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前記故障判別部は、更に、前記電流センサによって測定された断続部の電流値が、予め決められた時間継続して、予め決められた値以上であった場合、前記断続部に故障が発生していると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の踏切警報機故障検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
本発明による踏切警報機故障検出装置は、踏切鳴動時に断続部の電流(断続リレーから警報灯に供給される電流)及び音発部の電流(踏切警報音発生器からスピーカに供給される電流)を測定し、測定された電流値に基づいて、断続部及び音発部の故障の有無を判断するものである。
【0020】
また、以下に示す実施形態は、断続部及び音発部それぞれについて2系統分の電流を測定できるように構成されている。踏切警報機は、通常、線路を挟んで線路の両側に、2つの踏切警報機が、それぞれ道路側を向くように設置されるので、ひとつの踏切に対して、断続部及び音発部がそれぞれ2系統ずつ存在することになる。以下に示す実施形態は、このような場合に、線路の両側に配置された2つの踏切警報機の断続部及び音発部の故障の検出を1台で行うことができるものである。
【0021】
図1は、本発明による踏切警報機故障検出装置の外観を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は側面図を示し、同図(c)は背面図を示す。
【0022】
同図に示すように、本発明による踏切警報機故障検出装置100は、概ね直方体状の形状を有し、正面側に、各種設定のためのスイッチや各種状態を表示するため発光ダイオード(LED)を備えている。また、背面側には、電流測定用の電流センサ等を接続するためのコネクタを備えている。本実施形態においては、背面側のコネクタを介して、4つの電流センサが接続されることになる。また、本実施形態では、踏切警報機故障検出装置100は、各踏切の近くに設けられている踏切器具箱内への設置に適した形状に形成されている。
【0023】
図2は、踏切警報機故障検出装置100の拡大正面図である。
【0024】
同図に示すように、踏切警報機故障検出装置100は、各種状態を表示するための表示部として、電源LED210と、重故障LED221と、軽故障LED222と、レベルLED231〜234と、履歴LED241〜244とを備える。また、踏切警報機故障検出装置100は、各種設定のための設定部として、検出レベル設定スイッチ250と、復帰スイッチ260と、検出停止スイッチ270と、レベル表示選択スイッチ281,282と、レベル調整ボリューム291〜294とを備える。
【0025】
電源LED210は、踏切警報機故障検出装置100の電源が入っているときに点滅するものである。
【0026】
重故障LED221は、踏切警報機故障検出装置100が踏切警報機(断続部及び音発部)の重故障を検出した場合に点灯するものである。本実施形態において重故障とは、警報灯に供給される2系統分の電流及びスピーカに供給される2系統分の電流のすべてが、予め決められた値(本実施形態では、正常時の20%)以下になっている状態をいう。
【0027】
軽故障LED222は、踏切警報機故障検出装置100が踏切警報機(断続部及び音発部)の軽故障を検出した場合に点灯するものである。本実施形態において軽故障とは、警報灯に供給される2系統分の電流のいずれかが、予め設定された値(検出レベル設定スイッチ250で設定された値)以下になっているか、または、スピーカに供給される2系統分の電流のいずれかが、予め決められた値(本実施形態では、正常時の20%)以下になっている状態をいう。
【0028】
レベルLED231〜234は、各電流センサで測定した電流のレベルを表示するためのものであり、表示対象となる電流センサは、レベル表示選択スイッチ281,282によって選択される。レベルLED231〜234は、本実施形態においては、4つのLEDで構成されている。より具体的には、レベル表示選択スイッチ281,282によって選択された電流センサで測定した電流のレベルが、予め決められた値との比較で、110%以上の時に点灯するレベルLED231と、100%以上の時に点灯するレベルLED232と、90%以上の時に点灯するレベルLED233と、60%以上の時に点灯するレベルLED234とによって構成されている。
【0029】
履歴LED241〜244は、軽故障検出の原因を表示するためのものであり、断続部第一系統(L1)の電流低下等が原因である場合に点灯する履歴LED241と、断続部第二系統(L2)電流低下等が原因である場合に点灯する履歴LED242と、音発部第一系統(SP1)の電流低下が原因である場合に点灯する履歴LED243と、音発部第二系統(SP2)の電流低下が原因である場合に点灯する履歴LED244とから構成されている。
【0030】
検出レベル設定スイッチ250は、断続部の故障判別に使用される閾値を設定するためのスイッチである。検出レベル設定スイッチ250は、本実施形態においては、ロータリースイッチで構成されており、「50(%)」、「60(%)」、「70(%)」及び「80(%)」のいずれかを選択可能に構成されている。踏切警報機故障検出装置100は、検出レベル設定スイッチ250によって設定された閾値に基づいて、断続部の故障を検出する。例えば、検出レベル設定スイッチ250が「50(%)」に設定された場合、踏切警報機故障検出装置100は、警報灯に供給される電流が、正常時の50%以下になると、断続部に故障が発生していると判断する。
【0031】
踏切警報機故障検出装置100は、検出レベル設定スイッチ250を備えているので、軽故障の検出条件を、使用環境等に応じて柔軟に変更することが可能となっている。例えば、断続リレーの一系統に2灯の警報灯が接続されているような使用環境においては、いずれか1灯が断線した場合、警報灯に供給される電流は正常時の50%となるので、このような使用環境において、1灯断線を軽故障として検出したい場合は、検出レベル設定スイッチ250を、「50(%)」あるいは測定誤差を考慮して「60(%)」と設定する。また、断続リレーの一系統に3灯の警報灯が接続されているような使用環境においては、いずれか1灯が断線した場合、警報灯に供給される電流は正常時の約67%となるので、このような使用環境において、1灯断線を軽故障として検出したい場合は、検出レベル設定スイッチ250を「70(%)」あるいは測定誤差を考慮して「80(%)」と設定する。
【0032】
復帰スイッチ260は、踏切警報機故障検出装置100を、故障を検出した故障検出状態から、通常状態(故障非検出状態)に復帰させるための押しボタンスイッチである。故障検出状態において、復帰スイッチ260を押すと、踏切警報機故障検出装置100は、通常状態に復帰し、故障LED221,222が消灯し、故障発生を外部に通知するための故障出力信号(後述)が正常状態に復帰する。
【0033】
また、本実施形態においては、復帰スイッチ260を予め決められた時間(例えば、5秒)押し続けると、踏切警報機故障検出装置100は、正常時の電流値を設定するモード(正常電流値設定モード)に移行し、正常電流値設定モード移行後の最初の踏切鳴動時の電流値を正常時の電流値として、内部的に記憶する。
【0034】
正常時の電流値は、一般に、各踏切警報機の設置場所等によって異なるので、踏切警報機の各設置場所で、踏切警報機故障検出装置100の使用を開始する際には、まず、当該設置場所における正常時の電流値を踏切警報機故障検出装置100に設定することが必要となる。正常電流値設定モードにおいては、踏切警報機故障検出装置100は、正常電流値設定モード移行後の最初の踏切鳴動開始後、予め決められた監視時間(例えば、10秒)の間、各電流センサによって測定される電流値を監視し、監視時間内に測定された最大電流値を正常時の電流値として、内部(具体的には、後述するEEPROM)に記憶する。正常電流値の設定がされた以降は、設定された正常電流値を基準に、電流の低下状態の判別(判別のための閾値の算出)が行われることになる。
【0035】
検出停止スイッチ270は、踏切警報機故障検出装置100の故障検出機能の有効無効を設定するためのトグルスイッチである。スイッチのレバーを「検出」側に倒すと、故障検出機能が有効となり、スイッチのレバーを「停止」側に倒すと、故障検出機能が無効となる。
【0036】
レベル表示選択スイッチ281,282は、レベルLED231〜234の表示対象となる電流センサを選択するためのトグルスイッチである。前述したように、踏切警報機故障検出装置100には、断続部用2系統分の電流センサ及び音発部用2系統分の電流センサ、合計4つの電流センサが接続されるが、レベル表示選択スイッチ281,282の設定によって、4つある電流センサのいずれかが、レベルLED231〜234の表示対象として選択される。すなわち、レベル表示選択スイッチ281のレバーを「断続」側に倒すと、断続部用の電流センサが選択され、「音発」側に倒すと、音発部用の電流センサが選択される。更に、レベル表示選択スイッチ282のレバーを「1」側に倒すと、レベル表示選択スイッチ281で選択されたもの用のうち、第1系統のものが選択され、「2」側に倒すと、レベル表示選択スイッチ281で選択されたもの用のうち、第2系統のものが選択される。
【0037】
レベル調整ボリューム291〜294は、各電流センサから入力された信号のレベルを調節するための可変抵抗器である。より具体的には、レベル調整ボリューム291は、断続部第1系統(L1)用の電流センサから入力された信号のレベルを調節するためのものであり、レベル調整ボリューム292は、断続部第2系統(L2)用の電流センサから入力された信号のレベルを調節するためのものであり、レベル調整ボリューム293は、音発部第1系統(SP1)用の電流センサから入力された信号のレベルを調節するためのものであり、レベル調整ボリューム294は、音発部第2系統(SP2)用の電流センサから入力された信号のレベルを調節するためのものである。各レベル調整ボリューム291〜294の調節軸を回転させると、各電流センサから入力された信号を増幅する増幅器(後述)の増幅率が変更されて、踏切警報機故障検出装置100内のA/D変換器(後述)に入力される信号のレベル(電圧)が変化することになる。
【0038】
前述したように、正常時の電流値は、一般に、各踏切警報機の設置場所等によって異なるので、踏切警報機の各設置場所で、踏切警報機故障検出装置100の使用を開始する際は、最初に(前述した正常電流値設定モードにおける正常電流値設定処理の前に)、各レベル調整ボリューム291〜294を調節することによって、各電流センサから入力された信号のレベルが、予め決められたレベル(内部のA/D変換器によるA/D変換に最も適したレベル)になるように調整を行う。
【0039】
次に、踏切警報機故障検出装置100のハードウェア構成について説明する。
【0040】
図3は、踏切警報機故障検出装置100のハードウェア構成を説明するための図である。
【0041】
同図に示すように、踏切警報機故障検出装置100は、CPU(マイクロコントローラ)310と、EEPROM320と、電流センサ331〜334と、増幅部340と、コンパレータ部350と、外部条件入力部360と、故障出力部370と、設定部380と、状態表示部390とを備える。
【0042】
CPU310は、踏切警報機故障検出装置100の動作を制御するためのものであり、内部にメモリ(ROM311及びRAM312)及びA/D変換器313を備えている。CPUは、内部のROM311に予め記録されたプログラムを実行することで、踏切警報機故障検出装置100の各種機能を実現する。
【0043】
EEPROM320は、電気的に書き換え可能なメモリであって、CPU310の外部メモリとして使用される。EEPROM320には、踏切警報機故障検出装置100の電源がオフにされた場合にも保持しておきたい各種データ(例えば、正常電流値設定モードにおいて設定された正常時の電流値データ)が格納される。
【0044】
電流センサ331〜334は、踏切警報機が備える警報灯及びスピーカそれぞれに供給される電流を測定するためのものである。より具体的には、警報灯に供給される直流電流を測定するためのクランプ式直流電流センサ331,332と、スピーカに供給される交流電流を測定するためのクランプ式交流電流センサ333,334とによって構成される。踏切警報機故障検出装置100では、各電流センサ331〜334として、クランプ式の電流センサを利用しているので、既存の設備への設置が容易となっている。クランプ式電流センサの詳細については後述する。
【0045】
増幅部340は、電流センサ331〜334の出力信号を増幅するためのものである。増幅部340は、各電流センサ331〜334毎に増幅器を有しており、各増幅器は、対応するレベル調整ボリューム291〜294の設定(抵抗値)に応じて増幅率を変更できるように構成されている。
【0046】
コンパレータ部350は、増幅部340の出力信号の値(電圧)と、予め設定された値(電圧)との比較を行うものである。コンパレータ部350は、比較対象とすべき信号を切り換えるための切り換え回路を備えており、レベル表示選択スイッチ281,282によって選択された電流センサに対応する増幅器の出力信号の値と、予め設定された値との比較を行うように構成されている。また、コンパレータ部350は、増幅部340(レベル表示選択スイッチ281,282によって選択された電流センサに対応する増幅器)の出力信号の値が、予め設定された複数の値(具体的には、予め決められた値の60%、90%、100%及び110%の値)との比較を行い、各値以上であるか否かを判別できるよう構成されている。CPU310は、コンパレータ部350の判別結果に基づいて、電流センサによって測定された電流のレベルを、レベルLED231〜234を使って表示する。
【0047】
すなわち、CPU310は、定期的(例えば、10ms毎)に、コンパレータ部350の出力(判別結果)を読み取り、増幅部340の出力信号の値が、予め決められた値の60%以上であれば、レベルLED234を点灯させ、更に、予め決められた値の90%以上であれば、レベルLED233を点灯させ、更に、予め決められた値の100%以上であれば、レベルLED232を点灯させ、更に、予め決められた値の110%以上であれば、レベルLED231を点灯させる。
【0048】
踏切警報機故障検出装置100は、コンパレータ部350を備えており、コンパレータ部350の判別結果が、レベルLED231〜234によって表示されるので、踏切警報機の各設置場所において、踏切警報機故障検出装置100の使用を開始するにあたって、各電流センサから入力された信号のレベルが、予め決められたレベル(A/D変換器313によるA/D変換に最も適したレベル)になるようにする調整する際、調整が容易に行えるようになっている。すなわち、レベルLED231〜234の表示を見ながら、「100(%)」に対応するレベルLED232がぎりぎり点灯するように、各レベル調整ボリューム291〜294を調節するようにすれば、各電流センサから入力された信号のレベルが、A/D変換器313によるA/D変換に最も適したレベルになるようにコンパレータ部350の設定がされている。
【0049】
外部条件入力部360は、踏切警報機故障検出装置100の故障検出動作を制御するための外部信号を内部に取り込むためのものであって、フォトカプラ等で構成される。
【0050】
本実施形態においては、故障検出動作を制御するための外部信号として、故障検出指示信号と、断続部故障検出マスク信号と、音発部故障検出マスク信号とが入力可能に構成されている。
【0051】
故障検出指示信号は、踏切警報機故障検出装置100に故障検出処理の実行を指示するための信号であって、踏切警報機故障検出装置100は、故障検出指示信号が入力されると、故障検出処理を開始し、故障検出指示信号が入力されている間、故障検出処理を継続する。故障検出指示信号としては、例えば、踏切の警報制御区間内に列車が存在していることを示す信号(Rリレー出力)が入力される。
【0052】
断続部故障検出マスク信号は、踏切警報機故障検出装置100の断続部故障検出機能を無効にするための信号であって、踏切警報機故障検出装置100は、断続部故障検出マスク信号が入力されると、断続部の故障検出を行わない。断続部故障検出マスク信号としては、例えば、踏切システムの制御系において異常が発生していることを示す信号(故Rリレー出力)が入力される。踏切システムの制御系においてなんらかの異常が発生した場合、踏切の故障を示す表示灯の点灯等がされることがあるが、このような場合に、断続部故障検出マスク信号として、故Rリレー出力を入力することで、踏切の故障を示す表示灯の点灯等による電源電圧変動に伴う断続部の電流の低下を断続部の故障と誤検出することを防止することが可能となる。
【0053】
音発部故障検出マスク信号は、踏切警報機故障検出装置100の音発部故障検出機能を無効にするための信号であって、踏切警報機故障検出装置100は、音発部故障検出マスク信号が入力されると、音発部の故障検出を行わない。音発部故障検出マスク信号としては、例えば、踏切遮断機が降下していることを示す信号が入力される。沿線住民に対する騒音対策として、踏切遮断機が完全に降下した後は、警報音の音量を自動的に低下させるような制御を行っていることがあるが、このような場合に、音発部故障検出マスク信号として、踏切遮断機が完全に降下していることを示す信号を入力することで、警報音の自動減音に伴う音発部の電流の低下を音発部の故障と誤検出することを防止することが可能となる。
【0054】
故障出力部370は、踏切警報機に故障が発生したことを外部の監視装置等に通知するための信号を出力するものであって、リレー等によって構成される。具体的には、故障出力部370は、前述した軽故障が発生したことを示す軽故障出力信号と、前述した重故障が発生したことを示す重故障出力信号とを出力する。
【0055】
設定部380は、踏切警報機故障検出装置100の動作を指示するための各種設定等を行うためのものである。具体的には、設定部380は、前述した検出レベル設定スイッチ250と、復帰スイッチ260と、検出停止スイッチ270と、レベル表示選択スイッチ281,282と、レベル調整ボリューム291〜294とを備える。
【0056】
更に、踏切警報機故障検出装置100は、設定部380として、踏切警報機故障検出装置100内部の基板上にディップスイッチ(不図示)を備えており、当該ディップスイッチの設定によって、自動復帰機能の有効/無効及び常時オン確認機能の有効/無効を切り換えることが可能となっている。
【0057】
ディップスイッチの設定により自動復帰機能が有効に設定されると、最初の鳴動で故障が検出された場合であっても、次の鳴動時に、故障状態が解消されている場合は、踏切警報機故障検出装置100は、前回の鳴動時に出力された軽故障出力信号(軽故障出力リレー)を正常状態に復帰させる。自動復帰機能を有効にすることで、一時的な軽微な異常については、踏切の運用を継続させることが可能となる。なお、自動復帰させる場合であっても、重故障出力信号(重故障出力リレー)及び各種LED(重故障LED221、軽故障LED222、履歴LED241〜244)の状態については前回の検出結果を反映した状態がそのまま維持される。
【0058】
一方、ディップスイッチの設定により常時オン確認機能が有効に設定されると、警報灯に供給されている電流が予め決められた時間(例えば、5秒)以上低下しない場合についても、断続部の故障として検出されるようになる。
【0059】
通常、警報灯は、例えば、2灯を1組として、1分間に50回程度交互に点滅するが、警報灯の交互点滅は、断続リレーが、警報灯に供給する電流を断続させることによって制御されている。そのため、警報灯に供給される電流は、正常時でも所定の周期で変動していることになる。従って、警報灯に電流が常時供給されている状態(断続無し状態)は、断続部になんらかの異常が発生している状態であると言える。そこで、本実施形態においては、警報灯に供給される電流が、予め決められた時間(例えば、5秒)以上継続して、予め決められた値(本実施形態では、検出レベル設定スイッチ250によって設定された値)以下に低下しなかった場合についても、断続部の故障として検出することができるようになっている。常時オン確認機能が有効に設定された際の処理の詳細については後述する。
【0060】
状態表示部390は、踏切警報機故障検出装置100によって検出された踏切警報機の故障状態その他の踏切警報機故障検出装置100の状態を表示するためのものである。具体的には、状態表示部390は、前述した電源LED210と、重故障LED221と、軽故障LED222と、レベルLED231〜234と、履歴LED241〜244とを備える。
【0061】
次に、踏切警報機故障検出装置100において、電流センサとして利用されるクランプ式電流センサの詳細について説明する。
【0062】
図4は、クランプ式電流センサを説明するための図である。同図(a)は、上部の可動部を閉じた状態を示し、同図(b)は、上部の可動部を開いた状態を示している。また、同図(c)は、測定対象となる電線を挟んだ状態を示している。
【0063】
同図(a)に示すように、クランプ式電流センサ400は、本体部401と可動部402とを備えており、本体部401と可動部402との間に形成されたトンネル状の空洞部分403に測定対象となる電線を挟み込むことで、測定対象となる電線を流れる電流を測定することが可能となるものである。なお、クランプ式電流センサ400を踏切警報機故障検出装置100に接続するための配線については図示を省略している。
【0064】
クランプ式電流センサ400は、まず、同図(b)に示すように、可動部402を開いてから、測定対象となる電線(本実施形態の場合、断続リレーと警報灯とを接続する電線、又は、踏切警報音発生器とスピーカとを接続する電線)410を空洞部分403を通るように配置した上で、同図(c)に示すように、可動部402を閉じることで、空洞部分403を通る電線410を流れる電流を測定することが可能となる。そのため、既存の電線(すなわち、断続リレーと警報灯とを接続する電線、及び、踏切警報音発生器とスピーカとを接続する電線)を流れる電流を、当該電線を切断することなく測定することができる。
【0065】
警報機故障検出装置100においては、電流センサとして、同図に示したようなクランプ式のものを利用しているので、既存の設備への設置が容易となっている。
【0066】
次に、踏切警報機故障検出装置100の機能構成について説明する。
【0067】
図5は、踏切警報機故障検出装置100の機能構成を説明するための図である。
【0068】
同図に示すように、踏切警報機故障検出装置100は、入力条件確認処理部510と、電流値入力処理部520と、故障判別部530と、故障出力処理部540とを備える。各部510〜540は、基本的に、CPU310が、内部のROM311に予め記録されたプログラムを実行することによって実現される。
【0069】
入力条件確認処理部510は、外部から入力される故障検出指示信号、断続部故障検出マスク信号及び音発部故障検出マスク信号を監視して、断続部及び音発部それぞれの故障検出処理を行うか否かを判別するものである。
【0070】
具体的には、故障検出指示信号が入力されており、かつ、断続部故障検出マスク信号が入力されていない場合は、断続部の故障検出を行うと判断し、RAM312上に設けられた断続部故障検出フラグをセットする。また、故障検出指示信号が入力されており、かつ、音発部故障検出マスク信号が入力されていない場合は、音発部の故障検出を行うと判断し、RAM312上に設けられた音発部故障検出フラグをセットする。
【0071】
また、入力条件確認処理部510は、故障検出指示信号が入力されて、故障検出処理の開始が指示されると、故障判別部530によって使用される各種変数(後述する電流低下時間データ、断続無し時間データ等)の初期化(0にクリア)を行う。
【0072】
電流値入力処理部520は、予め決められた所定の周期で定期的(例えば、10ms毎)に、A/D変換器313を動作させ、各電流センサ331〜334の出力(アナログデータ)を、各電流センサ331〜334で測定された電流値を示すデジタルデータ(電流値データ)に変換し、RAM312上に予め確保された領域(電流値格納領域)に格納するものである。
【0073】
故障判別部530は、入力条件確認処理部510の判別結果(断続部故障検出フラグ及び音発部故障検出フラグ)、及び、電流値入力処理部520によって電流値格納領域に格納された電流値データに基づいて、断続部及び音発部に故障が発生しているか否かを判別するものである。故障判別部530における処理の詳細については後述する。
【0074】
故障出力処理部540は、故障判別部530による判別結果に基づいて、踏切警報機に故障が発生しているか否かを示す故障出力信号を出力すると共に、故障状態を示す各種LEDを点灯させるものである。
【0075】
具体的には、まず、故障判別部530によって、断続部の2系統のいずれかで故障(本実施形態の場合、後述する部分故障)が発生しているか、または、音発部の2系統のいずれかで故障が発生していると判別された場合は、軽故障が発生したことを示す軽故障出力リレーを動作(落下)させ、軽故障出力信号を出力する。更に、軽故障LED222を点灯させると共に、該当する履歴LED241〜244を点灯させる。次に、故障判別部530によって、断続部の2系統の両方に故障(本実施形態の場合、後述する全体故障)が発生し、かつ、音発部の2系統の両方にも故障が発生していると判別された場合は、重故障が発生したことを示す重故障出力リレーを動作(落下)させ、重故障出力信号を出力する。更に、重故障LED221を点灯させる。
【0076】
次に、故障判別部530における処理の詳細について説明する。
【0077】
まず、故障判別部530における断続部の故障判別処理について説明する。当該故障判別処理は、入力条件確認処理部510により断続部故障検出フラグがセットされた場合に実行されるものである。
【0078】
図6及び
図7は、故障判別部530における断続部の電流低下故障判別処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、予め決められた所定の周期で定期的に(例えば、10ms毎に)実行される。なお、以下では、簡単のため、断続部が1系統のみ存在する場合を想定して説明する。実際は、断続部の第1系統及び第2系統それぞれについて同図に示す処理が行われる。
【0079】
図6に示すように、まず、断続部の電流測定値が、部分故障レベルであるか否か、すなわち、部分故障レベルの閾値として検出レベル設定スイッチ250で設定された値以下であるか否かが判別される(S601)。判別の結果、断続部の電流測定値が、部分故障レベルであった場合は(S601:Yes)、断続部の電流低下状態(部分故障レベル状態)の継続時間を計数するための部分故障レベル電流低下時間データptの値が、予め決められた検出時素T(例えば、5秒に相当する値)未満であるか否かが判別される(S602)。なお、部分故障レベル電流低下時間データptの値は、故障検出処理の開始が指示された際に、入力条件確認処理部510によって、予め0にクリアされている。判別の結果、部分故障レベル電流低下時間データptの値が、検出時素T未満であった場合は(S602:Yes)、部分故障レベル電流低下時間データptの値を一単位分(例えば、10msに相当する値)増加させる(S603)。
【0080】
次に、部分故障レベル電流低下時間データptの値が、検出時素Tに達しているか否かが判別され(S604)、判別の結果、部分故障レベル電流低下時間データptの値が、検出時素Tに達している場合は(S604:Yes)、断続部(の該当する系統)に部分故障が発生していると判別する(S605)。
【0081】
一方、断続部の電流測定値が部分故障レベルでない場合、すなわち、検出レベル設定スイッチ250で設定された値を超えている場合は(S601:No)、部分故障レベル電流低下時間データptの値を0にクリアする(S606)。
【0082】
次に、
図7に示すように、断続部の電流測定値が、全体故障レベルであるか否か、すなわち、全体故障レベルの閾値として予め決められた値(本実施形態では、正常時の20%)以下であるか否かが判別される(S701)。判別の結果、断続部の電流測定値が、全体故障レベルであった場合は(S701:Yes)、断続部の電流低下状態(全体故障レベル状態)の継続時間を計数するための全体故障レベル電流低下時間データctの値が、予め決められた検出時素T(例えば、5秒に相当する値)未満であるか否かが判別される(S702)。なお、全体故障レベル電流低下時間データctの値は、故障検出処理の開始が指示された際に、入力条件確認処理部510によって、予め0にクリアされている。判別の結果、全体故障レベル電流低下時間データctの値が、検出時素T未満であった場合は(S702:Yes)、全体故障レベル電流低下時間データctの値を一単位分(例えば、10msに相当する値)増加させる(S703)。
【0083】
次に、全体故障レベル電流低下時間データctの値が、検出時素Tに達しているか否かが判別され(S704)、判別の結果、全体故障レベル電流低下時間データctの値が、検出時素Tに達している場合は(S704:Yes)、断続部(の該当する系統)に全体故障が発生していると判別する(S705)。
【0084】
一方、断続部の電流測定値が、全体故障レベルでない場合、すなわち、全体故障レベルの閾値として予め決められた値(本実施形態では、正常時の20%)を超えている場合は(S701:No)、全体故障レベル電流低下時間データの値を0にクリアする(S706)。
【0085】
以上のような処理を定期的(例えば、10ms毎)に繰り返すことにより、断続部が部分故障状態又は全体故障状態にあるか否かを判別することができるようになる。
【0086】
次に、故障判別部530における断続部の常時オン故障判別処理について説明する。当該故障判別処理は、ディップスイッチの設定で常時オン確認機能が有効にされた場合に実行されるものである。
【0087】
図8は、故障判別部530における断続部の常時オン故障判別処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、前述した断続部の電流低下故障判別処理と同じタイミングで(例えば、
図6に示した処理と
図7に示した処理の間や、
図7に示した処理の直後に)実行される。なお、以下では、簡単のため、断続部が1系統のみ存在する場合を想定して説明する。実際は、断続部の第1系統及び第2系統それぞれについて
図8に示す処理が行われる。
【0088】
同図に示すように、まず、断続部の電流測定値が部分故障レベルか否か、すなわち、検出レベル設定スイッチ250で設定された値以下であるか否かが判別される(S801)。判別の結果、断続部の電流測定値が部分故障レベルでない場合、すなわち、検出レベル設定スイッチ250で設定された値を超えていた場合は(S801:No)、断続部の断続無し状態(部分故障レベル超状態)の継続時間を計数するための断続無し時間データhtの値が、予め決められた検出時素T(例えば、5秒に相当する値)未満であるか否かが判別される(S802)。なお、断続無し時間データhtの値は、故障検出処理の開始が指示された際に、入力条件確認処理部510によって、予め0にクリアされている。判別の結果、断続無し時間データhtの値が、検出時素T未満であった場合は(S802:Yes)、断続無し時間データhtの値を一単位分(例えば、10msに相当する値)増加させる(S803)。
【0089】
次に、断続無し時間データhtの値が検出時素Tに達しているか否かが判別され(S804)、判別の結果、断続無し時間データhtの値が検出時素Tに達している場合は(S804:Yes)、断続部(の該当する系統)に常時オン故障(断続無し故障)が発生していると判別する(S805)。
【0090】
一方、断続部の電流測定値が部分故障レベルである場合、すなわち、検出レベル設定スイッチ250で設定された値以下である場合は(S801:Yes)、断続無し時間データhtの値を0にクリアする(S806)。
【0091】
以上のような処理を定期的(例えば、10ms毎)に繰り返すことにより、断続部が常時オン故障(断続無し故障)状態にあるか否かを判別することができるようになる。なお、断続部について常時オン故障(断続無し故障)状態が検出された場合は、断続部について部分故障状態が検出された場合と同様の扱いがされる。
【0092】
次に、故障判別部530における音発部の故障判別処理について説明する。当該故障判別処理は、入力条件確認処理部510により音発部故障検出フラグがセットされた場合に実行されるものである。
【0093】
図9は、故障判別部530における音発部の電流低下故障判別処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、前述した断続部の電流低下故障判別処理と同じタイミングで(例えば、
図7に示した処理の直後に)実行される。なお、以下では、簡単のため、音発部が1系統のみ存在する場合を想定して説明する。実際は、音発部の第1系統及び第2系統それぞれについて
図9に示す処理が行われる。
【0094】
同図に示すように、まず、音発部の電流測定値が故障レベルであるか否か、すなわち、故障レベルの閾値として予め決められた値(本実施形態の場合、正常時の20%)以下であるか否かが判別される(S901)。判別の結果、音発部の電流測定値が故障レベルであった場合は(S901:Yes)、音発部の電流低下状態(故障レベル状態)の継続時間を計数するための電流低下時間データftの値が、予め決められた検出時素T(例えば、5秒に相当する値)未満であるか否かが判別される(S902)。なお、電流低下時間データftの値は、故障検出処理の開始が指示された際に、入力条件確認処理部510によって、予め0にクリアされている。判別の結果、電流低下時間データftの値が検出時素T未満であった場合は(S902:Yes)、電流低下時間データftの値を一単位分(例えば、10msに相当する値)増加させる(S903)。
【0095】
次に、電流低下時間データftの値が検出時素Tに達しているか否かが判別され(S904)、判別の結果、電流低下時間データftの値が検出時素Tに達している場合は(S904:Yes)、音発部(の該当する系統)に故障が発生していると判別する(S905)。
【0096】
一方、音発部の電流測定値が故障レベルでない場合、すなわち、故障レベルの閾値として予め決められた値(本実施形態の場合、正常時の20%)を超えている場合は(S901:No)、電流低下時間データftの値を0にクリアする(S906)。
【0097】
以上のような処理を定期的(例えば、10ms毎)に繰り返すことにより、音発部が故障状態にあるか否かを判別することができるようになる。
【0098】
以上説明したように、本発明による踏切警報機故障検出装置100によれば、断続部及び音発部の電流を電流センサで監視し、電流値が継続的に正常値より低下した場合に、故障が発生したと判断するようにしているので、踏切警報機の故障を自動で検出することができるようになっている。
【0099】
また、電流センサとしてクランプ式のものを利用しているので、既存の設備への設置が容易となっている。
【0100】
また、電流を監視することで故障を検出するようにしているので、電流低下による故障検出のみならず、断続部の常時オン状態(断続無し状態)についても故障として検出することが可能となっている。
【0101】
更に、上述した実施形態においては、断続部及び音発部それぞれの故障検出機能を無効とするマスク信号を備えているので、断続部及び音発部の電流が故障以外の原因で低下した場合について、断続部及び音発部の故障と誤検出してしまうことを防止することが可能となっている。
【0102】
また、断続部の部分故障を検出するための閾値を設定するための検出レベル設定スイッチ250を備えているので、軽故障(部分故障)の検出条件を、使用環境等に応じて柔軟に変更することが可能となっている。