特許第6268423号(P6268423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268423
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】包装体および包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   B65D73/00 K
   B65D73/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-133511(P2013-133511)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-6911(P2015-6911A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】山田 奈央子
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−025483(JP,A)
【文献】 実開昭61−097151(JP,U)
【文献】 実開昭61−150777(JP,U)
【文献】 特開2007−308164(JP,A)
【文献】 特開平10−059412(JP,A)
【文献】 実公昭41−004531(JP,Y1)
【文献】 特表2002−502776(JP,A)
【文献】 特開2003−142055(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/008446(WO,A1)
【文献】 特開2012−020762(JP,A)
【文献】 特開2005−069434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台材と、
被包装物が挿入される前に前記台材に予め接合された筒状フィルムと、
前記筒状フィルムに少なくとも一部が覆われた前記被包装物と、を備える包装体であって、
前記筒状フィルムと前記台材とは、互いに離間した少なくとも2つの接合部によって接合されており、
前記台材のうち前記接合部の間に位置する部分と、前記筒状フィルムと、によって規定された空隙部が形成されており、
前記空隙部は、前記接合部が並ぶ方向に対して交差する方向の両側に開口しており、
前記被包装物は、前記空隙部に対応する位置にくびれ部または凹部を有することを特徴とする、包装体。
【請求項2】
前記筒状フィルムは、延伸方向に沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも大である一軸延伸熱収縮フィルムであり、
前記筒状フィルムの延伸方向は、前記接合部が並ぶ方向に対して交差している、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
互いに離間した少なくとも2つの接合部によって接合された筒状フィルおよび台材を有する包材を用意する工程と、
くびれ部または凹部を有する被包装物を、当該くびれ部または凹部が前記2つの接合部の間において前記台材に対向するように、前記筒状フィルムに挿入する工程と、
前記筒状フィルムを熱収縮させることにより、前記筒状フィルムを前記被包装物に密着させる工程と、を備えることを特徴とする、包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台材に接合された筒状フィルムによって被包装物が包装された包装体および包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品としての被包装物が包装された包装体は、被包装物を適切に保護するとともに、店頭などでの見栄えに重きがおかれる。図19は、従来の包装体の一例の製造工程を示している(たとえば、特許文献1参照)。同図には、台材91および図中上下方向に開口する筒状フィルム92とこれらを接合する接合部94とからなる包材が示されている。また、この包材によって包装される被包装物93が示されている。台材91は、たとえば厚紙などからなる台紙が用いられており、筒状フィルム92は、熱収縮性フィルムであり、一般的に透明である。同図においては、筒状フィルム92は、加熱前の状態であり、たとえば平たく折り畳まれている。接合部94は、接着剤などからなり、台材91の前面と筒状フィルムとを接合している。接合部94は、図中上下方向に長く延びる帯状とされている。被包装物93は、下方に位置する膨出形状部分と、上方に位置するやや細めの柱状部分とを有している。
【0003】
前記包装体の製造においては、加熱前の筒状フィルム92を拡開させる。次いで、筒状フィルム92の内部空間に、被包装物93を挿入する。そして、筒状フィルム92を熱収縮させることにより、筒状フィルム92を被包装物93に密着させる。以上の工程を経ることにより、図20および図21に示す包装体Xが得られる。包装体Xによれば、台材91の前面に、被包装物93を購入者から視認しやすい状態で陳列することができる。
【0004】
しかしながら、包装体Xにおいては、接合部94が被包装物3の前記膨出形状部分と前記筒状部分とにまたがって設けられている。このため、図21によく表れているように、台材91が被包装物93に沿って撓んだ状態となってしまう。このようなことでは、包装体X全体の見栄えが劣ってしまうという問題がある。また、台材91のうち被包装物93からはみ出している部分には、被包装物93の商品名や広告ロゴなどが印刷されることが多い。台材91が撓むと、これらの印刷内容が歪んでしまい、読み取りにくい、あるいは美観を損ねるといった懸念が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−121590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、被包装物を適切に包装しつつ、見栄えを高めることが可能な包装体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される包装体は、台材と、前記台材に接合された筒状フィルムと、前記筒状フィルムに少なくとも一部が覆われた被包装物と、を備える包装体であって、前記筒状フィルムと前記台材とは、互いに離間した少なくとも2つの接合部によって接合されており、前記台材のうち前記接合部の間に位置する部分と、前記筒状フィルムと、によって規定された空隙部が形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記空隙部は、前記接合部が並ぶ方向に対して交差する方向の両側に開口している。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記被包装物は、前記空隙部に対応する位置にくびれ部または凹部を有する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記筒状フィルムは、延伸方向に沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも大である一軸延伸熱収縮フィルムであり、前記筒状フィルムの延伸方向は、前記接合部が並ぶ方向に対して交差している。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台材は、折り曲げ部を有しており、前記2つの接合部は、前記台材のうち前記折り曲げ部を挟んで互いに反対側に位置する部位にそれぞれ設けられており、前記空隙部は、前記折り曲げ部の少なくとも一部によって規定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記台材は、前記空隙部を挟んで2つの前記接合部によって前記筒状フィルムに接合されている。このため、前記筒状フィルムを熱収縮させたときに、前記接合部にその熱収縮が阻害されることなく前記被包装物の外形に沿って綺麗に前記筒状フィルムを密着させることができる。つまり、前記被包装物のうち前記空隙部に対応する部分に対して、前記台材は沿うことなく離間しできる。これにより、前記台材は、前記被包装物に沿って不当に撓む状態とならない。したがって、前記包装体全体の見栄えを良好に保つことができる。また、前記台材のうち前記被包装物からはみ出している部分に、前記被包装物の商品名や広告ロゴなどが印刷された場合、これらの印刷内容が歪んで読み取りにくくなる、あるいは美観を損ねるといったことを防止することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に基づく包装体を示す斜視図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図1の包装体の製造に用いられる包材を示す正面図である。
図4図1の包装体の製造工程を示す斜視図である。
図5図1に示す包装体の変形例を示す正面図である。
図6図1に示す包装体の他の変形例を示す正面図である。
図7図1に示す包装体の他の変形例を示す正面図である。
図8図1に示す包装体の他の変形例を示す正面図である。
図9図1に示す包装体の他の変形例を示す正面図である。
図10図1に示す包装体の他の変形例を示す断面図である。
図11図1に示す包装体の他の変形例を示す断面図である。
図12図1に示す包装体の他の変形例を示す断面図である。
図13】本発明の第二実施形態に基づく包装体を示す斜視図である。
図14図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。
図15図13の包装体の製造に用いられる包材を示す正面図である。
図16図13の包装体の製造工程を示す斜視図である。
図17】本発明の第三実施形態に基づく包装体を示す斜視図である。
図18図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
図19】従来の包装体の一例の製造工程を示す正面図である。
図20】従来の包装体の一例を示す正面図である。
図21図20の包装体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の第一実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A1は、台材1、筒状フィルム2、被包装物3、接合部4および空隙部5を備えている。図1は、包装体A1を正面側の斜め上方から見た斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿うyz平面における断面図である。また、台材1の厚み方向をz方向とし、z方向に対して直角である方向をx方向およびy方向としている。y方向は、たとえば包装体A1が陳列された状態において上下方向に相当し、x方向は水平方向に相当する。
【0017】
台材1は、筒状フィルム2を介して被包装物3を保持するものである。台材1としては、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、あるいは合成樹脂シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。本実施形態においては、台材1として厚紙からなる略矩形状の台紙を用いる場合を例として説明する。台材1は、本実施形態においては、全体が平板状となっており、撓んだ部分や折られた部分は有していない。なお、図1および図2においては、被包装物3がz方向前方にあり、台材1がz方向後方に配置されている。
【0018】
筒状フィルム2は、所謂シュリンクフィルムと称される収縮性フィルムであり、たとえば熱収縮によって被包装物3を密着状態で包装する部材である。本実施形態においては、筒状フィルム2は、y方向上下両端が開口し、熱収縮前において被包装物3が挿入可能な筒状体である。筒状フィルム2は、被包装物3と同等の高さを有し、熱収縮により被包装物3の略全体に密着する。本実施形態においては、筒状フィルム2は、被包装物3の上端および下端に折れ込む高さとされている。ただし、筒状フィルム2は、被包装物3の端部を露出させる高さであってもよく、被包装物3が挿入可能であればその高さは特に限定されない。また、筒状フィルム2は、例えば上下両端の少なくとも一方が開口しているものであればよい。
【0019】
筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。特に、熱収縮性であるシュリンクフィルムとしては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを好ましく使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。なお、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(いわゆるTD方向)と軸方向(いわゆるMD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(いわゆる収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が35〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。
【0020】
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
【0021】
本実施形態においては、筒状フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムであり、2つの端縁21を有している。一方の端縁21は、被包装物3のy方向上端面に位置しており、他方の端縁21は、被包装物3のy方向下端付近に位置している。また、筒状フィルム2の延伸方向Sは、図中においてzx平面に含まれており、後述する被包装物3の形状に基づくと、いわゆる周方向に略一致している。筒状フィルム2は、加熱されると延伸方向Sに沿った熱収縮が他の方向に沿った熱収縮よりも顕著に大である性質を有する。
【0022】
なお、筒状フィルム2には、開封を容易とするための摘み片(図示略)が形成されていてもよい。この摘み片は、被包装物3の正面にあたるy方向前方からたとえば周方向に90°退避した位置において、y方向上方に位置する端縁21から突出するように設けられる。また、このつまみ片の根元からたとえばy方向に筒状フィルム2を縦断するミシン目が形成されてもよい。このミシン目は、筒状フィルム2の開封をスムーズに行うために設けられる。また、筒状フィルム2には、一般的には、筒状に維持するためのセンターシール部(図示略)が設けられる。このセンターシール部は、樹脂フィルム材料の両端を有機溶剤を用いて接合して形成されており、たとえば、筒状フィルム2のうち台材1に正対し、かつ後述する接合部4を避けた位置に設けられる。また、センターシール部は、筒状フィルム2が熱収縮性一軸延伸フィルムである場合、一般的には、延伸方向Sに対して直角であるy方向に沿って筒状フィルム2を縦断するように形成される。
【0023】
被包装物3は、包装体A1において保護され、購入者が使用する対象である商品であり、たとえば化粧品、食料品など、様々な種類の商品が被包装物3として採用されうる。本実施形態においては、被包装物3は、本体部31および蓋部32を有している。本体部31は、被包装物3の大部分を占めており、たとえば内容物を収容する部分である。本実施形態においては、本体部31は、くびれ部33および2つの膨出部35を有している。くびれ部33は、y方向両側に隣接する部分よりも断面積が小とされた部分であり、周方向全周にわたって凹んでいる。膨出部35は、くびれ部33のy方向両側に設けられており、くびれ部33に対して相対的に断面積が大とである。また、本体部31のy方向下端には、被包装物3を起立させるための底面が形成されている。蓋部32は、蓋部32は、本体部31に対してy方向上方に位置しており、本体部31に対してたとえば螺合することにより脱着可能とされている。
【0024】
2つの接合部4は、台材1と筒状フィルム2とを接合しており、本実施形態においては、これらの接合部4は、被包装物3のくびれ部33を挟んで、y方向に離間して配置されている。そして、各接合部4は、筒状フィルム2のうち被包装物3の膨出部35を覆う部分と、台材1とを接合している。2つの接合部4がこのような配置とされていることにより、2つの接合部4が並ぶ方向であるy方向と、筒状フィルム2の延伸方向Sとは互いに交差する関係にあり、本実施形態においては、略直角とされている。また、各接合部4は、y方向に長く延びる長矩形状とされている。2つの接合部4の幅は、互いに同一とされている。
【0025】
なお、接合部4の形状は、長矩形状に限定されず、種々に設定可能である。また、接合部4の個数は、本発明が意図する効果を奏することを考慮して、2つ以上であれば特に限定されない。接合部4は、例えば、台材1に接着剤を塗布する、或いは両面粘着テープ等を貼着することで形成される。以下において、接合部4は、接着剤の塗布により形成されるものとして説明する。
【0026】
接合部4を形成する接着剤は、筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物3の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる接着剤であれば種々の接着剤(粘着剤を含む)を使用することができる。接着剤の例示としては、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して筒状フィルム2を張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、中でも湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。なお、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。
【0027】
空隙部5は、図2によく表れているように、台材1のうち2つの接合部4の間に位置する部分と、筒状フィルム2とによって規定された空間である。すなわち、空隙部5は、台材1の厚み方向であるz方向視において被包装物3にその全てが重なり、かつ2つの接合部4の間に位置する。また、当然に、台材1および筒状フィルム2それぞれのうち空隙部5を規定する部分は、互いに離間している。
【0028】
本実施形態においては、筒状フィルム2のうち被包装物3のくびれ部33を覆う部分によって空隙部5の一部が規定されている。また、空隙部5は、2つの接合部4が並ぶ方向であるy方向に対して交差する方向、より具体的にはx方向の両側に開口している。言い換えると、空隙部5を挟んでy方向に離間配置された2つの膨出部35のみにおいて、筒状フィルム2および2つの接合部4を介して、被包装物3が台材1に保持されている。
【0029】
次に、包装体A1の製造について、図3および図4を参照しつつ、以下に説明する。
【0030】
図3は、包装体A1の製造に用いられる包材の一例を示している。この包材B1は、台材1、加熱前の筒状フィルム2および2つの接合部4を有している。なお、本図においては、筒状フィルム2が図中前方にあり、台材1が図中後方にある。
【0031】
台材1は、上述した様々な材質を採用しうるものであり、本実施形態においては、矩形状の厚紙からなる。加熱前の筒状フィルム2は、折り畳まれた筒状であり、略矩形状とされている。筒状フィルム2が折り畳まれた状態においては、延伸方向Sは、略x方向に沿っている。筒状フィルム2は、y方向両側に開口しており、2つの端縁21は、y方向両端に配置されている。なお、筒状フィルム2が折り畳まれていることは、取り扱いが容易であるなどの利点があるが、筒状フィルム2は必ずしも折り畳まれている必要はない。筒状フィルム2は、y方向に離間配置された2つの接合部4によって台材1に接合されている。
【0032】
包材B1を用いた包装体A1の製造においては、図4に示すように、加熱前の筒状フィルム2を拡開させる。これにより、筒状フィルム2は、y方向両側に開口する格好となる。この際、筒状フィルム2は、被包装物3をスムーズに収容可能な容積の内部空間を有することが好ましい。次いで、本体部31と蓋部32とが結合された被包装物3を筒状フィルム2の内部空間にy方向上方あるいは下方から挿入する。この際、被包装物3は、本体部31および蓋部32が直接外部に露出した構成でよい。また、被包装物3の2つの膨出部35をz方向視において2つの接合部4と重なるように、被包装物3の位置を設定する。
【0033】
この後は、たとえば所定温度に設定されたスチームトンネル設備や熱風トンネル設備等を用いて筒状フィルム2を熱収縮させることにより、筒状フィルム2を被包装物3に密着させる。この熱収縮により、台材1のうち2つの接合部4の間に位置する部分と筒状フィルム2のうち被包装物3のくびれ部33を覆う部分との間に空間が生じる。この空間が、空隙部5となる。以上の工程を経ることにより、包装体A1が得られる。
【0034】
次に、包装体A1の作用について説明する。
【0035】
本実施形態によれば、台材1は、空隙部5を挟んで2つの接合部4によって筒状フィルム2に接合されている。このため、筒状フィルム2を熱収縮させたときに、接合部4にその熱収縮が阻害されることなく被包装物3の外形に沿って綺麗に筒状フィルム2を密着させることができる。つまり、被包装物3のうち空隙部5に対応する部分に対して、台材1は沿うことなく離間しできる。これにより、台材1は、被包装物3に沿って不当に撓む状態とならず、平板な状態を維持している。したがって、包装体A1全体の見栄えを良好に保つことができる。また、台材1のうち被包装物3からはみ出している部分に、被包装物3の商品名や広告ロゴなどが印刷された場合、これらの印刷内容が歪んで読み取りにくくなる、あるいは美観を損ねるといったことを防止することができる。
【0036】
空隙部5は、x方向両側に開口している。これは、被包装物3のうち筒状フィルム2を介して2つの接合部4によって台材1に接合された2つの膨出部35の間には、被包装物3(筒状フィルム2)と台材1とが接する箇所が存在しないことを意味する。このように、被包装物3のうち台材1から完全に離間した領域を避けて、この領域を挟んで2つの接合部4を離間配置することにより、台材1の不当な撓みを好適に防止することができる。
【0037】
本実施形態の被包装物3のくびれ部33は、zx平面における断面が極小となる部分である。そして、筒状フィルム2の延伸方向Sは、2つの接合部4が離間する方向であるy方向に対して略垂直であり、すなわちzx平面に略含まれている。筒状フィルム2は、延伸方向Sに沿って大きく熱収縮する性質を有するため、筒状フィルム2をくびれ部33に良好に密着させることができる。これにより、筒状フィルム2がくびれ部33から意図せず浮いた状態となることを回避可能であり、空隙部5を確実に形成することができる。
【0038】
図5図18は、本発明の他の実施形態あるいは変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0039】
図5図9は、台材1に対する2つの接合部4や被包装物3の配置についての包装体A1の変形例を説明するための図である。ただし、理解の便宜上、これらの変形例は、包装体A1を製造するための包材B1の状態で示しており、被包装物3の形状に応じてそれぞれ好適な接合部4を設けることができることを示すものである。なお、いずれもz方向から見た正面図である。
【0040】
図5に示す変形例においては、台材1に対する被包装物3すなわち筒状フィルム2の姿勢や2つの接合部4がy方向に離間配置されている点は上述した構成と同様であるものの、各接合部4は、上述した構成よりもy方向に長く延びた形状とされている。たとえば、2つの接合部4のy方向長さの合計は、筒状フィルム2のy方向長さの半分よりも大としてもよい。このような変形例は、たとえば被包装物3の膨出部35がy方向に長く延びている形状である場合に好適である。図6に示す変形例においては、各接合部4は、x方向に長く延びる長矩形状とされている。このような変形例は、たとえば膨出部35がx方向に沿って偏平な形状である場合に好適である。また、図7に示す変形例においては、各接合部4のx方向長さが図6に示す変形例よりも長い構成とされている。たとえば、各接合部4のx方向長さは、筒状フィルム2のx方向長さの半分よりも大としてもよい。このような変形例は、たとえば膨出部35がx方向に沿ってさらに長く延びている場合に好適である。
【0041】
図8および図9に示す変形例においては、台材1に対する被包装物3すなわち筒状フィルム2の姿勢が上述した構成と異なっており、x方向およびy方向に対して傾いている。図8に示す変形例においては、被包装物3すなわち筒状フィルム2の姿勢に対応して、2つの接合部4は、筒状フィルム2の2つの端縁2が離間する方向、すなわち延伸方向Sに対して直角な方向に長く延びている。一方、図9に示す変形例においては、各接合部4は、y方向に沿って長く延びる長矩形状とされている。図8および図9のそれぞれに示す接合部4は、被包装物3の形状に応じて適宜選択すればよい。
【0042】
これらの変形例によっても、包装体A1全体の見栄えを良好に保つことができる。また、いずれの包装体A1においても、2つの接合部4の長手方向は互いに一致している。このような2つの接合部4は、たとえば接着剤を台材1に塗工する際に、接着剤を一定幅に塗布不可能なノズルを用意し、このノズルからそれぞれの箇所において同一方向に接着剤を塗布することにより効率よく形成することができる。
【0043】
図10図12は、被包装物3の形状が異なる包装体A1の変形例を示しており、図1のII−II線に相当する線に沿うyz平面における断面図である。図10に示す変形例においては、被包装物3に2つのくびれ部33と3つの膨出部35が形成されている。2つのくびれ部33は、y方向に並んで設けられている。3つの膨出部35は、2つのくびれ部33を挟んでy方向に並んで設けられている。そして、3つの膨出部35のうち最上に位置するものと最下に位置するものが、筒状フィルム2および2つの接合部4を介して台材1に保持されている。中央に位置する膨出部35を覆う筒状フィルム2は、必然的ではないものの台材1に接する可能性があり、同図においては接した状態を示している。この場合、2つのくびれ部33に対応する位置に、2つの空隙部5が形成される。本変形例から理解させるように、本発明においては、2つの接合部4の間に複数の空隙部5が設けられた構成であってもよい。
【0044】
図11に示す変形例においては、3つの膨出部35に対応する3つの接合部4が設けられている。各接合部4は、筒状フィルム2のうち各膨出部35を覆う部分を台材1に接合している。本変形例においては、y方向上下に隣り合う2つの接合部4の間に1つずつの空隙部が形成されている。本変形例から理解されるように、2つ以上の接合部4を備える構成であれば、空隙部5の形成が可能であり、接合部4の個数は特に限定されない。
【0045】
図12に示す変形例においては、被包装物3にくびれ部33に代えて凹部34が形成されている。凹部34は、本体部31のうち台材1に対向する部分が凹んだ形状とされた部位である。一方、本体部31のうち台材1とは反対側にある部分は図中左方に膨らんだ形状とされており、凹んだ形状とはなっていない。また、被包装物3のうち凹部34を含む部分のzx平面における断面積は、極小とはなる必要はなく、隣り合う部分よりも断面積が大となっていてもよい。このような被包装物3を包装する包装体A1であっても、筒状フィルム2のうち凹部34を覆う部分と台材1とによって規定された空隙部5が形成される。なお、凹部34は、たとえばx方向の片側にのみ開口した形状であってもよい。筒状フィルム2が熱収縮によって凹部34に沿ったものとなる構成であれば、2つの接合部4とこれらの間に位置する空隙部5とを設けることによって、台材1が被包装物3に沿って不当に撓んでしまうことを防止することができる。
【0046】
図13および図14は、本発明の第二実施形態に基づく包装体を示している。図13は、本実施形態の包装体A2を正面側の斜め上方から見た斜視図である。図14は、図13のXIV−XIV線に沿うyz平面における断面図である。
【0047】
本実施形態においては、台材1は、折り曲げ部11を有している。折り曲げ部11は、台材1の一部が折り曲げられた部分であり、本実施形態においては、折り曲げ部11はx方向に延びる直線状の折り曲げ線に沿ってに略直角に折り曲げられた部分である。折り曲げ部11を有することにより、台材1は、折り曲げ部11を挟んで、起立部12と底部13とに二分されており、x方向視においてL字状とされている。起立部12は、xy平面に沿って起立しており、包装体A2の陳列状態において、前方および後方を向く面を有する。底部13は、zx平面に沿って横たわっており、包装体A2の陳列状態において、上方および下方を向く面を有する。
【0048】
被包装物3は、本体部31によって構成された半球状の部分と、蓋部32によって構成された円柱状の部分と、を有する形状とされている。半球状の本体部31の下端が台材1の底部13に対向しており、筒状フィルム2のうち本体部31の下端を覆う部分が、一方の接合部4によって台材1の底部13に接合されている。本体部31のy方向下端には、被包装物3を起立させるための底面が設けられている。また、円柱状の蓋部32のうちz方向における後方端が台材1の起立部12と対向しており、筒状フィルム2のうち蓋部32の後方端を覆う部分が、他方の接合部4によって台材1の起立部12に接合されている。本実施形態においても、2つの接合部4は、y方向またはx方向に長く延びる長矩形状であり、互いの幅が略同一である。
【0049】
図14によく表れているように、台材1のうち2つの接合部4の間に位置する部分には、折り曲げ部11のx方向中央付近の部分が含まれており、x方向視においてL字状である。一方、被包装物3のうち折り曲げ部11に臨む部分は、半球状とされた本体部31である。このため、台材1のうち2つの接合部4の間に位置する部分と、筒状フィルム2のうち被包装物3の半球状の部分である本体部31を覆う部分とによって、空隙部5が規定されている。この空隙部5も、2つの接合部4が離間する方向と直角であるx方向の両側に開口しているといえる。
【0050】
なお、直角に折り曲げられた折り曲げ部11は一例であり、折り曲げ角度は特に限定されず様々な角度に設定される。あるいは、折り曲げ部11は、円弧状の折り曲げ加工が施されたものであってもよい。また、半球状の部分を有する被包装物3は一例であり、全体が球状であってもよいし、たとえば下方の角部が曲面形状とされた構成であってもよい。折り曲げ部11の形状に被包装物3の形状が完全に一致することなく、被包装物3が折り曲げ部11から離間した関係であれば、空隙部5が形成されうる。
【0051】
筒状フィルム2は、熱収縮性一軸延伸フィルムであるものの、延伸方向Sが図示したようにx方向に対して直角な方向に設定されている。すなわち、本実施形態においては、延伸方向Sは、2つの接合部4が離間する方向とは明瞭には交差しておらず、互いが同一平面にほぼ含まれる関係となっている。これに対応して、筒状フィルム2の2つの端縁21は、被包装物3のx方向両側に位置している。
【0052】
次に、包装体A2の製造について、図15および図16を参照しつつ、以下に説明する。
【0053】
図15は、包装体A1の製造に用いられる包材の一例を示している。この包材B2は、台材1、加熱前の筒状フィルム2および2つの接合部4を有している。なお、本図においては、筒状フィルム2が図中前方にあり、台材1が図中後方にある。
【0054】
台材1は、矩形状であり、x方向に延びる折り曲げ予定線11Aが設定されている。折り曲げ予定線11Aは、上述した折り曲げ部11が形成されることが意図された線である。折り曲げ予定線11Aとしては、折り曲げ加工を容易とするためにミシン目や溝が設けられたものが採用できるが、折り曲げを容易とする加工が施されていない、いわば仮想的な線であってもよい。折り畳まれた状態の筒状フィルム2においては、延伸方向Sは、略y方向に沿っている。2つの端縁21は、x方向両端に設けられている。また、2つの接合部4はy方向に離間配置されており、延伸方向Sと2つの接合部4が離間する方向とが略一致している。
【0055】
包材B2を用いた包装体A2の製造においては、台材1を折り曲げ予定線11Aに沿って折り曲げることにより、図16に示すように、台材1全体をL字状とし、起立部12および底部13を形成する。そして、加熱前の筒状フィルム2を拡開させる。これにより、筒状フィルム2は、x方向両側に開口する格好となる。次いで、被包装物3を筒状フィルム2の内部空間にx方向片側から挿入する。この後は、上述したように、筒状フィルム2を熱収縮させることにより、筒状フィルム2を被包装物3に密着させる。この熱収縮により、台材1のうち2つの接合部4の間に位置する部分、すなわち折り曲げ部11の一部と筒状フィルム2のうち被包装物3の半球状の本体部31を覆う部分とに規定された空間が生じる。この空間が、空隙部5となる。以上の工程を経ることにより、包装体A2が得られる。
【0056】
このような実施形態によっても、台材1の不当な撓みを回避可能であり、包装体A2の見栄えを高めることができる。また、本体部31が半球状である被包装物3は、陳列棚などに単体で載置すると、傾いてしまうなど不安定になりやすい。包装体A2によれば、被包装物3が台材1の底部13によって支えられる格好となる。したがって、包装体A2を安定した状態で陳列することができる。
【0057】
図17および図18は、本発明の第三実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A3は、被包装物3が複数の個片30によって構成されている点が、上述した実施形態と異なっている。図17は、包装体A4を斜め上方から見た斜視図であり、図18は、図17のXVIII−XVIII線に沿うzx平面における断面図である。
【0058】
本実施形態においては、被包装物3は、互いに個別に形成された3つの個片30からなり、これらの3つの個片30が1つの筒状フィルム2に覆われている。各個片30は、特に限定されないが、y方向に延びる円柱状の本体部31とその上端に取り付けられた蓋部32を有しており、典型的な例としては美容に用いられる比較的小サイズの容器またはボトルが挙げられる。なお、個々の個片30自体には、上述したくびれ部33や凹部34は設けられていない。3つの個片30は、長手方向がy方向に沿った姿勢で、x方向に略密着する状態で並べられている。
【0059】
筒状フィルム2は、3つの個片30からなる被包装物3の略全体を密着状態で覆っている。筒状フィルム2の延伸方向Sは、x方向に対して直角であり、yz平面に含まれている。また、筒状フィルム2のx方向両端には、2つの端縁21が設けられており、端縁21から被包装物3の一部が露出している。本実施形態においては、筒状フィルム2は、被包装物3を構成する3つの個片30の表面の略全体に密着しているものの、図18に示すように、隣り合う個片30の間には介在していない。
【0060】
包装体A3は、図18によく表れているように、3つの接合部4と2つの空隙部5を有している。各接合部4は、各個片30の形状に対応してy方向に長く延びる帯状であり、z方向視において各個片30の本体31と重なっている。また、3つの接合部4は、x方向に離間して平行に配置されている。隣り合う2つの接合部4の間には、空隙部5が形成されている。すなわち、本実施形態における3つの個片30の形状および配置によると、隣り合う個片30のx方向両端部分が台材1から大きく離間していることにより、くびれ部33が形成される。このくびれ部33によって空隙部5が形成される。
【0061】
本実施形態から理解される通り、筒状フィルム2に複数の個片30からなる被包装物3が覆われる場合、個々の個片30がくびれ部33や凹部34を有さない場合であっても、個片30の個数や形状および配置に応じて2つ以上の接合部4を適切に配置することにより、くびれ部33あるいは凹部34が生じることとなり空隙部5が形成されうる。そして、その結果、台材1が不当に撓んでしまうことを回避することができる。
【0062】
本発明に係る包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0063】
A1〜A3 包装体
S 延伸方向
1 台材
11 折り曲げ部
12 起立部
13 底部
2 筒状フィルム
21 端縁
3 被包装物
30 個片
31 本体部
32 蓋部
33 くびれ部
34 凹部
35 膨出部
4 接合部
5 空隙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21