(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両が搭載されるパレットが上下方向に配置されて該パレットによって該パレットの上方が車両を格納する上部格納部に区画されるとともに前記パレットの下方が車両を格納する下部格納部に区画され、前記パレットの上昇によって前記下部格納部に入出庫する車両が入出庫位置に位置決めされるとともに前記パレットの下降によって前記上部格納部に入出庫する車両が入出庫位置に位置決めされる機械式駐車設備であって、
移動要求信号を発信して前記パレットを昇降させる運転操作部と、
前記上部格納部に格納される前記車両のエンジン始動キーに基づいて、前記該運転操作部による前記移動要求信号を、前記パレットを下降させる移動要求信号として発信させる下降操作部と、
該下降操作部と独立して設けられ、前記下部格納部に格納される前記車両のエンジン始動キーに基づいて、前記運転操作部による前記移動要求信号を、前記パレットを上昇させる移動要求信号として発信させる上昇操作部と、
を有するパレット操作部を備えることを特徴とする機械式駐車設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パレットが上下方向に配置されて、上部に車両を格納する上部格納部と下部に車両を格納する下部格納部とに区画された機械式駐車設備では、安全性を確保したりパレットの誤操作を抑制したりする等の観点から、機械式駐車設備の設備仕様基準が定められていることがある。
【0006】
この設備仕様基準では、上部格納部に車両を格納するユーザによる入出庫と、下部格納部に車両を格納するユーザによる入出庫とが明確に峻別されるよう、要求される場合がある。
【0007】
したがって、安全性の確保や誤操作の抑制をする等の観点からは、パレットの移動要求信号の発信が、上部格納部に車両を入出庫するユーザによるものであるのか、あるいは下部格納部に車両を入出庫するユーザによるものであるのかを峻別する必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安全性の確保や誤操作の抑制をすることのできる機械式駐車設備を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明による機械式駐車設備は、車両が搭載されるパレットが上下方向に配置されて該パレットによって該パレットの上方が車両を格納する上部格納部に区画されるとともに前記パレットの下方が車両を格納する下部格納部に区画され、前記パレットの上昇によって前記下部格納部に入出庫する車両が入出庫位置に位置決めされるとともに前記パレットの下降によって前記上部格納部に入出庫する車両が入出庫位置に位置決めされる機械式駐車設備であって、移動要求信号を発信して前記パレットを昇降させる運転操作部と、
前記上部格納部に格納される前記車両のエンジン始動キーに基づいて、前記該運転操作部による前記移動要求信号を、前記パレットを下降させる移動要求信号として発信させる下降操作部と、
該下降操作部と独立して設けられ、前記下部格納部に格納される前記車両のエンジン始動キーに基づいて、前記運転操作部による前記移動要求信号を、前記パレットを上昇させる移動要求信号として発信させる上昇操作部と、を有するパレット操作部を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、下降操作部によって、
上部格納部に格納される車両のエンジン始動キーに基づいて、運転操作部による移動要求信号の発信を、パレットを下降させる移動要求信号として発信させることができ、
下降操作部と独立して設けられた上昇操作部によって、
下部格納部に格納される車両のエンジン始動キーに基づいて、運転操作部による移動要求信号の発信を、パレットを上昇させる移動要求信号として発信させることができる。
【0011】
したがって、運転操作部による移動要求信号の発信が、上部格納部に車両を入出庫する場合であるのか、あるいは下部格納部に車両を入出庫する場合であるのかを明確に峻別することができることから、パレットの昇降の際の安全性を確保することができ、かつ誤操作を抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明による機械式駐車設備は、請求項1に記載の機械式駐車設備において、前記パレット操作部は、前記下降操作部による操作が前記上部格納部に入出庫する車両のユーザであることを認証するとともに、前記上昇操作部による操作が前記下部格納部に入出庫する車両のユーザであることを認証する認証操作部を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、パレット操作部が、下降操作部による操作を認証し、かつ上部操作部による操作を認証する認証操作部を備えることから、パレットの昇降の際の安全性の確保、及び誤操作の抑制を確実に実現することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明による機械式駐車設備は、請求項2に記載の機械式駐車設備において、前記認証操作部に前記ユーザに割り当てられた認証情報が入力されることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、パレット操作部の認証操作部に、上部格納部に車両を入出庫するユーザ及び下部格納部に車両を入出庫するユーザのそれぞれに個別的に割り当てられた認証情報が入力されるという汎用性のある認証方法を採用することによって、機械式駐車設備の導入が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、パレットの昇降が、上部格納部に車両を入出庫する場合に行われたものであるのか、下部格納部に車両を入出庫する場合に行われたものであるのかを明確に峻別することができることから、パレットの昇降の際の安全性を確保することができ、かつ誤操作を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、
図1〜
図4を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る機械式駐車設備の概略を説明する正面図であり、
図2は、本実施の形態に係る機械式駐車設備の概略を説明する側面図である。図示のように、機械式駐車設備10は、2基の駐車ユニット10−1、10−2によって構成され、建屋1内に設けられている。
【0020】
この駐車ユニット10−1、10−2は、本実施の形態では同様の構成を有することから、駐車ユニット10−2の各構成に駐車ユニット10−1の各構成と同一の符号を付して、駐車ユニット10−1のみについて説明し、駐車ユニット10−2の説明を省略する。
【0021】
駐車ユニット10−1は、矢線Wで示す車幅方向において対向して配置される一対のフレーム11、11、及び一対のフレーム11、11の間に介装されて矢線UDで示す上下方向に配置された、車両が搭載されるパレット12を主要構成として備える。
【0022】
この各フレーム11、11には、本実施の形態では各フレーム11、11の対向する側に各ガイドレール11a、11aが設けられており、この各ガイドレール11a、11aにガイドされて、パレット12が上下方向UDにおいて昇降する。
【0023】
このパレット12が、矢線Aで示す上昇位置に位置する際に、建屋1内において、パレット12の上方が車両100Aを格納する上部格納部20に区画されるとともに、パレット12の下方が車両100Bを格納する下部格納部30に区画される。
【0024】
下部格納部30と連続する建屋1の床面2には、車両100A、100Bの入出庫位置Xが設定されている。本実施の形態では、パレット12が上昇位置Aに位置する際には、建屋1の床面2の上に搭載されて下部格納部30に格納される車両100Bが、入出庫位置Xに位置決めされる。
【0025】
一方、パレット12が矢線Bで示す下降位置に位置する際には、下部格納部30が減少ないしは消失して、パレット12の上に搭載されて上部格納部20に格納された車両100Aが、入出庫位置Xに位置決めされる。
【0026】
パレット12の上下方向UDにおける昇降は、パレット操作部40における操作により実行される。パレット操作部40における入力信号が制御部50に伝達され、制御部50によって、パレット駆動モータ13の作動が制御される。
【0027】
図3は、パレット操作部40の概略を説明する図であり、
図4は、パレット12の作動制御を行う構成の概略を説明するブロック図である。
【0028】
図3及び
図4で示すように、パレット操作部40は、本実施の形態では、下降操作部41、上昇操作部42、認証操作部である暗証番号入力部43、運転操作部である運転ボタン44、及び緊急停止ボタン45を備える。
【0029】
下降操作部41は、上部格納部20に格納された車両100Aのエンジン始動キーが差し込まれるキー入力部41aを備え、キー入力部41aにエンジン始動キーが差し込まれることにより、パレット12を下方向Dのみに向かって下降させるパレット下降信号DSが生成される。
【0030】
上昇操作部42は、本実施の形態では、下部格納部30に格納された車両100Bのエンジン始動キーが差し込まれるキー入力部42aを備え、キー入力部42aにエンジン始動キーが差し込まれることにより、パレット12を上方向Uのみに向かって上昇させるパレット上昇信号USが生成される。
【0031】
暗証番号入力部43は、本実施の形態では、例えば「1」、「2」、「3」「C」及び「R」等の複数の数字等が認証情報である暗証番号として入力される入力インターフェースである。この暗証番号入力部43に入力される暗証番号は、本実施の形態では、車両100A及び車両100Bのユーザのそれぞれに固有の互いに異なる番号が割り当てられている。
【0032】
下降操作部41によるパレット下降信号DSが生成された後に、車両100Aのユーザに割り当てられた暗証番号が暗証番号入力部43に入力されることによって、認証信号CSが生成される。
【0033】
同様に、上昇操作部42によるパレット上昇信号USが生成された後に、車両100Bのユーザに割り当てられた暗証番号が暗証番号入力部43に入力されることによって、認証信号CSが生成される。
【0034】
運転ボタン44は、パレット12を上方向Uに上昇させる、あるいはパレット12を下方向Dに下降させる移動要求信号MSを生成するものであり、運転ボタン44を押下している間において、移動要求信号MSが継続的に生成される。
【0035】
緊急停止ボタン45は、パレット12の昇降を緊急時に停止させるものであり、運転ボタン44の押下によって移動要求信号MSが生成されている間において、緊急停止ボタン45が押下されると、移動要求信号MSの生成を遮断する緊急停止信号STが生成される。
【0036】
このような構成のパレット操作部40が、制御部50に接続されている。
【0037】
図4で示すように、制御部50は、入力制御部51、操作制御部52、これら入力制御部51及び操作制御部52が接続されるモータ制御部53を主要構成として備える。
【0038】
入力制御部51には、パレット操作部40の下降操作部41で生成されたパレット下降信号DS、上昇操作部42で生成されたパレット上昇信号US、及び暗証番号入力部43で生成された認証信号CSが入力される。
【0039】
この入力制御部51では、パレット下降信号DSが入力された後に認証信号CSが入力されると、下降制御信号DCが生成され、同様に、パレット上昇信号USが入力された後に認証信号CSが入力されると、上昇制御信号UCが生成される。
【0040】
操作制御部52には、パレット操作部40の運転ボタン44で生成された移動要求信号MS、及び緊急停止ボタン45で生成された緊急停止信号STが入力される。この操作制御部52では、移動要求信号MSが入力されている間に緊急停止信号STが入力されると、移動要求信号MSの入力が遮断される。
【0041】
モータ制御部53には、入力制御部51で生成された下降制御信号DC、上昇制御信号UC、及び操作制御部52に入力された移動要求信号MSが入力される。
【0042】
このモータ制御部53では、下降制御信号DCが入力された際に移動要求信号MSが入力されると、下降移動要求信号DMが生成され、上昇制御信号UCが入力された際に移動要求信号MSが入力されると、上昇移動要求信号UMが生成される。
【0043】
モータ制御部53で生成された下降移動要求信号DMまたは上昇移動要求信号UMがパレット駆動モータ13に入力されると、パレット駆動モータ13が正転回または逆転回して、パレット12が上昇または下降する。
【0044】
次に、本実施の形態の機械式駐車設備10の作動について説明する。
【0045】
駐車ユニット10−1の下部格納部30に車両100Bが格納されていない状態において、上部格納部20に格納された車両100Aのユーザが車両100Aを出庫する場合は、まず、ユーザは車両100Aのエンジン始動キーをパレット操作部40の下降操作部41におけるキー入力部41aに差し込む。
【0046】
キー入力部41aにエンジン始動キーが差し込まれると、パレット下降信号DSが生成され、制御部40の入力制御部51にパレット下降信号DSが入力される。
【0047】
その後、車両100Aのユーザに割り当てられた暗証番号をそのユーザが暗証番号入力部43に入力すると、認証信号CSが生成され、この認証信号CSが制御部の入力制御部51に入力される。
【0048】
入力制御部51に入力されたパレット下降信号DS及び認証信号CSによって、入力制御部51において下降制御信号DCが生成されると、下降制御信号DCがモータ制御部53に発信される。
【0049】
このときに、ユーザが運転ボタン44を押下すると、押下している間において移動要求信号MSが生成され、この移動要求信号MSが操作制御部52を介してモータ制御部53に発信される。
【0050】
モータ制御部53では、下降制御信号DC及び移動要求信号MSによって下降移動要求信号DMが生成され、この下降移動要求信号DMがパレット駆動モータ13に発信される。
【0051】
パレット駆動モータ13は、下降移動要求信号DMが入力されると正転回または逆転回することによって、車両100Aが搭載されたパレット12が下降する。このとき、ユーザが運転ボタン44の押下を停止すると、パレット12は、運転ボタン44の押下が停止された位置に従って下降を停止する。
【0052】
ユーザが運転ボタン44を押下し続けることによってパレット12が下降位置Bに到達すると、パレット12は下降を停止する。これにより、車両100Aが、床面2に設定された入出庫位置Xに位置決めされる。
【0053】
一方、パレット12が下降位置Bにおいて停止されている状態において、下部格納部30に車両100Bを格納するために入庫する場合は、車両100Bのユーザは、まず、車両100Bのエンジン始動キーをパレット操作部40の上昇操作部42におけるキー入力部42aに差し込む。
【0054】
キー入力部42aにエンジン始動キーが差し込まれると、パレット上昇信号USが生成され、制御部40の入力制御部51にパレット上昇信号USが入力される。
【0055】
その後、車両100Bのユーザに割り当てられた暗証番号をそのユーザが暗証番号入力部43に入力すると、認証信号CSが生成され、この認証信号CSが制御部の入力制御部51に入力される。
【0056】
入力制御部51に入力されたパレット上昇信号US及び認証信号CSによって、入力制御部51において上昇制御信号UCが生成されると、上昇制御信号UCがモータ制御部53に発信される。
【0057】
このときに、ユーザが運転ボタン44を押下すると、押下している間において移動要求信号MSが生成され、この移動要求信号MSが操作制御部52を介してモータ制御部53に発信される。
【0058】
モータ制御部53では、上昇制御信号UC及び移動要求信号MSによって上昇移動要求信号UMが生成され、この上昇移動要求信号UMがパレット駆動モータ13に発信される。
【0059】
パレット駆動モータ13は、上昇移動要求信号UMが入力されると正転回または逆転回することによって、パレット12が上昇する。このとき、ユーザが運転ボタン44の押下を停止すると、パレット12は、運転ボタン44の押下が停止された位置に従って上昇を停止する。
【0060】
ユーザが運転ボタン44を押下し続けることによってパレット12が上昇位置Aに到達すると、パレット12は上昇を停止する。これにより、車両100Bを下部格納部30に格納することが可能となり、車両100Bを床面2の上に搭載して下部格納部30に格納することによって、車両100Bが入出庫位置Xに位置決めされる。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、下降操作部41のキー入力部41aに車両100Aのエンジン始動キーが差し込まれることによって、運転ボタン44の押下により生成される移動要求信号MSを下降移動要求信号DMに変成してパレット12を下降させることができる。
【0062】
一方、上昇操作部42のキー入力部42aに車両100Bのエンジン始動キーが差し込まれることによって、運転ボタン44の押下により生成される移動要求信号MSを上昇移動要求信号UMに変成してパレット12を上昇させることができる。
【0063】
したがって、運転ボタン44の押下による移動要求信号MSのパレット駆動モータ13への発信が、上部格納部20に車両100Aを入出庫するユーザによるものであるのか、下部格納部30に車両100Bを入出庫するユーザによるものであるのかを明確に峻別することができることから、パレット12の昇降の際の安全性を確保することができ、かつ誤操作を抑制することができる。
【0064】
しかも、暗証番号入力部43に、車両100A及び車両100Bのユーザのそれぞれに固有の互いに異なる番号が割り当てられた暗証番号を入力することによって、下降操作部41によるパレット下降信号DSの生成が車両100Aのユーザによって実行されたものであること、及び上昇操作部42によるパレット上昇信号USの生成が車両100Bのユーザによって実行されたものであることを認証することができる。
【0065】
したがって、パレット12の昇降の際の安全性の確保、及び誤操作の抑制を確実に実現することができる。
【0066】
さらに、車両100Aのユーザ及び車両100Bのユーザのそれぞれ個別のユーザに割り当てられた暗証番号を入力するという汎用性のある認証方法を採用することによって、機械式駐車設備10の導入が容易になる。
【0067】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、パレット操作部40に、車両100Aのユーザ及び車両100Bのユーザのそれぞれ個別のユーザに割り当てられた暗証番号が入力される暗証番号入力部43が設けられている場合を説明したが、認証操作部としては暗証番号入力部43に限られることなく、種々の構成を採用することができる。
【0068】
例えば、車両100Aのユーザ及び車両100Bのユーザのそれぞれ個別のユーザに、そのユーザであることを認証するユーザ情報が格納された認証カードを割り当てて、この認証カードに格納されたユーザ情報を読み取る認証操作部を採用することもできる。
【0069】
さらに、車両100Aのユーザ及び車両100Bのユーザのそれぞれ個別のユーザの指紋や虹彩を予め登録しておき、その指紋や虹彩を読み取るいわゆるバイオメトリクス認証を行う認証操作部を採用することもできる。