(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホースリールから繰出されるホースを通す挿通路が上下方向に向かって形成されたガイドパイプと、該ガイドパイプに固定配置された支持部材と、前記挿通路を通るホースを所定方向にガイドするべく前記ガイドパイプの上方に設けられると共に水平方向に延びるヒンジ軸を介して前記支持部材と接続されたホースガイドとを備えたホース送出し巻取り装置であって、
前記ホースガイド又は前記支持部材に設けられたフック部が前記支持部材又は前記ホースガイドに設けられた係合部に係合されることで、前記ヒンジ軸周りでの前記支持部材に対する前記ホースガイドの傾動位置が保持され、前記ホースガイドが前記ガイドパイプの前記挿通路の上部開口を覆う位置に設けられると共に、
前記フック部と前記係合部との係合を解除して前記ホースガイドを前記支持部材に対して前記ヒンジ軸周りで傾倒させると、前記ガイドパイプの前記挿通路の上部開口が露出するようになっていることを特徴とするホース送出し巻取り装置。
前記フック部は、前記ホースガイド又は前記支持部材に取り付けられたコイルバネと、該コイルバネに連結されて前記係合部に係合する係合ピンと、を有することを特徴とする、請求項1に記載のホース送出し巻取り装置。
前記係合ピンには径方向に延びる操作レバーが設けられ、該操作レバーを介して前記係合ピンを軸線周りで回動させることで前記係合部に前記係合ピンが着脱されるようになっていることを特徴とする、請求項2又は3に記載のホース送出し巻取り装置。
前記ホース送出し巻取り装置には、前記操作レバーを介して前記係合ピンを軸線周りで回動させた際に、前記係合部に前記係合ピンを係合させるように誘導する第1誘導部、及び、前記係合部から前記係合ピンを離脱させるように誘導する第2誘導部を有することを特徴とする、請求項4に記載のホース送出し巻取り装置。
前記フック部と前記係合部とが係合した状態で前記ホースガイドから送出されたホースに引張力が付与された際に、前記ヒンジ軸周りでの前記支持部材に対する前記ホースガイドの傾動が規制されるようになっていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のホース送出し巻取り装置。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば農作物に薬液や水をホースを介して噴霧する動力噴霧装置等の液体散布装置においては、ホースをホースリールに巻取る際にホースに付着した泥やゴミを除去する装置が設けられたものが知られており、そのような装置の従来技術が特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているホース繰出巻取機は、散布ホースを巻き取る巻取ドラムと、該散布ホースを支持しながら該巻取ドラムから該ホース繰出巻取機の機外まで案内するガイド機構と、を有し、前記散布ホースの前記ガイド機構により支持される部分の表面に、土を擦り落とすための部材を接触させて設けたものである。
【0004】
また、特許文献2に開示されている泥落とし装置は、ホース等の長尺物が第1のローラと第2のローラとの間に配置され、前記長尺物が送り出される際、前記第1のローラと前記第2のローラとの間の距離を広げるように、且つ、前記長尺物が引き戻される際、前記第1のローラと前記第2のローラとが互いに接近して両ローラ間で前記長尺物を挟み込むように、基部、第1のステー、第2のステー及びリンクプレートからなる四節リンク機構が構成されているものである。
【0005】
また、特許文献3に開示されているホースガイドは、機体に搭載されたホースドラムに巻かれたホースの繰り出し部分が内部に挿通されて前記ホースを前記機体の外方へ案内するホースガイドであり、螺旋状に形成され、後端部が前記機体側に取り付けられているものである。
【0006】
特許文献1に開示されているホース繰出巻取機では、前記散布ホースの前記ガイド機構により支持される部分の表面に、土を擦り落とすための部材を接触させて設けたので、散布ホースが巻取ドラムに巻き取られる前の段階でホース表面に付着した土やゴミを擦り落とすことができ、これらの土やゴミが巻取ドラムや他の動力伝達機構等に詰まる事態を防止できる。また、巻取ドラムやガイド機構の汚れが抑制されるため、メンテナンスの回数が低減されて利便性を高めることができる。
【0007】
また、特許文献2に開示されている泥落とし装置では、ホース等の長尺物をその巻取り時にローラで挟み込んで、その表面の泥等を除去することができると共に、ローラを用いているため、耐久性に優れ、ローラに付着した泥等も遠心力で放散させることができる。また、ホース等の長尺物の送出し時には、ローラ間の距離が大きくなるため、長尺物に抵抗がかからずに作業性を高めることができる。
【0008】
また、特許文献3に開示されているホースガイドでは、ホースガイドが筒体ではなく螺旋状に形成されているため、ホースガイド全体に螺旋状の間隙が構成され、作業のために繰り出されたホースに付着した泥、ごみ等が、該ホースの巻き取り時に螺旋状の間隙から効果的に落下除去され、ホースガイドローラ、ホース繰り出し及び巻き取りローラ、ホースドラム部等に前記泥、ごみ等が侵入することを防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に開示されているホース繰出巻取機や泥落とし装置においては、ホースの巻取り時等に、土を擦り落とすための部材やローラが当該ホースと接触してホースに負荷がかかるため、当該ホースの耐久性が低下するといった問題がある。また、特許文献3に開示されているホースガイドにおいては、ホースとの接触による負荷は抑制されるものの、ホースガイド自体の構成が煩雑となるといった問題が生じ得る。
【0011】
また、従来から、巻取ドラム(ホースリール)から繰出されたホースをホースガイドへ案内するべく、ホースリールとホースガイドとの間に筒状のガイドパイプを介在させた動力噴霧装置等の液体散布装置が知られているが、そのようなガイドパイプが設けられた液体散布装置においては、ホースの巻取り時等にホース表面に付着した泥の多くがガイドパイプで捕捉され、当該ガイドパイプで捕捉された泥によって前記ホースが固着してしまうといった問題が生じることが本発明者によって確認されている。また、そのようなガイドパイプが設けられた従来の液体散布装置においては、ホースガイドを固定するための固定ピンを取り外すことによって内部に設けられたガイドパイプをある程度露出させることができるものの、前記固定ピンを取り外すことは困難であり、当該ガイドパイプ近傍の泥を洗浄する際の作業性が悪いといった問題がある。
【0012】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ホースリールから繰出されたホースをホースガイドへ案内するガイドパイプが設けられた液体散布装置において、ホースの耐久性を維持しながら、簡単な構成でもって且つ効率的にホース表面に付着した泥やゴミを除去することができると共に、これらの泥やゴミがホースガイドやホースリール等に詰まることを抑制することのできるホース送出し巻取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記する課題を解決するために、本発明に係るホース送出し巻取り装置は、ホースリールから繰出されるホースを通す挿通路が上下方向に向かって形成されたガイドパイプと、該ガイドパイプに固定配置された支持部材と、前記挿通路を通るホースを所定方向にガイドするべく前記ガイドパイプの上方に設けられると共に水平方向に延びるヒンジ軸を介して前記支持部材と接続されたホースガイドとを備えたホース送出し巻取り装置であって、前記ホースガイド又は前記支持部材に設けられたフック部が前記支持部材又は前記ホースガイドに設けられた係合部に係合されることで、前記ヒンジ軸周りでの前記支持部材に対する前記ホースガイドの傾動位置が保持されると共に、前記フック部と前記係合部との係合を解除して前記ホースガイドを前記支持部材に対して前記ヒンジ軸周りで傾倒させると、前記ガイドパイプの前記挿通路の上部開口が露出するようになっていることを特徴としている。
【0014】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、ホースガイド又は支持部材に設けられたフック部が前記支持部材又は前記ホースガイドに設けられた係合部に係合されることでヒンジ軸周りでの支持部材に対するホースガイドの傾動位置が保持されると共に、そのフック部と係合部との係合を解除してホースガイドを支持部材に対してヒンジ軸周りで傾倒させると、ガイドパイプの挿通路の上部開口が上面視で露出するようになっていることにより、係合部に係合したフック部を当該係合部から離脱させるという簡単な作業でフック部と係合部との係合を解除しながら、ホース表面に付着した泥の多くが捕捉されたガイドパイプの挿通路の上部開口を確実に露出させることができる。そのため、当該ガイドパイプを簡便に且つ確実に洗浄することができ、ホースの耐久性を維持しながら、簡単な構成でもって且つ効率的にホース表面に付着した泥やゴミを除去することができると共に、これらの泥やゴミがホースガイドやホースリール等に詰まることを抑制することができる。
【0015】
前記ホース送出し巻取り装置の好適な実施の形態では、前記フック部は、前記ホースガイド又は前記支持部材に取り付けられたコイルバネと、該コイルバネに連結されて前記係合部に係合する係合ピンと、を有することを特徴としている。また、前記係合部は、前記係合ピンが嵌合される嵌凹部から構成されることを特徴としている。
【0016】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、前記フック部がコイルバネと該コイルバネに連結されて係合部に係合する係合ピンとを有し、前記係合部が係合ピンが嵌合される嵌凹部から構成されることによって、簡単な構成でもって且つ確実にフック部と係合部とを係合させることができるため、当該ホース送出し巻取り装置の装置構成を簡素化することができる。
【0017】
前記ホース送出し巻取り装置の別の好適な実施の形態では、前記係合ピンには径方向に延びる操作レバーが設けられ、該操作レバーを介して前記係合ピンを軸線周りで回動させることで前記係合部に前記係合ピンが着脱されるようになっていることを特徴としている。また、前記ホース送出し巻取り装置には、前記操作レバーを介して前記係合ピンを軸線周りで回動させた際に、前記係合部に前記係合ピンを係合させるように誘導する第1誘導部、及び、前記係合部から前記係合ピンを離脱させるように誘導する第2誘導部を有することを特徴としている。
【0018】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、例えば係合ピンに設けられた径方向に延びる操作レバーを介して係合ピンを軸線周りで回動させることで前記係合部に前記係合ピンが着脱されるようになっていることによって、簡便な構成でもってフック部と係合部とを着脱させることができるため、前記係合部に対する前記係合ピンの着脱作業の作業性を格段に高めることができる。
【0019】
前記ホース送出し巻取り装置の更なる好適な実施の形態では、前記操作レバーは、折り畳み自在もしくは伸縮自在となっていることを特徴としている。また、前記操作レバーは取り外し自在となっていることを特徴としている。
【0020】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、前記操作レバーが折り畳み自在もしくは伸縮自在、あるいは取り外し自在となっていることよって、通常の使用時における当該操作レバーとホース等の他部品との干渉を抑制することができるため、通常の使用時における作業性を格段に高めることができる。
【0021】
前記ホース送出し巻取り装置の更なる好適な実施の形態では、前記コイルバネは、水平方向に延びる前記係合ピンの両端に設けられていることを特徴としている。
【0022】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、前記コイルバネが水平方向に延びる係合ピンの両端に設けられていることによって、簡単な構成でもってヒンジ軸周りでの支持部材に対するホースガイドの傾動位置を精緻に保持できるため、当該ホース送出し巻取り装置の装置構成を簡素化することができる。
【0023】
前記ホース送出し巻取り装置の別の好適な実施の形態では、前記フック部と前記係合部とが係合した状態で前記ホースガイドから送出されたホースに引張力が付与された際に、前記ヒンジ軸周りでの前記支持部材に対する前記ホースガイドの傾動が規制されるようになっていることを特徴としている。また、前記フック部及び前記係合部がそれぞれ前記ホースガイド及び前記支持部材に設けられ、前記ホースガイドの一部が前記支持部材の前記係合部に係合された前記フック部に衝接することによって前記ヒンジ軸周りでの前記支持部材に対する前記ホースガイドの傾動が規制されるようになっていることを特徴としている。
【0024】
前記ホース送出し巻取り装置によれば、ホースガイドから送出されたホースに引張力が付与された際にヒンジ軸周りでの支持部材に対するホースガイドの傾動が規制されるようになっていることによって、例えばホースガイドから送出されたホースに引張力が付与され、ホースを案内するホースガイドが支持部材に対して所定の角度以上傾動した場合にホースリールからホースを所定時間継続して自動的に送出すようになっている動力噴霧装置等の液体散布装置において、ヒンジ軸周りでの支持部材に対するホースガイドの傾動を確実に規制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のホース送出し巻取り装置によれば、ホースガイド又は支持部材に設けられたフック部が前記支持部材又は前記ホースガイドに設けられた係合部に係合されることでヒンジ軸周りでの支持部材に対するホースガイドの傾動位置が保持されると共に、そのフック部と係合部との係合を解除してホースガイドを支持部材に対してヒンジ軸周りで傾倒させると、ガイドパイプの挿通路の上部開口が露出するようになっていることにより、簡単な作業でもってフック部と係合部との係合を解除しながら、ガイドパイプの挿通路の上部開口を確実に露出させることができる。そのため、ホース表面に付着した泥の多くが捕捉されたホースガイドを簡便に且つ確実に洗浄することができ、ホースの耐久性を維持しながら、簡単な構成でもって且つ効率的にホース表面に付着した泥やゴミを除去することができると共に、これらの泥やゴミがホースガイドやホースリール等に詰まることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るホース送出し巻取り装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明に係るホース送出し巻取り装置の一実施の形態が搭載された液体散布装置としての動力噴霧装置の全体構成を概略的に示したものである。また、
図2は、
図1に示す動力噴霧装置の内部構成を概略的に示したものであり、
図3は、
図1に示す動力噴霧装置の動力伝達系を概略的に説明したものであり、
図4は、
図1に示す動力噴霧装置の上部を拡大して示したものであり、
図5は、
図4の左側面図である。
【0029】
図示する動力噴霧装置1は、例えば水や農薬等の薬液を噴霧するためのものであり、主に、本体部分を構成する枠状の機体フレーム6と、機体フレーム6の下部の前後にそれぞれ左右1対で取り付けられた前輪3及び後輪2(例えば、前輪3がタイヤ、後輪2がキャスター)と、機体フレーム6内に搭載されたエンジン4と、エンジン4によって駆動されるポンプ5と、機体フレーム6に対して回転自在に取り付けられたホースリール7と、該ホースリール7からホース10を所望の方向へ送出すためのホース送出し巻取り装置19と、を備えている。また、機体フレーム6には、ホース送出し巻取り装置19のホース送出し機構等を覆う機体カバー9が固定され、該機体カバー9には、ホース10の送出しや巻取り等を制御するホース送出し巻取り装置19の制御装置11aが内蔵された操作盤11が配設されている。なお、本実施形態では、動力源としてエンジン4を採用したが、例えばモータやモータとエンジンを併用したハイブリッド型エンジンを動力源として採用してもよい。
【0030】
エンジン4の駆動力は、
図2及び
図3に示すように、該エンジン4の出力軸22から動力伝達用のベルト24〜26、メイントランスミッション27、及び、走行用トランスミッション28を介して前輪3へ伝達され、前輪3が駆動輪として機能することで、動力噴霧装置1が走行自在となっている。なお、前輪3のクラッチ操作は、機体フレーム6の後側の手押し部分に取り付けられた走行クラッチレバー6aにより手動で行われる。
【0031】
また、エンジン4の駆動力は、該エンジン4の出力軸22からベルト30を介してポンプ5へ伝達される。従って、エンジン4を動作させてポンプ5を駆動すると、ポンプ5は、エンジン4の駆動力により、別途用意された薬液タンクから薬液等を吸引してホース10に圧送し、前記薬液等がホース10を通ってその先端に取り付けられたノズル(不図示)から噴霧される。なお、ポンプ5には動噴電磁クラッチ53(
図3参照)が設けられており、その動噴電磁クラッチ53が操作盤11に内蔵された制御装置11aを介してオン・オフ制御されることで、エンジン4からポンプ5への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御され、ホース10からの液薬等の噴霧が制御される。
【0032】
ホースリール7には、例えば外径が10〜25mm程度の散布用耐圧ホース10が巻き付けられている。また、ホースリール7の回転軸23には、ベルト24、25、29及びメイントランスミッション27を介してエンジン4の駆動力が伝達されるようになっており、当該エンジン4の駆動力によってホース10の巻取り方向にホースリール7が回転駆動される。
【0033】
より詳細には、メイントランスミッション27の出力軸21には、
図3に示すように、巻取り電磁クラッチ50が設けられ、この巻取り電磁クラッチ50がオン・オフ制御されることで、エンジン4からホースリール7への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御される。また、出力軸21には、ホース10の巻取り時や送出し時以外における遊転を防止するべく、電磁ブレーキ52が設けられており、この電磁ブレーキ52が制御されることで、回転自在となっているホースリール7を静止させることができる。この電磁ブレーキ52及び巻取り電磁クラッチ50は、操作盤11に内蔵された制御装置11aにより制御され、これにより、エンジン4の駆動力によるホース10の巻取り方向へのホースリール7の回転駆動が制御される。なお、前記制御装置11aは、遠隔操作を可能とするために、携帯型の送信機からの制御信号を受信する受信機(不図示)を備えている。
【0034】
ホース送出し巻取り装置19は、主に、ホースリール7からホース10を繰出す際にその繰出しに要する作業者等の労力を軽減すべくホース10に送出し力を付与する送出し機構と、送出されたホース10を所望の方向に案内するガイド機構と、上記したようにエンジン4の駆動力を利用して送出されたホース10をホースリール7へ巻取る巻取り機構と、その送出し機構と巻取り機構との動作状態を制御する制御装置11aとを、有している。
【0035】
前記ホース送出し巻取り装置19の送出し機構は、主に、ホースリール7よりも上方で該ホースリール7の略水平な回転軸23と略平行となるように機体フレーム6に回転自在に取り付けられた送出し軸48と、該送出し軸48と一体的に回転してホース10に送出し力を付与する送出しローラ49とを有している。
【0036】
送出し軸48は、
図2及び
図3に示すように、ベルト31によりメイントランスミッション27の出力軸20に連結され、その出力軸20には送出し電磁クラッチ51が介設されている。前記制御装置11aによりこの送出し電磁クラッチ51をオン・オフ制御することによって、エンジン4から送出し軸48への駆動力の伝達の接続もしくは遮断が制御される。
【0037】
送出しローラ49は、エンジン4からの駆動力によって回動する送出し軸48と一体的に回転するものの、送出し軸48の軸線方向(水平方向)には摺動自在となるように、送出し軸48に対してスプライン結合されている。この送出しローラ49は、主に天板8aと一対の側板8bとからなる配列巻装置8内に回転自在に配置されており、この配列巻装置8が、送出し軸48に遊嵌されて送出し軸48に沿って移動自在となっている。
【0038】
具体的には、前記配列巻装置8は、主にホース10をホースリール7に巻取る際に該ホース10をホースリール7に整列させるためのものであり、送出し軸48及びホースリール7の回転軸23と平行となるように機体フレーム6に回転自在に取り付けられた整列巻取り軸47と、配列巻装置8を支持するべく送出し軸48及び整列巻取り軸47の前後に送出し軸48及びホースリール7の回転軸23と平行となるように機体フレーム6に固定された前方支持軸44及び後方支持軸45と、を有している。この整列巻取り軸47は、ベルト32によりホースリール7の回転軸23に連結されており、ホースリール7の回転に応じて回転される。また、整列巻取り軸47には螺旋溝が形成されており、この螺旋溝に、配列巻装置8に固定されたスライダ46(
図3参照)が係合されている。また、配列巻装置8は、上記したように送出し軸48に回転不能に遊嵌されており、かつ、前方支持軸44及び後方支持軸45に軸線方向(水平方向)に摺動自在に支持されている。ホースリール7の回転に応じて整列巻取り軸47が回転すると、整列巻取り軸47に係合するスライダ46が整列巻取り軸47の螺旋溝に案内されて水平方向に移動し、配列巻装置8が、スライダ46の移動に伴って前方支持軸44及び後方支持軸45により支持されながら水平方向に移動する。ここで、整列巻取り軸47の螺旋溝は、ホースリール7が1回転した際に、スライダ46をホース10の外径よりも大きな距離で移動させることができ、ホースリール7の両端部でホース10が巻取られる状態になった際には逆方向に移動されるように設定されている。これにより、ホースリール7をホース巻取り方向に回転させると、それに応じて整列巻取り軸47も回転し、ホース10を支持する送出しローラ49が水平方向に往復移動し、ホース10は整列した状態でホースリール7に巻取られる。一方で、ホース10を繰出す際には、ホースリール7及び整列巻取り軸47が逆方向に回転され、ホース10の巻取り時とは逆向きにスライダ46及び送出しローラ49が水平方向に往復移動するが、この場合にも、送出しローラ49は、ホースリール7に整列して巻回されたホース10の巻解き位置に正対する位置に常時配置されるため、ホース10は安定的に送出しローラ49に導かれる。
【0039】
ホース10は、ホースリール7から略鉛直上方に引き出され、配列巻装置8の下側開口を通り、送出しローラ49の周面に沿って略鉛直上方に延設され、送出しローラ49の回転駆動力が伝達されて繰出されるようになっている。なお、この動力伝達を確実にし、かつ送出しローラ49からのホース10の脱落を防止するために、例えば送出しローラ49の周面には丸溝やV溝等の溝が形成されている。また、配列巻装置8には、ホース10を送出しローラ49に押し付けるための押圧ローラ43が配設されている。この押圧ローラ43は、配列巻装置8内で揺動自在に取り付けられたリンクプレート42の自由端部側に設けられ、例えばばね等の付勢部材(不図示)によってホース10を送出しローラ49側に付勢している。なお、配列巻装置8の天板8aには、送出しローラ49の上方位置に略円形状の貫通孔が形成され、その貫通孔に鉛直方向に延びる略円筒状の筒状部材が固定されており、送出しローラ49の周面に沿って延設されたホース10は、その筒状部材の内部を通って繰出される。
【0040】
また、上記したホース送出し機構よりも上方には、送出しローラ49の周面に沿って延設されたホース10を所定方向に案内するガイド機構が設けられている。このガイド機構は、主に、配列巻装置8に略鉛直軸周りで回転自在に取り付けられたガイドベース60と、ガイドベース60に対して傾動自在に取り付けられたホースガイド70とを有している。
【0041】
ガイドベース60は、
図4及び
図5に示すように、主に、配列巻装置8の筒状部材に摺動するように該筒状部材に回転自在に内挿されると共にホースリール7から繰出されて送出しローラ49の周面に沿って延設されたホース10を通す挿通路67(
図7参照)が上下方向に向かって形成された略円筒状のガイドパイプ62と、ホースガイド70を傾動自在に支持するべくガイドパイプ62に固定配置された支持部材68とを有している。また、前記支持部材68は、配列巻装置8の筒状部材から突出した前記ガイドパイプ62の上端部に取り付けられた略円板状のベースプレート61と、ホースガイド70を傾動自在に支持するべくガイドパイプ62の挿通路67の開口を挟むようにベースプレート61の上面に略平行に取り付けられた左右一対の支持プレート63、64とを有している。
【0042】
ガイドパイプ62の内径(挿通路径)は、内部を通るホース10の外径よりも僅かに大きく設計され、好ましくは、一般に使用されるホース10のうちで最も大きな外径を有するホース10の外径よりも僅かに大きく設計されている。そのため、ホース10の巻取り時等にホース10の表面に付着した泥やゴミの多くが当該ガイドパイプ62で捕捉されるようになっている。また、ガイドパイプ62には、ベースプレート61と配列巻装置8の天板8aとの間に略円板状の回転防止プレート65が固着され、該回転防止プレート65の外周面の所定位置には、ストッパとして機能する複数の突起が形成されている。配列巻装置8の筒状部材は、その上端部が該配列巻装置8の天板8aから僅かに突出しており、前記回転防止プレート65が前記筒状部材の上端部により回転自在に支持され、これにより、ガイドベース60が配列巻装置8に対して略鉛直軸周りで回転自在となっている。なお、配列巻装置8には、回転防止プレート65の外周面に形成された複数の突起の間に介在するように鉛直上方に向かってストッパ(不図示)が取り付けられ、ガイドベース60の回転に応じて回転防止プレート65が回転した際に、該回転防止プレート65の突起が配列巻装置8のストッパと衝接することで、ガイドベース60が所定角度以上回転しない(言い換えれば、所定角度の範囲内で回転する)ようになっている。
【0043】
ホースガイド70は、ガイドパイプ62の挿通路67を通ったホース10を所望の方向にガイドするべくガイドパイプ62の上方に設けられ、主に所定箇所で固定された略平行な一対の支持プレート73、74を有している。このホースガイド70の支持プレート73、74は、ガイドパイプ62の上方から斜め上方に延びるようにガイドベース60の各支持プレート63、64に接続されている。詳細には、ホースガイド70は、その基端部の前側が略水平方向に延びるヒンジ軸71を介してガイドベース60の支持部材68に接続され、基端部の後側がフック部85を介してガイドベース60の支持部材68に接続されている。より詳細には、フック部85は、略水平方向に延びる係合ピン84と、下端部が前記係合ピン84の軸線方向の端部に連結され且つ上端部が各支持プレート73、74の基端部の側部に固着された耳部73a、74aの係合穴に係合された左右一対のコイルバネ75、76とから構成されている。左右のコイルバネ75、76に引張力が付与された状態でフック部85の係合ピン84がガイドベース60の各支持プレート63、64の後部に形成された嵌凹部(係合部)63a、64aに嵌合されて係合されることで、ホースガイド70の基端部の後側がガイドベース60の支持部材68に接続されている。なお、係合ピン84の端部は、コイルバネ75、76の下端部に形成されたフック状部分もしくは円弧状部分に挿通されており、コイルバネ75、76に対して軸線周りで回転自在に連結されている。通常時(ホース10に所定の引張力が付与されていない状態)では、フック部85のコイルバネ75、76の付勢力(引張力)によりホースガイド70の基端部の底板83がガイドベース60のベースプレート61と当接した状態で、ホースガイド70はガイドベース60に対して所定の角度が保持されるようになっている。
【0044】
ホースガイド70の内部、すなわち各支持プレート73、74との間には、その基端部に下方から順に第1〜第4ガイドローラ77〜80が配設され、その先端部に基端部側から順に第5、第6ガイドローラ81、82が配設されている。これらのガイドローラ77〜82は、ホース10の脱落を防止するために、その周面にホース10を受ける丸溝やV溝等の溝が形成されている。
【0045】
送出しローラ49と押圧ローラ43との間を通って略鉛直上方に延設されたホース10は、配列巻装置8の筒状部材に内挿されたガイドパイプ62の挿通路67、ベースプレート61の上面に取り付けられた支持プレート63、64の間、ホースガイド70の支持プレート73、74の間であって各ガイドローラ77〜82の間を通ってホースガイド70の先端部に導かれることで、作業者等の所望の方向にホース10が引き出される。
【0046】
また、
図2及び
図4に示すように、ガイドベース60の支持プレート63の外面にはリミットスイッチ66が取り付けられている。一方、ホースガイド70の支持プレート73の基端部の側面には、リミットスイッチ66のスイッチレバーを押し下げる押圧棒72が取り付けられている。
【0047】
上記したように、通常時では、コイルバネ75、76の付勢力(引張力)によりホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度を維持するようになっており、押圧棒72がリミットスイッチ66のスイッチレバーを押し下げて、リミットスイッチ66はオフ状態となっている。
【0048】
一方で、例えば作業者等がホース10を引き出そうとしてホース10に引張力が作用した場合、ホースガイド70がフック部85のコイルバネ75、76の付勢力に抗してヒンジ軸71を回転中心として傾動する。ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると(
図4参照)、リミットスイッチ66のスイッチレバーに対する押圧棒72の押し下げ力が低下し、リミットスイッチ66はオン状態となる。このように、リミットスイッチ66によって、ホース10に引張力が付与されて張力が作用しているか否かを検知することができる。リミットスイッチ66からの出力信号(オン・オフ信号)は、操作盤11に内蔵された制御装置11aに送信されるようになっている。なお、作業者等が動力噴霧装置1の操作盤11に設けられたスイッチ等を介して所定の動作モードを選択している状態で、ホース10を引き出そうとしてホース10に引張力が作用し、リミットスイッチ66からのオン信号が制御装置11aに送信されると、その制御装置11aから送出し電磁クラッチ51等へ制御信号が送信され、ホース10が所定時間(所定量)だけ自動的にホースリール7から繰出されるようになっている。ここで、ホースガイド70がフック部85のコイルバネ75、76の付勢力に抗してヒンジ軸71を回転中心として傾動した際、ホースガイド70の基端部の底板83の後方に設けられた突起が嵌凹部63a、64aに係合された係合ピン84に衝接することにより、ヒンジ軸71周りでのガイドベース60に対するホースガイド70の傾動が規制されるようになっている。
【0049】
また、ホースガイド70に設けられたフック部85の係合ピン84は、ガイドベース60の各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aに着脱自在となっている。フック部85の係合ピン84を嵌凹部63a、64aから離脱させると、ホースガイド70をヒンジ軸71を回転中心として傾動しても、ホースガイド70の基端部の底板83の後方に設けられた突起が嵌凹部63a、64aに係合されたフック部85の係合ピン84に衝接しなくなる。そのため、ホースガイド70は、
図6に示すように、ガイドベース60の各支持プレート63、64に対してヒンジ軸71周りで(略90度)傾倒され、これにより、
図7に示すように、ガイドパイプ62の挿通路67の上部開口が上面視で露出される。使用者等は、定期的にフック部85の係合ピン84を嵌凹部63a、64aから外し、ガイドパイプ62の挿通路67の上部開口の少なくとも一部、好ましくは略全部を露出させることで、ホース10の巻取り時にガイドパイプ62で捕捉された泥やゴミを簡便に且つ確実に洗浄することができる。
【0050】
より具体的には、フック部85の係合ピン84の軸線方向の略中央部には操作レバー86が設けられている。この操作レバー86は、主に第1操作板86aと、第2操作板86bと、第1操作板86aと第2操作板86bとを接続するボルト等の締結部材86cとを有している。第1操作板86aは、径方向に向かって延びる略矩形平板状を呈し、その基端部が係合ピン84の略中央部に溶接等で接合され、先端部には締結部材86cが挿通される挿通孔が形成されている。また、第2操作板86bも略矩形平板状を呈し、その一端部に締結部材86cが挿通される挿通孔が形成されている。第1操作板86aの一側面側に第2操作板86bを配設し、第1操作板86aの他側面側にコイルバネ86dを配設し、第1操作板86a及び第2操作板86bに形成されたそれぞれの挿通孔及びコイルバネ86dの内部に締結部材86cを通して締結することにより、第1操作板86aと第2操作板86bとは、コイルバネ86dの付勢力により押圧された状態で保持される。これにより、第2操作板86bは、締結部材86cの軸線を回転中心として第1操作板86aに対して回転することができ、すなわち、第2操作板86bは第1操作板86aに対して折り畳み自在となっている。なお、第1操作板86aの挿通孔の長手方向で基端側及び前端側には突起及び嵌合穴が形成され、第2操作板86bの挿通孔の長手方向で(第1操作板86aに対して回転させた際の)基端側及び前端側には嵌合穴及び突起が形成されており、第2操作板86bを締結部材86cの軸線を回転中心として第1操作板86aに対して回転させた際に、双方に設けられた嵌合穴及び突起が相互に嵌合されるようになっている。これにより、第2操作板86bを締結部材86cの軸線を回転中心として第1操作板86aに対して回転させた際、操作レバー86の長手方向の長さが伸長するように第1操作板86aと第2操作板86bとが径方向(長手方向)に並んで配置されるようになっている。
【0051】
また、フック部85の係合ピン84の軸線方向の端部であってガイドベース60の各支持プレート63、64の外側に位置する部分には、
図8(a)に示すように、径方向に向かって突設された第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bが設けられている。なお、この第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bは、例えば係合ピン84に一体に形成されている。
【0052】
一方、ガイドベース60の各支持プレート63、64の外側面であって上記した二つの第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bの間、特に二つの第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bの間のうち180度よりも小さい角度を有する間には、略水平方向に向かって支点ピン63b、64bが突設されている。
【0053】
使用者等は、フック部85の係合ピン84を嵌凹部63a、64aから離脱させる際には、
図8(b)に示すように、まず、折り畳まれた第2操作板86を締結部材86cの軸線を回転中心として第1操作板86aに対して回転させて操作レバー86を伸長させる。次いで、その操作レバー86を介してフック部85の係合ピン84をその軸線周り(図中、時計回り)で回動させ、第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bのうち第2カム87b、88bを支持プレート63、64の支点ピン63b、64bと当接させる。第2カム87b、88bが支点ピン63b、64bと当接した状態で操作レバー86を介して係合ピン84を更に回動させると、第2カム87b、88bと支点ピン63b、64bとの当接位置が僅かに変化しながら(すなわち、係合ピン84と支点ピン63b、64bとの距離が変化しながら)、係合ピン84は支点ピン63b、64bを回転中心として回動する。その際、フック部85のコイルバネ75、76の付勢力に抗して当該コイルバネ75、76を伸長させながら係合ピン84は支点ピン63b、64bを回転中心として回動するため、係合ピン84は各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aの後方の突出部分を乗り越えて嵌凹部63a、64aの外部へ誘導されることとなり、係合ピン84が各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aから離脱される。
【0054】
係合ピン84が各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aから離脱されると、上記したように、ホースガイド70をガイドベース60の各支持プレート63、64に対してヒンジ軸71周り(
図6中、時計回り)で傾倒させることができる。これにより、ガイドパイプ62の挿通路67の上部開口を上面視で露出させることができ、使用者等は、ホース10の巻取り時にガイドパイプ62で捕捉された泥やゴミを確実に洗浄することができる。なお、係合ピン84に突設された第2カム87b、88bと各支持プレート63、64に突設された支点ピン63b、64bとにより、嵌凹部(係合部)63a、64aから係合ピン84を離脱させるように誘導する第2誘導部が構成される。
【0055】
一方、ガイドパイプ62で捕捉された泥やゴミを洗浄した後は、使用者等は、ホースガイド70をガイドベース60の各支持プレート63、64に対してヒンジ軸71周り(
図6中、反時計回り)で持ち上げ、
図8(c)に示すように、操作レバー86を介してフック部85の係合ピン84をその軸線周り(図中、反時計回り)で回動させ、第1カム87a、88a及び第2カム87b、88bのうち第1カム87a、88aを支点ピン63b、64bと当接させる。第1カム87a、88aが支点ピン63b、64bと当接した状態で操作レバー86を介してフック部85の係合ピン84を更に回動させると、第1カム87a、88aと支点ピン63b、64bとの当接位置が僅かに変化しながら(すなわち、係合ピン84と支点ピン63b、64bとの距離が変化しながら)、係合ピン84は支点ピン63b、64bを回転中心として回動する。その際、フック部85のコイルバネ75、76の付勢力に抗して当該コイルバネ75、76を伸長させながら係合ピン84は支点ピン63b、64bを回転中心として回動するため、係合ピン84は各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aの後方の突出部分を乗り越えて嵌凹部63a、64aへ誘導されることとなり、係合ピン84が各支持プレート63、64の嵌凹部63a、64aに係合される。
【0056】
これにより、使用者等は、再び当該動力噴霧装置1を通常通りに使用することができる。なお、係合ピン84に突設された第1カム87a、88aと各支持プレート63、64に突設された支点ピン63b、64bとにより、嵌凹部(係合部)63a、64aに係合ピン84を係合させるように誘導する第1誘導部が構成される。
【0057】
なお、上記した実施形態では、操作レバー86が折り畳み自在となっており、折り畳まれた第2操作板86bを締結部材86cの軸線を回転中心として第1操作板86aに対して回転させて操作レバー86を伸長させたが、操作レバー86は、例えば、係合ピン84の径方向(操作レバー86の長手方向)に多段式に伸縮する形態であってもよい。また、上記した実施形態では、操作レバー86がフック部85の係合ピン84に一体に形成されていたが、当該操作レバー86は取り外し自在となっていてもよい。例えば、係合ピン84の軸線方向の略中央部に径方向に向かって嵌合穴を形成し、該嵌合穴に例えば棒状の操作レバーを差し込んで使用してもよい。なお、その嵌合穴は係合ピン84を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0058】
また、係合ピン84は、例えば略円形状や楕円形状、多角形状などの如何なる断面形状を有していてもよいが、上記したように操作レバー86によって係合ピン84を軸線周りで回動させて嵌凹部(係合部)63a、64aに係合ピン84を着脱させる着脱作業を容易にするために、係合ピン84の断面形状は略円形状もしくは楕円形状であることが好ましい。
【0059】
なお、機体カバー9に配設された操作盤11には、たとえば、エンジン4を始動させるためのスイッチや、ホース10の送出し・巻取り動作(上記したホース送出し巻取り装置19の送出し機構と巻取り機構との動作状態)を複数の動作モードで切換えるためのスイッチ、エンジン4からポンプ5への駆動力の伝達の接続もしくは遮断を制御してポンプ5によるホース10への薬液等の圧送を切換えるためのスイッチ、使用者等の操作に基づいてホース10の送出し・巻取りに関するホース送出し信号やホース巻取り信号を制御装置11aに送信してホース10をホースリール7から繰出したり巻き取ったりするためのスイッチ等が設けられている。
【0060】
たとえば、作業者等が動力噴霧装置1の操作盤11に設けられたスイッチ等を介してある動作モードを選択している場合、作業者等は、操作盤11のスイッチ操作や送信機(不図示)のスイッチ操作を介してのみホース10の巻取りや送出しを行うことができる。
【0061】
また、作業者等が動力噴霧装置1の操作盤11に設けられたスイッチ等を介して別の動作モードを選択している場合には、作業者等は、操作盤11のスイッチ操作や送信機(不図示)のスイッチ操作を介してホース10の巻取りや送出しを行うことができると共に、ホース10を引張ることによって当該ホース10をホースリール7から所定量だけ自動的に送出すことができる。すなわち、作業者等が動力噴霧装置1の操作盤11に設けられたスイッチ等を介して所定の動作モードを選択している状態で、ホースリール7からホース10を引き出すべく当該ホース10を引張ると、その引張力によってホース10が収容されたホースガイド70がコイルバネ75、76の付勢力(引張力)に抗してガイドベース60に対して傾動する。ホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動すると、リミットスイッチ66のスイッチレバーに対する押圧棒72の押し下げ力が低下し、リミットスイッチ66はオン状態となり、そのオン信号が制御装置11aに送信される。制御装置11aは、リミットスイッチ66のオン信号を受信すると、メイントランスミッション27の出力軸21における巻取り電磁クラッチ50及び電磁ブレーキ52を所定時間(数秒程度)だけオフ状態(空転状態)とすると共に、出力軸20における送出し電磁クラッチ51を所定時間だけオン状態(接続状態)とする。これにより、エンジン4の駆動力が所定時間だけ送出し軸48に伝達され、送出し軸48、ひいては送出しローラ49がホース送出し方向に回転駆動され、送出しローラ49からホース10に送出し力が付与されてホース10がホースリール7から所定時間(所定量)だけ繰出される。そして、前記所定時間が経過すると、制御装置11aは、メイントランスミッション27の出力軸20における送出し電磁クラッチ51をオフ状態(空転状態)とし、電磁ブレーキ52をオン状態とし、ホース10の送出し動作を停止してホースリール7を静止状態とする。なお、作業者等によるホース10の引張動作が終了すると、フック部85のコイルバネ75、76の付勢力(引張力)によりホースガイド70がガイドベース60に対して元の位置に戻り、押圧棒72によりリミットスイッチ66のスイッチレバーが押し下げられてリミットスイッチ66が再びオフ状態となる。
【0062】
以上で説明したように、本実施の形態のホース送出し巻取り装置19によれば、ホースガイド70に設けられたフック部85が支持部材68に設けられた係合部としての嵌凹部63a、64aに係合されることで、ヒンジ軸71周りでの支持部材68に対するホースガイド70の傾動位置が保持されると共に、フック部85と嵌凹部63a、64aとの係合を解除してホースガイド70を支持部材68に対して傾倒させると、ガイドパイプ62の挿通路67の上部開口が上面視で露出するようになっていることにより、嵌凹部63a、64aに係合したフック部85を当該嵌凹部63a、64aから離脱させるという簡単な作業でもって、フック部85と嵌凹部63a、64aとの係合を解除しながら、ホース表面に付着した泥の多くが捕捉されたガイドパイプ62の挿通路67の上部開口を確実に露出させることができる。そのため、当該ガイドパイプ62を簡便に且つ確実に洗浄することができ、ホース10の耐久性を維持しながら、簡単な構成でもって且つ効率的にホース表面に付着した泥やゴミを除去することができると共に、これらの泥やゴミがホースガイド62等に詰まることを抑制することができる。
【0063】
なお、上記した実施の形態では、フック部85がホースガイド70に一体的に設けられ、係合部としての嵌凹部63a、64aがガイドベース60の支持部材68に一体に設けられていたが、例えばガイドベース60の支持部材68にフック部を一体的に設け、ホースガイド70に係合部を一体に設けてもよいことは勿論である。
【0064】
また、上記した実施の形態では、ホース10に引張力が付与されてホースガイド70がガイドベース60に対して所定の角度以上傾動したことを検知するための検知手段としてリミットスイッチ66を採用したが、たとえば光センサや加速度センサ等を採用してもよいことは勿論である。