【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用 平成22年9月29日〜10月1日 財団法人保健福祉広報協会主催の「第37回 国際福祉機器展 H.C.R.2010」に出品
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
介助者が把持する押し手と、車輪と、この車輪を制動する作動姿勢とこの車輪の制動を解除する解除姿勢との間で姿勢変化可能にされている制動装置と、介助者がこの押し手と共に握ることができる解除レバーと、上記押し手に一端が軸着され他端が回動可能にされているブレーキレバーとを備えており、
上記解除レバーが作動姿勢と、解除姿勢との間で姿勢変化可能にされており、
上記解除レバーの一端が上記押し手に軸着され上記解除レバーの他端が回動可能にされており、上記解除レバーの上記解除姿勢が上記解除レバーの他端が上方から下方に向かって上記押し手に近付いた姿勢であり、
介助者が上記解除レバーから手を離すことで上記解除レバーが上記作動姿勢になっており、
上記解除レバーが上記作動姿勢にあると上記ブレーキレバーの他端が上記押し手に近付く作動姿勢になっており、上記ブレーキレバーの作動姿勢によって上記制動装置が上記作動姿勢になっており、
上記解除レバーが上記解除姿勢にあると、上記ブレーキレバーの他端が上記押し手に近付く作動姿勢と他端が上記押し手から離れる解除姿勢との間で上記ブレーキレバーが姿勢変化可能にされており、
上記ブレーキレバーが上記作動姿勢にあると上記制動装置が上記作動姿勢になっており、上記ブレーキレバーが上記解除姿勢にあると上記制動装置が上記解除姿勢になっている車いす。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。以下の説明では、説明の便宜上、車いすの前進向きが前向きとされ、後退向きが後向きとされる。左右方向は車いすの前進向きに向いた姿勢での方向を示している。
【0019】
図1及び
図2に示された車いす26は、左右一対の側フレーム28(28a、28b)、左右一対の背フレーム30(30a、30b)、左右一対の押し手32(32a、32b)、左右一対のアームフレーム33(33a、33b)、前後一対のクロスブレース34(34a、34b)、左右一対の前輪36(36a、36b)、左右一対の後輪38(38a、38b)、制動装置40、ブレーキレバー42、作動アーム46、解除レバー48、乗り手ブレーキ本体52、乗り手レバー54、第一ケーブル56、検知器58及び第二ケーブル60を備えている。押し手32bは、ブレーキレバー取付部44及び解除レバー取付部50を備えている。
【0020】
車いす26の右側で、背フレーム30bは、側フレーム28bの上部後方から上方向に延びている。押し手32bは、この背フレーム30bの上方から後方に延びている。アームフレーム33bは、側フレーム28bの上部前方から上方向に延びて、後方に屈曲している。その後方に屈曲して延びた先端は、背フレーム30bに結合されている。側フレーム28bの前部に前輪36bが取り付けられ、側フレーム28bの後部に後輪38bが取り付けられている。
【0021】
制動装置40は、マスターシリンダー62、ブレーキホース64、左右一対のキャリパ66(66a、66b)及び左右一対のディスク68(68a、68b)を備えている。キャリパ66bは、側フレーム28bに取り付けられ固定されている。ディスク68bは後輪38bと一体に取り付けられている。ディスク68bと後輪38bとは、側フレーム28bに対して回転可能に取り付けられている。このキャリパ66bは、このディスク68bを跨いで取り付けられている。
【0022】
ここでは、
図1及び
図2を参照しつつ、車いすの右側に位置する、側フレーム28b、背フレーム30b、押し手32b、前輪36b、後輪38b、キャリパ66b及びディスク68bについて説明がされたが、左側に位置する、側フレーム28a、背フレーム30a、押し手32a、前輪36a、後輪38a、キャリパ66a及びディスク68aも、同様に取り付けられている。
【0023】
図1に示されるように、前クロスブレース34aの右上端と後クロスブレース34bの右上端とは、右シートパイプ70bに固定されている。同様に、前クロスブレース34aの左上端と後クロスブレース34bの左上端とは、左シートパイプ70aに固定されている。シートパイプ70bは、前後方向に延びており、右側フレーム28bに支持されている。同様にシートパイプ70aは、前後方向に延びており、左側フレーム28aに支持されている。
図2に示されるように、前クロスブレース34aの下端は左右側フレーム28aと28bとに軸着されている。図示されないが、後クロスブレース34bの下端も、同様に左右側フレーム28aと28bとに軸着されている。
【0024】
この車いす26は、座シート72及び背シート74を備えている。座シート72の左端部がシートパイプ70aに取り付けられ、その右端がシートパイプ70bに取り付けられている。座シート72はシートパイプ70aとシートパイプ70bとの間に張られている。座シート72は、左右一対の側フレーム28aと28bとの間に張られている。背シート74の左端部が背フレーム30aに取り付けられ、その右端部が背フレーム30bに取り付けられている。背シート74は背フレーム30aと背フレーム30bとの間に張られている。
【0025】
ブレーキレバー取付部44は、右の押し手32bの前方部に位置している。ブレーキレバー42の一端は、ブレーキレバー取付部44に軸着されている。このブレーキレバー取付部44には、マスターシリンダー62が取り付けられている。このマスターシリンダー62を摺動するピストンがブレーキレバー42に連結されている。マスターシリンダー62とキャリパー66aのシリンダー及び66bのシリンダーとは、ブレーキホース64を介して連結されている。
【0026】
図3に示されるように、作動アーム46は、押当部としてのボルト76、軸孔78、ローラとしての一対のベアリング80、スペーサ82、ローラ軸84、ケーブル支持部86、係止軸88及び係止軸89を備えている。一対のベアリング80がスペーサ82をその間にしてローラ軸84に通される。このローラ軸84は、作動アーム46の上部に固定されている。作動アーム46の下部の軸孔78に、ブレーキレバー軸88が通されている。作動アーム46は、ブレーキレバー取付部44に軸着されている。この車いす26では、作動アーム46は、ブレーキレバー42と共に、ブレーキレバー軸88に回動可能に取り付けられている。ボルト76の先端は、ブレーキレバー42を押し手32bに向かって押し付ける向きに取り付けられている。
【0027】
作動弾性体としてのスプリング90は、その中央部をブレーキレバー軸88に係止され、一端を係止軸89に係止される。中央部を間にして一端と反対側に位置する他端部は、ブレーキレバー取付部44に係止される。このスプリング90は、ブレーキレバー取付部44に対して、作動アーム46のボルト76の先端を押し手32bに近付く向きに付勢する。このボルト76はブレーキレバー42に当接して、ブレーキレバー42の他端が押し手32bに近付く向きに付勢される。
【0028】
解除アーム取付部50は、中板92及び左右一対の基部94(94a、94b)を備えている。中板92は、ブレーキレバー取付部44に位置決めされて取り付けられている。基部94aと基部94bとは、中板92を挟み込んで、押し手32bに取り付けられている。この基部94a、中板92及び基部94bを貫通する軸孔96が形成されている。この軸孔96は、押し手32bの上方で左右方向に貫通している。
【0029】
解除レバー48は、レバー基部98、レバー把持部100及び解除レバー軸101を備えている。解除レバー軸101は、軸孔96に通される。レバー基部98の一端が、解除レバー軸101に軸着されている。レバー基部98の他端が押し手32bに近付く向きと押し手32bから離れる向きとに回動可能にされている。
【0030】
このレバー基部98には、下方に面する当接面102が形成されている。当接面102は、レバー基部98の一端他端方向に延びる面である。この当接面102は、ベアリング80の外周面が当接する位置に形成されている。当接面102の一端側部分と他端側部分とに凹状面が形成されている。凹状面は、ベアリング80から離れる向きに凹んでいる。この一端側部分と他端側部分との間には凸状面103が形成されている。凸状面103は、当接するベアリング80の向きに突出して形成されている。
【0031】
レバー把持部100の一端がレバー基部98の他端に軸着されている。レバー把持部100の他端が押し手32bに近付く向きと押し手32bから離れる向きに回動可能にされている。レバー基部98とレバー把持部100との間には、弾性体としての解除レバースプリング104が配置されている。この解除レバースプリング104は、レバー把持部100の他端が押し手32bに近付く向きに回動するように付勢している。このレバー把持部100の他端が押し手32bに近付く向きに回動させられると、レバー把持部100の一端部がレバー基部98の他端部に当接する。この当接した状態にあるレバー把持部100の姿勢が当接姿勢である。当接姿勢にあるレバー把持部100の他端がさらに押し手32bに近付く向きに回動させられると、レバー基部98の他端が押し手32bに近付く向きに回動するようにされている。
【0032】
第一ケーブル56は、第一ワイヤー106と、この第一ワイヤー106が通されている第一チューブ108とを備えている。この第一チューブ108の一端は、作動アーム46のケーブル支持部86に支持されている。第一ワイヤー106の一端は、解除レバー48のレバー基部98に係止ピン110を介して係止されている。
【0033】
乗り手ブレーキ本体52は、側フレーム28bの前方に固定されている(
図1参照)。車いす26に着座した使用者が操作し易い位置に配置されている。
図4に示されるように、この乗り手ブレーキ本体52の前方に、第一アーム114の一端が軸着されている。第一アーム114の他端が回動可能にされている。第一アーム114の他端には、第一ワイヤ106が連結されている。この乗り手ブレーキ本体52は、後下方に延びる第一支持部116が形成されている。第一チューブ108は、第一支持部116に支持されている。
【0034】
検知アームとしての第二アーム118の一端は、乗り手ブレーキ本体52の中央付近に軸着されている。この第二アーム118は、その上面に突出部120が形成されている。第二アーム118の他端が他方の向き(上向き)に回動すると、突出部120が他方の向き(上向き)に回動する。第二ケーブル60は、第二ワイヤー122及び第二チューブ124を備えている。第二ワイヤー122の一端が、第二アーム118の他端に連結されている。この乗り手ブレーキ本体52は、上前方に延びる第二支持部126が形成されている。第二チューブ124は、第二支持部126に支持されている。
【0035】
乗り手レバー54の一端に、第一リンク128の一端が固定されている。この乗り手レバー54と第一リンク128とが乗り手ブレーキ本体52に軸着されている。第一リンク128の他端は第二リンク130の一端に軸着されている。第二リンク130の他端は、第一アーム114の一端と他端との間に軸着されている。
【0036】
図5に示されるように、検知器58は、筒体132、摺動部134、ロッド136、ヘッド138、クランプ140及びスプリング142を備えている。摺動部134は、筒体132に上下方向に摺動可能に支持されている。摺動部134の上部にはロッド136の下端が固定されている。ロッド136の上端にはヘッド138が固定されている。摺動部134の下端部と筒体132との間に弾性体としてスプリング142が配置されている。このスプリング142が筒体132に対して摺動部134を上方に付勢している。摺動部134の下端部には第二ワイヤー122の一端が連結されている。筒体132に下端部には第二チューブ124の一端が連結されている。
【0037】
筒体132とクランプ140との間に取付孔144が形成されている。この取付孔144にクロスメンバー34aが通される。筒体132とクランプ140とがネジ止めされて、検知器58がクロスメンバー34aに固定される(
図1及び
図2参照)。ヘッド138は、座シート72の下面に接して位置している。
【0038】
この
図6(a)では、スプリング90が作動アーム46のボルト76を押し手32bに近付く向きに回動させている。作動アーム46のボルト76がブレーキレバー42に押し当てられている。作動アーム46は、ブレーキレバー42の他端を押し手32bに近付く向きに回動させている。作動アーム46のベアリング80が解除レバー48の当接面102に押し当てられている。作動アーム46は、解除レバー48(レバー把持部100)の他端が押し手32bから離れる向きに、解除レバー48を回動させている。このブレーキレバー42、作動アーム46及び解除レバー48は、それぞれ作動姿勢にある。
【0039】
図6(b)では、レバー把持部100に押し手32bに近付く向きに矢印F1の力が加えられている。解除レバー48のレバー基部98の他端が押し手32bに近付く向きに回動している。レバー基部98の当接面102が作動アーム46のベアリング80に押し当てられている。解除レバー48は、ボルト76が押し手32bから離れる向きに作動アーム46を回動させている。ボルト76とブレーキレバー42との当接が解除されている。ブレーキレバー42の他端は、押し手32bから離れる向きに回動している。このブレーキレバー42、作動アーム46及び解除レバー48は、それぞれ解除姿勢にある。
【0040】
図6(c)では、矢印F1の力が加えられた状態で、さらに、ブレーキレバー42の他端が押し手32bに近付く向きに矢印F2の力が加えられている。作動アーム46及び解除レバー48は、解除姿勢にある。ブレーキレバー42の他端が押し手32bに近付く向きに回動させられている。このブレーキレバー42は作動姿勢にある。
【0041】
図7(a)では、スプリング142の付勢力により、摺動部134、ロッド136及びヘッド138が筒体132に対して上方に押し上げられている。第二ワイヤー122は、検知器58側に引かれている。この検知器58は非検知姿勢にある。
【0042】
図7(b)では、検知器58に矢印F3の力が加えられている。スプリング142の付勢力に抗して、摺動部134、ロッド136及びヘッド138が下方に押し下げられている。第二ワイヤー122は、乗り手ブレーキ本体52側に引かれている。この検知器58は検知姿勢にある。
【0043】
図8(a)では、第一ワイヤー106が解除レバー48側に引かれている。第一アーム114の他端は、第一ワイヤー106に引かれて後方に回動している。第一リンク128の他端と第二リンク130の一端とが上方に回動している。この乗り手ブレーキ本体52は作動姿勢にある。第一リンク128の他端が上方に回動することで、乗り手レバー54の他端は後方に回動している。この乗り手レバー54は他方の向きに回動した作動姿勢にある。第二ワイヤー122が検知器58側に引かれている。第二アーム118の他端は、第二ワイヤー122に引かれて上方に回動している。突出部120が第一リンク128の他端と第二リンク130の一端に近付く位置に回動している。この第二アーム118は非検知姿勢にある。
【0044】
図8(b)では、第二アーム118は、検知器58のスプリング142の付勢力より弱い付勢力のスプリングにより、第二ワイヤー122を第二アーム118側に引く向きに付勢されている。これにより、検知器58が検知姿勢にあると、第二ワイヤー122は、第二アーム118側に引かれている。第二アーム118の他端が下方に回動している。突出部120が第一リンク128の他端と第二リンク130の一端から離れる位置に回動している。この第二アーム118は検知姿勢にある。
図8(b)では、乗り手ブレーキ本体52及び乗り手レバー54は作動姿勢にある。
【0045】
図8(c)では、乗り手レバー54の他端が前方に回動している。この乗り手レバー54は、一方の向きに回動した解除姿勢にある。第一リンク128の他端と第二リンク130の一端とが下方に回動している。第一アーム114の他端が第一ワイヤー106を第一アーム114側に引く向きに回動している。この乗り手ブレーキ本体は、解除姿勢にある。
図8(c)では、この第二アーム118は検知姿勢にある。
【0046】
図9は、
図8(c)の矢印IXで示される部分拡大図である。
図9の点P1は、第一リンク128の一端の回転中心を示している。点P2は、第二リンク130の他端の回転中心を示している。点P3は、第一リンク128の他端と第二リンク130の一端との回転中心を示している。一点鎖線L1は、点P1と点P2とを結ぶ直線が示されている。
図9に示されるように、点P3は直線L1より距離D1だけ下方に位置している。
【0047】
第一ワイヤー106は、スプリング90の付勢力により、解除レバー48側に引かれている。第一リンク128と第二リンク130とは、点P1と点P2とが近付く向きに付勢力を受けている。第一リンク128の他端と第二リンク130の一端とが第二アーム118の突出部120に当接している。これにより、使用者が乗り手レバー54から手を離しても、乗り手ブレーキ本体52と乗り手レバー54との解除姿勢が維持されている。
【0048】
介助者が押し手32bから手を離しており、使用者が着座していない状態の車いす26では、
図6(a)に示されるように、作動アーム46、ブレーキレバー42、解除レバー48は作動姿勢にある。
図7(a)に示されるように、検知器58は非検知姿勢にある。
図8(a)に示されるように、乗り手ブレーキ本体52及び乗り手レバー54は作動姿勢にある。第二アーム118は、非検知姿勢にある。
【0049】
ブレーキレバー42が作動姿勢にあると、マスターシリンダー62の油圧が上昇する。この油圧がブレーキホース64を介してキャリパ66a及びキャリパ66bに伝えられる。キャリパ66aがディスク68aに摩擦材を押し付ける。キャリパ66bがディスク68bに摩擦材を押し付ける。こうして、後輪38a及び後輪38bが制動される。この車いす26では、後輪38a及び38bが制動されている。
【0050】
この車いす26の押し手32bを、介助者が解除レバー48のレバー把持部100と共に握る。
図6(b)に示されるように、解除レバー48、作動アーム46及びブレーキレバー42が解除姿勢になる。後輪38a及び後輪38bの制動が解除される。介助者が押し手32bと解除レバー48とを握った状態で、この車いす26は走行させられる。
【0051】
介助者が押し手32bと解除レバー48とを握った状態で、さらに、ブレーキレバー42を握る。
図6(c)に示されるように、ブレーキレバー42が作動姿勢になる。後輪38a及び38bが制動される。この車いす26は停止する。介助者がブレーキレバー42の握る力を抜くと、
図6(b)に示されるように、ブレーキレバー42は解除姿勢になる。車いす26は、走行させられる。
【0052】
この車いす26では、解除レバー48が解除姿勢にあると、作動アーム46は解除姿勢になっている。作動アーム46が解除姿勢にあると、ブレーキレバー42が作動姿勢と解除姿勢との間で回動可能になっている。
【0053】
介助者が押し手32bから手を離すと、スプリング90の付勢力により、作動アーム46が作動姿勢になる。作動アーム46が作動姿勢になると、ブレーキレバー42及び解除レバー48が作動姿勢になる。このブレーキレバー42、作動アーム46及び解除レバー48は、
図8(a)の状態に戻る。ブレーキレバー42が作動姿勢になることで、後輪38aと38bとが制動される。
【0054】
この車いす26に使用者が着座する。
図7(b)に示されるように、スプリング142の付勢力に抗して、摺動部134が下方に押し下げられる。検知器58は検知姿勢になる。
図8(b)に示されるように、第二アーム118の他端が下方に回動する。第二ワイヤー122が第二アーム118側に引かれる。突出部120が下方に回動する。乗り手レバー118は、検知姿勢になる。
【0055】
着座した使用者が、乗り手レバー54の他端を前方に回動する。
図8(c)に示されるように、乗り手ブレーキ本体52及び乗り手レバー54が解除姿勢に変化する。第一アーム114が第一ワイヤー106を第一アーム114側に引く。第一ワイヤ106に引かれて、解除レバー48が作動姿勢から解除姿勢に変化する。解除レバー48押されて、作動アーム46が作動姿勢から解除姿勢に変化する。
図6(a)の状態から
図6(b)の状態に変化する。こうして、この車いす26が走行させられる。
【0056】
使用者が、乗り手レバー54の他端を後方に回動する。
図8(b)に示されるように、乗り手ブレーキ本体52及び乗り手レバー54が作動姿勢に変化する。第一アーム114の他端が後方に回動して、第一ワイヤー106が弛められる。作動アーム46がスプリング90の付勢力により解除レバー48を作動姿勢に回動させる。作動アーム46が作動姿勢に回動する。ブレーキレバー42が作動姿勢にされる。後輪38a及び38bが制動される。この車いす26が停止する。
【0057】
使用者が、乗り手レバー54の他端を前方に回動することで、この後輪38a及び38bの制動が解除される。再び、この車いす26は走行可能になる。着座した使用者が立ち上がる。検知器58は検知姿勢から非検知姿勢に変化する。摺動部134が上方に移動して、第二ワイヤー122が引かれる。
【0058】
図9の二点鎖線は、非検知姿勢にある第二アーム118を示している。第二ワイヤ122が検知器58側に引かれると、第二アーム118は非検知姿勢になる。第二アーム118の他端が上方に回動してる。突出部120が第一リンク128の他端と第二リンク130の一端とを押し上げる。回転中心点P3が直線L1を上方に越えて、第一アーム114の他端が第一ワイヤー106に引かれて回動する。この点P3が直線L1を上方に越えることで、乗り手ブレーキ本体52と乗り手レバー54とは解除姿勢から作動姿勢に変化して、
図8(a)の状態に戻る。
【0059】
乗り手ブレーキ本体52が作動姿勢にあると、作動アーム46がスプリング90の付勢力により解除レバー48を作動姿勢に回動させる。作動アーム46が作動姿勢に回動する。ブレーキレバー42が作動姿勢にされる。ブレーキレバー42、作動アーム46及び解除レバー48は、
図6(b)の状態から
図6(a)の状態に変化する。後輪38a及び38bが制動される。この車いす26が停止する。このように、着座した使用者が立ち上がると、車いす26は停止する。
【0060】
図10には、解除レバー48、作動アーム46及びブレーキレバー42が解除姿勢にある状態が示されている。
図8(c)に示されたように、使用者が乗り手レバー54の他端を前方に回動させと、解除レバー48は解除姿勢になる。
図10の二点鎖線は、解除姿勢にある解除レバー48において、レバー把持部100がスプリング104(
図3参照)の付勢力に抗して押し手32bから離れる向きに回動させられた状態が示されている。この二点鎖線で示されているレバー把持部100の姿勢が非当接姿勢である。
【0061】
使用者が乗り手レバー54の他端を前方に回動させると、解除レバー48が押し手32bに近付く向きに回動する。レバー把持部100も押し手32bに近付く向きに回動する。介助者がレバー把持部100を握らずに押し手32bを握っていると、レバー把持部100と押し手32bとに手を挟まれる。このレバー把持部100は、
図9の2点鎖線で示されるように非当接姿勢に回動可能にされている。これにより、押し手32bを握る介助者の手が挟まれることが抑止されている。ここでは、介助者が乗り手レバー54を操作した場合について説明がされたが、着座している使用者が立ち上がった場合にも、同様に介助者の手の挟み込みが抑止されている。
【0062】
この車いすは、介助者が解除レバー48及び押し手32bを握った状態で走行させられる。介助者が手を離すと車いす26が停止する。この車いす26は安全性に優れている。
【0063】
この車いす26では、介助者が解除レバー48から手を離した状態で、使用者が着座姿勢から立ち上がると、後輪38a及び38bが制動される。介助者が解除レバー48から手を離した状態で、使用者が着座していない状態では、後輪38a及び38bが制動されている。この車いす26は、使用者が安全に乗り降りできる。
【0064】
作動アーム46は、ブレーキレバー42を作動し解除している。解除レバー48は、その作動アーム46を作動し解除している。この作動アーム46及び解除レバー48は、ブレーキレバー42を備えた車いすに後付可能にされている。
【0065】
この車いす26では、乗り手ブレーキ本体52、乗り手レバー54及び第一ワイヤ106を備えることで、ブレーキレバー42による制動及び制動解除がされている。この車いす26は、乗り手ブレーキとして、ブレーキレバー42による操作が兼用されている。この乗り手ブレーキ本体52及び乗り手レバー54は、ブレーキレバー42を備えた車いすに後付可能にされている。
【0066】
この車いす26では、解除レバー48に形成された当接面102が、作動アームの上部に位置するベアリング80に当接している。作動姿勢にある解除レバー48の他端が押し手32bに近付く向きに回動されると、この当接面102にベアリング80が転がりながら当接する。これにより、解除レバー48による作動アーム46の回動の抵抗が小さくされている。
【0067】
解除レバー48と作動アーム46とが解除姿勢から作動姿勢に変化するときに、ベアリング80は当接面102の凸状面103を転がり接触しながら乗り越えている。ベアリング80が凸状面103を乗り越えるときに、作動アーム46と解除レバー48とが解除姿勢にあるときより、作動アーム46のボルト76が押し手32bから離れる向きに大きく回動している。大きく回動することで、この作動アーム46がスプリング30から受ける付勢力は、作動アーム46と解除レバー48とが解除姿勢にあるときより大きい。これにより、作動アーム46と解除レバー48とが解除姿勢にあるき、把持レバー100と押し手32bとを共に握りやすくされている。このベアリング80が解除レバー48に取り付けられ、当接面102が作動アーム46に形成されても同様の効果が得られる。
【0068】
この車いす26では、ブレーキレバー42、作動アーム46及び解除レバー48は、押し手32bに取り付けられたが、左の押し手32aに取り付けられてもよい。制動装置40のディスクブレーキに代えて、ドラムブレーキが用いられてもよいし、車輪の外周面に押圧体を押し付けるブレーキが用いられてもよい。また、制動装置40は油圧により作動されているが、ワイヤーによるものであってもよい。
【0069】
この車いす26では、解除レバー48が作動姿勢にあると作動アーム46が作動姿勢にあり、解除レバー48が解除姿勢にあると作動アーム46が解除姿勢にあればよい。この観点から、ここでは解除レバー48が押し手32bに取り付けられたが、解除レバー48は作動アーム46に一体に又は軸着されて取り付けられてもよい。