(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スライド要素(10)のための、特に戸板(11)を備えた引き戸のための案内装置(1)であって、該案内装置を使用して建物部分(90)の部屋開口部(9)が少なくともほぼ気密に密閉可能であり、縦軸(x)を備えた走行レール(4)を備え、及び、走行レール(4)に沿って案内される走行装置体(33)をそれぞれ備えた2つの走行装置(3A、3B)を備え、該走行装置体が結合装置(2)と接続されており、結合装置がスライド要素(10)と連結可能であるか又は連結されている案内装置において、
前記走行レール(4)が、少なくとも2つの、相前後して配置されたレールセグメント(4A、4B)を備え、前記レールセグメント(4A、4B)は、前記走行装置(3A、3B)を1つずつ保持しており、
前記レールセグメント(4A、4B)は、角部の一方の面にある第一滑走面(41)および角部の他方の面にある第二の滑走面(42)からなる角部を有し、前記第一滑走面(41)及び前記第二の滑走面(42)が平行に及び互いに傾斜して伸びており、
前記走行装置体(33)のそれぞれが、傾斜して互いに配列された少なくとも2つの第一の走行要素(31)及び少なくとも2つの第二の走行要素(32)を支え、前記第一の走行要素(31)及び前記第二の走行要素(32)はそれぞれ対応する第一又は第二の滑走面(41;42)上で支えられ、対応する前記第一又は第二の滑走面(41;42)の前記角部は、前記第一の走行要素(31)及び前記第二の走行要素(32)の間で前記走行装置(3A、3B)の下に保持されており、
前記第一及び第二の滑走面(41;42)の少なくとも1つは、該滑走面から少なくとも1つの、縦軸(x)に対して平行に伸びる第一の滑走面セクション(411;421)及び縦軸(x)に対して傾斜して伸びる第二の滑走面セクション(412;422)を備え、該滑走面セクションに沿って前記走行装置(3)が終端位置に移動可能であり、
前記走行装置体(33)のそれぞれは、前記結合装置(2)を回転可能に保持する連結部(25)を備え、
前記結合装置(2)は接続要素(23)を保持し、前記走行装置(3A、3B)の下において、前記接続要素(23)に前記スライド要素(10)が取り付けられていることを特徴とする、案内装置(1)。
前記走行装置体(33)が、第一のローラーチャンネル(310)を備え、該第一のローラーチャンネル内で1つ又は2つの第一の走行要素(31)が保持され、及び第二のローラーチャンネル(320)を備え、該第二のローラーチャンネル内で1つ又は2つの第二の走行要素(32)が保持されていることを特徴とする、請求項2に記載の案内装置(1)。
前記第一及び第二の走行要素(31、32)が走行ローラーであり、前記第一の走行ローラー(31)が第一の滑走面(41)に平行に配向され及び該第一の滑走面に当接し、第一のシャフト(331)によって保持されており、該第一のシャフトが前記走行装置体(33)又は前記第一のローラーチャンネル(310)に保持されており、及び第二の走行ローラー(32)が第二の滑走面(42)に平行に配向され、第二のシャフト(332)によって保持されており、該走行装置体(33)又は前記第二のローラーチャンネル(320)内に保持されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の案内装置(1)。
前記第一及び第二の滑走面(41、42)が、建物天井に配向され、及び第一の滑走面(41)が垂直線(s)に対して角度をもって配向され、該角度が22.5°〜90°の範囲にあるか、又は前記第一及び第二の滑走面(41、42)が少なくともほぼ90°の角度をなすことを特徴とする、請求項6に記載の案内装置(1)。
前記走行レール(4)又は前記レールセグメント(4A、4B)が、前記走行装置(3A、3B)のそれぞれに1つの共通第一の滑走面(41A、41B)と、それぞれ1つの別々の第二の滑走面(42A、42B)とを備え、該第二の滑走面が相前後して又は相並んで配置されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の案内装置(1)。
前記走行レール(4)の向かい側にある方の前記スライド要素(10)側に案内レール(6)が備えられており、該スライド要素が少なくとも1つの前記スライド要素(10)と接続している案内走行装置(5、5A、5B)をスライド可能に保持しており、前記走行レール(4)の第一の滑走面セクション(411;421)に対して平行に伸びる第一の案内セグメント(61)と、前記走行レール(4)の第二の滑走面セクション(412;422)に対して少なくともほぼ平行に伸びる第二の案内セグメント(62)とを備えていることを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の案内装置(1)。
前記スライド要素(10)の前記部屋開口部(9)の方を向いた前面(111)又は前記部屋開口部(9)の前記縁(91、93)が、少なくとも部分的にシール(12)を備えており、該シールが前記スライド要素(10)の閉鎖位置において、前記スライド要素(10)と前記部屋開口部(9)の前記縁(91)又は止めバー(93)との間に保持されることを特徴とする、請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の案内装置(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、スライド要素のための、特に引き戸のための改良された案内装置を提示することである。特にスライド要素のための案内装置が作られなければならず、これを使って開口部が気密に、特に遮音して密閉可能である。さらに、そのような案内装置のために走行装置及び走行レールが提示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
案内装置は、スライド要素、特に戸板を備えた引き戸の案内のために用いられ、それを使って建物部分の部屋開口部を使用して少なくともほぼ気密に密閉可能であり、縦軸を備えた走行レールと、及び少なくとも1つの、走行レールに沿って案内される走行装置とを含み、この走行装置は結合装置と結合された走行装置体を備え、この結合装置はスライド要素と結合可能か又は結合されている。
【0007】
好ましくは、木製、ガラス製、プラスチック製又はメタル製の戸板を備えたスライド要素が2つの走行装置に保持されている。走行装置をスライド要素に結合するために、戸板に適合された取付金具が使用される。
【0008】
本発明により、走行レールは第一及び第二の滑走面を備え、この滑走面は互いに平行に傾斜して伸びている。走行装置体は、互いに傾斜して配列された第一及び第二の走行要素を支持し、この走行要素はそれぞれ対応する第一又は第二の滑走面上で支えられており、滑走面から少なくとも1つの、縦軸に対して平行に伸びる第一の滑走面セクション及び縦軸に対して傾斜して伸びる第二の滑走面セクションを備え、これに沿って走行装置が終端位置まで移動可能である。
【0009】
このようにして、走行装置の構造が簡単であることにより、これがこの走行レールの縦軸に沿って、及び端領域の少なくとも1つがこれに対して傾斜して、つまり特に部屋開口部に向かって走行し得ることが保証される。ここで走行要素は各位置で走行レールに沿って常に最適に滑走面に当接する。走行レールの対応する傾きによって、第一の走行要素が分離要素の荷重の相当な部分を支え、その一方で第二の走行要素がスライド要素の側方案内を担い、荷重のわずかな部分のみを支持することが企図し得る。走行レールの傾きは、基本的に自由に選択可能である。好ましくはそれぞれ上方を向いた第一及び第二の滑走面は、約+45°もしくは−45°垂直線もしくは引き戸の平面に対して傾斜し、その際、水平方向又は垂直方向の引き戸の動揺をそれに応じて高める又は低めるために、−25°〜+45°の範囲の修正角度を加算することができる。
【0010】
好ましくは対になって備えられている第一及び第二の走行要素は、好ましくはローラー、車輪、滑走要素又は磁石要素である。有利には異なった走行技術の組み合わせも使用されうる。例えば第一の走行要素のために、特に低騒音の磁石走行技術又は滑走技術が使用され、他方で第二の走行要素のためにローラー又は車輪が使用される。走行レールの滑走面に当接している、互いに向き合った走行要素の滑走面は、その際同じく走行レールの滑走面と同じ傾斜角度を備え、好ましくは0.5cm〜3cmの間隔を空けて隣り合い、それによって走行装置のコンパクトな構造が可能になる。
【0011】
第一の好ましい実施形態では、走行装置はしたがって線には沿っておらず、走行レールの第一の滑走面によって定義された平面に案内される。走行装置がこの平面で進む経路は、第二の滑走面によって定義され、第二の滑走面はゲートパスの一種であり、2つの相対して傾斜した滑走面セクションを備えている。走行装置がその上を走行する平面は、したがって走行レールの傾きによって、もしくは滑走面セクションを1つだけ備えた第一の滑走面によって定義される。走行装置がこの平面内で進む経路からの動揺は、第二の滑走面のコース又は滑走面セクションのコースによって決められる。
【0012】
発明による案内装置を使用し、引き戸を線状だけでなく選択的に側方及び垂直にスライドすることが可能となる。引き戸がスライド中に第二の滑走面セクションに沿って側方にスライドされる量、及び引き戸がスライド中に第二の滑走面セクションに沿って又は第二の滑走面セクションに垂直にスライドされる量は、したがって走行レール及び滑走面セクションの傾きを選ぶことで調整し得る。この設定は工場側で定義されても設置側で実施されてもよい。走行装置が備えられている経路を妨げられずに進むことができるよう、走行装置の本体と引き戸との間の接続部は少なくとも1つの連結部を備えている。したがって走行装置は傾斜又は回転することができるが、引き戸の方向は変わらずそのままである。
【0013】
2つの走行装置が同じ運動を好ましくは共同の平面内の共同の第一滑走面で、実行可能であるよう、2つの走行装置は同じ第二の滑走面、場合によって同じレールセグメントを備え、これらのレールセグメントは同時に通過される。そのため、両方の走行装置に吊された引き戸は、走行装置の動揺の際に部屋開口部に平行にスライドされる。好ましくは対応する案内要素が引き戸の下側に備えられており、これら案内要素は記述された閉プロセスを支援する。
【0014】
したがって引き戸は選択的に線に沿って及び次に側方に、部屋開口部に向かってスライドされ、部屋開口部を気密に密閉するために下へおろされる。第二の滑走面は、水平の第一の滑走面セクションと、斜めに下へ向かって伸びる第二の滑走面セクションを備えたゲートパスを形成し、この滑走面セクションは属している走行装置によってスライド要素が閉じる際に通過される。
【0015】
別の一実施形態では、2つの滑走面は第二の滑走面セクションを備え、この第二の滑走面セクションは走行レールの縦軸に対して傾斜して伸びている。その場合は、走行装置はもはや平面内ではなく、2つの第二の滑走面セクションに沿って終端位置に走行する。このようにしてスライド要素が終端位置に送られる進路の選択に追加の自由度がもたらされる。例えば走行装置は垂直の移動が行なわれなくとも側方へ走行可能である。しかしこの場合も、スライド要素が終端位置への走行時に持上げられるか又は下へおろされることは可能である。
【0016】
その際引き戸が壁との距離だけ、又はフロアとの距離だけ完全に隙間を埋められ、そのため終端位置では壁に又はフロアに当接することが企図され得る。したがって案内装置は、設置側で又は工場側で、引き戸が終端位置で、壁のところで又は部屋開口部を区切っているフレームのところで、所望の位置に及び/又はフロアに当接するように調整されうる。
【0017】
別の好ましい実施形態では、走行レール又はレールセグメントの一方の又は他方の端部が追加の第二の滑走面セクションを備え得る。第二の滑走面セクションは、カーブ形状を備え得る。
【0018】
各レールセグメントの第一及び第二の滑走面の傾斜、及び第二の滑走面セクションの第一の滑走面セクションに対する傾斜は、スライド要素が、第二の滑走面セクションの長さに一致する閉じ区間の中で、引き戸の前面と部屋開口部のフレームとの間の距離、及び引き戸の下側とフロアとの間の距離を通過するように選択される。
【0019】
こうして、発明による案内装置を使用して、部屋開口部をすべての側で気密に密閉することができる。シーリングが別の媒体に関して最適に行なわれ、及び引き戸のぶつかりが防止されるよう、引き戸は、部屋開口部の方を向いた前面又はそれに一致する部屋開口部のフレームのところに好ましくはシールを備えている。このシールは引き戸もしくは戸板の縁に沿って伸び、フロアに対してシーリングが所望される場合は好ましくは戸板の下側に突出している。シールは好ましくは一体的に伸び、戸板の周辺に沿って閉じている。別法として、いくつかのシール要素から構成することも可能である。シールは好ましくは弾性のある要素から構成され、これら要素は圧縮可能な中空体、好ましくはベローズの形状である。弾性のあるシールスリップを備えたシールのような、任意の別のシールも使用され得る。
【0020】
さらに、シールが戸板の少なくとも1つの側だけに、例えば下側及び/又は上側だけに取り付けられることが可能である。別法としてシール又はシール要素を戸板ではなく、建物側に取り付けることも可能である。
【0021】
走行装置はさらに電動化が可能であり、その結果引き戸が自動的に移動可能であり、シールへの接触圧力を高めるためにより大きな力でエンドストッパーまで走行可能である。
【0022】
走行レールは一体的に製造しても、又はレールセグメントに分割されてもよく、これらは互いに接合して前後するか又は隣り合って取り付けられる。レールセグメントの長さは、走行装置がレールセグメントに沿って移動する時に、部屋開口部が保持された引き戸によって完全に開かれるか、又は完全に閉じられるように寸法決めされる。走行レールは例えば2つのレールセグメントに分割されてよく、現場で好ましくは複数の同じ部品から構成される取付異形材を使用して設置され得る。したがって案内装置は工場側でわずかな必要スペースで個々の部品を包装し、設置側で組立、構成することができる。第二の滑走面が走行レール内で相前後して配置されている場合は、走行装置は属している第二の滑走面の中でだけ動き、隣接する第二の滑走面の範囲には到達しない。しかし走行レールはそれぞれ設置された走行装置のために第二の滑走面を備え得、この第二の滑走面は互いに重なっている。複数の第二の滑走面は好ましくは相並んで配置されている。同様にレールセグメントも相並んで配置され得る。第二のローラーを備えた各走行装置が重なり合う第二の滑走面を走行可能になるよう、第二のローラーは対応する間隔を置いて取り付けられる。好ましくは第二のシャフトは対応する長さを備え、この長さによって、第二のローラーが少なくとも第一の又は第二の位置で割り当てられた第二の滑走面の上に保持され得る。
【0023】
場合によってレールセグメントから構成される走行レールはスライド要素の上方又はスライド要素の下方に配置されてよく、その際滑走面はいずれにしても上を向いている。走行レールがスライド要素の上方に配置される場合、スライド要素は1つ又は好ましくは2つの走行装置に吊されている。走行レールがスライド要素の下方に配置される場合、スライド要素は走行レールによって支えられる。
【0024】
2つの滑走面を備えた走行レールを使用するにもかかわらず、本発明では走行装置はコンパクトに構成され、少なくとも1つの第一のシャフトが少なくとも1つの第一の走行要素の支承のために、及び少なくとも1つの第二のシャフトが少なくとも1つの第二の走行要素の支承のために、備えられている。
【0025】
走行装置は好ましくは2つの互いに傾斜した走行装置チャンネルもしくはローラーチャンネルを備え、その中で走行要素又は走行ローラーは走行レールの滑走面の方を向き、面又は線でそれに当接するように保持される。
【0026】
走行装置チャンネルは、好ましくは2つの互いに接続されたUプロフィールを形成し、それらのそれぞれ向かい合った側は互いに接続され、及び好ましくは走行装置ブロックの一部である。しかしまた走行要素はそれに対応して形成された走行装置ブロックのみに保持され得る。
【0027】
走行装置をスライド要素と接続するために結合装置が備えられ、この結合装置は走行装置体、例えばチャンネル壁又は走行装置ブロックと結合されている。スライド要素が走行レールに吊されている場合には、結合装置は走行装置に下側の範囲に伸びる。スライド要素が走行レールによって支えられる場合には、結合装置は走行装置の上方に保持される。
【0028】
走行装置体が走行装置ブロックを組む場合には、これは有利には本体ボアが備えられ、これら本体ボアは第一及び第二のシャフトの保持部として機能する。シャフトは好ましくはそれぞれ1つのフランジヘッド及びステムを備え、フランジヘッドが属している本体ボアに接続しているカラーに当接するまで本体ボア内に差し込まれ得る。シャフトのステムは、したがって走行装置ブロックから突き出て、走行要素又はローラーを備え得る。
【0029】
走行装置が妨げられることなく走行レールに沿って走行し得るよう、走行装置体及びスライド要素、好ましくは走行装置体及び結合装置は、少なくとも1つの連結部によって互いに接続している。したがって走行装置は、第一の滑走面によって定義された平面を通って又は2つの滑走面セクションに沿って、妨げられることなく回転し得る。
【0030】
さらに結合装置は好ましくは結合要素を備え、この結合要素はスライド要素を垂直にローラー対の上方又は下方、又は好ましくはローラー対の間で保持される。このようにして、スライド要素の荷重が均一に2つのローラー対に分配され、障害となるトルクを回避して走行レールに移転される。
【0031】
連結部は、走行装置ブロック内で好ましくは第二のシャフトに平行に配列されたブッシュボアを備えることで、特に有利に実現される。このブッシュボア内にジョイントブッシュが差し込まれ、このジョイントブッシュはフランジリングを含み、このフランジリングはブッシュボアに接続しているカラーにより保持される。好ましい一実施形態では、ブッシュパイプがさらに第二のローラーチャンネルを通り抜け、第二の本体ウィングのウィングボアの終端で保持される。フランジヘッドを備えた、及び結合要素と接続されたジョイントピンはしたがってジョイントブッシュ内で回転可能に設置され得る。走行装置体はしたがって妨げられることなく結合要素に相対して回転可能である。この連結部の実施形態が必要とするスペースはわずかであり、特に簡単に実現可能である。しかし、結合装置及び連結部の他の実施形態は同様に可能である。
【0032】
スライド要素は、走行レールと向かい合っている側に、下側もしくは上側に、好ましくは同様に案内要素を備え、これを使って引き戸を閉プロセスでも常に部屋開口部に平行に保持し、その結果引き戸は各縁セクションに同じ押圧力で部屋開口部に対して挿入され、その結果引き戸及び壁に備えられたシールが均等に圧縮され得る。そのために、引き戸の該当する側に、又はフロア内に通された案内レールが備えられ、この案内レールは傾斜したセクションを備え、このセクションは走行レールの滑走面セクションに一致する。案内レール内には案内要素がかみ合い、好ましくは調節可能な案内走行装置の案内ローラーが、引き戸が案内レールのコースに沿ってスライドされることを保証する。必要な場合、例えば案内要素の垂直移動を備えたさらなる調整手段が備えられ得る。
【0033】
別の好ましい一実施形態では、第一の走行装置又はエンドストッパーに減衰装置が備えられ、この減衰装置は、引き戸が好ましくは重力の助けを受けて自動的に終端位置に走行することを保証する。第二の滑走面セクションの傾斜により、高価な送り装置を使用することなく自動閉プロセスが行なわれる。減衰装置は好ましくは油圧ダンパーを備えている。さらに有利にはバネ要素を備え得、このバネ要素は動作機構的な及び潜在的なエネルギーを継承し、このエネルギーが引き戸を走行時に終端位置へ送る。減衰装置はまた走行レール内に取付けられ得る。本発明による解決法は、減衰装置内に蓄積されたエネルギーの支援が存在する場合、最小量の力の使用で引き戸が手動で又はモーター駆動で操作可能である。
【0034】
以下では、本発明を図を使用して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】シール要素12を備えた引き戸10を使用して、部屋開口部9が開き、気密に密閉することが可能であるようにスライド可能である、本発明による案内装置1の図である。
【
図2】終端位置にある引き戸10を備え、この終端位置では部屋開口部9が気密に密閉される、
図1の案内装置1の図である。
【
図3】
図1の、部屋開口部9の方を向いた引き戸10の前面3の図である。
【
図4】引き戸が結合装置2を介して回転可能に発明による走行装置3の本体33に結合され、この走行装置が2つの垂直に互いに配列されたローラー対31又は32を含んでいる、
図3の引き戸10の図である。
【
図5a】第一のローラー対31のための第一の滑走面41を備えた、走行レール4又は走行レール4のセグメント、及びそれに対して垂直配列された第二のローラー対32のための、2つの互いに傾斜した滑走面セクション421、422を備えた、第二の滑走面42の
図4の走行装置3の図である。
【
図5b】第一のローラー対31のための第一の滑走面41を備えた、走行レール4又は走行レール4のセグメント、及びそれに対して垂直配列された第二のローラー対32のための、2つの互いに傾斜した滑走面セクション421、422を備えた、第二の滑走面42の
図4の走行装置3の図である。
【
図5c】第一のローラー対31のための第一の滑走面41を備えた、走行レール4又は走行レール4のセグメント、及びそれに対して垂直配列された第二のローラー対32のための、2つの互いに傾斜した滑走面セクション421、422を備えた、第二の滑走面42の
図4の走行装置3の図である。
【
図6】
図5aに従った2つの走行装置3A、3Bが、それぞれ前後して配置された走行レール4のレールセグメント4A;4Bが
図5aに従って案内されている、本発明による案内装置1の図である。
【
図7】相並んで及び互いにずらして配置された第二の滑走面42A、42B又はレールセグメント4A;4Bを備えた走行レール4の
図5aに従った図である。
【
図8】取付異形材7によって保持され、その上に本発明による走行装置3が案内されている、走行レール4を備えた、本発明による案内装置1の図である。
【
図9】互いに分離されている、
図4の走行装置3及び結合装置2の図である。
【
図10a】さまざまな表示方法による
図4の走行装置3の本体33と、その中に挿入された、結合装置2及びローラー対31、32のシャフト311、321の要素251、252の図である。
【
図10b】さまざまな表示方法による
図4の走行装置3の本体33と、その中に挿入された、結合装置2及びローラー対31、32のシャフト311、321の要素251、252の図である。
【
図10c】さまざまな表示方法による
図4の走行装置3の本体33と、その中に挿入された、結合装置2及びローラー対31、32のシャフト311、321の要素251、252の図である。
【
図11】案内レール6を備え、この案内レール内に第一の固定した案内走行装置5Aが恒久的にはまり込み、案内フォーク65を備え、この案内フォークに引き戸10が終端位置に達するとすぐに第二の固定した案内走行装置5Bがはまり込み得る、
図1の引き戸10の下側の図である。
【
図11a】その中にはまり込んだ固定した第一の案内走行装置5Aを備えた、
図11の案内レール6の図である。
【
図11b】第二の案内走行装置5Bが到達する前の、
図11の案内フォーク65の図である。
【
図11d】
図1の引き戸10のシール要素12のセグメント120の図である。
【
図12】発明による走行装置3と接続された減衰装置8の図である。
【
図13a】さまざまな角度位置にある本発明による走行レール4と、さまざまに形成された走行装置体33、330を備えた、走行レールに取り付けられた走行装置3の図である。
【
図13b】さまざまな角度位置にある本発明による走行レール4と、さまざまに形成された走行装置体33、330を備えた、走行レールに取り付けられた走行装置3の図である。
【
図13c】さまざまな角度位置にある本発明による走行レール4と、さまざまに形成された走行装置体33、330を備えた、走行レールに取り付けられた走行装置3の図である。
【
図14a】別の好ましい一実施形態において、走行レール4の上方に案内されたスライド要素10の役割を果たす、本発明による走行レール4及び本発明による走行装置3の図である。
【
図14b】別の好ましい一実施形態において、走行レール4の上方に案内されたスライド要素10の役割を果たす、本発明による走行レール4及び本発明による走行装置3の図である。
【
図15】結合装置2を備え、これを使用して走行装置3が取付金具21と接続され、この取付金具が戸板11を保持する、
図14aの走行装置3の図である。
【
図16】下方をフロアチャンネル920内に配置された走行レール4で支持されるか又は上方を天井チャンネル910内に配置された走行レール4に吊された、壁開口部9の閉鎖のために機能し、及び案内装置1によって保持される引き戸10の図である。
【
図17】
図16のフロアチャンネル920内で取付異形材7内に保持されている走行レール4を備えた、
図16の案内装置1の図である。
【
図19a】2つのレールセグメント4A、4Bを備え、その上に走行装置3A、3Bが案内され、この走行装置が結合装置2を介して取付金具枠縁21と接続され、この取付 金具枠縁内に戸板11が保持される、
図17の走行レール4の図である。
【
図19b】2つのレールセグメント4A、4Bを備え、その上に走行装置3A、3Bが案内され、この走行装置が結合装置2を介して取付金具枠縁21と接続され、この取付金具枠縁内に戸板11が保持される、
図17の走行レール4の図である。
【
図20】2つの滑走面41、42を備え、それぞれ1つの、縦軸xに対して平行に伸びる第一の滑走面セクション411、421とそれぞれ1つの縦軸xに対して傾斜して伸びる第二の滑走面セクション412、422を備えた、
図17の走行レール4の図である。
【
図21】2つのレールセグメント4A、4Bを備え、その上に走行装置3A、3Bが案内され、及び
図17の取付異形材7に案内され、フロアチャンネル920の閉鎖のために機能する閉鎖カート900を備えた
図17の走行レール4の図である。
【
図22a】案内走行装置5A、5B内に案内され、この案内走行装置が戸板11と接続されている取付金具枠縁51に取り付けられている、
図16の天井チャンネル910内で取付異形材60内に保持される
図11の案内レール6の図である。
【
図22b】案内走行装置5A、5B内に案内され、この案内走行装置が戸板11と接続されている取付金具枠縁51に取り付けられている、
図16の天井チャンネル910内で取付異形材60内に保持される
図11の案内レール6の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明による案内装置1の第一の一実施形態の図であり、部分的に開いた引き戸10が、走行装置3を使って走行レール4に沿って案内され、この走行レールが取付異形材7を使用して建物壁91に取り付けられている。引き戸10を使用して、部屋開口部9を開くか気密に密閉することができる。そのために、部屋開口部9が
図2に示されたように完全にカバーされるまで、引き戸10が前方へスライドされ得る。閉プロセスでは、終端セクションで区間Sxcに沿って、引き戸10が部屋開口部9の前で平行に(矢印A参照)、1つの区間Syにわたって部屋開口部9(矢印B)に向かって、及び区間Szにわたってフロア92に向かって案内される。したがってこの引き戸10により、部屋開口部9の縁111が最小距離で覆われ、そのためにすでにこの引き戸10の位置決めで部屋開口部9の良好なシーリングがもたらされる。
【0037】
シーリングをさらに良好にするため、部屋開口部9の方を向いた前面111のところで引き戸10は周囲に、好ましくは戸板11の縁に接続されたシール12を備え、このシールは好ましくは自己完結した長方形を形成している。したがって閉位置では、シール12の第一の上部分121は部屋開口部9のフレーム911に向かって案内される。引き戸10の下側ではシール12の第二の下部分122が戸板11と重なり、引き戸10を閉じた後にフロア92に当接する。別法としてシールの要素は、部屋開口部9のフレーム911に、及びフロア92に取付けられ得る。
【0038】
図3は、引き戸10の前面111を示しており、取付要素123を使用して固定されたシール12が前面に備えられている(
図11も参照)。シール12は引き戸内の保持溝又は建物壁91内の保持溝に、又は部屋開口部9に隣接するフレーム93に埋め込み可能である。
【0039】
シール12は、好ましくは押し出し成形プラスチック異形材であり、例えば自己完結したホースであり、少なくとも1つのシール室を備えている。好ましい一実施形態におけるシール12のセクション120は、
図11dに示されている。この実施形態では、シール12は建物壁91のうちの1つの方を向いた第一のシール室1210及びフロア92の方を向いた第二のシール室1220を備えている。シール室は容易に圧縮可能であり、その結果シール12は引き戸10を閉じた後で平らに部屋開口部9のフレーム911に、又はフロア92に当接する。
【0040】
図18aの実施形態では、シール又はシールループが完全に引き戸10の前面に配置され、部屋開口部9の縁と反対に配向されている。フロアとシール12の接触が回避される。したがってこの実施形態では、引き戸はさらに小さい力の使用で操作可能である。
【0041】
したがって引き戸10の閉状態では、部屋開口部9は気密に密閉され、そのために最適な隔離が結果として生じる。閉じられた部屋は音、臭気、気流などの外乱から最適に保護される。
【0042】
図1の実施形態では、引き戸10は走行レール4に吊されている。
図17は引き戸10が有利には走行レール4上でも支えられ得ることを示している。走行要素と案内要素は、引き戸10の下側及び上側に備えられており、そのために動作機構的逆戻りの原理に従って、互いに機能的に交換可能である。
【0043】
図4は、
図3の引き戸10を示しており、この引き戸は結合装置2を介して回転可能に、発明による走行装置3の本体33と接続され、この走行装置は2つの互いに垂直に配列されるか、又は下側に互いに傾斜したローラー対31又は32を含む。結合装置2は、場合によってねじ山を備えた結合部品もしくは連結シャフト23を含み、この結合部品は取付ブロック22内に保持される。取付ブロック22は、Uプロフィール形状であり、固定リブを備えた取付金具21に固定され、この取付金具はくぼみ13内で木製の戸板11の上端にネジ留めされている。この取付金具技術は、単に例として示されている。ガラス板用には、有利には特許文献2で公知の解決法を使用し得る。本実施形態では、結合部品23は結合要素24によって保持され、この結合要素はそれ自身で連結部25によって走行装置3の本体33と接続されている。
【0044】
図5a、
図5b及び5cは、本発明による、
図4の、走行レール4又は走行レールの4セグメントを備えた走行装置3を示しており、この走行レールは引き戸10の上側に取り付けられている。走行レール4は、斜め上に向いており、第一のローラー対31のための第一の滑走面41と、第二のローラー対32のための、これに対して垂直に配列された第二の滑走面42とを備えている。第二の滑走面42は、2つの互いに傾斜した滑走面セクション421、422を含み、これらは互いに接続されている。
図20には、好ましい実施形態において、2つの滑走面41及び42もそれぞれ2つの互いに傾斜した滑走面セクション411、412及び421、422を備え、それによって走行レール4の縦軸xに対して傾斜した走行装置3のスライドを、これを垂直にスライドすることなく実行可能であることが示されている。
【0045】
示された実施形態では、2つの、上方に配列された第一及び第二の滑走面41及び42は角度90°をなし、垂直線に対して約+45°もしくは−45°傾斜している。
図5aに示されたようにローラー対31、32はそれに一致する傾斜を備えている。さらに走行装置3がさらに修正角度kw分傾斜され得、好ましくは+25°〜−22.5°の範囲にあることが示される。加えて、修正角度kwを45°に高めることが可能であり、その結果第一の案内要素が荷重を支え、第二の案内要素が側方案内の役割を果たす。走行装置3及び走行レール4の対応する傾斜により、引き戸4の側方及び垂直方向の動揺量が定められ得、さらに第二の滑走面42のコースに、特に第二の滑走面セクション422の傾斜に依存している(
図13a、13b及び13cの実施形態も参照)。
【0046】
図5bは、斜線で示されている第一の滑走面41を備えた走行レール4を示しており、その上で第一のローラー対31が転がる。第一の滑走面41は平面にあり、そのために走行装置3は常にこの平面に従う。
図5bはさらに2つの滑走面セクション421、422を備えた第二の滑走面42を示している。第二の滑走面セクション422は、走行レール4の一部を第一の滑走面41に対して垂直に削り取るという簡単な方法で備え得る。
【0047】
走行レール4を設置するために、これは取付ねじを取り付けるための取付ボア431を具備した取付プレート43を備えている。
図8に示されたように、取付ねじを使用して、取付プレート43を取付異形材7の異形材要素71と接続される。取付異形材7は、好ましくは複数の同一仕様の異形材セグメント7A、7B、…から構成されており、それゆえに設置場所でも組立てることができる。取付異形材7を建物壁91に取り付けるために、取付開口部72が備えられ、これを通ってネジが挿入される。走行レール4は、例えば接着又は鋳込みなど、他の接続技術を使用して取り付け可能である。
【0048】
走行レール4の設置後、第一の滑走面41及び第二の滑走面42の第一の滑走面セクション421は、少なくともほぼ水平に伸びているため、走行装置3は、第一の滑走面セクション421に沿ってスライドする際に水平に配向された線で行なわれる。第一の滑走面セクション421から第二の滑走面セクション422への移行時、走行装置3はダンパー要素80を備えた前面と共に下へ傾いて回る。この回転は、妨げられることなく実行され得る。なぜなら走行装置体33は連結部25を介して結合装置2と、又は角度のある形状の結合要素24と接続しているからである。走行装置3は、これによって妨げられることなく回転し、及び第一の滑走面41によって定義された平面内で新しい線に従う。第二の滑走面セクション422が、上方へ傾斜して設置された走行レール4のくさび形に下へ向かって細くなっている部分に一致しているため、走行装置3は側方下側に、それゆえに部屋開口部9及びフロア92に向かって走る。
【0049】
図5cは、
図5bの走行装置3及び走行レール4を第二の滑走面42の視点から示しており、第二の滑走面の上には滑走面セクション421、422が異なった斜線部で示されている。
【0050】
図6は、
図5bに従った、2つの走行装置3A、3Bと、走行レール4の2つの相前後して近接して接続したレールセグメント4A、4Bを示している。前側の走行装置3Aでは、結合要素24を備えた結合装置2が示されている。第二の走行装置3Bでは、結合要素24が取り外されている。走行装置3A、3B及びレールセグメント4A、4Bは、同一仕様に形成され、別々に納入し設置することができる。走行装置3A、3Bの間の距離は、好ましくは互いに近接して接続しているレールセグメント4A、4Bの長さに相当し、走行装置3A、3Bが常に同じ位置で属しているレールセグメント4A、4B内にあり、それゆえに同期して動くように選択される。引き戸10のエンドストッパーは、走行装置3A、3Bがそれらに割り当てられているレールセグメント4A、4B上のみ行き来できるように配置されている。
【0051】
引き戸10の走行経路を任意に延長できるよう、
図7に示された走行レール4は各走行装置3A、3Bに1つの第二の滑走面42A、42Bが相並んで備えられている。走行装置3A、3Bの第二の走行要素32A、32Bは、それゆえに互いにずらして配置されており、属している滑走面42A又は42B上で支持されている。
図13Bに示された、相応に形成された走行装置3は、その第二のローラー対32が延長されたシャフト321‘に沿って選択的に外側又は内側の滑走面42A、42Bにスライドされ得る。相応に形成された走行レール4は、一体的に製造可能であり、又は複数の要素から構成され得る。特に走行レール4のこの実施形態では、第二の滑走面42A、42Bが傾斜した複数の第二の滑走面セクション422A、422Bを備えている。特に2つのレール終端に、傾斜した第二の滑走面セクション422A、422Bが備えられ得る。これによって、引き戸10を使用して、それぞれ2つの部屋開口部9のうちの1つを密閉することが可能である。
【0052】
図8には、特に好ましい実施形態における、取付異形材7と接続された走行レール4が示されている。示された実施形態では、2つの異形材要素4又は7は比較的単純になる。取付異形材7及び走行レール4はしかし、相互に入り込んで一体化され、その結果取付異形材7が走行レール4を一体的に含んでいる。そのために、例えば示された取付フランジ71は、すでに2つの上方に配向され及び傾斜した面を備えており、必要な場合は、例えば2つの示された走行レール4の2つの滑走面41、42の断面線まで伸ばされる。
【0053】
図9は、走行装置3とそこから外された結合装置2が示されている。走行装置3の本体33からジョイントブッシュ251内に回転可能に支承されている、場合によって中空シャフトであるジョイントピン252が、突き出ており(
図10c参照)、ジョイントピンが結合要素24内の取付ボア241に一致していることが示されている。したがってジョイントピン252と不動に接続された結合要素24は、走行装置3に対して回転可能に保持される。
【0054】
図9及び
図9aには、結合要素24内にスライドヘッド26がスライド可能に支承されていることが示されている。スライドヘッド26のねじ付きロッド261と接続しているスクリューナット27を回転させることで、スライドヘッド26を前後にスライドすることができる。ねじ付きロッド261は結合要素24の開口部を通って案内される。スライドヘッド26内にはさらにねじ山ボア262が備えられ、その中に取付ブロック22に固定された接続要素23が回転可能に保持されている(
図4も参照)。スライドヘッド26のスライドにより、及び接続要素23の回転により、スライド要素10は前後及び上下にスライドされ得る。
【0055】
図10a、
図10b及び
図10cは、
図4の走行装置3の好ましく形成された本体33を異なった表示で示しており(背面から)、その中に結合装置2の要素251、252及びローラー対31、32を支えるために備えられているシャフト311、321が挿入されている。このシャフトは、それぞれ1つのフランジヘッド3111;3211及びステム3112;3212を備えている。左右対称の走行装置体33は、走行装置ブロック333を含み、第一及び第二のシャフト311、321を保持するための本体ボア3331、3332を備えており、このシャフトは本体ボア3331、3332内に差し込まれる。そのフランジヘッド3111;3211が、属している本体ボア3331;3332へ接続しているカラー33310;33320によって保持される(
図10c参照)。
【0056】
同様にして、第二のシャフト321に平行に伸びているブッシュボア3333が備えられ、このブッシュボアは下側がカラー33330によって区切られている。したがってフランジリング2511を備えたジョイントブッシュ251は、ブッシュボア3333を通って、フランジリング2511がブッシュボア3333のカラー33330に当接するまで案内される。これは
図10aに断面図として示されている。
【0057】
これが
図10bに示されているように、ローラー対31、32のシャフト311、321及びジョイントブッシュ251はしたがって走行装置ブロック333を通って取付け位置にスライドされ、それによって簡単な方法で取り付けられる。これにより、走行装置3の製造が格段に単純化され、走行装置3がコンパクトに構成されると同時に、ボアが備えられることによる走行装置ブロック333の脆弱化の影響はなくなる。
図10bには、追加的に、しかも軸方向に伸びている、ダンパー要素8、80の保持部の役割を果たすボア3334を備え得ることが示されている。
【0058】
図13bに示されているように、走行装置体33は走行装置ブロック333のみから構成され得る。反対に、
図10a、
図10b及び
図10cの好ましい実施形態では、走行装置ブロック333の両側に第一及び第二の本体ウィング331;332が成形されている。第一の本体ウィング331はまず第一の本体ボア3331に、もしくは第一のシャフト311に平行に伸び、次にそれに垂直に伸び、その結果第一のローラーチャンネル310が形成される。第一のシャフト311は、第一のローラーチャンネル310を垂直に貫通し、終端で第一の本体ウィング331内にあるウィングボア3311で支承されている。第二の本体ウィング332は、まず第二の本体ボア3332又は第二のシャフト321に平行に伸び、次にそれに垂直に伸び、その結果第二のローラーチャンネル320が形成される。第二のシャフト321は、第二のローラーチャンネル320を垂直に貫通し、終端で第二の本体ウィング332内にあるウィングボア3322で支承されている。第二の本体ウィング332はさらに別のウィングボア3323を備えており、ジョイントブッシュ251の追加保持部として機能する。したがって2つのウィング要素331及び332は、直角のアングルピースを形成し、シャフト及び連結部要素がより確実に支承されるよう機能する。同時にローラー対31、32は属しているローラーチャンネル310;320に支持される。
【0059】
図10cには、さらにフランジヘッド2521を備えたジョイントピン252が示され、これはジョイントブッシュ251内に回転可能に支承されている。
【0060】
走行レール4及びそれによって案内される走行装置3を使用して、引き戸10は前述の実施形態では上側が案内される。しかし、これによって戸板11の前面111に備えられたシール12は、引き戸10を閉じた後で上側だけでなく、範囲全体にわたって均一に、部屋開口部9の縁に押し付けられ、好ましくは下側にも案内要素、つまり案内レール6及び好ましくは案内フォーク65が備えられており、フロア92側の案内ローラー55内に固定的に取り付けられている案内走行装置5A、5Bにはまり込む。案内レール6は、保持溝16内で引き戸10の下側を通っている。案内フォーク65は、同様に保持溝16内、すなわち閉じ方向終端に配置されている。
【0061】
図11aに背面から示された案内レール6は、戸板11に平行に伸びている第一の案内セグメント61と、それに対して傾斜して伸びている第二の案内セグメント62を備えており、その長さは、第二の滑走面42の第二の滑走面セクション422の長さ、ひいては閉じ区間Sxcの長さと一致している。これによって案内ローラー55と共に案内レール6にはまり込んだ第一の案内走行装置5Aは第二の案内セグメント62に到達し、その間に、走行レール4によって案内される第二の走行装置3Bが第二の滑走面セクション422に到達する。続いて引き戸10の上側及び下側は部屋開口部9と反対に均一に案内される。同時に第二の案内走行装置5Bは
図11bに示された案内フォーク65にはまり込み、この案内フォークは案内チャンネル652とそれに接続する案内枠縁651、653を備えている。案内枠縁651、653は、異なった厚みを備えているため、第二の案内走行装置5Bは案内ローラー55の進入後、より厚い案内枠縁651の傾斜部を走行レール4によって案内された第一の走行装置3Aと共に、引き戸10の前面を部屋開口部9に向かって、もしくは建物壁91に向かって案内する。
【0062】
上述の装置部分は、動作機構的に逆戻りによっても機能的に交換可能である。例えば案内レール6と案内フォーク65はフロア92でも固定的に取り付けられるか又はその中に通されることが可能であり、案内走行装置5A、5Bのような案内要素は、引き戸10の下側に取り付けられる。同様にシールは戸板にではなく壁に固定され得る。例えばシール12の部分121がドア開口部9のフレーム911に、及びシール12の残りの部分122が引き戸10の下側に取り付けられる。
【0063】
図11cには、調整可能な案内走行装置5が断面図で示されている。案内走行装置5は工具チャンネル511を備えた筐体51を含む。さらに筐体内にはねじ付インサート52が差し込まれており、その中にはねじ山部分531が、偏心に保持されているベアリングシャフト53と共にねじ込まれており、ベアリングシャフトのもう一方の側では案内ローラー55を支える。ねじ山部分531を回すことで、ベアリングシャフト53が円に沿ってスライドされる。ベアリングシャフト53は工具チャンネル511内に案内された工具によって回すことが可能になるよう、ねじ山部分531はリングギヤ532を備え、その歯切り部は工具チャンネル511の方を向いており、工具によって捕捉され回され得る。
【0064】
図11dは、冒頭で言及された2つのシール室1210、1220を備えたシール要素を示している。
【0065】
図12は、発明による走行装置3と接続された減衰装置8を示し、これを使って引き戸10の走行が閉じ範囲で減衰され、その潜在的エネルギー及び/又は運動エネルギーがバネ要素に保存され得る。減衰装置8は、走行装置体33内のくぼみに保持され、エンドストッパーに対して配向されている。
【0066】
図12aには、減衰装置8の個別部品、つまりダンパーシリンダー812内に保持されたロッドプランジャー811を備えた油圧ダンパー81、バネ要素82、中空円筒プランジャー85、及びロッドプランジャー811と中空円筒プランジャー85に取り付け可能な、プラスチック又はゴム製のダンパー要素80が示されている。ダンパー要素80がエンドストッパーに突き当たるとすぐに、ロッドプランジャー811と中空円筒プランジャー85が操作され、それによってダンパーシリンダー812がその効果を発揮してバネ要素82がピンと張られる。バネ要素82内に蓄積されたエネルギーは、引き戸10が開く時に放出され、その結果閉じ区間Sxcの乗り越えには引き戸10を開く際に実際上力が使われる必要がない。
【0067】
図13a、13b及び13cでは、本発明による走行レール4が異なった傾斜位置で示されており、その上に載せられた走行装置3は異なって形成された走行装置体33、330を備えている。
図13bの走行装置3の走行装置体330は、本体ウィングを備えておらず、実際上走行装置ブロック333からのみ形成されている。さらにこの走行装置3は、延長された第二のシャフト321‘を備え、これに沿ってその第二のローラー対32が内側へ又は外側へ1つの位置にスライドされることができ、この位置では走行装置3に割り当てられた第二の滑走面42に触れることができる。
【0068】
冒頭に記述されたように、横方向及び垂直方向の走行装置3の動揺の量は、走行レールの傾き4によって調節され得る。
図13aに示された傾斜では、走行装置3の垂直方向の動揺はより強く、横方向の動揺はより低減される。
図13cに示された傾斜では、走行装置3の横方向の動揺はより強く、垂直方向の動揺はより低減される。
図13bに示された走行装置3の傾斜では、横方向と垂直方向の動揺はほぼ同じである。
【0069】
図14a及び
図14bでは、2つの上方を向いた、90°互いに傾斜した滑走面41、42を備えた、フロアに取り付けられた好ましく形成された走行レール4が示され、この滑走面はそれぞれ2つの互いに傾斜した滑走面セクション411、412;421、422を備えている。走行装置3は第一の滑走面セクション411、412に沿って、走行レール4の縦軸x対して平行に、前方へ、第二の滑走面セクション412、422まで、及び次に第二の滑走面セクション412、422に沿って縦軸xに対して傾斜して、部屋開口部と反対にずらされ得る。この実施形態では、走行装置3が第二の滑走面セクション412、422に沿って任意の正又は負の勾配で部屋開口部に向かって走行することが可能である。
【0070】
図14aでは、走行装置3は、第一の滑走面セクション411、421の初端にある。
図14bでは、走行装置3は部屋開口部と逆に置かれ、第二の滑走面セクション412、422の末端にある。
【0071】
図15は、
図14aの走行装置3を示しており、これは結合装置2によって枠縁形状の取付金具21と接続可能である。この好ましい実施形態では、走行装置3は2つの互いに接続されたUプロフィールを備え、これらはそれぞれ1つのローラーチャンネル310、320を囲んでいる。第一のローラーチャンネル310には、2つの第一の走行ローラーが、第二のローラーチャンネル320内には2つの第二の走行ローラーが保持されている。走行装置体33はジョイントピン242を備え、このジョイントピンは結合要素24内の取付開口部241に保持される。結合要素24と走行装置3は、やはり回転可能に互いに接続されている。結合要素24の他の側面にはスリーブ形状の接続要素23を保持するためのボアが備えられている。接続要素23は、一方で結合要素24内に、及び他方で枠縁形状の取付金具21のボア210内に、固定されるか又は回転可能に保持され、この取付金具は戸板11を保持するよう機能している。したがって走行装置3はやはり回転可能に、引き戸10に対して支承され、必要な運動を走行レール4に沿って実行可能である。
【0072】
図16は、壁開口部9の閉鎖を行ない、及び発明による案内装置1によって保持される引き戸10が示され、この引き戸は下側をフロアチャンネル920に配置されている走行レール4によって支えられているか、又は上側を天井チャンネル910に配置されている走行レール4によって吊されている。
図16には、案内装置1の要素、走行レール4及び案内レール6が交換可能であり、及び有利にはフロアチャンネル920内及び天井チャンネル910内に取り付け可能であることが描かれている。同じくフロアチャンネル920内及び天井チャンネル910内には別の分離要素90A、90B、好ましくはガラス板が、はめ込まれ、これが部屋開口部9の側方を区切っている。引き戸10を備えた閉鎖システム全体が特に上品に仕上げられ得ることが明かである。発明による走行レール4を用いて、引き戸10が正確に分離要素90A、90Bの間に進入することができ、その結果引き戸10が分離要素90A、90Bと共に1つの平らな隔壁を形成する。案内装置1のこの実施形態では、フロアチャンネル920内及び天井チャンネル910内に保持された装置部分により、及びフロアチャンネル920内及び天井チャンネル910内に突き出た戸板11により、さらなる利点がもたらされる。部屋開口部9は最適に閉じされ密閉される。フロアに対するシーリング及び上に向かって天井に対するシーリングはもはや不要である。なぜならシーリングが引き戸10の前面で部屋開口部9の縁91、93に対して十分役割を果たしているからである。これにより、1つだけシール平面がもたらされ、その利点は、引き戸10の操作のために最小の操作力だけしか必要のないことである。
【0073】
図17は、
図16の案内装置1を示しており、これには
図16のフロアチャンネル920内で、取付異形材7によって保持された走行レール4が備えられている。さらに、同様に取付異形材7内にシール要素94を使用して保持された分離要素90Aが見て取れる。フロアチャンネル920は、カバー要素921、922によって覆われ、ただ引き戸10の走行路だけが覆われていない。
図21では、引き戸10が側方に走行した場合に、この走行路が閉鎖カート900によって密閉され得ることが示されている。
図17にはさらに止めバー93が示され、これは分離要素90A、90Bの間に保持されている。
【0074】
図18a及び
図18bは、
図17のフロアチャンネル920を前面及び背面から示している。
図18aは、走行レール4の第一のレールセグメント4Aを示しており、これは取付異形材7内に保持され、及び第一の走行装置3Bを支えている。さらに、取付異形材7がレール要素75、76を備え、その上に閉鎖カート900が載っていることが示されている。
図18bは、走行レール4第二のレールセグメント4Bを示しており、これは取付異形材7内に保持され、及び第二の走行装置3Bを支えている。さらに閉鎖カート900が示されており、これは車輪901、902と共にレール要素75、76上を転がる。閉鎖カート900は、カバープレート905を備え、引き戸10が側方へスライドされた後で、これを使用してフロア内の開口部が密閉される。
【0075】
図19a及び
図19bは、
図17の走行レール4を示しており、2つのレールセグメント4A、4Bを備え、その上に走行装置3A、3Bが案内されている。走行装置3A、3Bは、結合装置2を介して取付金具枠縁21と接続され、その中で戸板11が保持されている。戸板11の下側は、細長い形状のシール要素12は、シールスリップを備え、このシールスリップは閉プロセスの際に
図17に示された止めバー93に向かって案内される。
【0076】
図20は、
図17の走行レール4又はレールセグメント4を示しており、これは2つの滑走面41、42を備えており、これら滑走面はそれぞれ1つの、縦軸xに平行に伸びる第一の滑走面セクション411、421及びそれぞれ1つの、縦軸xに対して傾斜して伸びる第二の滑走面セクション412、422を含む。
【0077】
図20は、さらに走行装置3を示しており、これはただ1つの第一の走行要素又は第一の走行ローラー31及びただ1つの第二の走行要素又は1つの第二の走行ローラー32を備えている。したがって本発明による走行装置3、3A、3Bは、本発明による案内装置1のすべての記述された実施形態において、ただ1つの第一の及びただ1つの第二の走行要素31又は32を備えていてもよい。
【0078】
図21は、
図17の走行レール4を示しており、2つのレールセグメント4A、4Bを備え、その上に走行装置3A、3Bが案内されている。さらに
図18a及び
図18bの閉鎖カート900が示されており、この閉鎖カートは取付異形材7の上で案内されている。この閉鎖カート900は、カバープレート905を備えており、引き戸10が側方にスライドされると、部屋開口部9の前にスライドされる。引き戸10がスライドされた後に生じるフロア内の開口部は、したがって閉鎖カート900のカバープレート905によって閉じられる。
【0079】
走行レール4がフロアに取り付けられている場合、案内レール6は天井に、好ましくは天井チャンネル910内に配置されている。
図22a及び
図22bに示された実施形態では、フレーム異形材60が備えられ、これは案内レール6を保持するために用いられ、この案内レールは2つの互いに傾斜した案内セグメント61、62を備えている。案内レール6は、案内走行装置5A、5Bのローラーを案内し、この案内走行装置は戸板11の上端に取り付けられた取付金具枠縁510と接続されている。引き戸10の閉鎖位置では、第一の案内走行装置5Aが第二の案内セグメント62を通って、及び第二の案内走行装置5Bが止めバー93に取り付けられた案内フォーク65を通って部屋開口部9に向かって案内される。その際取付金具枠縁510と接続され及び部屋開口部9の方を向いたシール12がシールスリップを備え、止めバー93に向かって案内される。シール12は、止めバー93にも固定されてよく、それは天井チャンネル910内に配置されている場合に隠されたままとなる。