【0013】
ポリオキシアルキレンアルキルアミン第四級アンモニウム塩系展着剤は、ポリオキシアルキレンアルキルアミンの第四級アンモニウム塩からなるカチオン系展着剤である。
本発明では、ポリオキシアルキレンアルキルアミンの第四級アンモニウム塩におけるポリオキシアルキレンアルキルアミン
は、ポリオキシエチレンアルキルアミン
であり、該アミンにおけるアルキル鎖部としては、炭素数8以上、例えば炭素数8〜20等の分岐していてもよい長鎖アルキル基部が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルアミン第四級アンモニウム塩系展着剤としては、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウムクロライド
系のものが用いられ、中でもポリオキシエチレン長鎖アルキルメチルアンモニウムクロライド
系のものが好ましい。
本駆除剤における上記展着剤の含有量は、原液としては0.5〜5重量%とするのがよく、高含量の場合には施用時に水等で希釈して3重量%以下とし、低含量の場合にはそのまま使用して差し支えない。展着剤の含有量が3重量%超であると植物が最悪枯死するなどの植物への薬害等の環境面への悪影響等が生じやすくなる。施用時の上記展着剤の含有量は、効力及び環境負荷の観点からして、0.5〜2重量%とするのがよい。
また、キレート性カルボン酸に対する該展着剤の重量比は、0.05以上であるのが好ましい。この比が小さすぎると駆除効果が不十分になる。
【実施例】
【0018】
次に試験例、実施例等によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0019】
試験例、比較試験例
20cm×30cm×高さ9.5cmの直方体形プラスチック容器に、約4cm程度の深さで土壌を敷き詰めヤマビルを放した。この容器内に、水に、表1に示すように、各種酸性物質を添加、溶解させてpH1.5付近に調整してなる酸性液を、200mL/m
2散布し、1日後の致死率を調べた。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1より、強酸の塩酸は、キレート性カルボン酸では駆除能のある低pH域下の同等pH値でもはや駆除能を全く示さなくなることが分かる。
【0022】
実施例1,2、比較例1〜4
下記の重量割合の組成からなる薬剤を、水にリンゴ酸を溶解させ(比較例1)、また、同様の操作後、さらに展着剤を加え均一に混合して調製した。20cm×30cm×高さ9.5cmの直方体形プラスチック容器に、約4cm程度の深さで土壌を敷き詰め、さらに土壌表面が概ね隠れるように枯葉を敷き、ヤマビルを放した。この容器内に薬剤を200mL/m
2散布して1日後の致死率を調べた。また、これとは別に上記薬剤を植物(スズメノカラビラ、ヒメクグ、メヒシバ)に散布して1日後の薬害状況も調べた。それらの結果を表2に示す。
実施例1:リンゴ酸10.0%、A0.5%、水89.5%
実施例2:リンゴ酸10.0%、A1.5%、水88.5%
比較例1:リンゴ酸10.0%、水90%
比較例2:リンゴ酸10.0%、A4.0%、水86.0%
比較例3:リンゴ酸10.0%、B1.5%、水88.5%
比較例4:リンゴ酸10.0%、C1.0%、水89.0%
A:NK−3000S(商品名、竹本油脂社製ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウムクロライド)
B:リグニンスルホン酸ナトリウム(アニオン系展着剤)
C:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ノニオン系展着剤)
【0023】
【表2】
【0024】
農薬等の水溶液や懸濁液を散布する際には、一般的にアニオン系やノニオン系の展着剤が用いられるが、これらを各実施例に使用のAの展着剤に代えて用いた比較例3、4のヤマビル駆除剤では、駆除効果が極端に悪化した。
これに対し、Aの展着剤を用いた各実施例では、枯葉が存在している状況でも高い致死率が得られた。
また、展着剤を添加しない場合は、致死率が低下した。
【0025】
実施例3〜8、比較例5〜7
下記の重量割合の組成からなる薬剤を、水にキレート性カルボン酸を溶解させた後、展着剤を加え均一に混合して調製した。20cm×30cm×高さ9.5cmの直方体形プラスチック容器に、約4cm程度の深さで土壌を敷き詰め、さらに土壌表面が概ね隠れるように枯葉を敷き、ヤマビルを放した。この容器内に薬剤を200mL/m
2散布して、1日後の致死率を調べた。また、これとは別に上記薬剤を植物(スズメノカラビラ、ヒメクグ、メヒシバ)に散布して1日後の薬害状況も調べた。それらの結果を表3に示す。
実施例3:リンゴ酸10.0%、A1.0%、水89.0%
実施例4:リンゴ酸20.0%、A1.0%、水79.0%
実施例5:クエン酸10.0%、A1.0%、A89.0%
実施例6:酒石酸10.0%、A0.5%、水89.5%
実施例7:マロン酸5.0%、A1.0%、水94.0%
実施例8:乳酸10.0%、A0.5%、水89.5%
比較例5:リンゴ酸2.0%、A0.5%、水97.5%
比較例6:リンゴ酸10.0%、A0.1%、水89.9%
比較例7:クエン酸3.0%、A1.0%、水96.0%
【0026】
【表3】
【0027】
表3より、薬剤は、キレート性カルボン酸含量が5重量%以上であって、キレート性カルボン酸に対する上記展着剤の重量比が0.05以上であると十分な致死率となり、優れた駆除効果を示すことが分かる。