〜
図8に基づいて説明する。駆動ユニット17は、ドライブケース22と、ドライブケース22の側方に取り付けたドライブカバー23と、ドライブケース22の側方に取り付けたモータカバー24と、を備えている。
図3では、ドライブカバー23が省略されている。
【0024】
ドライブケース22は、ボックス部25及びリング部26を有し、ドライブケース22は、樹脂により一体成形されている。ドライブケース22は、部品を収容する役割と、部品を支持する役割と、を備えたケーシングであり、ドライブケース22は、固定要素を用いて車体12に固定されている。固定要素は、ネジ、ボルト等を含む。モータカバー24はリング部26に固定されている。ドライブカバー23は、ボックス部25及びリング部26の開口箇所を塞いでいる。車両11に駆動ユニット17が取り付けられた状態で、ボックス部25は、リング部26よりも上に配置されている。
【0025】
モータカバー24内に電動モータ27が設けられている。電動モータ27は、ステータ28及びロータ29を有しており、ロータ29と一体回転する出力軸30が設けられている。また、モータカバー24内には、ロータ29及び出力軸30を回転可能に支持する軸受が設けられている。出力軸30の回転中心を軸線A1とすると、駆動ユニット17が車体12に取り付けられた状態で、出力軸30の軸線A1は、車両11の幅方向に沿って配置されている。すなわち、軸線A1は、略水平方向に沿って配置されている。
【0026】
図7は、この軸線A1と垂直な平面である第1平面G1と、第1平面G1と直角な平面である第2平面G2の関係を示してある。なお、
図7および
図8において、第1平面G1及び第2平面G2は、便宜上ともに四角形で示してある。
【0027】
リング部26内にドラム収容室31が設けられており、ドラム収容室31内にドラム32が設けられている。また、ドラム収容室31内に減速機構33が設けられている。減速機構33は、出力軸30のトルクをドラム32に伝達する経路に配置されており、出力軸30の回転速度に対して、ドラム32の回転速度を低速とする。減速機構33は、例えば、遊星歯車機構により構成されている。また、軸線A1に沿った方向で、ドラム32と電動モータ27との間に、減速機構33が配置されている。
【0028】
ドラム32は軸線A1を中心として回転可能であり、ドラム32の外周面に螺旋状の巻き付け溝が形成されている。そして、第1ケーブル18及び第2ケーブル19は、ドラム32に巻き付けられている。ドラム32に対する第1ケーブル18の巻き付け方向は、ドラム32に対する第2ケーブル19の巻き付け方向とは逆である。
【0029】
一方、ボックス部25は、プレート34と、プレート34の外周縁に設けた外壁35とを有している。さらに、外壁35に、第1アウタケース36及び第2アウタケース37が取り付けられている。外壁35には、凹部35a,35bが設けられており、第1アウタケース36は凹部35aに差し込まれ、第2アウタケース37は凹部35bに差し込まれている。そして、ドライブカバー23がドライブケース22に固定された状態で、第1アウタケース36及び第2アウタケース37は、ドライブカバー23と外壁35との間に固定されている。第1アウタケース36と第2アウタケース37とは、軸線A1を含む第2平面G2を隔てて対称位置に配置されている。
【0030】
第1アウタケース36はガイド孔36aを有し、第2アウタケース37はガイド孔37aを有する。第1アウタケース36及び第2アウタケース37は、共に樹脂により中空筒状に形成されている。そして、第1ケーブル18はガイド孔36a内へ通されており、第1アウタケース36は第1ケーブル18を長さ方向に移動可能に支持する。第1ケーブル18は第1アウタケース36に対して摺動可能である。つまり、第1ケーブル18は、第1アウタケース36に接触した状態で移動可能である。
【0031】
第2ケーブル19はガイド孔37a内へ通されており、第2アウタケース37は第2ケーブル19を長さ方向に移動可能に支持する。第2ケーブル19は第2アウタケース37に対して摺動可能である。つまり、第2ケーブル19は、第2アウタケース37に接触した状態で移動可能である。
【0032】
また、ボックス部25内に、第1テンショナ機構38及び第2テンショナ機構39が設けられている。第1テンショナ機構38は、第1ケーブル18に張力を加え、第2テンショナ機構39は、第2ケーブル19に張力を加える。ボックス部25内に仕切り壁40が設けられており、仕切り壁40は、ボックス部25内を、第1収容室B1と第2収容室B2とに仕切っている。仕切り壁40は第2平面G2に沿って設けられている。車両11の前後方向で、第1収容室B1は、第2収容室B2よりも後方に配置されている。第1テンショナ機構38は、第1収容室B1に配置され、第2テンショナ機構39は、第2収容室B2に配置されている。
【0033】
第1テンショナ機構38及び第2テンショナ機構39は、左右対称の形状、構造であるため、便宜上、主として第1テンショナ機構38について説明する。プレート34の内面に、車両11の前後方向に沿って2本のレール41が設けられている。一方、ドライブカバー23の内面に、ガイド溝42が設けられている。ガイド溝42は、車両11の前後方向に沿って設けられている。したがって、ドライブカバー23がドライブケース22に組み付けられた状態で、2本のレール41及びガイド溝42は、互いに同じ方向に略水平方向に延ばされている。そして、第1テンショナ機構38は、ガイド溝42及びレール41に沿って移動可能なローラガイド43を有する。ローラガイド43は、車両11の高さ方向において、第2アウタケース37とドラム32との間に配置されている。
【0034】
ローラガイド43に支持軸44が取り付けられており、支持軸44はテンションローラ45を回転可能に支持している。支持軸44の回転中心線C1は略水平であり、軸線A1と平行に配置されている。テンションローラ45は、第1アウタケース36とドラム32との間における第1ケーブル18の移動経路に設けられている。第1ケーブル18はテンションローラ45に掛けられており、第1ケーブル18の一部が略U字形状に湾曲している。
【0035】
さらに、仕切り壁40にストッパ46が取り付けられている。ストッパ46は柱47を有し、柱47から第1収容室B1に向けて突出する2本のピン48が設けられている。2本のピン48は、車両11の高さ方向に並べて配置されている。また、柱47とローラガイド43との間にプッシュヘッド49が設けられている。プッシュヘッド49は2本のピン48に沿って、車両11の前後方向に移動可能である。
【0036】
そして、2本のピン48にそれぞれ圧縮コイルバネ50が取り付けられている。2本の圧縮コイルバネ50は金属製であり、2本の圧縮コイルバネ50の反発力は、プッシュヘッド49を介してローラガイド43に伝達される。すなわち、テンションローラ45は、圧縮コイルバネ50の反発力で、柱47から離れる向きで押され、第1ケーブル18に張力が加えられている。
【0037】
一方、第2テンショナ機構39は、ガイド溝42及びレール41に沿って移動可能なローラガイド51を有する。ローラガイド51は、車両11の高さ方向において、第1アウタケース36とドラム32との間に配置されている。ローラガイド51は、第1アウタケース36とドラム32との間における第2ケーブル19の移動経路に設けられている。
【0038】
ローラガイド51に支持軸52が取り付けられており、支持軸52はテンションローラ53を回転可能に支持している。支持軸52の回転中心線C2は略水平であり、軸線A1と平行に配置されている。
図3に示す第3直線D1は、回転中心線C1およびC2を結んだ直線であり、ローラガイド43及びローラガイド51は、ガイド溝42及びレール41に沿って略水平方向に移動すると、回転中心線C1,C2はいずれも第3直線D1上を移動する。そして、第2ケーブル19のうち、第1アウタケース36とドラム32との間に取り回されている箇所は、テンションローラ53に掛けられて、略U字形状に湾曲している。
【0039】
さらに、柱47から第2収容室B2に向けて突出する2本のピン54が設けられている。2本のピン54は、車両11の高さ方向に並べて配置されている。また、柱47とローラガイド51との間にプッシュヘッド55が設けられている。ストッパ46に支持されたプッシュヘッド55は、2本のピン54に沿って、車両11の前後方向に移動可能である。このように、ストッパ46は、プッシュヘッド49,55の両方を支持している。
【0040】
そして、2本のピン54にそれぞれ圧縮コイルバネ56が取り付けられている。2本の圧縮コイルバネ56は金属製であり、2本の圧縮コイルバネ56の反発力は、プッシュヘッド55を介してローラガイド51に伝達される。すなわち、テンションローラ53は、圧縮コイルバネ56の反発力で、柱47から離れる向きで押され、第2ケーブル19に張力が加えられている。テンションローラ45とテンションローラ53とが、第2平面G2を隔てて対称位置に設けられている。圧縮コイルバネ50の反力と圧縮コイルバネ56の反力とは、第3直線D1上で逆向きに生じる。
【0041】
車両11の乗員がスライドドア13を開くために操作部を操作すると、電力が電動モータ27に供給され、出力軸30が一方向に回転する。出力軸30のトルクは、減速機構33を介してドラム32に伝達される。すると、ドラム32は
図3で時計方向に回転して、第2ケーブル19がドラム32に巻き取られ、第1ケーブル18がドラム32から繰り出される。その結果、スライドドア13が車両11の後方に向けて移動し、開口部12aが開かれる。
【0042】
これに対して、スライドドア13を閉じるために操作部が操作されると、出力軸30が前述とは逆向きに回転する。すると、ドラム32が
図3で反時計方向に回転し、第1ケーブル18がドラム32に巻き取られ、第2ケーブル19がドラム32から繰り出される。その結果、スライドドア13が車両11の前方に向けて移動し、開口部12aが閉じられる。
【0043】
第1ケーブル18は、スライドドア13が開閉されると、
図3のように、ドラム32から離れる箇所と、第1アウタケース36との間で、テンションローラ45に掛けられた状態で、U字状の軌跡で移動する。一方、第2ケーブル19は、スライドドア13が開閉されると、ドラム32から離れる箇所と、第2アウタケース37との間で、テンションローラ53に掛けられた状態で、U字状の軌跡で移動する。
【0044】
そして、第1ケーブル18は、テンションローラ45から第1アウタケース36に亘り直線状に配置されている。すなわち、第1ケーブル18のうちガイド孔36aを通る箇所と、第1ケーブル18のうちテンションローラ45と第1アウタケース36との間に配置された箇所とが、軸線A1と交差する第1平面G1で第1直線H1に沿って配置されている。
【0045】
そして、合成力F2の向きと、ローラガイド51が移動する方向とが、同一の第3直線D1上に配置されている。したがって、第1ケーブル18が移動しても、第1ケーブル18と第1アウタケース36との摺動抵抗を低減できる。すなわち、第1ケーブル18の配索経路が曲がることを抑制でき、第1ケーブル18の耐久性を向上させ、かつ、寿命を延ばすことができる。
【0046】
また、第2ケーブル19は、テンションローラ53と、第2アウタケース37のガイド孔37aとの間で、略直線状の軌跡で移動し、かつ、その移動軌跡の延長線上にガイド孔37aがある。すなわち、第2ケーブル19のうちガイド孔37aを通る箇所と、第2ケーブル19のうちテンションローラ53と第2アウタケース37との間に配置される箇所とが、第1平面G1で第2直線H2に沿って配置されている。したがって、第2ケーブル19が移動しても、第2ケーブル19と第2アウタケース37との摺動抵抗を低減できる。すなわち、第2ケーブル19の配索経路が曲がることを抑制でき、第2ケーブル19の耐久性を向上させ、かつ、寿命を延ばすことができる。
【0047】
一方、駆動ユニット17は、
図3のように、ドラム32の上方に仕切り壁40が配置されており、第1アウタケース36、テンションローラ53は、車両11の前後方向で仕切り壁40よりも前方に配置されている。また、第2アウタケース37、テンションローラ45は、車両11の前後方向で仕切り壁40よりも後方に配置されている。ドラムから繰り出された第1ケーブル18は、仕切り壁40を基準に車両11の後方側のテンションローラ45を介して車両前方側の第1アウタケース36に配索される。また、第2ケーブル19は仕切り壁40を基準に車両11の前方側に配置されたテンションローラ53を介して車両11の後方側に配置された第2アウタケース37に配索される。
【0048】
このため、第1ケーブル18がドラム32から離れる箇所と、第2ケーブル19がドラム32から離れる箇所とに、第1ケーブル18と第2ケーブル19との交差点E1がある。また、車両11の前後方向で、仕切り壁40と略同じ位置に、テンションローラ45から第1アウタケース36に配索される第1ケーブル18と、テンションローラ53から第2アウタケース37に配索される第2ケーブル19との交差点E2がある。
図8においては、交差点E2が第2平面G2に位置し、交差点E1が第2平面G2から外れた位置にある場合が示されている。
【0049】
なお、第1ケーブル18と第2ケーブル19との交差点E1は、
図8に示す第1平面G1にあり、第1ケーブル18と第2ケーブル19との交差点E2は、第2平面G2にあるが、駆動ユニット17を斜視すると、第1ケーブル18と第2ケーブル19との間には隙間があり、第1ケーブル18と第2ケーブル19とは、接触していない。交差点E2は、第1平面G1において、第1直線H1、第2直線H2に沿った方向の所定箇所にある。
【0050】
このため、テンションローラ45と第1アウタケース36との間に、第1ケーブル18を案内する部品を設けることなく、ガイド孔36aに配置された第1ケーブル18の配線位置と、テンションローラ45と第1アウタケース36との間における第1ケーブル18の配線位置とを、
図8に示す第1直線H1に沿って設けることができる。また、テンションローラ53と第2アウタケース37との間に、第2ケーブル19を案内する部品を設けることなく、ガイド孔37aにおける第2ケーブル19の配線位置、テンションローラ53と第2アウタケース37との間における第2ケーブル19の配線位置とを、
図8に示す第2直線H2に沿って設けることができる。したがって、駆動ユニット17は、部品点数の増加を抑制でき、軽量化を図ることができる。
【0051】
また、第1ケーブル18のうち、第1アウタケース36とテンションローラ45との間に張力が作用し、かつ、テンションローラ45とドラム32との間に張力が作用するため、2つの張力の合成力F1が、テンションローラ45に加わる。また、第1ケーブル18の配線位置を表す第1直線H1と、第3直線D1との成す鋭角側の角度θ1は、テンションローラ45とドラム32との間における第1ケーブル18の配線位置を表す第4直線H3と、第3直線D1との成す鋭角側の角度θ2と略一致する。
【0052】
つまり、前記合成力F1の向きと、ローラガイド43が移動する方向とが、同一の第3直線D1上に配置されている。したがって、ローラガイド43が、レール41及びガイド溝42に沿って移動する際の摺動抵抗が増加することを抑制でき、2本の圧縮コイルバネ50のバネ荷重を下げることができる。
【0053】
さらに、第2ケーブル19のうち、第2アウタケース37とテンションローラ53との間に張力が作用し、かつ、テンションローラ53とドラム32との間に張力が作用するため、2つの張力の合成力F2が、テンションローラ53に加わる。また、第2アウタケース37とテンションローラ53との間における第2ケーブル19の配線位置を表す第2直線H2と、第3直線D1との成す鋭角側の角度θ3は、テンションローラ53とドラム32との間における第2ケーブル19の配線位置を表す第5直線H4と、第3直線D1との成す鋭角側の角度θ4とほぼ一致する。
【0054】
このため、前記合成力F2の向きと、ローラガイド51が移動する方向とが、同一の第3直線D1上に配置されている。したがって、ローラガイド51が、レール41及びガイド溝42に沿って移動する際の摺動抵抗が増加することを抑制でき、2本の圧縮コイルバネ56のバネ荷重を下げることができる。なお、角度θ1〜θ4は、全て第1平面G1における角度である。
【0055】
上記のように、第1ケーブル18の移動による摺動抵抗を低減でき、第2ケーブル19の移動による摺動抵抗を低減でき、ローラガイド43,51の移動による摺動抵抗を低減できるため、電動モータ27の動力損失を抑制でき、駆動ユニット17の作動効率が向上する。
【0056】
また、回転中心線C1,C2が同じ第3直線D1上に配置され、かつ、ローラガイド43とローラガイド51との間に、プッシュヘッド49,55、圧縮コイルバネ50,56を配置している。したがって、駆動ユニット17は、車両11の上下方向において小型化されている。
【0057】
さらに、2本の圧縮コイルバネ50は2本並べて用いられている。このため、ローラガイド43を押圧する反発力を生じるために、2本の圧縮コイルバネ50におけるそれぞれの自由長さを、なるべく短くすることができる。また、2本の圧縮コイルバネ50の組み付け作業が容易である。
【0058】
さらに、2本の圧縮コイルバネ56は2本並べて用いられている。このため、ローラガイド51を押圧する反発力を生じるために、2本の圧縮コイルバネ56におけるそれぞれの自由長さを、なるべく短くすることができる。また、2本の圧縮コイルバネ56の組み付け作業が容易である。
【0059】
さらに、ドライブケース22に加わる圧縮コイルバネ50の反力と、ドライブケース22に加わる圧縮コイルバネ56の反力とが、第3直線D1上で逆向きに生じ、反力同士が相殺される。したがって、ドライブケース22を車体12に固定するために必要な固定力が増加することを抑制できる。
【0060】
次に、駆動ユニット17に設けられるテンショナ機構の他の構成例を、
図9〜
図11を参照して説明する。
図9に示された駆動ユニット17は、第1ケーブル18に張力を与える第1テンショナ機構57と、第2ケーブル19に張力を与える第2テンショナ機構58とを備えている。駆動ユニット17が車両11に取り付けられた状態で、第1テンショナ機構57は、車両11の前後方向で第2テンショナ機構58よりも後方に設けられている。
【0061】
第1テンショナ機構57と第2テンショナ機構58とは、第2平面G2を隔てて対称位置に設けられている。第2平面G2は、本実施形態において略垂直であるものとする。プレート34には仕切り壁66が設けられており、仕切り壁66を隔てて第1収容室B1と第2収容室B2とが配置されている。仕切り壁66は、第2平面G2に沿って設けられている。便宜上、主に第1テンショナ機構57について説明する。なお、
図9〜
図11に示す構成において、
図1〜
図8と同じ構成は同じ符号を付してある。ドライブケース22は、
図6と同様なドライブカバー23により覆われているが、
図9では、ドライブカバー23を省略してある。
【0062】
第1テンショナ機構57は、
図10のように、テンションローラ45を支持するローラガイド43と、ストッパ59と、バネケース60と、金属製の2個の圧縮コイルバネ61と、バネカバー62とを有する。2個の圧縮コイルバネ61は、バネケース60内に収容されている。2個の圧縮コイルバネ61は、車両11の高さ方向で異なる位置に並べて配置されている。バネケース60は、ストッパ59によりボックス部25に固定されている。ストッパ59は、ボックス部25に対して着脱可能であり、ストッパ59をボックス部25から取り外すと、バネケース60をボックス部25から取り外すことができる。
【0063】
バネカバー62はバネケース60に対して、車両11の前後方向に沿って、つまり、第3直線D1に沿って移動可能である。また、バネカバー62は、ローラガイド43と接しており、2個の圧縮コイルバネ61の反発力は、バネカバー62を介してローラガイド43に加わる。つまり、ローラガイド43は、2個の圧縮コイルバネ61の反発力でバネケース60から離れる向きで押されており、第1ケーブル18に張力が与えられる。
【0064】
第2テンショナ機構58は、テンションローラ53を支持するローラガイド51と、ストッパ63と、バネケース64と、2個の圧縮コイルバネと、バネカバー65とを有する。2個の圧縮コイルバネは、バネケース64内に収容されている。2個の圧縮コイルバネは、車両11の高さ方向で異なる位置に並べて配置されている。バネケース64は、ストッパ63によりボックス部25に固定されている。ストッパ63は、ボックス部25に対して着脱可能であり、ストッパ63をボックス部25から取り外すと、バネケース64をボックス部25から取り外すことができる。
【0065】
バネカバー65はバネケース64に対して、車両11の前後方向に沿って、つまり、第3直線D1に沿って移動可能である。また、バネカバー65はローラガイド51と接しており、2個の圧縮コイルバネの反発力は、バネカバー65を介してローラガイド51に加わる。つまり、ローラガイド51は、2個の圧縮コイルバネの反発力でバネケース64から離れる向きで押されており、第2ケーブル19に張力が与えられる。テンションローラ45に張力を与える圧縮コイルバネ61、テンションローラ53に張力を与える圧縮コイルバネは、第2平面G2で第3直線D1に沿った方向でテンションローラ45とテンションローラ53との間に配置されている。
【0066】
さらに、
図9の駆動ユニット17においても、
図7及び
図8を参照して説明した要素同士の位置関係、第1平面G1における第1直線H1〜第5直線H4の位置、第1平面G1における角度θ1〜角度θ4の値、第1平面G1における交差点E1,E2の位置、第1平面G1における合成力F1,F2の向き、第1平面G1における回転中心線C1,C2の位置、第2平面G2を隔てたテンションローラ45,53の位置、第2平面G2を隔てた第1アウタケース36及び第2アウタケース37の位置等は、
図3〜
図6の駆動ユニット17と同じである。
【0067】
図9〜
図11に示す駆動ユニット17は、
図3〜
図6の駆動ユニット17と同じ構成部分については、
図3の駆動ユニット17と同じ効果を得ることができる。また、
図9に示す第1テンショナ機構57のストッパ59と、第2テンショナ機構58のストッパ63とは、ボックス部25から別々に取り付けまたは取り外すことができる。
【0068】
本実施形態の構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、第1アウタケース36が、本発明の第1支持部材に相当し、第2アウタケース37が、本発明の第2支持部材に相当し、テンションローラ45が、本発明の第1ローラに相当し、テンションローラ53が、本発明の第2ローラに相当し、レール41及びガイド溝42が、本発明の第1ガイド機構及び第2ガイド機構に相当する。合成力F1が、本発明の第1プーリに加わる反力であり、合成力F2が、本発明の第2プーリに加わる反力である。圧縮コイルバネ50が、本発明の第1弾性部材に相当し、圧縮コイルバネ56が、本発明の第2弾性部材に相当し、圧縮コイルバネ61が、本発明の第1弾性部材及び第2弾性部材に相当する。
【0069】
本発明の駆動ユニットは前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、第1直線及び第2直線は、第1平面内にあってもよいし、第1平面と交差する平面内にあってもよい。また、本発明の駆動ユニットは、スライドドアに設けることも可能である。この場合、駆動ユニットから繰り出された第1ケーブルの端部を支持する第1支持部と、第2ケーブルの端部を支持する第2支持部とが、車体に設けられる。また、第1弾性部材または第2弾性部材は、複数設けられていれば何個でもよく、それぞれ3個以上設けてもよい。
【0070】
さらに、ドラムの軸線は、水平方向に対して、交差する方向に沿って配置されていてもよい。また、本発明の駆動ユニットは、第1平面と軸線とが垂直に配置されていなくてもよい。さらに、第1交差点及び第2交差点は、共に第2平面に配置されていてもよい。
【0071】
さらに、本発明の車両用開閉装置は、車両の後部に設けられた開閉体を、水平方向に動作させる機構として用いることもできる。さらに、本発明の車両用開閉装置は、車両のルーフに設けられた開閉体を、水平方向に動作させる機構として用いることもできる。本発明における第1弾性部材及び第2弾性部材は、金属製のバネ、ゴム状弾性体を含む。本発明の第1ガイド機構及び第2ガイド機構は、ドライブケースに設けられる凸部または凹部または溝と、ドライブカバー23に設けられる凸部または凹部または溝と、を含む。さらに、電動モータの出力軸とドラムとの間に設けられる減速機構は、遊星歯車機構の他、出力軸の外周面に形成されるウォームと、ウォームに噛み合うギヤを有するウォームホイールとを含む。