(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記返送ラインは、前記生物処理水槽と前記膜分離装置との間に前記濃縮水を供給する分岐ラインと、前記分岐ラインの下流側に設けられて前記返送ラインを流れる前記濃縮水の流量を調整する第二流量調整弁と、を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生物処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態の生物処理装置、生物処理方法、及びプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の生物処理装置100は、被処理水W1(し尿、浄化槽汚泥を含む有機性廃水)に含まれる有機物を処理する生物処理水槽11と、生物処理水槽11から流出する供給水W2が収容される原水槽12と、原水槽12から供給される供給水W3を透過水PWと濃縮水W4とに分離する膜分離装置1と、透過水PWの流量(流路抵抗)を調整する第一流量調整弁23(背圧調整装置)と、透過水PWを貯留する貯留槽20と、濃縮水W4を生物処理水槽11に返送する返送ライン19と、制御装置13と、を備えている。
【0019】
制御装置13は、生物処理装置100の各部を制御して各種機能を実行する。制御装置13は、例えば生物処理装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0020】
図2に示すように、膜分離装置1は、ケーシング2と、ケーシング2を管状濾過膜3の一方の側である濃縮側空間Sと管状濾過膜3の他方の側である透過側空間Pとに区画する管状濾過膜3と、を有している。濃縮側空間Sには供給水W3が供給され、透過側空間Pには、供給水W3から分離される透過水PWが収容される。
膜分離装置1は、複数の管状濾過膜3の内側に供給水W3を循環させながら濾過する方式を用い、供給水W3から透過水PWを取り出す装置である。
【0021】
図1に示すように、生物処理装置100は、原水槽12から供給される供給水W3(生物処理水槽11から流出する供給水W2)を加圧して膜分離装置1の濃縮側空間Sに供給する加圧ポンプ21と、膜分離装置1の透過側空間Pを吸引する吸引ポンプ22と、を有している。
【0022】
加圧ポンプ21は、回転数制御により加圧力を変更して、膜面流速(管状濾過膜3の内側を供給水W3が流れる速度)を変更する機能を有している。本実施形態の加圧ポンプ21の可動範囲は、膜面流速で換算すると0.15m/sから0.60m/sである。この可動範囲を外れて加圧ポンプ21を稼働させることは、本実施形態の管状濾過膜3の仕様に対して好ましくない。
【0023】
吸引ポンプ22は、回転数制御により透過側空間Pからの吸引力を変更する機能を有している。本実施形態の吸引ポンプ22の下限周波数は6Hzであり、上限周波数は60Hzである。これにより、吸引ポンプ22は、透過側空間Pの圧力を任意に変更することができる。
【0024】
生物処理水槽11は、例えば、硝化菌と脱窒菌の作用により液中のBOD、窒素化合物等を分解除去する。生物処理水槽11には、第一ライン15を介して被処理水W1が供給される。生物処理水槽11と原水槽12とは第二ライン16によって接続されている。
【0025】
原水槽12と膜分離装置1とは供給ライン17を介して接続されている。加圧ポンプ21は、供給ライン17に設けられている。原水槽12から排出される供給水W3は、加圧ポンプ21によって加圧されながら、膜分離装置1の濃縮側空間Sに供給される。
供給ライン17には、供給ライン17を流れる供給水W3の流量を計測する第一流量計25と、供給ライン17を流れる供給水W3の圧力を計測する第一圧力計26と、が設けられている。
【0026】
膜分離装置1から分離される透過水PWは、透過水ライン18に導入される。透過水ライン18は、貯留槽20に接続されている。第一流量調整弁23及び吸引ポンプ22は、透過水ライン18に設けられている。本実施形態の第一流量調整弁23は、吸引ポンプ22の下流側に設けられているがこれに限ることはない。第一流量調整弁23を吸引ポンプ22の上流側に設けてもよい。
【0027】
第一流量調整弁23は、透過水ライン18を流れる透過水PWの流路抵抗を調整して管状濾過膜3の透過側空間Pの背圧を調整する背圧調整装置として機能する。例えば、第一流量調整弁23の開度を20%とすることで、透過側空間Pの背圧は大きくなり、第一流量調整弁23の開度を100%とすることで、透過側空間Pの背圧は小さくなる。第一流量調整弁23の開度を小さくする方向に制御することにより、透過側空間Pの背圧を増加させることができる。第一流量調整弁23の開度を大きくする方向に制御することにより、透過側空間Pの背圧を減少させることができる。
【0028】
透過水ライン18には、透過水ライン18を流れる透過水PWの流量を計測する第二流量計27と、透過水ライン18を流れる透過水PWの圧力を計測する第二圧力計28と、が設けられている。
【0029】
透過水PWが分離されて膜分離装置1から排出される濃縮水W4は、余剰汚泥を除く全量が返送ライン19に導入されて、少なくとも一部が生物処理水槽11に返送される。生物処理水槽11から流出した供給水W2は、原水槽12、膜分離装置1を介して、生物処理水槽11に戻る。即ち、生物処理水槽11から流出した供給水W2は、生物処理装置100を構成するラインを循環する。
【0030】
返送ライン19には、サイホンブレーカー40が設けられている。サイホンブレーカー40は、枝管41と、弁42とを有している。
返送ライン19上であって、膜分離装置1とサイホンブレーカー40との間には、返送ライン19を流れる濃縮水W4の圧力を測定する第三圧力計44が設けられている。
【0031】
返送ライン19は、返送ライン19の途中から分岐して原水槽12に濃縮水W4を供給する分岐ライン45を有している。なお、原水槽12は必ずしも設ける必要はない。原水槽12を設けない場合は、分岐ライン45は、生物処理水槽11と加圧ポンプ21との間のラインに接続される。
【0032】
返送ライン19上であって、分岐ライン45の分岐点Dよりも下流側には、生物処理水槽11に供給される濃縮水W4の流量を調整する第二流量調整弁24、及び生物処理水槽11に供給される濃縮水W4の流量を計測する第三流量計43が設けられている。第三流量計43は、第二流量調整弁24の下流側(第二流量調整弁24と生物処理水槽11の間)に設けられている。
【0033】
圧力計26,28,44、及び流量計25,27,43は制御装置13と電気信号ケーブルを介して接続されている。
第一圧力計26と第二圧力計28と第三圧力計44とは、膜分離装置1の膜間差圧を計測する膜間差圧計測装置14として機能する。制御装置13は、第一圧力計26によって計測される供給水W3の圧力と、第二圧力計28によって計測される透過水PWの圧力と、第三圧力計44によって計測される濃縮水W4の圧力とから、膜分離装置1の膜間差圧を算出する。
【0034】
生物処理装置100は、膜分離装置1の管状濾過膜3の洗浄を行う洗浄装置29を有している。洗浄装置29は、物理洗浄によって洗浄を行う装置であってもよいし、薬品洗浄によって洗浄を行う装置であってもよいし、これら両方によって洗浄を行う装置であってもよい。
物理洗浄は、例えば、逆圧洗浄、スクラビング、フラッシング、ボール洗浄などの物理的な方法で洗浄を行う洗浄方式である。薬品洗浄は、酸、アルカリ、酸化剤、洗剤などを用いて洗浄を行う洗浄方式である。
【0035】
制御装置13は、透過水PWの流量、膜間差圧、被処理水W1の流量などに基づいて加圧ポンプ21、吸引ポンプ22、第一流量調整弁23、第二流量調整弁24、及び洗浄装置29などを制御する。制御装置13は、透過水PWの流量と膜間差圧に基づいて第一流量調整弁23(背圧調整装置)を制御する背圧調整部13aと、例えば、第一流量調整弁23の可動範囲が限界に達したときに、加圧ポンプ21などの設定変更を行う設定変更部13bと、洗浄装置29を制御する洗浄制御部13cと、を有している。
【0036】
また、制御装置13は、生物処理水槽11に導入される濃縮水W4の流量を調整する機能を有している。制御装置13は、第三流量計43によって測定される濃縮水W4の流量が所定値を超えた場合に、生物処理水槽11に導入される濃縮水W4の流量が所定値以下になるように、第二流量調整弁24を制御する。これにより、一部の濃縮水W4は、分岐ライン45に導入される。
【0037】
次に、膜分離装置1の詳細について説明する。
図2に示すように、ケーシング2は、ケーシング本体4と、ケーシング本体4の下方に形成された供給水導入口7と、ケーシング本体4の上方に形成された濃縮水排出口8と、ケーシング本体4に形成された透過水排出口9と、を有している。
【0038】
ケーシング本体4は、円筒形状の円筒部4aと、円筒部4aの上端を閉鎖する第一円錐部5と、円筒部4aの下端を閉鎖する第二円錐部6と、を有している。第一円錐部5は、上方に向かうに従って漸次縮径するテーパ状をなしている。第二円錐部6は、下方に向かうに従って漸次縮径するテーパ状をなしている。
本実施形態の膜分離装置1は下方から管状濾過膜3に導入された供給水W3が、管状濾過膜3内を上方に向かって流れる構成とされている。
【0039】
膜分離装置1は、ケーシング2の内部を三つの空間に分割する第一隔壁30と第二隔壁31と、を備えている。第一隔壁30と第二隔壁31とには、複数の挿通孔32が形成されている。挿通孔32は、第一隔壁30及び第二隔壁31の板厚方向に貫通する孔である。挿通孔32の内径は、管状濾過膜3の外径よりもやや大きい。
複数の管状濾過膜3は、ケーシング2の内部において軸線A方向(本実施形態では鉛直方向)に延在して、一端が第一隔壁30に連結され、他端が第二隔壁31に連結されている。
【0040】
第一隔壁30は、板形状をなす部材であり、ケーシング2の延在方向の上方(第一円錐部5の側)に固定されている。ケーシング本体4と、第一隔壁30と、第一円錐部5とによって囲まれる空間は、第一ヘッダ空間S1である。第一ヘッダ空間S1は、ケーシング2の内部空間における第一隔壁30よりも上方の空間である。
第二隔壁31は、板形状をなす部材であり、ケーシング2の延在方向の下方(第二円錐部6の側)に固定されている。ケーシング本体4と、第二隔壁31と、第二円錐部6とによって囲まれる空間は、第二ヘッダ空間S2である。第二ヘッダ空間S2は、ケーシング2の内部空間における第二隔壁31よりも下方の空間である。
【0041】
ケーシング本体4と、第一隔壁30と、第二隔壁31とによって囲まれ、かつ、管状濾過膜3の外周側の空間は、透過側空間Pである。複数の管状濾過膜3から取り出された透過水PWは、透過側空間Pに排出された後、透過水排出口9を介して透過水ライン18に導入される。
【0042】
供給水導入口7は、ケーシング2の外部と第二ヘッダ空間S2とを連通させる開口である。供給水導入口7は、ケーシング本体4の第二円錐部6に形成されている。
濃縮水排出口8は、ケーシング2の外部と第一ヘッダ空間S1とを連通させる開口である。濃縮水排出口8は、ケーシング本体4の第一円錐部5に形成されている。
【0043】
透過水排出口9は、ケーシング2の外部と透過側空間Pとを連通させる開口である。透過水排出口9は、ケーシング本体4の円筒部4aの上部に設けられている。
【0044】
濃縮側空間Sは、供給水W3が導入される空間であり、第一ヘッダ空間S1、管状濾過膜3の内周側の空間である濾過膜内空間S3、及び第二ヘッダ空間S2である。
透過側空間Pは、供給水W3から分離された透過水PWが収容される空間である。
【0045】
各々の管状濾過膜3の一端は、第一隔壁30の挿通孔32に挿通された上で、挿通孔32の内周面に固定されている。挿通孔32の内周面と管状濾過膜3の外周面との間は、シール材(図示せず)によってシールされている。シール材としては、エポキシ樹脂やウレタン樹脂など、初期に粘性を持ち、経時的に硬化する材料が好ましい。
各々の管状濾過膜3の他端は、管状濾過膜3の一端と同様の方法で第二隔壁31の挿通孔32に固定されている。
【0046】
管状濾過膜3は、円筒形状をなし、単一主要構成素材に親水性モノマーが共重合された単層構造の高分子濾過膜を有している。
即ち、高分子濾過膜は、主要材料が一種類の素材によって形成されている。主要材料が一種類の素材によって形成されているということは、高分子濾過膜を形成する素材(例えば、樹脂)において、一種類の樹脂が50質量%以上を占めていることを意味する。
また、主要材料が一種類の素材によって形成されているということは、その一種類の素材の性質が構成素材の性質を支配していることを意味する。具体的には、一種類の樹脂が50質量%−99質量%を有する素材を意味する。但し、この膜を支持する支持体がある場合、当該支持体は上記高分子膜と同一の材質でも異なる材質でも良い。
【0047】
高分子濾過膜を構成する主要材料としては、塩化ビニル系樹脂、ポリスルホン(PS)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリエーテルスルフォン系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリイミド(PI)系などの高分子材料を用いることができる。
【0048】
管状濾過膜3を構成する主要材料としては、特に塩化ビニル系樹脂が好ましい。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体(塩化ビニルホモポリマー)、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体、これらの塩化ビニルモノマー単位が塩素化されたものからなる(共)重合体などが挙げられる。
【0049】
親水性モノマーとしては、例えば、
(1)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造などのカチオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩、
(2)水酸基、アミド基、エステル構造、エーテル構造などの親水性の非イオン性基含有ビニルモノマー、
(3)カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩、
(4)その他のモノマー等が挙げられる。
【0050】
管状濾過膜3の管径は、供給水W3の性状等によって適宜選択することができ、例えば供給水W3について粗繊維量αが200mg/リットル以下の場合は、管状濾過膜3の内径を5mm以下、粗繊維量αが200mg/リットルより大きく500mg/リットルより小さい場合は、管状濾過膜3の内径を5mm−10mm、粗繊維量αが500mg/リットル以上の場合は、管状濾過膜3の内径を10mm以上とすることができる。管径を選択する事によって、粗繊維分による管状濾過膜3の閉塞を抑制することができる。
【0051】
次に、本実施形態の生物処理装置100の作用について説明する。
し尿などの被処理水W1は、図示しない前処理設備にて前処理が施された後、第一ライン15を介して生物処理水槽11に送られる。被処理水W1は、生物処理水槽11において処理される。具体的には被処理水W1に含まれる有機性物質が微生物によって分解される。
次いで、生物処理水槽11から流出した供給水W2は、原水槽12に貯留された後、加圧ポンプ21を介して膜分離装置1に供給される。膜分離装置1に供給された供給水W3は、膜分離装置1の管状濾過膜3内に送り込まれる。加圧ポンプ21は、後述のように制御装置13により運転の制御がなされる。
【0052】
一方、膜分離装置1のケーシング2内における透過側空間Pは吸引ポンプ22の作動により、負圧となる。吸引ポンプ22は、透過水排出口9を通して管状濾過膜3を流れる供給水W3の流れに対して略直交する方向に吸引する。吸引ポンプ22は、後述のように制御装置13により運転の制御がなされる。管状濾過膜3から透過された透過水PWは、透過水排出口9及び透過水ライン18を介して貯留槽20に貯留される。
【0053】
膜分離装置1から排出された濃縮水W4(返送汚泥)は、余剰汚泥を除く全量が返送ライン19に導入される。濃縮水W4の少なくとも一部は、生物処理水槽11に返送されて、再度、処理が行われる。
【0054】
次に、加圧ポンプ21、吸引ポンプ22、及び第一流量調整弁23の詳細な制御方法である本実施形態の生物処理装置100の制御方法(生物処理方法)について説明する。本実施形態の生物処理装置100の制御装置13は、以下の制御I、制御II、及び制御IIIを順に実行することによって、生物処理装置100の制御、特に透過水PWの流量の制御を行う。
【0055】
本実施形態の膜分離装置1は、親水性モノマーが共重合された単層構造を有する管状濾過膜3を有しており、親水機能を有する材料特性から低流量(膜面流速:0.15m/s〜0.60m/s)、低圧(供給水W3の圧力:0.1MPa以下)での透過水PWの取水が可能である。生物処理装置100の制御装置13は、この特性を生かしつつ、管状濾過膜3のファウリングの進行を考慮した制御を行う。
【0056】
〔制御I〕
図3に示すように、本実施形態の生物処理装置100を用いる生物処理方法の制御Iは透過水PWの流量を調整するため、運転工程S11と、膜間差圧判定工程S12と、背圧調整工程S13と、調整範囲判定工程S14と、を有している。
【0057】
運転工程S11は、運転条件の設定を行って加圧ポンプ21、吸引ポンプ22、及び第一流量調整弁23の制御を行う工程である。運転工程S11は、加圧ポンプ21を制御して膜分離装置1に供給水を加圧供給する加圧工程S11aと、吸引ポンプ22を制御して膜分離装置1の透過側空間Pから透過水PWを吸引する吸引工程S11bと、第一流量調整弁23の開度を20%に設定する開度設定工程S11cと、濃縮水W4を生物処理水槽11に返送する返送工程S11dと、を有している。
【0058】
運転条件は、生物処理装置100の仕様などに基づいて適宜決定することができる。
加圧工程S11aでは、制御装置13は、第一流量計25から受信した供給水W3の流量の値に基づき、膜面流速が0.15m/sとなるように加圧ポンプ21を制御する。
吸引工程S11bでは、制御装置13は、吸引ポンプ22が6Hzから20Hzの低周波数域で稼働するように吸引ポンプ22を制御する。開度設定工程S11cでは、制御装置13は、開度が20%となるように、第一流量調整弁23を制御する。また、これらの制御により、濃縮水W4が返送ライン19を介して生物処理水槽11に返送される(返送工程S11d)。
【0059】
以上の設定により、供給水W3が低流量となり、透過水PWが低圧力で吸引される。また、第一流量調整弁23の開度を小さくすることによって、FLUX(透過水PWの流出量)が計画値を満足する範囲に制御される。
【0060】
膜間差圧判定工程S12は、膜分離装置1の膜間差圧が第一の所定値以上か否かを判定する工程である。膜間差圧判定工程S12では、制御装置13は、膜間差圧計測装置14(第一圧力計26、第二圧力計28、第三圧力計44)によって計測された膜間差圧が第一の所定値以上に達したか否かを判定する。即ち、制御装置13は、透過水PWの流量計画値を満足するため、管状濾過膜3におけるファウリングの進行に伴い膜間差圧が上昇しているか否かを判定する。
この判定の結果、膜間差圧が第一の所定値より小さいと判定された場合(S12でNo)加圧、吸引を続行する。即ち、ファウリングの進行が許容範囲内と判定された場合は、運転条件を変化させることなく、運転を継続する。
【0061】
また、膜間差圧が所定値以上であると判定された場合(S12でYes)、背圧調整工程S13を実行する。背圧調整工程S13では、制御装置13の背圧調整部13aは、第一流量調整弁23を徐々に開けて、透過側空間Pの背圧を減少させる。即ち、第一流量調整弁23の開度を大きくすることで、透過水PWの流量の確保を行う。
【0062】
調整範囲判定工程S14は、透過水PWの流量計画値を満足するため、第一流量調整弁23(背圧調整装置)の調整範囲が限界(100%)に達したか否かを判定する工程である。調整範囲判定工程S14では、制御装置13は、背圧調整装置として機能する第一流量調整弁23の調整範囲(可動範囲)が上限(開度100%)に達したか否かを判定する。この判定の結果、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達していないと判定された場合(S14でNo)、第一流量調整弁23を徐々に開け続ける制御を行う。
一方、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達したと判定された場合(S14でYes)、それ以上の透過水PWの流量の増加は見込めないため、制御IIに進む。
【0063】
〔制御II〕
図4に示すように、生物処理方法の制御IIは、透過水PWの流量計画値を満足するため、第一設定変更工程S21と、第一膜間差圧判定工程S22と、第一背圧調整工程S23と、第一調整範囲判定工程S24と、第二設定変更工程S25と、第二膜間差圧判定工程S26と、第二背圧調整工程S27と、第二調整範囲判定工程S28と、を有している。
【0064】
第一設定変更工程S21は、制御Iの調整範囲判定工程S14において、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達した場合に運転条件の設定変更を行う工程である。第一設定変更工程S21では、制御装置13は、膜面流速が0.30m/sとなるように加圧ポンプ21の設定変更を行う。即ち、加圧ポンプ21の加圧力を増加させる。吸引ポンプ22の設定変更は行われない。
【0065】
加圧ポンプ21の加圧力が増加されることにより、膜面流速、及び供給水W3の流量が増加し、膜表面の洗浄効果が大きくなる。また、供給水W3の圧力の増加により、透過水PWの流量が増加する。
制御装置13は、開度が初期設定の値である20%となるように、第一流量調整弁23を制御する。これにより、透過水PWの流出量が計画値を満足する範囲に制御される。
【0066】
第一膜間差圧判定工程S22では、制御装置13は、膜間差圧計測装置14によって計測された膜間差圧が第二の所定値(第一の所定値より高い膜間差圧以上に達したか否かを判定する。
この判定の結果、膜間差圧が第二の所定値より小さいと判定された場合(S22でNo)加圧、吸引を続行する。
【0067】
また、膜間差圧が第二の所定値以上であると判定された場合(S22でYes)、第一背圧調整工程S23を実行する。制御装置13の背圧調整部13aは、第一流量調整弁23を徐々に開けて、透過側空間Pの背圧を減少させる。
【0068】
第一調整範囲判定工程S24では、制御装置13は、第一流量調整弁23の調整範囲が限界(100%)に達したか否かを判定する。この判定の結果、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達していないと判定された場合、第一流量調整弁23を徐々に開け続ける制御を行う。
一方、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達したと判定された場合、それ以上の透過水PWの流量の増加は見込めないため、加圧ポンプ21の設定変更を行う。
【0069】
第二設定変更工程S25は、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達した場合に再度運転条件の設定変更を行う工程である。第二設定変更工程S25では、制御装置13は、膜面流速0.60m/sとなるように加圧ポンプ21の設定変更を行う。即ち、制御装置13は、加圧ポンプ21により供給される供給水W3が大流量となるように設定変更を行う。
また、制御装置13は、開度が初期設定の値である20%となるように、第一流量調整弁23を制御する。これにより、透過水PWの流出量が計画値を満足する範囲に制御される。
【0070】
以下、第一膜間差圧判定工程S22、第一背圧調整工程S23、及び第一調整範囲判定工程S24と同様に、第二膜間差圧判定工程S26、第二背圧調整工程S27、及び第二調整範囲判定工程S28を実行する。
第二調整範囲判定工程S28で、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達したと判定された場合、それ以上の透過水PWの流量の増加は見込めないため、制御IIIに進む。
【0071】
また、特に、制御IIにおいては、供給水W3の増加に伴い濃縮水W4が増加するため、制御装置13は、第三流量計43によって計測された濃縮水W4の流量に基づいて第二流量調整弁24を制御する。これにより、生物処理水槽11に導入される濃縮水W4の流量が調整される。
【0072】
〔制御III〕
図5に示すように、生物処理方法の制御IIIは、透過水PWの流量計画値を満足させるため、設定変更工程S31と、膜間差圧判定工程S32と、背圧調整工程S33と、調整範囲判定工程S34と、洗浄工程S35と、を有している。
【0073】
設定変更工程S31は、制御IIの第二調整範囲判定工程S28において、第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達した場合に運転条件の設定変更を行う工程である。
設定変更工程S31では、制御装置13は、吸引ポンプ22が20Hzから40Hzで稼働するように吸引ポンプ22の設定変更を行う。加圧ポンプ21の設定変更は行われない。吸引ポンプ22による吸引力の増加により、透過水PWの流量が増加する。
制御装置13は、開度が初期設定の値である20%となるように、第一流量調整弁23を制御する。これにより、透過水PWの流出量が計画値を満足する範囲に制御される。
【0074】
膜間差圧判定工程S32では、制御装置13は、膜間差圧計測装置14によって計測された膜間差圧が第三の所定値(第二の所定値より高い膜間差圧)以上に達したか否かを判定する。
この判定の結果、膜間差圧が第三の所定値より小さいと判定された場合(S32でNo)加圧、吸引を続行する。
【0075】
また、膜間差圧が第三の所定値以上であると判定された場合(S32でYes)、制御装置13は、背圧調整工程S33を実行する。背圧調整工程S33は、膜間差圧が第三の所定値以上に増加した場合に透過側空間Pの背圧を減少させるとともに、吸引ポンプ22の吸引力を増加させる工程である。
背圧調整工程S33は、第一流量調整弁を調整する工程S33aと、吸引ポンプを調整する工程S33bと、を有している。
第一流量調整弁を調整する工程S33aでは、制御装置13の背圧調整部13aは、第一流量調整弁23を徐々に開けて、透過側空間Pの背圧を減少させる。吸引ポンプを調整する工程S33bでは、制御装置13は、吸引ポンプ22の吸引力を徐々に増加させる。即ち、制御装置13は、吸引ポンプ22の周波数を40Hzから徐々に増加させる。
【0076】
調整範囲判定工程S34は、吸引ポンプ22が最大周波数に達するとともに第一流量調整弁23の調整範囲が限界に達したか否かを判定する工程である。
調整範囲判定工程S34では、制御装置13は、第一流量調整弁23の調整範囲及び吸引ポンプ22の調整範囲が限界に達したか否かを判定する。この判定の結果、調整範囲の限界に達していないと判定された場合、第一流量調整弁23を徐々に開けるとともに吸引ポンプ22の吸引力を増加させ続ける制御を行う。
【0077】
一方、第一流量調整弁23及び吸引ポンプ22の調整範囲が限界に達したと判定された場合、それ以上の透過水PWの流量の増加は見込めないため、管状濾過膜3の洗浄を行う。
洗浄工程S35では、制御装置13の洗浄制御部13cは、洗浄装置29を制御して管状濾過膜3の洗浄を行う。
洗浄工程S35後は、制御装置13により膜間差圧が回復したと判定された場合は、制御Iに戻る。
【0078】
上記実施形態によれば、膜間差圧に基づいて管状濾過膜3の背圧を減少させることによって、ファウリングにより膜間差圧が上昇した場合においても第一流量調整弁23(背圧調整装置)の可動範囲を使って透過水PWの流量を調整することができる。
また、第一流量調整弁23の調整範囲の限界に達した場合、加圧力を増加させるとともに、背圧を増加させる(第一流量調整弁23を閉じる)ことによって、再び第一流量調整弁23の可動範囲を使って透過水PWの流量を調整することができる。
また、管状濾過膜3が親水性を有することで、濃縮側空間Sに供給される供給水W3の膜面流速が低く、供給水W3の圧力が低圧である場合においても透過水PWの取水が可能となる。
【0079】
また、加圧ポンプ21と吸引ポンプ22を併用して制御を行うことによって、生物処理水槽11へ返送する濃縮水W4の汚泥濃度(濃縮倍率)を調整することが可能となる。汚泥濃度を大きくする場合は、吸引力を大きく、加圧力を小さくする。汚泥濃度を小さくする場合は、吸引力を小さく、加圧力を大きくする。
【0080】
また、制御IIにおいて、加圧ポンプ21の加圧力を増加させて上限まで制御することによって、加圧ポンプ21の加圧力を増加させて膜面流速が上がることにより、管状濾過膜3の洗浄効果を生じさせることができる。
また、制御IIIにおいて、吸引ポンプ22の吸引力を増加させて上限まで制御した後、管状濾過膜3の洗浄を行うことによって、再度、加圧力及び吸引力を減少させることができる。また、加圧力と吸引力の両方を上限まで制御した後に洗浄を行うことによって、洗浄回数を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態の生物処理装置100は、膜面流速を低くすることができるため、循環流量を少なくすることができる。これにより、加圧ポンプ21の動力を低減することができる。また、循環水の流量が少なくなることにより、配管を小径化することができる。
【0082】
また、供給水W3の粗繊維量に応じて、管状濾過膜3の内径を選定することによって、管状濾過膜3が粗繊維分によって閉塞されることを抑制できる。
【0083】
また、ケーシング2の上部及び下部をテーパ状とすることによって、ヘッダ空間S1,S2に粗繊維物などが堆積したり、粗繊維物などが粒状になったりするのを防止することができる。即ち、ケーシング2が円筒形状である場合、端部の角部がデッドスペースとなるが、ケーシング2の上部及び下部をテーパ状とすることによって、デッドスペースを無くし、粗繊維物などの滞留を抑制することができる。
【0084】
また、膜分離装置1よりも低い位置に生物処理水槽11がある場合、加圧ポンプ21停止時、膜分離装置1の内部の液がサイホン効果により、透過水PWも含め全量が引き抜かれる。透過水PWが引き抜かれた場合、再度透過水PWが充填するまで吸引ポンプ22は無駄に稼働を継続するため、故障の要因となる。本実施形態の生物処理装置100は、返送ライン19にサイホンブレーカー40を設けることによって、装置停止時のサイホン効果による液の引き抜きを防止することができる。
【0085】
なお、上記実施形態では、返送ライン19にサイホンブレーカー40を設ける構成としたが、これに限ることはない。例えば、返送ライン19に圧力開放タンクを設ける構成としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、制御IIにて加圧ポンプ21の加圧力を増加させた後、制御IIIにて吸引ポンプ22の吸引力を増加させる制御を行ったが、順番はこれに限ることはない。例えば、制御Iの後に、制御IIIの吸引ポンプ22の吸引力を増加させる制御を行い、制御IIIの後に制御IIを行ってもよい。
また、加圧ポンプ21の加圧力を増加させる制御と、吸引ポンプ22の吸引力を増加させる制御とを交互に行ったり、同時に行ったりしてもよい。
即ち、制御Iにおいて、第一流量調整弁23の調整装置が限界に達した後、加圧ポンプと吸引ポンプの少なくとも一方を制御する構成としてよい。
【0087】
また、上記実施形態では、制御IIIの背圧調整工程S33で吸引ポンプ22の吸引力を吸引ポンプ22の調整範囲の上限まで増加させているが、制御IIの加圧ポンプ21の制御と同様に、吸引力を二段階で増加させてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、透過側空間Pの背圧を調整する背圧調整装置として第一流量調整弁23を用いたがこれに限ることはない。例えば、膜分離装置1の下流側のラインを上方に延在させるとともに複数の開放弁を設け、透過水PWの水圧を変化させることにより透過側空間Pの背圧を変化させてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、膜分離装置1として、管状濾過膜3を並列に配列した膜分離装置1を採用したがこれに限ることはない。例えば、
図6に示すように、複数の管状濾過膜3を直列に接続してもよい。即ち、複数の管状濾過膜3の一端同士、及び管状濾過膜3の他端同士、を複数の管状濾過膜3が直列的に接続されるように接続する複数のU字状の第一接続部材46を有する構成としてもよい。
【0090】
このとき、直列に接続された複数の管状濾過膜3と流出水導入口とを管状の第二接続部材59で直接的に接続するとともに、直列に接続された複数の管状濾過膜3と濃縮水排出口8とを管状の第三接続部材60で直接的に接続してもよい。この場合、第一ヘッダ空間S1及び第二ヘッダ空間S2は無くてもよい。また、第一円錐部5と第二円錐部6をなくすなど、ケーシング2の構成を変更してもよい。
【0091】
また、上記実施形態の膜分離装置1は下方から管状濾過膜3に導入された供給水W3が、管状濾過膜3内を下方に向かって流れる構成であるがこれに限ることはない。ケーシング2の下部に濃縮水排出口8を設け、供給水W3が管状濾過膜3内を下方に向かって流れる構成としてもよい。
【0092】
なお、制御部装置の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0093】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態の生物処理装置を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。本実施形態と第一実施形態との相違点は、第一実施形態の生物処理装置100において、
図7に示す膜分離装置ユニット50を採用していることである。
図7に示すように、本実施形態の膜分離装置ユニット50において、複数の膜分離装置1Bは、膜分離装置ユニット50の筐体51内に、横向きで配置されている。即ち、膜分離装置1の円筒形状のケーシング2の軸線A(
図8参照)は、第一実施形態と異なり、水平方向に延在している。
【0094】
図8に示すように、膜分離装置1Bは、円筒形状のケーシング2と、複数の管状濾過膜3と、管状濾過膜3を補強する補強部材34と、を備えている。
【0095】
本実施形態の膜分離装置1Bは、各々の管状濾過膜3を補強する補強部材34を備えている。補強部材34は、各々の管状濾過膜3を外周側から覆っている筒状の部材である。管状濾過膜3は、補強部材34の内周側に挿通されている。
【0096】
図9に示すように、補強部材34は、管状濾過膜3の外周側に配置される筒状本体部35と、筒状本体部35の内周面35aに設けられた複数の支持部36と、筒状本体部35に形成された複数の貫通孔37と、を有している。
筒状本体部35は、円筒状をなしている。
図10に示すように、筒状本体部35の内径(内周面35aの直径)は、管状濾過膜3の外径より大きい。筒状本体部35の内周面35aと管状濾過膜3の外周面との間には、隙間Gが形成されている。管状濾過膜3の外径を、例えば、5mmとすると、筒状本体部35の内径は、例えば、7mmとすることができる。この場合、筒状本体部35の内周面35aと管状濾過膜3の外周面との間の隙間Gは2mmである。筒状本体部35は、管状濾過膜3との間の隙間Gが一定となるように形成されている。
【0097】
筒状本体部35の長さは、第一隔壁30と第二隔壁31との間の間隔と同じである。即ち、筒状本体部35の長さは、透過側空間Pに露出している管状濾過膜3の長さと同じである。
筒状本体部35は、例えば、チタンやアルミニウムなどの軽量の金属や、ポリアセタール樹脂などのプラスチックによって形成することができる。筒状本体部35の板厚は、補強部材34の強度を損なわない範囲で、可能な限り薄くすることが好ましい。
【0098】
支持部36は、筒状本体部35の軸線方向Da(延在方向)に延在する突起である。支持部36は、筒状本体部35の周方向に、間隔をあけて複数(本実施形態では8つ)形成されている。各々の支持部36の高さは、筒状本体部35の内周面35aと管状濾過膜3の外周面との間の隙間Gの幅と、略同一である。
【0099】
なお、本実施形態の補強部材34は、8つの支持部36を有しているが、管状濾過膜3を支持することができればこれに限ることはない。筒状本体部35と管状濾過膜3との間の空間、即ち、透過水PWが排出される空間をより広く確保するためには、支持部36の数を3つにするなど、できるだけ少ないことが好ましい。
また、上記実施形態では、支持部36が筒状本体部35の軸線方向Daに連続して形成されているが、これに限ることはない。支持部36は、筒状本体部35と管状濾過膜3との間の空間を埋めることなく、この空間を可能な限り確保しながら、管状濾過膜3を支持できればよい。例えば、支持部36は、軸線方向Daに断続的に形成されてもよい。また、管状濾過膜3を互いに離間する複数の支持突起により点支持する構成としてもよい。
【0100】
貫通孔37は、筒状本体部35の外周側と筒状本体部35の内周側とを連通させる開口である。複数の貫通孔37は、筒状本体部35の外面の全面に規則的に(均等に)配置されている。貫通孔37は、補強部材34の強度を損なわない範囲で、可能な限り多く形成することが好ましい。筒状本体部35の周方向における貫通孔37の位置は、支持部36と異なっていることが好ましい。
【0101】
上記実施形態によれば、膜分離装置1Bを横置き、即ち、ケーシング2が水平方向に延在するように配置することによって、膜分離装置1Bを複数配置する場合においても、膜分離装置1Bの交換を容易とすることができる。これにより、複数の膜分離装置1Bからなる膜分離装置ユニット50のメンテナンスを容易とすることができる。
【0102】
また、複数の管状濾過膜3が補強部材34によって補強されていることによって、管状濾過膜3が水平方向に延在する配置とした場合においても、管状濾過膜3が撓むことを防止することができる。
また、補強部材34の支持部36によって補強部材34の内周面35aと管状濾過膜3の外周面との間に隙間Gが形成されることによって、管状濾過膜3から透過される透過水PWの流れを阻害することなく、管状濾過膜3を撓まないように支持することができる。
【0103】
また、膜分離装置を縦置きする場合は、管状濾過膜3の一端と他端のヘッド差(抵抗)が大きくなる。膜分離装置1Bを横置きすることによって、膜分離装置を縦置きする場合と比較して、ヘッド差が小さくなり、FLUX(流出量)分布を小さくすることができる。
【0104】
また、膜分離装置1Bを横置きすることによって、複数の膜分離装置1B同士を直列的に接続することが容易となる。膜分離装置ユニット50を構成する複数の膜分離装置1Bの配列方法を直列にする場合においても対応が容易となる。
【0105】
なお、上記実施形態では、補強部材34の長さを第一隔壁30と第二隔壁31との間の間隔と同じにしたがこれに限ることはない。例えば、補強部材34の長さを第一隔壁30と第二隔壁31との間の間隔よりも長くして、補強部材34を第一隔壁30及び第二隔壁31の挿通孔32に挿通してもよい。このような形態とすることによって、管状濾過膜3にかかる負担をより軽減することができる。
【0106】
また、補強部材34は、筒状をなし、管状濾過膜3の外周側に管状濾過膜3と接するように配置されたメッシュ状の網状構造体としてもよい。網状構造体は、例えば、複数の線状のプラスチックを互いに格子状に組み合わせることによって形成されているプラスチック管とすることができる。
【0107】
当該線状のプラスチックの代替として、例えば、ステンレス鋼などの金属で形成されたワイヤを採用することもできる。また、ビニール等で被覆されたワイヤを採用してもよい。
また、複数の線状のプラスチックの組み合わせ方は、格子状に限ることはなく、複数の線状のプラスチックを六角形に編んでもよい。
【0108】
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態の膜分離装置に使用される補強部材を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第二実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。本実施形態と第二実施形態との相違点は、第一実施形態の生物処理装置100において
図7に示す膜分離装置ユニット50を採用しているのみならず、膜分離装置ユニット50の補強部材34に代わり、
図11の補強部材34Cを採用していることである。
図11に示すように、本実施形態の補強部材34Cは、円形板状をなす板状本体部48と、板状本体部48に形成された複数の膜挿通孔49と、を有している。複数の膜挿通孔49には、それぞれ管状濾過膜3が挿通される。補強部材34Cは、ケーシング2の軸線方向Daに間隔をあけて3つ設けられている。
【0109】
補強部材34Cの板状本体部48の外周面48aは、ケーシング2の内周面に当接している。補強部材34Cは、補強部材34Cの下部がケーシング2の内周面に当接することで支持される。補強部材34Cの下部の外周面48aは、補強部材34Cを支持する補強部材支持部として機能する。また、透過水PWが透過側空間P内で流通するように、例えば補強部材34Cの一部に、切欠55が存在することが望ましい。
【0110】
上記実施形態によれば、補強部材34Cによって複数の管状濾過膜3が機械的に連結される。これにより、管状濾過膜3が水平方向に延在する配置とした場合においても、管状濾過膜3が撓むことを防止することができる。
また、本実施形態の補強部材34Cは、管状濾過膜3を延在方向の3点のみで支持するため、透過水PWをより透過させることができる。
【0111】
なお、上記実施形態の補強部材34Cは、補強部材34Cの外周面48aがケーシング2の内周面に当接しているがこれに限ることはない。即ち、補強部材34Cがケーシング2の内周面によって支持されていれば、補強部材34Cの上部がケーシング2の内周面に当接していなくてよい。また、例えば多角形状など、外周の一部がケーシング2に当接する形状でもよい。
また、補強部材34Cの数は3つに限ることはなく、管状濾過膜3の強度に応じて、適宜増減させてよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、管状濾過膜3の本数に関して、
図2などには5本の管状濾過膜3を示したが、管状濾過膜3の本数はこれに限ることはない。
制御II、制御IIIにおいて制御装置13は第一流量調整弁23の開度を初期値20%に再設定していたが、初期値に限らず、例えば30%など調整範囲内で限界値から変化した値に再設定してもよい。
また、第一実施形態の変形例で示した構成を、第二実施形態、第三実施形態に適用してもよい。
【解決手段】生物処理水槽11と、親水性モノマーが共重合された単層構造を有する管状濾過膜を有する膜分離装置1と、膜分離装置1に供給水W3を供給する加圧ポンプ21と、膜分離装置1から透過水PWを吸引する吸引ポンプ22と、透過側空間の背圧を調整する背圧調整装置23と、膜間差圧を計測する膜間差圧計測装置14と、膜間差圧に基づき加圧ポンプ21、吸引ポンプ22、及び背圧調整装置14を制御する制御装置13と、を有し、制御装置13は、膜間差圧が所定値以上に増加した場合、背圧を減少させる背圧調整部13aと、背圧調整装置の調整範囲の限界に達した場合、加圧ポンプと吸引ポンプとの一方を制御して、加圧ポンプの加圧力と吸引ポンプの吸引力との一方を増加させるとともに背圧を増加させる設定変更部13bと、を有する生物処理装置100を提供する。