特許第6268375号(P6268375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268375
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】農作物拾い上げ機
(51)【国際特許分類】
   A01D 21/04 20060101AFI20180122BHJP
   A01D 33/04 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   A01D21/04
   A01D33/04
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-157031(P2013-157031)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-23852(P2015-23852A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217240
【氏名又は名称】田中工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸広
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−146101(JP,U)
【文献】 実開平04−043926(JP,U)
【文献】 特開平04−265306(JP,A)
【文献】 特開2003−164210(JP,A)
【文献】 特開2007−061067(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第1603622(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 − 33/14
E01H 1/00 − 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に前側が下向きに傾斜する拾い上げコンベヤを設け、その拾い上げコンベヤの前部上方に回転体の外周に複数の弾性体を放射状に取り付けた拾い上げ補助装置を設け、走行しながら畑表土上の農作物を拾い上げ補助装置で補助しながら拾い上げコンベヤで拾い上げる農作物拾い上げ機であって、前記拾い上げ補助装置が、軟質の長い弾性体を中間で丸く折り返してその両端部を回転体の外周に取り付け弾性体を回転体の中心軸から偏心した位置に取り付け、その弾性体が回転体に巻き付け可能な可撓性を有するようにし、更に拾い上げ補助装置の高さを上下調整可能にし、しかも弾性体の折り返し端部から回転体の中心までの長さLが次式の式A,式B,式Cを満たすことを特徴とした、農作物拾い上げ機。
2/√3*(D−Φ)≦L≦2*(D−Φ)・・・式A
r+(D−Φ)+Φ/4<L・・・式B
L<r+2πr/4+D−Φ+Φ/4・・・式C
Lは弾性体の折り返し端部から回転体の中心までの長さ、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、rは回転体の半径である。
【請求項2】
回転体の角速度ωが次式を満たすものである、請求項1記載の農作物拾い上げ機。
ω(D−Φ)>2V
ωは回転体の角速度、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、Vは走行機体の走行速度である。
【請求項3】
回転体の角速度ωが次式を満たすものである、請求項1記載の農作物拾い上げ機。
ω(D−Φ)>3V
ωは回転体の角速度、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、Vは走行機体の走行速度である。
【請求項4】
弾性体がゴム製であって、その厚さが0.5〜1.5mmの範囲、ゴム硬度が40〜50度の範囲である、請求項1〜3いずれか記載の農作物拾い上げ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畑の表土上に掘り上げて一定時間風乾した農作物を機械的に拾い上げて収穫できるようにする農作物拾い上げ機に関し、詳しくは、農作物を拾い上げる際に表皮の傷つきや皮剥けを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の農作物拾い上げ機には、畑表土上の農作物を搬送コンベヤに確実に載せることができるように掻き込み装置を設けたものが知られており、その技術が特許文献1〜3に開示されている。特許文献1,2記載の技術は、ある程度の厚みと剛性を有する弾性体の下端で畑表土上の農作物を搬送コンベヤに押しやる構造を特徴としている。特許文献3記載の技術は、弛ませた弾性体の両端をエンドレスチェーンに固定し、この弾性体の面で農作物を搬送コンベヤに押し付ける構造を特徴としている。
【0003】
ところで、特許文献1,2記載の技術では、弾性体は変形可能な材質ではあるが、掘り上げて間もない農作物の柔らかい表皮に物理的な力を加えて搬送コンベヤに促すので、農作物の表皮が剥けて傷をつけるという欠点があった。また、特許文献3記載の技術では、弾性体の面との接触によって農作物へのダメージは少ないが、2軸でエンドレスチェーンを構成するから部品数が多く、しかも弛ませた弾性体の両端をそれぞれ別個にチェーンに固定するから製作コストが高くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−160701号公報
【特許文献2】特開2009−201414号公報
【特許文献3】特開2007−61067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、畑表土上の農作物を拾い上げる際に表皮の傷つきや皮剥けを防止できる低コストの農作物拾い上げ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 走行機体に前側が下向きに傾斜する拾い上げコンベヤを設け、その拾い上げコンベヤの前部上方に回転体の外周に複数の弾性体を放射状に取り付けた拾い上げ補助装置を設け、走行しながら畑表土上の農作物を拾い上げ補助装置で補助しながら拾い上げコンベヤで拾い上げる農作物拾い上げ機であって、前記拾い上げ補助装置が、軟質の長い弾性体を中間で丸く折り返してその両端部を回転体の外周に取り付け弾性体を回転体の中心軸から偏心した位置に取り付け、その弾性体が回転体に巻き付け可能な可撓性を有するようにし、更に拾い上げ補助装置の高さを上下調整可能にし、しかも弾性体の折り返し端部から回転体の中心までの長さLが次式の式A,式B,式Cを満たすことを特徴とした、農作物拾い上げ機
2/√3*(D−Φ)≦L≦2*(D−Φ)・・・式A
r+(D−Φ)+Φ/4<L・・・式B
L<r+2πr/4+D−Φ+Φ/4・・・式C
Lは弾性体の折り返し端部から回転体の中心までの長さ、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、rは回転体の半径である。
2) 回転体の角速度ωが次式を満たすものである、前記1)記載の農作物拾い上げ機
ω(D−Φ)>2V
ωは回転体の角速度、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、Vは走行機体の走行速度である。
3) 回転体の角速度ωが次式を満たすものである、前記1)記載の農作物拾い上げ機
ω(D−Φ)>3V
ωは回転体の角速度、Dは拾い上げコンベヤの前方のリターン軸の中心から回転体の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物の設定高さ、Vは走行機体の走行速度である。
4) 弾性体がゴム製であって、その厚さが0.5〜1.5mmの範囲、ゴム硬度が40〜50度の範囲である、前記1)〜3)いずれか記載の農作物拾い上げ機
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の前記1),2)記載の構成によれば、拾い上げ補助装置の弾性体が農作物の形状に沿って変形して面接触しながら回動し、その摩擦による推進力で農作物が乗り移りの抵抗(拾い上げコンベヤの傾斜や盛り上がった畑表土等)に対抗して畑表土上から拾い上げコンベヤへ円滑に移行する。したがって、従来技術の板状の弾性体で強制的に掻き込む方法と比較して農作物の表皮が傷つきにくくなる。特に、弾性体は折り返しによって質量が増加するが、農作物に接触するのは片面のみであるから、変形しやすい柔軟性を保持しながら、推進力に必要な遠心力や慣性力、押圧力を発揮できる。また、弾性体は折り返しによって先端部が湾曲して膨らみを有する形状となっているから、どの部分に農作物が接触しても傷つきにくい。さらに、拾い上げ補助装置は1軸の回転体に弾性体が取り付けられた簡易な構造であるから、従来技術の2軸と比較して部品数が減少して低コストで製作できる。
【0008】
本発明の前記3),4)記載の構成によれば、弾性体が前方水平の位置から下回りして30〜60°(好ましくは30〜45°)の角度に達した際、その先端部が畑表土上の農作物に当たるための必要な長さに設定できる。
【0009】
本発明の前記5)記載の構成によれば、弾性体が前方水平の位置から下回りして180°の角度に達した際、畑表土上の農作物に被さって摩擦による推進力で農作物を畑表土上から拾い上げコンベヤへ移行させるための必要な長さに設定できる。
【0010】
本発明の前記6)記載の構成によれば、弾性体が前方水平の位置から下回りして270°の角度に達した際、弾性体が回転体に巻き取られ、拾い上げコンベヤによる搬送を妨げないように農作物から離れるための必要な長さに設定できる。
【0011】
本発明の前記7),8)記載の構成によれば、弾性体が農作物の表皮を傷つけないように適切な推進力を与える速度に設定できる。
【0012】
本発明の前記10)記載の構成によれば、様々な大きさの農作物に使用できる汎用性に優れた農作物拾い上げ機を提供できる。
【0013】
本発明の前記11)記載の構成によれば、表皮が弱い農作物に適した弾性体にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の農作物拾い上げ機の側面図である。
図2】実施例の農作物拾い上げ機の平面図である。
図3】実施例の拾い上げ補助装置の説明図である。
図4】実施例の拾い上げコンベヤと拾い上げ補助装置の側面図である。
図5】実施例の弾性体の長さ、回転体の半径、農作物の高さ等を示す説明図である。
図6】実施例の弾性体の長さ、回転体の半径、農作物の高さ等を示す説明図である。
図7】実施例の拾い上げ補助装置の動きを示す説明図である。
図8】実施例の他の例の拾い上げ補助装置の側面図である。
図9】実施例の他の例の弾性体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の弾性体としては、ゴムやスポンジ等の弾性を有するシート状のものが用いられる。厚さとしては、材質や質量、硬さにもよるが0.5〜1.5mmの範囲が望ましく、薄いと軽くて摩擦による推進力が不足し、厚いと剛性が増して農作物の表皮を傷めることがある。前記厚さのゴムの場合は、ゴム硬度は40〜50度の範囲が望ましい。農作物の設定高さは、畑表土上に置かれた農作物の姿勢での表土から最も大きい高さの推定値が採用されるが、その種類の農作物の平均的な高さを採用しても良い。
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を代表的な実施例と図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、様々な組み合わせや変形が可能である。
【実施例】
【0017】
本実施例の農作物拾い上げ機を図1,2に示す。図中、Aは畑、Pは農作物、1は走行機体、11は前輪、12は駆動輪、13はエンジン、14は駆動チェーン、15は操作部、2は拾い上げコンベヤ,3は拾い上げ補助装置、4は拾い上げコンベヤ2で拾い上げられた農作物Pを持ち上げる持ち上げコンベヤ、5は持ち上げコンベヤ4で持ち上げられた農作物Pの選別や不要物の排除を作業できるように循環させる無端コンベヤ、6は農作物Pの回収容器、61は回収容器6の置き台である。
【0018】
拾い上げコンベヤ2は、前方のリターン軸21の一部が土中に埋入できる高さに設置され、後側は上向きに傾斜している。搬送速度は8cm/秒である。
【0019】
拾い上げ補助装置3の弾性体31は厚さ1mm、ゴム硬度45のネオプレンゴム製で、図3に示すように、中間で丸く折り返して先端部に膨らみを有する形状にしている。回転体32は、複数の取付片33を放射状に備えて所定の外径を有している。その各取付片33に弾性体31の両端部を重ねた状態で4枚取り付け、これを拾い上げコンベヤ2の前端よりやや前寄りの上方位置に横向きに軸支している。
【0020】
拾い上げ補助装置3の高さ位置は、図4に示すように、農作物Pの大きさに応じて上下に調整できるようになっている。拾い上げコンベヤ2と拾い上げ補助装置3と持ち上げコンベヤ4は、駆動チェーン14でエンジン13の駆動力が伝達されるようになっている。
【0021】
弾性体31の折り返し端部から回転体32の中心までの長さLを、次式のいずれも満たす長さにする(図3〜6参照)。*は乗算を示す。
式A・・・2/√3*(D−Φ)≦L≦2*(D−Φ)
式B・・・r+(D−Φ)+Φ/4<L
式C・・・L<r+2πr/4+D−Φ+Φ/4
Dは回転体32の中心から拾い上げコンベヤ2の前方のリターン軸21の中心までの鉛直方向の高さ、Φは農作物Pの設定高さ、rは回転体32の半径である。
【0022】
式Aは、図5に示すように、弾性体31が前方水平の位置から下回りして30〜60°の角度に達した際、その先端部が畑Aの表土上の農作物Pに当たるための必要な長さを定義している。2(D−Φ)は30°の角度の際の長さ、2/√3(D−Φ)は60°の角度の際の長さである。45°の角度の場合は、2/√2(D−Φ)となる。式Bは、図6(イ)に示すように、弾性体31が前方水平の位置から下回りして180°の角度に達した際、畑Aの表土上の農作物Pに被さって摩擦で農作物Pを表土から拾い上げコンベヤ2へ移行させるための長さの下限を定義している。式Cは、図6(ロ)に示すように、弾性体31が前方水平の位置から下回りして270°の角度に達した際、弾性体31が回転体32に巻き取られ、拾い上げコンベヤ2による搬送を妨げないように農作物Pから離れるための長さの上限を定義している。2πr/4は、回転体32の外周の1/4分の長さである。式B,Cにおいて、Φ/4は設定高さ以下の農作物Pにも当たるようにするためのマージンである。
【0023】
ここで、Dを17cm、Φを6cm(馬鈴薯の最大高さを想定)、rを3cmとすると、式AではLが12.7〜22cm、式BではLが15.5cm以上、式CではLが20.2cm以下となり、式A〜Cのいずれも満たすLの範囲は15.5〜20.2cmとなる。本実施例ではLを17.6cmとした。この場合、前方水平の位置から下回りして畑Aの表土上の農作物Pに当たり始める角度は約38°40’となる。
【0024】
また、回転体32の角速度ωを、次式を満たす速度にする。
ω(D−Φ)>3V
同じようにDを17cm、Φを6cmとし、走行機体1の走行速度Vを5cm/秒とすると、ωは1.36rad/秒以上となる。本実施例ではωを1.57rad/秒とした。この場合、回転体32の中心から図4に示すΔ点までの距離を11cmとした場合、その位置の周速度は17.27cm/秒となる。この周速度の場合、角速度ωを求める式はω(D−Φ)=3.45Vである。
【0025】
農作物Pが玉ねぎの場合は、その設定高さを10〜12cmとするのが一般的である。この場合、馬鈴薯より4〜6cm高いから、拾い上げ補助装置3の高さ位置を4〜6cm上方に調整するだけで良く、弾性体31は同じものが使用できて汎用性に優れる。
【0026】
本実施例では、置き台61に回収容器6を置いてエンジン13を始動し、拾い上げコンベヤ2と拾い上げ補助装置3と持ち上げコンベヤ4と無端コンベヤ5を作動させ、後方の作業者(図示は省略)が操作部15を操作して畑Aを跨ぐように農作物拾い上げ機を走行させる。
【0027】
図1,2に示すように、拾い上げコンベヤ2の前端部の一部が土中に埋入し、畑Aの表土上の農作物Pが走行機体1の前進によって拾い上げコンベヤ2に載せられる。このとき、弾性体31が前方水平の位置から下回りして約38°40’の角度で畑Aの表土上の農作物Pに当たり始め、図7(a)に示すように、90°の角度に達した際、弾性体31が農作物Pに被さる。さらに、図7(b)に示すように、180°の角度に達した際、農作物Pに被さっている弾性体31が摩擦で推進力を与え、それによって農作物Pは乗り移りの抵抗(拾い上げコンベヤ2の傾斜や盛り上がった畑Aの表土等)に対抗して畑Aの表土上から拾い上げコンベヤ2へ円滑に移行する。そして、図7(c)に示すように、270°の角度に達した際、弾性体31が回転体32に巻き取られ、拾い上げコンベヤ2による搬送を妨げないように農作物Pから離れる。
【0028】
したがって、従来技術の板状の弾性体で強制的に掻き込む方法と比較して農作物Pの表皮が傷つきにくい。特に、弾性体31は折り返しによって質量が増加するが、農作物Pに接触するのは片面のみであるから、変形しやすい柔軟性を保持しながら、推進力に必要な遠心力や慣性力、押圧力を発揮する。また、弾性体31は折り返しによって先端部が湾曲して膨らみを有する形状となっているから、どの部分に農作物Pが接触しても傷つきにくい。さらに、拾い上げ補助装置3は弾性体31が1軸の回転体32に取り付けられた簡易な構造であるから、従来技術の2軸と比較して部品数が減少して低コストで製作できる。
【0029】
拾い上げコンベヤ2に載せられた農作物Pは持ち上げコンベヤ4に移載され、持ち上げコンベヤ4で持ち上げられて無端コンベヤ5に投入される。無端コンベヤ5では、側方の別の作業者(図示は省略)によって農作物Pに付着又は同時に拾い上げられた土塊・石等の不要物が排除されるとともに、形状・大きさ・状態等が不適格な農作物Pが選別され、通過した農作物Pが回収容器6に収容される。
【0030】
図8に示すのは、実施例の拾い上げ補助装置3の他の例である。この例では、回転体32の外周にアーム34を放射状に取り付け、そのアーム34の端部に弾性体31を取り付けている。アーム34の長さは8cm、弾性体31の長さは6cm、回転体32の角速度ωは1.57rad/秒としている。このような構造の拾い上げ補助装置3も、実施例と同じように、農作物Pを表皮の傷つきや皮剥けを防止しながら、乗り移りに必要な推進力を与えることができるようになっている。その他、符号、構成は実施例と同じである。
【0031】
図9に示すのは、実施例の拾い上げ補助装置3の他の例であって、弾性体31の中間から取付片33までの間の折返し片同士を固着している。この例では、膨らみを有しない部分の剛性が若干高められており、農作物Pを表皮の傷つきや皮剥けを防止しながら、実施例と比較してより強い推進力を与えることができるようになっている。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の技術は、畑の表土上に掘り上げて一定時間風乾した農作物を機械的に拾い上げて収穫する用途に利用される。農作物としては、馬鈴薯等の芋類、にんにく、人参、玉ねぎ等に有用である。
【符号の説明】
【0033】
A 畑
P 農作物
1 走行機体
11 前輪
12 駆動輪
13 エンジン
14 駆動チェーン
15 操作部
2 拾い上げコンベヤ
21 リターン軸
3 拾い上げ補助装置
31 弾性体
32 回転体
33 取付片
34 アーム
4 持ち上げコンベヤ
5 無端コンベヤ
6 回収容器
61 置き台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9