特許第6268567号(P6268567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268567光透過性プラスチック部材の青色光カット方法および光透過性プラスチック部材の生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268567
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】光透過性プラスチック部材の青色光カット方法および光透過性プラスチック部材の生産方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/00 20060101AFI20180122BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G02C7/00
   G02C7/10
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-24680(P2013-24680)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-153620(P2014-153620A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】301074388
【氏名又は名称】株式会社 サンルックス
(73)【特許権者】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】来田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】吉井 文男
(72)【発明者】
【氏名】中島 準作
(72)【発明者】
【氏名】長澤 尚胤
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−123236(JP,A)
【文献】 特開昭59−089334(JP,A)
【文献】 特開2002−037907(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0252850(US,A1)
【文献】 特開2004−285141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/00
G02C 7/10
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することにより、当該光透過性プラスチック部材を通過する光のうち、波長が400nm〜500nmの青色光を所望のカット率でカットする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法において、
前記電離性放射線の照射線量(X)と、前記光透過性プラスチック部材を通過する光の波長と、前記光透過性プラスチック部材を通過する光の波長毎の光透過率との関係曲線から、前記電離性放射線の照射線量(X)と前記青色光のカット率(Y)との関係を示す下記の式(I)で示されるX−Y関係曲線と、下記の式(II)で示されるX−Y関係曲線とを求め、これら式(I)で示されるX−Y関係曲線と式(II)で示されるX−Y関係曲線とで囲まれた領域の中から、所望の前記青色光のカット率(Y)に適合する前記電離性放射線の照射線量(X)を選択して、その選択された照射線量(X)の電離性放射線を前記光透過性プラスチック部材に照射することを特徴とする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法。
Y=41.343X0.2442・・・・(I)
Y=24.761X0.339・・・・・(II)
【請求項2】
請求項1に記載の光透過性プラスチック部材の青色光カット方法において、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が25%〜45%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を1kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が40%〜60%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を5kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が50%〜80%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を10kGy〜15kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が70%〜90%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を20kGy〜25kGy、
とすることを特徴とする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光透過性プラスチック部材の青色光カット方法において、
前記光透過性プラスチック部材の表面に機能性膜を形成した後、その機能性膜の上から光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することを特徴とする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光透過性プラスチック部材の青色光カット方法において、
前記光透過性プラスチック部材が他の部材と一体になっている状態で、前記光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することを特徴とする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法。
【請求項5】
電離性放射線の照射が行われていない光透過性プラスチック部材に対して、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の青色光カット方法で電離性放射線を照射し、青色光の透過率がカットされた光透過性プラスチック部材を生産することを特徴とする光透過性プラスチック部材の生産方法
【請求項6】
請求項5に記載の光透過性プラスチック部材の生産方法において、
前記青色光の透過率がカットされた光透過性プラスチック部材が、メガネ用レンズ、表示装置用の光透過性表示板、あるいは光源としてLEDを使用した機器の光透過性部材であることを特徴とする光透過性プラスチック部材の生産方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばメガネ用のカラーレンズあるいは表示装置用の光透過性表示板などの光透過性プラスチック部材に係り、特に波長が400nm〜500nmの青色光を所望のカット率でカットする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック光学製品の一つである視力補正メガネ用レンズおよびサングラス用レンズを例に説明する。
チラツキの原因となる青色光を効果的にカットして、眩しさを軽減し、それによりコントラストが強調されて、物が明るく見え、また目の保護ができること、さらにはファッション性を高めるために、従来よりカラーレンズが使用されている。
【0003】
レンズに着色する方法としては、染料を含有した染色浴液中にレンズを所定時間浸漬することにより、レンズに染料を浸透させて着色する方法がある(特表2005−508459号公報:特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この方法では、レンズ内に染料が分散された状態で存在するために、レンズへ入ってきた光がこの染料によって拡散して光の透過率を低下させ、レンズを通して物を見たときに、全体として肉眼で見たときよりも暗く感じる現象が発生していた。
【0005】
また、この着色方法は、染色浴液を利用していることから、染色浴液中への染料の分散ムラ、更には、レンズを染色浴液に浸漬したときの染料の浸透ムラが発生する等の品質上の問題が発生することがあった。そのため、左眼用と右眼用のレンズを対にしての同時着色する方法をとらざるを得なかった(着色ムラの防止)。
【0006】
さらに、染色浴液に使用する染料が混在した液の排水処理、また、染色工程中の温度制御等に利用するエネルギーのロス等の問題があった。
【0007】
また、別の方法として、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常のメガネとして機能するメガネ、いわゆるフォトクロミック性を持ったプラスチックレンズの製造に関し、光重合開始剤を使用する方法がある(特表2005−508459号公報:特許文献2参照)。
【0008】
しかし、この方法は、フォトクロミックス性を持ったレンズであることから、常時、一定に着色したレンズが得られない、かつ、所定の着色を施すことが困難であった。また、フォトクロミックス性を重視するために、レンズを透過する光の透過率についての考慮がなされていない。
【0009】
一方、レンズの材料となる熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の合成樹脂は、製造過程あるいはその利用する過程で、電離性放射線を照射されると色付くことが知られている(特開2010−059295号公報:特許文献3参照)。しかし、この放射線照射は、樹脂に積極的に着色を施して利用するためのものではなく、発色することを邪魔な存在として取扱い、着色を防止する工夫がなされている。
【0010】
また、基材の表面に形成したコーティング(発色剤を含む樹脂組成物)を放射線に曝露することにより発色させる着色方法が知られている(特表2007−532707号公報:特許文献4参照)。
【0011】
しかし、この着色方法は、発色させる樹脂組成物を基材の表面にコーティングすることが必要であり、基材そのものを着色することができない。
【0012】
本出願人は先に、簡単な処理工程管理で所定の色に斑なく均一に着色し、かつ、光透過率の高いプラスチック光学部材を実現し、更には、着色処理にまつわる廃水処理、エネルギー消費等の問題点を無くすことを目的として、プラスチック光学部材に電離性放射線を照射することにより、そのプラスチック光学部材の着色を行うプラスチック光学部材の着色する方法において、前記プラスチック光学部材に照射する電離性放射線の放射線線量は、プラスチック光学部材に着色する色によって予め定められた放射線線量を選択して照射するプラスチック光学部材の着色方法を提案した(特開2012−123236号公報:特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2005−508459号公報
【特許文献2】特表2005−508459号公報
【特許文献3】特開2010−059295号公報
【特許文献4】特表2007−532707号公報
【特許文献5】特開2012−123236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記特開2012−123236号公報(特許文献5)には、下記のような主旨が記載されている。
すなわち、レンズへの着色は、特にファッション性を帯びたものが多くなることから、レンズの色に対する顧客の要望も千差万別である。この顧客の要望に応えるため、まず、レンズの色見本を作成する。この最終製品としての色見本には、その色をレンズに着色するための電離性放射線の照射条件を対応させてデータベース化しておくことが必要である。
【0015】
このレンズの色見本に沿って、顧客の要望によって着色するレンズの色を選択してもらう。
そして、顧客が選択した色から、電離性放射線照射条件のデータベースに基づき、照射に必要な放射線線量を特定する。この放射線線量に従ってレンズへの電離性放射線照射を行い、所定の色安定化期間(例えば100日程度)放置後に所望の色に着色した完成品のレンズとなる。
【0016】
この特許文献5には、レンズに電離性放射線を照射することにより、480nm以下の光を吸収する例が示されているが、これは電離性放射線の照射条件と青色光のカット率(波長400nm〜500nm)との関係を体系的にまとめたものではない。
【0017】
すなわち、光透過性プラスチック部材の用途(例えば、光透過性プラスチック部材をメガネ用のカラーレンズ、パソコンやスマートフォンやタブレット端末などの表示装置用の光透過性表示板、あるいは光源としてLEDを使用した機器の光透過板など)によって、青色光のカット率幅が異なる場合の電離性放射線の照射条件については、開示されているものではない。
【0018】
本発明の目的は、青色光のカット率幅と電離性放射線の照射条件との関係を体系的にまとめて、所望する青色光カット率が確実に得られる光透過性プラスチック部材の青色光カット方法およびそれによって得られた光透過性プラスチック部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、
光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することにより、当該光透過性プラスチック部材を通過する光のうち、波長が400nm〜500nmの青色光を所望のカット率でカットする光透過性プラスチック部材の青色光カット方法において、
前記電離性放射線の照射線量(X)と、前記光透過性プラスチック部材を通過する光の波長と、前記光透過性プラスチック部材を通過する光の波長毎の光透過率との関係曲線から、前記電離性放射線の照射線量(X)と前記青色光のカット率(Y)との関係を示す下記の式(I)で示されるX−Y関係曲線と、下記の式(II)で示されるX−Y関係曲線とを求め、これら式(I)で示されるX−Y関係曲線と式(II)で示されるX−Y関係曲線とで囲まれた領域の中から、所望の前記青色光のカット率(Y)に適合する前記電離性放射線の照射線量(X)を選択して、その選択された照射線量(X)の電離性放射線を前記光透過性プラスチック部材に照射することを特徴とするものである。
Y=41.343X0.2442・・・・(I)
Y=24.761X0.339・・・・・(II)
【0020】
発明の第2の手段は前記第1の手段において、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が25%〜45%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を1kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が40%〜60%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を5kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が50%〜80%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を10kGy〜15kGy、
所望の前記青色光のカット率(Y)の範囲が70%〜90%の場合は、前記光透過性プラスチック部材に照射する放射線線量を20kGy〜25kGy、
とすることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記光透過性プラスチック部材の表面に例えばハードコート膜などの機能性膜を形成した後、その機能性膜の上から光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第4の手段は前記第1または第2の手段において、
前記光透過性プラスチック部材(例えばメガネ用レンズ)が他の部材(例えばメガネフレーム)と一体になっている状態で、前記光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第5の手段は、
電離性放射線の照射が行われていない光透過性プラスチック部材に対して、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の青色光カット方法で電離性放射線を照射し、青色光の透過率がカットされた光透過性プラスチック部材を生産することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記青色光の透過率がカットされた光透過性プラスチック部材が、メガネ用レンズ、表示装置用の光透過性表示板、あるいは光源としてLEDを使用した機器の光透過性部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は前述のような構成になっており、青色光のカット率幅と電離性放射線の照射条件との関係を体系的にまとめて、所望する青色光カット率が確実に得られる光透過性プラスチック部材の青色光カット方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】熱硬化性樹脂を使用して成型したレンズへの放射線線量と光透過率との関係を示す分光透過率特性図である。
図2】そのレンズに対して放射線線量を1,5,10,15,20,25kGy照射したときの青色光カット率の変化を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明において、光透過性プラスチック部材の材質としては、熱硬化性樹脂ならびに熱可塑性樹脂が適用可能である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーをベースとした樹脂組成物、あるいはアリル系のモノマーをベースとした樹脂組成物の単独または両者の混合物が好適である。
【0028】
前記(チオ)ウレタン系樹脂の原料モノマーをベースとしたモノマーとしては、下記のものが挙げられる。
【0029】
ここに、生成させるためのポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物の組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とヒドロキシ基を有するチオール化合物の組み合わせ等を挙げることができる。
【0030】
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有し、且つその分子中に硫黄原子を含むポリイソシアネート化合物、1分子中に2個以上のイソ(チオ)シアネート基を有するポリイソ(チオ)シアネート化合物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0031】
具体的には、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナート、ノナメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナート−5−イソシアナートメチルオクタン、ビス(イソシアナートエチル)カーボネート、ビス(イソシアナートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−w,w’−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル、リジントリイソシアナート、2−イソシアナートエチル−2,6−ジイソシアナートヘキサノエート、2−イソシアナートプロピル−2,6−ジイソシアナートヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナートメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナートエチル)フタレート、メシチリレントリイソシアナート、2,6−ジ(イソシアナートメチル)フラン、等の脂肪族ポリイソシアナート;イソホロンジイソシアナート、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマー酸ジイソシアナート、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−5−イソシアナートメチル−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−6−イソシアナートメチル−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−5−イソシアナートメチル−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−6−イソシアナートメチル−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−5−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−3−(3−イソシアナートプロピル)−6−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−5−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナートメチル−2−(3−イソシアナートプロピル)−6−(2−イソシアナートエチル)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン等の脂環族ポリイソシアナート;フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、トリメチルベンゼントリイソシアナート、ベンゼントリイソシアナート、ナフタリンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、トルイジンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ビベンジル−4,4−ジイソシアナート、ビス(イソシアナートフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメリックMDI、ナフタリントリイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアナート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアナート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアナート、フェニルイソシアナートメチルイソシアナート、フェニルイソシアナートエチルイソシアナート、テトラヒドロナフチレンジイソシアナート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアナート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ベンゾフェノンジイソシアナート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアナート、ジベンゾフランジイソシアナート、カルバゾールジイソシアナート、エチルカルバゾールジイソシアナート、ジクロロカルバゾールジイソシアナート、等の芳香族ポリイソシアナート;チオジエチルジイソシアナート、チオジプロピルジイソシアナート、チオジヘキシルジイソシアナート、ジメチルスルフォンジイソシアナート、ジチオジメチルジイソシアナート、ジチオジエチルジイソシアナート、ジチオジプロピルジイソシアナート等の含硫脂肪族ポリイソシアナート、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナートメチルベンゼン)スルフィド、4,4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアナート等の芳香族スルフィド系イソシアナート;ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアナート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアナート等の芳香族ジスルフィド系ポリイソシアナート;ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、ベンジリデンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、4−メチルジフェニルスルホン−2,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート等の芳香族スルホン系ポリイソシアナート;4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナートベンゼンスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステル等のスルホン酸エステル系ポリイソシアナート;4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアナート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナートベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアナート等の芳香族スルホン酸アミド;チオフェン−2,5−ジイソシアナート等の含硫複素環化合物、その他 1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナート等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またそれらは、単独で用いることも、また、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0032】
ポリオール化合物としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するポリオール化合物、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有し且つその分子中に硫黄原子を含むポリオール化合物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0033】
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アルトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリセロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,02.6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ジブロモネエペンチルグリコール、エポキシ樹脂等のポリオールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、6−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモグリコール酸、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタントラカルボン酸、ブロモフタル酸等の有機多塩基酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等アルキレンオキサイドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等アルキレンオキサイドとの付加反応生成物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またこれらはそれぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0034】
また、硫黄原子を含有する2官能以上のポリオールとしては、 例えば、ビス〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)スルフィド、ビス〔2−メチル−4(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル〕スルフィドおよびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物、ジ(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサン等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またこれらはそれぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0035】
ポリチオール化合物としては、1分子中に2個以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1分子中に2個以上のメルカプト基を有し且つその分子中に硫黄原子を含むポリチオール化合物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0036】
具体的には、メタンジチオール、1、2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1、2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1、2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1、2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ペプタ−exo−cis−2,3ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−メルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の脂肪族ポリチオール、及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等ハロゲン置換化合物、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1、2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1、2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1、2−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1、2−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1、2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1、2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1、2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1、2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1、2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1、2,3−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1、2,4−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1、2,3−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1、2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1、2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1、2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール、
また2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素鐙換体等のハロゲン置換芳香族ポリチオール、
また、2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−モルホリノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−フェノキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオベンゼンオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、2−チオブチルオキシ−4,6−ジチオールーsym−トリアジン等の複素環を含有したポリチオール、及びそれらの塩素置換体、臭素置換体等ハロゲン置換化合物が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またそれらはそれぞれ、単独で用いることも、また、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0037】
メルカプト基以外にも少なくとも1つの硫黄原子を含有する2官能以上のポリチオールとしては、例えば、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3‐ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等の芳香族ポリチオール、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン、2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジフチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメチルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等の脂肪族ポリチオール、3,4−チオフェンジチオール、ビスムチオール等の複素環化合物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またこれらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0038】
ヒドロキシ基を有するチオール化合物は、メルカプト基以外に少なくとも1つの硫黄原子を含有するものも含む。具体的には、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,7−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス)メルカプトエチルチオメチル)メタン等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。またこれらは、それぞれ単独で用いることも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0039】
(チオ)ウレタン系のモノマーを使用する場合には、一般的に、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、アゾビスジメチルバレロニトリル等の重合触媒が添加される。
【0040】
アリル系のモノマーとは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合モノマーが該当する。
【0041】
その共重合体可能なモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アタリレート、n−ブチル(メタ)アタリレート、n−ヘキシル(メタ)アタリレート、シクロヘキシル(メタ)アタリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アタリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アタリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アタリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、ステアリル(メタ)アタリレート、ラウリル(メタ)アタリレート、フェニル(メタ)アタリレート、グリシジル(メタ)アタリレート、ベンジルメタクリレート等のモノ(メタ)アタリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アタリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アタリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アタリレート等のヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アタリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アタリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アタリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アタリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アタリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アタリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アタリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アタリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン等のジ(メタ)アタリレート類;
トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート等のトリ(メタ)アタリレート類;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アタリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類〔ただし、本明細書中の(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する〕;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等が挙げられる。ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合物は、本発明におけるジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーに該当する。
【0042】
さらに、本発明の光透過性部材は、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定化剤、内部離型剤、酸化防止剤、染料、顔料、耐電防止剤、偏光剤(偏光膜)等の公知の各種添加剤を加えて、混合または重合させることにより特定の効果を与えても良い。
【0043】
本実施例では、前記イソシアネート系およびポリチオール系のモノマーを各50重量%:50重量%の割合(等量)で、且つ、430nm波長以下の紫外線を吸収する微量の紫外線吸収剤を混合した樹脂組成物を使用した。
【0044】
照射する放射線は、ガンマ線、電子線のいずれでも良いが、着色処理作業を短時間で実施できる等の便宜性を考慮すると、電子線が好ましい。本実施例では照射する電離性放射線として、コバルト60によるガンマ線を使用した。放射線照射は大気中でかつ室温において行った。照射した放射線線量は、1,5,10,15,20,25kGyの6段階である。
【0045】
図1は、前記熱硬化性樹脂の組成物を使用して成型したレンズへの放射線線量と光透過率との関係を示す分光透過率特性図である。
【0046】
なお、分光スペクトル測定のための光源はタングステンランプ/D2ランプ、分光スペクトル測定器はU3500(株式会社 日立製作所製)を使用した。
【0047】
図1中の曲線Aは放射線線量が1kGy、曲線Bは放射線線量が5kGy、曲線Cは放射線線量が10kGy、曲線Dは放射線線量が15kGy、曲線Eは放射線線量が20kGy、曲線Fは放射線線量が25kGyの場合の特性曲線である。
【0048】
この図から明らかなように、特に波長400nm〜波長500nmの範囲(青色光)において、曲線A、曲線B、曲線Cのように放射線線量が比較的少ない場合には、放射線照射後の光透過率の落ち込みは少ない。これに対して曲線Eや曲線Fのように放射線線量が多い場合には、放射線照射後の光透過率の落ち込みが大きい。曲線Dは、曲線Cと曲線Eの中間的な特性を示している。
【0049】
この図1の光透過率特性値を基にして、レンズへの放射線線量と波長400nm〜500nmの範囲の青色光カット率との関係を図2に示す。
【0050】
本発明で使用している青色光カット率は、波長400nmの光透過率を0%(基準)とし、波長401nmの光透過率を測定しその光透過率が例えば10%、波長402nmの光透過率が例えば20%、波長403nmの光透過率が例えば30%、波長404nmの光透過率が例えば40%、波長405nmの光透過率が例えば50%であった場合、波長401nmから波長405nmまでの測定光透過率の平均値(この例では、(10+20+30+40+50)/5=30%)を求める。そして、100(%)からその平均値(この例では、30%)除した値(この例では、100−30=70%)が波長401nm〜波長405nmの範囲の青色光カット率と定義した。
【0051】
図2に示す青色光カット率は、波長401nmから波長1nm刻みで波長500nmまでの光透過率を測定して、波長400nm〜波長500nmの範囲の青色光カット率の平均値を示している。
本実施例では波長1nm刻みで波長500nmまでの光透過率を測定したが、波長数nm刻みで波長500nmまでの光透過率を測定することもできる。
【0052】
この分光スペクトル測定は、同じ樹脂組成物のレンズに対して同じ放射線照射条件で多数個行い、それらの青色光カット率のバラツキの状態を示している。図中の◆点は青色光カット率の上限値を、▲点は青色光カット率の下限値を、■点は平均値をそれぞれ示している。
【0053】
またこの図2は、レンズに対して放射線線量を1,5,10,15,20,25kGy照射したときの青色光カット率の変化を示す特性図であって、同図の複数の◆点どうしを結んだ曲線(I)はY=41.343X0.2442で表わされ、▲点どうしを結んだ曲線(II)はY=24.761X0.339で表わされ、■点どうしを結んだ曲線(III)はY=33.342X0.2853で表わされる。ただし、式中のXは放射線線量(kGy)、Yは青色光カット率(%)である。
【0054】
この図2により、レンズへの放射線線量と、その放射線照射によって得られる青色光カット率幅との関係が明確になり、前記曲線(I)と曲線(II)で囲まれる領域(斜線領域)内で、希望する青色光カット率の範囲に応じてレンズに対する放射線線量を選択、設定するようになっている。
【0055】
具体的には図2に示されているように、
青色光カット率の範囲が25%〜45%で、平均青色光カット率が35%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を1kGy、
青色光カット率の範囲が40%〜60%で、平均青色光カット率が50%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を5kGy、
青色光カット率の範囲が50%〜80%で、平均青色光カット率が65%〜70%のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を10kGy〜15kGy、
青色光カット率の範囲が70%〜90%で、平均青色光カット率が80%〜85%のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を20kGy〜25kGy、
にすればよいことが分かる。
【0056】
さらに詳細には、
青色光カット率の範囲が25%〜45%で、平均青色光カット率が35%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を1kGy、
青色光カット率の範囲が40%〜60%で、平均青色光カット率が50%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を5kGy、
青色光カット率の範囲が50%〜75%で、平均青色光カット率が65%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を10kGy、
青色光カット率の範囲が60%〜80%で、平均青色光カット率が70%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を15kGy、
青色光カット率の範囲が70%〜90%で、平均青色光カット率が80%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を20kGy、
青色光カット率の範囲が75%〜90%で、平均青色光カット率が85%前後のレンズが得たい場合は、レンズに対して放射線線量を25kGy、
にすればよいことが分かる。
【0057】
前記実施例ではメガネ用レンズの場合について説明したが、メガネ用レンズ、パソコンやスマートフォンやタブレット端末などの表示装置用の光透過性表示板、あるいは光源としてLEDを使用した機器の光透過部材など、光透過性プラスチック部材の用途によって青色光カット率幅が異なる場合の電離性放射線の照射条件を特定する場合にも適用可能である。
【0058】
また、電離性放射線は物質透過性が非常に高いことから、光透過性プラスチック部材を複数枚(複数個)重ねて、電離性放射線を同時に照射することも可能である。
【0059】
本発明は、光透過性プラスチック部材に電離性放射線を直接照射することもできるし、さらにまた、電離性放射線は物質透過性が非常に高いことから、光透過性プラスチック部材の表面に、例えばハードコート膜、反射防止膜、反射膜、汚れや水やけを防止する付着防止膜、偏光膜、平滑膜などの機能性膜を形成した後、その機能性膜の上から光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することもできる。
【0060】
さらにまた、レンズをメガネフレームに一体に組み込んだ状態、パソコンやタブレット端末などのように光透過性の表示板を表示装置に組み込んだ状態、あるいは照明カバーのように光源としてLEDを使用した機器本体に組み込んだ状態などのように、光透過性プラスチック部材が他の部材と一体になっている状態で、その光透過性プラスチック部材に対して電離性放射線を照射することもできる。
【0061】
本発明は前述のように、例えばメガネ用レンズ、パソコンやスマートフォンやタブレット端末などの表示装置用の光透過性表示板、あるいは光源としてLEDを使用した機器の光透過性部材など各種分野において適用可能である。
図1
図2