特許第6268503号(P6268503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268503複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268503
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/00 20060101AFI20180122BHJP
   A41D 31/02 20060101ALI20180122BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20180122BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20180122BHJP
   A62B 17/00 20060101ALN20180122BHJP
【FI】
   A41D31/00 501H
   A41D31/00 501B
   A41D31/00 501A
   A41D31/00 502B
   A41D31/02 A
   A41D31/02 H
   A41D13/002
   B32B3/26 A
   !A62B17/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-94157(P2016-94157)
(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2016-211138(P2016-211138A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0066066
(32)【優先日】2015年5月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516000561
【氏名又は名称】リ,サン グン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン グン
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録実用新案第20−0445737(KR,Y1)
【文献】 特開昭47−031739(JP,A)
【文献】 国際公開第95/008276(WO,A1)
【文献】 特開2001−081310(JP,A)
【文献】 特開平10−230013(JP,A)
【文献】 特開2013−133567(JP,A)
【文献】 特開2004−156177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 31/00
A41D 13/002
A41D 31/02
B32B 3/26
A62B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地(A)において、
球形でそれぞれ独立的に形成され、延伸率が優れ、内部に用途に合わせたガスが充填される複数のガスセル(11)が左右上下に連続して形成された延伸率が200〜800%で、引張強度が70〜200kg/cmの範囲にある弾性系列のガスシート(1)と、
前記ガスシート(1)の内外側に接着されて、用途に合わせて用いられる裏地(2)と、
表地(3)とを含み、
前記ガスシート(1)のガスセル(11)内には炭酸ガスが充填され、前記ガスシート(1)の内側には織物用の前記裏地(2)が付着され、前記ガスシート(1)の外側には耐火繊維で織造された前記表地(3)が付着され、
前記ガスセル(11)が加熱されて所定温度を超えると破裂して前記炭酸ガスが放出されて冷却材として機能することを特徴とする独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地。
【請求項2】
独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地(A)において、
球形でそれぞれ独立的に形成され、延伸率が優れ、内部に用途に合わせたガスが充填される複数のガスセル(11)が左右上下に連続して形成された延伸率が200〜800%で、引張強度が70〜200kg/cmの範囲にある弾性系列のガスシート(1)と、
前記ガスシート(1)の内外側に接着されて、用途に合わせて用いられる裏地(2)と、
表地(4)とを含み、
前記ガスシート(1)のガスセル(11)内にはヘリウムガスが充填され、前記ガスシート(1)の内側には織物用の前記裏地(2)が付着され、前記ガスシート(1)の外側には防水織物で織造された前記表地(4)が付着され、
前記表地(4)は、水より高い比重を有するコア繊維の外層にオイル系の水に浮かぶ材料が90〜99%以上含有されたコーティング層を含むことを特徴とする独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地。
【請求項3】
前記ガスシート(1)は、ゴム、合成ゴム、耐油ゴム、耐熱ゴム、ブチルゴム、チオコールゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、バイトンゴム、エチレンプロピレンゴム系列やポリウレタン、アクリル、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(CPS)の合成樹脂系列の中で一つが選択されたことを特徴とする請求項1または2に記載の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地。
【請求項4】
前記ガスシート(1)を構成する各ガスセル(11)を形成する材質の厚さは0.05mm〜0.9mm間の範囲で選択され、各ガスセル(11)の直径は小さくは2mm、大きくは15mmの範囲で選択されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地に関し、より詳しくは、球形や球形に類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスやヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成されたガスシートが内部に設置されて、それぞれのガスセルが独立的に保持されながら必要によりそれぞれ適切な環境で独立的に破裂されたりそのまま保持されて、使用上の便宜性が増進され、効力が長時間持続されることができて、消防服や救助服として用いることができる複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地に関する。
【背景技術】
【0002】
火事を鎭圧し、人命を救助する消防士などの作業者は高温の火炎から体を保護し、高温の放射熱を遮断するために消防用防水防火服を着る。
【0003】
このような消防用防水防火服は特殊防火服の標準規格書によれば、表地、中間層、裏地及びフェルトで構成される。
【0004】
表地は、PBI(ポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係繊維、PBO(ポリベンゾオキサゾール(Polybenz oxazole))係繊維または同等以上の繊維からなる織物や、PBI(ポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係繊維、PBO(ポリベンゾオキサゾール(Polybenz oxazole))係繊維の防火服の構成割合が30%以上で、残り生地成分はアラミド系繊維または同等以上の性能の生地を用い、組職はリップストップ(Rip−Stop)である必要がある。また、中間層、裏地及びフェルトは断熱性能が優れながらも透湿と防水性能が優れたものである必要がある。そして、裏地はアラミド系繊維または同等以上に柔らかくて汗の吸収力が良いものである必要があり、中間層または裏地にフェルトを使用する際にフェルトは中間層または裏地と同じ材料でなければならない。
【0005】
このような消防用防水防火服は、熱防護性能、重量、内皮洗濯時間、原材料費などに対する基準を規格化しており、現在、韓国国内の規格及び国際火災防止協会(NFPA)の規格は細かく定められている。
【0006】
従来、消防用防水防火服の生地の積層構造によれば、表地、中間層、裏地及びフェルトによってある程度は熱防護性能を有するが、NFPA基準より低い熱防護性能を有するため、着用者をやけどなどから安全に保護することができないという問題点がある。
【0007】
そして、体−裏地−フェルト−防透湿生地の積層構造では、透湿性能を発揮することができなくて、着心地が非常に悪く、活動性が低下するという問題点がある。
【0008】
また、フェルトが綿のような材質であるため、洗濯後乾燥する時、乾燥時間がおおよそ3日以上と非常に長いため、完璧に乾燥された消防用防水防火服を着るまで非常に長い時間が必要となるという問題点もある。
【0009】
このような問題点を解決するために、特許文献1における発明の名称「エアセルを有する消防用防水防火服の内部生地及びこれを利用した消防用防水防火服」の発明では、耐熱性フェルトと、内部に気泡が形成された複数のエアセルを有する多孔性のポリウレタンシートと、耐熱性を有する芳香族ポリアミド係繊維からなるアラミド生地が順次に積層されてなるエアセルを有する消防用防水防火服の内部生地が提案されたが、上記ポリウレタンシートは内部に複数のエアセルが形成されているが、このようなエアセルは緩衝効果が少なく、放火熱気を遮断するためのガスが内部に充填されていないため、その熱遮断効果を確実に発揮することができなくなるという問題点があった。
【0010】
また、従来の救助服に用いられる材質は厚い合成樹脂類の内部充填物が充填されていて、着心地が悪く、空気の含有率が低下されるため浮力が低下され、折曲されない材質や曲がらない材質で作られて体の活動性を制約するという諸般問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0964968号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2012−0058837号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10−0549545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、このような問題点を解決するために、球形やこれと類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスやヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成され、伸縮性の良いガスシートが内部に設置されてそれぞれのガスセルが独立的に保持されながらそれぞれ適切な環境で用途によって独立的に破裂されるかそのまま保持されて、使用上の便宜性が増進され、効力が長時間持続することができて、消防服や救助服として使用することができる多用途に使用可能な複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のこのような目的は、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、延伸率が優れ、内部に用途に合わせたガスが充填される複数のガスセルが左右上下に連続的に形成された延伸率が200〜800%までの弾性系列のガスシートと、上記ガスシートの内外側に接着されて用途に合わせて用いられる裏地と、表地とを含む本発明による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地によって達成される。
【0014】
本発明のこのような目的は、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成されたガスシートと、ガスシートの内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地と、外側にはPBI(ポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係繊維、PBO(ポリベンゾオキサゾール(Polybenz oxazole))係繊維または同等以上の繊維の織物や、PBI(ポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係繊維、PBO(ポリベンゾオキサゾール(Polybenz oxazole))係繊維の防火服構成割合が30%以上含有された放火織物で表地を構成する複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える消防用生地によって達成される。
【0015】
本発明のこのような目的は、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部にヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成され、伸縮性の良いガスシートと、ガスシートの内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地と、外側には水より比重が大きいコア繊維と上記コア繊維の外層に浮力剤が90〜99%以上含有されたコーティング層を含む水に浮かぶ繊維で織造された浮力織物や防水織物が表地を構成する複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える救命用生地によって達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地は、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスまたはヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填され、伸縮性が優れた複数のガスセルが形成されたガスシートと、ガスシートの内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地と、外側には放火織物や浮力織物または一般的な防水織物で作られた表地とで構成され、球形やこれと類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスやヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成されたガスシートが内部に設置されて、それぞれのガスセルが独立的に保持されながらそれぞれ適切な環境で用途に合わせて所定条件で独立的に破裂されるかまたはそのまま保持されて使用上の便宜性が増進され、効力が長時間持続することができて、消防服や救助服として使用可能な優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施例による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地の分解斜視図。
図2a図1の生地の概略的な縦断面図。
図2b図1の生地のガス充填例を示した概路図。
図3図1の生地からなる消防用防火服の構成図。
図4図1の生地からなる救助服の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地は、図1に示すように、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、延伸率が優れ、内部に用途に合わせたガスが充填される複数のガスセル11が左右上下に連続的に形成された延伸率が200〜800%までの弾性系列のガスシート1と、上記ガスシート1の内外側に接着されて用途に合わせて用いられる裏地2と、表地3とを含む。
【0019】
上記弾性系列のガスシート1は延伸率が200〜800%の範囲にあるゴムや合成樹脂は全部該当すると言える。このようなガスシート1の材質としては、ゴム、合成ゴム、耐油ゴム、耐熱ゴム、ブチルゴム、チオコールゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、バイトンゴム、エチレンプロピレンゴムのようなゴム系列やポリウレタン、アクリル、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(CPS)のような合成樹脂系列も用いることができ、このようなガスシート1に必要な物理的性質は優先的に延伸率が優れ、引張強度が70〜200kg/cmの範囲にあるものが要求される。
【0020】
上記ガスシート1のガスセル11内に充填されるガスは用途に合わせて、消防服に用いられる場合には炭酸ガスが充填され、救助服として用いられる場合にはヘリウムガスが充填される。本実施例で、上記ガスシート1は円形のガスセル11が連続的に形成され、着心地を向上させるために、上記ガスセル11の上下には平板状のビニール12が上下に付着されている。
【0021】
上記ガスシート1のガスセル11内にガスを充填させる方式は密閉された空間300内にガスセル成型溝301aが形成された一対の吸引ローラー301のガスシート1が合体される前の位置でガスを噴射する噴射ノズル302がガスを噴射した後直ちにガスセル成型溝301aによってガスシート1が合紙される方式でガスが充填されるが、これに制限されなく、密閉された空間で上下に作動するプレス方式によってもガスをガスセル11内に充填させることもできる。
【0022】
上記ガスシート1の内側に用いられる裏地2は着用者が楽な着心地を感じるようにすることが好ましいが、消防服や救助服として用いられる場合には防水性のある裏地が好ましい。
【0023】
上記ガスシート1の外側に用いられる表地3は用途によって異なり、消防服に用いられる場合には耐火繊維で織造された表地が用いられ、救助服に用いられる場合には、浮力のある浮力繊維や一般的な防水被服が用いられることができる。
【0024】
本発明の第1実施例による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地Aは、図3に示すように、球形の形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスG1がそれぞれ独立的に充填された複数のガスセル11が形成されたガスシート1と、ガスシート1の内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地2と、ガスシート1の外側にはPBI(ポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係耐火繊維で織造された表地3とを含む。
【0025】
上記ガスシート1は本実施例ではポリウレタンで製造された。上記ポリウレタンはアルコール基とイソシアネートの結合で作られたウレタン結合で結合された高分子化合物の総称である。代表的なものは合成繊維で作られたスパンデックスである。ウレタン係合成ゴムも広く用いられ、ウレタン係合成ゴムにはポリエステル係とポリエーテル係があり、ポリエステル係はプロピレングリコールとエチレングリコールをアジピン酸と反応させてポリエステルに作り、両端にOH基を有する分子量3、000までのものをナフタレン−1、5−ジイソシアネートにウレタン化させると同時に高分子に作ったもので、またポリエーテル係は酸化プロピレンに若干の酸化エチレンを交ぜてまずポリエーテルにし、その両端のOH基をトルエンジイソシアネートと反応させて高分子量のポリウレタンに作ったものである。
【0026】
このように引張強度が優れ、延伸率が優れたポリウレタンがガスシートに製造されたが、これに限定されるのではなく、ポリエチレンも用いることができ、ポリエチレンは石油の原油を分溜してナフサ部分(100〜200℃流出部分)を分離させ、これを分解させて約25%のエチレンを分取し、このエチレンを重合させて製造され、このような重合方法によって各種ポリエチレンが生成される。低密度ポリエチレン(軟質ポリエチレン)と高密度ポリエチレン(硬質ポリエチレン)が主要製品で、低密度ポリエチレンが好ましく、このような低密度ポリエチレンは微量の空気を触媒として1、000atm、200℃以上の高圧化で加熱して作られ、一般的に高圧ポリエチレンといい、密度が約0.91であり、分枝があるため、分子配列が十分でなく、結晶化された部分が約65%であるので、柔らかくてよく伸長し、引張強度は若干小さいが耐衝撃性は大きい。
【0027】
本実施例では、消防服に用いるために耐熱性が弱くて、100℃では破裂可能なポリウレタンを用いることについて記述されたが、これに制限されなく、熱可塑性合成樹脂であるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(CPS)及びポリウレタン(PU)も用いられることができることは勿論である。このような熱可塑性合成樹脂は既に公知された物質で、このような物質で弾性復元力が優れた上記ガスシート1を製造することができることは当たり前である。
【0028】
ポリウレタンが用いられる場合には軟質のポリウレタンが用いられ、このような軟質のポリウレタンは良好なクッション性及び延伸率、引張強度及び耐磨耗性の良い機械的強度を有するので、立派に用いられることができる。
【0029】
本発明で上記ガスシート1を構成する各ガスセル11を形成する材質の厚さは用いられる合成樹脂によって変更されることができるが、略0.05mm〜0.9mm間の範囲で選択され、各ガスセル11の直径は小さくは2mmで、大きくは15mmまでに用途によって選択することができる。即ち、引張強度が大きいものが要求される場合には直径が最大に大きく形成され、厚さも厚くすることが好ましい。
【0030】
本実施例で、上記ガスシート1を構成する複数の各ガスセル11の厚さは0.2mmで、直径3mmに製造されたが、このような大きさは一つの実施例に過ぎなく、その厚さと大きさが用途によって変更されることができることは勿論である。
【0031】
本実施例で、上記ガスセル11内には炭酸ガスが充填され、このような炭酸ガスは気体状態の二酸化炭素を冷却剤として用いることができるので、図3に示すような消防服100に製造する時に、発火現場で着用する際には充填された炭酸ガスが膨脹され、所定温度以上に加熱されると、ポリウレタンが100℃で用いられるので、100℃を越えると、各ガスセル11が独立的に破裂され、加熱された部位により漸次的に破裂されながら破裂された部分が冷却されて冷却材として使用可能になる。また、ある程度の衝撃や高温により破裂される場合にはそれぞれ独立した空間を有するので、破裂前には押されながら衝撃を吸収して十分な緩衝効果を与え、破裂時には炭酸ガスが放出されながら冷却材として立派に用いられることができる。
【0032】
本実施例で上記ガスシート1のガスセル11が破裂される前の荷重は300kgf/cmであり、破裂される前にはガスセル11が収縮されながら衝撃を吸収して十分な緩衝効果を有していることが確認され、このようなガスセル11が前後左右に連続して位置されるので、500kgf/cm以上のより大きい破裂荷重にも耐えることができる。
【0033】
上記裏地としては、本実施例ではアラミド系裏地2を用いて説明したが、ラミネート生地を含む織物材質はいずれも用いられる。
【0034】
本実施例では、上記ガスシート1の内側にはアラミド系裏地2が付着されて、着用者の体に接触されながら楽な着心地を感じるようになり、上記ガスシート1の外側にはポリベンゾイミダゾール(Polybenzimidazole))係耐火繊維で織造された表地3が付着されて、熱に大きな耐久性を有するようになりながらも着用者を火気から保護することができる。
【0035】
本発明の第2実施例では、救助服に用いられる複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地Aについて説明する。図4に示すように、本発明の第2実施例による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地Aは、球形の形態でそれぞれ独立的に形成され、内部にヘリウムガスG2がそれぞれ独立的に充填された複数のガスセル11が形成されたガスシート1と、ガスシート1の内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地2と、外側には水より比重が大きいコア繊維と上記コア繊維の外層に浮力剤が90〜99%以上含有されたコーティング層を含む水に浮かぶ繊維で織造された浮力織物が表地4に用いられる。本実施例では、上記ガスシート1は耐油ゴムが用いられて水分の流入を遮断した。
【0036】
上記浮力織物からなる表地4は、水より高い比重を有するコア繊維の外層に浮力剤が90〜99%以上含有されたコーティング層を含み、上記浮力剤はオイル系であることから大きい極性を帯びる水と親和力がほとんどない親油性であるので、それにより、上記浮力剤が外層にコーティングされた繊維は水が繊維内部に浸透されないことにより、繊維内部の空気層が水によって消失されないので、極大化された浮力を有するようになる。しかし、このような浮力織物からなる表地4が用いられず、一般的な防水織物や一般的な外皮として用いられる織物も表地4として用いられることができる。
【0037】
また、図4に示すように、本発明の第2実施例による生地Aで製造された救助服100は、その袖101やズボン下端102が輪ゴムのような弾性部材によって密閉されるように形成されているので、水に長期間浮かんでいても救助服100内に水が流入されなく、ガスシート1のガスセル11によって外気と遮断されている状態であるので、水分により体温が落ちて低体温症による死亡のような危険が防止される。
【0038】
以上のように、本発明による複数の独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地は、球形や球形と類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスまたはヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成されたガスシートと、ガスシートの内側には柔らかくて汗の吸収力の良いアラミド系裏地と、外側には、防火織物や浮力織物または一般的な防水織物からなる表地とで構成されて、球形やこれと類似する形態でそれぞれ独立的に形成され、内部に炭酸ガスやヘリウムガスがそれぞれ独立的に充填された複数のガスセルが形成されたガスシートが内部に設置されて、それぞれのガスセルが独立的に保持されながら、火事を鎭圧する時に、適切な環境で独立的に破裂されて消防士の安全を保障しながら、使用上の便宜性が増進され、効力が長時間持続されることができ、海で遭難された時には外気と遮断されて、体温を保持することができて救助服として立派に使用可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明による独立したガスセルが形成されたガスシートを備える生地は、一般的な生地の製造産業で同じ製品を繰り返し製造することができるので、産業上の利用可能性がある発明である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガスシート
2 裏地
3 表地
11 ガスセル
図1
図2a
図2b
図3
図4