(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ダイパッド部を有する電源リードと、前記第1ダイパッド部に設けられた発光素子と、第2ダイパッド部を有する接地リードと、前記電源リードと前記接地リードとの間に位置するように設けられた第1および第2の入力リードと、前記第2ダイパッド部に設けられ、電源パッド部と発光素子パッド部と入力パッド部とを有する駆動ICと、を有する光送信部と、
樹脂を介して前記光送信部に向かい合うように設けられた光受信部と、
を備え、
前記電源リード、前記第1および第2の入力リード、前記接地リードのアウターリードが第1の方向にそれぞれ延在し、
前記駆動ICは、前記第1ダイパッド部の側面のうち前記第1の方向に平行な側面と対向する第1側面と、前記第1の方向に直交しかつ前記第1の入力リードの前記インナーリードの端部および前記第2の入力リードの前記インナーリードの端部に対向する第2側面と、を有し、
前記電源パッド部および前記発光素子パッド部は、前記駆動ICの前記第1側面の側に配列され、
前記入力パッド部は、前記駆動ICの前記第2側面の側に配列された、光結合型絶縁装置。
前記第1の入力リードの前記インナーリードと前記第2の入力リードの前記インナーリードとの前記中心間距離は、前記第1の入力リードの前記アウターリードと前記第2の入力リードの前記アウターリードとの前記中心間距離よりも小さい請求項1〜4のいずれか1つに記載の光結合型絶縁装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる光結合型絶縁装置のブロック図である。
光結合型絶縁装置5は、光送信部10と、光受信部30と、を含む。
【0010】
光送信部10は、発光素子12と、発光素子12を駆動する駆動IC14と、を有する。
【0011】
光送信部10は、たとえば、符号化回路18と、発光素子12の駆動回路20と、をさらに含み、1チップとすることができる。駆動IC14は、クロック発生器17を含むアナログデジタル変換回路16を含む。また、駆動IC14の上面には、電源パッドと、発光素子パッドと、入力パッドと、が設けられる。アナログデジタル変換回路16は、たとえば、ΔΣADC(デルタシグマ型アナログデジタル変換回路)とすることができる。
【0012】
光受信部30は、たとえば、受光素子32、光電気変換回路36、復号回路38、および出力バッファ40などを有する。光受信部30は、1チップとすることができる。光受信回路30は、発光素子12からの放出光を受光し、電気信号に変換する。
【0013】
図2(a)は第1の実施形態の光結合型絶縁装置の模式断面図、
図2(b)は光送信部の模式下面図、
図2(c)は光受信部の模式上面図、
図2(d)は
図2(b)におけるA−A線に沿った光送信部の模式断面図、
図2(e)は
図2(c)におけるA−A線に沿った光受信部の模式断面図、である。
光送信部10は、第1ダイパッド部50aを有する電源リード50と、第1ダイパッド部50aに設けられた発光素子12と、アナログ差動信号V
IN+が入力される第1入力リード51と、アナログ差動信号V
IN−が入力される第2入力リード52と、第2ダイパッド部53aを有する接地リード53と、第2ダイパッド部53aに接着され、発光素子12を駆動する駆動IC14と、を有する。第1および第2の入力リード51、52は、電源リード50と接地リード53との間に位置する。
【0014】
また、光結合型絶縁装置は、樹脂成型体65をさらに有することができる。樹脂成型体65の一方の側面65cから、電源リード50、第1入力リード51、第2入力リード52、接地リード53の順に、それぞれのアウターリード50d、51d、52d、53dが第1の方向8に突出する。それぞれのアウターリードは、通常、同一のピッチ(中心間距離)P1とする。樹脂成型体65の内部において、第1入力リード51のインナーリード51cと第2入力リード52のインナーリード52cと中心間距離P2は、ピッチP1以下とする。
【0015】
リードフレームは、たとえば、幅が0.4mm、厚さが0.15mmなどのサイズとし、銅合金などの材料とし、表面にPdメッキ層などを設ける。
【0016】
光受信部30は、たとえば、接地リード55と、V
out−が出力される第2出力リード56と、V
out+が出力される第1出力リード57と、電源リード58と、接地リード55に接着される光受信部30のチップと、を有する。出力は、アナログおよびデジタルのいずれでもよい。また、樹脂成型体65は、光送信部10と、光受信部30と、を封止する。接地リード55、第1出力リード57、第2出力リード56、電源リード58、のそれぞれのアウターリードは、第1の方向8に平行とする。出力Voutは差動出力でなくてもよい。また、光受信部30は、クロック信号(CLK)を出力することもできる。
【0017】
樹脂成型体65は、透光性を有するインナー樹脂65aと、インナー樹脂65aの外側に設けられ遮光性を有するアウター樹脂65bと、を含むことができる。
【0018】
図2(b)に表すように、駆動IC14は、第1の方向8に平行な第1側面14aと、第1の方向8に直交する第2側面14bとを有する。電源パッド部14cおよび発光素子パッド部14dは、駆動IC14の第1側面14aの側に配列される。また、第1入力リード51および第2入力リード52にそれぞれ接続される2つの入力パッド部14eは、駆動IC14の第2側面14bの側に配列される。
【0019】
光結合型絶縁装置5は、光結合型アイソレーション・アンプなどと呼ぶことができる。たとえば、横の長さL1は5.5mm、縦の長さL2は7.5mmなどとすることができる。
【0020】
アナログデジタル変換回路16により、発光素子12がオンまたはオフに制御される。この場合、たとえば、発光素子12は、サンプリングクロックに連動したスパイク状の電流で駆動されるので、内部ノイズを発生する。以下、内部ノイズについて説明する。
【0021】
図3は、リードのインダクタンスにより生じるノイズ電圧を説明する回路図である。
図3に表すように、インバータなどを含む論理回路において、電流iが急激な変化を生じると、リードのインダクタンスLに対応した電磁誘導により、vn=L×(di/dt)なる内部ノイズが生じる。内部ノイズや外来ノイズは、光送信部10を構成するリードフレームやボンディングワイヤによる磁気結合や、リード間の容量結合により光送信部10の内部に入り、信号に重畳される。
【0022】
光送信部10の回路がMOSFETなどを有している場合、ノイズ電圧vnが直流オフセット電圧を越えると、論理回路が誤動作することがある。ノイズ電圧vnは、リードフレーム上に設けられた光送信部10の3次元構造を表す等価回路に対して電磁界シミュレーションを行うことにより求めることができる。
【0023】
図4は、比較例にかかる光送信部の模式下面図、である。
比較例において、電源リード150の第1ダイパッド部150aと接地リード153の第2ダイパッド部153aとは、間隔DD1を保ちつつ第1の方向108に沿って平行に対向し、かつ間隔DD2を保ちつつ第1の方向108の直交方向に沿って対向する。
【0024】
また、第1入力リード151のインナーリード151cは折れ曲がり部を有し、電源リード150の第1ダイパッド部150aと間隔DD3、DD4などで近接する。このため、容量結合が強まる。
【0025】
第1入力リード151のインナーリード151cの端部と接地リード153の第2第パッド部153aとを間隔DD2とする。第2入力リード152のインナーリード152cの端部と接地リート153の第2ダイパッド部153aとの間隔をDD2とする。間隔DD2を小さくすると、容量結合が強くなる。
【0026】
第1入力リード151のインナーリード部151cは折れ曲がりを有するので、第2入力リード152よりも長く、インダクタンスが大きくなる。このため、差動信号が入力される2つのリードの間で、第1入力リード51と第2入力リード52との間で、ノイズをキャンセルできない。
【0027】
電源リード150と駆動IC114との間は、ボンディングワイヤBW11で接続される。また、第1および第2入力リード151、152と駆動IC114とは、ボンディングワイヤBW13で接続される。ボンディングワイヤBW11とボンディングワイヤBW13とは、ともに駆動IC114の第2側面114bを跨ぐように設けられる。このため、電磁界の直交成分が少なく、磁気結合が強くなり電源リード150からのノイズが入り込み易くなる。比較例の配置は、ワイヤボンディング工程の生産性を高めることが容易である。
【0028】
図5は、ノイズ電圧をシミュレーションで求めたグラフ図である。
縦軸は電圧(V)、横軸は立ち上がりパルスを印加した時間t0以降の相対時間、である。破線は比較例、実線は第1の実施形態の電圧を表す。
【0029】
ノイズ電圧vnは、時間とともに減衰する。駆動電流パルスの立ち上がりや立ち下がりが急峻になると、ノイズ電圧vnが増大する。電流iが急峻に立ち上がったのち、比較例におけるノイズ電圧vnの最初のピーク値は略7.5mVである。これに対して、第1実施形態にノイズ電圧vnの最初のピーク値は、略2.5mVと低い。
【0030】
すなわち、第1の実施形態において、第1入力リード51のインナーリード51cと第2入力リード52のインナーリード52cとは第1の方向8に沿って等しい長さを有する。第1の入力リード51および第2の入力リード52にはノイズ電圧がそれぞれ誘起される。この場合、第1および第2の入力リード51、52の長さが等しいので、それぞれに誘起されるノイズ電圧の大きさが等しくなる。第1の入力リード51および第2の入力リード52にそれぞれ入力される信号の差動分を生成すると、等しい大きさで誘起されたノイズ電圧が互いにキャンセルされる。このため、差動分に与えるノイズ電圧の影響を低減できる。すなわち、光結合型絶縁装置のノイズ耐性を高めることができる。
【0031】
また、インナーリード51cとインナーリード52cとの中心間距離P2は、第1入力リード51のアウターリード51dと第2入力リード52のアウターリード52dとの中心間距離P1よりも小さい。すなわち、電源リード50の引き出し部50bと第1入力リード51のインナーリード51cとの間隔D3は、比較例の距離DD3よりも大きい。すなわち、近接した2つのリード領域で構成されるキャパシタの静電容量が低減される。このため、容量結合を弱くでき、電源リード50と接地リード53との間で生じる急峻な電流変化によるノイズ電圧の影響を低減できる。
【0032】
同様に、第2入力リード52のインナーリード52cと接地リード53の引き出し部53bとの間隔D4は、比較例の間隔DD3よりも長く容量結合を弱くできる。
【0033】
第1入力リード51のインナーリード51cの端部と接地リード53の第2第パッド部53aとは間隔、および第2入力リード152のインナーリード152cの端部と接地リート153の第2ダイパッド部153aとの間隔は、ともにD2であり、比較例の間隔DD2よりも大きくする。このため、容量結合を弱めることができる。
【0034】
電源リード50と駆動IC14とを接続するボンディングワイヤBW1は、駆動IC14の第1側面14aを跨ぐように設けられる。このため、ボンディングワイヤBW1と、第1および第2入力リード51、52と駆動IC14とを接続するボンディングワイヤBW3と、は、直交に近くなるように交差させることができる。このため、磁気結合を比較例よりも弱めることができる。
【0035】
また、駆動IC14の接地パッド14fと接地リード53とを接続するボンディングワイヤBW4と、第1および第2入力リード51、52と駆動IC14とを接続するボンディングワイヤBW3と、を直交に近くなるように設けることにより、磁気結合をさらに弱めることができる。
【0036】
以上のように、第1の実施形態では、第1および第2の入力リード51、52に誘起されるノイズ電圧は、リード長さを等しくすることにより、差動信号においてノイズ電圧をキャンセルできる。また、第1の入力リード51と電源リード50との間隔を大きくし、かつ第2の入力リード52と接地リード53との間隔を大きくすることにより、容量結合を弱め、急激な電流変化によるノイズ電圧が、第1および第2入力リード51、52に誘起されることを抑制できる。さらに、第1および第2の入力リード51、52と駆動IC14とを接続するボンディングワイヤBW3と、電源リード50と駆動IC14とを接続するボンディングワイヤBW1と、を直交に近くなるように交差させ、磁気結合を弱めることができる。これらにより、光結合型絶縁装置のノイズ耐性を高めることができる。
【0037】
図6(a)は第1の実施形態の第1変形例の光送信部の模式下面図、
図6(b)は第1の実施形態の第2変形例の光送信部の模式下面図、である。
図6(a)に表す第1変形例では、第1入力リード51のインナーリード51cと、第2入力リード52のインナーリード52cと、の中心間距離P2は、アウターリード50d〜53dの共通ピッチP1と等しい。
【0038】
また、
図6(b)に表す第2変形例では、駆動IC14の電源パッド14cと電源リード50とを接続するボンディングワイヤBW1は、第1および第2入力リード51、52と、駆動IC14の入力パッド部14eと、を接続するボンディングワイヤBW3から遠い位置(第2ダイパッド部53aの外縁の側)に設けられ、かつ直交に近づける。
【0039】
図7は、第1の実施形態、その第1および第2変形例、にかかる光結合型絶縁装置のノイズ電圧のグラフ図である。
第1変形例では、第1入力リード51と電源リード50との間隔D5が第1の実施形態の間隔D3よりも小さく、第1の実施形態よりも磁気結合が強い。このため、略4mVのノイズ電圧が生じるが、比較例の7.5mVよりも低減できる。
【0040】
また、第2変形例では電源リード50と駆動IC14の電源パッド14dを接続するボンディングワイヤBW2は第1および第2入力リード51、52とは離間しかつ直交に近づけることができる。このため、略2.8mVのノイズ電圧を生じるが、比較例の7.5mVよりも低減できる。
【0041】
図8(a)は第2の実施形態の光送信部の模式下面図、
図8(b)は第3の実施形態の光送信部の模式下面図、
図8(c)は第4の実施形態の光送信部の模式下面図、である。
第2〜第4の実施形態の光送信部10において、第1および第2の入力リード51、52は同一の長さを有する。このため、差動信号におけるノイズ電圧をキャンセルすることが容易となる。
【0042】
また、電源リード50と駆動IC14の電源パッド14dとを接続するボンディングワイヤBW1は、第1および第2の入力リード51、52と駆動IC14の入力パッド14eとを結ぶボンディングワイヤBW3と、直交に近くなるように設ける。このため、磁気結合によるノイズ電圧を低減できる。
【0043】
図9は、第2〜第4の実施形態のノイズ電圧のグラフ図である。
第2〜第4の実施形態のノイズ電圧は、略5mV以下であり、比較例のノイズ電圧よりも低減できる。また、
図8(b)の第3実施形態、
図8(c)の第4実施形態では、第1および第2入力リード51、52の端部を、第2実施形態よりも接地リード53や電源リード50に近づけ実装を容易にできる。この場合、第2の実施形態よりもやや寄生容量が増加するが、ノイズ電圧は5.5mV以下であり、比較例よりも低減できる。
【0044】
第1〜第4の実施形態にかかる光結合型絶縁装置により、ノイズ電圧が低減される。このため、光結合型絶縁装置の誤動作が抑制される。これらの光結合型絶縁装置は、制御機器、計測機器などに広く用いることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。