特許第6268332号(P6268332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268332炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法及び製造器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6268332
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法及び製造器
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20180115BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20180115BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20180115BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/365
   A61K8/86
   A61K8/02
   A61K8/46
   A61K8/60
   A61K8/67
   A61K8/23
   A61Q19/10
【請求項の数】12
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-533993(P2017-533993)
(86)(22)【出願日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】JP2017014317
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-77204(P2016-77204)
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512083883
【氏名又は名称】株式会社ホットアルバム炭酸泉タブレット
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】小星 重治
(72)【発明者】
【氏名】吉本 博
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−004317(JP,A)
【文献】 特開2000−119161(JP,A)
【文献】 特開2013−005861(JP,A)
【文献】 特開平02−255610(JP,A)
【文献】 特開平10−276926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
B01F 1/00− 5/26
A47K 3/00− 3/40
A61H 33/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水の導入口と吐出口との間に設けられたマイクロバブル発生部を有する通水路に導入された湯水と、前記マイクロバブル発生部に収容された炭酸入浴剤を湯水に溶解させて得られるマイクロバブル(微細気泡)とを混合し、
前記吐出口から吐出させて、マイクロバブル混合水を得るマイクロバブル混合水の製造方法であって、
前記マイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴剤は、重炭酸塩、有機酸及びポリエチレングリコールの存在下で圧縮成形した圧縮成形錠剤である炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法において、
前記炭酸入浴剤は、錠剤直径及び錠剤厚みがそれぞれ7mm以上、錠剤硬度が15kg以上、錠剤摩損度がwt%以下、該錠剤を湯水に溶かした直後のpHが5.5から9.0である錠剤であり、
かつ前記炭酸入浴剤は、下記賦形剤の少なくとも1つと、下記塩素中和化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とする炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
[賦形剤]
炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩、炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム
[塩素中和化合物]
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩
【請求項2】
前記賦剤の含有量は有機酸に対し1/10から1/1000であることを特徴とする、請求項1に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【請求項3】
前記塩素中和化合物の含有量は、有機酸に対し8wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【請求項4】
前記賦剤が、炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩及び炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【請求項5】
湯水の導入口と吐出口との間に設けられたマイクロバブル発生部を有する通水路に導入された湯水と、前記マイクロバブル発生部に収容された炭酸入浴剤を湯水に溶解させて得られるマイクロバブル(微細気泡)との混合物を、前記吐出口から吐出させてマイクロバブル混合水を得るマイクロバブル混合水の製造器であって、
前記マイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴剤は、重炭酸塩、有機酸及びポリエチレングリコールの存在下で圧縮成形した圧縮成形錠剤である炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器において、
前記炭酸入浴剤は、錠剤直径及び錠剤厚みがそれぞれ7mm以上、錠剤硬度が15kg以上、錠剤摩損度がwt%以下、該錠剤を湯水に溶かした直後のpHが5.5から9.0である錠剤であり、
かつ前記炭酸入浴剤は、下記賦形剤の少なくとも1つと、下記塩素中和化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とする炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
[賦形剤]
炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩、炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム
[塩素中和化合物]
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩
【請求項6】
前記賦剤の含有量は有機酸に対し1/10から1/1000であることを特徴とする、請求項5に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【請求項7】
前記塩素中和化合物の含有量は、有機酸に対し8wt%以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【請求項8】
前記賦剤が、炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩及び炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする請求項5、6又は7に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【請求項9】
前記炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器が、一体型構成又は結合型構成のシャワーヘッド部とシャワー胴部とを有し、
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部の配設位置が、下記(1)〜(6)のいずれかであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
(1)シャワーヘッド部に配設される構成
(2)シャワー胴部の中に配設される構成
(3)シャワーヘッド部とシャワー胴部との間、又はシャワーヘッド部とシャワー胴部との結合部乃至は該結合部を跨いで配設される構成
(4)シャワー胴部に接続する送水用のホースの終端部に配設される構成
(5)シャワー胴部に接続する送水用のホースの始端部に配設される構成
(6)シャワー胴部に接続する送水用のホースの中途部に配設される構成
【請求項10】
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部が、ワンタッチ的な簡易に着脱可能なアタッチメント式であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【請求項11】
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部が透明性を有する材料で形成され、該炭酸ガスマイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴錠剤の溶解状態や錠剤有無が外部から目視可能であることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【請求項12】
前記炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器の少なくとも一部と、その内部の通水路を構成する部材の少なくとも一部が透明性を有する材料で形成され、外部から通水路内を流れる湯水が目視可能であることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭酸泉入浴剤の血流増進効果を著しく向上させ高い炭酸マイクロバブル効果を併せ持つ炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法、及び前記炭酸ガスマイクロバブル混合水を簡易に得られる製造器に関する。
【背景技術】
【0002】
重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と、有機酸とを含む混合物を圧縮成形、打錠等によって成形し、発泡性組成物(固形物)とすることは、洗浄剤、入浴剤、風呂水清浄剤、プール用殺菌剤等の製品に適用されている。これらの製品(固形物)は、水に投入すると、その成分が反応して炭酸ガスを発生しつつ速やかに溶解する利点を有すると同時に、消費者に快適な使用感を与えるので商品価値を高める効果があり、特に浴剤(入浴剤ということもある。)においては、発生する炭酸ガスの血行促進効果が積極的に広く利用されている。
【0003】
一方、マイクロバブルと称される、例えば直径0.05mm以下の微細気泡は、シャワー機器等において高い洗浄能力を有すると言われ広く利用されてきた。また、湖沼や養殖池等の閉鎖水域でマイクロバブルを発生させた場合には水中への酸素の溶解を促進し、水へのガスの溶解を促すことができる等の効果を増進することが利用されてきた。
【0004】
従来、このマイクロバブルを利用したマイクロバブルシャワーとして、旋回流を利用した水道水圧使用型のものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、先の炭酸ガス発生成分を湯水に溶解させる技術と、マイクロバブルを発生させて液体中の浄化殺菌を行う技術とを組み合わせたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1の技術は、各種入浴剤の如き炭酸ガス発生体を気体発生体として気液混合装置内に配設し、更に該気液混合装置の吐出口側をシャワーヘッドに接続する構成により入浴成分とマイクロバブルとを混合した湯水をシャワーヘッドから吐出させることによって洗浄効果と血行促進等の健康増進効果をも期待できる技術となっている。
【0007】
またシャワーヘッドの取っ手等にカートリッジ式の塩素除去成分を入れた浄水機能付きのシャワーヘッドもあり、塩素除去にビタミンCなどが有効であることも知られている(特許文献3参照)。
【0008】
しかし特許文献1〜3の技術では、水道水圧の水流による溶解によって従来の入浴剤成分や錠剤では、速やかに溶解してしまい、炭酸ガス発生浴剤の溶解持続時間がきわめて短く、また発泡する泡の径がきわめて大きく、身体に触れても皮膚や血管中への作用は起きにくく、特に、シャワーによる湯水の掛流しの場合、シャワーヘッドから吐出する湯水は身体に触れた後は速やかに流れ落ちてしまうため、浴槽内の湯に入浴する場合に比べて身体と湯水との接触時間が短く、接触面積も狭いため、前記した血行促進等の健康増進効果を得るためには、酸性pHの入浴剤や溶解持続時間の短い入浴剤では温浴効果は小さく致命的であることを突き止め 本発明者らは多くの特許技術(特許文献4参照)で解決してきた。
しかしながら、その後の実験で本発明者らは炭酸ガス入浴剤や重炭酸イオン入浴剤の血流増進温浴効果は、水道水中の塩素の存在で著しく抑制されてしまうことを見出した。水道水中の塩素など殺菌剤は経皮吸収で自律神経のうち交感神経を一斉に優位にしてしまい
、その結果、副腎皮質からコルチゾールを分泌し血管を収縮させ、血流を低下させてしまう作用があることが判った。これによりシャワーでも温まる、高い温浴効果の炭酸入浴剤や炭酸ガスマイクロバブル発生製造システムを開発しても、塩素の存在がこの効果を台無しにしてしまうという悪作用があり、温浴効果を半減させてしまうことが判った。
また温浴効果だけでなく、塩素は皮膚や毛髪のたんぱく質を破壊する性質を持っているため、塩素が皮膚や毛髪のたんぱく質と反応すれば、皮膚や毛髪を荒らしたり老化させることはもとより、各種の皮膚トラブルの原因となってしまう。また別には皮脂と反応し容易に発がん性のトリハロメタンを生成し癌の発生起因にもなると言われている
【0009】
水道水中の残留塩素の除去については、特許文献3にて、「チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等の無機系還元物質、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等の有機系還元物質、カテキン類、ポリフェノール類、フラボノイド類、リコペン、アントシアニン、キサントフィル等の各種植物および生薬系還元物質を含む入浴剤等」が提案されており、同文献には、水道水に入れて溶解させると、水道水に含まれている残留塩素を除去することができるという記載があるが、本発明者らは、前記文献に記載の入浴剤が錠剤の場合、これら還元性化合物は、錠剤が水道水にぬれ、通水されたのち、全て溶解しきれない内に水道水中の塩素と反応してしまい、錠剤が半分程度残っていても、塩素中和除去能力を失ってしまうことを発見し、浴槽で使用する入浴剤の場合には、錠剤を浴槽に投入後一定時間経過後、入浴すればさほど問題ないが、吐水から1秒以内に水が身体にかかるシャワーヘッドで使用する炭酸ガスマイクロバブル発生装置や製造器においては、重大な問題であり、錠剤が溶解しきれるまで塩素除去能力も残存していなくてはならず、錠剤が残っている間に塩素除去能力がなくなってしまうのは、シャワー用入浴剤として及び炭酸ガスマイクロバブル発生製剤として使用する場合には致命的であり、従来技術で知られる如何に有効な塩素除去剤や除去システムであっても、本発明のマイクロバブル発生システムで高い血流促進温浴効果を発揮する有効な方法にはならないことを突き止めた。
【0010】
酸性で発泡する炭酸ガス入浴剤は炭酸ガスが主成分でのため中性pHの血管にはほとんど取り込まれず、温浴効果はさほどのものは得られないが、中性pHの重炭酸イオン放出入浴剤の場合には、本来は中性pHでは炭酸ガス発泡が起こりにくいが特殊な造粒法で重炭酸塩と有機酸とを組み合わせて用いることで、例えそのpHが中性であっても激しく反応し炭酸ガスを発泡するようになり、中和反応で高濃度の重炭酸イオンを解離し、大量の重炭酸イオンが湯中に溶解し、高い温浴効果を発揮することができる。しかし、この場合も湯中に大量の残留塩素イオンが存在すると、血流増進効果を大幅に抑制してしまうことが本発明者らの実験で明らかになった。
【0011】
本発明者らの研究によれば、重炭酸塩とクエン酸との組合せや中和反応で生じる水素イオン等では、塩素除去反応は非常に遅く、数十分から数時間の反応時間が必要であり、シャワー湯水のように炭酸ガスマイクロバブル発生後直ちに身体に水が当たってしまう場合には、従来知られていたビタミンCなどのアスコルビン酸やアスコルビン酸塩、またはチオ硫酸ナトリウムなどの還元性化合物の添加が必要となる。
ところが本発明者らの実験では、重曹とクエン酸などの有機酸からなる錠剤で、特に特殊な造粒をせずに、硬度も低い従来型の錠剤では、水が浸透することで、錠剤中の塩素中和能力のあるこれら還元性物質を添加しても、水が浸透すると優先的に酸化還元反応を起こしてしまい、錠剤が半分程度溶解した時点で、すでに塩素除去能力を失ってしまうという問題があることが判った。すなわち錠剤に、水が浸透して水が透過浸水すると浸透水が錠剤全体に周り、錠剤が濡れると錠剤中を水が流れるような浸透流が起こり、湯中の塩素が選択的に還元性物質と酸化還元反応を起こしてしまい、錠剤が半分程度溶解した時点で、塩素除去効果が消滅してしまうと欠点が生じることが判明した。特に浴槽での温浴効果が得にくいシャワーでの温浴効果には影響が大きく、炭酸ガスマイクロバブル発生装置内に
未溶解で残っている錠剤の塩素中和除去能力がなくなってしまうことは、シャワーでも血流を上げたいという目的を著しく阻害してしまうことになり、まだ完全な商品とは言えないことが判明した。
【0012】
水道水の家庭への供給は、水圧をかけて実施されており、水圧の基準は全国一律であるが、幅があり、下限は1.5kgf/cmで、上限は7.5kgf/cmとされ、理想的な水圧は2.0〜4.0kgf/cmとされているが、かかる高い水圧下で用いられるマイクロバブル発生装置には、よほど大量の還元性物質を添加しない限り、従来型の低硬度の錠剤では、浸透した水道水中の塩素が優先的に還元性塩素中和剤と酸化還元反応を起こしてしまい、塩素除去能力が低下して、吐水から0.3秒以内に顔や肌に水道水が到達してしまうような水流水圧下では錠剤未溶解時点での塩素除去能力の消滅が顕著であり、これは普通のどこででもある水圧であるため、このことは日常の実際のシャワー行為で避けられない問題であることを本発明者らは突き止めた。
【0013】
それ故に、炭酸ガスマイクロバブル発生装置としてのシャワー用入浴剤では、錠剤が溶解し始める瞬間から溶解し終わる時点まで、すなわち錠剤使用完了の最後の細片まで塩素中和能力を維持して持続的な塩素除去能力を維持させる必要があり、そのための改良技術の開発が強く望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−229516号公報
【特許文献2】特開2011−194390号公報
【特許文献3】特開2000−119161号公報
【特許文献4】特開2014−4317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、マイクロバブル発生装置に入れる炭酸ガス発泡製剤が従来の錠剤に比べて、水道水に含まれている塩素を錠剤がマイクロバブル発生装置内で溶解し始める時点から錠剤が溶解終了する時点まで、完全に中和除去できる能力を維持する錠剤であることを実現し、その錠剤を使用した炭酸ガスマイクロバブル製造方法及び製造器として提供することにある。
【0016】
本発明の第2の目的は、錠剤が溶解し始め炭酸ガスの発生が起こった場合、より微細な系の泡を継続的に安定かつ長時間発生させ、かつ同時に塩素を錠剤が溶解し始める時点から溶解終了時点まで完全除去し、塩素のない湯水の状態で水中への炭酸ガスの中和反応で最大濃度の重炭酸イオンを身体に浴びられ、かつ塩素が完全除去されるため殺菌剤による経皮吸収での交感神経優位が避けられ、副交感神経優位での血管拡張が起こり、血流アップが最大となり温浴効果も最大に発揮される炭酸ガスマイクロバブルの製造方法及び製造器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0018】
[発明1]
湯水の導入口と吐出口との間に設けられたマイクロバブル発生部を有する通水路に導入された湯水と、前記マイクロバブル発生部に収容された炭酸入浴剤を湯水に溶解させて得られるマイクロバブル(微細気泡)とを混合し、
前記吐出口から吐出させて、マイクロバブル混合水を得るマイクロバブル混合水の製造方法であって、
前記マイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴剤は、重炭酸塩、有機酸及びポリエチレングリコールの存在下で圧縮成形した圧縮成形錠剤である炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法において、
前記炭酸入浴剤は、錠剤直径及び錠剤厚みがそれぞれ7mm以上、錠剤硬度が15kg以上、錠剤摩損度がwt%以下、該錠剤を湯水に溶かした直後のpHが5.5から9.0である錠剤であり、
かつ前記炭酸入浴剤は、下記賦形剤の少なくとも1つと、下記塩素中和化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とする炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
[賦形剤]
炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩、炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム
[塩素中和化合物]
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩
【0019】
[発明2]
前記賦剤の含有量は有機酸に対し1/10から1/1000であることを特徴とする、前記発明1に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【0020】
[発明3]
前記塩素中和化合物の含有量は、有機酸に対し8wt%以下であることを特徴とする前記発明1又は2に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【0021】
[発明4]
前記賦剤が、炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩及び炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする前記発明1、2又は3に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
【0022】
[発明5]
湯水の導入口と吐出口との間に設けられたマイクロバブル発生部を有する通水路に導入された湯水と、前記マイクロバブル発生部に収容された炭酸入浴剤を湯水に溶解させて得られるマイクロバブル(微細気泡)との混合物を、前記吐出口から吐出させてマイクロバブル混合水を得るマイクロバブル混合水の製造器であって、
前記マイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴剤は、重炭酸塩、有機酸及びポリエチレングリコールの存在下で圧縮成形した圧縮成形錠剤である炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器において、
前記炭酸入浴剤は、錠剤直径及び錠剤厚みがそれぞれ7mm以上、錠剤硬度が15kg以上、錠剤摩損度がwt%以下、該錠剤を湯水に溶かした直後のpHが5.5から9.0である錠剤であり、
かつ前記炭酸入浴剤は、下記賦形剤の少なくとも1つと、下記塩素中和化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とする炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
[賦形剤]
炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩、炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム
[塩素中和化合物]
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩
【0023】
[発明6]
前記賦剤の含有量は有機酸に対し1/10から1/1000であることを特徴とする、前記発明5に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0024】
[発明7]
前記塩素中和化合物の含有量は、有機酸に対し8wt%以下であることを特徴とする前記発明5又は6に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0025】
[発明8]
前記賦剤が、炭素数6から18のアルカンスルホン酸塩及び炭素数6から18のオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする前記発明5、6又は7に記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0026】
[発明9]
前記炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器が、一体型構成又は結合型構成のシャワーヘッド部とシャワー胴部とを有し、
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部の配設位置が、下記(1)〜(6)のいずれかであることを特徴とする前記発明5〜8のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
(1)シャワーヘッド部に配設される構成
(2)シャワー胴部の中に配設される構成
(3)シャワーヘッド部とシャワー胴部との間、又はシャワーヘッド部とシャワー胴部との結合部乃至は該結合部を跨いで配設される構成
(4)シャワー胴部に接続する送水用のホースの終端部に配設される構成
(5)シャワー胴部に接続する送水用のホースの始端部に配設される構成
(6)シャワー胴部に接続する送水用のホースの中途部に配設される構成
【0027】
[発明10]
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部が、ワンタッチ的な簡易に着脱可能なアタッチメント式であることを特徴とする前記発明5〜9のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0028】
[発明11]
前記炭酸ガスマイクロバブル発生部が透明性を有する材料で形成され、該炭酸ガスマイクロバブル発生部に収容される炭酸入浴錠剤の溶解状態や錠剤有無が外部から目視可能であることを特徴とする前記発明5〜10のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0029】
[発明12]
前記炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器の少なくとも一部と、その内部の通水路を構成する部材の少なくとも一部が透明性を有する材料で形成され、外部から通水路内を流れる湯水が目視可能であることを特徴とする前記発明5〜11のいずれかに記載の炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造器。
【0030】
本発明について、以下に詳述する。
なお、本発明において、炭酸ガスマイクロバブル発生装置は炭酸錠剤と組み合わせるシャワーヘッドとも記述する場合がある。またシャワーヘッド内に入浴剤を装填または挿入して用いるとは、炭酸ガスマイクロバブル装置内へ錠剤を装填することを意味し、シャワーヘッドに至る水道水ないし水道湯水の流路中に入浴剤を装填して用いることも含められる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の錠剤は、従来の錠剤に比べて、特殊な造粒法にて造粒し、高い硬度に圧縮成形したものであり、発泡性に優れ、中性であるにも関わらず微細な炭酸ガスを長時間激しく発泡し、高濃度の重炭酸イオンを発生させ湯水に溶解される。そして錠剤が溶解開始時から溶解完了まで残留塩素を完全に中和除去するため、血流アップ効果が最大とすることができ、温浴効果も最大に発揮することができる。また錠剤を装填する炭酸マイクロバブル発生装置がシャワーヘッドの中であっても、蛇口との間のホースの一部にセットした場合でも、錠剤が溶解し終わる最後の時点まで塩素を有効に除去でき、上記本発明の第1の目的及び第2の目的が達成される。
【0032】
L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムに代表されるL−アスコルビン酸塩、チオ硫酸ナトリウムに代表されるチオ硫酸塩、亜硫酸ナトリウムに代表される亜流酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩が水道水中の塩素を中和する能力を有することは知られているが、従来の組成による錠剤中にこれら塩素中和化合物を添加しても、錠剤をシャワーヘッドにセットした場合、シャワーを開始した直後は塩素の中和能力は発揮するものの、錠剤が1/3〜1/2程度溶解した時点で、塩素中和能力が急激に減少してしまい、錠剤が5割以上溶解した時点で塩素の中和能力が無くなり、塩素除去効果を発揮しなくなることが、一定以上の水圧との関係で多々あることを本発明者らは突き止めた。
【0033】
しかも、本発明に係る錠剤では、中性でありながら炭酸ガスの発泡が安定して継続的に起こり、且つ発泡する炭酸ガスの径を一定径以下の微細なミクロサイズの泡とすることができ、泡の表面積合計値を大きくして水又は湯水に対する炭酸ガスの中和反応での重炭酸イオンの解離生成を飛躍的に増やし、ミクロサイズの発泡をゆっくり長時間かけて行われるようにでき、炭酸ガス成分が重炭酸イオンとなって水や湯水中へ十分溶解し、溶解後は水又は湯水のpHが中性なため、高濃度の重炭酸泉を作り出し、皮膚からの重炭酸イオンの経皮吸収を最大にして、血液中の重炭酸イオンを飛躍的に高め、血行促進や体温上昇などの健康効果を最大限発揮し、上記本発明の第2の目的が達成される。
【0034】
このように本発明では、特定組成の錠剤とすることによって、又はこれに加え、錠剤硬度規定及び錠剤摩損度規定によって、錠剤の溶解がゆっくり長時間かけて行われ、かつ、この長時間の錠剤の溶解全般に亘って塩素を効率的に中和除去できるため、本発明の第2の目的を良好に奏する。
上記に加え、本発明は次のような作用効果が見られる。
頭皮や毛髪の蛋白質、ケラチン等の表面に付いてイオン結合しているカルシウム、マグネシウム、銅などのミネラルイオンが毛根に高濃度に付着し蓄積して毛根ミネラル汚れとなるが、この毛根ミネラル汚れはカチオンであり皮膚やケラチンのマイナスイオンとイオン結合しているため、化学洗剤ではイオン結合を外せない。そのため、宿根皮脂となっていくら洗っても数時間で臭いが発生する元になっていた。このように合成洗剤型の石鹸やシャンプでのシャワーではこのミネラル皮脂汚れを洗浄することは困難であったが、本発明によれば、フリーの小分子の重炭酸イオンがミネラル皮脂汚れを包接化合物的に取り囲み、洗い流して取り去り、臭いのもとが消えてしまう洗浄効果が毛根の写真撮影から確認されている。それだけでなく、浴槽湯浴や足湯浴では勿論のこと、シャワー入浴であるにも拘らず、脱浴後 数日間は臭いが殆ど消えてしまうことが確認されており、身体の温まり、ぐっすり睡眠効果の増大という本発明の第2の目的以上の美肌・美髪・消臭効果などが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】参考例−1における血流測定パターンによって測定された入浴時の組織血流量を示すグラフ。
図2】本発明に係るマイクロバブル混合水の製造器の一実施例(シャワー胴部に接続するホースの終端部に配置)を示す概略構成図。
図3】マイクロバブル発生部の配設位置の他の実施例(シャワーヘッド部に配置)を示す概略構成図。
図4】マイクロバブル発生部の配設位置の更に他の実施例(シャワー胴部の中に配置)を説明する概略構成図。
図5】マイクロバブル発生部の配設位置の更に他の実施例(シャワー胴部とシャワーヘッド部との結合部の胴部側に配置)を説明する概略構成図。
図6】マイクロバブル発生部の配設位置の更に他の実施例(シャワー胴部とシャワーヘッド部との結合部を跨いで配置)を説明する概略構成図。
図7】マイクロバブル発生部の配設位置の更に他の実施例(シャワー胴部に接続されるホースの始端部に配置)を説明する概略構成図。
図8】マイクロバブル発生部の配設位置の更に他の実施例(シャワー胴部に接続されるホースの中途部に配置)を説明する概略構成図。
【0036】
以下、本発明に係るマイクロバブル混合水の製造方法(以下、単に製造方法と言うこともある。)、及びマイクロバブル混合水の製造器(以下、単に製造器と言うこともある。)について図面(第2図〜第7図)に基づき説明する。
【0037】
本発明は炭酸泉入浴効果とマイクロバブル効果を併せ持つマイクロバブル混合水の製造方法と、前記マイクロバブル混合水を簡易に得られる製造器であり、炭酸ガスマイクロバブルを混合した湯水を製造器の吐出口(シャワー吐出口)から吐出(シャワー吐出)させることによって洗浄効果と血行促進等の健康増進効果をも期待できる技術である。
【0038】
以下に示す本発明の実施例では、製造器1として、シャワー吐出口13を有するシャワーヘッド部11と、使用時に持ち手の柄となるシャワー胴部12と、を有して構成されるシャワー機器10に、炭酸入浴剤(炭酸泉タブレット)Tを収容するマイクロバブル発生部2を設けた構成を例示する。シャワー機器10への湯水の供給はシャワー胴部12に接続されるホース3による。
【0039】
尚、図2において、シャワーヘッド部11とシャワー胴部12とは一体的に形成された一体型構成であってもよいし、別体で形成されたものを一体となるように接続或いは結合したものでもよいし、シャワーヘッド部11がシャワー胴部12に対して向きや角度が変えられるように直接又は間接的に接続されたものであってもよい。
【0040】
マイクロバブル発生部2は、湯水の導入口14A及び吐出口14B並びにこの両者間の通水路14、即ち、湯水の送水経路である、給湯器・水道蛇口・給水装置・温水蛇口等の送水装置に接続されるホース3の始端部からシャワー吐出口13に至るまでの送水経路のいずれかの箇所に設けられることにより、該通水路内を通る湯水によってマイクロバブル発生部2に収容される炭酸入浴剤Tを溶解し、この溶解によって発生した炭酸ガスが湯水中においてマイクロバブル(微細気泡)となって該湯水と混合してマイクロバブル混合水となるのである。
【0041】
次に、マイクロバブル発生部2への炭酸入浴剤Tの収容構成例について説明する。
マイクロバブル発生部2は、炭酸入浴剤Tの収容位置の上流側及び下流側においてメッシュ体の如き湯水が通過可能な隔壁構成が設けられた錠剤収容部21を有する構成であり、この収容状態で湯水の通水路14内に配設されることによって該通水路14内を通過する湯水との接触により溶解して炭酸ガスを発生し、マイクロバブルとなるものである。
【0042】
マイクロバブル発生部2の配設位置としては、下記(1)〜(6)のいずれかであることが好ましい。
(1)シャワーヘッド部11に配設される構成(例えば、図3に示す構成)
(2)シャワー胴部の中12に配設される構成(例えば、図4に示す構成)
(3)シャワーヘッド部11とシャワー胴部12との結合部の胴部側(例えば、図5に示す構成)、又はシャワーヘッド部11とシャワー胴部12との結合部(該結合部を跨いで配設される構成を含む。例えば、図6に示す構成)
(4)シャワー胴部12に接続するホース3の終端部に配設される構成(例えば、図2に示す構成分)
(5)シャワー胴部12に接続するホース3の始端部に配設される構成(例えば、図7に示す構成)
(6)シャワー胴部12に接続するホース3の中途部に配設される構成(例えば、図8に示す構成)
【0043】
上記(3)に示す構成の場合、ホース3の終端部分にマイクロバブル発生部2を内蔵乃至は組込む構成でもよいし、ホース2の終端部をマイクロバブル発生部2に接続する構成でもよいし、シャワー胴部12に接続又は結合したマイクロバブル発生部2にホース3の終端部を接続する構成(図2に示す実施例の構成)としてもよい。
【0044】
上記(4)に示す構成の場合、ホース3の始端部分にマイクロバブル発生部2を内蔵又は組込む構成でもよいし、ホース3の始端部をマイクロバブル発生部2に接続する構成でもよいし、蛇口部分に接続又は結合したマイクロバブル発生部2にホース3の始端部を接続する構成としてもよい。
【0045】
上記(5)に示す構成の場合、ホース3の中途部にマイクロバブル発生部2を内蔵又は組込む構成でもよいし、ホース3を2本(複数本)構成としてこの2本のホース3の中継接続部分にマイクロバブル発生部2を内蔵又は組込むか或いはマイクロバブル発生部2を2本のホース3の接続部材として機能させる構成としてもよい。
【0046】
マイクロバブル発生部2の錠剤収容部21は、シャワーヘッド部11やシャワー胴部12に着脱可能に取付ける構成によれば、炭酸入浴剤Tの収容や追加が容易となる。
【0047】
またマイクロバブル発生部2は、上記実施例に示すように製造器1に該製造器1の構成要素の一部として組み込まれる構成に限らず、シャワーヘッド部11やシャワー胴部12とは別体構成とし、シャワーヘッド部11やシャワー胴部12或いはホース3に接続されることにより湯水の通水経路中に配設される構成とすることもできる。
【0048】
特に、マイクロバブル発生部2をアタッチメント式とすることが炭酸入浴剤Tの収容や追加が容易且つ迅速となる。アタッチメント式の構成とする場合、マイクロバブル発生部2全体をアタッチメント式の構成としてもよいし、炭酸入浴剤(炭酸泉タブレット)Tを収容する部分であるタブレット収容部21のみをアタッチメント式の構成とすることもできる。
【0049】
更に、マイクロバブル発生部2を透明性合成樹脂材等の透明性を有する材料で形成することにより、該マイクロバブル発生部2に収容される炭酸入浴剤Tが製造器1の外部から目視可能な構成とすることもできる。かかる構成によれば、マイクロバブル発生部2に収容した炭酸入浴剤Tの有無や溶解の程度を製造器1の外部から容易に把握することができる。
【0050】
更にまた、シャワーヘッド部11及び/又はシャワー胴部12の少なくとも一部と、その内部の通水路を構成する部材の少なくとも一部を透明性を有する材料で形成することにより、製造器1の外部から通水路内を流れる湯水を目視可能な構成とすることもできる。
かかる構成によれば、炭酸入浴剤が湯水に溶解しているか否か又は有無、即ち、マイクロバブルが発生しているか否かを製造器1の外部から容易に把握することができる。
【0051】
上記のように、例えばアスコルビン酸ナトリウムを固形化した皮膚洗浄剤は、水道水に含まれている塩素を除去するのに効果を発揮するが、シャワー入浴に用いたときは上記皮膚洗浄剤の溶解後半には、塩素除去効果が消滅するという不都合があった。
【0052】
従って、本発明の一側面によれば、塩素中和化合物が、L−アスコルビン酸、例えばL−アスコルビン酸ナトリウムに代表されるL−アスコルビン酸塩、チオ硫酸ナトリウムに代表されるチオ硫酸塩である場合、並びに亜硫酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩であることを特徴とする錠剤によって、例え浴槽による入浴以外のシャワー用としてシャワーヘッド内に装填して用いた場合でも、錠剤溶解後半部分でさえ効果的な塩素中和能力が最大限発揮される。一般に、入浴剤であって入浴の浴槽専用であれば 有機酸等の存在だけでも数時間あれば塩素はほとんど除去できるものであり、また本発明のような塩素中和化合物を添加しさえすれば、目的の塩素が除去できるが、本発明は炭酸ガスマイクロバブルを発生させるシャワー用として用いるために起こる問題に対する効果であり、シャワー用の入浴剤という新しい商品概念によって生まれた問題点に対する新しく発揮される効果でもある。
【0053】
上記塩素中和化合物を含む特定組成の錠剤である要件に加え、本発明の造粒方法によって高い錠剤硬度及び低い錠剤摩損度の規定を行うことによって、特にシャワー用として炭酸ガスマイクロバブル発生装置であるシャワーヘッド内に装填して用いた場合でも、錠剤溶解後半部分でさえ、最後の細片まで効果的な血行促進や体温上昇等の健康増進効果が最大限発揮される。
【0054】
以下、本発明に用いられる炭酸入浴剤について詳述する。
まず、本発明に含まれている成分のうち重炭酸ナトリウムに代表される重炭酸塩を説明する。
【0055】
本発明において用いられる重炭酸塩、特に重炭酸ナトリウムは、発泡剤としての役割を果たすものであり、有機酸とともに水(本発明においては「湯水」を含む。以下、同じ。)に溶けると、中和反応で二酸化炭素を発泡しながら溶解水のpHにより重炭酸イオンと水素イオンに解離し水に溶解する。このとき、重炭酸ナトリウムは、錠剤に一緒に含まれているL−アスコルビン酸ナトリウムに代表される塩素中和化合物の水への溶解を早める。本発明における重炭酸ナトリウムの含量は、有機酸を含有する後記混合物Bとの関係において規定される。もし、重炭酸ナトリウムの含量が規定未満であれば、水への溶解時の発泡量やpHが規定の値にならず、本発明の効果を発揮できないばかりか、重炭酸イオンの水への溶解量を大幅に減じてしまい、一方、その量が、規定を超えると、pHが高くなりすぎ、炭酸ガスの発泡が大幅に減少し、本発明の効果が発揮されにくくなる。
【0056】
次いで、クエン酸に代表される有機酸を説明する。
【0057】
本発明における有機酸としては公知公用のいずれのものを用いてもよく、特にクエン酸はコハク酸及びリンゴ酸に比べ著しく大きな重炭酸塩との反応性を有し前記重炭酸ナトリウムを中和し炭酸ガスの発泡を有効に生じさせる役割を果たし、水に溶ける場合に肌の洗浄効果や、肌の柔軟効果なども発揮する。ただし本発明においては、有機酸としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸 フマル酸も発泡素材としては有効であるが、温浴効果はもちろん美容効果等も有機酸の種類によって差があり、クエン酸が最も優れた有機酸となる。含有量は、後記の通りに規定される。もし、その含量が上記未満であれば、錠剤が溶ける間の炭酸ガス発泡量が減少し、溶解する重炭酸イオンの量が減少、血流増進効果などが
低下してしまい、上記含量を超えると、炭酸ガスの発泡量は上がるが 泡の径が大きくなりガスが中和されにくくなり、溶解する重炭酸イオンの量が減少してしまう欠点となる。
【0058】
次いで、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩及びチオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムに代表される塩素中和化合物を説明する。
【0059】
本発明に用いられるアスコルビン酸やアスコルビン酸塩としては、公知公用のものを特別の制限なく用いることができる。塩としては、ナトリウム塩やカルシウム塩が好ましく挙げられるが、ナトリウム塩が本発明の効果の観点から、より好ましい。
【0060】
L−アスコルビン酸は、ビタミンCとして広く知られているが、水道水に添加すると、下記の反応式1、2の如き反応を経て水道水に含まれている塩素を除去する。
【0061】
[反応式1]
+ NaClO → C + HO + NaCl
(1次殺菌のために投入される次亜塩素酸ナトリウムをアスコルビン酸が還元し除去する反応)
【0062】
[反応式2]
+ Cl → C + 2HCl
(塩素濃度の維持のために投入される塩素をアスコルビン酸により除去する反応)
【0063】
前記反応式1、2の反応を経て本発明に含まれているアスコルビン酸が水道水に溶けると、水道水に含まれている塩素が除去される。これにより、残留塩素が肌や髪に及ぼす問題点である「酸化や老化、ふけ 湿疹、かゆみ」等の発生を防止することができる。加えて、アスコルビン酸塩自体の効能である肌の張りの増加、小皺の予防、美肌、美白、アンチエージングなどの効果を発揮することもできる。
【0064】
さらに、反応式2に示すように、塩素の除去時に少量の塩酸が発生するが、重炭酸イオンと有機酸のバッファー効果により溶解水のpHは緩衝され シャワー水や風呂水のpHが酸性になってしまうということはなく、水道水のpHは安定である。
【0065】
一方、本発明に含まれるL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩の含量は、0.005g/15g錠剤未満であれば、塩素の除去能力が低下することがあり、1.0g/15g錠剤を超える場合には錠剤の固形化をより困難にし、硬度が目的以下となる。本発明に用いられる他の塩素中和化合物の含量も上記範囲とされることが好ましい。
【0066】
次いで、本発明に用いられる入浴剤(錠剤)を更に説明する。
【0067】
本発明は、重炭酸塩をポリエチレングリコール(以下「PEG」ということもある。)等で造粒した後、有機酸(特にクエン酸、コハク酸、リンゴ酸 フマル酸)等をPEGと混合してもしくは造粒し、それぞれを一定比率内の条件で混合し、本発明の賦形剤を加えて錠剤を圧縮成形によって成形し、錠剤の溶解直後のpHが本発明の範囲となるよう設計することで、錠剤に水が浸透するとき激しく均一にかつ持続的に炭酸ガスを発泡するよう反応させ、かつ発生する炭酸ガス泡はミクロサイズの微細炭酸ガスとして長時間発生させることができ、錠剤は溶解し終わるまでミクロサイズの泡を発泡し続け、泡が空気中に揮散するまえに水中で中和され重炭酸イオンに解離して高濃度の重炭酸イオンが溶存するよう水のpHは5.5から9.0であるよう設計され、好ましくは6.0から8.5、特に6.3から8.0である際、本発明の効果が最大限に発揮される。
【0068】
さらに本発明では、重炭酸塩の混合物が流動層を用いて、PEGで、コーテイングして作成された造粒物であることにより、錠剤中での継続的で均一な反応など、本発明の効果の発現が大きく発揮される。
【0069】
また本発明では、錠剤硬度が15kg以上、好ましく25kg以上、特に好ましくは30kg以上に高硬度とされるほど、塩素中和化合物の継続的で安定な反応が得られ、錠剤内部での塩素中和反応を抑え 錠剤が溶解した部分が湯中で塩素を迅速に除去するよう高硬度に成形されることが好ましい。塩素除去効果が高いほど、シャワー入浴時の場合でも血行促進や体温上昇等の健康増進が大きい効果が発揮される
【0070】
また本発明では、本発明の錠剤摩損度が5.0wt%以下、さらに好ましくは3.0wt%以下であるほど、塩素中和化合物の継続的安定な反応が得られ、錠剤内部での塩素中和反応効率を最大にできるだけでなく、浴槽湯や足湯の場合は勿論のこと、シャワー入浴時の場合でさえも血行促進及び体温上昇等の健康増進効果を発揮できる。
【0071】
本発明に用いられる有機酸としてはクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸などが挙げられるが、特にクエン酸を有機酸として用いる場合に錠剤中の中和反応を抑え 湯中での塩素除去能力を高め、微細な炭酸ガス発泡を実現する
ことができ、好ましい化合物として本発明の効果をより顕著に発揮する。
【0072】
なお、重炭酸塩又は有機酸の少なくともいずれか一方を流動層で造粒し造粒物を得る場合、実質的に空気を攪拌作用として使用しない機械式流動層造粒機を用いると、錠剤中の反応を効率的に高められる。機械式撹拌方式の流動層としては、撹拌に空気を用いた流動を行わず、プロペラなどの機械式羽などを用いて粉体を流動させる。この場合、造粒中に湿気のある空気から持ち込まれる水分を吸湿することもなく、造粒中に減圧ポンプで真空にすることも可能となり、PEGの量を下げて造粒できるため、中和反応をより活発にしながら、発泡する泡の径を極めて小さくできる効果が発揮できるため好ましく用いられる。
【0073】
実質的に空気を攪拌作用として使用しない機械式流動層造粒機が好ましく使用され、横型ドラムの中にすき状ショベルを配し、遠心拡散及び渦流作用を起こさせ、三次元流動させる混合機のことであり、このタイプの造粒機は例えば、ドイツレーディゲ社製又は松坂技研社製として市場で販売されている。
【0074】
本造粒機には、減圧するための真空ポンプが付いていることがより好ましい。即ち、冷却時に減圧し、少しでも水分が飛ぶように操作して、本発明の効果を向上させることができる。
【0075】
更に、造粒した顆粒が冷却時に粗大粒子になるのを防止するためのチョッパーが付いていることが好ましい。即ち、チョッパーを冷却時に作動させて、整粒することにより、本発明における炭酸ガス泡の径をよりミクロサイズにする効果が発揮され、より好ましい造粒方法となる。
【0076】
本発明ではもっとも好ましい製造方法は、重炭酸ナトリウムをPEGと機械式撹拌方式を用いた流動層造粒機によって造粒し、この造粒物に一定比率の量の有機酸と無水炭酸ナトリウム及びPEGを加え、混合後、高圧で圧縮成形し錠剤として得ることである。
【0077】
もちろん有機酸を主とする混合物もPEGを用いて造粒し、重炭酸塩を造粒せずにPEGと混合しただけで、有機酸造粒物と混合して圧縮成形し錠剤を得ることも、造粒する化
合物の量が相対的に少なくて済み、工程的な面からの製造方法としては好ましい方法となる。いずれにしろ、コストの面からは重炭酸塩、もしくは有機酸のどちらか一方を造粒し、片方は混合するだけで製造することが望ましい。この造粒物を粉剤のまま使用することでも塩素中和能力は見られるが、圧縮成形して一剤の錠剤とすることで本発明の中和反応を長時間維持し溶解する炭酸ガスを増大させることができる。ただし、重炭酸塩と有機酸の両方をいずれもPEGと混合するかコーテイングして使用することも好ましい製造方法である。
【0078】
本発明で使用するPEGは、平均分子量が1000〜8000のものが本発明の効果を奏する点で好ましい。ロータリー式打錠機の如き圧縮成形打錠機による成形安定性、杵付着耐性、キャッピング、錠剤成形速度の向上の点より、平均分子量4000から6000程度のPEGが、特に好ましくはPEG6000である時、造粒結果を好ましいものとすることができ、錠剤を湯水中に溶解した場合、炭酸ガス成分を重炭酸イオンに最大に溶解させることができる。
【0079】
重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)の混合物A(造粒物Aであることもある。)100質量部に対するPEGの比率は、1/100から1/5、特に好ましくは1/100から1/8であり、PEGの比率が上記量よりも少ないと、十分高い硬度を得ることが困難となり、または十分低い摩損度を得ることが困難となり、炭酸ガス泡の径が大きくなり発泡時間も短くなり、水に溶解する重炭酸イオン濃度を大きくできないことがあり、一方、PEGの量が上記よりも多くなると、発生する炭酸ガス泡の量が抑えられ、同じように水に溶解する重炭酸イオンの量が小さくなってしまうことがある。
【0080】
また、本発明では重炭酸塩の造粒物AもしくはPEG混合物Aを得たのち、有機酸もしくは有機酸造粒物BあるいはPEG有機酸混合物Bを添加する工程で、無水炭酸ナトリウム、無水炭酸カリウムなどの無水物を添加することにより、本発明の効果をより顕著に発揮させることができ、炭酸ガスの泡径をミクロサイズの小さなものとしながら、発泡量をより多く、且つ長時間持続させる効果が得られる。
【0081】
上記無水物としては、無水炭酸ナトリウムもしくは無水炭酸カリウムを添加した場合がより好ましい本発明の効果を発揮できる。
【0082】
また本発明では、有機酸を造粒物とせず、C6からC18のアルカンスルホン酸塩、オレフィン酸スルホン酸塩及びショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1つと有機酸にPEGを加え混合するだけで、混合物Aと圧縮成形して錠剤とする場合に、本発明のミクロサイズの泡を長時間発泡させ、湯水の中に溶解する炭酸ガス成分を多くできることが判明し、良好な錠剤を得ることができた。この場合、工程を大幅に省略でき、コスト的な効果も合わせて望ましい製造方法である。
【0083】
一方、有機酸をPEG及びC6から18のアルカンスルホン酸塩、オレフィン酸スルホン酸塩及びショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1つの本発明に係る賦形剤とを混合し、または造粒し、混合物Aと一定温度で混合、圧縮成形する場合にも、本発明のミクロサイズの泡を長時間発泡させ、水中に溶解する炭酸ガス成分を最大にし、塩素除去尿力を安定に最後まで維持できる錠剤を得ることができ、望ましい製造方法であることが判った。
【0084】
この製造方法における有機酸に対するPEGの使用比率は、有機酸100質量部に対し5から15質量部であることが好ましい。
【0085】
重炭酸塩の造粒物A又は混合物Aに対する造粒物B又は混合物Bの添加量は、1/10
0から2/3、好ましくは1/50から2/3、特に好ましくは1/10から1/3である。
【0086】
有機酸は上記無水物の添加によって、特に造粒しなくても本発明の効果が得られるが、より好ましくは、PEGと一緒に添加するか、造粒物Bとし、造粒物Aと混合して圧縮成形で錠剤化することが、好ましい中和反応性のある錠剤を製造することができる。
【0087】
更に、本発明では、前記造粒物Aもしくは混合物Aを作成する工程や、又は造粒物Aと混合物B若しくは造粒物Bを混合する工程など、圧縮成形時のいずれかの工程に上記無水物を添加することが好ましい。
【0088】
本発明において、粉剤混合時や錠剤成形のため使用される賦形剤は、炭素数6〜18のアルカンスルホン酸ナトリウム、炭素数6〜18のオレフィンスルホン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等である。使用することが望ましい化合物として、n−(ノルマル)オクタンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、C6からC18のアルカンスルホン酸ナトリウム混合物、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル 硫酸ナトリウム 硫酸マグネシウムが用いられる。これらの中でも、n−(ノルマル)オクタンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、n−ヘプタンスルホン酸ナトリウムが本発明の目的を効果的に達成する上で特に好ましい。
上記、本発明のn−(ノルマル)オクタンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、n−ヘプタンスルホン酸ナトリウムの添加量は、本発明に係る錠剤に用いられる有機酸に対し1/10から1/1000量であることが好ましい。その他の賦形剤の添加量についても同様の量でよい。
【0089】
特に望ましいアルカンスルホン酸ナトリウムやオレフィンスルホン酸ナトリウムは、C6からC18のアルカンスルホン酸ナトリウム混合物、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ノルマルオクタンスルホン酸ナトリウムの少なくとも1つを含むものである。
【0090】
混合物Bや造粒物Bには、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乾燥硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無水ケイ酸、水酸化ナトリウム、デキストリン、ケイ酸カルシウムが、本発明の効果を奏する添加物であり、その他、香料、色素、界面活性剤などが添加物として挙げられる。
【0091】
本発明に係る錠剤を作製する圧縮成形には、公知の圧縮成形機を特別の制限なく使用でき、例えば、油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンなどを用いることができる。この打錠機などに用いる杵の大きさは、杵が円形である場合は直径が7mm以上であることが好ましく、杵が三角形や四角形の場合、円形杵に換算して直径が7mm以上となるものが好ましい。そして杵の厚みについても同様である。円形の打錠品を得る場合、錠剤の直径は7mm以上が望ましく、より望ましくは10mm以上とし、厚みも7mm以上、好ましくは10mm以上とし、三角形や四角形等の錠剤とされる場合、円形錠剤に換算して、直径及び厚みの各々が7mm以上、特に10mm以上とすることが好ましい。
【0092】
上記のように、本発明に係る錠剤は、必ずしも平面を持つ円形でなくてもよく、7mm以上の固形物であれば、楕円形でもいわゆるタブレット状でも球体でも、形は何ら制限されない。
【0093】
本発明は、本発明の硬度及び摩損度並びに一定サイズ以上の錠剤中でミクロサイズの発泡をゆっくり起こさせ、湯水中への炭酸ガスの溶解をより効率的に行うことが好ましく、
そのため硬度は15kg以上、望ましくは25kg以上、特に好ましくは35kg以上であり、また摩損度は5wt%以下、特に好ましくは3wt%以下であり、直径や厚みは10mm以上が特に好ましく、錠剤中での炭酸ガスの発生がより効果的に起こり、水中への炭酸ガスの溶解が効率的に行われ、泡の径が細かくなり、本発明の目的を効果的に達成できる。
【0094】
以下、本発明に係る錠剤の硬度について説明する。
【0095】
本発明を実現するため、多くの特許明細書の実施例で用いている直径方向からの錠剤破壊強度としての硬度を測定してみた。
【0096】
この方法では、錠剤の破壊強度を測定することになるが、直径方向の硬度測定方法として岡田精工社製デジタル錠剤硬度計ニュー・スピードチェッカーTS75NLを用いて錠剤の硬度[kg]を4回測定した。この場合、硬度に再現性があり、値の大きなばらつきは見られなかった。
【0097】
本発明の好ましい錠剤の条件である、湯水中で発生する炭酸ガスの泡径を目視で測定すると、錠剤径が7mm以上、特に10mm以上でかつ泡の合併がなく均一に発生し、中和反応が終わり錠剤が解けきるまで錠剤は反応し、炭酸ガスが中和され重炭酸イオンが効率的に湯水中に溶解できるように、試験生産した錠剤の7ロットのサンプル12種を用いて、錠剤硬度を測定してみても、4回測定の平均値であれば、測定値の振れ幅は無視でき、平均硬度が15kg以上、特に25kg以上の錠剤となっていることが確認できた。
【0098】
以下、本発明に係る錠剤の摩損度について説明する。摩損度は、錠剤摩損度試験器(萱垣医理科工業株式会社製)に錠剤重量が31g以上となるように錠剤を入れる。例えば、1錠剤の重量が15gの場合は、錠剤を3ヶ入れ、2分間回転する(回転速度は、25回転/分)。終了後の各錠剤の表面の粉をブラシ(例えば化学天秤の清掃用に使用される)で払い(摩損)、下記式で求める。
[(摩損前錠剤重量(g)総和−摩損後の錠剤重量(g)総和)/摩損前錠剤重量(g)総和]×100=錠剤摩損度(wt%)
なお、例えば、1錠の錠剤重量が40gの場合は、1錠入れ、また60gの場合も、1錠入れ、1錠剤が16.5gの場合は、2ケ入れる。
【0099】
錠剤摩損度が.0wt%以下では、錠剤中のミクロサイズの発泡をゆっくり起こさせ、液中への炭酸ガスの溶解を効率的にコントロールできる。そのため摩損度は、5.0wt%以下が好ましく、3.0wt%以下が特に好ましい。本発明内の摩損度は、特に錠剤の溶解が開始した後の錠剤中での炭酸ガスの発生がより効率的に起こり、水中への炭酸ガスの溶解が効率的に行われ、泡の径が細かくなり、本発明の効果を良好に奏する。
【0100】
本発明においては、本発明の化合物以外の化合物はできるだけ添加しないことが望ましいが、酸性成分やアルカリ成分、香り成分、必要に応じてにごり温泉成分等を1又は2以上添加することもできる。
【0101】
本発明では、重炭酸塩量に対する有機酸成分が本発明の範囲より多くなれば、泡の径が大きく、反応も激しく短時間で反応が終わってしまう場合があり、また重炭酸塩量に対する有機酸成分の量が少なすぎると、中和反応は効率的に起こらず発生する炭酸ガスは少なくなり、本発明の効果は発揮されない場合がある。
【0102】
なお、重炭酸塩の量が少なすぎると、PEGの使用量を増さなければならず、そうしな
いと、中和反応が激しすぎて泡の径が大きくなり、本発明の効果が損なわれたりする場合がある。また重炭酸塩の量や、有機酸の量に対し、PEGの量が多かったり少なかったりする場合にも、中和反応が均一に持続的に起こらず、泡の径も一定にならない場合がある。
【0103】
上記のように、本発明の必要成分を本発明の好ましい量比で添加した上で、本発明の効果が充分発揮されるようなpH調整剤を添加して、溶解後の水中のpHを本発明範囲にすることが肝要である。
【0104】
本発明に用いられるpH調整剤としては、炭酸ナトリウムや有機酸が好ましく用いられるが、その他公知公用のいずれのものも特別の制限なく使用でき、特に食品添加物としてのpH調整剤を用いることが、錠剤は目や口に入る可能性が有ることからも、安全上好ましく、例えば、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、クエン酸2ナトリウム、クエン酸1ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0105】
本発明は.前記マイクロバブル製造器が、一体型構成又は結合型構成のシャワーヘッド部とシャワー胴部とを有し、 前記マイクロバブル発生部の配設位置が、前記(1)〜(6)のいずれかであることを特徴とするマイクロバブル混合水の製造器の場合に本発明の最大の効果を発揮する。
【0106】
以下、実施例及び参考例を挙げ本発明を詳細に説明するが、本発明の態様は、これらに限定されるものではない。
【0107】
先ず、参考例−1〜3を挙げる。
[参考例−1]
操作−1
松坂技研社製レディゲミキサーVT1200改造型に炭酸水素ナトリウム390kgを添加し、回転数115rpmでジャケットに60℃の温水を循環し品温が55℃になったらPEG6000を20kg入れ造粒する。品温が58.5℃になったらジャケットに冷水を循環し、10トールで減圧にし、品温が45℃になるまで冷却する。
得られた顆粒をAA顆粒という。
【0108】
操作−2
レディゲミキサーVT1200改良型にAA顆粒322kg、無水クエン酸69kg、無水炭酸ナトリウム19kg、PEG6000を4.8kg、L−アスコルビン酸ナトリウム2.8kg及びn−オクタンスルホン酸ソーダ2kgを入れ、115rpmで10分間攪拌し、混合物AAを作成する。
【0109】
操作−3 錠剤作成
上記操作で作成した混合物AAを菊水製作所製タフプレスコレクト1527HU(錠剤製造機)により、加重12トンを加え、直径30mm、厚さ12mm、重量15gで錠剤(1)を作成した。この錠剤(1)の硬度は50kg、摩損度3.0wt%であり、1錠を25℃、1Lの水に溶解した水溶液のpHは7.00であった。
【0110】
下記表1に示すように、上記操作において無水クエン酸(有機酸)、n−オクタンスルホン酸ナトリウム及びL−アスコルビン酸ナトリウムの量を変化させた又は「なし」とした錠剤(2)〜(4)を作成した。
【0111】
通常の家庭にあるお湯焚きのできる通常の一般家庭の浴槽に公共水道水160Lを入れ、温度39℃の設定で湯を沸かし、38℃で保温の設定をした。38℃になると同時に、そのお湯に上記操作で作成した錠剤(1)〜(4)を実験ごとに3ヶ入れた。錠剤を入れたる前の残留カルキ濃度を市販のデジタル残留塩素計 HI96711で測定した結果は、5mg/kgの残留カルキが検出された。しかし、1分後に同様に測定した結果は、160Lの公共水道水の全てに残留カルキは検出できなかった。これは、この錠剤が、残留カルキを効果的に除去できる性能を有していることが判った。錠剤(1)〜(4)は、このお湯に投入後、約15分で発泡しながら完全に溶解した。
評価方法
被験者10名(平均年齢60.5歳、50歳から70歳の男女各5名)で
入浴前から入浴中及び入浴後1時間までの血流測定器レーザードップラー組織血流測定器ADVANSALF21N(株式会社アドバンス製)を用いて血流を測定した。測定場所は、いわゆる「合谷(ごうこく)」に該当する手の背側の個所であり、皮膚に計測グローブを装着して測定した。
血流測定パターンは次の通りである
安静状態:20分(室温25℃)→入浴(38℃):20分→入浴後安静状態(室温25℃):20分
合計60分
【0112】
【表1】
【0113】
上記血流測定パターンによって測定された入浴時の組織血流量を図1に示す。
図1から38℃という比較的低温の入浴において、実験No.1の本発明は、実験No.5の更湯の約6倍、実験No.2,3及び4の比較の約2倍の血流アップ及び入浴終了後でも血流アップの効果が明らかに持続することが明らかである。
これは、低温入浴における副交感神経優位の状態で、本発明の入浴剤を使用すると、血流アップ効果の点で非常に好ましいことを表している。

[参考例−2]
参考例−1にて作成された錠剤(1)〜(4)の他に、参考例−1と同様に錠剤(6)〜(14)、(15−1)、(15−2)、(15−3)及び(15−4)を表2に示す組成で作成し、下記のように評価した。

錠剤完全溶解直後、入浴前の足の甲表皮温度(T1)及び20分入浴後の足の甲表皮温度(T2)並びに入浴終了後25℃に空調された部屋で1時間経過後の足の甲表皮温度(T3)を各々測定した。なお、測定は、TO-400非接触赤外線体温計(厚生労働省認可番号226AFBZX00131000)を用いた。

評価A
T2−T1(T2からT1を差し引いた温度)の10人の算術平均値が
5・・・0.8℃以上
4・・・0.6以上0.8℃未満上昇
3・・・0.4以上0.6℃未満上昇
2・・・0.2以上0.4℃未満上
1・・・0.2未満上昇

評価B
T3−T2(T3からT2を差し引いた温度)の10人の算術平均値が
5・・・0.2未満下降
4・・・0.2以上0.4℃未満下降
3・・・0.4以上0.6℃未満下降
2・・・0.6以上0.8℃未満下降
1・・・0.8℃以上下降
【0114】
【表2】
【0115】
表2から、低温入浴において、本発明は、血流アップ効果の点で良好な結果が得られることが判る。又、官能試験は、組織血流量測定より、その効果が大きく表れることも判った。

[参考例−3]
参考例−1の実験No.1において、操作−3の加重量及び打錠速度を随時変化させて表3に示す摩損度の異なる錠剤(16)〜(20)を作製した。これら錠剤(16)〜(20)についての、湯水に溶解したpHは、7.0であった。
参考例−2に示すT1、T2及びT3を測定し、評価A及び評価Bの値を求め、その結果を表3に示す。
【0116】
【0117】
表3から、摩損度が、wt%以下が本発明の効果を得ることができ、好ましくは、3.0wt%以下であることが明らかである。
なお、参考例1〜3に示す実験結果は、下記実施例1以下に示すシャワー入浴時の実験でも同様に見られた。
以下、本発明の実施例を挙げる。

[実施例−1]
参考例−1と同様に錠剤(21)〜(33)を表4−(2)に示す組成で作成した。これらの錠剤について、下記シャワー入浴時の実験を行った。
実用新案登録第3190347号第1図に示すシャワーヘッドに錠剤をセットし、40℃に加温された100Lの容器(塩素量が変化しない容器)から公共水道水のシャワーを浴びることができるポンプ付き装置を準備した。
【0118】
上記40℃に加温された公共水道水(東京都水道局:水圧3.5kgf/cm)中の残留塩素濃度を、JIS K 0102: 2008 33.4(ジフェニル-p-フェニレンジアンモニウム(DPD)吸光光度法)により、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計 V-650を使用して定量しながら、市販の次亜塩素酸ナトリウムで0.5mg/L(0.5ppm)に調整した。
【0119】
(A−1)塩素中和能力評価その1:
この溶液を用いて、錠剤溶解開始直後の、シャワーから出てくるお湯の残留塩素濃度をDPD吸光度法により測定し、その結果を表4−(1)にまとめた。表中の0.05未満は今回の分析に於ける定量下限値未満であることを示している。
【0120】
(A−2)塩素中和能力評価その2:
錠剤は7分間で溶解し終わる事が確認されたので、溶解終了直前の溶解を開始してから6分30秒後にシャワーから出てくるお湯を採取し、同じくその残留塩素濃度を測定し、その結果を表4−(1)にまとめた。
【0121】
以下、(B)〜(E)の評価は、被験者10名によって行った算術平均値である。
(B)毛根ミネラル汚れ:「毛根ミネラル汚れ」は、頭皮や毛髪の蛋白質、ケラチン等の表面に付いてイオン結合しているカルシウム、マグネシウム、銅等のミネラルイオン(水道水に含まれているイオン)が高濃度に毛根に付着し蓄積している汚れであり、5倍ルーペを用いた目視判定(評価5の100%取れたが基準)による。
評価1:毛根ミネラル汚れが全く取れていない。
評価2:毛根ミネラル汚れが20%未満取れた。
評価3:毛根ミネラル汚れが20%以上50%未満。
評価4:毛根ミネラル汚れが50%以上80%未満取れた。
評価5:毛根ミネラル汚れが80%以上100%取れた。
【0122】
(C)頭髪洗浄後30分経過後の足の指の温かさ:サーモグラフィーTVS500ISを用いた色彩変化(評価5の100%が基準)による。
評価1:10%未満。
評価2:10%以上20%未満。
評価3:20%以上50%未満。
評価4:50%以上80%未満。
評価5:80%以上100%。
【0123】
(D)オムロン睡眠計HSL−101を用いてぐっすり睡眠時間の割合を評価した。
評価1:ぐっすり睡眠時間10%未満。
評価2:ぐっすり睡眠時間10%以上20%未満。
評価3:ぐっすり睡眠時間20%以上40%未満。
評価4:ぐっすり睡眠時間40%以上50%未満。
評価5:ぐっすり睡眠時間50%以上。
【0124】
(E)お肌きれい館(Hada more)販売のレンズミモレを使用して画像を撮り、面積として、くすみがない透明な美白度を下記評価基準で評価(評価5の100%が基準)した。
評価1:画像全体がくすんでいて透明感がない(透明度0%〜20%未満)。
評価2:ほとんどくすんでいて透明感がない(透明度20%以上40%未満)。
評価3:くすみが少なく成り、透明感が出てきた(透明度40%以上60%未満)。
評価4:透明感がある肌として評価される(透明度60%以上80%未満)。
評価5:透明感がある肌でくすみが全くない(透明度80%以上100%)。
上記(B)〜(E)の評価結果を表4−(2)にまとめた。
【0125】
【表4】
【0126】

なお、錠剤No.21については、参考例−1の錠剤(1)と同組成分であっても、実験内容が異なるため、新たな番号を付した。以下同じ。
【0127】
表4−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表4−(2)から、本発明の範囲内である場合のみ毛根ミネラル汚れ除去、洗浄後足指の温かさ、ぐっすり睡眠時間及び美白度のいずれにも効果がみられ、一方、本発明範囲外の場合、塩素除去機能が劣り、その他性能評価への影響度が小さいことが明らかである。
【0128】
[実施例−2]
参考例−1の「操作−2」におけるn−オクタンスルホン酸ナトリウムを、下記表5に記載の炭素数のアルカンスルホン酸ナトリウムに変え、その他は実施例−1と同様に評価し、表5−(1)及び表5−(2)に結果をまとめた。
【0129】
【表5】
【0130】
表5−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表5−(2)から、本発明の炭素数6から14のアルカンスルホン酸は毛根ミネラル汚れ除去、洗浄後足指の温かさ、ぐっすり睡眠時間及び美白度のいずれにも効果がみられることが判る。炭素数は8以上のものがより好ましいことも判る。
【0131】
[実施例−3]
参考例−1の実験No.1において、クエン酸量と炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの量を調整し、表6のようなpHとなるように錠剤を作成した。また、操作−3の加重7トンを随時変更し、硬度の異なる錠剤を作成し、表6−(1)及び表6−(2)に評価結果も含めまとめた。ただし、摩損度については、錠剤打錠の最大荷重時間を変化させることにより、参考例−1の摩損度に一致させた。
【0132】
【表6】
【0133】
表6−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表6−(2)から、pH5.5からpH8.5が本発明の効果を良く奏し、さらにpH6.2から8.0がより好ましく、6.3から8.0が特に好ましいことが明らかである。硬度は、15kg未満であると本発明の効果にも影響を与えることも判った。なお、pH9.0までが本発明の効果が見られる。
【0134】
[実施例−4]
参考例−1の「操作−2」におけるn−オクタンスルホン酸ナトリウムに変え、テトラデセンスルホン酸ナトリウムを使用した他は参考例−1と同様に錠剤を作成し、実施例−1と同様に評価し、表7−(1)及び表7−(2)に結果をまとめた。
【0135】
【表7】
【0136】
表7−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表7−(2)から、テトラデセンスルホン酸ナトリウムもアルカンスルホン酸ナトリウムと同様な結果となり、本発明の効果を発揮することが判った。
【0137】
[実施例−5]
操作−4
松坂技研社製レディゲミキサーVT1200改造型に炭酸水素ナトリウム306kg及びアスコルビン酸ナトリウム2.8kgを添加し、回転数115rpmでジャケットに6
0℃の温水を循環し、品温が55℃になったらPEG6000を15.7kg入れ造粒する。品温が58.5℃になったらジャケットに冷水を循環し、10トールで減圧にし、品温が45℃になるまで冷却する。
得られた顆粒をBB顆粒という。
【0138】
操作−5
レディゲミキサーVT1200改良型にBB顆粒322kg、無水クエン酸69kg、無水炭酸ナトリウム19kg、PEG6000を4.8kg及びn−オクタンスルホン酸ナトリウム2kgを入れ、115rpmで10分間攪拌し、混合物BBを作成する。
【0139】
操作−6 錠剤作成
上記操作で作成した混合物BBを菊水製作所製タフプレスコレクト1527HU(錠剤製造機)により、加重7トンを加え、直径30mm、厚さ15mm、重量15gで錠剤を作成した。この錠剤の硬度は50kg、摩損度2.4wt%であり、溶解した水溶液(水道水)のpHは7.00であった。
評価は、実施例−1と同様に行い結果を表8−(1)及び表8−(2)に示す。
【0140】
【表8】
【0141】
表8−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表8−(2)から、造粒物に入れた場合と混合物に入れた場合で添加量が同じであれば発明の効果も同じであることが判る。
【0142】
[実施例−6]
参考例−1の「操作−2」におけるL−アスコルビン酸ナトリウムを、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムに置き換え、その他は参考例−1と同様に錠剤を作成し、実施例−1と同じく評価し、結果を表9−(1)及び表9−(2)にまとめた。なお、摩損度は3.0wt%である。
【0143】
【表9】
(注)前記の通り、実験No.55(55)は、実験No.1(1)と同じ。
【0144】
表9−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表9−(2)から、亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムも本発明の効果を奏することが判る。なお、亜硫酸ナトリウムをエリソルビン酸又はエリソルビン酸ナトリウムに置換えた実験も亜硫酸ナトリウムと同様な結果となった。
【0145】
[実施例−7]
参考例−1の「操作−2」におけるクエン酸を、コハク酸、フマル酸及びリンゴ酸に置き換え、その他は参考例−1と同様に錠剤を作成し、実施例−1と同じく評価し、結果を表10−(1)及び表10−(2)にまとめた。
【0146】
【表10】
【0147】
表10−(1)から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から溶解終了直前まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
表10−(2)から、有機酸の中では、クエン酸が本発明の効果の観点より最も好ましいことが判る。
【0148】
[実施例−8]
参考例−1の「操作−2」におけるL−アスコルビン酸ナトリウムをアスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、エリソルビン酸及びエリソルビン酸ナトリウムに変え、n−オクタンスルフォン酸をC−4及びC−18アルカンスルフォン酸ナトリウム及びラウリルスルフォン酸ナトリウムに変えた(表11参照)以外は、参考例−1同様に錠剤を作成し、実施例−1同様にシャワーを使用し、錠剤投入時、錠剤50%消費時、錠剤90%消費時及び錠剤完全溶解時のシャワー吐出液の残留塩素濃度を測定し、その結果を表11にまとめた。なお、摩損度は3.0wt%とした。
下記表11から、本発明が、本発明効果を奏していることが判る。
【0149】
【表11】
【0150】
なお、参考例−1の「操作−2」における「L−アスコルビン酸ナトリウム」を「L−アスコルビン酸」に変えた以外は、実験No.62と同じ実験を行ったところ、No.65と同等の効果が得られた。
【0151】
[実施例−9]
参考例−1の操作―3で使用した臼及び杵を代えて表12のように錠剤厚み及び錠剤径を変化させた以外は、実施例−8と同様に評価した。その結果を表12にまとめた。摩損度は3.0wt%とした。
下記表12から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から完全溶解時まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
また、本発明の中でも、錠剤厚みは、10mm〜15mmがより好ましく、錠剤径は、25mm〜35mmがより好ましいことが判った。
【0152】
【表12】
【0153】
[実施例−10]
参考例−1の実験No.1において、操作3の加重7トンを随時変更し、硬度が異なる錠剤を作成し、実施例9と同様に評価し、結果を表13にまとめた。ただし、錠剤打錠の最大荷重の荷重時間を変化させることによって、摩損度3.0wt%とした。
【0154】
【表13】
【0155】
表13から、本発明の範囲内である場合のみ、錠剤の溶解開始直後から完全溶解時まで残留塩素濃度を極めて低濃度にすることができる。
また、硬度は、好ましくは15kg以上、さらに好ましくは30kg以上、最も好ましくは50kg以上が、本発明の効果を奏することが判る。
【0156】
[実施例−11]
参考例−1の実験No.1において、操作3の加重7トンと打錠速度を随時変化させ、特に打錠速度により、錠剤打錠の最大荷重の加重時間を変化させることにより、摩損度が異なる錠剤を作成した。溶解した40℃の湯水のpHは、7.0であった。ただし、錠剤硬度は50kgになるようにした。
【0157】
【表14】
【0158】
表14から、摩損度5.0wt%以下が本発明の効果の点から好ましく、より好ましくは3.0wt%以下であることが明白である。
【0159】
[実施例−12]
参考例−1の実験No.1において、操作3の加重7トンと打錠速度を随時変化させ、特に打錠速度により、錠剤打錠の最大荷重の加重時間を変化させることにより、摩損度が異なる錠剤を作成した。溶解した40℃の湯水のpHは、7.0であった。ただし、錠剤硬度は50kgになるようにした。
【0160】
【表15】
【0161】
表15から、摩損度がwt%以下であると本発明の効果が奏され、特に(C)の結果から血流が良くなり、末端の毛細血管まで十分に血液が流れて身体を暖めていることが判る。摩損度が3.0wt%以下であると本発明の効果を最も良く奏することができ、特に(D)の結果から副交感神経優位となり、血流が向上したことにより、ぐっすり睡眠時間が最高の効果を示した。

【要約】
【課題】マイクロバブル発生装置に入れる炭酸ガス発泡製剤が従来の錠剤に比べて、水道水に含まれている塩素を錠剤がマイクロバブル発生装置内で溶解し始める時点から錠剤が溶解終了する時点まで、完全に中和除去できる能力を維持する錠剤であることを実現し、その錠剤を使用した炭酸ガスマイクロバブル製造方法及び製造器として提供する。
【解決手段】 炭酸入浴剤は、錠剤直径及び錠剤厚みがそれぞれ7mm以上、錠剤硬度が15kg以上、錠剤摩損度が10wt%以下、該錠剤を湯水に溶かした直後のpHが5.5から9.0である錠剤であり、かつ前記炭酸入浴剤は、下記賦形剤の少なくとも1つと、下記塩素中和化合物の少なくとも1つを含有する炭酸ガスマイクロバブル混合水の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8