特許第6268499号(P6268499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268499
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】ガス充填装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20180122BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   F17C13/02 301Z
   F17C13/00 301C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-207084(P2015-207084)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2017-78473(P2017-78473A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】大滝 勉
(72)【発明者】
【氏名】津村 泰行
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 敦史
(72)【発明者】
【氏名】木村 潔
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】布施 高之
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−109350(JP,A)
【文献】 特開2014−119103(JP,A)
【文献】 特表2010−520977(JP,A)
【文献】 特開2006−226511(JP,A)
【文献】 特開平10−009493(JP,A)
【文献】 特開2014−227917(JP,A)
【文献】 特開2014−192046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの供給源から該ガスの流量を計測しながらガス搬送管を介して前記ガスを搬送する充填機構と、
該ガス搬送管に接続される充填ホースと、
該充填ホースの先端に設けられ、車載タンクの識別子から該車載タンクの製造日を読み取るタンク検出部を有する充填ノズルと、
前記車載タンクの充填口に前記充填ノズルが装着されたことを検出して検出信号を出力する装着センサとを備え、
前記充填機構は、前記タンク検出部が読み取った車載タンクの製造日に基づいて該車載タンクが有効期限内であると判定され、かつ前記装着センサからの前記検出信号が入力された後、前記車載タンクへの充填が可能となることを特徴とするガス充填装置。
【請求項2】
前記車載タンク内の圧力を測定する圧力計と、
該ガス充填装置周りの外気温を測定する温度計と、
前記車載タンクへのガスの充填前に、前記車載タンクの容量と、前記測定された車載タンク内の圧力及び前記外気温とに基づいて、満充填終了時又はプリセット充填終了時における前記車載タンク内の圧力を算出する目標圧力算出手段とを備え、
前記充填機構は、該目標圧力に達した際に前記車載タンクへの前記ガスの搬送を停止することを特徴とする請求項1に記載のガス充填装置。
【請求項3】
前記車載タンクへのガスの充填前に、前記充填機構によって搬送される前記ガスの流量に基づいて前記目標圧力に達する時間を算出する手段と、
前記車載タンクへのガスの充填前に、該目標圧力に達する時間を報知する報知手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載のガス充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CNG、水素ガス等を燃料とするCNG自動車、燃料電池自動車、水素自動車等の車載タンクにガスを充填するガス充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題に対応する車輌として、CNG(Compressed Natural Gas)、水素等のガス燃料を用いたCNG自動車、燃料電池自動車、水素自動車等の開発が活発に行われている。このようなガス燃料を用いて走行する車輌の普及を促進するには、車輌に搭載されている車載タンクに安定して効率よくガス燃料を充填する装置が必要となる。そこで、本出願人は、特許文献1に車輌に搭載された車載タンクに効率的にガス燃料を充填するためのガス充填装置を提案した。
【0003】
特に最近では、燃料電池車に水素を供給するための水素ステーションの普及に向け、省令や保安規則を改正してセルフ充填式のガス充填装置の利用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−109350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セルフ式のガソリンステーションに比べて水素ステーションでは、充填ノズルが車輌の充填口に連結されるため水素ガスの流れが見えない。また、充填ノズルと充填口が確実に連結されていないと、水素ガスの圧力によって充填ノズルが充填口から勢いよく外れて顧客に怪我を負わせたり、充填ノズルから漏れ出したガス燃料による火災や爆発等の災害が発生する虞もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、操作性及び安全性に優れたガス充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、ガス充填装置であって、ガスの供給源から該ガスの流量を計測しながらガス搬送管を介して前記ガスを搬送する充填機構と、該ガス搬送管に接続される充填ホースと、該充填ホースの先端に設けられ、車載タンクの識別子から該車載タンクの製造日を読み取るタンク検出部を有する充填ノズルと、前記車載タンクの充填口に前記充填ノズルが装着されたことを検出して検出信号を出力する装着センサとを備え、前記充填機構は、前記タンク検出部が読み取った車載タンクの製造日に基づいて該車載タンクが有効期限内であると判定され、かつ前記装着センサからの前記検出信号が入力された後、前記車載タンクへの充填が可能となることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、装着センサによって、車載タンクの充填口に充填ノズルが装着されたことを検出しないとガスの充填を行うことができないため、充填ノズルが車載タンクの充填口から外れたり、外れた状態でガスの充填が続行されることがなくなり、安全性を向上させることができる。
【0009】
上記ガス充填装置において、前記車載タンク内の圧力を測定する圧力計と、該ガス充填装置周りの外気温を測定する温度計と、前記車載タンクへのガスの充填前に、前記車載タンクの容量と、前記測定された車載タンク内の圧力及び前記外気温とに基づいて、満充填終了時又はプリセット充填終了時における前記車載タンク内の圧力を算出する目標圧力算出手段とを備え、前記充填機構は、該目標圧力に達した際に前記車載タンクへの前記ガスの搬送を停止することができる。これにより、車載タンクへのガスの充填量が不足したり、過剰となることを防止でき、ガスの充填量を適切に維持することができる。
【0010】
また、上記ガス充填装置は、前記車載タンクへのガスの充填前に、前記充填機構によって搬送される前記ガスの流量に基づいて前記目標圧力に達する時間を算出する手段と、前記車載タンクへのガスの充填前に、該目標圧力に達する時間を報知する報知手段とを備えることができる。充填時には車載タンクの充填口を充填ノズルが完全に塞ぐため、顧客は目視によって充填が終了したか否かを確認することができないが、これによって、事前に、又はガスの充填が終了した際に迅速に顧客に知らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、操作性及び安全性に優れたガス充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るガス充填装置を適用可能なガス充填システムについて説明するための概略図である。
図2】本発明に係るガス充填装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
図3】本発明に係るガス充填装置の充填ノズルと車載タンクの充填口とを示す概略図であって、(a)は充填ノズルの装着前、(b)は装着後である。
図4図2に示す制御装置の構成を説明するための概略図である。
図5】本発明に係るガス充填装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明に係るガス充填装置が水素ガス充填装置であって、水素ガス自動車に水素ガスを充填する場合を例にとって説明する。
【0014】
まず、本発明に係るガス充填装置を適用可能なガス充填システムについて、図1を参照しながら説明する。このガス充填システム1は、トラック6に積載されたカードル7に充填された水素ガスHを、圧縮機4、蓄圧機5及びガス充填装置2を介して冷却しながら車輌に搭載された車載タンク(不図示)に充填するために設けられる。尚、カードル7に充填された水素ガスHは、蓄圧機5を介さずに、圧縮機4から直接ガス充填装置2へ供給される場合もある。ガス充填装置2には、水素ガスHを冷却するための冷媒冷却装置3が接続される。
【0015】
また、このガス充填システム1には、集中制御盤8が設けられ、集中制御盤8は、各部に設けられた温度計81、82や圧力計83、ガス検知器12、18、37、84、火炎検知器87等からの検出結果に基づき各部の動作を制御する。
【0016】
さらに、ガス充填装置2に接続された給油所用販売装置(以下「POS」という。)91と、POS91とガス充填装置2との間に充填作業の安全を確認して充填許可を出力するセルフサービスコンソール(以下「SSC」という。)92が設けられる。
【0017】
図2は、本発明に係るガス充填装置の一実施の形態を示し、このガス充填装置2は、本体ユニット10と、ホースユニット30とからなり、本体ユニット10には、冷媒搬送管9A及び9Bを介して冷媒冷却装置3が接続される。
【0018】
本体ユニット10は、ガス供給源としての蓄圧機5から水素ガスHの流量を計測しながら水素ガスHを搬送する充填機構及びガス搬送管43を冷却するガス管路冷却部11を有する充填部10aと、充填部10aの天井部等に載置され、水素ガスHの充填量等を表示する表示部10bとで構成される。
【0019】
充填部10aは、ガス漏れを検知するガス検知器12と、ガス管路冷却部11、ガス搬送管43及び44を流れる蓄圧機5からの水素ガスHの流量を調整する流量調整弁13と、水素ガスHを遮断する遮断弁14と、水素ガスHの充填終了後にガス搬送管44内の圧力を下げるための脱圧弁15と、水素ガスHの流量を計測する流量計16等を備える。
【0020】
ガス管路冷却部11は、冷媒冷却装置3から冷媒搬送管9A及び9Bを介して供給された冷媒によってガス搬送管43を流れる水素ガスHを冷却する。冷媒としては、液体窒素、フロン、二酸化炭素等を使用することができ、この冷媒を冷媒冷却装置3で冷却して循環使用する。また、ガス管路冷却部11の底面には断熱材45が設けられる。
【0021】
ガス搬送管44は、遮断弁14より下流側(後述する充填ホース31が接続される側)において、ガス搬送管44A及び44Bに分岐する。ガス搬送管44Aは、ガス管路冷却部11で冷却された水素ガスHを水素ガス自動車(以下「自動車」という。)の車載タンクへ充填するための配管である。ガス搬送管44Bは、水素ガスHの充填終了後に、ガス搬送管44A内の水素ガスHを外部へ放出するための配管であり、脱圧弁15が設けられる。
【0022】
脱圧弁15は、自動車の車載タンクへの水素ガスHの充填終了後に、ガス搬送管44内の圧力を下げるための弁であり、後述する制御に基づき開閉する。脱圧弁15が開くと、ガス搬送管44A内の水素ガスHがガス搬送管44Bを介して放散管へ放出され、ガス搬送管44A内の圧力が低下する。
【0023】
表示部10bは、ガス搬送管43及び44を流れる水素ガスHの流量(後述する充填ノズル32から自動車の車載タンクへのガス充填量)等を表示する表示器17と、ガス漏れを検知するガス検知器18と、充填完了時間や各種の不具合を報知するスピーカ19a及びランプ19bからなる報知器19と、顧客が充填エリアを離れないように監視するエリアセンサ20と、ガス充填装置2の近傍における人の存在を検出する人体センサ21と、プリセット充填量を入力するためのキーボード22と、キーボード22によって入力されたプリセット充填量を表示する情報表示部23と、装置全体を制御する制御装置24と、不活性ガス配管25とを備える。尚、制御装置24の構成については後述する。
【0024】
不活性ガス配管25は、表示部10b内に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを充填して表示部10b内の圧力を高めるために設けられる。これにより、ガス充填装置2内でガス漏れが生じた場合でも、表示部10b内に可燃性の水素ガスHが流入することを防止し、水素ガスHの引火による火災の発生を防止することができる。
【0025】
ホースユニット30は、充填部10a内のガス搬送管44Aに接続される充填ホース31と、充填ホース31の先端に備えられる充填ノズル32と、ノズル掛け33と、ノズル掛け33に設けられたノズルスイッチ34と、蓄圧機5からのガス搬送管43及び44の各々の内部の圧力を検出する圧力計35及び36と、ガス漏れを検知するガス検知器37と、充填ホース31の温度を検出する温度計38と、ガス搬送管44と充填ホース31とを接合する安全接手39と、自動車への水素ガスHの充填を開始するスタートスイッチ40と、水素ガスHの充填を緊急停止する緊急停止スイッチ41と、元弁42等を備える。
【0026】
充填ノズル32は、図3(a)に示すように、車載タンクの充填口51のタンク被検出部51aの充填ノズル32側に印字された識別子を読み取るタンク検出部32aと、ノズル装着被検出部32cの近接を検出する装着センサとしてのノズル装着検出部32bと、導電性カバー32d等を備える。導電性カバー32dは、充填ノズル32等に蓄積された静電気を充填ホース31、ホースユニット30のハウジング、設置アース(不図示)を介して除去する。
【0027】
充填口51のタンク被検出部51aの識別子には、車載タンクの製造日と容量が記憶され、例えばバーコードを用いて表現することができる。
【0028】
ノズル装着被検出部32cは、充填ノズル32の凹部32eに形成された孔部32f内を充填ノズル32の装着方向に摺動可能となるように充填ノズル32に取り付けられる。このノズル装着被検出部32cは、充填ノズル32の装着前において、図3(a)に示す位置となるようにばね(不図示)などによって付勢されている。
【0029】
充填ノズル32の充填口51への装着は、図3(b)に示すように、充填ノズル32の凹部32e内に充填口51の先端部51bを収容することで行われ、図示しない装着手段によって装着状態が維持される。この装着により、ノズル装着被検出部32cが孔部32fの奥まで移動し、ノズル装着検出部32bがその近接を検出することで、充填ノズル32の装着が検出される。尚、このノズル装着検出部32bは、近接センサ以外にも、充填ノズル32の充填口51への装着を検出する他のセンサや機構を用いることができる。
【0030】
制御装置24は、図4に示すように、カレンダー61と、判定手段62と、送受信手段63と、計数手段64と、表示器駆動手段65と、記憶手段66と、充填制御テーブル67と、計時手段68と、比較手段69と、スピーカ駆動手段70と、ランプ駆動手段71と、脱圧弁駆動手段72と、ゲイト73と、流量調整弁駆動手段74と、遮断弁駆動手段75とで構成される。尚、同図ではスイッチをSWと略記する。
【0031】
判定手段62は、タンク検出部32aから受信した車載タンクの製造日とカレンダー61とに基づいて、車載タンクの有効期限(製造日から約7年)が過ぎているか否かを判定する。有効期限が過ぎていない場合には(判定手段62でOK)、その旨を示す信号を送受信手段63へ送信する。一方、有効期限が過ぎている場合には(判定手段62でNO)、その旨を示す信号をスピーカ駆動手段70へ送信する。
【0032】
送受信手段63は、ガス充填装置2の内部における信号の送受信、及びガス充填装置2と他の装置との信号の送受信を行う。特に、タンク検出部32aから車載タンクが有効期限を過ぎていないことを示す信号、ノズル装着検出部32bから充填ノズル32が充填口51に装着されたことを示す信号(ノズル装着検出部32bからのOK)、及びノズルスイッチ34からのオン信号を受信した場合にSSC92へ充填許可要求を送信し、SSC92から受信した充填許可をゲイト73に送信する。
【0033】
計数手段64は、送受信手段63からリセット信号を受信した際に、カウントをリセットした後、流量計16の流量パルス発信器からの流量パルス信号をカウントし、表示器駆動手段65に対して帰零とカウント値の表示を要求する駆動信号を送信する。表示器駆動手段65は、駆動信号に基づいて表示器17や情報表示部23を駆動する。
【0034】
記憶手段66は、キーボード22、温度計38及び圧力計36から入力される数値や計測値を記憶する。充填制御テーブル67は、車載タンクの容量別に、充填前の車載タンク内の圧力と、外気温と、充填を終了すべき目標圧力との関係を蓄積したものであって、複数存在する。
【0035】
比較手段(目標圧力算出手段)69は、顧客がキーボード22を介して設定した充填を行うことができるか否かを、記憶手段66から入力される温度計38及び圧力計36の計測値と充填制御テーブル67とに基づいて確認し、充填可能な場合に送受信手段63に対して充填許可要求を送信する。また、この比較手段69は、上記温度計38及び圧力計36の計測値と充填制御テーブル67とに基づいて充填を終了すべき目標圧力及び充填時の流量を導出し、充填時において、圧力計36の計測値が目標圧力に達した際に、充填終了を示す信号を送受信手段63を介して各手段71〜75及びPOS91へと送信する。さらに、この比較手段69は、充填流量及び目標圧力に基づいて目標圧力に達するまでの充填完了時間も算出する。
【0036】
スピーカ駆動手段70は、タンク検出部32aから車載タンクが有効期限を過ぎていることを示す信号を受信した際、ノズル装着検出部32bから充填ノズル32が充填口51に装着されていないことを示す信号を受信した際(ノズル装着検出部32bからのNO)、比較手段69から充填終了を示す信号を受信した際、及び充填時において人体センサ21によってガス充填装置2の近傍における顧客の存在を検出することができなかった際等にスピーカ19aを駆動して音声で各々報知させる。
【0037】
ランプ駆動手段71は、ガス検知器12等からガス漏れを検知したことを示す信号を受信した際、及び比較手段69から充填終了を示す信号を受信した際等にランプ19bを駆動して報知させる。このランプ駆動手段71は、スピーカ駆動手段70と連動することができるため、上述のスピーカ駆動手段70と同様のタイミングでランプ19bを駆動させることもできる。
【0038】
脱圧弁駆動手段72は、後述する遮断弁駆動手段75から、充填が終了して遮断弁14を閉じたこと示す信号を受信した際に脱圧弁15を所定時間駆動する。
【0039】
ゲイト73は、スタートスイッチ40からの信号と、送受信手段63からの充填許可を示す信号を流量調整弁駆動手段74及び遮断弁駆動手段75へと転送する。
【0040】
流量調整弁駆動手段74は、送受信手段63から充填許可を示す信号を受信した際に、比較手段69から指定された弁開度で開き、比較手段69から充填終了を示す信号を受信した際、及び緊急停止スイッチ41が押下された際に閉じる。
【0041】
遮断弁駆動手段75は、スタートスイッチ40から信号が入力された後、送受信手段63から充填許可を示す信号を受信した際に遮断弁14を開くと共に、比較手段69から充填終了を示す信号を受信した際、及び緊急停止スイッチ41が押下された際に遮断弁14を閉じる。
【0042】
次に、上記構成を有するガス充填システム1の動作について、図5を中心に、図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、車載タンクに水素ガスHを満充填する場合を例にとって説明する。
【0043】
ガス充填装置2において、人体センサ21によってガス充填装置2の近傍における顧客の存在を検出する(ステップS1)。人体センサ21が顧客の存在を検出すると(ステップS1;Yes)、表示器17に設定案内が表示される(ステップS2)。この設定案内は、例えば、「満充填の場合にはキーボードの”ENTER”を押下して下さい。プリセット充填の場合にはキーボードで充填量を入力して下さい。」である。ステップS1で顧客の存在を検出できなかった場合には(ステップS1;No)、検出するまで待機する。
【0044】
次に、顧客によって上記設定が行われたか否かを判断し(ステップS3)、”ENTER”が押下された(顧客が満充填を選択した)と判断された場合には(ステップS3;Yes)、ステップS4において、ノズルスイッチ34がオンとなったか否かを判断する。ステップS3で上記設定が行われていないと判断された場合には(ステップS3;No)、上記設定が行われるまで待機する。
【0045】
ステップS4において、ノズルスイッチ34がオンとなったと判断された場合には(ステップS4;Yes)、ステップS5において、判定手段62によって充填対象の車載タンクの有効期限が過ぎているか否かを判断する。このステップS4とステップS5の間で、顧客はノズル掛け33から外した充填ノズル32を図3(b)に示すように車載タンクの充填口51に装着する。
【0046】
ステップS5において、判定手段62が車載タンクの有効期限が過ぎていないと判定した場合には(ステップS5;Yes)、ステップS7において、ノズル装着検出部32bによって充填ノズル32が車載タンクの充填口51に正常に装着されているか否かを判断する。一方、車載タンクが有効期限を過ぎていると判定された場合には(ステップS5;No)、報知器19を介して車載タンクの期限切れを報知して終了する(ステップS6)。
【0047】
ステップS7において、ノズル装着検出部32bがノズル装着被検出部32cの近接を検出し、充填ノズル32が車載タンクの充填口51に正常に装着されていると判断された場合には(ステップS7;Yes)、ガス充填装置2がSSC92に対して充填許可要求を出力する(ステップS9)。一方、ノズル装着検出部32bが、ノズル装着被検出部32cの近接を検出できず、充填ノズル32が充填口51に正常に装着されていないと判断された場合には(ステップS7;No)、報知器19を介してノズル装着不良を報知して終了する(ステップS8)。
【0048】
次に、SSC92において、充填許可要求が入力されたか否かを判断する(ステップS31)。ステップS31において、充填許可要求が入力されたと判断された場合には(ステップS31;Yes)、充填所の係員が、充填許可要求があったガス充填装置2に対応するSSC92のボタンを押下するなどしてガス充填装置2に対する充填許可をPOS91に出力し(ステップS32)、SSC92の動作を終了する。ステップS31で充填許可要求が入力されていない場合には(ステップS31;NO)、入力されるまで待機する。
【0049】
POS91において、充填許可が入力されたか否かを判断する(ステップS41)。ステップS41において、充填許可が入力されたと判断された場合には(ステップS41;Yes)、ガス充填装置2に対して充填許可を出力する(ステップS42)。ステップS41において、充填許可が入力されていない場合には(ステップS41;No)、入力されるまで待機する。
【0050】
ガス充填装置2へと戻り、ステップS10において、充填前の車載タンク内の圧力(車載タンクの初期圧)と、外気温とを計測し、ステップS11において、これらの計測値と、充填制御テーブル67とに基づいて目標圧力を算出する。さらに、目標圧力及び流量に基づいて充填完了時間を算出した後、充填完了時間をスピーカ19aを介して報知する(ステップS12)。表示器17に充填完了時間を表示してもよい。
【0051】
ステップS13において、POS91から充填許可が入力されたか否かを判断し、充填許可が入力されたと判断された場合には(ステップS13;Yes)、スタートスイッチ40が押下されたか否かを判断する(ステップS14)。ステップS13において、充填許可が入力されていない場合には(ステップS13;No)、入力されるまで待機する。
【0052】
ステップS14において、スタートスイッチ40が押下されたと判断された場合には(ステップS14;Yes)、ステップS15において、表示器17を帰零すると共に、流量調整弁13及び遮断弁14を開く。ステップS14において、スタートスイッチ40が押下されていない場合には(ステップS14;No)、押下されるまで待機する。
【0053】
次に、ステップS16において、車載タンク内の圧力が目標圧力に達したか否かを監視する。車載タンク内の圧力が目標圧力に達するまでの間は(ステップS16;No)、ステップS17において、エリアセンサ20がオフとなっていないか監視し、エリアセンサ20がオフとなっていると判断された場合には(ステップS17;Yes)、ステップS18において、顧客が充填位置から外れていることをスピーカ19a等を介して報知すると共に、充填を一時停止し、ステップS19において、エリアセンサ20がオンとなるまで待機し、エリアセンサ20がオンになることを確認する。
【0054】
そして、ステップS16において、車載タンク内の圧力が目標圧力に達したと判断された場合には(ステップS16;Yes)、流量調整弁13及び遮断弁14を閉じ(ステップS20)、脱圧弁15を開いて遮断弁14と充填ノズル32との間の水素ガスHを放散管から排出して脱圧する(ステップS21)。
【0055】
この脱圧弁15による脱圧時間Tが所定時間t1に達したか否か判断する(ステップS22)。ステップS22において、脱圧時間Tが所定時間t1に達したと判断された場合には(ステップS22;Yes)、脱圧弁15を閉じると共に、表示器7や報知器19を介して、顧客に充填終了を報知する(ステップS23)。ステップS22において、脱圧時間Tが所定時間t1に達していないと判断された場合には(ステップS22;No)、所定時間t1に達するまで待機する。
【0056】
顧客は、充填終了を確認すると、充填ノズル32を車載タンクの充填口51から外してノズル掛け33に掛ける。ここで、充填ノズル32が掛けられてノズルスイッチ34がオフとなったか否かを判断する(ステップS24)。
【0057】
ステップS24において、ノズルスイッチ34がオフとなった場合には(ステップS24;Yes)、POS91に対して充填終了を出力し、ガス充填装置2の動作を終了する
。ステップS24において、ノズルスイッチ34がオフとなっていない場合には(ステップS24;No)、オフとなるまで待機する。
【0058】
POS91において、ガス充填装置2から充填終了が入力されたか否かを判断する(ステップS43)。ステップS43において、充填終了が入力されたと判断された場合には(ステップS43;Yes)、ステップS44において、今回の充填の伝票を出力してPOS91の動作を終了する。一方、ステップS43において、充填終了が入力されていない場合には(ステップS43;No)、入力されるまで待機する。
【符号の説明】
【0059】
1 ガス充填システム
2 ガス充填装置
3 冷媒冷却装置
4 圧縮機
5 蓄圧機
6 トラック
7 カードル
8 集中制御盤
9(9A、9B) 冷媒搬送管
10 本体ユニット
10a 充填部
10b 表示部
11 ガス管路冷却部
12 ガス検知器
13 流量調整弁
14 遮断弁
15 脱圧弁
16 流量計
17 表示器
18 ガス検知器
19 報知器
19a スピーカ
19b ランプ
20 エリアセンサ
21 人体センサ
22 キーボード
23 情報表示部
24 制御装置
25 不活性ガス配管
30 ホースユニット
31 充填ホース
32 充填ノズル
32a タンク検出部
32b ノズル装着検出部
32c ノズル装着被検出部
32d 導電性カバー
32e 凹部
32f 孔部
33 ノズル掛け
34 ノズルスイッチ
35、36 圧力計
37 ガス検知器
38 温度計
39 安全接手
40 スタートスイッチ
41 緊急停止スイッチ
42 元弁
43、44(44A、44B) ガス搬送管
45 断熱材
51 (車載タンクの)充填口
51a タンク被検出部
51b 先端部
61 カレンダー
62 判定手段
63 送受信手段
64 計数手段
65 表示器駆動手段
66 記憶手段
67 充填制御テーブル
68 計時手段
69 比較手段
70 スピーカ駆動手段
71 ランプ駆動手段
72 脱圧弁駆動手段
73 ゲイト
74 流量調整弁駆動手段
75 遮断弁駆動手段
81、82 温度計
83 圧力計
84 ガス検知器
87 火炎検知器
91 POS
92 SSC
図1
図2
図3
図4
図5