(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268351
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】基板、および、パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20180122BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20180122BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20180122BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/00 338
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-523137(P2016-523137)
(86)(22)【出願日】2015年5月22日
(86)【国際出願番号】JP2015002604
(87)【国際公開番号】WO2015182098
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-108700(P2014-108700)
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英博
【審査官】
小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−222695(JP,A)
【文献】
特開2005−235769(JP,A)
【文献】
特開2007−080603(JP,A)
【文献】
特開2010−073602(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/001614(WO,A1)
【文献】
特開2010−277944(JP,A)
【文献】
特開2004−362818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/00−33/28
B05C 1/00−3/20
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の基板上に配置された複数の第1セルを有する方形の第1パネル領域と、
前記基板上に配置された複数の第2セルを有し、前記第1パネル領域と大きさが異なる方形の第2パネル領域と、
前記第1パネル領域に対し前記第1パネル領域に隣接する前記第2パネル領域の反対側の辺に対応する前記第1パネル領域の外周に形成された前記第2セルと同じ形状の第1ダミーセルと、
前記第2パネル領域に対し前記第2パネル領域に隣接する前記第1パネル領域の反対側の辺に対応する前記第2パネル領域の外周に形成された前記第1セルと同じ形状の第2ダミーセルと、
を備える基板。
【請求項2】
前記第1ダミーセルが形成された辺の隣の辺に対応する前記第1パネル領域の外周に形成され、前記複数の第1セルと同じ形状の第3ダミーセルと、
前記第2ダミーセルが形成された辺の隣の辺に対応する前記第2パネル領域の外周に形成され、前記複数の第2セルと同じ形状の第4ダミーセルと、
を備える請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第1パネル領域と前記第2パネル領域との間には、ダミーセルを設けない
請求項1または2に記載の基板。
【請求項4】
前記第1セル、前記第2セル、前記第1ダミーセル、前記第2ダミーセルは、長方形であり、
前記第1セルの長手方向と前記第1ダミーセルの長手方向とが垂直であり、
前記第2セルの長手方向と前記第2ダミーセルの長手方向とが垂直である
請求項1から3のいずれか1項に記載の基板。
【請求項5】
1枚の基板上に配置された複数の長方形の第1セルを有する方形の第1パネル領域と、
前記基板上に配置された複数の長方形の第2セルを有し、前記第1パネル領域と大きさが異なる方形の第2パネル領域と、
前記第1パネル領域の外周と、前記第2パネル領域の外周とに設けられた正方形の第5ダミーセルと、
を備える基板。
【請求項6】
前記第1パネル領域と前記第2パネル領域とは長方形であり、
前記第1パネル領域の長手方向と前記第2パネル領域の長手方向が垂直である
請求項1から5のいずれか1項に記載の基板。
【請求項7】
1枚の基板上に大きさの異なる第1パネル領域、および、第2パネル領域を配置し、前記第1パネル領域の外周に、前記第2パネル領域内の第2セルと同じ形状の第1ダミーセルを形成し、前記第2パネル領域の外周に、前記第1パネル領域内の第1セルと同じ形状の第2ダミーセルを形成した前記基板を準備する準備工程と、
インクジェット法により、前記第1セル、前記第2セル、前記第1ダミーセル、前記第2ダミーセルにインクを塗布する塗布工程と、
前記基板を乾燥する乾燥工程と、
を含むパネルの製造方法。
【請求項8】
前記第1パネル領域の前記第2パネル領域と隣接しない外周に、前記第1セルと同じ形状の第3ダミーセルを設け、
前記第2パネル領域の前記第1パネル領域と隣接しない外周に、前記第2セルと同じ形状の第4ダミーセルを設ける
請求項7に記載のパネルの製造方法。
【請求項9】
1枚の基板上に大きさの異なる第1パネル領域と第2パネル領域とを隣接して配置し、前記第1パネル領域の外周と、前記第2パネル領域の外周のそれぞれに第5ダミーセルを形成した前記基板を準備する準備工程と、
インクジェット法により、前記第1パネル領域内の第1セル、前記第2パネル領域内の第2セル、前記第5ダミーセルにインクを塗布する塗布工程と、
前記基板を乾燥する乾燥工程と、を含むパネルの製造方法であり、
前記第5ダミーセルの形状は、前記第1セルの形状と前記第2セルの形状とを合わせた形状である
パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの製造方法およびその製造方法で使用する基板に関する。特に、インクジェット装置によるパネルの製造方法と、その製造に用いる基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット技術を用いて電子デバイスを製造する方法が注目を集めている。
【0003】
インクジェット技術による製造は、蒸着技術などに比べ設備構成がシンプルで安価な製造が可能である。また、インクジェット技術は直接パターニング技術であるため蒸着技術におけるマスクが不要で大型化が可能である。例えば、表示電子デバイスにおいては大画面への市場要求が高まり、インクジェット塗布による電子デバイス製造技術への期待は高まっている。
【0004】
代表的な一つとして、インクジェット装置を用いて、有機機能材料を含むインクの液滴を、ディスプレイ基板となる基板(特に、有機ELディスプレイ:organic electro luminescence display)に吐出して、有機機能層を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
有機機能材料を含むインクは、基板に配置された発色領域に塗布される。ここで、発色領域とは、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの副画素が並んだ領域を意味する。すなわち基板では、少なくとも3種類の発色領域(R、G、B)が特定の方向に沿って互いに平行に配置されている。
【0006】
図6を用いて、インクジェット方法による発色領域へのインクの塗布を説明する。
【0007】
図6の(a)が附されている部分は、インクジェット装置の平面図である。インクジェットヘッド10が、基板12上を通過する時、基板12上のセル13へインクを塗布する。基板12上には、複数の第1パネル領域14があり、第1パネル領域14内にセル13がある。
【0008】
最終、基板12は、第1パネル領域14ごとに分割され、第1パネル領域14に対応した複数のパネルとなる。つまり複数の第1パネル領域14を備えた一つの基板12を用いることで、一度に、多数のパネルを作製する。
【0009】
この時、第1パネル領域14内で、外側に位置するセル13では、内側に位置するセル13と比較して、塗布されたインクの乾燥状態が異なる。これは、以下の理由である。外側のセル13は、そのセルより外側に、セル13が存在しないか、セル13が少ない。このため、乾燥時に、そのセルを中心として、外側と内側との対称性が異なる。結果、セル内でインクが片方へ寄り、インクの乾燥状態が異なる。第1パネル領域14内で外側セルと内側セルとで、インクの偏り方が異なる。特に、第1パネル領域14の上辺のセル13と、下辺のセル13とで、セル13内のインク傾きの差が大きく、パネルとして点灯した時にムラとなる。
【0010】
この場合、特許文献2では、
図6の(b)を附した部分に示すようにしている。
図6の(b)を附した部分は、
図6の(a)を附した部分に相当する図である。点灯しない第1ダミーセル20を、第1パネル領域14の外側に設け、第1ダミーセル20にもインクを塗布する。この結果、外側のセル13も、内側と外側が同じ環境となる。結果、外側のセル13も、有機機能材料である発色材料の膜厚が一定となり、ムラにならない。
【0011】
しかし、基板12の材料利用効率を上げるため、1つの基板12に複数の大きさの異なるパネル領域を設ける時、
図7で説明する問題がある。
【0012】
図7の(a)を附した部分は、
図6の(a)を附した部分に相当する図である。基板12に、異なる大きさの第1パネル領域14と第2パネル領域15とを設ける。基板12を隙間無く利用するため、このように設ける場合がある。
【0013】
この場合に、上記と同様に乾燥ムラ防止のためダミーセルを設けたのが、
図7の(b)を附した部分である。
図7の(b)を附した部分は、
図7の(a)を附した部分に相当する図である。すなわち、第1ダミーセル20、第2ダミーセル21を、第1パネル領域14,第2パネル領域15のそれぞれの周辺に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−362818号公報
【特許文献2】特許第3628997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、
図7の(b)を附した部分に示した図の場合、第1パネル領域14と第2パネル領域15との間に第1ダミーセル20,第2ダミーセル21を配置している。この結果、その部分が余分に必要となり、基板12を有効に使用できない。
【0016】
本発明の目的は、複数の大きさの異なるパネル領域を、1つの基板で作製する場合に、基板を有効に使用し、かつ、パネルとしてムラがでない方法、基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、1枚の基板上に配置された複数の第1セルを有する方形の第1パネル領域と、前記基板上に配置された複数の第2セルを有し、前記第1パネル領域と大きさが異なる方形の第2パネル領域と、前記第1パネル領域に対し前記第1パネル領域に隣接する前記第2パネル領域の反対側の辺に対応する前記第1パネル領域の外周に形成された前記第2セルと同じ形状の第1ダミーセルと、前記第2パネル領域に対し前記第2パネル領域に隣接する前記第1パネル領域の反対側の辺に対応する前記第2パネル領域の外周に形成された前記第1セルと同じ形状の第2ダミーセルと、を備える基板を用いる。
【0018】
また、1枚の基板上に大きさの異なる第1パネル領域、および、第2パネル領域を配置し、前記第1パネル領域の外周に、前記第2パネル領域内の第2セルと同じ形状の第1ダミーセルを形成し、前記第2パネル領域の外周に、前記第1パネル領域内の第1セルと同じ形状の第2ダミーセルを形成した前記基板を準備する準備工程と、インクジェット法により、前記第1セル、前記第2セル、前記第1ダミーセル、前記第2ダミーセルにインクを塗布する塗布工程と、前記基板を乾燥する乾燥工程と、を含むパネルの製造方法を用いる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、1つの基板から複数のパネルを作製する場合、各パネルの両端の乾燥状態を等しくできるようにダミーセルの形状を変更する。このことで、パネル両端の乾燥スピードを等しくすることができる。つまり、パネルとしての乾燥ばらつきを抑制することにより、むらのない均一なパネルを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施の形態1のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1の基板を模式的に拡大して示す平面図であり、(a)〜(c)を附した部分は、それぞれ基板の異なる箇所に対応する。
【
図3】
図3は、実施の形態2のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態3のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態3の基板を模式的に拡大して示す平面図であり、(a)〜(c)を附した部分は、それぞれ基板の異なる箇所に対応する。
【
図6】
図6は、(a)従来のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図と、(b)従来の基板の平面図とをまとめて示した図であり、(a)を附した部分が従来のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図に対応し、(b)を附した部分が従来の基板の平面図に対応する。
【
図7】
図7は、複数の従来のインクジェット法におけるインク塗布時の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明に係る基板、および、パネルの製造方法の一例を示したものに過ぎない。従って本発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0022】
また、図面は、本願発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
図1に、実施の形態1の基板12の平面図を示す。2つの異なる大きさの第1パネル領域14と、第2パネル領域15(以下、これらを「パネル領域」と総称する場合がある)とが、1つの基板12上にある。さらに、第1パネル領域14、第2パネル領域15のそれぞれの外周に、第1ダミーセル30、第2ダミーセル31を設けている。しかし、パネル領域間32には、ダミーセルを設けていない。
【0024】
本実施の形態の場合、基板12は、ガラス基板である。また、一枚の基板12に複数の第1パネル領域14、および、第2パネル領域15が含まれており、基板12から各パネル領域を切り出すことにより複数のパネルが製造される。基板12から製造されるパネルとしては、有機ELディスプレイパネルを想定している。なお、パネルは、他のディスプレイや、デバイスなどの製品となるものである。
【0025】
ここで、外周とは、パネル領域内を含まないパネル領域の周縁部を意味している。また、セルとは、パネル領域内の一部を占める部分であり、最終製品となった場合の一つの機能を担う部分である。本実施の形態の場合、パネルは有機ELディスプレイパネルであり、セルは、副画素に対応する。また、セルはバンクで囲われる、または、挟まれて形成される場合がある。
【0026】
ここで、第1ダミーセル30の形状は、第1パネル領域14の第1セル40でなく、第2パネル領域15の第2セル41と同じ形状、または、相似形状である。また、第2ダミーセル31の形状は、第2パネル領域15の第2セル41でなく、第1パネル領域14の第1セル40と同じ形状、または、相似形状である。
【0027】
また、第1ダミーセル30の向きは、第2パネル領域15の第2セル41の向きと同じであり、第2ダミーセル31の向きは、第1パネル領域14の第1セル40の向きと同じである。
【0028】
さらに、第1ダミーセル30と、当該第1ダミーセル30に隣接する第1セル40との間隔は、第1パネル領域14に隣接する第2パネル領域15に隣接する第1セル40と、当該第1セル40に隣接する第2セル41との間隔と同じである。
【0029】
このような構造とすることで、第1パネル領域14の外側であって所定の第一方向(
図1中において上下方向であり、第1パネル領域14の長手方向)の両側には、第1ダミーセル30と、第2セル41とが位置する。第1ダミーセル30と、第2セル41とは同一形状、または、相似形状である。また、本実施の形態の場合、第1パネル領域14を仮想的に通過する軸に対し第1ダミーセル30と、第2セル41とは軸対称の関係となっている。この結果、第1ダミーセル30、および、第2セル41を加えた第1パネル領域14の幾何学的対称性よくなり、第1パネル領域14の第1セル40のそれぞれに塗布されるインクは、均質に乾燥され、ムラが発生しない。
【0030】
第2パネル領域15も同様に、第2パネル領域15の外側であって所定の第一方向(
図1中において上下方向であり、第2パネル領域15の短手方向)の両側には、第2ダミーセル31と、第1セル49とが位置する。第2ダミーセル31と、第1セル40とは同一形状、または、相似形状である。また、本実施の形態の場合、第2パネル領域15を仮想的に通過する仮想的な軸に対し第2ダミーセル31と、第1セル40とは軸対称の関係となっている。この結果、第2ダミーセル31、および、第1セル40を加えた第2パネル領域15の幾何学的対称性よくなり、第2パネル領域15の第2セル41のそれぞれに塗布されるインクは、均質に乾燥され、ムラが発生しない。
【0031】
通常上記のように、複数の大きさの異なるパネル領域を設ける場合、基板12を有効に使用するためには、それぞれのパネル領域は、それぞれのパネル領域の長手方向が垂直となることが多い。また、それぞれのパネル領域に含まれる各セルも長方形となることが多い。結果、第1ダミーセル30と第1セル40のそれぞれの長方形の長手方向は、垂直となる。同様に、第2ダミーセル31と第2セル41のそれぞれの長方形の長手方向も、垂直となる。
【0032】
ここで、
図2の(a)〜(c)を附した部分の第1パネル領域14を部分拡大し簡素化した例で、さらに、その変形例を説明する。
【0033】
図2の(a)を附した部分では、第1パネル領域14の外側であって所定の第一方向(
図2中において上下方向)の一方側に同じ形状の第1ダミーセル30が設けられ、他方側に第2セル41が配置されている。このことで、所定の第一方向において第1セル40の両端部は、同じ環境となり、インクが均等に乾燥してムラが発生しない。
【0034】
図2の(b)を附した部分では、(a)を附した部分で示した第1ダミーセル30とは形状の異なる第1ダミーセル30を示している。つまり、第2セル41の2個分1を1つにしている。ここで、第2セル41の2個分1を1つにするとは、隣接する2個の第2セル41を含む最小の方形と第1ダミーセル30の形状とを同じにすることを意味する。
【0035】
図2の(c)を附した部分では、(a)を附した部分で示した第1ダミーセル30とは形状の異なる第1ダミーセル30を示している。つまり、(c)を附した部分に示した第1ダミーセル30の形状は、第2セル41の形状と相似である。
【0036】
結果、第1パネル領域14の所定の第一方向(例えば基板12に1辺に沿った方向)の両端部に配置される第1セル40が、同じような環境で乾燥させることができるようになり、上下端のセルによるムラが生じない。また、第2パネル領域15に対しても第1パネル領域14と同様に第2ダミーセル31を設けることにより同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
(実施の形態2)
実施の形態2を、
図3を用いて説明する。
図3は、
図1に相当する図である。
図1に示した基板12の状態との違いは、第1パネル領域14、および、第2パネル領域15の外側であって、前記第一方向とは交差(直交)する第二方向(
図3中において左右方向)の両側にも、第3ダミーセル70、第4ダミーセル71を設けたものである。
【0038】
第3ダミーセル70は、第1セル40と同じ形状である。第4ダミーセル71は、第2セル41と同じ形状である。
【0039】
結果、第1パネル領域14、第2パネル領域15とも、第二方向の両端が、乾燥する際において同じ環境となり、パネル領域内のセルの第二方向の両端部によるムラが生じない。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態3を、
図4を用いて説明する。
図4は、
図1、3に相当する図である。
図1、3との違いは、ダミーセルを1種類にしたこと、パネル領域間32にもダミーセルを設けたことである。
【0041】
本実施の形態の場合、第1パネル領域14、第2パネル領域15の外周すべてに、第5ダミーセル80を設けた。第5ダミーセル80の形状は、第1セル40、第2セル41と異なり、それらを合体したものである。
【0042】
詳細を
図5で説明する。
図5の(a)が附された部分は、
図4の一部を拡大簡略化したものである。第1パネル領域14の周囲に第5ダミーセル80を設けている。第一パネル領域14の長手方向である第一方向の両端に対応する外周、および、第一パネル領域14の短手方向である第二方向の両端に対応する外周に同じダミーセルが配置されているので、対称性よく、ムラが発生しない。
【0043】
ここで、本実施の形態の場合、実施の形態1,2と異なり、パネル領域間32にも第5ダミーセル80を設けている。この理由は、第5ダミーセル80の形状が、第1セル40、第2セル41とも異なるため、より影響力をパネル領域に生じさせるためである。
【0044】
ここで、第5ダミーセル80の形状を
図5で説明する。
図5の(b)を附した部分は、第1セル40と第2セル41とを仮想的に重ねた場合の平面図である。第5ダミーセル80は、第1セル40と第2セル41を合わせた形状である。第5ダミーセル80の形状は、それぞれの中心が一致するように仮想的に重ね合わせた第1セル40と第2セル41とを含むことができる最小の方形、または、その相似形である。
【0045】
第1セル40と第2セル41とは、それぞれが長方形でそれぞれの長手方向が垂直となり、長手方向の長さが同じである場合がほとんどである。そのため、第5ダミーセル80は正方形であるのが好ましい。
【0046】
方形にする理由は、インク塗布がしやすいようにするためである。
【0047】
外周とするのは、第1セル40、第2セル41より、影響力を大きくするためである。
【0048】
なお、ただし、第5ダミーセル80の大きさは、少なくとも、それぞれの中心が一致するように仮想的に重ね合わせた第1セル40、第2セル41の面積以上である必要がある。その最小の大きさを
図5の(b)を附した部分の点線で示す。
【0049】
なお、第5ダミーセル80は、
図5の(c)を附した部分に示すように、それぞれの中心が一致するように仮想的に重ね合わせた第1セル40、第2セル41の隣接して配置された2つ分を合体した形状でもよい。
【0050】
結果、第1パネル領域14、第2パネル領域15とも、左右両端が、同じ環境となり、左右端のセルによるムラが生じない。
【0051】
パネル領域間32には、1列の第5ダミーセルを設けるだけでムラが生じない。
【0052】
(なお書き)
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0053】
例えば、1枚の基板上に配置された複数の第1セルを有する方形の第1パネル領域と、前記基板上に配置された複数の第2セルを有し、前記第1パネル領域と大きさが異なる方形の第2パネル領域と、前記第1パネル領域の外周の1辺に形成された前記複数の第2セルと同じ形状の第1ダミーセルと、前記第2パネル領域の外周の1辺に形成された前記複数の第1セルと同じ形状の第2ダミーセルと、を含む基板。
【0054】
また、前記第1パネル領域の前記1辺の隣の外周の他辺に形成された前記複数の第1セルと同じ形状の第3ダミーセルと、前記第2パネル領域の前記1辺の隣の外周の他辺に形成された前記複数の第3セルと同じ形状の第4ダミーセルと、を含む基板としてもよい。
【0055】
また、前記第1パネル領域と前記第2パネル領域との間には、ダミーセルを設けない基板でもよい。
【0056】
また、前記第1セル、前記第2セル、前記第1ダミーセル、前記第2ダミーセルは、長方形であり、前記第1セルと前記第1ダミーセルの長方形の長手方向が垂直であり、前記第2セルと前記第2ダミーセルの長方形の長手方向が垂直である基板でもよい。
【0057】
また、1枚の基板上に配置された複数の長方形の第1セルを有する方形の第1パネル領域と、前記基板上に配置された複数の長方形の第2セルを有し、前記第1パネル領域と大きさが異なる方形の第2パネル領域と、前記第1パネル領域の外周と、前記第2パネル領域の外周とに設けられた正方形の第5ダミーセルと、を含む基板でもよい。
【0058】
また、前記第1パネル領域と前記第1パネル領域とは長方形であり、前記第1パネル領域と前記第1パネル領域の長方形は、その長手方向が垂直である基板であってもよい。
【0059】
また、1枚の基板上に大きさの異なる第1パネル領域と第2パネル領域と隣接して配置し、前記第1パネル領域の外周の1辺には、前記第2パネル領域内の第2セルと同じ形状の第1ダミーセルを形成し、前記第2パネル領域の外周の1辺には、前記第1パネル領域内の第1セルと同じ形状の第2ダミーセルを形成した前記基板を準備する準備工程と、インクジェット法により、前記第1セル、前記第2セル、第1ダミーセル、第2ダミーセルにインクを塗布する塗布工程と、前記基板を乾燥する乾燥工程と、を含むパネルの製造方法でもよい。
【0060】
また、前記第1パネル領域の前記第2パネル領域と隣接しない1辺に、前記第1セルと同じ形状の第3ダミーセルを設け、前記第2パネル領域の前記第1パネル領域と隣接しない1辺に、前記第2セルと同じ形状の第4ダミーセルを設けるパネルの製造方法でもよい。
【0061】
また、1枚の基板上に大きさの異なる第1パネル領域と第2パネル領域と隣接して配置し、前記第1パネル領域の外周と、前記第2パネル領域の外周のそれぞれの辺に第5ダミーセルを形成した前記基板を準備する準備工程と、インクジェット法により、前記第1パネル領域内の第1セル、前記第2パネル領域内の第2セル、前記第5ダミーセルにインクを塗布する塗布工程と、前記基板を乾燥する乾燥工程と、を含むパネルの製造方法であり、前記第5ダミーセルの形状は、前記第1セルの形状と前記第2セルの形状とを合わせた形状であるパネルの製造方法でもよい。
【0062】
また、基板12の上下方向と左右方向を異なる実施の形態のセルを用いてもよい。
【0063】
(効果)
本方法によれば、基板上に複数の異なった向きを有するパネル領域にインクジェット塗布にてインクを塗布する際、それぞれのパネル領域の第一方向、第二方向(左右、上下方向)が対称となるようにダミーセルをパターニングすることにより、塗布後の機能層の膜厚分布を第一方向、第二方向(左右、上下)において対称にすることができる。
【0064】
このように対称に形成することにより、スジムラの少ないパネルを供給することが可能となり、高歩留まりを実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の方法は、基板から複数のデバイス、ディスプレイを作製する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
10 インクジェットヘッド
12 基板
13 セル
14 第1パネル領域
15 第2パネル領域
20 第1ダミーセル
21 第2ダミーセル
30 第1ダミーセル
31 第2ダミーセル
32 パネル領域間
40 第1セル
41 第2セル
70 第3ダミーセル
71 第4ダミーセル
80 第5ダミーセル