(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1排出エア供給部は、前記第1エア作動部から排出されたエアの圧力値と前記エアタンク内のエアの圧力値との差圧が前記所定の差圧値以上である場合に、前記第1エア作動部から排出されたエアを前記エアタンクに供給し、前記第1エア作動部から排出されたエアの圧力値と前記エアタンク内のエアの圧力値との差圧が前記所定の圧力値以上でない場合に、前記第1エア作動部から排出されたエアを前記第2エア作動部以外へ供給する差圧バルブを備える、請求項2に記載の車両用エア供給システム。
前記第1排出エア供給部は、前記第2作動部以外として、大気中に前記第1エア作動部から排出されたエアを排出する、請求項3又は4に記載の車両用エア供給システム。
前記第1排出エア供給部は、前記エアタンク内の圧力値が所定の残圧値以下である場合に、前記第1エア作動部から排出されたエアを前記エアタンクに供給する、請求項2から5のいずれか一項に記載の車両用エア供給システム。
前記第1エア作動部及び前記第2エア作動部の少なくとも一方は、ブレーキ機構、エアサスペンション機構、及び、エアの圧力によって変速を行うトランスミッション機構のいずれかである、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用エア供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような車両に搭載されたコンプレッサ及び圧縮エアによって作動するブレーキ機構等を備えるシステムにおいては、コンプレッサの作動頻度を少なくし、エンジンに加わる負荷を少なくすることによって燃費の向上を図ることがより一層求められている。
【0006】
そこで、本発明は、コンプレッサの作動頻度を少なくし、燃費の向上を図ることが可能な車両用エア供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る車両用エア供給システムは、第1圧力値以下のエア圧で作動する第1エア作動部と、第1圧力値よりも低い第2圧力値以下のエア圧で作動する第2エア作動部と、第1エア作動部及び第2エア作動部に供給される圧縮したエアを生成する圧縮エア生成部と、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値が圧縮エア生成部から第2エア作動部に供給されるエアの圧力値よりも高い場合に、第1エア作動部から排出されたエアを第2エア作動部に供給する第1排出エア供給部と、を備える。
【0008】
この車両用エア供給システムでは、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値が圧縮エア生成部から第2エア作動部に供給されるエアの圧力値よりも高い場合に、第1エア作動部から排出されたエアが第2エア作動部に供給される。このように、第1エア作動部から排出されたエアを第2エア作動部において再利用することができるので、圧縮エア生成部の作動頻度を抑制することができる。従って、エンジン等によって圧縮エア生成部を駆動する頻度が抑制され、車両の燃費の向上を図ることができる。
【0009】
車両用エア供給システムは、圧縮エア生成部によって生成されたエアを第2圧力値以下の状態で収容し、収容するエアを第2エア作動部に供給するエアタンクを更に備え、第1排出エア供給部は、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値とエアタンク内のエアの圧力値との差圧が所定の差圧値以上である場合に、第1エア作動部から排出されたエアをエアタンクに供給してもよい。この場合には、第1エア作動部から排出されたエアがエアタンクに収容される。これにより、第1エア作動部からエアが排出されたタイミングと第2エア作動部においてエアが必要なタイミングとがずれていても、第1エア作動部から排出されてエアタンク内に収容されたエアを第2エア作動部が利用することができる。
【0010】
第1排出エア供給部は、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値を検出する第1センサと、エアタンク内のエアの圧力値を検出する第2センサと、第1エア作動部から排出されたエアのエアタンクへの供給と第2エア作動部以外への供給とを切り替え可能な切替部と、第1センサによって検出された圧力値と第2センサによって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値以上である場合に、第1エア作動部から排出されたエアがエアタンクへ供給されるように切替部を制御し、第1センサによって検出された圧力値と第2センサによって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値以上でない場合に、第1エア作動部から排出されたエアが第2エア作動部以外へ供給されるように切替部を制御する制御部と、を備えていてもよい。この場合には、第1センサ及び第2センサの検出結果に基づいて制御部が切り替え部を制御することにより、第1エア作動部から排出されたエアのエアタンクへの供給と第2エア作動部以外への供給とを自動で切り替えることができる。
【0011】
第1排出エア供給部は、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値とエアタンク内のエアの圧力値との差圧が所定の差圧値以上である場合に、第1エア作動部から排出されたエアをエアタンクに供給し、第1エア作動部から排出されたエアの圧力値とエアタンク内のエアの圧力値との差圧が所定の圧力値以上でない場合に、第1エア作動部から排出されたエアを第2エア作動部以外へ供給する差圧バルブを備えていてもよい。このように、差圧バルブを用いることによって、第1エア作動部から排出されたエアのエアタンクへの供給と第2エア作動部以外への供給とを自動で切り替えることができる。
【0012】
第1排出エア供給部は、第2作動部以外として、大気中に第1エア作動部から排出されたエアを排出してもよい。この場合には、大気中に排出されていたエアを有効に再利用することができる。
【0013】
第1排出エア供給部は、エアタンク内の圧力値が所定の残圧値以下である場合に、第1エア作動部から排出されたエアをエアタンクに供給してもよい。この場合には、例えば、エアタンク内の圧力値が所定の残圧値以下となり、圧縮エア生成部を作動させて圧縮されたエアによってエアタンクを充填することに代えて、第1エア作動部から排出されたエアによってエアタンクを充填することができる。
【0014】
第1エア作動部及び第2エア作動部の少なくとも一方は、ブレーキ機構、エアサスペンション機構、及び、エアの圧力によって変速を行うトランスミッション機構のいずれかであってもよい。この場合には、車両に搭載されたブレーキ機構、エアサスペンション機構、及び、エアの圧力によって変速を行うトランスミッション機構等から排出されたエアを、これらの機構において再利用することができる。
【0015】
車両用エア供給システムは、第2圧力値よりも低い第3圧力値以下のエア圧で作動する第3エア作動部と、第2エア作動部から排出されたエアの圧力値が圧縮エア生成部から第3エア作動部に供給されるエアの圧力値よりも高い場合に、第2エア作動部から排出されたエアを第3エア作動部に供給する第2排出エア供給部と、を更に備え、圧縮エア生成部によって生成された圧縮したエアは、更に、第3エア作動部に供給されていてもよい。第1エア作動部、第2エア作動部及び第3エア作動部の3つのエア作動部がある場合であっても、エア圧の高いエア作動部から排出されたエアを、エア圧の低いエア作動部において再利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、コンプレッサの作動頻度を少なくし、燃費の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示すように、車両用エア供給システム1は、車両Xに搭載され、エアによって作動する各種の機構、及び、これらの機構を制御する制御系等を有する。車両Xは、一例として、トラック又はバス等の大型の車両である。具体的には、車両用エア供給システム1は、主に、エンジン10、エアコンプレッサ(圧縮エア生成部)11、エアドライヤ13、ブレーキ用エアタンク20、ブレーキ機構(第1エア作動部)21、第1圧力センサ24、調圧弁30、エアサス用エアタンク33、エアサスペンション機構(第2エア作動部)35、調圧弁40、トランスミッション用エアタンク43、トランスミッション機構(第3エア作動部)45、制御部50(
図2参照)、第1排出エア供給部A1、及び、第2排出エア供給部A2を含んで構成される。
【0020】
エンジン10は、車両Xの動力源である。エンジン10の燃料として、一例として液体燃料が用いられる。エアコンプレッサ11は、エンジン10の回転軸に連結され、エンジン10によって駆動されることによって圧縮エアを生成する。本実施形態においてエアコンプレッサ11は、一例として、圧力値が15kgf/cm
2の圧縮エアを生成するものとする。エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアは、配管L1を介してエアドライヤ13に供給される。配管L1には、エアコンプレッサ11からエアドライヤ13へのみ圧縮エアを流通させるワンウェイバルブ12が設けられている。エアドライヤ13は、圧縮エア中に含まれる水分を除去する。
【0021】
エアドライヤ13によって水分が除去された圧縮エアは、3つに分岐する配管L2を介してブレーキ用エアタンク20、調圧弁30、及び、調圧弁40に供給される。配管L2における分岐点よりも上流側の位置には、エアドライヤ13からブレーキ用エアタンク20等へのみ圧縮エアを流通させるワンウェイバルブ14が設けられている。
【0022】
ブレーキ用エアタンク20は、ブレーキ機構21を作動させるための圧縮エアを収容する。本実施形態においてブレーキ用エアタンク20は、一例として、圧縮エアを圧力値が15kgf/cm
2以下の状態で収容する。第1圧力センサ24は、ブレーキ用エアタンク20内に収容された圧縮エアの圧力値を検出する。第1圧力センサ24による検出結果は、制御部50に入力される。
【0023】
ブレーキ用エアタンク20に収容された圧縮エアは、配管L3を介してブレーキ機構21に供給される。ブレーキ機構21は、車両Xの車輪の回転を停止させるものである。ブレーキ機構21は、圧縮エアの圧力値が第1圧力値以下のエア圧で作動する。本実施形態において第1圧力値は、一例として、15kgf/cm
2とする。ブレーキ機構21によって使用された圧縮エアは、配管L4を介して大気中に排出される。
【0024】
第1排出エア供給部A1は、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値がエアコンプレッサ11からエアサスペンション機構35に供給される圧縮エアの圧力値よりも高い場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサスペンション機構35に供給する。具体的には、第1排出エア供給部A1は、第2圧力センサ(第1センサ)22、3方弁(切替部)23、ワンウェイバルブ32、第3圧力センサ(第2センサ)34、及び、配管L5を含んで構成される。
【0025】
第2圧力センサ22は、配管L4内を流れる圧縮エア、即ち、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値を検出する。第2圧力センサ22によって検出された圧力値は、制御部50に入力される。配管L5の一端は配管L4に接続され、配管L5の他端は、エアサス用エアタンク33に圧縮エアを供給する配管L6に接続されている。
【0026】
3方弁23は、配管L5の一端と配管L4との接続部分に設けられている。3方弁23は、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの配管L5を介したエアサス用エアタンク33への供給と、配管L4を介した大気中への排出とを切り替えることができる。3方弁23における切り替えは、制御部50によって制御される。
【0027】
ワンウェイバルブ32は、配管L5に設けられている。ワンウェイバルブ32は、3方弁23から配管L6側へのみ圧縮エアを流通させる。第3圧力センサ34は、エアサス用エアタンク33内に収容された圧縮エアの圧力値を検出する。第3圧力センサ34によって検出された圧力値は、制御部50に入力される。
【0028】
調圧弁30は、エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアを低い圧力値となるように調圧(減圧)する。本実施形態において調圧弁30は、エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアの圧力値の上限が12kgf/cm
2となるように調圧する。調圧弁30によって調圧された圧縮エアは、配管L6を介してエアサス用エアタンク33に供給される。配管L6には、調圧弁30からエアサス用エアタンク33へのみ圧縮エアを流通させるワンウェイバルブ31が設けられている。
【0029】
エアサス用エアタンク33は、エアサスペンション機構35を作動させるための圧縮エアを収容する。本実施形態においてエアサス用エアタンク33は、一例として、圧縮エアを圧力値が12kgf/cm
2以下の状態で収容する。エアサス用エアタンク33に収容された圧縮エアは、配管L7を介してエアサスペンション機構35に供給される。エアサスペンション機構35は、車両Xの車輪の振動を吸収及び車高調整等をするものであり、圧縮エアによって伸縮する。エアサスペンション機構35は、圧縮エアの圧力値が第2圧力値以下のエア圧で作動する。本実施形態において第2圧力値は、一例として、12kgf/cm
2とする。エアサスペンション機構35によって使用された圧縮エアは、配管L8を介して大気中に排出される。
【0030】
第2排出エア供給部A2は、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値がエアコンプレッサ11からトランスミッション機構45に供給される圧縮エアの圧力値よりも高い場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション機構45に供給する。具体的には、第2排出エア供給部A2は、第4圧力センサ(第1センサ)36、3方弁(切替部)37、ワンウェイバルブ42、第5圧力センサ(第2センサ)44、及び、配管L9を含んで構成される。
【0031】
第4圧力センサ36は、配管L8内を流れる圧縮エア、即ち、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値を検出する。第4圧力センサ36によって検出された圧力値は、制御部50に入力される。配管L9の一端は配管L8に接続され、配管L9の他端は、トランスミッション用エアタンク43に圧縮エアを供給する配管L10に接続されている。
【0032】
3方弁37は、配管L9の一端と配管L8との接続部分に設けられている。3方弁37は、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの配管L9を介したトランスミッション用エアタンク43への供給と、配管L8を介した大気中への排出とを切り替えることができる。なお、3方弁37における切り替えは、制御部50によって制御される。
【0033】
ワンウェイバルブ42は、配管L9に設けられている。ワンウェイバルブ42は、3方弁37から配管L10側へのみ圧縮エアを流通させる。第5圧力センサ44は、トランスミッション用エアタンク43内に収容された圧縮エアの圧力値を検出する。第5圧力センサ44によって検出された圧力値は、制御部50に入力される。
【0034】
調圧弁40は、エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアを低い圧力値となるように調圧(減圧)する。本実施形態において調圧弁40は、エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアの圧力値の上限が10kgf/cm
2となるように調圧する。調圧弁40によって調圧された圧縮エアは、配管L10を介してトランスミッション用エアタンク43に供給される。配管L10には、調圧弁40からトランスミッション用エアタンク43へのみ圧縮エアを流通させるワンウェイバルブ41が設けられている。
【0035】
トランスミッション用エアタンク43は、トランスミッション機構45を作動させるための圧縮エアを収容する。本実施形態においてトランスミッション用エアタンク43は、一例として、圧縮エアを圧力値が10kgf/cm
2以下の状態で収容する。トランスミッション用エアタンク43に収容された圧縮エアは、配管L11を介してトランスミッション機構45に供給される。トランスミッション機構45は、圧縮エアの圧力によって変速を行うものである。トランスミッション機構45は、圧縮エアの圧力値が第3圧力値以下のエア圧で作動する。本実施形態において第3圧力値は、一例として、10kgf/cm
2とする。トランスミッション機構45によって使用された圧縮エアは、配管L12を介して大気中に排出される。
【0036】
制御部50(
図2参照)は、車両Xの所定の位置に取り付けられている。
図2に示すように制御部50は、機能的には、圧力値取得部51、及び、指示部52を含んで構成されている。圧力値取得部51は、第1圧力センサ24、第2圧力センサ22、第3圧力センサ34、第4圧力センサ36及び第5圧力センサ44によって検出された圧力値を取得する。
【0037】
指示部52は、圧力値取得部51によって取得された圧力値に基づいて、3方弁23、3方弁37及びエアコンプレッサ11の制御を行う。まず、制御部50が第1排出エア供給部A1を制御することによって、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサス用エアタンク33に供給する場合について説明する。制御部50は、第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下であり、第2圧力センサ22によって検出された圧力値が第3圧力センサ34によって検出された圧力値よりも高く、且つ、第2圧力センサ22によって検出された圧力値と第3圧力センサ34によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上である場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮空気がエアサス用エアタンク33に供給されるように3方弁23を制御する。
【0038】
具体的には、制御部50は、エアサス用エアタンク33内の圧縮エアの残りが少なく(所定の残圧値以下)、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値がエアサス用エアタンク33内の圧力値よりも高く、且つ、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値とエアサス用エアタンク33内の圧力値との差圧が所定の差圧値以上である場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮空気がエアサス用エアタンク33に供給されるように3方弁23を制御する。
【0039】
一方、制御部50は、第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下でない場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮空気が大気中に排出されるように3方弁23を制御する。また、制御部50は、第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下であり、第2圧力センサ22によって検出された圧力値と第3圧力センサ34によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上でない場合に、エアコンプレッサ11を作動させて、エアサス用エアタンク33に圧縮エアを供給する。
【0040】
次に、制御部50が第2排出エア供給部A2を制御することによって、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション用エアタンク43に供給する場合について説明する。制御部50は、第5圧力センサ44によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下であり、第4圧力センサ36によって検出された圧力値が第5圧力センサ44によって検出された圧力値よりも高く、且つ、第4圧力センサ36によって検出された圧力値と第5圧力センサ44によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上である場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮空気がトランスミッション用エアタンク43に供給されるように3方弁37を制御する。
【0041】
具体的には、制御部50は、トランスミッション用エアタンク43内の圧縮エアの残りが少なく(所定の残圧値以下)、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値がトランスミッション用エアタンク43内の圧力値よりも高く、且つ、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値とトランスミッション用エアタンク43内の圧力値との差圧が所定の差圧値以上である場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮空気がトランスミッション用エアタンク43に供給されるように3方弁37を制御する。
【0042】
一方、制御部50は、第5圧力センサ44によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下でない場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮空気が大気中に排出されるように3方弁37を制御する。また、制御部50は、第5圧力センサ44によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下であり、第4圧力センサ36によって検出された圧力値と第5圧力センサ44によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上でない場合に、エアコンプレッサ11を作動させて、トランスミッション用エアタンク43に圧縮エアを供給する。
【0043】
更に、制御部50は、第1圧力センサ24によって検出された圧力値が所定の残圧値(例えば、5kgf/cm
2)以下である場合に、エアコンプレッサ11を作動させて、ブレーキ用エアタンク20に圧縮エアを供給する。
【0044】
次に、制御部50が第1排出エア供給部A1及び第2排出エア供給部A2を制御する際の処理の流れを説明する。まず、制御部50が第1排出エア供給部A1を制御する場合について説明する。
図3に示すように制御部50の圧力値取得部51は、まず、第2圧力センサ22によって検出された圧力値を取得し、第3圧力センサ34からエアサス用エアタンク33内の圧縮エアの圧力値を取得する(ステップS101)。
【0045】
次に、制御部50の指示部52は、第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値以下であるか否かを判断する(ステップS102)。第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値以下ではない場合(ステップS102:NO)、ステップS101の処理に戻る。一方、第3圧力センサ34によって検出された圧力値が所定の残圧値以下である場合(ステップS102:YES)、制御部50は、第2圧力センサ22によって検出された圧力値が第3圧力センサ34によって検出される圧力値よりも高く、且つ、第2圧力センサ22によって検出された圧力値と第3圧力センサ34によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値以上であるか否かを判断する(ステップS103)。
【0046】
第2圧力センサ22によって検出された圧力値が第3圧力センサ34によって検出される圧力値よりも高く、これらの圧力値の差圧が所定の差圧値以上である場合(ステップS103:YES)、制御部50は、ブレーキ機構21から排出された圧縮空気がエアサス用エアタンク33に供給されるように3方弁23を制御する(ステップS104)。これにより、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアがエアサス用エアタンク33に供給され、エアサスペンション機構35において利用可能となる。
【0047】
一方、第2圧力センサ22によって検出された圧力値が第3圧力センサ34によって検出される圧力値よりも高くない場合、或は、第2圧力センサ22によって検出された圧力値と第3圧力センサ34によって検出された圧力値との差圧が所定の差圧値以上でない場合(ステップS103:NO)、制御部50は、エアコンプレッサ11を作動させる(ステップS105)。これにより、エアコンプレッサ11によって生成された圧縮エアがエアサス用エアタンク33に供給される。
【0048】
制御部50が第2排出エア供給部A2を制御する場合の処理の流れは、制御部50が第1排出エア供給部A1を制御する場合の処理の流れと同様であり、
図3を用いた説明を省略する。
【0049】
本実施形態は以上のように構成され、第1排出エア供給部A1では、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値がエアコンプレッサ11からエアサスペンション機構35に供給される圧縮エアの圧力値よりも高い場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアがエアサスペンション機構35に供給される。このように、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサスペンション機構35において再利用することができるので、エアコンプレッサ11の作動頻度を抑制することができる。第2排出エア供給部A2においても第1排出エア供給部A1と同様の制御を行うことで、エアコンプレッサ11の作動頻度を抑制することができる。従って、エンジン10によってエアコンプレッサ11を駆動する頻度が抑制され、車両Xの燃費の向上を図ることができる。
【0050】
ブレーキ機構21から排出されて第1排出エア供給部A1によってエアサスペンション機構35側に供給される圧縮エアは、エアサス用エアタンク33に収容される。これにより、ブレーキ機構21から圧縮エアが排出されたタイミングとエアサスペンション機構35において圧縮エアが必要なタイミングとがずれていても、ブレーキ機構21から排出されてエアサス用エアタンク33に収容されたエアをエアサスペンション機構35が利用することができる。また、エアサスペンション機構35から排出されてトランスミッション機構45に供給される圧縮エアについても同様である。
【0051】
第2圧力センサ22及び第3圧力センサ34の検出結果に基づいて制御部50が3方弁23を制御することにより、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアのエアサス用エアタンク33への供給と大気中への排出とを自動で切り替えることができる。同様に、第4圧力センサ36及び第5圧力センサ44の検出結果に基づいて制御部50が3方弁37を制御することにより、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアのトランスミッション用エアタンク43への供給と大気中への排出とを自動で切り替えることができる。
【0052】
第1排出エア供給部A1は、エアサス用エアタンク33の圧力値が所定の残圧値以下である場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサス用エアタンク33に供給する。この場合には、例えば、エアコンプレッサ11を作動させて圧縮エアでエアサス用エアタンク33を充填することに代えて、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアによってエアサス用エアタンク33を充填することができる。同様に、第2排出エア供給部A2は、トランスミッション用エアタンク43の圧力値が所定の残圧値以下である場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション用エアタンク43に供給する。この場合には、例えば、エアコンプレッサ11を作動させて圧縮エアでトランスミッション用エアタンク43を充填することに代えて、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアによってトランスミッション用エアタンク43を充填することができる。
【0053】
第1排出エア供給部A1がブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサスペンション機構35に供給することにより、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサスペンション機構35において有効に再利用することができる。同様に、第2排出エア供給部A2がエアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション機構45に供給することにより、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション機構45において有効に再利用することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図4に示すように、実施形態で説明した第1排出エア供給部A1及び第2排出エア供給部A2に代えて、これらとは構成の異なる第1排出エア供給部B1及び第2排出エア供給部B2を有する車両用エア供給システム1Aを用いてもよい。具体的には、第1排出エア供給部B1は、差圧バルブ23B、ワンウェイバルブ32、及び、配管L5を含んで構成される。
【0055】
差圧バルブ23Bは、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値とエアサス用エアタンク33内の圧縮エアの圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上である場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアをエアサス用エアタンク33に供給する。また、差圧バルブ23Bは、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアの圧力値とエアサス用エアタンク33内の圧縮エアの圧力値との差圧が所定の圧力値以上でない場合に、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアを大気中に排出する。
【0056】
同様に、差圧バルブ37Bは、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値とトランスミッション用エアタンク43内の圧縮エアの圧力値との差圧が所定の差圧値(例えば、5kgf/cm
2)以上である場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアをトランスミッション用エアタンク43に供給する。また、差圧バルブ37Bは、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアの圧力値とトランスミッション用エアタンク43内の圧縮エアの圧力値との差圧が所定の圧力値以上でない場合に、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアを大気中に排出する。
【0057】
このように、差圧バルブ23Bを用いる場合には、ブレーキ機構21から排出された圧縮エアのエアサス用エアタンク33への供給と大気中への排出とを自動で切り替えることができる。同様に、差圧バルブ37Bを用いる場合には、エアサスペンション機構35から排出された圧縮エアのトランスミッション用エアタンク43への供給と大気中への排出とを自動で切り替えることができる。
【0058】
なお、差圧バルブ23Bは、エアサス用エアタンク33内の圧力値が所定の残圧値以下である場合にのみ、エアサス用エアタンク33にブレーキ機構21からの圧縮エアを供給するものであってもよい。同様に、差圧バルブ37Bは、トランスミッション用エアタンク43内の圧力値が所定の残圧値以下である場合にのみ、トランスミッション機構45にエアサスペンション機構35からの圧縮エアを供給するものであってもよい。
【0059】
上記実施形態及び変形例では、圧縮エアによって作動する作動部として、ブレーキ機構21、エアサスペンション機構35及びトランスミッション機構45を用いたがこれらに限定されず、作動部の数も3つに限定されない。また、ブレーキ機構21が最も高い圧力で作動し、トランスミッション機構45が最も低い圧力で作動するものとしたが、作動する圧力の順序はこれに限定されない。
【0060】
ブレーキ機構21、エアサスペンション機構35及びトランスミッション機構45から排出された圧縮エアを、条件に応じて大気中に排出するものとしたが、大気中以外の部位に供給してもよい。