(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268076
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】湿潤環境におけるリーク電流補正
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20180115BHJP
G06F 1/30 20060101ALI20180115BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20180115BHJP
G01R 31/02 20060101ALI20180115BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G06F1/30 Z
G03G21/00 500
G03G15/00 680
G01R31/02
H02M3/28 J
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-234194(P2014-234194)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-106158(P2015-106158A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】14/093,582
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリカス・アドリアヌス・アントニウス・フェルハイエン
【審査官】
田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平1−291274(JP,A)
【文献】
特開2003−122107(JP,A)
【文献】
特開平10−213928(JP,A)
【文献】
米国特許第6079121(US,A)
【文献】
米国特許第5715131(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0136664(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G01R 31/02
G03G 15/00
G03G 21/16
G06F 1/30
G06F 11/30
H02M 3/28
B41J 2/44
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
前記装置の外部エリアの湿度レベルより高い湿度レベルを有している内部湿潤場所と、
前記装置の前記内部湿潤場所内の電流源であって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなるリーク電流を受流する電流源と、
前記装置の前記内部湿潤場所内に設けられた湿度センサであって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなる信号を生成する湿度センサと、
前記電流源と前記湿度センサに連結された増幅器と、
前記電流源と前記増幅器に連結された電気負荷素子と、
を含み、
前記電流源が前記電気負荷素子へ一次出力電流を送出し、
前記一次出力電流の低下に対応して前記リーク電流を増加させ、
前記増幅器が、補償出力電流を生成するために前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記補償出力電流を前記リーク電流に等しくさせるレベルにおいて前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記一次出力電流を有する前記電気負荷素子へ前記補償出力電流を送出する、
装置。
【請求項2】
前記内部湿潤場所内にプリント回路基板を更に含み、前記電流源と前記湿度センサが前記プリント回路基板上に配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記補償出力電流が前記一次出力電流を設けることによって前記電気負荷素子をして前記リーク電流によって影響されない電源電流として前記補償出力電流に組み合わされた前記一次出力電流を受流させる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記湿度センサが、
対向端子と、
前記対向端子に接続されたインターリーブ導体と、
前記インターリーブ導体間に設けられた電気絶縁体と、
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された素子を有している請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された導体および絶縁体を有している請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電流源は、
前記一次出力電流が増加するにつれて増加するリーク電流を受流する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
装置であって、
プリントエンジンと、
前記プリントエンジン内に設けられ、前記プリントエンジンの外部エリアの湿度レベルより高い湿度レベルを有している内部湿潤場所と、
前記装置の前記内部湿潤場所内の電流源であって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなるリーク電流を受流する電流源と、
前記電流源に連結された分圧器と、
前記装置の前記内部湿潤場所内に設けられた湿度センサであって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなる信号を生成する湿度センサと、
前記分圧器と前記湿度センサに連結された増幅器と、
前記電流源と前記増幅器に連結された電気負荷素子と、
を含み、
前記電流源が前記電気負荷素子へ一次出力電流を送出し、
前記一次出力電流の低下に対応して前記リーク電流を増加させ、
前記増幅器が、補償出力電流を生成するために前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記分圧器によって前記増幅器に提供された前記一次出力電流が上昇するにつれて高くなるレベルで前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記補償出力電流を前記リーク電流に等しくさせる前記レベルにおいて前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記一次出力電流を有する前記電気負荷素子へ前記補償出力電流を送出する、
装置。
【請求項9】
前記内部湿潤場所内にプリント回路基板を更に含み、前記電流源と前記湿度センサが前記プリント回路基板上に配置されている請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記補償出力電流が前記一次出力電流を設けることによって前記電気負荷素子をして前記リーク電流によって影響されない電源電流として前記補償出力電流に組み合わされた前記一次出力電流を受流させる請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記湿度センサが、
対向端子と、
前記対向端子に接続されたインターリーブ導体と、
前記インターリーブ導体間に設けられた電気絶縁体と、
を含む請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された素子を有している請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された導体および絶縁体を有している請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記電流源は、
前記一次出力電流が増加するにつれて増加するリーク電流を受流する請求項8に記載の装置。
【請求項15】
装置であって、
プリントエンジンと、
前記プリントエンジン内に設けられ、前記プリントエンジンの外部エリアの湿度レベルより高い湿度レベルを有している内部湿潤場所と、
前記装置の前記内部湿潤場所内の電流源であって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなるリーク電流を受流する電流源と、
前記電流源に連結された分圧器と、
前記装置の前記内部湿潤場所内に設けられた湿度センサであって、前記湿度レベルが上昇するにつれて高くなる信号を生成する湿度センサと、
前記分圧器と前記湿度センサに連結された増幅器と、
前記電流源と前記増幅器に連結された電気負荷素子と、
を含み、
前記電流源が前記電気負荷素子へ一次出力電流を送出し、
前記リーク電流の増加分だけ前記一次出力電流を低下させ、
前記増幅器が、補償出力電流を生成するために前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記分圧器によって前記増幅器に提供された前記一次出力電流が上昇するにつれて高くなるレベルで前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記補償出力電流を前記リーク電流に等しくさせる前記レベルにおいて前記湿度センサによって生成された前記信号を増幅させ、
前記増幅器が、前記一次出力電流を有する前記電気負荷素子へ前記補償出力電流を送出する、
装置。
【請求項16】
前記内部湿潤場所内にプリント回路基板を更に含み、前記電流源と前記湿度センサが前記プリント回路基板上に配置されている請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記補償出力電流が前記一次出力電流を設けることによって前記電気負荷素子をして前記リーク電流によって影響されない電源電流として前記補償出力電流に組み合わされた前記一次出力電流を受流させる請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記湿度センサが、
対向端子と、
前記対向端子に接続されたインターリーブ導体と、
前記インターリーブ導体間に設けられた電気絶縁体と、
を含む請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された素子を有している請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記電流源と前記湿度センサが被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設された導体および絶縁体を有している請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のシステムおよび方法は一般に回路構成のリーク電流に係り、より詳細には、湿潤環境で使用される回路のリーク電流を補正することに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の高電圧電源のアプリケーションでは、高電圧出力回路からのリーク電流は、リーク電流が同じ量だけ出力電流を削減するので、制限する必要がある。このようなアプリケーションの一例として、静電プリンタのバイアス転写ロール(BTR)を充電するための高電圧直流電流源が挙げられる。典型的には、100μAを十分に下回る電流を得るためにはBTRにおいて6kV以下の電圧が必要とされる。BTRの電流源もμAの精度を有する必要があり、リーク電流はバイアス転写ロールの性能を実質的に低下させてしまう。
【0003】
プリント回路基板(PCB)の高電圧回路は、湿潤環境に置かれた場合、電流が漏洩しやすい。PCB材料は吸水能力があるため、表面が相対的に導電性を帯び、リーク電流の原因となり得る。リーク電流を引き起こす一因は、材料特性およびPCBの表面(フラックス残渣)の被湿潤レベルであった。また、この影響は特に高電圧および低電流の印加時に顕著に見られ、その動作は絶縁性に頼っていた。
【0004】
このようなリーク電流を減らすために使用される数多くの方法が提供されている。その一つとして、高電圧回路が湿潤環境にさらされないように筐体に封入する方法が提供されている。これらの(ポッティング)工法は非常に有効であるが、相対的にコストが高い。インタフェーシングのために高電圧出力をPCB上で利用する必要がある場合、この工法では不十分であった。
【0005】
別の方法としては、導電性遮蔽体によって高電圧(回路)が囲繞または隔離される遮蔽工法を使用する方法が提供されている。遮蔽体によってピックアップされたリーク電流を測定し、この測定値を使用して、出力電流または電圧を補正する。この方法は、遮蔽体が高電圧回路の近傍に配設され、回路が完全に囲繞されたときに最大効果を発揮する。しかしながら、このような遮蔽体を用いると、リークが増えるとともに、絶縁破壊(アーク放電/トラッキング)の潜在的な可能性が生じてしまう。更に、PCBの片面では(遮蔽体が存在しない)頂面にわたるリークを測定することができない。
【0006】
一般にプリンタに使用される別の方法として、湿度センサを利用する方法が提供されている。この場合、一般的なマシン環境の相対的湿度を監視し、監視された湿度をプロセッサユニットへフィードバックし、画質を維持するために必要な設定値を変更する。これらの設定値の一つはBTR電流である。しかしながら、このアプローチは、高電圧電源(HVPS)が存在するエリアの(相対)湿度が全く異なり得ることに配慮していない。また、HVPSのPCB表面の被湿潤度やPCBのそれまでの吸水含有率が経時的な一定係数とは認められない。更に、このような方法は、制御されたPCBクリーン度で作製されているHVPSに依存しているという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明に例示されている装置は、内部湿潤場所(例えば、装置の外部エリアよりも高い湿度レベルを受ける内部の場所)を有している。これらの装置は、装置の内部湿潤場所内の少なくとも一つの電流源を利用し、この電流源には湿度レベルの上昇に伴って増加したリーク電流を受流する。また、電気負荷素子は電流源に接続されている。電流源は電気負荷素子へ一次出力電流を送出する。しかしながら、湿度の上昇によりリーク電流が増加した分だけ、電気負荷素子に送出される一次出力電流が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明による装置は、電流源に接続された任意の分圧器と、装置の内部湿潤場所内の湿度センサと、該分圧器と該湿度センサに接続された増幅器と、を含む。湿度センサは湿度レベルが上昇するにつれて高くなった電流信号を生成し、増幅器は湿度センサによって生成された信号を増幅して、補償出力電流を生成する。一次出力電流は分圧器(あれば)によって増幅器へ供給されるので、増幅器は一次出力電流が上昇するにつれて高くなったレベルで湿度センサによって生成された信号を増幅させる。よって、増幅器は、補償出力電流をリーク電流に等しくするレベルで、湿度センサによって生成された信号を増幅させる。
【0009】
更に、増幅器は、一次出力電流を有する電気負荷素子へ補償出力電流を送出する。これが、電気負荷素子をして、リーク電流に影響されない電源電流としての補償出力電流に組み合わされた一次出力電流を受流させる。
【0010】
一例において、湿度センサは、対向端子と、該対向端子に接続されたインターリーブ導体と、インターリーブ導体間に配置された電気絶縁体と、を含む。更に、電流源および湿度センサは、同じプリント回路基板に配置され得、装置の湿潤場所で展開される被湿潤度や湿度に対して同様に反応するほぼ同じ大きさで互いに離間配置された素子(例えば、ほぼ同じ大きさの導体および絶縁体)を有し得る。これによって、湿度センサからの増幅された信号は電流源が受流するリーク電流に一致し、よって、一次出力電流を補う極めて有効な補償出力電流として機能することが可能になり、電気負荷素子がリーク電流に影響されない電力電流を受流することが可能となる。
【0011】
本発明の例示的な印刷装置は、プリントエンジンと、該プリントエンジン内の内部湿潤場所(例えば、プリントエンジンの外部のエリアの湿度レベルより高い湿度レベルを受ける内部の場所)と、を有している。これらの印刷装置は印刷装置の内部湿潤場所内で少なくとも一つの電流源を利用し、この電流源は湿度レベルが上昇するにつれて高くなるリーク電流を受流する。更に、電気負荷素子は電流源に接続されている。電流源は電気負荷素子へ一次出力電流を送出する。しかしながら、上昇した湿度に起因してリーク電流が増加した分だけ、電気負荷素子に送出される一次出力電流が低下する。
【0012】
このような課題を解決するために、本発明による印刷装置は、電流源に接続された任意の分圧器と、印刷装置の内部湿潤場所内の湿度センサと、該分圧器と該湿度センサに接続された増幅器と、を含む。湿度センサは湿度レベルが上昇するにつれて高くなる電流信号を生成し、増幅器は湿度センサによって生成された信号を増幅して、補償出力電流を生成する。一次出力電流は分圧器(あれば)によって増幅器へ供給されるので、増幅器は一次出力電流が上昇するにつれて高くなったレベルで湿度センサによって生成された信号を増幅させる。よって、増幅器は、補償出力電流をリーク電流に等しくするレベルで、湿度センサによって生成された信号を増幅させる。
【0013】
また、増幅器は一次出力電流を有する電気負荷素子へ補償出力電流を送出する。これが電気負荷素子をしてリーク電流の影響を受けない電源電流としての補償出力電流と組み合わされた一次出力電流を受流させる。
【0014】
一例において、湿度センサは、対向端子と、該対向端子に接続されたインターリーブ導体と、インターリーブ導体間に配置された電気絶縁体と、を含む。更に、電流源および湿度センサは、同じプリント回路基板に配置されており、印刷装置の湿潤場所で展開される被湿潤度や湿度に対して同様に反応するほぼ同じ大きさで互いに離間配置された素子(例えば、ほぼ同じ大きさの導体および絶縁体)を有し得る。これによって、湿度センサからの増幅された信号は電流源が受流するリーク電流に一致し、よって、一次出力電流を補う極めて有効な補償出力電流として機能することが可能になり、電気負荷がリーク電流に影響されない電力電流を受流することが可能となる。
【0015】
以上および他の特徴が以下の本発明の詳細な説明において記載され、明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付図面を参照して様々な例示的なシステムおよび方法を以下に詳細に説明する。
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述したように、このようなリーク電流を回避するかまたは削減するために数多くの方法が提供されている。しかしながら、各々が数えきれないほどの課題を抱えている。したがって、本発明の例示的な装置はPCB回路図に感湿素子を提供する。例えば、感湿素子(湿度センサ)は櫛形パターンの導体および絶縁体と、インターリーブトラックの各々に接続された二つの端子と、を有する小エリアであってもよい。
【0019】
湿度センサは、高電圧電流源の出力電圧に比例する電圧が印加される高インピーダンスのトランス抵抗増幅器に接続されている。トランス抵抗増幅器はセンサ電流を高電圧出力においてリーク電流を表す電圧へ変換する。電圧はHVPS出力電流を補正するために使用され、PCBの吸水や吸着に関連した局所的湿度の測度である。高圧回路およびセンサは、これらの両方が同じ表面条件を有する同じPCB材料上に配置されるので、同じ湿度にさらされる。よって、適切なスケーリングが変換回路によって使用されるので、補正電圧は高湿度によって生じた出力リーク電流を効果的に補償する。
【0020】
図1は、典型的な高電圧電流源を概略的に示す図である。
図1において、整流102を有するフライバック変換器118はDC高電圧を生成するために使用される。
図1において、I
0は出力電流106であり、負荷116に供給される。リークがない(I
leak=0)場合、誤差増幅器108の反転入力における電圧はI
0.R
Sである。出力電流106は(電圧源110により)V
SETによって設定され、I
0=V
SET/R
Sとなる。リーク112がある場合、誤差増幅器108の反転入力における電圧(I
0+I
leak).R
Sであり、よって、出力電流106Io=V
SETR
S−I
leakとなる。言い換えれば、出力電流106は、リーク電流112が(アイテム114によって示されるように)出力電流の成分であると考えられるので、I
leakが予想より低いことから、この回路は幾分有効であるが、誤差増幅器108はリーク112を適切に補償するとはいえない。
【0021】
本明細書中の図面において同一の識別番号は同一または同様の構成要素を指している。
図2は、以上のような課題を解決するために、トランス抵抗増幅器122と、減算論理素子124と、分圧器126と、を有する湿度センサ120を含む。図中、R
hは湿度センサ120の抵抗を表し、リーク112は抵抗器R
leakでモデル化され得る。
【0022】
図2に示したシステムにおいて、電流I
leak112を補償し、誤差増幅器108の反転入力が、あたかもリークがなかったかの如く、I
0.R
Sを受信することを可能にする。
トランス抵抗増幅器122の出力は、
【数1】
および
【数2】
で表される。
よって、補償電流IR
Cは、等式
【数3】
で表される。
これは、I
leak112に等しい。
【数4】
【0023】
以上の等式は、湿度センサ120(IR
h)を流れる電流がリーク電流112に比例していることを示している。これはすべての湿度レベルだけでなくすべての出力電圧レベル(VO)にも有効である。より具体的には、リーク電流112は、分圧器126によって感知される電流源210からの出力電圧VOに依存するが、トランス抵抗増幅器122を介して分圧器126からVM=VO.βの送信によるIR
hにも同様の依存傾向が必要とされる。より具体的には、分圧器126は以下の等式に使用される:
【数5】
式(1)は、
【数6】
または、
【数7】
に置き換えられる。
V0は省略できる:
【数8】
これを異なる等式で表すと、
【数9】
。
【0024】
当業者は、様々な抵抗素子(Rf、Rc、βなど)が必要に応じて各個別の特定状況ごとに正確なスケーリングを実行するように調整かつカスタマイズされ得ることを理解するであろう。更に、当業者は、
図1および2が単に二つの具体例にすぎず、以下に提示される特許請求の範囲が、
図3〜5に示したより汎用化された構造などの(アナログおよびディジタルの両面で)より汎用化された構造に適用可能であることを理解するであろう。よって、
図2は必要とされる動作の単なる表示にすぎない。本発明が、アナログおよびディジタルの両面でより多くのインプリメンテーションの可能性があることが理解されよう。
【0025】
図3に示したように、本明細書の例示的な装置(その一つをアイテム200として示す)は、少なくとも一つの内部湿潤場所202(例えば、装置200の外部エリアの湿度レベルより高い湿度レベルを受ける内部の場所202)を有している。相対的に高い湿度エリア202は、装置200の内部全体(ライン204で示す)より小さいかまたは装置200の内部全体が相対的に高い湿度を受ける可能性がある。
【0026】
装置200は同装置200の内部湿潤場所202内で少なくとも一つの電流源210を利用する。また、電気負荷素子220は電流源210に接続されている。電流源210は電気負荷素子220へ一次出力電流(例えば、直流(DC))を提供する。電流源210は、湿潤場所202の湿度レベルが高くなるにつれて増加した不要なリーク電流を受け、このような湿度の上昇に起因してリーク電流が増加した分だけ電気負荷素子220へ送出される一次出力電流を低下させる。
【0027】
このような課題を解決するために、本発明による装置200は、電流源210に接続された分圧器222と、装置200の内部湿潤場所202内の湿度センサ212と、該分圧器222と該湿度センサ212に接続された増幅器224と、を含む。湿度センサ212は湿度レベルが上昇するにつれて高くなった電流信号を生成し、増幅器224は湿度センサ212によって生成された信号を増幅して、補償出力電流を生成する。増幅器224は、一次出力電流が上昇するにつれて高くなったレベルで湿度センサ212が生成した信号の増幅を提供する(
図3に示したように、一次出力電流は分圧器222によって増幅器224へ送出される)。よって、増幅器224は、補償出力電流をリーク電流と同等にするレベルで湿度センサ212が生成した信号を増幅させる。
【0028】
また、増幅器224は、一次出力電流を有する電気負荷素子220へ補償出力電流を送出する。これにより電気負荷素子220がリーク電流の影響を受けない(リーク電流によって低下しない)電源電流としての補償出力電流と組み合わされた一次出力電流を受けることが可能になる。
【0029】
また、電流源210と湿度センサ212は、同一のプリント回路基板214上に配置され、装置200の湿潤場所202内の被湿潤度および湿度に対してほぼ同様に反応するほぼ同じ大きさを有し互いに間隔をとって配設されている素子(例えば、ほぼ同じ大きさの導体および絶縁体)を有することができる。ここでも、被湿潤度および湿度はリーク電流の多くを生じる役割を果たす。電流源210と湿度センサ212がほぼ同様の大きさの導体および絶縁体を有することで、湿度センサ212からの増幅信号を電流源210が受けるリーク電流に一致させることを可能とし、よって、一次出力電流を補う極めて有効な補償出力電流として機能し、電気負荷素子220がリーク電流に影響されない電力電流を受けることができる。
【0030】
一例において、湿度センサ212は、対向端子、これらの端子に接続されたインターリーブ導体、インターリーブ導体(例えば、
図2に示したアイテム120において示されたインターリーブ導体)間に発生する電気絶縁性を含むことができる。しかしながら、当業者は、任意の湿度センサ(または湿度および被湿潤度によって影響される導電性を有する素子/回路)は要素212として使用されてよいことを理解するであろう。
図4および5は、分圧器222を設けていないこと以外は
図3と同様の構造を示している。
図4の構造もまた、増幅器224へ出力電流を供給し、増幅器224は一次出力電流が増加するにつれて出力電流を補償する際に増加を提供することを可能にする。
図5の構造は、一次出力電流の増加に伴って出力電流を補償する際に増加を提供しないが、
図5の構造は、リーク電流を補償することを補助する。また、
図5に示した構造は、低コストで、小型であるが、ある状況に対して十分に対応できる構造である。
図4の構造も、増幅器が一次出力電流の増加を補償することを可能にする。よって、
図4の構造において、性能低下がなく、低コストで、(図からもわかるように)小型構造である。
【0031】
図6は、印刷装置304であるコンピュータ装置を示しており、印刷装置304は、本発明のシステムおよび方法と共に使用され、例えば、プリンタ、複写機、複合機、多機能装置(MFD)などを含み得る。印刷装置304は、プロセッサ324と、コンピュータ装置300の外部のコンピュータネットワーク302と、に動作可能に連結されたコントローラ/プロセッサ324および通信ポート(入力/出力)326を含む。更に、印刷装置304は、(電源322を介して)外部電源328からの供給電源上で動作するグラフィックユーザインターフェースアセンブリ336などの少なくとも一つのアクセサリ機能コンポーネントを含むことができる。
【0032】
入出力装置326はコンピュータ装置300に対して通信をやり取りするために使用される。プロセッサ324はコンピュータ装置の様々なアクションをコントロールする。(光、磁気、コンデンサベースなどの)非一時的なコンピュータ記憶媒体装置330はプロセッサ324によって読み出し可能であり、プロセッサ324が本明細書に記載したような様々な機能をコンピュータ装置に実行させるように実施する指令を格納する。よって、
図6に示したように、筐体は電源322によって交流(AC)電源328から供給された電力で動作する一以上の機能的コンポーネントを有している。電源322は蓄電素子(例えば、バッテリなど)を含むことができる。
【0033】
印刷装置304は、プロセッサ324に動作可能に接続された各々が上記に例示し説明した構造(
図2〜5参照)を含む少なくとも一つのマーキング装置(プリントエンジン)310、給紙装置314からこのマーキング装置(複数可)310へ媒体シートを供給するように位置決めされた媒体経路316などを含む。プリントエンジン(複数可)から様々なマーキングを受けとった後、媒体シートは、必要に応じて、様々な印刷済みシートを折り畳み、ホチキス止め、仕分けなどを行うことができるフィニッシャ308へパスされる。また、印刷装置304は、(電源322を介して)外部電源328からの供給電源上で動作する(スキャナ/ドキュメントハンドラ312などの)少なくとも一つのアクセサリ機能コンポーネントを含むこともできる。
【0034】
図3〜6に概略的に示したすべての要素は、現在知られているか、または今後開発され得るかにかかわらず、上述の機能と同じ機能を実行するすべての周知のデバイスを網羅することを意図している。よって、本明細書に例示したものは、本明細書の構造をより明確に理解してもらうために利用されているにすぎず、以下の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0035】
数多くのコンピュータ装置が上述されている。チップベースの中央処理装置(CPU)、グラフィックユーザインターフェース(GUI)を含む入力/出力デバイス、メモリ、比較器、プロセッサなどを含むコンピュータ装置は良く知られており、Dellコンピュータ社(米国、テキサス州、ラウンドロック)、アップルコンピュータ社(米国、カリフォルニア州、クパチーノ)などの製造者から容易に入手できる。このようなコンピュータ装置は、入力/出力装置、電源、プロセッサ、電子記憶メモリ、配線などを一般に含むが、読者の皆様には、本明細書に記載されているシステムおよび方法の顕著な側面をより良好に理解していただきたいので、ここでは詳述しない。同様に、スキャナおよび他の同様の周辺機器は、ゼロックス社(米国、コネティカット、ノーウォーク)から入手できるが、説明をより明確にし、本発明をより良好に理解していただきたいので、ここでは、詳述しない。
【0036】
本明細書中で使用されている用語「プリンタ」または「印刷装置」は、ディジタル複写機、製本機、ファクシミリ装置、複合機などの任意の装置を包含し、任意の目的のために印刷出力機能を実行する。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は周知であり、本開示が提示する特徴に注目してもらうために本明細書では詳細な説明はしない。本発明によるシステムおよび方法は、本明細書にカラー、モノクロでプリントするか、または、カラーまたはモノクロの画像データを取り扱うシステムおよび方法を包含することができる。すべての前述のシステムおよび方法は、具体的に、静電グラフィックおよび/またはゼログラフィックマシンおよび/またはプロセスに適用可能である。
【0037】
更に、「接触(touching、)」、「上に(on)」、「直接接触している(in direct contact)」、「当接している(abutting)」、「直接隣り合っている(directly adjacent to)」などの用語は、少なくとも一つの要素が(他の要素が上記の要素を分離させずに)他の要素に物理的に接触することを意味する。また、自動化(automated)または「自動的に(automatically)」の用語は、(マシンまたはユーザによって)プロセスがスタートすると、一以上のマシンがユーザからの更なる入力がなくてもプロセスを実行することを意味する。
【0038】
望ましくは、上記に開示した、他の、または代替的な特徴および機能を多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わせてもよいことが理解されよう。以下の特許請求の範囲に意図して包合される、現在は予見または予期できないが、今後、当業者によって様々な代替、修正、変形、または改良が行われる可能性がある。ある特定のクレーム自体に具体的に定義されていなければ、本発明のシステムおよび方法のステップまたは構成要素は、任意の特定の順序、数、位置、大きさ、形状、角度、色、または材料を制約するものとして、上記の実施例から示唆または取り込むことはできない。