(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原動機と、走行装置と、油圧アクチュエータを含む作業装置と、前記原動機からの動力により作動し、作動油を前記油圧アクチュエータに供給する第1油圧ポンプと、前記走行装置を駆動する油圧ポンプ・モータと、制御装置と、を備える作業機械であって、
前記油圧アクチュエータと前記油圧ポンプ・モータとの間で作動油が流れる分岐流路と、
前記分岐流路に設けられるアキュムレータと、
前記アキュムレータと前記油圧ポンプ・モータとの間に設けられる第1開閉弁と、
前記アキュムレータと前記油圧アクチュエータとの間に設けられる第2開閉弁と、を有し、
前記制御装置は、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁の開閉を制御することにより、前記油圧アクチュエータからの作動油と前記油圧ポンプ・モータからの作動油とを選択的に前記アキュムレータに導入して蓄圧することを特徴とする作業機械。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
「第1実施形態」
図1は、本発明の第1実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。また、
図30は、本発明の第1実施形態に係るホイールローダの側面図である。
図1に示すように、本発明に係る作業機械の一実施形態としてのホイールローダ100は、原動機であるエンジン10の動力により4個の車輪73を回転駆動して車両を走行させる構成となっている。具体的には、エンジン10は、第1ギヤ16および第2ギヤ17を介してトランスミッション19と連結しており、このトランスミッション19はプロペラシャフト11と連結している。そのため、エンジン10が回転すると、その動力は、第1ギヤ16、第2ギヤ17、トランスミッション19を介してプロペラシャフト11に機械的に伝達され、その動力によって車輪73が回転駆動する。
【0023】
また、エンジン10が駆動すると、エンジン10と接続した走行用油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)12が作動油タンク50から作動油を吸入し、走行用油圧ポンプ・モータ14に向けて圧油を吐出する。なお、作動油は、逆止弁49によって走行用油圧ポンプ12から走行用油圧ポンプ・モータへ向かう方向の一方向のみが許容されている。
【0024】
このとき、走行用油圧ポンプ・モータ14はモータとして作動し、作動油(圧油)によって回転駆動する。この走行用油圧ポンプ・モータ14から出力された駆動力でトランスミッション19を介してプロペラシャフト11が回転することで、車輪73が回転駆動する。
【0025】
即ち、ホイールローダ100は、エンジン10の動力を機械式の動力伝達機構である第1ギヤ16、第2ギヤ17、機械動力用クラッチ(以下、機械クラッチ)18を介してトランスミッション19に伝達して車輪73を回転駆動する構成と、エンジン10の動力を油圧式の動力伝達機構である走行用油圧ポンプ12、走行用油圧ポンプ・モータ14、および油圧動力用クラッチ(以下、油圧クラッチ)15を介してトランスミッション19に伝達して車輪73を回転駆動する構成の両方の手段により、車両を走行させることができる。そして、車両の走行速度は、アクセルペダル70の踏込量によって調整することができる。アクセルペダル70は、運転室130(
図30参照)に設けられている。
【0026】
なお、車輪73には速度検出器71が取り付けられており、この速度検出器71によって、車輪73の実測度を検出することができる。また、走行用油圧ポンプ12には、斜板を傾動させるためのレギュレータ81が設けられ、走行用油圧ポンプ・モータ14には、斜板を傾動させるためのレギュレータ80が設けられており、レギュレータ80,81はコントローラ41からの制御信号に基づき斜板の角度を制御する。
【0027】
また、エンジン10を駆動するとフロント操作用油圧ポンプ(第1油圧ポンプ)21が作動する。フロント操作用油圧ポンプ21は作動油タンク50から作動油を吸入し、コントロールバルブ20に圧油を吐出する。このフロント操作用油圧ポンプ21からの圧油がコントロールバルブ(C/V)20を介して作業装置90へと供給される。なお、作動油は、逆止弁48によってフロント操作用油圧ポンプ21からコントロールバルブ20へ向かう一方向のみが許容されている。なお、走行用油圧ポンプ12、フロント操作用油圧ポンプ21は可変容量式である。また、走行用油圧ポンプ・モータ14は可変容量式で両傾転のポンプ・モータである。
【0028】
作業装置90は、
図30に示すように、バケット112を駆動する油圧アクチュエータであるバケット用シリンダ22、センタジョイント101を介して車体を屈曲させるための油圧アクチュエータであるステアリング用シリンダ23(
図1参照)、およびリフトアーム111を駆動する油圧アクチュエータであるリフト用シリンダ24を備えて構成される。
【0029】
図30に示すように、リフトアーム111は前部車体110に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、リフト用シリンダ24の駆動により回動駆動される。バケット112はリフトアーム111の先端において、リフトアーム111に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、バケット用シリンダ22の駆動により回動駆動される。前部車体110と後部車体120はセンタジョイント101により互いに回動自在に連結され、ステアリング用シリンダ23の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。なお、作業装置90の操作は、運転室130内に設けられた操作レバー72によって行われる。
【0030】
さらに、本実施形態では、走行用油圧ポンプ・モータ14とリフト用シリンダ24との間を作動油が流れる分岐流路150が設けられている。この分岐流路150は、走行用油圧ポンプ・モータ14とリフト用シリンダ24とを油圧配管で接続して形成され、走行用油圧ポンプ・モータ14側からとリフト用シリンダ24側からの両方から分岐流路150内へ作動油を流入させることができる構成となっている。
【0031】
そして、分岐流路150にはアキュムレータ30が設けられる。このアキュムレータ30は、作動油を所定の圧力で蓄圧することができる構造からなる。アキュムレータ30の入口には、電磁式の開閉弁である第4電磁弁34が設けられる。この第4電磁弁34は、アキュムレータ30に作動油(圧油)を導入する際に開き、作動油をアキュムレータ30内に蓄えている間は閉じる。
【0032】
また、アキュムレータ30とリフト用シリンダ24との間には電磁式の開閉弁である第2電磁弁(第2開閉弁)32が設けられ、アキュムレータ30と走行用油圧ポンプ・モータ14との間には電磁式の開閉弁である第1電磁弁(第1開閉弁)31が設けられる。さらに、分岐流路150には、走行用油圧ポンプ・モータ14と第1電磁弁31との間の位置から分岐して作動油を作動油タンク50に排出するための排出流路151が設けられており、この排出流路151には第3電磁弁33が設けられている。この第3電磁弁33は、比例式の開閉弁であり、常時は閉じており、分岐流路150内の作動油を作動油タンク50に回収する際に所定の開度で開く。
【0033】
走行用油圧ポンプ・モータ14と第1電磁弁31との間には、走行用油圧ポンプ・モータ14がポンプとして動作した場合における、走行用油圧ポンプ・モータ14の吐出圧力である圧力P14(第1圧力)を検出するための第1圧力検出器61が設けられる。第1電磁弁31と第2電磁弁32との間には、アキュムレータ30の圧力Pacc(第2圧力)を検出するための第2圧力検出器62が設けられる。リフト用シリンダ24と第2電磁弁32との間には、リフト用シリンダ24から戻される作動油の圧力Plf(第3圧力)を検出するための第3圧力検出器63が設けられる。また、走行用油圧ポンプ12の吐出圧力P12(第4圧力)を検出するための第4圧力検出器64、およびフロント操作用油圧ポンプ21の吐出圧力P21(第5圧力)を検出するための第5圧力検出器65が設けられている。
【0034】
次に、コントローラ41の詳細を説明する。
図2は、コントローラ41の詳細を示すブロック図である。
図2に示すように、コントローラ41は、圧力比較部401と、リフト操作判定部402と、加減速判定部403と、速度域判定部404と、運転モード判定部405と、流量調整指令部406と、クラッチ指令部407と、油圧機器傾転指令部408と、を備えている。
【0035】
圧力比較部401は、第1圧力検出器61〜第5圧力検出器65からの圧力信号を入力として、各圧力P14、Pacc、Plf、P12、P21の大小を比較し、その比較結果を運転モード判定部405に出力する。
【0036】
リフト操作判定部402は、操作レバー72からの操作レバー信号(作業指令)を入力として、リフトアーム111の動作状態を判定し、その判定結果を運転モード判定部405に出力する。
【0037】
加減速判定部403は、目標速度指令装置としてのアクセルペダル70からの目標速度指令(アクセルペダル70の踏込量)と車輪73に設けられた速度検出器71からの実速度の信号とを入力として、車両の加減速を判定し、その判定結果を運転モード判定部405に出力する。
【0038】
速度域判定部404は、速度検出器71からの実速度の信号を入力として、車両の速度域が低速度域と高速度域の何れであるかを判定し、その判定結果を運転モード判定部405に出力する。なお、低速度域と高速度域とを判断するための基準(閾値)は、予め定められている。
【0039】
運転モード判定部405は、上記した比較結果および判定結果に基づき、詳しくは後述する車両の運転モードを判定し、その判定結果を流量調整指令部406およびクラッチ指令部407に出力する。
【0040】
流量調整指令部406は、運転モード判定部405から出力される判定結果に従って、電磁弁31,32,33,34の開閉動作に関する指令を出力する。より詳細には、第1電磁弁31、第2電磁弁32、第4電磁弁34に対しては、ON/OFF信号(開閉信号)を出力し、第3電磁弁33に対しては弁開度に関する指令(開度指令)を出力する。
【0041】
クラッチ指令部407は、運転モード判定部405から出力される判定結果と速度検出器71から出力される実速度の情報とに基づき、油圧クラッチ15、機械クラッチ18に対してオン(結合)/オフ(切断)の指令を出力する。
【0042】
油圧機器傾転指令部408は、運転モード判定部405から出力される判定結果と速度検出器71から出力される実速度の情報とに基づき、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80および走行用油圧ポンプ12のレギュレータ81に対して斜板の傾転指令信号を出力する。これにより、走行用油圧ポンプ・モータ14および走行用油圧ポンプ12の吐出流量が制御される。
【0043】
続いて、各処理部の具体的な処理フローについて、
図3〜
図8を用いて説明する。
図3は圧力比較部401による圧力Pacc、圧力P14、および圧力Plfの比較を行う処理の手順を示すフローチャート、
図4は圧力比較部401による圧力Paccおよび圧力P12の比較を行う処理の手順を示すフローチャート、
図5は圧力比較部401による圧力Paccおよび圧力P21の比較を行う処理の手順を示すフローチャート、
図6は加減速判定部403による車両の加減速の状態を判定する処理の手順を示すフローチャート、
図7は速度域判定部404による車両の速度域を判定する処理の手順を示すフローチャート、
図8はリフト操作判定部402によるリフトアームの動作状態を判定する処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
図3に示すように、圧力比較部401は、圧力Paccが圧力P14以下であり(S101/Yes)、圧力Paccが圧力Plf以下であり(S102/Yes)であり、圧力P14が圧力Plf以下である場合(S103/Yes)に、Pacc≦P14≦Plfを出力する(S104)。一方、圧力P14が圧力Plfより大きい場合(S103/No)、圧力比較部401は、Pacc≦Plf<P14を出力する(S105)。また、圧力Paccが圧力Plfより大きい場合(S102/No)には、圧力比較部401は、Plf<Pacc≦P14を出力する(S106)。
【0045】
圧力Paccが圧力P14より大きい場合(S101/No)、圧力比較部401はS107において圧力Pacc≦Plfを満たすか判断し、Yesの場合、P14<Pacc≦Plfを出力し(S108)、Noの場合、S109において圧力P14≦Plfを満たすか判断する。そして、S109においてYesの場合、圧力比較部401はP14≦Plf<Paccを出力し(S110)、Noの場合Plf<P14<Paccを出力する(S111)。
【0046】
また、圧力比較部401は、
図4に示すように、圧力P12と圧力Paccとの大小を比較し(S201)、圧力P12が圧力Pacc以下である(S201/Yes)ならP12≦Paccを出力し(S202)、そうでなければ(S201/No)、Pacc<P12を出力する(S203)。
【0047】
さらに、圧力比較部401は、
図5に示すように、圧力P21と圧力Paccとの大小を比較し(S301)、圧力P21が圧力Pacc以下である(S301/Yes)ならP21≦Paccを出力し(S302)、そうでなければ(S301/No)、Pacc<P21を出力する(S303)。
【0048】
加減速判定部403は、
図6に示すように、速度検出器71からの実速度とアクセルペダル70からの目標速度指令とを比較し(S401)、実速度が目標速度より小さい(S402/Yes)場合には「加速」(加速指令)を出力し(S403)、実速度が目標速度と同じ(S402/No)場合には「一定速」を出力し(S404)、実速度が目標速度より大きい(S401/No)場合には「減速」(減速指令)を出力する(S405)。
【0049】
速度域判定部404は、
図7に示すように、速度検出器71からの実速度と切換速度とを比較し(S501)、実速度が切換速度以下(S501/Yes)の場合には「低速」を出力し(S502)、実速度が切換速度より大きい(S501/No)場合には「高速」を出力する(S503)。なお、切換速度とは、油圧クラッチ15から機械クラッチ18へ切り換える基準(閾値)となる車両の速度のことである。
【0050】
リフト操作判定部402は、
図8に示すように、操作レバー72からの操作レバー信号がリフトアーム111の上昇動作の指令(負荷増加指令)であるかを判断し(S601)、Yesであればリフト動作の情報としてリフト上昇を出力し(S602)、Noであれば操作レバー信号がリフトアーム111の下降動作の指令(負荷低減指令)であるか否かを判断する(S603)。S603でYesの場合、リフト操作判定部402はリフト動作の情報としてリフト下降を出力し(S604)、Noの場合、リフト動作の情報としてリフト停止を出力する(S605)。
【0051】
次に、ホイールローダ100の運転モードについて説明する。
図9は、ホイールローダ100の運転モード毎のクラッチ15,18、電磁弁31〜34の動作を一覧表にまとめたものである。また、
図10〜
図16は、
図9に示す運転モードの代表的なものについて、全体構成図を用いて作動油の流れを示したものである。なお、本実施形態では、
図9に示す運転モードに関するマップデータが運転モード判定部405に記憶されており、運転モード判定部405が各種入力に基づいて、対応する運転モードを選択して車両を制御する構成としているが、マップデータを記憶させずに、各種入力に基づき、その都度運転モード判定部405が運転モードを演算により決定する構成としても良い。
【0052】
<運転モードNo.1(
図10参照)>
運転モードNo.1は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン(結合)」、機械クラッチ18を「オフ(切断)」として、走行用油圧ポンプ12から作動油を走行用油圧ポンプ・モータ14に供給する。そして、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータとして動作させて車両を走行させる。このモードでは、第1電磁弁31を「閉」、第2電磁弁32を「閉」、第3電磁弁33を「閉」、第4電磁弁34を「閉」とする。なお、点線で図示された機械クラッチ18はオフ(切断)状態であることを示している。
【0053】
この運転モードNo.1では、油圧クラッチ15をオンにし、機械クラッチ18をオフにすることで、低速度域におけるトルク伝達を油圧によって伝達しているため、コンパクトな構成で、効率の良い動力伝達を実現できる。
【0054】
より詳細に言うと、高トルクが必要となる低速度域において動力伝達をギヤ16,17で行うと、ギヤ比を大きくしなければならず装置が大型化するという課題や、トルクコンバータを用いると入出力回転数の差が大きくなるため効率が低くなるという課題や、動力伝達を電気的に行うと低出力のため効率が低くなるという課題があるが、本実施形態では、低速度域におけるトルク伝達を油圧によって伝達することで、これらの課題は解決されている。
【0055】
<運転モードNo.2>
運転モードNo.2は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ(切断)」、機械クラッチ18を「オン(結合)」とし、第1電磁弁31を「閉」、第2電磁弁32を「閉」、第3電磁弁33を「閉」、第4電磁弁34を「閉」とする。
【0056】
エンジン10の速度域が高速度域の場合、低トルクを伝達できれば十分であるため、この運転モードでは、ギヤ16,17、機械クラッチ18を用いてエンジン10の動力を車輪73に伝達することで、動力の伝達効率を高めている。
【0057】
<運転モードNo.3>
運転モードNo.3は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフト動作が停止している状態であるため、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0058】
この運転モードは、第1圧力検出器61で検出される圧力P14(即ち、走行用油圧ポンプ・モータ14の吐出圧力)と第2圧力検出器62で検出される圧力Pacc(即ち、アキュムレータ30内部の圧力)との関係が「Pacc≧P14」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第3電磁弁33を「開」に切り換えて作動油を作動油タンク50に戻している。このとき、第1電磁弁31は「閉」、第2電磁弁32は「閉」、第4電磁弁34は「閉」である。このように、圧力P14が圧力Pacc以下である場合、アキュムレータ30に蓄圧することができないため、走行用油圧ポンプ・モータ14から吐き出された作動油を排出流路151を経由して作動油タンク50に回収している。
【0059】
<運転モードNo.4(
図11参照)>
運転モードNo.4は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフト動作が停止している状態であるため、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0060】
この運転モードは、圧力P14と圧力Paccとの関係が「Pacc<P14」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第1電磁弁31を「開」、第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第2電磁弁32は「閉」、第3電磁弁33は「閉」である。すると、
図11に示すように、作動油は、圧力差により分岐流路150内を矢印Aの方向に流れていき、アキュムレータ30にて蓄圧される。これにより、車両の減速時に発生するエネルギをアキュムレータ30に回生エネルギとして蓄えることができる。なお、
図11において、黒塗りで図示されたアキュムレータ30は、蓄圧状態であることを示している。
【0061】
なお、車両速度の大きさによらず、減速時には常に油圧クラッチ15をオン、機械クラッチ18をオフとするよう制御することで、より多くの回生エネルギを得ることができる。
【0062】
<運転モードNo.5>
運転モードNo.5は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0063】
この運転モードは、圧力Paccと、第3圧力検出器63で検出される圧力Plf(即ち、リフト用シリンダ24から戻される作動油の圧力)との関係が「Pacc≧Plf」を満たす状態であるため、各電磁弁31,32,33,34を閉の状態に維持し、リフト用シリンダ24からの作動油をコントロールバルブ20を介して作動油タンク50に戻す。このように、圧力Plfが圧力Pacc以下である場合、アキュムレータ30に蓄圧することができないため、作動油をそのまま作動油タンク50に回収している。
【0064】
<運転モードNo.6(
図12参照)>
運転モードNo.6は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0065】
この運転モードは、圧力Paccと圧力Plfとの関係が「Pacc<Plf」を満たす状態であるため、コントローラ41は第2電磁弁32および第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第1電磁弁31は「閉」、第3電磁弁33は「閉」である。すると、
図12に示すように、作動油は、圧力差により分岐流路150内を矢印Bの方向に流れていき、アキュムレータ30にて蓄圧される。これにより、リフトアーム111の下降動作時に発生するエネルギをアキュムレータ30に回生エネルギとして蓄えることができる。なお、
図12において、黒塗りで図示されたアキュムレータ30は、蓄圧状態であることを示している。
【0066】
<運転モードNo.7>
運転モードNo.7は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とする。
【0067】
この運転モードは、圧力Paccと、第3圧力検出器63で検出される圧力Plfとの関係が「Pacc≧Plf」を満たす状態であるため、コントローラ41は各電磁弁31,32,33,34を閉の状態に維持し、リフト用シリンダ24からの作動油をコントロールバルブ20を介して作動油タンク50に戻す。
【0068】
<運転モードNo.8>
運転モードNo.8は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とする。
【0069】
この運転モードは、圧力Paccと圧力Plfとの関係が「Pacc<Plf」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第2電磁弁32および第4電磁弁34を開に切り換える。このとき、第1電磁弁31は「閉」、第3電磁弁33は「閉」である。すると、作動油は、圧力差によりリフト用シリンダ24からアキュムレータ30に流れ、アキュムレータ30によって蓄圧される。これにより、リフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30に回生エネルギとして蓄えることができる。
【0070】
<運転モードNo.9>
運転モードNo.9は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。よって、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0071】
この運転モードは、圧力P14と圧力Paccと圧力Plfとの関係が、「P14≧Pacc>Plf」を満たす状態である。そのため、第1電磁弁31を「開」、第4電磁弁34を「開」に切り換えて、走行用油圧ポンプ・モータ14からの作動油をアキュムレータ30に蓄圧する。このとき、第2電磁弁32および第3電磁弁33は「閉」である。このように、この運転モードでは、走行用油圧ポンプ・モータ14の吐出圧P14がアキュムレータ30内部の圧力Pacc以上であり、かつ、リフト用シリンダ24から戻る作動油の圧力Plfがアキュムレータ30内部の圧力Paccより小さいため、走行用油圧ポンプ・モータ14からの作動油をアキュムレータ30に導入して、減速時に生じるエネルギを回生エネルギとしてアキュムレータ30に蓄えるようにしている。
【0072】
<運転モードNo.10>
運転モードNo.10は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。よって、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。
【0073】
この運転モードは、圧力P14と圧力Paccと圧力Plfとの関係が、「P14<Pacc≦Plf」を満たす状態である。そのため、第2電磁弁32を「開」、第4電磁弁34を「開」に切り換えて、リフト用シリンダ24から戻る作動油をアキュムレータ30に蓄圧する。このとき、第1電磁弁31および第3電磁弁33は「閉」である。このように、この運転モードでは、リフト用シリンダ24から戻る作動油の圧力Plfがアキュムレータ30内部の圧力Pacc以上であり、かつ、走行用油圧ポンプ・モータ14の吐出圧P14がアキュムレータ30内部の圧力Paccより小さいため、リフト用シリンダ24からの作動油をアキュムレータ30に導入して、リフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギを回生エネルギとしてアキュムレータ30に蓄えるようにしている。
【0074】
<運転モードNo.11(
図13参照)>
運転モードNo.11は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。よって、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。即ち、この運転モードは、減速しながら、リフトアーム111に負荷をかけて作業を行う状態である。
【0075】
この運転モードは、圧力P14と圧力Plfの圧力の関係が、「P14≧Plf」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第1電磁弁31を「開」、第2電磁弁32を「開」に切り換えて、
図13に示すように、走行用油圧ポンプ・モータ14からの作動油をC方向に流して、リフト用シリンダ24に導入する。このとき、第3電磁弁33および第4電磁弁34は閉である。
【0076】
リフト用シリンダ24は、フロント操作用油圧ポンプ21から供給される作動油だけでなく、走行用油圧ポンプ・モータ14からの作動油のアシストも受けて、リフトアーム111の上昇動作を行うことが出来る。このように、運転モードNo.11では、車両の減速時に生じるエネルギをリフトアーム111の上昇動作に利用することで、エネルギの無駄をなくし、燃費向上を図っている。
【0077】
<運転モードNo.12>
運転モードNo.12は、ホイールローダ100が減速走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。よって、コントローラ41は、走行用油圧ポンプ・モータ14のレギュレータ80を操作して、プロペラシャフト11の回転により走行用油圧ポンプ・モータ14をポンプとして作動させる。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とする。即ち、この運転モードは、減速しながら、リフトアーム111に負荷をかけて作業を行う状態である。
【0078】
この運転モードでは、圧力P14と圧力Plfの圧力の関係が、「P14<Plf」を満たす状態であるため、走行用油圧ポンプ・モータ14からの作動油をリフトアーム111の上昇動作のアシストに用いることが出来ない。そこで、コントローラ41は、電磁弁31,32,33,34を閉の状態のまま維持する。
【0079】
<運転モードNo.13>
運転モードNo.13は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」として、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータとして動作させて車両を走行させる。
【0080】
この運転モードは、圧力P14と圧力Plfとの関係が「P14≧Plf」を満たす状態である。そのため、リフト用シリンダ24からの作動油を走行用油圧ポンプ・モータ14のモータ動作に対してアシストすることが出来ない。そこで、コントローラ41は、電磁弁31,32,33,34を閉の状態のまま維持する。
【0081】
<運転モードNo.14(
図14参照)>
運転モードNo.14は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」として、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータとして動作させて車両を走行させる。
【0082】
この運転モードは、圧力P14と圧力Plfとの関係が「P14<Plf」を満たす状態である。よって、コントローラ41は、第1電磁弁31および第2電磁弁32を「開」に切り換える。このとき、第1電磁弁31は「閉」、第3電磁弁33は「閉」である。すると、
図14に示すように、作動油は、圧力差により分岐流路150内を矢印Dの方向に流れていき、走行用油圧ポンプ・モータ14のモータ動作をアシストする。
【0083】
つまり、走行用油圧ポンプ・モータ14は、走行用油圧ポンプ12から供給される作動油だけでなく、リフト用シリンダ23からの作動油のアシストも受けて、車輪73を回転駆動させることが出来る。このように、運転モードNo.14では、リフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギを車輪73の回転駆動に利用することで、エネルギの無駄をなくし、燃費向上を図っている。
【0084】
<運転モードNo.15>
運転モードNo.15は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とし、車輪73をエンジン10から機械的に伝達された動力により回転駆動させる。
【0085】
この運転モードは、圧力P14と圧力Plfとの関係が「P14≧Plf」を満たす状態であるため、リフト用シリンダ24からの作動油を走行用油圧ポンプ・モータ14に供給できない。そのため、コントローラ41は、電磁弁31,32,33,34を閉の状態のまま維持する。即ち、車輪73は、エンジン10と連結した第1ギヤ16、第2ギヤ17を介して伝達された動力で回転駆動する。
【0086】
<運転モードNo.16>
運転モードNo.16は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフトアーム111が下降している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」にする。
【0087】
この運転モードは、圧力P14と圧力Plfとの関係が「P14<Plf」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第1電磁弁31および第2電磁弁32を「開」に切り換える。このとき、第3電磁弁33は「閉」、第4電磁弁34は「閉」である。すると、作動油は、圧力差によりリフト用シリンダ24から走行用油圧ポンプ・モータ14に向かって分岐流路150内を流れていき、走行用油圧ポンプ・モータ14のモータ動作をアシストする。
【0088】
このように、運転モードNo.16では、車両が高速度域で走行している場合であっても、リフトアーム111の下降動作により生じるエネルギを車輪73の回転駆動に利用することができるから、エネルギの無駄がなくなり、燃費が向上する。
【0089】
次に、アキュムレータ30に蓄えられた回生エネルギを利用(再生)する運転モードについて説明する。
【0090】
<運転モードNo.17(
図15参照)>
運転モードNo.17は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」とし、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータ動作させて車両を走行させる。
【0091】
この運転モードは、圧力Paccと、第4圧力検出器64で検出される圧力P12(即ち、走行用油圧ポンプ12から吐出される作動油の圧力)との関係が「Pacc≧P12」を満たす状態であるため、第1電磁弁31および第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第2電磁弁32および第3電磁弁33は「閉」である。すると、アキュムレータ30に蓄圧されている作動油が圧力差によって、分岐流路150内を
図15の矢印E方向に流れ、走行用油圧ポンプ・モータ14に供給される。
【0092】
こうして、走行用油圧ポンプ・モータ14は、アキュムレータ30に蓄えられた作動油の圧力によるアシストを受けて、車輪73を回転駆動する。即ち、運転モードNo.17では、アキュムレータ30にて回生され、蓄えられたエネルギ(回生動力)を利用して車両を走行させている。
【0093】
<運転モードNo.18>
運転モードNo.18は、ホイールローダ100が低速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」として、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータ動作させて車両を走行させる。
【0094】
この運転モードは、圧力Paccと圧力P12との関係が「Pacc<P12」を満たす状態であるため、アキュムレータ30に蓄えられた作動油を走行用油圧ポンプ・モータ14に供給できない。そのため、コントローラ41は、各電磁弁31,32,33,34は閉じたままとし、アキュムレータ30からのアシストを受けることなく、走行用油圧ポンプ・モータ14により車両を走行させている。
【0095】
<運転モードNo.19>
運転モードNo.19は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この状態において、圧力Paccと圧力P12の関係が「Pacc≧P12」を満たすため、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」として、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータ動作させて車両を走行させる。
【0096】
さらに、コントローラ41は、第1電磁弁31および第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第2電磁弁32および第3電磁弁33は「閉」である。すると、アキュムレータ30に蓄圧されている作動油は、圧力差によって分岐流路150内を走行用油圧ポンプ・モータ14に向かって流れ、走行用油圧ポンプ・モータ14に供給される。こうして、走行用油圧ポンプ・モータ14は、アキュムレータ30に蓄えられた作動油の圧力によるアシストを受けて、車輪73を回転駆動する。即ち、運転モードNo.19では、車両が高速度域で走行している場合であっても、アキュムレータ30にて回生され、蓄えられたエネルギ(回生動力)を利用して車両を走行させている。
【0097】
<運転モードNo.20>
運転モードNo.20は、ホイールローダ100が高速度域であって、加速または一定速で走行しており、リフト動作が停止している状態である。この運転モードは、圧力Paccと圧力P12との関係が「Pacc<P12」を満たす状態であるため、アキュムレータ30から作動油を走行用油圧ポンプ・モータ14に供給できない。そこで、コントローラ41は、電磁弁31,32,33,34を閉の状態のまま維持し、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とし、車両をエンジン10から機械的に伝達された動力により走行させる。
【0098】
<運転モードNo.21(
図16参照)>
運転モードNo.21は、ホイールローダ100が低速度域で走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。この際、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」にして、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータ動作させて車両を走行させる。
【0099】
この運転モードは、圧力Paccと、第5圧力検出器65で検出される圧力P21(即ち、フロント操作用油圧ポンプ21から吐出される作動油の圧力)との関係が「Pacc≧P21」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第2電磁弁32および第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第1電磁弁31および第3電磁弁33は「閉」である。すると、
図16に示すように、アキュムレータ30に蓄えられた作動油は、圧力差によって分岐流路150内を
図16の矢印F方向に流れ、リフト用シリンダ24に供給される。
【0100】
リフト用シリンダ24は、アキュムレータ30に蓄えられた作動油の圧力によるアシストを受けて、リフトアーム111を上昇動作させる。即ち、運転モードNo.21では、アキュムレータ30にて回生され、蓄えられたエネルギ(回生動力)をリフトアーム111の上昇動作に利用している。
【0101】
<運転モードNo.22>
運転モードNo.22は、ホイールローダ100が低速度域で走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オン」、機械クラッチ18を「オフ」にして、走行用油圧ポンプ・モータ14をモータ動作させて車両を走行させる。
【0102】
この運転モードは、圧力Paccと圧力P21との関係が「Pacc<P21」を満たす状態であるため、アキュムレータ30に蓄えられた作動油をリフト用シリンダ24に供給できない。そのため、コントローラ41は、各電磁弁31,32,33,34を閉じたままとし、アキュムレータ30からのアシストを受けることなく、リフトアーム111の上昇動作を行う。
【0103】
<運転モードNo.23>
運転モードNo.23は、ホイールローダ100が高速度域で走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とし、エンジン10から機械的に伝達された動力により車両を走行させる。
【0104】
この運転モードは、圧力Paccと圧力P21との関係が「Pacc≧P21」を満たす状態であるため、コントローラ41は、第2電磁弁32および第4電磁弁34を「開」に切り換える。このとき、第1電磁弁31および第3電磁弁33は「閉」である。すると、アキュムレータ30に蓄圧されている作動油は、圧力差によってリフト用シリンダ24に向かって流れ、リフト用シリンダ24に供給される。
【0105】
リフト用シリンダ24は、アキュムレータ30に蓄えられた作動油の圧力によるアシストを受けて、リフトアーム111を上昇動作させる。即ち、運転モードNo.23では、アキュムレータ30にて回生され、蓄えられたエネルギ(回生動力)をリフトアーム111の上昇動作に利用している。
【0106】
<運転モードNo.24>
運転モードNo.24は、ホイールローダ100が高速度域で走行しており、リフトアーム111が上昇している状態である。この状態において、コントローラ41は、油圧クラッチ15を「オフ」、機械クラッチ18を「オン」とし、エンジン10から機械的に伝達された動力により車両を走行させる。
【0107】
この運転モードは、圧力Paccと圧力P21との関係が「Pacc<P21」を満たす状態であるため、アキュムレータ30に蓄えられた作動油をリフト用シリンダ24に供給できない。そのため、コントローラ41は、各電磁弁31,32,33,34を閉じたままとし、アキュムレータ30からのアシストを受けることなく、リフトアーム111の上昇動作を行う。
【0108】
図17は、第1実施形態に係るホイールローダが、掘削から放土までの一連の動作であるV字掘削動作を行う場合における各電磁弁の開閉状況の推移を示す図である。
図17に示すように、V字掘削動作が行われると、時間の経過とともに、作業(a)から(j)の順で動作が進行する。即ち、(a)初期位置から掘削場所に向かって加速(前進)→(b)減速(前進)→(c)掘削→(d)初期位置に向かって加速(後進)→(e)減速(後進)→(f)放土場所に向かって加速(前進)→(g)減速(前進)→(h)放土→(i)初期位置に向かって加速(後進)→(j)減速(後進)の順に車両の状態がV字を描くようにして変化する。V字掘削動作では、この順序で車両状態の変化が繰り返される。
【0109】
この一連のV字掘削動作において、リフトアーム111は、時間の経過とともに、停止→リフト下降→リフト上昇→停止→リフト上昇→停止→リフト下降の順で動作する。このとき、コントローラ41は、各作業(a)から(j)において,圧力Plf,P14,Pacc,P12,P21の状態に応じて運転モードを選択する。こうして、エネルギの余剰分をアキュムレータ30にて回生し、その回生エネルギを作業に応じて再生することにより、エネルギの有効利用を図ることができる。このことは、燃費の向上にもつながる。
【0110】
以上説明したように、第1実施形態に係るホイールローダ100によれば、リフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30において回生エネルギとして蓄え、その回生エネルギを利用してリフトアーム111の上昇動作のアシストまたは車輪73の回転駆動のアシストを行うことができる。また、車両の減速時に生じるエネルギをアキュムレータ30において回生エネルギとして蓄え、その回生エネルギを利用してリフトアーム111の上昇動作のアシストまたは車輪73の回転駆動のアシストを行うことができる。その結果、エネルギの無駄を抑止でき、燃費向上にも大いに貢献する。
【0111】
「第2実施形態」
以下、第2実施形態に係るホイールローダ200について説明するが、上記した実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図18は、本発明の第2実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。第2実施形態に係るホイールローダ200は、
図1と
図18とを比較すれば明らかなように、エンジン10からの動力を機械的に車輪73に伝達する機構が設けられていない点において、第1実施形態に係るホイールローダ100と相違する。より具体的には、第2実施形態に係るホイールローダ200は、第1ギヤ16、第2ギヤ17、油圧クラッチ15、機械クラッチ17を備えていない。即ち、ホイールローダ200は、油圧駆動によってのみ走行する。
【0112】
図19は、ホイールローダ200の運転モード毎の電磁弁31〜34の動作を一覧表にまとめたものである。
図19に示すように、ホイールローダ200は、運転モードNo.31〜45を有している。ここで、運転モードNo.31は運転モードNo.1に、運転モードNo.32は運転モードNo.3に、運転モードNo.33は運転モードNo.4に、運転モードNo.34は運転モードNo.5に、運転モードNo.35は運転モードNo.6に、運転モードNo.36は運転モードNo.9に、運転モードNo.37は運転モードNo.10に、運転モードNo.38は運転モードNo.11に、運転モードNo.39は運転モードNo.12に、運転モードNo.40は運転モードNo.13に、運転モードNo.41は運転モードNo.14に、それぞれ相当する。
【0113】
また、運転モードNo.42は運転モードNo.17に、運転モードNo.43は運転モードNo.18に、運転モードNo.44は運転モードNo.21に、運転モードNo.45は運転モードNo.22に、それぞれ相当する。
【0114】
第2実施形態に係るホイールローダ200においても、第1実施形態と同様に、車両の減速時に生じるエネルギおよびリフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30にて回生して、その回生エネルギを用いてリフトアーム111の上昇動作のアシストまたは車輪73の回転駆動のアシストを行うことができる。その結果、エネルギの無駄を抑止でき、燃費向上にも大いに貢献する。
【0115】
「第3実施形態」
以下、第3実施形態に係るホイールローダ300について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図20は、本発明の第3実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。
図20に示すように、第3実施形態に係るホイールローダ300は、分岐流路150のリフト用シリンダ24側の位置が、コントロールバルブ20とフロント操作用油圧ポンプ21との間の位置にある点が第1実施形態に係るホイールローダ100と相違する。そのため、第2電磁弁32の代わりに電磁式切換弁132が用いられている。この電磁式切換弁132は、流路を三方向に切り替え可能な構成からなる。
【0116】
図21〜
図23は、第3実施形態に係るホイールローダ300の代表的な運転モードにおける作動油の流れを示す図である。
図21に示すように、車両減速時には、第1電磁弁31および第4電磁弁34を開け、電磁式切換弁132を
図21に示すセンターポジションにセットすれば、走行用油圧ポンプ・モータ14からの油圧エネルギを、図中の矢印Gに示すように回生エネルギとしてアキュムレータ30に蓄えることができる。
【0117】
また、リフトアーム111の下降動作中は、
図22に示すように、第4電磁弁34を開け、電磁式切換弁132を
図22に示すレフトポジションにセットすれば、リフトアーム111の下降動作時に生じる油圧エネルギを、図中の矢印Hに示すように回生エネルギとしてアキュムレータ30に蓄えることができる。
【0118】
一方、アキュムレータ30に蓄えられた回生エネルギを再生して、リフトアーム111の上昇動作に用いる場合には、
図23に示すように、第4電磁弁34を開け、電磁式切換弁132をライトポジションにセットすれば、アキュムレータ30に蓄えられた作動油を図中の矢印Iに示すように、コントロールバルブ20を介してリフト用シリンダ23に供給して、リフトアーム111の上昇動作をアシストすることができる。
【0119】
このように、第3実施形態に係るホイールローダ300においても、上記した各実施形態と同様に、車両の減速時に生じるエネルギおよびリフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30にて回生して、その回生エネルギを用いてリフトアーム111の上昇動作のアシストまたは車輪73の回転駆動のアシストを行うことができる。その結果、エネルギの無駄を抑止でき、燃費向上にも大いに貢献する。
【0120】
「第4実施形態」
以下、第4実施形態に係るホイールローダ400について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図24は、本発明の第4実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。
図24に示すように、第4実施形態に係るホイールローダ400は、エンジン10からの動力を機械的に車輪73に伝達する機構が設けられていない点において、第3実施形態に係るホイールローダ300と相違する。より具体的には、第4実施形態に係るホイールローダ400は、第1ギヤ16、第2ギヤ17、油圧クラッチ15、機械クラッチ17を備えていない。即ち、ホイールローダ400は、油圧駆動によってのみ走行する。
【0121】
第4実施形態に係るホイールローダ400においても、上記した各実施形態と同様に、車両の減速時あるいはリフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30にて回生し、必要に応じてその回生エネルギを再生して動力に変換することができるから、エネルギの無駄を抑止でき、燃費を改善させることができる。
【0122】
「第5実施形態」
以下、第5実施形態に係るホイールローダ500について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図25は、本発明の第5実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。
図25に示すように、第5実施形態に係るホイールローダ500は、第1電磁弁31aおよび第2電磁弁32aを比例式とした点において、第1実施形態と構成が相違する。第5実施形態によれば、電磁弁31,32を開閉弁とした第1実施形態と比べて、流量を好適に制御することができるため、エネルギ損失を低減でき、燃費が一層良くなる。
【0123】
「第6実施形態」
以下、第6実施形態に係るホイールローダ600について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図26は、本発明の第6実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。
図26に示すように、第6実施形態に係るホイールローダ600は、第1電磁弁31aおよび電磁式切換弁132aを比例式とした点において、第3実施形態と構成が相違する。第6実施形態によれば、第1電磁弁31および電磁式切換弁132を開閉弁とした第3実施形態と比べて、流量を好適に制御することができるため、エネルギ損失を低減でき、燃費が一層良くなる。
【0124】
「第7実施形態」
以下、第7実施形態に係るホイールローダ700について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図27は、本発明の第7実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。第7実施形態に係るホイールローダ700は、
図1と
図27とを比較すれば明らかなように、フロント操作用油圧ポンプ21を設けていない点において、第1実施形態に係るホイールローダ100と相違する。
【0125】
より具体的には、第7実施形態に係るホイールローダ700は、走行用油圧ポンプ12が走行用と作業装置90の操作用との両方の機能を兼ねている。そのため、走行用油圧ポンプ12と走行用油圧ポンプ・モータ14との間に電磁弁35を設け、走行用油圧ポンプ12とコントロールバルブ20との間に電磁弁36を設ける構成としている。そして、コントローラ41が電磁弁35,36の開閉を切り換えることにより、1つの走行用油圧ポンプ12で車輪73の回転駆動、バケット112の動作、センタジョイント101を介しての車体の屈曲動作、リフトアーム111の上昇・下降動作を行っている。
【0126】
第7実施形態に係るホイールローダ700においても、上記した各実施形態と同様に、車両の減速時あるいはリフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30にて回生し、必要に応じてその回生エネルギを再生して動力に変換することができるから、エネルギの無駄を抑止でき、燃費を改善させることができる。さらに、第7実施形態によれば、油圧ポンプの数を削減できるため、コスト低減にも寄与する。
【0127】
「第8実施形態」
以下、第8実施形態に係るホイールローダ800について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図28は、本発明の第8実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。第8実施形態に係るホイールローダ800は、
図28に示すように、2方向の走行用油圧ポンプ12aと2方向の走行用油圧モータ14aとを油圧配管で環状に接続して形成された閉回路95を備えている点と、ギヤ16,17、機械クラッチ18を備えていない点で第1実施形態と相違する。なお、符号82はレギュレータである。
【0128】
第8実施形態に係るホイールローダ800においても、上記した各実施形態と同様に、車両の減速時あるいはリフトアーム111の下降動作時に生じるエネルギをアキュムレータ30にて回生し、必要に応じてその回生エネルギを再生して動力に変換することができるから、エネルギの無駄を抑止でき、燃費を改善させることができる。
【0129】
「第9実施形態」
以下、第9実施形態に係るホイールローダ900について説明するが、上記した各実施形態と重複する部分については同一符号を付して、その説明は省略する。
図29は、本発明の第9実施形態に係るホイールローダの全体構成図である。第9実施形態に係るホイールローダ900は、
図29に示すように、第1電磁弁31aおよび第2電磁弁32aを比例式とした点において、第8実施形態と構成が相違する。第9実施形態によれば、電磁弁31,32を開閉弁とした第8実施形態と比べて、流量を好適に制御することができるため、エネルギ損失を低減でき、燃費が一層良くなる。
【0130】
以上説明したように、本発明の各実施形態に係るホイールローダは、車両の減速時とリフト下降時におけるエネルギをアキュムレータ30にて回生し、その回生エネルギを車両の加速またはリフトの上昇動作に利用できるため、エネルギの無駄を抑え、燃費の向上を図ることができる。また、分岐流路150、アキュムレータ30、電磁弁31〜34などの簡単な構成で済むため、コスト低減を図ることもできる。
【0131】
なお、上述したホイールローダの各実施形態は本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。また、本発明は、ホイールローダ以外の作業機械、例えば、油圧ショベル等にも適用することができる。