(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268171
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】生物分析を行うシステム及び器具
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20180115BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N35/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-520889(P2015-520889)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-522168(P2015-522168A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2013063555
(87)【国際公開番号】WO2014009168
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年5月10日
(31)【優先権主張番号】12175582.1
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514281751
【氏名又は名称】バイオカーティス エヌ ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン メールベーゲン,バート
(72)【発明者】
【氏名】ペンテルマン,ローエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルガウヴェ,ニコラス
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/146754(WO,A1)
【文献】
特開2008−151772(JP,A)
【文献】
米国特許第05863502(US,A)
【文献】
特開2005−065607(JP,A)
【文献】
特開2005−130851(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/048251(WO,A1)
【文献】
特開2012−013677(JP,A)
【文献】
特開2011−030522(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0104485(US,A1)
【文献】
特表2009−529883(JP,A)
【文献】
特開2010−078508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物分析を行うためのシステムであって、
− 分析されるべき液体を収容するのに適した変形可能なチャンバを有するカートリッジと、
− 前記変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するために弾性力の下で前記カートリッジの下面と接触するよう配置される加熱面を有するヒータとを含み、
該ヒータによる前記液体の加熱中の前記変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために前記変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、前記ヒータの前記加熱面は、前記弾性力に抗して第1の位置から該第1の位置と異なる少なくとも第2の位置に移動可能であり、
当該システムは、
インターフェイス板を有する器具を含み、該器具は、前記生物分析の間に前記カートリッジの下面と前記器具の前記インターフェイス板との間の接触を制御し且つ維持するように構成され、
前記カートリッジは、前記器具によって前記カートリッジの上に適用される真空力によって前記インターフェイス板の上に維持されることを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記ヒータの前記加熱面は、前記変形可能なチャンバによって前記第1の位置から前記第2の位置に移動させられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加熱面は、前記液体の加熱中に前記変形可能なチャンバと接触する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記器具は、前記ヒータを前記変形可能なチャンバに対して押すよう配置される弾性素子を含む、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記器具は、ヒータ位置制御手段を含み、
該ヒータ位置制御手段は、
− 前記ヒータの前記加熱面が前記液体の加熱中に前記第1の位置から前記少なくとも第2の位置に移動するのを可能にし、且つ
− 前記液体を加熱する以外の操作が行われるときに前記ヒータの前記加熱面を前記第1の位置に維持するよう、配置され、
前記液体を加熱する以外の操作は、前記変形可能なチャンバから前記液体を排出する操作を含む、
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ヒータ位置制御手段は、空圧シリンダである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カートリッジは、前記カートリッジの外面に配置される弾性膜を含み、該弾性膜の一部が前記変形可能なチャンバの壁であり、前記変形可能なチャンバは、前記カートリッジが有する出口に流体連通する部分に設けられたフィルタを含み、前記ヒータの前記加熱面は、前記フィルタを湿らせる操作中に、前記壁を形成する前記弾性膜の前記一部を前記フィルタに対して押すよう配置される、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ヒータは、変形可能である、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ヒータは、前記カートリッジの前記下面に面して前記器具に形成された凹部内に配置される、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するよう配置される加熱面を有するヒータを含む器具であって、
当該器具は、生物分析を行うために、分析されるべき液体を収容するのに適した前記変形可能なチャンバを有するカートリッジと協働するように構成され、
当該器具は、インターフェイス板を有し、当該器具は、前記生物分析の間に前記カートリッジの下面と前記器具の前記インターフェイス板との間の接触を制御し且つ維持するように構成され、
当該器具は、当該器具が前記カートリッジの上に適用する真空力によって前記カートリッジを前記インターフェイス板の上に維持し、
前記ヒータの前記加熱面は、前記変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するために弾性力の下で前記カートリッジの下面と接触するよう配置され、
前記ヒータによる前記液体の加熱中の前記変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために前記変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、前記弾性力に抗して前記ヒータの前記加熱面は、第1の位置から該第1の位置と異なる少なくとも第2の位置に移動可能である、
器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物分析を行うためのシステムに関する。典型的には、そのようなシステムは、生物サンプルを保持するよう設計されるカートリッジを含み、DNA分析のような特別な所望の分析を行うために所望の成分を準備し且つ生物サンプルから隔離する流体回路を含む。これらのシステムは、分析手段を含む器具も含み、器具は、カートリッジが簡素化され且つ一度だけ使用されて使用後に捨てられるよう設計され得るよう、カートリッジに命令し且つカートリッジを制御するよう配置される。
【背景技術】
【0002】
例えば、文献WO2009/149115A1は、生物検定を行い且つ変形可能なチャンバを有するカートリッジを開示している。変形可能なチャンバ内で、分析されるべき物質を含有する液体に対して幾つかの化学的作業を行う。チャンバ内に幾らかの空気を注入して攪拌を行い、それにより、圧力を増大させる。液体の如何なる損失をも回避するために、変形可能なチャンバの弁は、上記圧力に耐えるように設計される。それは、そのような確実な弁を設計するコストの増大を招き、幾らかの液体が失われるならば、試験の信頼性の損失を招く。
【0003】
文献WO2011/048521は、生物サンプルを含有する液体を保持する使い捨て可能なカートリッジを操作する器具を含む、DNA分析を行うためのシステムを記載している。カートリッジは、器具によってカートリッジに対して適用される真空力によって、器具のインタフェイス板に対して維持される。インターフェイス板と接触するカートリッジの外面は、少なくとも部分的に弾性膜によって形成され、弾性膜は真空が適用される部分を有する。生物サンプルを分析するために、カートリッジ内に収容される液体を加熱するステップが必要とされ得る。チャンバの少なくとも壁が膜の一部によって形成され、ヒータがインターフェイス板内に配置されてチャンバの壁と接触し且つ液体を加熱するように、前記液体を収容するチャンバは、カートリッジ内に配置される。しかしながら、この解決策は気泡がチャンバ内の液体中に含まれるときに問題を引き起こす。正に、加熱中、気泡は膨張するので、圧力はチャンバ内で増大し、(生物サンプルの損失を招く)回路内の漏れ又は(分析の失敗を招く)器具板からのカートリッジの脱離を招く。
【0004】
文献EP2182049A1は、液体反応混合物用の容器、その容器を用いる反応促進装置、及びそのための方法を開示している。しかしながら、容器を締め付けるために装置は、下方部分と関節式の上方部分とを有するので、開示の容器及び装置の及び使用が複雑である。
【0005】
文献US2010/104485A1は、可撓チャンバに関して2つの対向するヒータを含む、貫流熱循環装置を開示している。可撓チャンバは対向するヒータの間に挿入されるので、この装置の欠点は加熱装置に関連する複雑さである。
【0006】
文献US2006/088931A1は、可撓チャンバに関して2つの対向するヒータを含む、熱循環システム及びそのための容器を開示している。可撓チャンバは対向するヒータの間に挿入されるので、この装置の欠点は加熱装置に関連する複雑さである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこれらの上述の欠点を解決することを目的とし、分析されるべき液体を収容するのに適したチャンバを有するカートリッジと、液体を加熱するよう配置されるヒータとを含み、チャンバ内に収容される液体の加熱が分析中に弁を通じる漏れを引き起こさないように配置される、生物分析のためのシステム、を提案することに先ず向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目標を念頭に置いて、本発明の第1の特徴は、
− 分析されるべき液体を収容するのに適した変形可能なチャンバを有するカートリッジと、
− 変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するよう配置される加熱面を有するヒータとを含み、
ヒータによる液体の加熱中の変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、ヒータの加熱面が、第1の位置から第1の位置と異なる少なくとも第2の位置に移動可能である、
生物分析を行うためのシステムである。
【0009】
液体を収容するチャンバ内の圧力はヒータの移動可能な加熱面の故に可能である体積の増大によって補償されるので、本発明は検定の信頼性を向上させる。加熱中に圧力の増大がないため、弁は圧力によって応力が加えられないので、如何なる漏れも回避される。
【0010】
有利には、ヒータの加熱面は加熱中に変形可能なチャンバによって第1の位置から第2の位置に移動させられる。移動は変形可能なチャンバ自体によって強制されるので、システムは第1の位置から第2の位置への移動を達成するために加熱面の如何なる作動も必要としない。
【0011】
有利には、加熱面は液体の加熱中に変形可能なチャンバと接触する。熱がチャンバ内に収容される液体に伝導によって移転されるこの実施態様を用いるならば、加熱は効率的である。
【0012】
有利には、システムは、生物検定中にカートリッジを制御し且つカートリッジをインターフェイス板の上に維持するよう配置される、インターフェイス板を有する器具を含み、ヒータは器具インターフェイス板内に配置される。分析作業は器具からのカートリッジの如何なる解放によっても中断されない。何故ならば、インターフェイス板内の移動可能なヒータは、カートリッジから離れる方向に移動せず、インターフェイス板によってその動作を限定させる変形可能なチャンバの体積の増大によって創り出されるカートリッジに対する如何なる取外し作用力(dismantling effort)の創成をも回避するからである。
【0013】
有利には、器具はヒータを変形可能なチャンバに対して押すよう配置される弾性素子を含む。この実施態様はヒータと変形可能なチャンバとの間の接触を向上させる。
【0014】
有利には、器具は命令手段(command means)を含み、命令手段は、
− ヒータの加熱面が液体の加熱中に第1の位置から少なくとも第2の位置に移動するのを可能にし、且つ
− 液体を加熱する操作以外の操作が行われるときにヒータの加熱面を第1の位置に維持するように、配置される。加熱以外の操作中に加熱面を第1の位置にあるようにさせるよう構成される命令手段は、変形可能なチャンバの体積の如何なる偏り又は変動をも回避するのに役立つ。ヒータの加熱面は第1の位置にあるため、変形可能なチャンバの体積は膨張しないので、ポンピング操作は確実である。
【0015】
有利には、命令手段は空圧シリンダである。この実施態様はシステムを製造するために費用効率的である。
【0016】
有利には、カートリッジは、器具によってカートリッジに適用される真空力によって、インターフェイス板の上に維持される。カートリッジと器具との間の取付けを制御するために、クランプ又は把持工具のような機械的手段は不要である。
【0017】
有利には、カートリッジはカートリッジの外面に配置される弾性膜を含み、弾性膜の一部は変形可能なチャンバの壁であり、変形可能なチャンバはフィルタを含み、ヒータの加熱面は、フィルタを湿らせる操作中に、壁を形成する弾性膜の部分をフィルタに対して押すよう配置される。フィルタと接触する変形可能な膜を用いたフィルタの湿潤操作中にその体積が最小に減少させられるので、この配置は変形可能なチャンバ内の気泡を有する危険性を最小限化する。換言すれば、変形可能なチャンバ内に収容される流体の移動又は変位を創成するための制御手段としてヒータを用い得る。
【0018】
有利には、ヒータは変形可能である。この実施態様は移動可能なヒータを有することを回避し、それにより、インターフェイス板はより簡単である。何故ならば、加熱面は変形可能なチャンバの体積の増大によって変形させられ、ヒータ本体の如何なる移動も伴わないからである。
【0019】
代替として、ヒータはカートリッジ内に配置される。この実施態様は器具の簡素化を可能にする。
【0020】
本発明は、変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するよう配置される加熱面を有するヒータを含む、本発明の第1の特徴に従ったシステムのための器具にも関し、ヒータによる液体の加熱中の変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、ヒータの加熱面は、第1の位置から第1の位置と異なる少なくとも第2の位置に移動可能である。
【0021】
本発明は、変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するよう配置される加熱面を有するヒータを含む、本発明の第1の特徴に従ったシステムのためのカートリッジにも関し、ヒータによる液体の加熱中の変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、ヒータの加熱面は、第1の位置から第1の位置と異なる少なくとも第2の位置に移動可能である。
【0022】
本発明は、生物分析用のカートリッジの変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱するためのプロセスにも関し、プロセスは、
− ヒータの加熱力で液体を加熱するステップと、
− ヒータによる液体の加熱中の変形可能なチャンバ内の圧力の増大を補償するために変形可能なチャンバの体積の増大を可能にするよう、ヒータの加熱面を第1の位置から第1の位置と異なる第2の位置に移動させるステップとを含む。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面によって例示される、本発明の具体的な非限定的な実施例の以下の詳細な記載から、より明らかに見えてくるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】カートリッジの変形可能なチャンバ内に収容される液体を加熱する前の、移動可能なヒータを有する器具に取り付けられるカートリッジを備える本発明に従ったシステムを示す断面図である。
【
図2】液体の加熱中の
図1のシステムを示す断面図である。
【
図3】空圧命令下で移動可能なヒータを備える
図1のシステムの代替を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1で表わされるシステムは、器具10(instrument)と、生物分析を行うに先立ち器具10に取り付けられる使い捨て可能なカートリッジ20とを含む。カートリッジ20は、少なくとも部分的にその下面を覆う弾性膜23を含み、下面は、器具10のインターフェイス板と接触する。カートリッジ20は、その下面の一部(図示せず)に対する真空力の適用によって、インターフェイス板の上で所定の場所において維持される。カートリッジ20は、液体を収容するように設計される変形可能なチャンバ24を介して出口22に接続される入口21を含む。変形可能なチャンバ24は、少なくとも、弾性膜23の一部によって形成される壁を有する。変形可能なチャンバ24はフィルタ25を収容する。チャンバ24は、器具10の流路1616を通じる圧力P1の適用の下にある入口弁26の故に並びに器具10から適用される圧力の同じ原理の下で機能する出口弁(図示せず)の故に、閉塞可能である。
【0026】
検定を行うために、変形可能なチャンバ24は、先ず、DNA分析のような分析を行う生物サンプルを含有する液体で少なくとも部分的に充填され、次に、入口弁及び出口弁の故に閉塞される。分析に依存して、分析前及び/又は分析中に前記液体を加熱することが必要とされることがある。この目的を達成するために、凹部18の底とヒータ15との間に配置されるバネのような弾性素子11を用いて、移動可能なヒータ15が器具10の凹部18又はボア内に提供される。ヒータ15は、必要であれば案内手段を用いて、凹部18内で垂直に移動し得る。ヒータ15は、カートリッジ20が分析の観点から器具10に取り付けられるときに弾性膜23と接触するように位置付けられ且つ設計される加熱面を有する。例えば、カートリッジが器具に取り付けられるや否やカートリッジ面がカートリッジと接触するよう、ヒータ15の加熱面はカートリッジ20と接触する器具10の面と平行である。他の選択肢は、ヒータが器具の接触面より下に配置されて、加熱が必要なときだけカートリッジと接触するよう上向きに移動させられることである。ヒータ15は変形可能なチャンバ24内に収容される液体を加熱し得る。弾性素子11はヒータ15が変形可能なチャンバ24と接触し続けるように設計される。変形可能なチャンバ24を液体で充填するプロセス中、図示のように、幾らかの気泡28が変形可能なチャンバ24内に導入され得る。
【0027】
図2は、変形可能なチャンバ24内に収容される液体の加熱中の
図1のシステムを表している。典型的な加熱は、10分の間の室温(即ち、23℃)から95℃までの温度の上昇であり得る。これらの条件の下で、液体を備える変形可能なチャンバ24内に収容される気泡28は膨張し、変形可能なチャンバ24の体積の増大を招く。変形可能なチャンバ24の壁を形成する弾性膜23の部分と接触するヒータ15は、弾性膜23によって凹部18内で押し下げられ、変形可能なチャンバ24の体積の増大を可能にする。弾性素子11は、変形可能なチャンバ24の変形によって引き起こされるヒータ15の変位に抗する力を加える。これは、例えば弁26を通じる液体の漏れを創り出し得る、変形可能なチャンバ24の内側の圧力増大を回避する。弾性素子11の剛性は、変形可能なチャンバ内の一定な圧力を維持しながら加熱を達成するために、ヒータ15と弾性膜23との間の接触を維持するよう構成される。
【0028】
図3は、
図1のシステムの代替を表している。ヒータ15は弾性膜23の作用の下で依然として垂直に移動し得るが、ヒータ15は、上述の加熱以外の他の操作中に、ポート17を通じる圧力P2の適用の下でも移動し得る。他の操作中に、例えばフィルタ25を湿らせる或いは液体を変形可能なチャンバ24から排出する操作中に、変形可能なチャンバ24の体積を最小限化させるよう弾性膜23の位置を制御することは興味深い。この目的を達成するために、ヒータ15は器具10のポート17を通じて適用される圧力P2の下で上向きに移動させられるので、弾性膜23はフィルタ25に対して押される。この構成において、変形可能なチャンバ24内に収容される液体は、出口22で矢印によって示されるように放出される。
【0029】
付属の請求項によって定められるような本発明の範囲の下にある当業者に明かな改良及び/又は変更を実施し得ることが理解されよう。具体的には、加熱は伝導による加熱であるが、対流又は放射による加熱のような他の既知の方法も用い得る。