特許第6268227号(P6268227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268227
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】高電圧接続器
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/16 20060101AFI20180115BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20180115BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20180115BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H02G15/16
   H01R4/70 B
   H02G1/14
   H02G3/06 041
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-122448(P2016-122448)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-73958(P2017-73958A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2016年6月21日
(31)【優先権主張番号】10 2015 007 882.8
(32)【優先日】2015年6月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516185042
【氏名又は名称】テサト−スペイスコム ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エーバーハルト,ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター,ヤウマン
(72)【発明者】
【氏名】マルク,シュピース
(72)【発明者】
【氏名】ディーター,シュナイダー
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−135697(JP,U)
【文献】 実開昭59−149431(JP,U)
【文献】 特開平03−227106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
H02G 3/06
H02G 15/16
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの高電圧線(310、320)の間の高電圧接続を確立するための高電圧接続器(100)であって、
第1のガイド溝(161A)と第2のガイド溝(161B)とを備えるキャリア部品(150)を備えており;
上記キャリア部品(150)は、高電圧絶縁材料を含有し;
上記第1のガイド溝(161A)および上記第2のガイド溝(161B)は、互いに平行に配置され、上記キャリア部品(150)の長手方向(180)に延びており;
上記第1のガイド溝(161A)および上記第2のガイド溝(161B)はそれぞれ、第1の高電圧線(310)および第2の高電圧線(320)のそれぞれのワイヤ(312、322)を収容するように設計されており;
上記キャリア部品(150)は第1のガイド部品(160)を備え、上記ガイド溝(161A、161B)は当該第1のガイド部品上に配置されており;
上記キャリア部品(150)は、少なくとも1つのガイド溝を備える第2のガイド部品を備えており;
上記第1のガイド部品は、上記キャリア部品(150)の第1の面(151)上に配置されており、上記第2のガイド部品は、上記キャリア部品(150)の第2の面(152)上に配置されており;
上記第1の面(151)は、上記第2の面(152)の反対側に配置されている、高電圧接続器(100)。
【請求項2】
ハウジング(110)を備えており、
上記キャリア部品(150)は、上記ハウジング(110)の側面(112)と機械的に連結している、請求項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項3】
上記ハウジング(110)の少なくとも1つの面は、カバー(140)で塞ぐことができる開口を備えている、請求項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項4】
突出部(113)が、上記ハウジングの上記開口を少なくとも部分的に囲んでいる、請求項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項5】
上記ハウジング(110)は、上記開口を塞ぐカバー(140)を備えており、
上記カバー(140)は凹部(142)が設けられ、当該凹部(142)は、上記カバー(140)が上記ハウジング(110)の上記開口を塞ぐときに、上記突出部(113)が当該凹部(142)内に位置するように配置されている、請求項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項6】
上記ハウジングの端面(116)上に配置され、上記ハウジングに対して高電圧線(310、320)を機械的に固定するために設計されている、フランジ(132)を備えている、請求項2〜5の何れか1項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項7】
上記キャリア部品(150)は、2つの脚(153)と横材(155)とを備えており、
上記2つの脚は、上記キャリア部品の長手方向(180)に延びており、上記横材(155)は、上記キャリア部品の短手方向(170)に延び、上記2つの脚と互いに接続しており、
ガイド溝(161A、161B)は、上記横材(155)上に配置されている、請求項1〜の何れか1項に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項8】
上記横材(155)は、凹形であり、上記キャリア部品(150)の短手方向(170)における中心に向かって細くなっている、請求項7に記載の高電圧接続器(100)。
【請求項9】
進行波管(410)と、
電源(420)と、
請求項1〜の何れか1項に記載の高電圧接続器(100)とを備えており;
上記高電圧接続器(100)は、上記進行波管(410)の第1の高電圧線(310)と、電源(420)の第2の高電圧線(320)とを接続する、進行波管増幅器(400)。
【請求項10】
上記第1の高電圧線(310)のワイヤ(312)は、接続領域において、上記第2の高電圧線(320)のワイヤ(322)と電気的に接続されており、当該接続領域は、上記キャリア部品(150)の第1のガイド溝(161A)内に配置されている、請求項に記載の進行波管増幅器(400)。
【請求項11】
固定素材(163)が、上記第1のガイド溝(161A)内に配置され、上記第1のガイド溝(161A)内の上記接続領域を固定する、請求項10に記載の進行波管増幅器(400)。
【請求項12】
固定手段(165)が、上記ガイド溝内に上記ワイヤ(312、322)を保持するように配置されている、請求項10または11に記載の進行波管増幅器(400)。
【請求項13】
上記固定手段(165)は、上記長手方向に関して上記接続領域の前面または背面に配置されている、請求項12に記載の進行波管増幅器(400)。
【請求項14】
請求項13の何れか1項に記載の進行波管増幅器(400)を備えている、人工衛星。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの高電圧線の間の電気接続を確立するための高電圧接続器、当該高電圧接続器を備える進行波管増幅器、および当該進行波管増幅器を備える人工衛星に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の軌道または他の宇宙ミッションにおける人工衛星プラットフォームにおいて、信号送信リンクまたは通信リンクの一部として進行波管増幅器を用いることが、一般的に実践されている。進行波管増幅器は、実質的に進行波管(進行波管,TWT)および電源(電力調整器,EPCとも呼ばれる)からなる。TWTおよびEPCは、高電圧ケーブル(HVケーブル,高電圧)を用いて互いに接続される。高電圧は良質な電気接続(すなわち、特に電気接続が外部電磁の影響を受けない)を必要とするため、HVケーブルはTWTにおける一部品である。HVケーブルは、TWTへの組み込みの後、多大な労力をかけてのみ交換できるか、または全く交換できない。そのため、特に、過度に短いHVケーブルの長さに対して、またはHVケーブルの修理に対して、莫大な費用が発生し得る。EPCは、100ボルト以下の直流電圧から10kV以下の複数のDC高電圧を通常生成するDC電源である。進行波管は、高周波信号を増幅するためにDC高電圧を利用する。
【0003】
高電圧という用語は、1000ボルト、つまり1kVにおいて始まる電圧をいう。これらの電圧値において、電線における物理現象は、より低い電圧が用いられる場合に起こる物理現象とは比較にならない。例えば、とりわけ臨界圧力において、異なる電位を有する電線の間、または電線と地面との間のフラッシュオーバーのリスクは特に高い。典型的には1つの連続的な高電圧ケーブルが、対応する部品の接続のために用いられるため、高電圧ケーブルの延長は一般的に、システムプロパティの容認できない虚弱化であると考えられている。これが、例えばシステム環境の変化または他の理由に起因して高電圧部品の組み立て後に高電圧ケーブルが過度に短いことがわかった場合に、特に厄介な問題となる理由である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0144394号
【特許文献2】国際公開第00/25402号
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2013 002 477号
【特許文献4】独国実用新案第67 51 601号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0 439 284号
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、特に真空および無重力において(例えば、地球からの遠い人工衛星などにおいて)用いるのに適した高電圧線を接続するための選択肢の提供において見出され得る。
【0006】
この目的は、独立請求項の対象によって解決される。本発明の拡張は、従属請求項および以下の説明において開示される。
【0007】
本発明の一局面によれば、2つの高電圧線の間に高電圧接続を確立するための高電圧接続器が開示される。高電圧接続器は、第1のガイド溝と第2のガイド溝とを備えるキャリア部品を備えており;当該キャリア部品は、高電圧絶縁材料を含有し;当該第1のガイド溝および当該第2のガイド溝は、互いに平行に配置され、当該キャリア部品の長手方向に延びており;当該第1のガイド溝および当該第2のガイド溝はそれぞれ、第1の高電圧線および第2の高電圧線のそれぞれのワイヤを収容するように設計されている。
【0008】
高電圧接続器は、高電圧(すなわち、少なくとも1kVの電圧、ならびに一実施形態においては4kVまたは6kV、および10kVまでの高電圧)を用いた使用が特に意図される。高電圧線は、それぞれ電気伝導体の形態において実現され且つ他のワイヤに対して電気的に絶縁される、複数のワイヤを含み得る。
【0009】
ガイド溝は、高電圧線のワイヤを配置することができるキャリア部品の表面における凹部または空洞である。互いに接続されるように高電圧線の2つの対応するワイヤの端部の間に高電圧接続が確立される場合、当該端部は、まず取り剥がされ、次いで互いに電気的に接続される。当該接続は、接続剤(例えば、はんだ)を用いることによって機械的に強化され得る。言い換えれば、現状の高電圧線は、例えば電気接続が確立されるような方法において2つの高電圧線のワイヤ対がそれぞれ接続される場合に延長され得る。絶縁体は、例えば、シュリンク上スリーブ(shrink-on sleeve)の形態において、接続の周囲に最終的に配置される。このような接続は、スプライスとも呼ばれる。
【0010】
ワイヤ対の間のスプライス接続点は、キャリア部品のガイド溝内に配置される。当該接続点は、特に高電圧線においてワイヤの機械的および電磁気的な弱点を表し得る。なぜなら、スプライスは、一体となった連続的なワイヤよりも低い機械的な強度を有し得、また、その後に追加される絶縁体がワイヤの元々の絶縁体とは異なる絶縁特性を有し得るからである。
【0011】
接続点は、ガイド溝内に配置され、この位置において機械的に固定される。これは、特に、複数の互いに接続されているワイヤ対の間の接続点が、互いに対して移動できないことを確実にし得る。接続点の間には、特定の距離が保たれ得る。それはさらに、ワイヤが、相対的な動き(例えば、スプライスの絶縁体層が、研磨または摩擦が発生する動きに起因して、互いを摩損させて弱める)に起因して互いを損傷させないことを確実にし得る。
【0012】
キャリア部品は複数のガイド溝を備えてもよく、ガイド溝の数は、接続される高電圧線のワイヤの数に合わせればよい。一実施形態において、例えば、キャリア部品は、12本のワイヤをそれぞれ備える高電圧線へ接続するために12個のガイド溝を備え得る。高電圧接続が2つのHV線の間で確立される場合、例えば、最も大きな電位差を有するワイヤ対が、互いに最も距離を置くような方法においてキャリア部品のガイド溝内に配置され得る。これによって、フラッシュオーバーのリスクが低減し得る。
【0013】
この説明の背景において、高電圧絶縁材料は、接続された高電圧線の隣接するワイヤの間のフラッシュオーバーのリスクを低減させるまたは排除するために設計され且つそれに適した材料であり;この観点において、隣接するワイヤは、互いに電気的に接続されていないワイヤである(すなわち、隣接するワイヤは、互いに電気的に接続されている2つの高電圧線のそれぞれの2つのワイヤではない)。例えば、Norylが、高電圧絶縁材料として用いられ得る。
【0014】
ガイド溝は、互いに平行に延びており、それによって、そこに配置されている互いに接続されているワイヤの間の距離が、キャリア部品の長手方向において一定である、または実質的に一定であることを確実にする。高電圧線の2つのワイヤが互いに接続される場合、絶縁体の質は、特にこれら2つのワイヤの間の高電圧接続の領域において変わり得る。なぜなら、ワイヤの元々の絶縁体は取り除かれ、例えば、新しい絶縁部品が電気接続上に配置されたからである。導電性ワイヤ芯の直径も同様に、スプライス点において変わり得る。ワイヤのこれらのスプライス点は、キャリア部品のガイド溝内に配置される。ガイド溝は互いに平行に配置されているため、フラッシュオーバーのリスクは低減し、ワイヤは互いに実質的に平行にキャリア部品の端面を出る。この設計はまた、ワイヤの絶縁体に対する機械的損傷(例えば、高電圧接続器の振動または衝撃から生じる摩耗に起因する)を防ぎ得る。したがって、互いに接続されている高電圧線のワイヤは、ガイド溝から(したがってスプライスから)一定の距離をおいて高電圧線内へ連結され、道筋が定められているだけである。
【0015】
人工衛星または他のスペースクラフトにおいて、特に衝撃および振動は、地球の軌道への輸送および装置の起動に起因して起こり得、ここでこれらの衝撃および振動は、スペースクラフトに乗って運ばれる装置へ伝えられる強く瞬間的な揺れをもたらし得る。これらの揺れは、上記の影響を伴いスプライスの相対的な動きを引き起こし得る。本書において説明されている高電圧接続器は、スプライスされたワイヤ対が予め決められた位置において互いに対して配置され固定されているため、ワイヤの相互損傷のリスク、および同様にフラッシュオーバーのリスクを低減する。
【0016】
上記高電圧接続器は、宇宙環境において10kVまでの高電圧線を接続するのに特に適している。上記高電圧接続器は、人工衛星における電磁適合性(EMC)に関する規定を満たすように設計され得る。このために、キャリア部品は、適当な電磁シールドによって封入され得る。スプライスされたワイヤ対は、高電圧接続器によって耐衝撃型および耐振動型の状態に保持される。その設計に起因して、本書において説明されている高電圧接続器は、低い全重量(例えば、100グラム未満)によって特徴付けられる。高電圧接続器はまた、HVケーブルのTWTへの組み込みの後でさえも、TWT(またはEPC)からのHVケーブルのケーブル端部の除去なしに、EPCとTWTとの間のHVケーブルの延長を可能にする。それはさらに、HVケーブルの一部の除去と2つの高電圧接続器の助けによる新しい部分の挿入とによって、TWTとEPCとの間の欠陥ケーブルの修理を可能にする。
【0017】
上記および下記のタイプの高電圧接続器は、電気的干渉に影響を受けず且つ機械的に安定で耐性のある高電圧接続を確立することを可能にする。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、キャリア部品は、第1のガイド部品を備え、ガイド溝は第1のガイド部品上に配置されており、キャリア部品は、少なくとも1つのガイド溝を備える第2のガイド部品を備えており、第1のガイド部品は、キャリア部品の第1の面上に配置されており、第2のガイド部品は、キャリア部品の第2の面上に配置されており、第1の面は、第2の面の反対側に配置されている。
【0019】
したがって、ガイド溝は、キャリア部品の向い合う2つの面上に配置されていてもよい。例えば、第1の面はキャリア部品の上面であってもよく、第2の面は下面であってもよい。ガイド溝を備えるガイド部品が上面だけでなく下面にも配置されている場合、高電圧線を複数のワイヤと互いに電気的に接続するために、ガイド溝の数を増やすことができる。
【0020】
この方法において、上面および下面におけるワイヤの間の距離も、キャリア部品の表面からガイド部品上のガイド溝までの距離に応じて(すなわち、ガイド部品の高さをそれぞれの必要条件に適合させることによって)変えることができる。例えば、上面のワイヤと下面のワイヤとの間の距離を増加させ、それによって、より高い電圧におけるガイド溝内のワイヤの間のフラッシュオーバーを防ぐために、ガイド部品の高さを、キャリア部品の設計段階において増加させることができる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、高電圧接続器はさらに、キャリア部品が側面と機械的に連結しているハウジングを備えている。
【0022】
ハウジングは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでいてもよく、機械的影響および電磁気的影響からキャリア部品および高電圧接続を保護するために機能する。また、ハウジングは、高電圧接続器の意図された作動環境におけるEMC規格を満たすように実現されてもよい。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、ハウジングの少なくとも1つの面は、カバーで塞ぐことができる開口を備えている。
【0024】
ハウジングにおける開口は、高電圧線のスプライスされたワイヤを配置するために、キャリア部品への容易なアクセスを可能にする。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、ハウジングは、当該ハウジングの開口を少なくとも部分的に囲んでいる突出部(同様に:カラーまたはリップ)を備えている。
【0026】
突出部(開口を完全に囲んでいてもよい)は、外部電磁的影響からハウジングの内部空間を保護するために設計された段または突出縁(DC縁とも呼ばれる)からなる。
【0027】
したがって、この縁は、ハウジングのEMC強度を向上させ、その結果、外部電磁的影響に対して、接続されたワイヤ対の間のスプライスの保護を向上させる。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、ハウジングは、開口を塞ぐカバーを備えており、カバーには凹部が設けられ、凹部は、カバーがハウジングの開口を塞ぐときに、突出部が凹部内に位置するように配置されている。
【0029】
凹部は、例えば、その形状および範囲がDC縁に適合する溝または空洞からなっていてもよい。外部電磁的影響に対する保護は、凹部内への突出部の嵌合に起因して向上し得る。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、キャリア部品は、2つの脚と横材とを備えており、2つの脚は、キャリア部品の長手方向に延びており、横材は、キャリア部品の短手方向に延び、2つの脚と互いに接続しており、ガイド溝は、横材上に配置されている。
【0031】
したがって、キャリア部品は、H状型において基本的に実現され、脚は、同じ方向に延びている2つの部分によって形成され、横材は、これら2つの部分の間の交差接続に対応する。ガイド溝は、脚の方向に延び、且つ横材上に配置されており、ワイヤは、ワイヤ絶縁体への損傷を防ぐために、キャリア部品の表面または当該表面の縁と接触しないようにキャリア部品の長手方向においてガイド溝を抜ける。ガイド溝は、特に、横材に対して垂直に延びていてもよく、横材の両端上において横材の端面の限りまで延びていてもよい。ガイド部品は、横材と一体的に実現されてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、横材は、凹形であり、キャリア部品の短手方向における中心に向かって細くなっている。
【0033】
一実施形態において、横材は、2つの脚の間の中心において最も短い長手方向の長さを有するように細くなっていてもよい。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、高電圧接続器は、ハウジングの端面上に配置され、ハウジングに対して高電圧線を機械的に固定するために設計されているフランジを備えている。
【0035】
フランジは、特に、高電圧線との圧力嵌めまたは摩擦接続を確立するために設計され得、高電圧線に対して作用している引張力がワイヤのスプライス点に伝えられることがないように、ワイヤ間の接続のための張力逃しを形成する。フランジは特に、接続された高電圧線の両方を固定できるように、ハウジングの両端面上に配置されていてもよい。
【0036】
本発明の別の態様によれば、進行波管増幅器が開示され、当該進行波管増幅器は、進行波管と、電源と、上記および下記のタイプの高電圧接続器とを備えており、当該高電圧接続器は、進行波管の第1の高電圧線と、電源の第2の高電圧線とを電気的に接続する。
【0037】
進行波管増幅器の一実施形態によれば、第1の高電圧線のワイヤは、スプライス領域において第2の高電圧線のワイヤと電気的に接続されており、当該スプライス領域は、キャリア部品の第1のガイド溝内に配置されている。
【0038】
進行波管増幅器の別の実施形態によれば、固定素材が、第1のガイド溝内に配置され、第1のガイド溝内のスプライス領域を固定する。
【0039】
固定素材は、スプライス領域およびワイヤへの機械的損傷のリスクが軽減または排除されるように、キャリア部品との相対的な、スプライス領域およびスプライスされたワイヤ対の動きを制動および/または防ぐ役目をし得る。固定素材は、例えば、真空および無重力における用途に適している特別な接着剤からなっていてもよい。しかしながら、固定素材はまた、ワイヤがある程度ガイド溝内を動くが、これらの動きを弱めることを可能にする、ゼラチン様素材からなっていてもよい。
【0040】
進行波管増幅器の別の実施形態によれば、高電圧接続器は固定手段を備えており、当該固定手段はガイド溝内にワイヤを保持するように配置されている。
【0041】
固定手段は、例えば、糸または別の柔軟な細長い部品からなっていてもよく、当該糸または別の柔軟な細長い部品は、キャリア部品に連結されており、ワイヤが上に向かってガイド溝から抜ける(すなわちキャリア部品から離れる)ことを防ぐために、これらのワイヤを含むように配置されている。
【0042】
進行波管増幅器の別の実施形態によれば、固定手段は、長手方向に関してスプライス領域の前面または背面に配置されている。
【0043】
したがって、固定手段は、スプライス領域の上方には広がっておらず、同様にスプライス領域に追加されるさらなる絶縁層の上方には広がっていないが、反対に、長手方向に関してスプライス領域の前面または背面に広がっている。固定手段がガイド部品の端面のより近くに配置されるほど、ワイヤは、当該ワイヤがガイド溝から出るときに、キャリア部品に対するワイヤの動きが確実に防がれ得るまたは軽減され得るように、よりしっかり固定され得る。固定手段の2つの固定ポイント間の距離が大きいほど、スプライスされたワイヤ対の動きは、その長手方向に対して横方向にさらにより良好に防ぎ得る。
【0044】
本発明の別の局面によれば、上記および下記のタイプの進行波管増幅器を備える人工衛星が開示されている。
【0045】
人工衛星は、例えば通信衛星からなっていてもよく、進行波管増幅器は、通信回線の一部として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の模範的な実施形態が、図面を参照して以下に説明されている。
図1】本発明の模範的な実施形態に係る高電圧接続器の等尺図を示す。
図2】本発明の別の模範的な実施形態に係る高電圧接続器のためのキャリア部品を示す。
図3】本発明の別の模範的な実施形態に係る高電圧接続器の断面図を示す。
図4】本発明の別の模範的な実施形態に係る進行波管増幅器の概略図を示す。
図5】本発明の別の模範的な実施形態に係る進行波管増幅器の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
上記図面は、縮尺に合致しない概略図を示している。図中で使用されている同一のまたは類似する参照符号は、同一のまたは類似する部品に関する。
【0048】
図1は、第1の高電圧線310を第2の高電圧線320に電気的に接続する高電圧接続器100を示している。高電圧接続器100は、ハウジング110を備えており、フランジ132、134は、端面116上および反対側の端面上にそれぞれ配置されており、それぞれの高電圧線310、320をハウジング110に機械的に固定する。
【0049】
高電圧線310、320のワイヤ312、322は、上面が開いているハウジング110の内部空間120内に見える。スプライスされたワイヤ対は、接続点330または接続領域もしくはスプライス領域においてキャリア部品150に機械的に連結または固定されている。上記キャリア部品は、同様に、ハウジング110の側面112上に締結されている。ハウジング110の底面114は、カバーで塞がれている。開いて示されている上面は、同様にカバーで塞ぐことができる。
【0050】
キャリア部品150は、(特に内部空間120の角において)ハウジング110と機械的に連結されていてもよい。キャリア部品は、ハウジングにネジ継手で特に締結されていてもよい。この締結部の配置に起因して、キャリア部品がハウジング110の内部空間120の中心に配置されている場合、締結部品は、ワイヤ対のスプライス点330から可能な限り間隔を離されている。そうすることにより、スプライス点から締結部品および/またはハウジングへのフラッシュオーバーのリスクが低減され得る。
【0051】
図1によれば、スプライスされたワイヤ対は、ワイヤ対の間の距離がほぼ一定であるように、スプライス領域において互いに平行に延びていると同時に、スプライス領域の前後に設けられた部分に沿って延びている。
【0052】
図2は、キャリア部品150の等尺の概略図を示している。当該キャリア部品は、2つの脚153A、153Bおよび横材155によって形成されており、基本的にH状型で実現される。脚153A、153Bは、キャリア部品150の長手方向180に延びており、横材155は、キャリア部品150の短手方向170(長手方向180に対して直角である)に延びている。ガイド部品160は、横材155上のキャリア部品の面151上に配置されている。ガイド部品160は、面151上の段部または突出部を表しており、ガイド溝161A、161Bは、ガイド部品160上に配置されている。当該ガイド溝は、ガイドリブ167によって画定されている凹部からなる。
【0053】
なお、ガイド溝161A、161Bは、横材155上、すなわち面151上に直接設けられてもよい。ガイド部品160は、スプライスされたワイヤ対と面151との間の距離を規定する機能を基本的に有している。また、第2のガイド部品が、下面上(面151の反対側)に設けられてもよい。このようにして、ガイド溝の数は増加され得る。上面にあるワイヤ対とキャリア部品の下面との間の距離は、それぞれの必要条件に基づいて(すなわち、フラッシュオーバーの防護に対して必要な距離に従って)、ガイド部品の高さを適宜選択することによって、予め規定され得る。
【0054】
模範的な本実施形態において、ガイド部品160の端面167は、端面167上のガイド溝を出たワイヤがキャリア部品の別の端に接触しないように、横材155の端と同一平面上で終わっている。
【0055】
横材155は、当該横材が2つの脚の間の中心において最も短い長手範囲を有するように凹形を実現していてもよい(すなわち、両方の脚を発端として中心に向かって細くなっていてもよい)。
【0056】
図3は、キャリア部品に設けられたワイヤ対のスプライス領域の高さにおける、高電圧接続器100の断面図を示している。ハウジング110の側面112は、本図の左側および右側に描かれている。下面において、ハウジングは、カバー140で塞がれている。カラー113(同様に、リップまたはフランジ)は、側面112の上端または下端上にそれぞれ配置されており、当該側面の端上の階段状の突出部を表している。模範的な本実施形態において、カラー113は、ハウジング110の上部および下部の開口を完全に囲んでいる。カバー140は凹部142が設けられ、凹部142は、当該カバーがハウジングの開口を塞ぐときに、カラー113が当該凹部内に位置するように、カラー113の形状および範囲に対応している。
【0057】
キャリア部品150は、上面151および下面152上にそれぞれ配置されている2つのガイド部品160を備えている。それゆえ、キャリア部品は、この領域において、それぞれ1つの櫛または2つの櫛に類似して実現されている。ガイド溝161Aは、2つのガイドリブ162の間に配置されている。1つのスプライスされたワイヤ対312は、それぞれのガイド溝に、それぞれ配置されている。当該ガイド溝は、ワイヤ対が当該ガイド溝の中に少なくとも部分的に、またはさらに完全に収容されるように(すなわち、当該ワイヤ対がガイドリブからはみ出さないように)、特定の寸法に合わせて作られていてもよい。
【0058】
ガイド溝内に位置されているワイヤ対をキャリア部品150に対して固定するため、および当該ワイヤ対の動きを抑えるために、少なくともいくつかのガイド溝内に固定素材163(斜線部分)が配置されていてもよい。なお、それぞれのワイヤ対は、当該固定素材を使用して、対応するガイド溝内に固定されてもよいが、より良い全体像を与えるために、1つのガイド溝についてのみ描かれている。
【0059】
上記固定素材を使用して固定されるのに加えて、またはその代わりに、ワイヤ対は、固定手段165を用いてガイド溝に締結されてもよい。この固定手段は、例えば、あるワイヤがガイド溝に置かれているときに、当該ガイド溝の2つのガイドリブを繋ぎ、且つ当該ガイドリブの間に位置されている当該ガイド溝を塞ぐ、糸からなっていてもよい。このようにして、対応するワイヤはガイド溝から抜き出なくなる。したがって、糸165は、ガイド溝を画定する2つのガイドリブに接続されてもよい。
【0060】
キャリア部品の上面および下面上のガイド溝は、キャリア部品の短手方向170に関して互いの上に位置していてもよい(すなわち、キャリア部品の上面および下面上のガイド溝は、短手方向において横にずれることなく配置されていてもよい)。模範的な実施形態において、上面および下面上のガイド溝は、下面上のガイド溝が上面上のガイドリブの下に位置するように(逆の場合も同様に)、短手方向において互いに対してずれていてもよい。ガイド溝は、短手方向においてガイドリブと同様の範囲(図3における左から右への幅)を有していてもよい。しかしながら、ガイド溝の幅は、スプライスされたワイヤ対の寸法に依存しており、ガイドリブの幅は、特に、当該ワイヤ対の間の潜在的な相違に影響されるので、フラッシュオーバーを防ぐために変えられ得る。
【0061】
図4は、進行波管410および電源420を備える進行波管増幅器400を示している。高電圧線300は、進行波管410上および電源420上にそれぞれ配置されており、特に、一体的に取り付けられている。進行波管および電源は、上述のタイプの2つの高電圧接続器100の間に設けられている高電圧線300だけでなく、これら高電圧接続器100によって電気的に接続されている。
【0062】
本設計は、上記それぞれの必要条件に従って(すなわち、必須な構成要素の製造後に)進行波管増幅器400を構成することを可能にする。この場合、進行波管は、予め決められた標準的な長さを有する高電圧線300を用いて製造され得る。進行波管と電源との間の高電圧線の長さは、高電圧接続器および追加の電線部分によって適合され得る。
【0063】
図5は、図4の代替の実施形態を示している。この場合、進行波管410および電源420またはこれらの高電圧線300は、それぞれ1つの高電圧接続器100に直接接続されている。この構成は、例えば進行波管410と電源420との間の電線の延長が必要ない場合に、選択され得る。
【符号の説明】
【0064】
100 高電圧接続器
110 ハウジング
112 側面
113 カラー
114 底面
116 端面
120 内部空間
132 第1のフランジ
134 第2のフランジ
140 カバー
142 凹部
150 キャリア部品
151 第1の面
152 第2の面
153 固定脚
155 横材
160 ガイド部品
161A ガイド溝
161B ガイド溝
162 ガイドリブ
163 固定素材
165 固定手段
167 端面
170 短手方向
180 長手方向
300 高電圧線
310 第1の電線
312 ワイヤ
320 第2の電線
322 ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5