特許第6268136号(P6268136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268136
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】熱収縮性多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20180115BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20180115BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B32B27/00 A
   G09F3/04 C
   B65D23/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-197420(P2015-197420)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-71064(P2017-71064A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 唯純
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/080777(WO,A1)
【文献】 特開2008−174728(JP,A)
【文献】 特開2008−173962(JP,A)
【文献】 特開2006−281584(JP,A)
【文献】 特開2001−341250(JP,A)
【文献】 特開2007−253349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B65D 23/08
G09F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏層と中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、
前記表裏層は、環状オレフィン系樹脂を60〜80重量%、エチレン系樹脂を20〜40重量%含有し、
前記中間層は、オレフィン系樹脂を50〜80重量%、可塑性樹脂を20〜50重量%含有し、前記中間層を構成する樹脂成分の合計を100モル%としたとき、プロピレン成分を35〜70モル%、エチレン成分を1〜10モル%及びブテン成分を1〜10モル%含有し、
前記可塑性樹脂は、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、又はこれらの水素添加物誘導体であることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項2】
表裏層を構成するエチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項3】
密度が1000kg/m未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の熱収縮性多層フィルムを含むことを特徴とする熱収縮性ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密度が低く、優れた収縮特性及び高い剛性を有するとともに、層間剥離が生じにくく、透明性にも優れた熱収縮性多層フィルムに関する。また、該熱収縮性多層フィルムを含む熱収縮性ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットボトル、金属罐等の容器の多くには、熱可塑性樹脂からなる熱収縮性多層フィルムに印刷等を施した熱収縮性ラベルが装着されている。
熱収縮性多層フィルムには、低温収縮性に加えて、耐熱性、耐溶剤性、ミシン目カット性等の種々の性能が要求されている。
このような、熱収縮性ラベルの材料としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン等が用いられている。
【0003】
また、ペットボトルは、リサイクルのために使用後回収したペットボトルからフレークやペレットに再生されることが多くなっている。消費者がペットボトルと熱収縮性ラベルとを分別して廃棄しやすくするため、熱収縮性ラベルには予めミシン目加工が施される。しかしながら、熱収縮性ラベルが剥がされずに廃棄されるペットボトルも多く存在する。
【0004】
この場合、回収されたペットボトルは、数mmから10mm角程度に粉砕され、比重分離機によって、密度が1000kg/m未満の熱収縮性ラベル粉砕体やキャップが除去される。更に、風力分離機によって、密度が1000kg/m以上の熱収縮性ラベル粉砕体が除去される。このようにして不純物を除去されたペットボトル粉砕体から、所期の再生ペットフレークや再生ペットペレットが得られる。
【0005】
ここで、比重分離機とは、粉砕体を水中に入れ、水に浮くもの(密度が1000kg/m未満の熱収縮性ラベル粉砕体やキャップ等)と水に沈むもの(密度が1000kg/m以上の熱収縮性ラベル粉砕体やペットボトル粉砕体等)とを分離する装置であり、また、風力分離機とは、粉砕体を拡げて、下から風を当て熱収縮性ラベル粉砕体を吹き飛ばす装置である。各々の原理から、比重分離機は単位時間当たりの処理能力が高いのに対し、風力分離機は処理能力が低い。このため、比重分離機で除去できる密度が1000kg/m未満の熱収縮性ラベルが求められている。
【0006】
しかしながら、ポリスチレンやポリエステルを用いた熱収縮性ラベルは密度が1000kg/mより大きいため、リサイクル工程において比重分離機で分離できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1には、環状オレフィン系樹脂を用いた中間層を有する熱収縮性ラベルが記載されている。しかしながら、このようなポリオレフィンを用いた熱収縮性ラベルは密度が1000kg/m未満であるものの、熱収縮率が低いため、ペットボトル等の容器に装着する際に充分に収縮せず、仕上がり性が悪いという問題があった。更に、ポリオレフィンを用いた熱収縮性ラベルは、剛性が低く、自動装着機等の機械への適性が悪く、ラベル詰まり等のトラブルを引き起こしやすいという問題があった。
そこで、低密度を達成するとともに、収縮性や剛性にも優れた熱収縮性ラベルが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/080777号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みて、密度が低く、優れた収縮特性及び高い剛性を有するとともに、層間剥離が生じにくく、透明性にも優れた熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。また、該熱収縮性多層フィルムを含む熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、表裏層と中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、前記表裏層は、環状オレフィン系樹脂を60〜80重量%、エチレン系樹脂を20〜40重量%含有し、前記中間層は、オレフィン系樹脂を50〜80重量%、可塑性樹脂を20〜50重量%含有し、前記中間層を構成する樹脂成分の合計を100モル%としたとき、プロピレン成分を35〜70モル%、エチレン成分を1〜10モル%及びブテン成分を1〜10モル%含有し、前記可塑性樹脂は、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、又はこれらの水素添加物誘導体であることを特徴とする熱収縮性多層フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
【0011】
本発明者らは、中間層を構成する樹脂がプロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分を所定の割合で含有することにより、低密度を達成しつつ、優れた収縮特性及び高い剛性を発揮することを見出した。更に、層間剥離を抑制して、透明性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表裏層と中間層とを有する。
本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。
【0013】
上記表裏層は、環状オレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂を含有することで、結晶性を低下させ、熱収縮率が高められるとともに、フィルム製膜時の延伸性も向上することができる。
【0014】
上記環状オレフィン系樹脂としては、(a)エチレン又はプロピレンと環状オレフィン(例えば、ノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体等)との共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体又はα−オレフィンとの共重合体、(c)上記(b)の重合体の水素添加物、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による上記(a)〜(c)のグラフト変性物等が挙げられる。
また、上記環状オレフィン系樹脂の市販品としては、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アペル(三井化学社製)、トパス(ポリプラスチックス社製)等が挙げられる。
【0015】
上記環状オレフィンとしては特に限定されず、例えば、具体的には例えば、ノルボルネン、6−メチルノルボルネン、6−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、6−nーブチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン等が挙げられる。
また、テトラシクロドデセン及びその誘導体としては、例えば、8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン等が挙げられる。
【0016】
上記表裏層における上記環状オレフィン系樹脂の含有量は、下限が60重量%、上限が80重量%である。
上記下限以上上限以下であると、熱収縮性多層フィルムの取扱い性や透明性を良好なものとすることができる。
上記環状オレフィン系樹脂の含有量は、好ましい下限が65重量%、好ましい上限が75重量%である。
【0017】
上記環状オレフィン系樹脂のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により測定される数平均分子量は1000〜100万であることが好ましい。上記範囲内とすることで、フィルムの製膜が容易になる。
【0018】
上記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は20〜130℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃である。上記ガラス転移温度が20℃以上であると、フィルム表面の耐熱性を良好なものとして、装着ライン上で容器同士のブロッキングの発生を抑制することができ、又、自然収縮率を良好な範囲とすることができる。130℃以下であると、横方向の熱収縮率を充分に大きくすることができる。
【0019】
上記環状オレフィン系樹脂の密度は1000〜1050kg/mであることが好ましく、1010〜1040kg/mであることがより好ましい。
【0020】
上記環状オレフィン系樹脂は、230℃でのMFR(メルトフローレート)が1〜10g/minであることが好ましい。
【0021】
上記表裏層は、更に、エチレン系樹脂を含有することが好ましい。
上記表裏層に含まれる環状オレフィン系樹脂は、皮脂等の脂肪酸エステル等に弱く、容器等に装着して収縮させるまでに人が手で触れる機会があった時に、接触した手の指紋のついた部分が収縮後に白化することがあり、これを改善するためにエチレン系樹脂をさらに含有させることがある。上記エチレン系樹脂を含有することで、優れた耐脂性を付与することが可能となる。
【0022】
上記表裏層における上記エチレン系樹脂の含有量は、下限が20重量%、上限が40重量%である。
上記エチレン系樹脂の含有量が、上記下限以上上限以下であると、得られる熱収縮性多層フィルムの熱収縮率を充分に高めることができる。
上記エチレン系樹脂の含有量は、好ましい下限が25重量%、好ましい上限が35重量%である。
【0023】
上記エチレン系樹脂としては、密度880〜940kg/mであり、190℃でのMFRが0.1〜30g/10minのものを用いることが好ましい。これにより、上記環状オレフィン系樹脂との相溶性が良くなり、透明性の悪化が最小限に抑えられる。
【0024】
上記エチレン系樹脂のビカット軟化温度は、90〜110℃であることが好ましい。なお、ビカット軟化温度は、JISK−7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
また、上記エチレン系樹脂の融点は、100〜120℃であることが好ましい。
【0025】
上記エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。なかでも、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0026】
上記直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度880〜940kg/mであり、190℃でのMFRは0.1〜30g/10minのものを用いることが好ましい。
上記直鎖状低密度ポリエチレンのうち、市販品として例えば、エボリューSP1520(プライムポリマー社製)、ユメリット1520F(宇部丸善ポリエチレン社製)、スミカセンEFV402(住友化学社製)等が挙げられる。
【0027】
上記表裏層は、更に、有機系微粒子を含有していてもよい。
上記有機系微粒子としては、アクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、スチレン―アクリル系樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子等の有機系微粒子を用いることができる。これらは架橋されていても架橋されていなくてもよいが、微粒子の耐熱性を高めるために架橋されていることが望ましい。中でも上記環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点からアクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメタクリル酸メチル系架橋微粒子がより好ましい。
また、上記有機系微粒子のうち、市販品としては、例えば、テクポリマー(積水化成品工業社製)、ファインスフェア(日本ペイント社製)、ガンツパール(アイカ工業社製)、アートパール(根上工業社製)等が挙げられる。
【0028】
上記有機系微粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。0.1μm未満であると、フィルムのブロッキング防止の機能が付与されないことがあり、20μmを超えても、フィルムのブロッキング防止の機能が付与されないことがある。より好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は10μmである。更に好ましい下限は1μm、更に好ましい上限は5μmである。なお、本発明では、平均粒子径の異なる有機系微粒子を組み合わせて使用してもよい。有機系微粒子の平均粒子径は公知のレーザー回折・散乱法等で測定することができる。
【0029】
上記有機系微粒子の含有量は、下限が0.01重量%、上限が0.3重量%である。
0.01重量%未満であると、フィルムの動摩擦係数が悪くなり、0.3重量%を超えると、透明性が悪くなる。好ましい下限は0.03重量%、好ましい上限は0.2重量%である。
【0030】
上記中間層は、オレフィン系樹脂を含有する。
上記オレフィン系樹脂を含有することで、熱収縮性多層フィルムの密度を低く抑えることができる。
【0031】
上記オレフィン系樹脂としては、オレフィン類の単独重合体、相互共重合体、及びこれらの混合樹脂等が挙げられる。具体的には、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0032】
上記エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、又は、これらの混合物が挙げられる。また、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
なかでも、エチレン−ブテン共重合体が好ましく用いられる。
上記エチレン系樹脂のうち、市販品として例えば、ネオゼックス2012F(プライムポリマー社製)、ノバテックUF240(日本ポリエチレン社製)等が挙げられる。
【0033】
上記エチレン系樹脂の密度は880〜950kg/mであることが好ましい。
上記エチレン系樹脂の190℃でのMFRは0.1〜10g/10minであることが好ましい。
上記エチレン系樹脂の融点は110〜130℃であることが好ましい。
上記エチレン系樹脂のビカット軟化点温度は90〜120℃であることが好ましい。
【0034】
上記プロピレン系樹脂としては、熱収縮性を発現するという観点から、プロピレンを主成分とし、α−オレフィンを共重合成分とする二元、または三元共重合体が好ましい。上記共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等からなるものが好ましく、2種類以上のα−オレフィンを含んでいても良い。共重合成分であるα−オレフィンの比率は1〜10モル%であるのが好ましい。
また、上記プロピレン系樹脂としては、異なるプロピレン−α−オレフィン共重合体の混合物であってもよい。
なかでも、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体、プロピレン−エチレン二元共重合体、プロピレン−ブテン二元共重合体が好ましく用いられる。
上記プロピレン系樹脂のうち、市販品として例えば、Adsyl 5C30F(Basell社製)、ノバテックFX4G(日本ポリプロ社製)、ポリプロピレンPC540R(サンアロマー社製)等が挙げられる。
【0035】
上記プロピレン系樹脂の密度は880〜950kg/mであることが好ましい。
上記プロピレン系樹脂の190℃でのMFRは0.1〜10g/10minであることが好ましい。
上記プロピレン系樹脂の融点は120〜140℃であることが好ましい。
上記プロピレン系樹脂のビカット軟化点温度は110〜130℃であることが好ましい。
【0036】
上記オレフィン系樹脂は、オレフィン系エラストマー樹脂も含む。
【0037】
上記オレフィン系エラストマー樹脂としては、エチレン/α−オレフィン共重合体エラストマー、プロピレン/α−オレフィン共重合体エラストマーを用いることが好ましい。上記共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
上記エチレン/α−オレフィン共重合体エラストマー、上記プロピレン/α−オレフィン共重合体エラストマーとは、炭素数4以上のα−オレフィンの共重合成分が15モル%以上のエラストマーである。ここでα−オレフィンとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
なかでも、エチレン/ブテン共重合体エラストマー、プロピレン/ブテン共重合体エラストマーが好ましい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂のうち、市販品として例えば、タフマーA4085S(三井化学社製)、タフマーXM7070(三井化学社製)等が挙げられる。
【0038】
上記エチレン/ブテン共重合体エラストマーは、エチレン成分を70モル%〜90モル%、ブテン成分を10〜30モル%含有することが望ましい。
また、上記プロピレン/ブテン共重合体エラストマーは、プロピレン成分を65〜85モル%、ブテン成分を15〜35モル%含有することが望ましい。
上記構成を有することにより、熱収縮性多層フィルムに高収縮性を付与することができ、さらに低温での伸度保持性に優れたフィルムを得ることができる。
【0039】
上記オレフィン系エラストマー樹脂の密度は850〜950kg/mであることが好ましい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂の190℃でのMFRは2〜8g/10minであることが好ましい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂の230℃でのMFRは3〜10g/10minであることが好ましい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂の融点は60〜80℃であることが好ましい。
上記オレフィン系エラストマー樹脂のビカット軟化点温度は50〜75℃であることが好ましい。
【0040】
上記中間層を構成する上記オレフィン系樹脂は、単独の樹脂であってもよく、複数の樹脂を組み合わせた混合樹脂であってもよい。
【0041】
上記中間層は、上記オレフィン系樹脂を50〜80重量%含有する。
上記オレフィン系樹脂の含有量が50重量%以上であると、熱収縮性多層フィルムの密度を低く抑えることができ、さらに高収縮性を付与することができる。上記オレフィン系樹脂の含有量が80重量%以下であると、高剛性の熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
上記オレフィン系樹脂の含有量は、55〜75重量%であることが好ましく、60〜70重量%であることがより好ましい。
【0042】
上記中間層は、可塑性樹脂を含有する。
本発明において、上記可塑性樹脂とは、可塑性を有する樹脂であって、上記オレフィン系樹脂以外の樹脂を意味する。
上記可塑性樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、又はこれらの水素添加物誘導体等が挙げられる。
【0043】
上記石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂等が挙げられる。
ここで石油樹脂は、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン、ブタジエン等の有用な化合物を得ているが、それを取り去った残りのC4〜C5留分(主としてC5留分)あるいは、C5〜C9留分(主としてC9留分)を混合状態のまま重合して得られた樹脂をいう。原料のオレフィン留分の組成比率によって生成樹脂の性質が異なるが、分子量200〜2000、軟化点5〜160℃の透明な淡黄色ないし黄褐色の松脂(まつやに)状樹脂である。
【0044】
上記テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂等が挙げられる。
テルペン樹脂は、植物の精油に含まれる成分として知られており、その化学構造は炭素数5のイソプレンを単位とした天然物の一群から生成された樹脂である。メバロン酸経路で生合成され、イソペンテニルピロリン酸が頭−尾(head−to−tail)結合したタイプの化合物である。また、イソプレン単位の数に応じて、へミテルペン(C)、モノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、トリテルペン(C30)等のように分類される。
【0045】
上記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が挙げられる。
ロジン系樹脂とは、松科の植物に多量に含まれる松脂に不揮発性の成分であり、一般的には樹脂酸とよばれる各種異性体を主成分として生成された樹脂である。
上記樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸の共役二重結合を有する樹脂酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
【0046】
上記可塑性樹脂のうち、市販品としては例えば、アルコン(荒川化学工業社製)、クリアロン(ヤスハラケミカル社製)、アイマーブ(出光興産社製)等が挙げられる。
【0047】
上記可塑性樹脂としては、軟化温度が100〜150℃であるものを用いることが好ましい。より好ましくは110〜140℃である。上記可塑性樹脂の軟化温度を上記範囲内とすることで、良好な熱収縮性を発現することができる。
【0048】
また、上記可塑性樹脂の密度は、950〜1050kg/mであることが好ましく、980〜1020kg/mであることがより好ましい。
上記可塑性樹脂の密度を上記範囲内にすることで、高剛性を付与したフィルムを得ることができる。
【0049】
上記可塑性樹脂の数平均分子量は500〜1000であることが好ましく、600〜900であることがより好ましい。
上記可塑性樹脂の数平均分子量を上記範囲内にすることで、高剛性を付与したフィルムを得ることができる。
【0050】
上記可塑性樹脂の20℃における屈折率は1.0〜2.0であることが好ましく、1.2〜1.8であることがより好ましい。
上記可塑性樹脂の屈折率を上記範囲内にすることで、良好な透明性を保持したフィルムを得ることができる。
【0051】
上記中間層は、上記可塑性樹脂を20〜50重量%含有する。
上記可塑性樹脂の含有量が20重量%以上であると、熱収縮性多層フィルムに高収縮性を付与することができ、且つ高剛性のフィルムを得ることができる。上記可塑性樹脂の含有量が50重量%以下であると、低温での伸度低下と層間での剥離を抑制することができ、さらに熱収縮性多層フィルムの密度を低く抑えることができる。
上記可塑性樹脂の含有量は、25〜45重量%であることが好ましく、30〜40重量%であることがより好ましい。
【0052】
上記中間層を構成する樹脂成分の合計を100モル%としたとき、上記中間層を構成する樹脂は、プロピレン成分を35〜70モル%、エチレン成分を1〜10モル%及びブテン成分を1〜10モル%含有する。
上記成分を上記範囲内で含有することにより、本発明の熱収縮性多層フィルムは、収縮性を充分に付与することができるとともに、フィルムの剛性を高くすることができる。
【0053】
上記中間層を構成する樹脂におけるプロピレン成分の含有量の下限は35モル%、上限は70モル%である。
上記プロピレン成分の含有量が上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムに高い剛性と高い収縮性を付与することができる。
上記プロピレン成分の含有量の好ましい下限は40モル%、より好ましい下限は50モル%、好ましい上限は60モル%、より好ましい上限は55モル%である。
【0054】
上記中間層を構成する樹脂におけるエチレン成分の含有量の下限は1モル%、上限は10モル%である。
上記エチレン成分の含有量が上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムの層間剥離の抑制と透明性の向上に繋がる。
上記エチレン成分の含有量の好ましい下限は1.5モル%、より好ましい下限は2.0モル%、好ましい上限は5.0モル%、より好ましい上限は4.0モル%である。
【0055】
上記中間層を構成する樹脂におけるブテン成分の含有量の下限は1モル%、上限は10モル%である。
上記ブテン成分の含有量が上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムに高い収縮性を付与することができ、透明性を向上させることができる。
上記ブテン成分の含有量の好ましい下限は2.0モル%、より好ましい下限は4.0モル%、好ましい上限は8.0モル%、より好ましい上限は6.0モル%である。
【0056】
上記中間層を構成する樹脂におけるプロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分の合計含有量は、好ましい下限が50モル%、好ましい上限が80モル%である。
上記合計含有量が上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムの密度を低く抑えることができ、さらに高い収縮性と透明性を付与することができる。
上記合計含有量は、より好ましい下限が55モル%、より好ましい上限が75モル%である。
【0057】
上記プロピレン成分、上記エチレン成分及び上記ブテン成分とは、それぞれ上記中間層を構成する樹脂におけるプロピレンに由来する成分、エチレンに由来する成分、及び、ブテンに由来する成分を意味する。
上記中間層を構成する樹脂は、プロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分以外のその他の成分を含有してもよい。
上記中間層を構成する樹脂におけるプロピレン成分、エチレン成分、ブテン成分、及びその他の成分の合計は100モル%である。
上記中間層を構成する樹脂におけるプロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分の含有量は、例えば、中間層を構成する原料樹脂中のプロピレン成分、エチレン成分、ブテン成分の含有量をNMR(核磁気共鳴法)により測定し、得られた各成分の含有量と中間層における各原料樹脂の配合割合に基づいて算出することができる。
例えば、中間層を構成する樹脂が単独の樹脂である場合、中間層におけるプロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分の含有量は、NMRにより測定することができる。
また、中間層を構成する樹脂が、複数の樹脂を組み合わせた混合樹脂である場合、中間層におけるプロピレン成分、エチレン成分及びブテン成分の割合は、中間層を構成する原料樹脂中のプロピレン成分、エチレン成分、ブテン成分及びその他の成分の含有量をNMRにより測定し、中間層における各原料樹脂の配合割合に基づいて算出することができる。
更に、中間層を構成する樹脂が単独の樹脂である場合及び複数の樹脂を組み合わせた混合樹脂である場合の何れにおいても、中間層を構成する樹脂中のプロピレン成分、エチレン成分、ブテン成分の含有量をNMRにより測定してもよい。
【0058】
上記表裏層及び中間層には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0059】
本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さは、好ましい下限が20μm、好ましい上限が80μmであり、より好ましい下限が25μm、より好ましい上限が70μmである。熱収縮性多層フィルム全体の厚さが上記範囲内であると、優れた熱収縮性、印刷又はセンターシール等の優れたコンバーティング性、優れた装着性が得られる。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層の厚さは、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限が50%、好ましい上限が90%である。上記中間層の厚さが上記範囲内であると、高い層間強度、高い透明性等が得られる。
【0060】
本発明の熱収縮性多層フィルムの動摩擦係数は、好ましい下限が0.3、好ましい上限が0.55であり、より好ましい下限が0.4、より好ましい上限が0.5である。上記動摩擦係数を上記範囲内とすることで、ブロッキング等の不具合を防止できる。また、得られる熱収縮性多層フィルムの取扱い性を向上させることができる。
【0061】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、密度が1000kg/m未満であることが好ましい。
上記密度が1000kg/m未満であると、熱収縮性ラベルを装着した容器のリサイクルの際に、比重分離機により、容易に分離することができる。
上記密度は980kg/m未満であることがより好ましく、960kg/m未満であることが更に望ましい。
【0062】
本発明の熱収縮性多層フィルムを90℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向(TD方向)の熱収縮率は、好ましい下限が60%である。上記熱収縮率が60%以上であると、しわや歪み等の収縮不良の問題を起こすことがなく、熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
上記熱収縮率は、より好ましい下限が62%、好ましい上限が70%である。
【0063】
本発明の熱収縮性多層フィルムを5℃雰囲気下での主収縮方向と直交する方向(MD方向)における引張破断伸度は、好ましい下限が100%である。
上記引張破断伸度が100%以上であると、印刷・シール加工等の工程において、フィルムの破断が生じにくく、生産性が向上する。
上記引張破断伸度は、より好ましい下限が200%、好ましい上限が400%である。
【0064】
本発明の熱収縮性多層フィルムを40℃雰囲気下で7日間静置した場合の主収縮方向(TD方向)における自然収縮率は、3.0%未満であることが好ましい。
上記自然収縮率が3.0%未満であると、保管の際の収縮が小さく、収縮不良等の問題を起こすことがなく、熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
上記自然収縮率は、2.8%未満であることがより好ましい。
【0065】
本発明の熱収縮性多層フィルムの層間剥離強度は、好ましい下限が0.4N/10mmである。
上記層間剥離強度が、0.4N/10mm以上であると、印刷・シール加工やラベル装着時に表裏層と中間層との剥離が生じにくく、熱収縮性ラベルとして好適に用いることができる。
【0066】
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法は特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好ましい。上記共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
【0067】
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては、具体的には、例えば、上記表裏層を構成する原料と、必要に応じて中間層を構成する原料をそれぞれ押出機に投入し、ダイスによりシート状に押出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法が挙げられる。
上記延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。延伸温度はフィルムを構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性等に応じて変更されるが、好ましい下限は65℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は70℃、より好ましい上限は115℃である。主収縮方向の延伸倍率はフィルムを構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であって、好ましくは7倍以下、より好ましくは6倍以下である。このような延伸温度及び延伸倍率とすることにより、優れた厚み精度を達成することができる。
【0068】
本発明の熱収縮性多層フィルムの用途は特に限定されないが、本発明の熱収縮性多層フィルムは、ミシン目のカット性に優れ、耐落下衝撃性に優れるとともに、透明性にも優れることから、例えば、ペットボトル、金属罐等の容器に装着される熱収縮性ラベルのベースフィルムとして好適に用いられる。
【発明の効果】
【0069】
本発明によれば、密度が低く、優れた収縮特性及び高い剛性を有するとともに、層間剥離が生じにくく、透明性にも優れた熱収縮性多層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0071】
(実施例1〜15及び比較例1〜10)
表裏層及び中間層を構成する原料樹脂として表1に示す樹脂を表2及び表3に示す割合で配合し、表裏層及び中間層を構成する混合樹脂を得た。
上記表面層、中間層及び裏面層を構成する混合樹脂を、別の押出機を用いて、表面層、裏面層はバレル温度210℃、中間層はバレル温度180℃で溶融させ、Tダイから押出し、30℃に冷却したロールで冷却固化し、未延伸シートを作製した。これを温度90℃のテンター式延伸機でTD方向に5倍延伸し、表面層/中間層/裏面層を8.35μm/33.3μm/8.35μmの厚みとし、総厚みを50μmのフィルムとした。
なお、中間層を構成する樹脂におけるプロピレン成分、エチレン成分及びブチレン成分の含有量はNMR(核磁気共鳴法)を用いて測定した。
【0072】
(評価)
実施例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表2及び表3に示した。
【0073】
(1)密度
実施例及び比較例で得られたフィルムを、MD100mm×TD100mmの大きさのサンプルにカットし試験片を得た。得られた試験片について、エタノール溶媒を用いた比重測定器(Alfa Mirage社製 Electronic Densimeter MD−300S)を用いて密度を測定した。各実施例及び比較例で得られたフィルムについて、10枚の試験片の密度を測定し、その平均値を算出し、以下の基準で評価した。
○:密度が1000kg/m未満
×:密度が1000kg/m以上
【0074】
(2)熱収縮率
実施例及び比較例で得られたフィルムを、MD100mm×TD100mmの大きさのサンプルにカットし試験片を得た。得られた試験片を、90℃の温水に10秒間浸漬させた後、熱収縮性多層フィルムを取り出し、15℃の水に5秒間浸漬し、次式に従いTD方向の熱収縮率を求めた。なお、収熱縮率は、各実施例及び比較例につき、3つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。
熱収縮率(%)={(100−L)/100}×100(Lは収縮後のTD方向の長さを示す。)
得られた熱収縮率を以下の基準で評価した。
○:60%以上
×:60%未満
【0075】
(3)ヤング率
実施例及び比較例で得られたフィルムを、MD250mm×TD5mmの大きさのサンプルにカットし試験片を得た。得られた試験片を、東洋精機製作所社製ストログラフVE−1Dを用いてASTM D882に準拠した方法で測定した。なお、ヤング率は、各実施例及び比較例につき、7つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。得られたヤング率を以下の基準で評価した。得られたヤング率を以下の基準で評価した。
○:MD方向1.5GPa以上及びTD方向2.0GPa以上
×:MD方向1.5GPa未満又はTD方向2.0GPa未満
【0076】
(4)自然収縮率
実施例及び比較例で得られたフィルムを、MD100mm×TD100mmの大きさにカットし試験片を得た。得られた試験片を恒温器(ヤマト科学社製IL−82)に庫内温度40℃で7日間静置し、TD方向の寸法変化を測定した。なお、自然収縮率は、各実施例及び比較例につき、2つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。得られた自然収縮率を以下の基準で評価した。
○:3.0%未満
×:3.0%以上
【0077】
(5)引張破断伸度
実施例及び比較例で得られたフィルムを、標線間隔40mm及び幅10mmの大きさにカットし試験片を得た。得られた試験片を、東洋精機製作所社製ストログラフVE−1Dを用いてJISK−6732に準拠した方法で測定した。ただし、測定雰囲気温度5℃、試験速度100mm/minにて測定した。なお、引張破断伸度は、各実施例及び比較例につき、5つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。なお、得られた引張破断伸度を以下の基準で評価した。
○:100%以上
×:100%未満で試験片が破断した
【0078】
(6)ヘイズ
実施例及び比較例で得られたフィルムを、50mm×100mmの大きさにカットし試験片を得た。得られた試験片について、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH5000)を用いてJISK−7136に準拠した方法で測定した。なお、ヘイズについては、各実施例及び比較例につき、4つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。得られたヘイズを以下の基準で評価した。
○:7.0%未満
×:7.0%以上
【0079】
(7)層間剥離強度
実施例及び比較例で得られたフィルムを、幅10mmの短冊状にカットし試験片を得た。得られた試験片について、離着性強度試験機(新東科学製HEIDON TYPE17)を用い、試験速度200mm/minで、フィルム表裏層と中間層間の剥離強度を測定した。なお、層間剥離強度については、各実施例及び比較例につき、4つの試験片を用いて測定し、その平均値を算出した。得られた層間剥離強度を以下の基準で評価した。
○:0.4N/cm以上
×:0.4N/cm未満
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、密度が低く、優れた収縮特性及び高い剛性を有するとともに、接着力や透明性にも優れた熱収縮性多層フィルムを提供することができる。