【実施例】
【0029】
以下に製造例、実施例および比較例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下「部」および「%」は特記しない限り重量基準である。また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「SuperHZ−M」×3)により測定した。
【0030】
製造例1(反応性共重合体(B)の合成)
撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという)187.5部、オキシエチレン単位の平均繰り返し数が9であるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「M−90G」)62.5部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1,000部および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 562.5部、M−90G 187.5部、ラウリルメルカプタン3.7部およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより、共重合体(A)溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、アクリル酸(以下、AAという)380.3部、メトキノン2.0部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.4部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応性共重合体(B)溶液を得た(以下、共重合体(B1)という)。共重合体(B1)のアクリル当量は、固形分換算で262g/eq、重量平均分子量41,000であった。
【0031】
製造例2(反応性共重合体(B)の合成)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、GMA 150部、M−90G 100部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1,000部およびAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 450部、M−90G 300部、ラウリルメルカプタン3.7部およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより、共重合体(A)溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 304.2部、メトキノン1.8部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.3部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応性共重合体(B)溶液を得た(以下、共重合体(B2)という)。共重合体(B2)のアクリル当量は、固形分換算で309g/eq、重量平均分子量40,000であった。
【0032】
製造例3(反応性共重合体(B)の合成)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、GMA 175部、M−90G 50部、トリフルオロエチルメタクリレート25部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1,000部およびAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 525部、M−90G 150部、トリフルオロエチルメタクリレート75部、ラウリルメルカプタン3.7部およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより、共重合体(A)溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 354.9部、メトキノン2.0部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.4部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応性共重合体(B)溶液を得た(以下、共重合体(B3)という)。共重合体(B3)のアクリル当量は、固形分換算で275g/eq、重量平均分子量38,000であった。
【0033】
製造例4(反応性共重合体(B)の合成)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、GMA 175部、M−90G 50部、メチルメタクリレート(以下、MMAという)25部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1,000部およびAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 525部、M−90G 150部、MMA 75部、ラウリルメルカプタン3.7部およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより、共重合体(A)溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 354.9部、メトキノン2.0部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.4部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応性共重合体(B)溶液を得た(以下、共重合体(B4)という)。共重合体(B4)のアクリル当量は、固形分換算で275g/eq、重量平均分子量40,000であった。
【0034】
比較製造例1(比較用反応性共重合体の合成)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、GMA 100部、M−90G 150部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1,000部およびAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 300部、M−90G 450部、ラウリルメルカプタン3.7部およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより、共重合体(A)溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 202.8部、メトキノン1.2部およびトリフェニルフォスフィン5.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン0.9部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、比較用反応性共重合体溶液を得た(以下、共重合体(C1)という)。共重合体(C1)のアクリル当量は、固形分換算で430g/eq、重量平均分子量39,000であった。
【0035】
比較製造例2(比較用反応性共重合体の合成)
製造例1で用いたと同様の反応装置に、GMA 187.5部、MMA 62.5部、ラウリルメルカプタン1.3部、酢酸ブチル1000部およびAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 562.5部、MMA 187.5部、ラウリルメルカプタン3.7部、およびAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温することにより共重合体溶液を得た。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 380.3部、メトキノン2.3部およびトリフェニルフォスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、比較用共重合体溶液を得た(以下、比較用反応性共重合体(C2)という)。共重合体(C)のアクリル当量は、固形分換算で262g/eq、重量平均分子量 37,000であった。
【0036】
実施例1〜6(活性エネルギー線硬化性コーティング組成物の調製)
製造例1〜4で得られた反応性共重合体(B1)〜(B4)をそれぞれ固形分換算で100部、光重合開始剤(チバ・スペシャルテイー・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)5部、反応性希釈剤および希釈溶剤としてメチルエチルケトンを表1に示す割合で配合することにより、本発明の活性エネルギー線硬化型コーティング組成物を調製した(順に本組成物1〜6という)。
【0037】
比較例1〜2(比較用の活性エネルギー線硬化性コーティング組成物の調製)
実施例1において、反応性共重合体(B1)に代えて比較用反応性共重合体(C1)〜(C2)を用いた他は同様に配合して、比較用組成物を得た(順に比較用組成物1〜2という)。
【0038】
【表1】
【0039】
表1中、BC300は多官能ポリエステルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「ビスコート300」を、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレートを、MEKはメチルエチルケトンを意味する。
【0040】
(活性エネルギー線硬化膜の作製)
本組成物1〜6および比較用組成物1〜2を、それぞれ基材A(ポリエチレンテレフタレート樹脂板)および基材B(透明ガラス板)にバーコーターで塗装し、70℃で1分間の予備乾燥を行った後、空気下で高圧水銀灯を用いて600mj/cm
2の照射量となるよう紫外線照射を行い、膜厚15μmの硬化膜を得た。
【0041】
(評価例)
硬化膜の性能試験条件と評価方法は以下の通りである。各評価結果を表2に示す。
【0042】
<硬化塗膜の防曇試験>
40℃の温水を入れたシャーレの上部を試験板にて硬化塗膜面側を温水側にして密閉し20秒経過後、PC基材を通して12ポイントの活字を5cmの距離から目視した。見え具合を以下の基準に従い評価した。
◎:塗膜の曇りが発生しておらず活字がはっきりと判読できる。
○:塗膜に曇りが発生するが活字が判読できる。
×:塗膜に曇りが発生し活字が判読できない。
【0043】
<硬化塗膜の耐温水試験>
40℃の温水を入れた水槽中に試験板を浸漬し、80時間経過後の塗膜外観を目視にて以下の基準に従い評価した。
○:硬化塗膜に変化が認められない。
△:硬化塗膜が白化したが、溶解、脱膜、破れが認められない。
×:溶解、脱膜、破れが認められる。
【0044】
<耐摩耗性試験>
600gの重りの底に10mm×10mmの範囲に付けたスチールウールで試験板を30回擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化無し。
△:細かいキズ有り。
×:大きなキズ有
【0045】
【表2】
【0046】
表1から、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、比較用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に比べて、防曇性および耐水性のいずれかの点で優れると共に、耐摩耗性についても遜色がないことが明らかである。