特許第6268103号(P6268103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トゥルマー・シュツボーテン・ゲーエーエスエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268103
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】保護システム
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   E01F7/04
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-547765(P2014-547765)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-507108(P2015-507108A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012005354
(87)【国際公開番号】WO2013091893
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年10月5日
(31)【優先権主張番号】11010075.7
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12006889.5
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514157548
【氏名又は名称】トゥルマー・シュツボーテン・ゲーエーエスエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ゲルノート・ステルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・イェーガー
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05487562(US,A)
【文献】 実開昭49−147722(JP,U)
【文献】 実開昭54−170527(JP,U)
【文献】 実開昭53−113528(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0067966(US,A1)
【文献】 米国特許第3087584(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0111310(US,A1)
【文献】 米国特許第4730810(US,A)
【文献】 特開2001−248117(JP,A)
【文献】 特表2011−522978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/00−7/04
B62D 1/00−1/11
B65D 61/00−63/18
F16F 7/00−7/14
F16B 7/00−7/22
A62B 1/00−5/00,35/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー散逸装置(1)を有する保護構造であって、
長手方向軸(L)を有する変形可能な細長い材料ストリップ(2)であって、張力を受け得るケーブル(3)に一体化される材料ストリップ(2)と、
前記材料ストリップ(2)と協働する変形装置(4)と、
前記エネルギー散逸装置(1)を支持する支持構造(25)と、
前記支持構造(25)における上部支持ケーブルアレンジメント(27)及び下部支持ケーブルアレンジメント(28)によって誘導されるネット(24)と、
を含み、
前記材料ストリップ(2)は、前記変形装置によって輪郭形成されたプロファイルバーまたは輪郭がない非プロファイル材料ストリップのいずれか一方であり、かつ前記ケーブル(3)に張力をかけることによって変形可能であり、
前記材料ストリップ(2)は、その長手方向軸に沿って、前記変形装置(4)を介して直線的に供給され、
前記変形装置(4)は、選択可能な間隔(A)をおいて互いに対して位置決め可能な回転可能ローラの形態であり、直線的に形成された変形ギャップ(7)を画定する、2つの変形部材(5、6)を有する、
ことを特徴とする、保護構造。
【請求項2】
前記変形装置(4)の中に向かう前記材料ストリップ(2)の搬送方向(ER)で見た場合の前記変形装置(4)の前に位置した反キンク装置(19、19’)を特徴とする、請求項1に記載の保護構造。
【請求項3】
前記変形装置(4)は、前記変形部材(5、6)の両端部が取り付けられる、2つの離間した保持板(8、9)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の保護構造。
【請求項4】
前記保持板(8、9)に取り付けられた接続板(10)が、前記保持板(8、9)の間に位置付けられることを特徴とする、請求項3に記載の保護構造。
【請求項5】
前記接続板(10)には開口部(11)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の保護構造。
【請求項6】
前記反キンク装置(19)がガイドローラとして形成されることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項7】
前記反キンク装置(19’)がケーブルループアレンジメント(12A、12B、13A、13B、19A、19B、22、23、21’)として形成されることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項8】
前記材料ストリップ(2、2’)がアルミニウム又は鋼からなることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項9】
前記変形部材(5、6)には摩擦減少コーティングが施されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項10】
前記材料ストリップ(2)が平滑に形成されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項11】
前記変形装置(4)が、前記材料ストリップ(2)の開口部を貫通するように形成された、2つのタブ(16、17)によって保持された固定ボルト(18)を有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項12】
前記変形装置(4)が固定されたアンカー部材(13)に接続されるとともに、前記材料ストリップ(2、2’)を介して前記ケーブル(3)に接続されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の保護構造。
【請求項13】
前記変形装置(4)が前記ケーブル(3)の中に一体化され、前記変形装置(4)の一端が、接続手段(12、13)を介して第1ケーブル部(3A)に接続され、他方端が、前記材料ストリップ(2)を介して前記ケーブル(3)の第2ケーブル部(3B)に接続される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な装置は、WO2009/137951号によって知られている。この公知の装置は、特に落石、泥流及び雪保護システムのためのケーブル構造における衝撃吸収用の装置として形成され、かつ張力を受けるケーブル内に導かれるエネルギーを吸収するものであり、この装置において、張力によって変形させることができるとともに、張力を受けるケーブル内に設置される中間部材は、1つ以上の長さ方向要素を備えている。この場合、少なくとも1つの長さ方向要素は、一方ではその一方端でケーブル端に接続され、他方では別のケーブル端に接続された撓み要素の周りに誘導される。最後に、中間部材が負荷を受けた時に、長さ方向要素の形成された偏角が基本的に維持されるようにする手段が設けられる。
【0003】
この公知の装置の欠点は、特に、エネルギーを吸収するためには、中間部材が撓み要素の上で曲げられる又は撓ませられる(偏角を維持するためには、例えば2つのガイドスピゴットから成り得る特定の装置が設けられなければならない)という事実により、構築において比較的高レベルの努力が必要となることが、まずわかる。さらに、本発明の範囲内で実施されたテストにより、衝撃吸収の進行をより良く定義し最適化するための一般的なドキュメントの目的にも拘わらず、この場合、特に大量の負荷がケーブル内に導入される場合、さらなる改善が必要とされるということが示されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明の目的は、ケーブル内に導入される負荷の少なくとも実質的な線エネルギー吸収(linear energy absorption)が確保される、請求項1のプリアンブルに記載の保護システムを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。従属項は、本発明の有益な開発内容を含む。
【0006】
本発明に係る保護システムでは、材料ストリップと協動する変形装置が設けられ、材料ストリップが接続されたケーブルに張力がかかると、変形装置を通ってこの材料ストリップを直線状に誘導することができ、このように誘導する際に、エネルギーを吸収するために材料ストリップは変形されるという態様で協動する。本発明に従って、直線状のこの誘導は、一般的従来技術とは対照的に、材料ストリップの曲げ又は撓みが避けられるという事実にも拘わらず、エネルギー吸収が可能である態様で本発明に係る変形装置が構築されるため、材料ストリップの曲げ又は撓みはない。
【0007】
本発明に係る保護システムは、(冒頭部で示した技術上の問題をもたらす材料ストリップの撓みを回避するにも拘わらず)輪郭(プロファイル:profile)を備えた材料ストリップが変形装置によって平坦化されることで、エネルギー吸収を可能にするという概念に基づく。あるいは、平坦な(即ち輪郭がない(unprofiled)材料ストリップに、変形装置によって輪郭を与えることも可能であり、これにより、摩擦を加えることによって又はプラスチック変形によって、ケーブル内のブレーキ又は衝撃吸収のために必要なエネルギー吸収がもたらされる。
【0008】
原則的に、材料ストリップの輪郭として、あらゆるタイプの輪郭(例えば、L字型、U字型、V字型の輪郭又はO字型の輪郭(外形:プロファイル)さえも)が実現可能である。
【0009】
従って、この種の変形の場合でさえも、必要とされるエネルギー吸収を確実なものとするため、平坦な材料ストリップを上記の輪郭に形成することも実現可能である。
【0010】
本発明の他の利点は、例えば、材料ストリップが実際直線状に誘導され、従って撓みなしに、変形装置を通して誘導され、かつ張力がかけられたケーブルによって、変形装置を通して引っ張られるため、偏角を維持するために装置が必要ではないため、本発明に係る装置の構造形態をより簡素に設計することができるという事実である。
【0011】
さらに、変形部材と変形部材との間の変形ギャップを調節することによって、材料ストリップが直線状に引っ張られている間に望ましい形成の度合いを設定することが効果的に可能であり、エネルギー吸収の目的のため、材料ストリップの断面のみ又はその高さ及び/もしくは幅のみを減らすことも可能であり、この目的のために、最も簡単な場合では、適切に設定された変形キャップを画定する2つの固定変形シリンダーのみ又は回転可能なシリンダーさえも必要とされる。
【0012】
本発明に係る保護システムは、落石、木材の落下、地滑り等に対して(例えば、自動車レースのトラック沿いの安全フェンスのように)使用することができる。
【0013】
この種の保護システムは、当該システムの長さに応じて、間隔をあけ、かつ勾配上に固定することができる複数の支持部を備えた支持構造を有する。好ましくは網状層を設けることができるネットが、支持具に取り付けられる。この目的のため、上部及び下部支持ケーブルが設けられる。上部支持ケーブルは、支持具の支持ヘッドの領域にネットを担持し、下部支持ケーブルは、支持ベースの領域でネットを担持する。ネットの横方向では、上部及び下部支持ケーブルが、ロックアンカーを介して地面に取り付けられ、この領域において、かつ好ましくはネットの領域において、本発明に係るエネルギー散逸装置を設けることができる。原則的に、1本以上のケーブルのみを支持構造として使用することも可能であり、このケーブルは、ネットに張力をかける。
【0014】
特に好適な実施形態では、上部支持ケーブルと下部支持ケーブルとの間に、1つ以上の中央ケーブルが設けられ、この中央ケーブルは、例えばネットを通してループ状にすることでネットに接続できる。この接続は、システムの全長に亘って連続して実施することができ、又は中央ケーブルが支持構造のキャリアの上にかかる領域においては省くことができ、一例として示された通りループ状にして通すということはその領域においては行われない。
【0015】
中央ケーブルは、システムの全長に亘って延在し、保護システムの最も外側のキャリアの横方向の地面に固定され、この場合、再び、ロックアンカーを好適に設けることができ、その領域にはエネルギー散逸装置又はケーブルブレーキを設けることができ、これらは本発明の原則に従って設計される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のさらなる詳細、特徴及び効果は、図面を参照にして、以下に例示される実施形態の説明から明確になるであろう。
図1図1は、本発明に係る保護システムの概略側面図を示す。
図1A図1Aは、本発明に係る装置の第1の実施形態の図を示す。
図1B図1Bは、本発明に係る装置の第1の実施形態の図を示す。
図2A図2Aは、第2の実施形態の図を示す。
図2B図2Bは、第2の実施形態の図を示す。
図3A図3Aは、本発明に係る装置の第3の実施形態の図を示す。
図3B図3Bは、本発明に係る装置の第3の実施形態の図を示す。
図4A図4Aは、本発明に係る装置の第4の実施形態の図2Aに対応する図を示す。
図4B図4Bは、本発明に係る装置の第4の実施形態の図2Bに対応する図を示す。
図5A図5Aは、本発明に係る装置の第5の実施形態の図2Aに対応する図を示す。
図5B図5Bは、本発明に係る装置の第5の実施形態の図2Bに対応する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る保護システム23の概略図を示し、図1は側面図である。
【0018】
保護システム23は、例えば勾配の地中にロックアンカー34、37を介して固定することができる複数のキャリアから一般的に形成される、いわゆる支持構造を有する。保護システム23のシステム長に応じて、勾配H上に互いに選択された間隔を開けて並んで配置されえ得る、かかる複数のキャリアが設けられる。原則的に、かかるキャリアを1個のみ又は1つのケーブルアレンジメントのみを設けることも可能である。
【0019】
保護システム23は、図1に示される支持具25の支持ヘッド26’の領域において、支持ケーブルアレンジメント27を介して誘導されるネット24も有し、支持ケーブルアレンジメント27は、1つ又は2つの上部支持ケーブルを備えることが可能である。
【0020】
支持具25の支持ベース26の領域には、下部支持ケーブルアレンジメント28が設けられ、この下部支持ケーブルアレンジメント28は1つ又は2つの支持ケーブルから形成できる。
【0021】
図示された特に好適な例における上部支持ケーブルアレンジメント27と下部支持ケーブルアレンジメント28との間には、中央ケーブルアレンジメント29が設けられる。このケーブルアレンジメント29は、キャリア25上のガイド装置30及び31上を誘導できる1つ以上の中央ケーブルを有し得る。この場合、ガイド装置30及び31は、例えばシャックルとして設計することができる。
【0022】
さらに、図1による保護システム23の実施形態は、上部控え綱32及び下部控え綱33が設けられることを明らかにする。上部控え綱32は、勾配Hの地中の取付装置34(ロックアンカー)を介して、支持具25の支持ヘッド26’を保持し、その一方で、この固定は支持具25の下方域(支持ベース26)の下部控え綱33によって引き継がれる。図1に示される通り、これらの控え綱アレンジメント32、33のそれぞれにおいて、ブレーキ部材又はエネルギー散逸装置を接続することができ(図1ではブロック35によって象徴される)、このブレーキ部材又はエネルギー散逸装置は、本発明に係る散逸装置の上記実施形態に従って設計することができる。
【0023】
上部及び下部支持ケーブル(図1には示されていない)及び中央ケーブルの対応する固定は、本発明の原則に応じて設計することもできるエネルギー散逸装置36(エネルギー吸収構造又はケーブルブレーキともいう)によって実現することができ、これについては、以下本明細書において図1A図5Bを用いて説明する。この場合、散逸装置1を個々のケーブル27、28、29、32及び33それぞれに接続すること、又は複数のケーブル(例えば、ケーブル29及び32、33など)をかかる散逸装置1に割り当てることが可能である。
【0024】
図1A及び図1Bの組み合わせの図は、ケーブル3に作用する張力によってケーブル3に導入されたエネルギーを散逸又は吸収するための本発明に係る装置1の構造を示す。
【0025】
装置1はまず、長手方向に延び、かつ長手方向軸L及び選択可能な長さLAを有する変形可能な材料ストリップ2を有する。材料ストリップ2の長さLA及び材料厚さは、特定の使用に応じて、吸収される力又はエネルギーに適応させることができる。
【0026】
材料ストリップ2は、変形装置4の変形ギャップ7に形状が適合される導入部分2Aを有する。この場合、変形ギャップ7は、変形装置4内で互いに選択可能間隔Aをおいて配置され得る2つの変形部材5及び6によって画定される。図1A及び図1Bで示される実施形態では、変形ギャップ7は真直ぐであり、変形部材5及び6は回転可能ローラ又は固定された、好ましくは円筒形のスピゴット又はボルトとして設計される。変形部材5、6が回転可能ローラとして設計されると、その結果、ローラ上の滑りはないが、回転作用が生じるという効果がもたらされる。
【0027】
この目的のため、変形装置4は、その外形(contour)及び形状をそれぞれの場合の特定の使用に適応させることができる2つの間隔を開けた保持板8及び9を有する。当然ながら、このことは材料の厚さ及び材料の種類にも適用され、これは、変形装置4を、それぞれの場合に適用される力に適応させることができるということを意味する。
【0028】
保持板8及び9は、その間に2つの変形部材5及び6を受け、これら変形部材5及び6は、保持板8及び9のそれぞれの端部領域に、例えば溶接されて固定接続され又は回転可能に接続される。
【0029】
さらに、図1A及び図1Bは、それぞれの場合で保持板8と保持板9の間に配され、かつこれらに取り付けられている(例えば溶接されている)接続板10を示す。接続板10は、図1Aの例示によると、例えばシャックルの形態の接続部材12を取り付けることができる開口部11を有し、この接続部材12は、図1Aでは概略のみ示されているアンカー部材13(これは一般的にケーブルに接続される)に取り付けられる。しかしながら、ケーブル3が、ケーブル3などの1つ以上のケーブルによって誘導されるネットを用いて、山から落ちて来る転石を受け止める落石保護システムの一部である場合、このアンカー部材13は、例えば山側に固定される張力アンカーとして設計することもできる。しかし、装置1は、ケーブル又はケーブル部分3A、3Bの間に吊るすこともできる(図3B参照)。
【0030】
材料ストリップ2は、図1A及び図1Bに示される例ではL字型の輪郭形成部分(profiled portion)2Bも有する。しかし、冒頭部で説明した通り、図1A及び図1Bによる実施形態の材料ストリップ2としては、その他のあらゆる種類の変形可能輪郭(deformable profiles)が実行可能である。
【0031】
図1Aで例示されるように、導入部分2Aは接続片(シャックル)14に固定され、変形装置1がケーブル内に又はそのケーブルの一部と一部の間に設置される場合、この接続片(シャックル)14には、例えばケーブルループ15又はその他の適切な接続部材によって、固定張力アンカー又はケーブル3を接続することができる。
【0032】
図1A及び図1Bの実施形態による装置1は、以下の通り作動する。
【0033】
例えば、勾配保護システムによって転石を受け止めることによって、かかる勾配保護システムの一部となり得るケーブル3に張力がもたらされた場合、ケーブル3は、変形装置4の変形ギャップ7を通して材料ストリップ2を引っ張るが、その前に、変形ギャップ7の形状に適応された導入部分2Aは、変形ギャップ7内に導入され、かつケーブル3に接続されている。図1A及び図1Bの実施形態において、変形ギャップ7は直線であり、従って、変形ギャップ7への導入部分2Aの導入が可能になるように、導入部分2Aは平坦化される。材料ストリップ2が変形ギャップ7を通して引っ張られると、変形ストリップの輪郭形成部分2Bが変形ギャップの中に移動し、変形部材5及び6の影響によって、従って摩擦を生じることによって、輪郭形成部分2Bを平坦化し、かつプラスチック変形によって、ケーブル3に導入されたエネルギーが散逸される。材料ストリップ2は、撓むことなく変形ギャップ7全体を通して引っ張られ、これによって上述の効果がもたらされる。
【0034】
図2A及び図2Bでは、本発明に係る装置1の第2の実施形態が示され、これは基本的に第1の実施形態に対応しており、つまり、この実施形態に対応するすべての部分に同じ符号が与えられていることを意味する。よって、この点について、上述の説明を参照することができる。
【0035】
第2の実施形態は、補助的特徴として、保持板8と保持板9との間に配され、これらに接続され、かつこれらを通して延在する固定ボルト18を有する2つのタブ16及び17も、材料ストリップ2の開口部を通過する。このようにして、固定ボルト18が突っ切る力である定義されたトリガリング値(defined triggering value)まで材料ストリップ2が引き抜かれることを防ぐことができる。
【0036】
図3A及び図3Bの実施形態では、構造上図1A及び図1Bの部分と対応するすべての部分に同じ符号が与えられている。
【0037】
図3A及び図3Bに示される通り、この実施形態では、平坦な又は輪郭形成されていない(uncontoured)材料ストリップ2が、輪郭形成された変形ギャップ7’で外形又は輪郭を打ち抜き(スタンプ)加工され、これが今度はエネルギー吸収の目的に役立つ摩擦及びプラスチック変形をもたらすことで、ケーブル3内に導入されたエネルギーの散逸が可能になる。図3A及び図3Bに示された変形ギャップ7’の形状は、純粋に一例として示されているものであり、従って、その他の輪郭(この場合はU字型の輪郭)を生じるように修正することができる。
【0038】
図2A及び図2B又は図3A及び図3Bの図示に対応する態様で、図4A及び図4Bは、本発明に係るエネルギー散逸装置1(エネルギー吸収部材又はケーブルブレーキともいう)の第4の実施形態を示す。
【0039】
設計及び機能上、上述の実施形態に対応するすべての部材には同じ符号が与えられるため、その説明に関連して、図2A図2B図3A及び図3Bに関する上述の文章を参照することができる。
【0040】
図4A及び図4Bに係る実施形態は、さらなる特徴として、反キンク装置(anti−kink device)19を有する。例示された実施形態では、この反キンク装置19は、固定ボルト又は好ましくは回転可能ローラとして形成され、これは、保持板8と保持板9との間に配され、かつこれらに取り付けられるか、又は回転可能ローラの場合には、これらの2つの保持板8と保持板9との間で回転可能な態様で配される。この目的のため、例えば、保持板8及び9に固定軸をその端部領域で取り付けること、及びこの固定軸に回転可能ローラを配置することが実行可能である。
【0041】
図4Bの例示に従い、反キンク装置19は変形装置4から間隔を開けて配置される。この間隔を説明するために、図4Bは、材料ストリップ2が変形装置4に引き込まれる方向が矢印ERを示す。従って、方向ERで分かるように、反キンク装置19は変形装置4の上流に配されている。これは、材料ストリップ2が変形装置4を通して引っ張られる際に、図4Bにおいて選択された例示によると、まだ変形されていない輪郭部分2Bが図4Bにおいて下方向に捻じれることを回避できるように、変形されていない輪郭部分2Bが反キンク装置19上に支持されていることを意味する。かかる捻じれを回避することは、材料ストリップ2が変形装置4を通して引っ張られる際に、その際に生じる力のせいで変形装置4を通して材料ストリップを引っ張ることが不可能又はかなりより困難になるほど、変形されていない輪郭部分2Bが折り畳まないようにするために効果的である。
【0042】
図4A及び図4Bによる実施の形態がさらに明らかにするように、輪郭部分2Bの端部に端止め20が設けられる。この端止め20は、輪郭部分2Bの内側又は外側の1つ以上の突起を溶接することによって作ることができ、材料ストリップ2が装置1から引き抜かれることを防ぐ。なぜならば、止め20は、変形装置4で終端となることによって、このようにして材料ストリップ2が完全に引き抜かれることを防ぐからである。
【0043】
図5A及び図5Bは、本発明に係る装置の第5の実施形態を示し、これは、図4A及び図4Bによる実施形態と同様に反キンク装置を備え、この反キンク装置は図5A及び図5Bでは異なるデザインであるため、符号19’で示される。
【0044】
前述の実施形態に対応するその他すべての部分には、再び同じ符号が付されている。
【0045】
図5A及び図5Bの組み合わせの図が示す通り、反キンク装置19’は2つのシャックル12A及び12Bを有し、図5Bによると、このシャックル12A及び12Bはそれぞれ、装置1の側部領域で係合し、かつそれぞれケーブルループの一部19A及び19Bに接続部材13A、13B(この場合 ケーブルループ)を介して接続される。図5A及び図5Bの組み合わせの図で示される通り、このケーブルループ19A、19Bは、部分19A及び19Bが一緒になる接続リング22を介して、シャックル21に接続され、このシャックル21は次にケーブルループ21’等を介してケーブル3に接続される。このストリップ(特に図5Bの例示で示される通り)が中心に置かれ、従って折り畳み又は捻じれの動作を防ぐため、このアレンジメントによって、材料ストリップ2の輪郭部分2Bの捻じれ又は折り畳みが防止される。
【0046】
上述の反キンク装置19及び19’のさらに他の代替として(但し図面には示されていないが)、例えば、輪郭部分2Bの端部をケーブル内のシャックルを介して吊るすことによって、輪郭部分2Bの端部をケーブル3に適切な態様で接続することが実行可能であろう。
【0047】
本発明に係るエネルギー散逸装置1のすべての前述の実施形態には、材料ストリップ2、2’が設けられ、そのそれぞれの輪郭部分2Bは、突起を設けずに、止め20を設けることとは別に、平滑面を備えて形成されるべきであるということも記載すべきであろう。
【0048】
本発明の上記開示に加えて、本明細書において図面の図1図5の例示への明確な言及がなされている。
【符号の説明】
【0049】
1 エネルギー散逸装置
2、2’ 材料ストリップ
2A 導入部分
2B 輪郭部分
3 ケーブル
4 変形装置
5、6 変形部材
7、7’ 変形ギャップ
8、9 保持板
10 接続板
11 開口部
12、12A、12B 接続部材/シャックル
13、13A、13B アンカー/接続部材/張力アンカー/シャックル/ケーブルループ
14 接続部材/シャックル
15 接続部材/ケーブルループ
16、17 タブ
18 固定ボルト
19、19’ 反キンク装置
19A、19B ケーブルループの一部
20 止め
21 シャックル
21’ シャックル21の接続用のケーブルループ
23 保護システム
24 ネット
25 キャリア
26 支持ベース
26’ 支持ヘッド
27 上部支持ケーブルアレンジメント
28 下部支持ケーブルアレンジメント
29 中央ケーブルアレンジメント
30、31 ケーブルガイド部材(シャックル)
32、33 上部及び下部控え綱アレンジメント
34、37 取付部材(ロックアンカー)
35、36 エネルギー散逸装置(ケーブルブレーキ、エネルギー吸収部材)
L 長手方向軸
LA 長さ
A 間隔
P 輪郭
H 勾配
ER 引込方向
図1
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B