特許第6268295号(P6268295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268295横方向に構造形成した蛍光体層を製造するための方法およびそのような蛍光体層を備えたオプトエレクトロニクス半導体部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268295
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】横方向に構造形成した蛍光体層を製造するための方法およびそのような蛍光体層を備えたオプトエレクトロニクス半導体部品
(51)【国際特許分類】
   C25D 13/02 20060101AFI20180115BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20180115BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   C25D13/02 Z
   H01L33/50
   C09K11/08 G
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-539048(P2016-539048)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公表番号】特表2017-508867(P2017-508867A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015050976
(87)【国際公開番号】WO2015107211
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】102014100542.2
(32)【優先日】2014年1月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ゲーツ ブリッタ
(72)【発明者】
【氏名】シュトール イオン
(72)【発明者】
【氏名】プフォイファー アレクサンダー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】オットー イザベル
【審査官】 萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−243929(JP,A)
【文献】 特開2002−313565(JP,A)
【文献】 特開2007−095627(JP,A)
【文献】 特開2011−049199(JP,A)
【文献】 特開2001−236026(JP,A)
【文献】 特開2001−110303(JP,A)
【文献】 特開昭51−118959(JP,A)
【文献】 特表2005−519201(JP,A)
【文献】 米国特許第06616497(US,B1)
【文献】 米国特許第06120339(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 13/00−13/24
C09K 11/00−11/89
H01L 33/48−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向にパターニングされた層を製造するための方法であって、
キャリア上面(20)上に第1の導電性層(21)を有するキャリア(2)を用意するステップと、
前記第1の導電性層(21)上に絶縁層(23)を、および前記絶縁層(23)上に第2の導電性層(22)を設けるステップと、
前記第2の導電性層(22)上にエッチングマスク(3)を設け、かつパターニングするステップと、
前記第2の導電性層(22)および前記絶縁層(23)をエッチングするステップであり、前記第1の導電性層(21)は連続層として保たれる、エッチングするステップと、
前記第1の導電性層(21)に電圧を印加して、第1の材料(4)で前記第1の導電性層(21)を電気泳動法でコーティングするステップと、
前記第2の導電性層(22)に電圧を印加して、第2の材料(5)で前記第2の導電性層(22)を電気泳動法でコーティングするステップと、
含み、
前記第1の材料および前記第2の材料(4、5)は、それぞれ、粒子として堆積され、
前記第2の材料(5)の前記粒子の平均粒径は、前記第1の材料(4)の前記粒子の平均粒径の少なくとも2分の1未満である
方法。
【請求項2】
光材料板(1)が、前記横方向にパターニングされた層として製造され、
前記第1の材料(4)は、発光材料または発光材料混合物であり、
前記第2の材料(5)は、可視光を反射もしくは吸収する材料を含有するか、または前記材料であり、
前記エッチングするステップの後で、前記第2の導電性層(22)は、前記第1の導電性層(21)が、平面視においてフレーム状に囲まれた複数の領域に細分化されるように、平面視において格子を形成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料(5)の前記粒子の平均粒径は、前記第1の材料(4)の前記粒子の平均粒径の少なくとも3分の1未満である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記エッチングするステップの後で、前記第1の導電性層および前記第2の導電性層(21、22)は一体として、平面視で、前記キャリア上面(20)を完全に被覆する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の導電性層(22)および前記絶縁層(23)は、前記第1の導電性層(21)に対して選択的に湿式化学エッチング可能である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティングするステップの後で、前記横方向にパターニングされた層が単一の連続した板(1)であるように、マトリックス材料(6)が前記第1の材料および前記第2の材料(4、5)上に載置され、
前記マトリックス材料(6)は、シリコーン、シリコーン/エポキシハイブリッド材料、ポリシラザンおよび/もしくはパリレンを含有するか、または、シリコーン、シリコーン/エポキシハイブリッド材料、ポリシラザンおよび/もしくはパリレンからなる、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粒子状の第3の材料が、前記マトリックス材料(6)に添加され、前記第3の材料が、発光材料または発光材料混合物である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリア(2)を用意する前記ステップは、前記キャリア上面(20)上に前記第1の導電性層(21)を堆積するステップを含み、前記キャリア(2)は、電気絶縁性である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の導電性層(21)は、透明導電性酸化物を含み、前記第1の導電性層(21)の厚さは、50nm以上400nm以下であり、
前記絶縁層(23)は、酸化シリコンまたは窒化シリコンから形成され、前記絶縁層(23)の厚さは、150nm以上800nm以下であり、
前記第2の導電性層(21)は、Ti、W、Alおよび/またはCaを含む金属層を含み、前記第2の導電性層(21)の厚さは、50nm以上500nm以下であり、
前記第1の材料(4)は、発光材料であり、前記第1の材料(4)の平均粒径は、7μm以上13μm以下であり、
前記第2の材料(5)の平均粒径は、100nm以上500nm以下であり、前記第2の材料(5)は、酸化チタン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、カーボンブラックまたはグラファイトであり、
完成後の前記発光材料板(1)の厚さは、20μm以上150μm以下である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法のステップが、記載された順番で実行される、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料および前記第2の材料(4、5)でコーティングするステップの後で、前記キャリア(2)は、製造された前記横方向にパターニングされた層(1)から取り除かれ、前記第1の導電性層(21)、前記第2の導電性層(22)および/または前記絶縁層(23)は、前記横方向にパターニングされた層(1)上に部分的にまたは完全に残る、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
横方向にパターニングされた層、特に発光材料板を製造するための方法を提供する。さらに、そのような層を有するオプトエレクトロニクス半導体部品を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0241031号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2012 109 460号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成すべき目的は、横方向にパターニングされた層を効率的に製造することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、とりわけ、独立請求項の特徴を有する方法およびオプトエレクトロニクス半導体部品によって実現される。好ましいさらなる発展形が、従属請求項の主題を構成する。
【0005】
少なくとも1つの実施形態によれば、横方向にパターニングされた層が、本方法を用いて製造される。横方向のパターニングは、主面上の平面視において、層に、その特性に関して異なる複数のサブエリアがあることを特に意味する。特に、サブエリアは、その材料組成および/または光学的特性が相互に異なる。主表面に直交する方向では、材料が、サブエリア内で均一に分布することも不均一に分布することもある。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、キャリアを用意するステップを含む。キャリアを、製造方法の間にだけ存在する一時的なキャリアとしてもよい。キャリアは、好ましくは機械的に安定であり、その結果、キャリアは、製造しようとする層の機械的耐荷重性部品および支持部品を構成する。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアは、キャリア上面に第1の導電性層を含む。第1の導電性層を、キャリアの統合された部分としてもよく、キャリア上面に設けてもよい。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、第1の導電性層上に電気的絶縁層を設けるステップを含む。絶縁層を、第1の導電性層の全表面にわたって均一にかつ一様な層厚さに設けることが好ましい。第1の導電性層を、製造許容誤差の範囲内で一定の厚さの、パターニングされない連続層としてもよい。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の導電性層を絶縁層上に設ける。第1の導電性層についての場合でもそうであり得るように、第2の導電性層を、パターニングせずに設けることが好ましい。第1の導電性層および第2の導電性層を、絶縁層により相互に電気的に絶縁する。
【0010】
第1の導電性層、絶縁層および第2の導電性層を、それぞれ好ましくは単一層で形成する。あるいは、複数のサブレイヤの組み合わせをこれらの層に使用することもできる。キャリアから離れる方向では、絶縁層は、第1の導電性層に好ましくは直接続き、第2の導電性層は、絶縁層に好ましくは直接続く。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、エッチングマスクを、第2の導電性層のキャリアとは反対側に設ける。エッチングマスクを、好ましくはフォトリソグラフィでパターニングする。エッチングマスクは、例えば、フォトレジスト層から形成される。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の導電性層および絶縁層を、エッチングする。エッチングは、パターニングされて進行し、パターニングは、エッチングマスクによって予め決められる。特に、第2の導電性層および絶縁層を、エッチング中に第1の導電性層から諸所で完全に除去する結果、第1の導電性層は、エッチング後、諸所で露出する。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の導電性層は、エッチング中に損なわれないもしくは除去されない、または著しく損なわれないもしくは除去されない。特に、第1の導電性層を、連続的な、パターニングされないまたは実質的にパターニングされない層として保つ。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、電圧を、第1の導電性層にある時間にわたって印加する。第1の導電性層を、そのとき電気泳動法によって第1の材料でコーティングする。絶縁層によって被覆されていないすべての領域内で、第1の導電性層を第1の材料でコーティングすることが好ましい。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、電圧を第2の導電性層に印加し、第2の材料を、第2の導電性層上に電気泳動法によって堆積する。第2の導電性層には、ここでは好ましくは第1の材料がない。言い換えると、第1の材料を、そのとき第1の導電性層上に選択的に堆積し、第2の材料を、第2の導電性層上に選択的に堆積することが好ましい。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、本方法は、横方向にパターニングされた層、特に発光材料板を製造するように設計される。本方法は、少なくとも、
− キャリア上面上に第1の導電性層を有するキャリアを用意するステップと、
− 第1の導電性層上に絶縁層を、および絶縁層上に第2の導電性層を設けるステップと、
− 第2の導電性層上にエッチングマスクを設け、パターニングするステップと、
− 第2の導電性層および絶縁層をエッチングするステップであって、第1の導電性層が連続層として保たれる、エッチングするステップと、
− 第1の導電性層に電圧を印加して、第1の材料で第1の導電性層を電気泳動法でコーティングするステップと、
− 第2の導電性層に電圧を印加して、第2の材料で第2の導電性層を電気泳動法でコーティングするステップと
を含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書において説明した方法の方法ステップを、記載された順番で実行する。あるいは、第1の材料および第2の材料を用いたコーティングを、逆の順番で実行することができる。
【0018】
ピクセル化した発光ダイオードチップに関して特に、波長変換用の発光材料を、個々のピクセルまたは複数のピクセル上に意図的にパターニングする方法で設けなければならない。隣接するピクセル間の光クロストークを防止するように、ここでは隣接するピクセルを相互に光学的に分離することも多くの場合に必要である。相互のこのような光学的な分離は、例えば、オンおよびオフに切り替えられる隣接するピクセル間の高いコントラストを可能にする。
【0019】
比較的小さなパターンサイズを実現できるように、このようなピクセル化した発光ダイオードチップを、例えば、フォトリソグラフィでパターニングする。このように、比較的小さなパターンサイズを有する発光ダイオードチップ材料上に実装される発光材料を同様に設けることができることが、発光ダイオードチップにとって光学的分離の目的にはやはり必要である。フォトリソグラフィで製造したマスクを使用して、必要な精度で横方向にパターニングした光学的特性を有する層(例えば、発光材料領域を有しかつ放射を通さない領域を有する層)を製造することが、本明細書において説明する方法により可能である。第1の導電性層および第2の導電性層を別々に電気的に処理することができるため、明確に第1の材料および第2の材料を、キャリア上の特定の領域内に選択的に堆積することができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、横方向にパターニングされた層は、発光材料板である。言い換えると、層は、そのとき1つまたは複数の発光材料を含む。発光ダイオードチップなどのオプトエレクトロニクス半導体チップ上に設けられるように、発光材料板を設計する。特に、横方向にパターニングされた層は、ピックアンドプレースプロセスにより取り扱えるように設計され、十分に機械的に安定である。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料は、発光材料もしくは発光材料混合物である、または発光材料もしくは発光材料混合物を含む。例えば、下記の材料、すなわち、希土類金属ドープのガーネット、希土類金属ドープのアルカリ土類金属硫化物、希土類金属ドープのチオガレート、希土類金属ドープのアルミネート、希土類金属ドープのシリケート、希土類金属ドープのオルトシリケート、希土類金属ドープのクロロシリケート、希土類金属ドープのアルカリ土類金属シリコン窒化物、希土類金属ドープの酸窒化物、希土類金属ドープのアルミニウム酸窒化物、希土類金属ドープの窒化シリコンもしくは希土類金属ドープのSiAlON材料および/または希土類金属ドープのSiON材料を、発光材料として使用してもよい。Ce3+ドープのガーネット、例えば、YAG:CeおよびLuAG:Ceは、発光材料として特に適している。CaAlSiN:Eu2+、(Ba,Sr)Si:Eu2+などのEu2+ドープの窒化物、Eu2+ドープの硫化物、SiAlON:Eu2+、例えば(Ba,Sr)SiO:Eu2+などのオルトシリケート、バリウムマグネシウムアルミネート:Eu2+および/またはハロリン酸塩もまた、発光材料として特に適している。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の材料は、可視光を反射または吸収する材料である。特に、反射作用は、第2の材料を囲む材料との屈折率差に関係して生じる。第2の材料は、例えば、下記の材料を含むまたは下記の材料である:SiO、Al、TiO、ZrO、HfO、グラファイト、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ。代替としてまたはそれに加えて、第2の材料は、特に、特定のカラーアピアランスをもたらすための無機顔料として、遷移金属または希土類の酸化物、硫化物および/またはシアン化物を含む。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、エッチングステップの後で、第2の導電性層は、平面視で、格子の形態を取る。特に、第2の導電性層は、そのとき単一の、電気的に連続したパターンである。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料および第2の材料でコーティングするステップの前でかつエッチングステップの後で、第1の導電性層は、複数のアイランド状領域によって形成され、この領域はそれぞれ、第2の導電性層によりフレームのように囲まれる。言い換えると、平面視で、第1の導電性層は、第2の導電性層によって形成された格子のメッシュ内に位置する。第1の導電性層および第2の導電性層は、キャリア上面に平行な2つの異なる面内にここでは位置することが好ましい。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料および/または第2の材料を、粒子の形態で堆積する。粒子は、それぞれ、均質な材料により形成され得る。粒子は、例えば、二酸化チタンのコアを有しかつ酸化アルミニウムおよび/または酸化シリコンのコーティングを有する複合粒子であることが同様に可能である。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料の粒子の平均粒径は、第2の材料の粒子の平均粒径よりも少なくとも2倍または3倍または5倍または10倍大きい。言い換えると、第2の材料の粒子は、そのとき第1の材料の粒子よりも著しく小さい。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の導電性層および第2の導電性層は一体として、平面視で、エッチングステップの後でかつコーティングステップの前に、キャリア上面を完全に被覆する。言い換えると、そのとき、平面視で、第1の導電性層および第2の導電性層が直接隣り合うことが可能である。特に絶縁層の結果としては、平面視で、第1の導電性層と第2の導電性層との間に非導電性中間領域が存在しないまたははっきりとは存在しない。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、絶縁層とともに第2の導電性層は、第1の導電性層に対して選択的にエッチング可能であり、特に選択的に湿式化学エッチングまたは乾式化学エッチングが可能である。選択的にエッチング可能であるということは、層内に存在する材料のエッチング速度が、相互に少なくとも5倍または10倍または50倍または100倍異なることを意味し得る。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料および/または第2の材料でコーティングした後で、マトリックス材料を、キャリア上面上に設ける。マトリックス材料は、連続的な横方向にパターニングされた層を、特に単一の、連続的な板として製造することを可能にする。言い換えると、マトリックス材料は、そのとき、第1の材料と第2の材料との間、特にそれぞれの粒子間で結合剤を構成する。ギャップのない連続層を、マトリックス材料により実現できる。マトリックス材料を、例えば、圧縮成形もしくはトランスファ成形、スピンコーティング、または、ディスペンス法によって設ける。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、マトリックス材料は、スペクトルの可視範囲内で放射透過性である。マトリックス材料は、同様に好ましくは経時変化耐性(aging−resistant)がある。マトリックス材料は、例えば、シリコーン、シリコーン/エポキシハイブリッド材料などのシリコーンハイブリッド材料、ポリシラザン、パリレンまたは低融点ガラスである。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、マトリックス材料は、第3の材料を含む、または第3の材料をマトリックス材料に添加する。第3の材料を、例えば、粒子の形態をとる。マトリックス材料の粒子の直径は、例えば、第1の材料および/または第2の材料の粒子の直径と同じサイズ範囲内である。第3の材料を、さらなる蛍光材料または蛍光材料混合物としてもよい。
【0032】
方法の少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアを用意するステップは、キャリア上面上に第1の導電性層を堆積するステップを含む。キャリアを、ここでは、電気絶縁性材料から形成することが好ましい。第1の導電性層の堆積を、第2の導電性層に対しても同様に可能であるように、例えば、蒸着法によって、気相堆積法によってまたはスパッタリング法によって進める。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の導電性層を、ZnOまたは酸化インジウムスズ、略してITO、などの透明導電性酸化物から形成する。あるいは、第1の導電性層は、金属または複数の金属をやはり含み得る。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の導電性層の厚さは、少なくとも50nmまたは75nmまたは100nmである。代替としてまたはそれに加えて、第1の導電性層のこの厚さは、2μmまたは1μmまたは400nm以下である。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、絶縁層を電気絶縁性の酸化物または窒化物または酸窒化物から、特に、酸化シリコンまたは窒化シリコンまたは酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムから形成する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、絶縁層の厚さは、少なくとも100nmまたは150nmまたは200nmであり、かつ/または、1.5μmまたは800nmまたは500nm以下である。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の導電性層は、1つまたは複数の金属層を含む。例えば、第2の導電性層は、チタン、タングステン、アルミニウムおよび/またはカルシウムを含有する。代替としてまたはそれに加えて、第2の導電性層は、シリコンまたは窒化ガリウムなどの半導体材料を含んでもよく、半導体材料からなってもよい。第2の導電性層が酸化亜鉛などの透明導電性酸化物から形成されることも可能である。第2の導電性層が半導体材料から形成される場合には、ドーピングが、追加で存在してもよい。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料の平均粒径は、少なくとも2μmまたは7μmであり、かつ/または、25μmまたは13μm以下である。代替としてまたはそれに加えて、第2の材料の粒子の平均直径は、少なくとも50nmまたは100nmまたは150nmであり、かつ/または、5μmまたは1μmまたは500nm以下である。d50値を、特に平均粒径として使用する。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、完成した横方向にパターニングされた層の厚さは、少なくとも10μmまたは20μmまたは30μmである。代替としてまたはそれに加えて、この厚さは、250μmまたは150μmまたは90μm以下である。層の厚さを、ここでは一様な厚さとしてもよい。あるいは、平面視で、例えば、第2の導電性層と同様に、層の厚さに意図的にパターニングすることが可能である。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の材料および第2の材料でコーティングした後で、そして好ましくは、マトリックス材料を設けた後で、キャリアを、製造された横方向にパターニングされた層から取り除く。例えば、キャリアを、湿式化学的に剥離する。あるいは、キャリアを光化学的に剥離することも可能である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリアからの剥離後で、第1の導電性層、第2の導電性層および/または絶縁層は、横方向にパターニングされた層上に部分的にまたは完全に残る。特に、第2の導電性層は、横方向にパターニングされた層内に、したがって特に、発光材料板内に存在し得る。特に第2の導電性層のこのように残った領域は、本方法が最終製品からもはっきりと分かることを意味する。
【0042】
さらに、オプトエレクトロニクス半導体部品を提供する。半導体部品は、少なくとも1つの上記の実施形態にしたがった方法によって製造される少なくとも1つの発光材料板を含む。方法の特徴は、したがって半導体部品に対しても開示されており、逆も同様である。
【0043】
少なくとも1つの実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体部品は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ、特に、可視光を発生させるための少なくとも1つの発光ダイオードチップを備える。発光ダイオードチップは、青色光を放出することが好ましい。半導体部品は、さらに、少なくとも1つの発光材料板を備える。発光材料板は、発光ダイオードチップ上に、特に主放射側に実装されている。発光ダイオードチップは、ここでは、パターニングされて複数の個々のピクセルを成している。個々のピクセルまたは個々のピクセルのグループは、好ましくは別々にそして相互に独立して電気的に駆動され得る。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードチップのパターニングは、第1の材料を有する領域内および第2の材料を有する領域内の発光材料板のパターニングのピクセルに対応する。例えば、第1の材料を有するのみの領域は、それぞれ、発光ピクセルに亘って位置している。光学的分離用の第2の材料を含むのみの発光材料板のサブエリアは、隣接するピクセル間の中間領域に亘って位置していることが好ましい。このようにして、第1の材料を有する領域とピクセルとの間に1:1の割り当てを実現することが可能である。放射を通さない第2の材料は、したがって、隣接するピクセル間の光クロストークを防止するための光学的分離を形成している。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によれば、隣接するピクセル間の平均距離は、平面視で、少なくとも1μmまたは2μmまたは3μmまたは5μmまでの大きさである。代替としてまたはそれに加えて、ピクセル間隔は、30μmまたは15μmまたは12μm以下である。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、平面視で、発光材料板の第2の材料を有する領域の幅は、3倍または2倍または1.5倍または1.25倍以下の許容誤差を含め、ピクセル間隔に等しい。言い換えると、第2の材料を有する領域は、平面視で、発光ダイオードチップの隣接するピクセル間の間隔と正確に一致して広がり得る。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードチップは、単一の半導体層積層体から製造される。半導体層積層体は、特に、組成の変更なく複数の同一層を有して全発光ダイオードチップにわたり広がっている。半導体層積層体は、ここでは、正確に1つの成長方向に沿って好ましくは連続して成長されている。発光ダイオードチップおよびそのピクセル化は、そのとき、例えば、半導体層積層体のフォトリソグラフィパターニングによって製造され、個々のピクセルは、半導体層積層体の材料の選択的な除去の後、もはや相互に移動されない。言い換えると、ピクセルは、そのとき単独で製造され、再配置プロセスまたは配置転換によってではなく、連続した半導体層積層体をエッチングすることによって位置決めされる。
【0048】
本明細書において説明する方法および本明細書において説明するオプトエレクトロニクス半導体部品は、図面を参照しそして例示的な実施形態の助けを借りて下記に非常に詳細に説明されるであろう。個々の図において同じ要素を、同じ参照番号を用いて示す。要素間の関係は、原寸に比例して示されておらず、むしろ個々の要素を、理解する際に手助けとなるように誇張して大きく示すことがある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1B】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1C】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1D】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1E】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1F】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1G】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1H】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1I】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図1J】本明細書において説明する方法の方法ステップの模式的断面図である。
図2】本明細書において説明する方法に関する、パターニングした導電性層上への模式的平面図である。
図3】本明細書において説明するオプトエレクトロニクス半導体部品の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、横方向にパターニングされた層の製造方法を図示する。完成した横方向にパターニングされた層は、特に好ましくは発光材料板1である。
【0051】
図1Aによれば、キャリア2は、キャリア上面20を備える。キャリア2は、例えば、サファイアウェハである。しかしながら他の電気絶縁性材料を、同様に使用してもよい。第1の導電性層21を、例えば、スパッタリング法または気相堆積法によってキャリア上面20上に設ける。第1の導電性層21を、例えば、ZnOから形成し、その厚さはほぼ150nmである。
【0052】
あるいは、導電性基板2を使用することも可能である。この場合では、第1の導電性層21は、キャリア2およびキャリア上面20の一部である。
【0053】
図1Bは、第1の導電性層21上への絶縁層23の堆積を図示する。絶縁層23は、電気的に絶縁性である。例えば、絶縁層23をSiから形成する。絶縁層23の厚さは、例えば、ほぼ350nmである。
【0054】
図1Cは、絶縁層23上への第2の導電性層22の連続的な堆積を示す。例えば、第2の導電性層22を、Ti/TiW:Nから形成する。第2の導電性層22の厚さは、例えば、ほぼ300nmまでの大きさである。
【0055】
層21、23および22は、相互に直接連続して続く。層21、23および22の全厚さは、特に2μmまたは1.5μmまたは1μm以下である。層21、23および/または22に、レーザ加工法によってまたは機械的スクライビング法によって、代替としてまたはそれに加えてパターニングしてもよい。
【0056】
図1Dに示したように、フォトレジスト層30を層21、23および22上に設ける。層21、23および22を部分的に被覆するマスク3が得られるような方法で、フォトレジスト層30を、フォトリソグラフィでパターニングする。マスク3を図1Eに模式的に図示する。
【0057】
図1Fは、マスク3の助けを借りたエッチングによる絶縁層23および第2の導電性層22のパターニングを示す。層22および23の得られたパターンは、ここではマスク3のパターンに対応することが好ましい。エッチングは、例えば、バッファードフッ酸を用いる湿式化学エッチング法(略してBOE)、または例えば、フッ素プラズマを用いる乾式化学エッチング法である。層22および23を、ここでは第1の導電性層21に対して好ましくは選択的にエッチング可能である。
【0058】
キャリア上面20に平行な方向への層22および23の広がりは、ここでは好ましくは、層22および23の全厚さよりも少なくとも5倍または10倍または50倍大きい。キャリア上面20に平行な方向で、第1の導電性層21の露出した領域の平均広がりは、好ましくは少なくとも20μmまたは50μmまたは100μmである。第1の導電性層21の露出した領域の平均広がりは、特に、層22および23の残りの領域の平均広がりよりも少なくとも5倍または10倍大きい。
【0059】
図1Fの導電性層21および22の得られたパターンを、図2による模式的平面図に示す。第2の導電性層22は、第1の導電性層21のアイランド状の、例えば矩形の領域が露出する格子を形成する。導電性層21および22の両方は、いずれも、好ましくは連続した層および/または一体の層である。
【0060】
第1の導電性層21の露出した領域のうちのいくつかの間に大きな距離を形成することが任意選択で可能である。横方向にパターニングしたコーティングを個々の発光材料板1に細分化するための分離線Sを、このような領域に形成してもよい。
【0061】
図1Gによれば、電圧Uを、第1の導電性層21に印加する。特に電気泳動浸漬槽中での電気泳動法によって、第1の材料4の粒子を、第1の導電性層21の露出した領域上に堆積する。第1の材料4は、好ましくは発光材料粒子である。
【0062】
図とは異なり、発光材料粒子4の平均直径は、第2の導電性層22を加えた絶縁層23の高さよりも、好ましくは明らかに大きい。キャリア上面20に平行な方向での、絶縁層23および第2の導電性層22の残りの領域の横方向広がりは、好ましくは同様に発光材料粒子4の平均直径以上である。
【0063】
図1Hによれば、電圧Uを、次に第2の導電性層22に印加し、第2の材料5を、第2の導電性層22を覆って選択的に堆積する。第2の材料5は、例えば、二酸化チタン粒子である。第2の材料5の粒子の直径は、好ましくは第1の材料4の粒子よりも小さい。
【0064】
図とは異なり、第2の材料5を、第1の材料4を堆積する前に堆積してもよい。さらに、第2の材料5の薄い連続層を、第1の材料4のキャリア2とは反対側に堆積することが、任意選択で可能である。
【0065】
図1Iによれば、マトリックス材料6を、第1の材料4上および第2の材料5上に設ける。第1の材料4および第2の材料5を有する領域は、図1Iでは破線により互いに模式的に分割されている。図とは異なり、発光材料板1のキャリア2とは反対側がパターニングを有し平滑な上面でないことが可能である。
【0066】
図1Jでは、キャリア2は、発光材料板1から取り除かれている。図とは異なり、第1の導電性層21も、材料4および5を有するマトリックス材料6から、好ましくはやはり完全に取り除かれている。
【0067】
しかしながら、任意選択で、絶縁層23および/または第2の導電性層22が発光材料板1上に部分的にまたは完全に残ることもできる(図1J参照)。しかしながら、好ましくは、層22および23の材料を発光材料板1から除去する。この除去を、例えば、選択エッチングによって行う。層22および23を除去する場合には、格子パターンを発光材料板1の底面上に残すことが可能である。図2に示したように、この格子パターンは、そのとき格子パターンのネガに対応する。
【0068】
図3は、オプトエレクトロニクス半導体部品10を示す。半導体部品10は、特に図1に関連して製造したような発光材料板1を備える。図を単純化するために、層22および23の除去の結果得られる発光材料板1の格子状のパターンは示されていない。
【0069】
半導体部品10は、さらに、発光ダイオードチップ7を備える。発光ダイオードチップ7は、例えばエッチングによってパターニングされて個々のピクセル70を成している半導体層積層体71を備える。ピクセル70は、共通チップキャリア72上に位置し、この共通チップキャリアは、ピクセル70の電気配線をやはり含むことが好ましい。発光ダイオードチップ7は、例えば、特許文献1または特許文献2に関連して記述されているようなチップである。これらの文書の開示内容は、引用によって本明細書に含まれる。
【0070】
隣接するピクセル70間の距離Dは、例えば、ほぼ5μmであり、発光材料板1の第2の材料5を有する領域の幅に対応する。中間層23が、隣接するピクセル70間に位置することが好ましい。ピクセルを、中間層23によって半導体層積層体71内で相互に光学的に分離することができる。
【0071】
発光材料板1を、例えば、接着層8によって半導体層積層体21上に実装する。接着層8の厚さは、好ましくは薄く、好ましくは5μm以下または1μm以下である。接着層8を、少なくとも1つの透明な放射透過材料から構成することが好ましい。あるいは、例えば、発光材料板1を、部分的に架橋結合した状態で半導体層積層体21上に直接設け、後に完全に架橋結合して結合状態を形成することが可能である。
【0072】
第1の材料4を有する領域は、特に、半導体層積層体71からの放射を異なるさらなる波長の放射への部分波長変換に影響を及ぼす。ピクセル70は、第2の材料5を有する領域によって相互に光学的に分離され、その結果、隣接するピクセル間の光クロストークを、少なくとも発光材料板1内で大きく減少させるまたは防止する。
【0073】
本明細書において説明した発明は、例示的な実施形態を参照して与えられる記述によって限定されない。むしろ、発明は、任意の新規な特徴および特徴の任意の組み合わせを包含し、この特徴またはこの組み合わせが、特許請求の範囲または例示的な実施形態にそれ自体明示的に特定されていない場合でさえも、特に特許請求の範囲の特徴の任意の組み合わせを含む。
【0074】
この特許出願は、独国特許出願第10 2014 100 542.2号の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
図3