(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268478
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】消防システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20180122BHJP
A62C 37/00 20060101ALI20180122BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20180122BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
G06Q50/26
A62C37/00
H04M11/04
G08B27/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-61380(P2014-61380)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-184963(P2015-184963A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】久津間 啓右
(72)【発明者】
【氏名】定別當 勇
【審査官】
山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−153911(JP,A)
【文献】
特開平09−035168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
A62C 37/00
G08B 27/00
H04M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急通報を受付けて、前記緊急通報の内容に合わせて作成した出動指令を消防車両に送信する消防システムであって、
緊急通報で受付けた火災現場の位置を含む火災情報が入力される入力手段と、
消防車両の現在位置と動態の情報を含む消防車両情報を記憶している消防車両管理手段と、
消防水利の位置情報を記憶する消防水利管理手段と、
前記入力手段で入力された火災情報と前記消防車両管理手段が記憶している前記消防車両情報を基に、出動する消防車両を選択する隊編成作成手段と、
前記隊編成作成手段で選択された消防車両を前記火災現場に近い順に整列させ、また、前記火災現場の付近にある消防水利を前記消防水利管理手段より取得し、取得した消防水利を前記火災現場に近い順に整列させる整列手段と、
前記隊編成作成手段で選択された消防車両に対し、前記整列手段で整列された同消防車両の前記火災現場に近い順と同じ順に火災現場に近い消防水利を目的地に設定するよう指示する目的地指示手段と、を備えることを特徴とする消防システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防車両が使用する消火栓である消防水利を最適に割り当てる消防システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防システムは、火災などに関する緊急通報を受付けた後、通報内容に合わせて作成した出動事案により、各署所の消防車両などに対して出動指令を行う。出動指令を受け取った消防車両は火災現場に向けて出動する。火災現場に到着した消防車両の隊員は、火災現場の付近にある消火栓などの消防水利から水を取得して消火活動を行う。
【0003】
消火活動は一刻も早く行われる必要があるため、火災現場の付近にある消防水利が使用される。特に、火災現場に最初に到着した消防車両は火災現場に一番近い消防水利を使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、火災現場に二番目以降に到着した消防車両は、火災現場に一番近い消防水利以外の消防水利を選択する必要があった。そのため、火災現場に到着した消防車両同士が同じ消防水利を選択し使用しようとした場合、どちらか一方の消防車両は消防水利を使用できないため、新たに消防水利を選択し直す必要があり、消火活動に遅れが生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、消防車両の火災現場に近い順に応じて、消防水利を火災現場に近い順に割り当てることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の消防システムは、緊急通報を受付けて、緊急通報の内容に合わせて作成した出動指令を消防車両に送信する消防システムであって、緊急通報で受付けた火災現場の位置を含む火災情報が入力される入力手段と、消防車両の現在位置と動態の情報を含む消防車両情報を記憶している消防車両管理手段と、消防水利の位置情報を記憶する消防水利管理手段と、入力手段で入力された火災情報と消防車両管理手段が記憶している消防車両情報を基に、出動する消防車両を選択する隊編成作成手段と、隊編成作成手段で選択された消防車両を火災現場に近い順に整列させ、また、火災現場の付近にある消防水利を消防水利管理手段より取得し、取得した消防水利を火災現場に近い順に整列させる整列手段と、隊編成作成手段で選択された消防車両に対し、整列手段で整列された消防車両の火災現場に近い順と同じ順に火災現場に近い消防水利を目的地に設定するよう指示する目的地指示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の消防システムによれば、消防車両の火災現場に近い順に応じて、火災現場に近い順に消防水利を割り当てることができるので、消防車両の隊員は消防水利を選択する必要が無くなり、また、他の消防車両が選択した消防水利と同じ消防水利を選択するおそれも無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明にかかる消防システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明にかかる消防システムのフローチャート図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかる消防システム内で表示される画面を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明にかかる目的地指示部が受信するデータを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる消防システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明による構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0010】
本発明にかかる消防システム100の構成について
図1のシステム構成図を基に説明する。消防システム100は、緊急通報者から聞き取った緊急通報の内容を消防署の職員が消防システム100に入力するための入力手段である入力部101と、入力された緊急通報の内容に基づいて出動する消防車両を選択する隊編成作成手段である隊編成作成部102と、入力された緊急通報の内容に基づいて出動事案を作成する事案作成手段である事案作成部103と、消防水利の位置情報を記憶する消防水利管理手段である消防水利管理部104と、使用する消防水利を検索する消防水利検索部105と、消防車両の現在位置や動態などの情報を含む消防車両情報を記憶する消防車両管理手段である消防車両管理部106と、消防車両の位置情報および消防水利の位置情報より其々の二点間の経路を検索して検索した経路の距離を算出する経路検索部107と、算出された複数の距離を順に整列させる整列手段である整列部108と、消防車両が最初に向かう目的地となる消防水利を設定する目的地指示手段である目的地指示部109と、消防車両に情報を送信する送受信部110と、上記の各構成を制御する制御部111と、を備えている。
【0011】
消防車両200は、消防システム100から送信された情報を受信する送受信部201と、送受信部201で受信した火災現場の位置情報に基づいて火災現場までの経路を検索する車両経路検索部202と、車両経路検索部202の検索結果を表示する表示部203と、上記の各構成を制御する制御部204と、を備えている。
【0012】
次に、消防システム100の各構成について説明する。
入力部101は、通報者と対話する消防署の職員が対話の中で取得した緊急通報の内容である火災情報を消防システム100に入力するためのものである。本発明の入力部101は、例えば、タッチパネルやマウス、キーボードなどである。
【0013】
隊編成作成部102は、入力部101より入力された火災情報(火災現場の位置や、火災の規模など)と、後述する消防車両管理部106に記憶されている消防車両の現在位置や動態などの消防車両情報を基に出動する消防車両200を選択する出動隊編成を行うものである。出動隊編成を行う際、隊編成作成部102は消防車両管理部106から消防車両情報を取得する。取得した消防車両情報を基に、隊編成作成部102は出動可能な消防車両の中から車種や火災現場までの距離などを考慮して出動する消防車両を選択し、出動隊編成を行う。
【0014】
事案作成部103は、入力部101より入力された火災情報と、隊編成作成部102が行なった隊編成に基づいて出動事案を作成するものである。事案作成部103が作成する出動事案には、火災現場の位置や、火災を示す災害種別や、出動する消防車両の車両番号などのデータが含まれている。
【0015】
消防水利管理部104は、消防車両が火災鎮圧のために用いる消火栓である消防水利が設置されている位置の情報を記憶するものである。
【0016】
消防水利検索部105は、消防水利管理部104より消防水利が設置されている位置の情報を取得し、入力部101より入力された火災現場の付近に設置されている消防水利を検索するものである。
【0017】
消防車両管理部106は、消防署が管理する消防車両の活動状況を管理するものであり、具体的には消防車両の現在位置や、出動中や待機中などの活動状態を示す動態などの消防車両情報を記憶している。
【0018】
経路検索部107は、制御部111が送信した二点の位置情報を基に、二点間の経路を検索し、検索した結果の経路の距離を算出し、算出した結果を整列部108に送信するものである。なお、本実施例では距離を算出しているが、本発明はこれに限定したものではなく、消防車両が目的地に到着する時刻である到着予想時刻を算出しても良い。
【0019】
整列部108は、経路検索部107が算出した複数の距離を受信し、受信した複数の距離を順に整列するものである。例えば、短い順に整列する。なお、本実施例では距離の短い順に整列しているが、本発明はこれに限定したものではなく、経路検索部107から受信した情報が到着予想時刻であった場合は、到着予想時刻が早い順に整列しても良い。また、経路検索部107から受信した距離に同じ距離の消防車両があった場合、消防車両に予め付けられている優先順位を参考に優先順位が高い消防車両を先に整列しても良い。さらに、経路検索部107から受信した距離に同じ距離の消防水利があった場合、消防水利に付与されている水利番号を参考に水利番号が小さい消防水利を先に整列しても良い。
【0020】
目的地指示部109は、隊編成作成部102で選択された消防車両200が使用する消防水利を割り当て、消防車両200に割り当てた消防水利の位置を知らせるものである。
【0021】
送受信部110は、消防システム100が各消防車両200に情報を送信する、または、消防車両200から消防システム100へ送信された情報を受信するためのものである。
【0022】
制御部111は、上記の各部の制御および情報の相互伝達を行うものである。本発明の消防システム100の所定の機能を総合的に制御するためのソフトウェアを記憶したHDDのような記憶媒体や、そのソフトウェアによる処理を実行するためのCPUやマイコンなどの処理装置を備え、これと接続された消防システム100内の各部の制御を行っている。
【0023】
本発明の消防システム100は、以上の各構成を備えている。以下に、本発明の消防システム100が緊急通報を受付けて、最初に向かう目的地となる消防水利の位置を消防車両200に送信するまでの手順について、
図2のフローチャート図を基に説明する。
図3は本実施例の消防システム100内で表示される画面を示したものであり、
図4は目的地指示部109が受信するデータを示した図である。
【0024】
本発明の消防システム100は、消防署の職員が緊急通報を受付ける(S101)。通報者からヒアリングした火災現場301の位置などの火災情報を、消防署の職員が入力部101を用いて消防システム100に入力する(S102)。隊編成作成部102は、入力部101により入力された火災現場301の位置と消防車両管理部106に記憶されている消防車両の動態や現在位置などの消防車両情報を基に、出動する消防車両を選択し出動隊編成を行う(S103)。次に、事案作成部103は入力部101より入力された火災情報と隊編成作成部102で作成された出動隊編成に基づいて出動事案を作成する(S104)。制御部111は作成された出動事案を事案作成部103より取得し、送受信部110を介して隊編成作成部102で選択された消防車両200に送信する(S105)。
【0025】
出動事案を送信した後、制御部111は隊編成作成部102により選択された消防車両の現在位置などの消防車両情報を消防車両管理部106より取得すると共に、入力部101より入力された火災現場301の位置などの火災情報を取得し、経路検索部107に送信する。経路検索部107は、受信した消防車両の現在位置から火災現場301までの経路を検索し、検索によって得られた経路の距離を算出し(S106)、算出した距離を整列部108に送信する。整列部108は受信した距離を、
図4(a)に示すように短い順に「車両B、車両A、車両D、車両C」と整列し(S107)、整列した結果を経路検索部107および制御部111を介して目的地指示部109に送信する。
【0026】
次に、制御部111は入力部101より入力された火災現場301の位置などの火災情報を消防水利検索部105に送信する。消防水利検索部105は受信した火災現場301付近に設置されている消防水利を消防水利管理部104より取得し(S108)、取得した消防水利(302a、302b、302c、302d)の位置と火災現場301の位置を経路検索部107に送信する。経路検索部107は受信した消防水利(302a、302b、302c、302d)の位置から火災現場301の位置までの距離を算出し(S109)、算出した距離を整列部108に送信する。整列部108は受信した距離を、
図4(b)に示すように短い順に「水利302b、水利302a、水利302c、水利302d」と整列し(S110)、経路検索部107および制御部111を介して目的地指示部109に送信する。
【0027】
目的地指示部109は、受信した消防車両の短い順と消防水利の短い順を基に、同じ順の消防車両と消防水利を、「車両Bと水利302b」、「車両Aと水利302a」、「車両Dと水利302c」、「車両Cと水利302d」のように関連づける(S111)。目的地指示部109は送受信部110を介して消防車両200に、関連づけた消防水利を目的地に設定するよう送信する(S112)。
【0028】
消防車両の送受信部201は、制御部204を介して受信した消防水利の情報を車両経路検索部202に送信する。車両経路検索部202は受信した消防水利の位置までの経路を検索し、検索した結果を表示部203に送信する。表示203部は受信した検索結果の経路を表示する。また、受信した消防水利以外の消防水利を表示部203に表示させないことで、消防隊員が目的地の消防水利に迷わずに向かうことができる。なお、車両経路検索部202は、消防システム100内にある経路検索部107と同じ算出方法で経路検索を行っているので、経路検索部107で得られた経路と同じ経路を算出する。
【0029】
以上より、本実施例の消防システム100では、火災現場までの距離が近い順で火災現場までの距離が近い消防水利を割当てているため、火災現場に最初に到着予定の消防車両が消火活動を早く行うことができる。また、二番目以降に到着した消防車両が火災現場に到着した後に使用する消防水利を選択することなく、最適な消防水利を割当てることが出来る。
【符号の説明】
【0030】
100 防災無線システム
101 入力部
102 隊編成作成部
103 事案作成部
104 消防水利管理部
105 消防水利検索部
106 消防車両管理部
107 経路検索部
108 整列部
109 目的地指示部
110 送受信部
111 制御部
200 消防車両
201 送受信部
202 車両経路検索部
203 表示部
204 制御部