特許第6267978号(P6267978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267978
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ベルトアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/06 20060101AFI20180115BHJP
   F16H 55/22 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   F16H19/06
   F16H55/22
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-15838(P2014-15838)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-140914(P2015-140914A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和志
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−180296(JP,A)
【文献】 特開平03−066535(JP,A)
【文献】 実開平04−097152(JP,U)
【文献】 特開2002−340126(JP,A)
【文献】 特開2008−037288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/06
F16H 55/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のプーリ相互間にベルトを掛け渡し、一方のプーリに駆動源から回転動力を伝達して駆動するベルトアクチュエータにおいて、前記駆動源から動力を伝達されるプーリの支持シャフトにフェースギヤを設け、このフェースギヤに前記駆動源の出力軸に設けられたギヤを噛合させており、
前記支持シャフトに、径の異なる複数のフェースギヤを同心状に配設するとともに、これら各フェースギヤを軸方向に移動可能に装着し、前記出力軸のギヤに噛合させるフェースギヤを選択することでギヤ比を選択可能に構成し、
前記フェースギヤの支持シャフトに直交するように前記駆動源の出力軸を設け、
前記ベルトの長手方向に駆動源を設けた
ことを特徴とするベルトアクチュエータ。
【請求項2】
前記ベルトに移動体を組み付けるガイドブロックを装着したことを特徴とする請求項1に記載のベルトアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力の伝達にフェースギヤを用いることにより省スペース化を図ることができるベルトアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のベルトアクチュエータとしては、長手方向に延びる長尺の基台と、この基台に運動案内装置を介して長手方向に移動可能に取り付けられた複数のテーブルと、このテーブルを移動させるベルトと、基台に取り付けられるとともに、ベルトを巻回する一対の回転部材(プーリ)と、ベルトを駆動させる駆動部材とを備えるベルトアクチュエータが知られている。このようなベルトアクチュエータにおいて、回転部材を(プーリ)をモータにて駆動する場合、テーブルの移動方向である運転案内装置に対してモータは、直角に取り付けられている。つまり、運転案内装置の長手方向に対してモータが突出してしまう構造になっていたため、ベルトアクチュエータを装置に取り付ける際、モータ部がデッドスペースとなってしまい、取付方向が制限されてしまうという問題点があった。
【0003】
この問題を解決する構造として、例えば、特許文献1に示すようなものが知られている。
特許文献1に記載のベルトアクチュエータは、第1傘歯歯車と、前記第1傘歯歯車の軸部に連結され、ベルトを支持する回転部材(プーリ)と前記第1傘歯歯車のギヤ歯に噛合する第2傘歯歯車を軸支する出力軸を有するとから構成される。第2傘歯歯車が連結されたモータの出力軸と、第1傘歯歯車を保持する回転部材(プーリ)の回転軸とを直交もしくは斜交させて噛合させている。したがって、モータを運転案内装置の長手方向より突出させることなく配置することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−180296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のベルトアクチュエータでは、モータ軸に傘歯歯車を結合するため、省スペース化しにくい部品が多い。また、減速比を機構部の分解をしないで変更することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、従来の傘歯歯車をフェースギヤに変え、フェースギヤの特徴を生かし、上記の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、一対のプーリ相互間にベルトを掛け渡し、一方のプーリに駆動源から回転動力を伝達して駆動するベルトアクチュエータにおいて、前記駆動源から動力を伝達されるプーリの支持シャフトにフェースギヤを設け、このフェースギヤに前記駆動源の出力軸に設けられたギヤを噛合させており、前記支持シャフトに、径の異なる複数のフェースギヤを同心状に配設するとともに、これら各フェースギヤを軸方向に移動可能に装着し、前記出力軸のギヤに噛合させるフェースギヤを選択することでギヤ比を選択可能に構成し、前記フェースギヤの支持シャフトに直交するように前記駆動源の出力軸を設け、
前記ベルトの長手方向に駆動源を設けたことにある。
また、本発明は、前記ベルトに移動体を組み付けるガイドブロックを装着したことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フェースギヤを用いたことにより、従来のものより省スペース化できるとともに、部品点数を削減することができる。
また、支持シャフトに、径の異なる複数のフェースギヤを同心状に配設するとともに、これら各フェースギヤを軸方向に移動可能に装着し、駆動源の出力軸のギヤに噛合させるフェースギヤを選択することでギヤ比を選択可能に構成したので、部品の変更や分解がなく、必要に応じてギヤ比を変えることができる。
さらに、フェースギヤの支持シャフトに直交するように駆動源の出力軸を設けたので、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るベルトアクチュエータを示す斜視図である。
図2図1のベルトアクチュエータの機構部を示す斜視図である。
図3】(a)は図1の正面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係るベルトアクチュエータを示す縦断面図である。
図5図4のフェースギヤを示す斜視図である。
図6】本発明の他の実施の形態に係るベルトアクチュエータを示す縦断面図である。
図7図6のフェースギヤを示す斜視図である。
図8】フェースギヤの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図1ないし図3に示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図3において、ベルトアクチュエータ1は、第1のプーリ2を内蔵した第1のプーリーケース3と、第2のプーリ2を内蔵した第2のプーリーケース3と、第1のプーリ2と第2のプーリ2間に架け渡された無端状のベルト4と、このベルト4によって操作されるテーブルブロック5と、前記第1のプーリーケース3と第2のプーリーケース3との間に配置され、ベルト4およびテーブルブロック5を内蔵したハウジング6と、前記第1のプーリーケース3の外側に、前記ベルト4の長手方向に沿って配置され、前記第1のプーリ2を駆動する駆動源7とで構成されている。
【0012】
前記第1のプーリーケース3には、ケース内の中空部3aの上下に内蔵された一対の軸受け8を介して両端部を回転自在に支持されたプーリーシャフト9が鉛直方向に設けられており、このプーリーシャフト9に前記第1のプーリ2が軸線上を支持されて装着されている。前記上下の軸受け8は、外側を軸受け止め輪8aによって中空部3a内に係止されている。このプーリーシャフト9には、前記第1のプーリ2の下部側に、上面の周縁部に歯溝10aが刻設されたリング状のフェースギヤ10が装着されている。前記駆動源7には、モータ11が採用されており、このモータ11の出力軸11aには、前記フェースギヤ10の周縁部に設けられた歯溝10aに噛合する歯溝11bが歯切り加工されて設けられている。出力軸11aの歯溝11bは、直接、ヘリカルまたは直歯の歯切りが施してある。
【0013】
前記第2のプーリーケース3には、ケース内の中空部3aの上下に内蔵された一対の軸受け8を介して両端部を回転自在に支持されたプーリーシャフト9が鉛直方向に設けられており、このプーリーシャフト9に前記第2のプーリ2が軸線上を支持されて装着されている。前記上下の軸受け8は、外側を軸受け止め輪8aによって中空部3a内に係止されている。前記第2のプーリーケース3には、下面側にベルトテンションプレート12が設けられており、前記第2のプーリーケース3の位置と、第1のプーリーケース3の位置の距離を調整して前記ベルト4にテンションを与えることができるように設定している。
【0014】
前記ベルト4およびテーブルブロック5を内蔵したハウジング6は、前記第1のプーリーケース3と前記第2のプーリーケース3相互間に配設され、下面側に配設された所定長さの断面略U字状のフレーム13と、このフレーム13の両側側壁13a上に対向して配置され、左右の開口部から上面にかけて塞ぐ左右の略逆L字形状のサイドカバー14と、これらサイドカバー14相互間の間隙を塞ぐセンターカバー15とで構成されている。
該フレーム13の内側には長手方向に沿って所定長さのガイドレール16が設けられており、このガイドレール16にガイドされてガイドブロック16aが摺動自在に組み付けられている。
【0015】
前記ガイドブロック16aは、下面側に前記ガイドレール16に跨いで組み付けられる断面コ字状の摺動部5aを有し、ガイドブロック16aの断面コ字状の上面にテーブルブロック5が組み付けられている。前記テーブルブロック5は、前記ガイドブロック16aの組付面の上部側に前記ベルト4を挿通する開口部5bが移動方向に形成され、その上方に前記サイドカバー14相互間の間隙に位置する細い首部5cが設けられ、首部5cの上に前記サイドカバー14の上面に対向する平板部5dを設け、この平板部5dの両側に、前記センターカバー15の両側を通して上方に延出したテーブル部5eが設けられている。このテーブル部5eに移動体を組み付けるように構成されている。前記ベルト4の片側は、前記テーブルブロック5の開口部5b内に設けられたベルト固定金具17を介してテーブルブロック5に固定されており、ベルト4の動きに伴ってテーブルブロック5を前記ガイドレール16に沿って摺動させるように構成されている。
【0016】
次に上記ベルトアクチュエータ1の動作を説明する。
駆動源7としてのモータ11を作動すると、モータ11の出力軸11aの歯溝11bにフェースギヤ10の歯溝10aが噛合しているので、フェースギヤ10が回転を始める。そして、フェースギヤ10の回転に伴ってプーリーシャフト9が回転し、プーリーシャフト9に支持された第1のプーリ2が回転を開始する。第1のプーリ2が回転を始めると、第1のプーリ2と第2のプーリ2間に架け渡された無端状のベルト4が回転を始め、このベルト4に装着されているテーブルブロック5がベルト4の動きとともにガイドレール16に沿って移動を開始する。テーブルブロック5は、ベルト固定金具17により固定されているので、ベルト4と同期してテーブルブロック5が直線移動する。そして、テーブルブロック5のテーブル部5eに搬送したい移動体を組み付けておくことにより、テーブルブロック5の移動に伴ってテーブル部5eに取り付けた移動体の移動を行うことができる。モータ11の回転を正逆回転させることにより、移動体を往復動作させることができる。
【0017】
このとき、ベルト4が緩んで張力が低下したときは、ベルトテンションプレート12に設けられた調節ネジ18を調節することで、ベルトテンションプレート12に対する前記第2のプーリーケース3の位置を矢印Bのように摺動させることで、ベルト4の張力を調整することができる。
【0018】
次に図4ないし図7は、本発明の他の実施の形態で、この場合、図3と同一部分は、同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
【0019】
径の異なる二種類のリング状のフェースギヤ21,22を同心状に組み付けたものである。これらフェースギヤ21,22は、軸方向に移動可能に構成されており、図4および図5の実施の形態では、外周側の低速フェースギヤ22を上方に突き出すように組み付けたものである。フェースギヤ21,22には、外周面にねじ穴23が形成されており、このネジ穴23にネジ24を介してプーリーシャフト9に図示しない止めネジにより取り付けられたフェースギヤフランジ25にねじ止めして、フェースギヤ21,22を固定している。
こうして、外周側の低速フェースギヤ22の歯溝22aにモータ11の出力軸11aの歯溝11bが噛合してフェースギヤ22を回転駆動するものである。
【0020】
図6および図7の実施の形態では、内周側の高速フェースギヤ21を上方に突き出すように組み付けたものである。この場合は、内周側の高速フェースギヤ21の歯溝21aにモータ11の出力軸11aの歯溝11bが噛合してフェースギヤ21を高速で回転駆動するものである。
【0021】
このように、モータ11の出力軸11aの歯溝11bに噛合するフェースギヤ21,22を選択することにより、ギヤ比を容易に選択することができる。また、ベルトアクチュエータ1を分解することなく必要に応じてギヤ比を変更することができるので、作業能率が向上する。
【0022】
なお、フェースギヤ21,22の外側にさらにもう一つ、超低速の歯溝26aを有するフェースギヤ26を組み付けて三種類のギヤ比を選択することができるようにしてもよい。この場合のギヤ比は外側から1/5、1/4、1/3となっている。
【0023】
以上のように、上記実施の形態によれば、フェースギヤ10、21,22,26を用いることにより、従来傘歯車等を用いていた構造に対して省スペース化を図ることができるので、小型化および部品点数の削減を図ることができる。フェースギヤ10、21,22,26の場合、歯にテーパがないため直接、出力軸11aに歯切り加工することができる。そのことから傘歯車のように出力軸11aに締結するための別パーツのピニオンが必要なくなり、省スペース、小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
なお、本発明は、上記実施の形態では、モータ11の出力軸11aに設けたギヤにフェースギヤを噛合させて回転動力を取り出しているが、モータ以外の駆動源、例えばエンジン等から歯車を介して減速させて回転動力を取り出してもよい。この場合、フェースギヤをいずれかの個所に介在させることで、回転動力を伝達することができる。また、上記実施の形態では、1〜3個のフェースギヤの組み合わせを用いてギヤ比を変えているが、さらに多数のフェースギヤの組み合わせを用いてギヤ比を変えることも可能である。また、多数のフェースギヤの組み合わせを用いてギヤ比を変える構成は、ベルトアクチュエータ以外にも応用できる。等、その他、本発明の技術的思想を変更することなく適宜変更して実施しうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 ベルトアクチュエータ
第1のプーリ
第2のプーリ
第1のプーリーケース
第2のプーリーケース
4 ベルト
5 テーブルブロック
6 ハウジング
7 駆動源
、8軸受け
、9プーリーシャフト
10 フェースギヤ
10a 歯溝
11 モータ
11a 出力軸
11b 歯溝
12 ベルトテンションプレート
13 フレーム
14 サイドカバー
15 センターカバー
16 ガイドレール
16a ガイドブロック
21,22,26 フェースギヤ
21a,22a,26a 歯溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8