(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6268247
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】遠近両用眼鏡状のフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/20 20060101AFI20180115BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20180115BHJP
G02C 5/04 20060101ALI20180115BHJP
G02C 7/06 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G02C5/20
G02C5/12
G02C5/04
G02C7/06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-174428(P2016-174428)
(22)【出願日】2016年9月7日
【審査請求日】2017年9月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596179070
【氏名又は名称】関 則雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】関 則雄
【審査官】
廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−093029(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3134235(JP,U)
【文献】
実開昭51−126148(JP,U)
【文献】
特開2008−286884(JP,A)
【文献】
特開2000−122009(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0145699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(1)と、該一対のレンズ保持枠(1)を連結するブリッジ(2)と、前記レンズ保持枠(1)の外側に蝶番(3)を介して先端が折畳み可能に取付けられたツル(4)と、鼻に当接して支持させる鼻当部(5)と、から少なくとも構成し、且つ、前記ツル(4)の先端側に垂直方向の段差部(6)を設け、該段差部(6)に沿って前記レンズ保持枠(1)が上下移動するための上下移動手段(7)を設けると共に前記鼻当部(5)が上下スライドするための上下スライド手段(8)を前記ブリッジ(2)に設けたことを特徴とする遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項2】
前記ツル(4)に設けた段差部(6)が、レンズA或いはレンズBの中心と後端側の前記ツル(4)の高さが合致される段差である請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項3】
前記上下移動手段(7)が、前記ツル(4)の先端部(41)に固着した軸受(71)と、該軸受(71)の内部に装着した弾性部材(72)と、前記ツル(4)の垂直部(42)に取付けるストップリング(73)と、から少なくとも構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【請求項4】
前記上下スライド手段(8)が、前記ブリッジ(2)の中央から吊下した吊下軸(81)と、該吊下軸(81)を貫通させるスライド軸受(82)と、該スライド軸受(82)の内部に装着した弾性部材(83)と、前記吊下軸(81)の端部に取付けるストップリング(84)と、から少なくとも構成された請求項1記載の遠近両用眼鏡状のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上下移動して異種類のレンズなどを使い分け出来る遠近両用眼鏡状のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に遠近両用眼鏡は、1枚のレンズの上部を遠視用に、その下部を近視用に成し、眼鏡の装着者が眼球の方向や見る角度を変え、遠くの物を見る時には上目使いに、近くの物を見る時には下目使いにして見ているのが現状である。この場合、
図11(a)に示すように視線が水平位置から下方に向って物を見るため、物を見るのに正視する(レンズの中心と目の高さが合致した視線で見る)のが自然であるのに対して、特に近くの物を見る時の視線は、不自然な見方、不自然な使い方で無理が生じ易く、目の疲れを誘発し易いものとなっていた。
【0003】
このため、下方の近視用領域を目の位置に近付けて、視線を正視状態に近くするための提案も多くある。この中で、鼻当部だけを上下移動させる提案のものとしては、
図11(b)に示すように視線を水平位置から下方に向けて物を見ると、
図11(a)の時よりも下方に向ける位置が少なくて済み、目の高さに近付けることができる。しかし、この時のレンズ全体が図中のように傾くため、見にくいものとなり、目の疲労が生じ易いものとなっていた。
【0004】
又、眼鏡自体を反転させる眼鏡や、眼鏡自体の高さを鼻当て位置の上下高さ調節によって目の位置に近付けた眼鏡など多種類のものがある。この中で、眼鏡自体を反転させる提案のものとしては、例えば、特開平7−199126号があり、これは、反転して眼鏡が掛けられるようにツルを反転して耳当部を上下移動させると共に、鼻当部を上下移動させて、遠中視部又は近視部の中央付近に目が位置するようにする構造のものである。
【0005】
しかしなら、眼鏡自体を反転させる眼鏡は、ツルの取付部が眼鏡枠の外側中央高さに設けられているため、眼鏡自体を反転させても、視線が上下のレンズの境に来て見にくくなり、必ず鼻当部の上下高さ調節をしなければならないものであった。この眼鏡は反転させて使用できるようにした後、鼻当部を上下移動させて上下高さ調節する必要があり、面倒であると共に、鼻当部の上下移動させる微調節はなかなか正確に行うのは困難である。又、この時の視線としては、
図11(c)に示すようになり、目の高さにズレが生じ、且つ、レンズ全体が図中のように傾くため、目の疲労をなくすことはできないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−199126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け出来ると共に、レンズなどの中心
と装着時の装着者の目の高さを合致させて眼精疲労が軽減される遠近両用眼鏡状のフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記現状に鑑みて成されたものであり、つまり、上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠と、該一対のレンズ保持枠を連結するブリッジと、レンズ保持枠の外側に蝶番を介して先端が折畳み可能に取付けられたツルと、鼻に当接して支持させる鼻当部と、から少なくとも構成し、且つ、ツルの先端側
に垂直方向の段差部を設け、該段差部に沿ってレンズ保持枠が上下移動するための上下移動手段を設けると共に、鼻当部が上下スライドするための上下スライド手段をブリッジに設けたものとする。また前記段差部が、レンズA或いはレンズBの中心
と装着時の装着者の目の高さが合致される段差とし、前記上下移動手段が、ツルの垂直部に挿入すると共にツルの先端部に固着した軸受と、該軸受の内部に装着した弾性部材と、ツルの垂直部に取付けるストップリングと、から少なくとも構成されたものとしても良く、更に上下スライド手段が、ブリッジの中央から吊下した吊下軸と、該吊下軸を貫通させるスライド軸受と、該スライド軸受の内部に装着した弾性部材と、吊下軸の端部に取付けるストップリングと、から少なくとも構成されたものとしても良い。
尚、本発明で
言う「略中央高さ」には、中央高さ及び中央高さ付近の
高さも含むものとする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠(1)と、該一対のレンズ保持枠(1)を連結するブリッジ(2)と、レンズ保持枠(1)の外側に蝶番(3)を介して先端が折畳み可能に取付けられたツル(4)と、鼻に当接して支持させる鼻当部(5)と、から少なくとも構成し、且つ、ツル(4)の先端側
に垂直方向の段差部(6)を設け、該段差部(6)に沿ってレンズ保持枠(1)が上下移動するための上下移動手段(7)を設けると共に、鼻当部(5)が上下スライドするための上下スライド手段(8)をブリッジ(2)に設けることによって、上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け可能となると共に、レンズの中心
と後端側のツル(4)の高さを合致させれば、眼精疲労が軽減されるものとなる。特にレンズAの眼鏡とレンズBの眼鏡の2種類の眼鏡が、上辺同士を固定した眼鏡と略同様な使用が可能となるため、レンズAの眼鏡とレンズBの眼鏡を使い分けて単独の眼鏡として使用する状態と略同一の感覚となり、上下移動しても目の高さがズレないので、極めて見え易いものとなる。
【0010】
請求項2のようにツル(4)にレンズA或いはレンズBの中心
と後端側のツル(4)の高さが合致されるような段差部(6)を設けることにより、レンズAとレンズBの使い分けが簡単で迅速且つ確実に行え、しかもレンズの使用範囲(視線の移動範囲)が広がるものとなる。また物を見る場合、正視する自然状態となり、眼精疲労が軽減可能なものとなる。
更に従来品の如く調節や微調節することが殆どないので、取扱いが極めて安易なものとなるのである。
【0011】
請求項3に示すように上下移動手段(7)が、ツル(4)の垂直部(42)に挿入すると共にツル(4)の先端部(41)に固着した軸受(71)と、該軸受(71)の内部に装着した弾性部材(72)と、ツル(4)の垂直部(42)に取付けるストップリング(73)と、から少なくとも構成されることによって、簡単な構造で、且つ、上下移動がスムーズに行えるものとなる。
【0012】
請求項4に示すように上下スライド手段(8)が、ブリッジ(2)の中央から吊下した吊下軸(81)と、該吊下軸(81)を貫通させるスライド軸受(82)と、該スライド軸受(82)の内部に装着した弾性部材(83)と、吊下軸(81)の端部に取付けるストップリング(84)と、から少なくとも構成されることによって、簡単な構造で、且つ、上下移動がスムーズに行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】本実施形態の上下移動手段の分解部品を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態の上下移動手段の作用を示す説明図である。
【
図6】本実施形態の上下スライド手段の分解部品を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態の上下スライド手段の作用を示す説明図である。
【
図8】別
実施形態の上下スライド手段の作用を示す説明図である。
【
図9】本実施形態のレンズ保持枠が折曲されたものを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を
図1〜
図3に基づいて説明する。(1)は上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠であり、該レンズ保持枠(1)はレンズA,Bの外周を図中の如く囲っているが、これに限定するものではなく、例えば、縁なし眼鏡のレンズ保持枠(1)を用いても良い。尚、前記レンズ保持枠(1)によって保持されるレンズとしては、凹レンズ,凸レンズ,板ガラス(素通しや偏光板),色付きガラス(サングラスなど),ウェアラブル端末グラスなどを用いるのが好ましい。またレンズの形状としては、
図1、
図2の図中に示す四角形に限定されるものではなく、例えば円形,楕円形や他の形状でも良い。またレンズA,Bは個別でなく、1枚のレンズに一体化させたものとしても良い。更に前記レンズの代わりに、ウェアラブル端末用の表示画面として使用するものとしても良い。
【0015】
又、レンズA,Bが傾斜するようにレンズ保持枠(1)を、
図9に示すように折曲(傾斜)させたものとしても良い。この時の後述する段差部(6)は、レンズ保持枠(1)の上部の傾斜に合せて平行移動するように傾斜を付けても良いが、他の図に示すように後述するツル(4)と直角に折曲したものとしても良い。又、図中の一点鎖線は目の高さを示す。
【0016】
(2)は一対のレンズ保持枠(1)の中央高さ位置に連結したブリッジである。尚、前記ブリッジ(2)の連結位置は、中央高さ位置に限定されるものではない。(3)は後述するツル(4)を折畳み可能に取付けるための蝶番であり、該蝶番(3)はレンズ保持枠(1)の外側で且つその取付け位置は下方レンズの中心より低い位置に設けると共に、前記ツル(4)の先端部(41)に蝶番(3)が設けられている。(4)は先端が折畳み可能に取付けられたツルである。
【0017】
(5)は鼻に当接して全体を支持させる鼻当部であり、該鼻当部(5)はブリッジ(2)の下部に設けると共に上下方向にスライド可能に配置されている。(6)はツル(4)の先端側に設けた
垂直方向の段差部であり、該段差部(6)は、ツル(4)の先端部(41)と垂直部(42)を少なくとも有しており、前記垂直部(42)は丸棒状に形成しておく。尚、前記先端部(41)と垂直部(42)は分離されている(
図4参照)。また前記段差部(6)の役目は、レンズA或いはレンズBの中心
と後端側のツル(4)の高さを合致させるためのものである。この段差部(6)は、図中に於いて蝶番(3)側が低くなっているが、高くしたものとしても良い。前記蝶番(3)側を高くした時、蝶番(3)の配置は、レンズ保持枠(1)の外側で且つ上方レンズの中心より高い位置に設ける。尚、前記段差部(6)は垂直(90度)に限定するものではなく、
図9のように傾斜させたものとしても良い。
【0018】
(7)は段差部(6)を利用した上下移動手段であり、該上下移動手段(7)は、ツル(4)の丸棒状の垂直部(42)に挿入して上下移動可能なリング状の軸受(71)と、該軸受(71)と垂直部(42)との間に装着される弾性部材(72)と、前記垂直部(42)の端部に装着したストップリング(73)と、から構成されている(
図4、
図5参照)。前記軸受(71)はツル(4)の先端部(41)に固着され、内部にはOリングなどである弾性部材(72)が装着されている。またストップリング(73)としてはEリングなどを用い、その役目は軸受(71)が垂直部(42)から抜けるのを防止するためのものである。前記Eリングの代りにCリングなどを用いても良い。又、前記垂直部(42)には、弾性部材(72)の突出部が挿入されて位置決めするための湾曲凹面状の溝(42a)が2本形成されており、その溝(42a)の間隔はレンズAの中心とレンズBの中心との距離に相当する長さである。
【0019】
前記上下移動手段(7)の別実施形態として、後述する上下スライド手段(8)の機構を利用したものとしても良い。つまり、実施形態のものと比べ、弾性部材(72)の装着が軸受(71)ではなく、垂直部(42)の湾曲凹面状の溝(42a)の位置に貫通穴を穿設させ、この貫通穴に
図6のような俵状のゴム製や合成樹脂製の弾性部材(72)を嵌入装着し、垂直部(42)の外形から弾性部材(72)の両端を突出させる。一方、軸受(71)の内部には、突出させた弾性部材(72)が挿入されて位置決めするための湾曲凹面状の溝を1本形成させた構造としても良い(
図7参照)。
【0020】
(8)は鼻当部(5)を上下スライドさせるために設けた上下スライド手段であり(
図6参照)、該上下スライド手段(8)は、ブリッジ(2)の中央から吊下した丸棒状の吊下軸(81)と、該吊下軸(81)を挿入するスライド軸受(82)と、前記吊下軸(81)とスライド軸受(82)との間に装着した弾性部材(83)と、前記吊下軸(81)の端部に取付けるストップリング(84)と、から構成されている。前記吊下軸(81)には2個の貫通穴(81a)が穿設されており、その貫通穴(81a)の間隔は、レンズAの中心とレンズBの中心との距離に相当する長さである。また前記スライド軸受(82)の内部には、弾性部材(83)の突出部が嵌入されるための湾曲凹面状の溝(82a)が刻設されていると共に、前記スライド軸受(82)には鼻当部(5)が固着されている。また前記弾性部材(83)としては俵状のゴム製や合成樹脂製のものを用いるのが好ましいが、他のものでも良い。例えば、前記弾性部材(83)としてOリングなどを用いる場合には、吊下軸(81)に貫通穴(81a)の代りに、湾曲凹面状の溝を2本形成し、Oリングをスライド軸受(82)の内部に装着させる構造、つまり、
図4、
図5に示す構造のようにしたものとしても良い。前記ストップリング(84)としてはCリングなどを用いるが、他のもの、例えばEリングなどを
用いても良い。
【0021】
図8は上下スライド手段(8)の別実施形態を示す図であり、該上下スライド手段(8)は、ブリッジ(2)の中央に固着したリング状の軸受(85)と、該軸受(85)に挿入して上下移動可能なスライド軸(86)と、前記軸受(85)とスライド軸(86)との間に装着した俵状の弾性部材(83)と、前記スライド軸(86)の上端部に取付けるストップリング(84)と、前記スライド軸(86)の下端に固着した筒体(87)と、から少なくとも構成され、前記筒体(87)には鼻当部(5)が固着されている。尚、前記上下移動手段(7)及び上下スライド手段(8)は、前記発明の上下移動手段(7)或いは上下スライド手段(8)の機構を利用したものとしても良い。(9)はツル(4)の後端部に取付けられた耳当部である。
【0022】
次に本発明の上下移動手段(7)の作用を
図5に基づいて説明する。先ず始めに(イ)の状態にある軸受(71)を、指で矢印方向へ持上げると、Oリングである弾性部材(72)が溝(42a)から外れ、弾性部材(72)の内径が垂直部(42)の外径と同一になる。この時、(ロ)の状態の如く弾性部材(72)が軸受(71)の溝の奥へ押しやられる。この状態で上方へ更に移動して行くと、弾性部材(72)は溝(42a)に嵌り、(ハ)の位置で軸受(71)が止まるのである。
【0023】
次に本発明の上下スライド手段(8)の作用を
図7に基づいて説明する。先ず始めに(イ)の状態にあるスライド軸受(82)を、指で矢印方向へ持上げると、吊下軸(81)から突出した弾性部材(83)がスライド軸受(82)の溝(82a)から外れ、スライド軸受(82)は(ロ)の状態の如く吊下軸(81)と隙間ができて軽くなるので、そのまま上方に移動させる。すると、吊下軸(81)から突出した弾性部材(84)がスライド軸受(82)の溝(82a)に嵌り、(ハ)の位置でスライド軸受(82)が止まるのである。この時、鼻当部(5)は(イ)から(ハ)の位置間で上方へ移動するのである。
【0024】
前記別実施形態の上下スライド手段(8)の作用を図8に基づいて説明する。先ず始めに(イ)の状態にある鼻当部(5)に固着した筒体(87)を、指で矢印方向へ引下げると、スライド軸(86)の下方の弾性部材(83)が軸受(85)の溝から外れ、スライド軸(86)は軸受(85)と隙間ができて軽くなり、スライド軸(86)は自然落下して、(ロ)の位置を通過し、上方の弾性部材(83)が軸受(85)に当るので、少し力を入れて引くと、弾性部材(83)が軸受(85)の溝に嵌り、(ハ)の位置でスライド軸(86)と一緒に筒体(87)も下がって止まるのである。この時、鼻当部(5)は(イ)から(ハ)の位置まで下がるのである。
【0025】
次に本発明の作用を
図10に基づいて説明する。先ず始めに(a)の状態について説明する。この状態で眼鏡を掛けると、目の高さとレンズAの中心が合致しているので、物が非常に見易く、且つ、レンズAの上下を有効に使用できるものとなる。その後、レンズBを使用する時は、先ず指で軸受(71)を上方へ持上げると、弾性部材(72)が溝(42a)から外れる。そして、更に上方へ軸受(71)を移動して行くと、溝(42a)に弾性部材(72)が嵌り、(b)の位置で軸受(71)が止まるのである(
図5参照)。この時、上記レンズAの時と同じようにレンズBの中心が目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0026】
このように軸受(71)を上方へ持上げると、レンズ保持枠(1)が上方へ持上げられると共に鼻当部(5)も持上げられるので、スライド軸受(82)を指で下方へ下げる。すると、吊下軸(81)から突出した弾性部材(83)がスライド軸受(82)の溝(82a)から外れ、スライド軸受(82)が軽くなり、その後、吊下軸(81)から突出した弾性部材(83)にスライド軸受(82)の溝(82a)に嵌り、スライド軸受(82)は
図7の(ハ)から(イ)の位置までスライドして止まるのである。つまり、目の位置がレンズAの中心からレンズBの中心に移動した場合、レンズAの時と同様に、鼻当部(5),耳当部(9),ツル(4),段差部(6)の位置関係は変化しないものとなるのである。
【0027】
このようにレンズ保持枠(1)を上下移動すると共に鼻当部(5)も上下移動することにより、目の位置がレンズAの中心からレンズBの中心に移動した場合でも、レンズAの時と同様に、鼻当部(5),耳当部(9),ツル(4),段差部(6)の位置関係は変化しないものとなる。この時、レンズAとして凹レンズを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すれば、従来の問題点が、素早く解決できるものとなる。つまり、1)運転席のカーナビやオーディオ機器等を操作した後、直ぐに前方を見ても、焦点が合わず前方がボケたり或いは距離感に異常を感じることが防止可能となる。2)コンピューターの前で、手元のデーターや文字を確認した後、画面を見ると細かな文字が見えにくく、且つ、眩しく感じたりすることがなくなり、目の疲れが減少し、頭痛や肩こり等が減少するものとなる。3)階段を下がる時に足元がボケ、歩きにくくなることが防止でき、階段を踏み外す事故も防止出来るものとなる。4)テレビジョンを見ながら新聞や雑誌を見てもピンボケが減少する。5)岩場で釣りをする場合、針に餌を付けた後にすぐに岩場を歩いても岩につまずくことが殆どなくなる。
又、レンズAとしてサングラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用する際、特に運転席のカーナビやオーディオ機器等を操作した後、直ぐに前方をサングラスに変えて見れば、ボケたり或いは距離感に異常を感じることが防止可能となると共に眩しさに対応できるものとなる。更に、レンズAとしてウェアラブル端末グラスを使用し、レンズBとして凸レンズを使用すると、眼鏡としてレンズBを使用しながら、一々眼鏡を外さなくてもウェアラブル端末が使用できるものとなるのである。
このように、本発明品を用いれば、眼鏡を掛け変えなくても簡単に2種類のレンズがそれぞれ単独状態で使用できるものとなるのである。
【符号の説明】
【0028】
1 レンズ保持枠
2 ブリッジ
3 蝶番
4 ツル
41 先端部
42 垂直部
5 鼻当部
6 段差部
7 上下移動手段
71 軸受
72 弾性部材
73 ストップリング
8 上下スライド手段
81 吊下軸
82 スライド軸受
83 弾性部材
84 ストップリング
【要約】
【課題】本発明は上下移動して異種類のレンズなどを簡単に使い分け可能となると共に、レンズなどの中心と目の高さを合致させて眼精疲労が軽減される遠近両用眼鏡状のフレームを提供することを目的とする。
【解決手段】上下に配置したレンズA,Bを保持する一対のレンズ保持枠1と、該一対のレンズ保持枠1を中央高さで連結するブリッジ2と、レンズ保持枠1の外側に蝶番3を介して先端が折畳み可能に取付けたツル4と、鼻に当接して支持出来るように設けた鼻当部5と、から少なくとも構成し、且つ、ツル4の先端側に段差部6を設け、該段差部6に沿ってレンズ保持枠1が上下移動するための上下移動手段7を設けた構成とする。また前記段差部6が、レンズA或いはレンズBの中心と目の高さが合致される段差とする。
【選択図】
図1