特許第6268736号(P6268736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268736発光素子実装用リードフレーム、発光素子実装用樹脂成型体及び表面実装型発光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268736
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】発光素子実装用リードフレーム、発光素子実装用樹脂成型体及び表面実装型発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20180122BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L23/48 Y
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-74790(P2013-74790)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199871(P2014-199871A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】掛橋 泰
(72)【発明者】
【氏名】堀 充啓
(72)【発明者】
【氏名】戸澤 友和
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−298263(JP,A)
【文献】 特表2011−505689(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/060336(WO,A1)
【文献】 特開2006−261242(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0151149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H01L 23/50
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の互いに離隔するリード部からなる単位実装領域を、連結部を介して複数連設してなる発光素子実装用リードフレームであって、
前記単位実装領域を構成する2以上のリード部のうち、少なくとも一のリード部に、同領域の隣り合う他のリード部の側に突出し、かつ前記連結部とは接しない、単又は複数のアンカー用突起部を設け、前記アンカー用突起部は、前記一のリード部における前記他のリード部に対向する側の角部に設けられ、前記他のリード部に対向する方向に対して斜め外側に傾斜する方向に延びることを特徴とする発光素子実装用リードフレーム。
【請求項2】
前記アンカー用突起部が、前記単位実装領域を構成する2以上の前記リード部の表面が底面として露出する複数の凹部を有する樹脂層を前記発光素子実装用リードフレームに一体成型してなる発光素子実装用樹脂成型体を裁断により個片化する際に、裁断されない領域に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光素子実装用リードフレーム。
【請求項3】
前記アンカー用突起部が、前記一のリード部と前記他のリード部との間を離隔しているスリット部分の中央位置を越えて前記他のリード部側に延びている請求項1または2に記載の発光素子実装用リードフレーム。
【請求項4】
前記アンカー用突起部が、前記他のリード部における前記一のリード部に対向する端辺の、前記一のリード部に最も近い位置を越えて前記他のリード部の側まで延びている請求項記載の発光素子実装用リードフレーム。
【請求項5】
前記アンカー用突起部を、前記単位実装領域を構成する2以上のリード部の互いに隣り合っている複数の端辺のうち、該単位実装領域の中央位置に最も近い端辺を有するリード部の当該端辺に、又は、これに対向する隣り合う他のリード部の端辺に設けてなる請求項1〜のいずれか1項に記載の発光素子実装用リードフレーム。
【請求項6】
前記アンカー用突起部がハーフエッチングにより形成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の発光素子実装用リードフレーム。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の、前記アンカー用突起部を備える発光素子実装用リードフレームと、
前記リードフレームに一体成型されて、単位実装領域を構成する2以上のリード部の表面が底面として露出する複数の凹部を有する樹脂層と、
を備えることを特徴とする発光素子実装用樹脂成型体。
【請求項8】
前記アンカー用突起部が前記樹脂層により被覆されている請求項に記載の発光素子実装用樹脂成型体。
【請求項9】
前記アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側に前記樹脂層が被覆されると共に、表面側も前記凹部を囲む前記樹脂層により被覆されている請求項に記載の発光素子実装用樹脂成型体。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載の、前記アンカー用突起部を備える発光素子実装用リードフレームの単位実装領域と、
前記単位実装領域に一体成型されて、前記単位実装領域の表面が底面として露出する凹部を有する樹脂層と、
前記凹部の底面として露出する前記単位実装領域表面に各リード部と通電可能に実装される発光素子と、
前記凹部に充填される透明性樹脂からなる透明性樹脂層と、を備えることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項11】
前記アンカー用突起部が前記樹脂層により被覆されている請求項10に記載の表面実装型発光装置。
【請求項12】
前記アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側に前記樹脂層が被覆されると共に、表面側も前記凹部を囲む前記樹脂層により被覆されている請求項11に記載の表面実装型発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子実装用リードフレーム、発光素子実装用樹脂成型体及び表面実装型発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)等の発光素子を実装した表面実装型発光装置(以下、単に「発光装置」とすることがある。)は、視認性に優れた高輝度の光を発色することが可能であると共に、小型化が可能で、消費電力が低く、長寿命である、といった数々の利点を有している。このため、発光装置は、例えば、電球、ダウンライト、ベースライト、街灯、信号機等の照明器具、液晶ディスプレイ等のバックライト光源等として使用され、その用途は急速に拡大しつつある。
【0003】
発光装置は、例えば、複数の単位実装領域を縦横に間隔をおいて連結して支持するリードフレームの表面に、単位実装領域の一部が底面として露出する凹部を複数有する樹脂成型体を作製し、該樹脂成型体を単位実装領域毎に個片化して1つの凹部を有するリフレクタ(個片化された樹脂成型体)を作製し、該リフレクタの凹部底面の単位実装領域に発光素子を実装することにより作製されている。
【0004】
図10は、従来の発光素子実装用リードフレーム100の要部の構成を模式的に示す平面図である。図11は、従来技術の問題を説明するための模式図である。図12は、従来の発光素子実装用リフレクタ104の裏側の面の構成を模式的に示す平面図である。
図10に示すリードフレーム100は、第1、第2のリード部110、111と、これらを離隔するスリット部とからなる単位実装領域101と、単位実装領域101を縦横に複数連結する連結片102a、102b、102cからなる連結部102とを備えている。
【0005】
従来技術では、例えば、図11に示すように、リードフレーム100の表面に複数の凹部120を有する樹脂層を一体成型して樹脂成型体103を作製し、得られた樹脂成型体103を連結片102a、102b、102cの部分で切断して単位実装領域101毎に個片化することにより、発光素子(不図示)を実装するためのリフレクタ(個片化された樹脂成型体)104が作製され、リフレクタ104には発光素子が実装される。
【0006】
従来のリフレクタ104に一体成型された樹脂層は、第1、第2のリード部110、111表面に被覆形成された樹脂層のように第1、第2のリード部110、111で支持される部分と、第1のリード部110と第2のリード部111とを離隔するスリット部内に形成された樹脂層のように支持体が存在しない部分とを有する構造となっている。また、リフレクタ104は数十ミクロン単位の極薄構造物であるため、スリット部内に形成され、支持体が存在しない樹脂層の機械的強度が不足するという問題がある。このような機械的強度の不足は、図11及び図12に示すように、リフレクタ104(特に第1のリード部110の端辺110bと第2のリード部111の端辺111bとの間に介在するスリット部の中央位置112及びその周辺)に外部から応力115が負荷された場合に、主にスリット部に沿う方向での樹脂層の破断をもたらし易い。リフレクタ104を用いた発光装置においても、同様の樹脂層の破断が起こり易くなっている。このため、スリット部内の樹脂層の機械的強度の不足が、リフレクタ104又は発光装置の不良品率を高める1つの原因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−307820号公報
【特許文献2】特開2010−62272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、外部から応力が加わっても破断し難いリフレクタや発光装置を得ることができる発光素子実装用リードフレーム、該リードフレームに樹脂層を一体成型した発光素子実装用樹脂成型体、及び、該樹脂成型体を個片化して発光素子を実装した表面実装型発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2以上のリード部と該リード部を互いに離隔して絶縁するスリット部とからなる単位実装領域において、少なくとも一方のリード部に、同じ単位実装領域において隣り合う他のリード部の側に突出してスリット部を部分的に又は全体的に横切るようなアンカー用突起部を設けることにより、リフレクタや発光素子がスリット部に沿って破断することが顕著に抑制され、これらの長期耐久性や取扱い性が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、下記(1)〜(7)の発光素子実装用リードフレーム、下記(8)〜(10)の発光素子実装用樹脂成型体及び下記(11)〜(13)の表面実装型発光装置を提供する。
【0011】
(1)2以上の互いに離隔するリード部からなる単位実装領域を、連結部を介して複数連設してなる発光素子実装用リードフレームであって、単位実装領域を構成する2以上のリード部のうち、少なくとも一のリード部に、同領域の隣り合う他のリード部の側に突出する単又は複数のアンカー用突起部を設けてなることを特徴とする発光素子実装用リードフレーム。
【0012】
(2)アンカー用突起部を、一のリード部における他のリード部に対向する側の角部に設けてなる上記(1)の発光素子実装用リードフレーム。
(3)アンカー用突起部が、他のリード部に対向する方向に対して斜め外側に傾斜する方向に延びている上記(2)の発光素子実装用リードフレーム。
(4)アンカー用突起部が、一のリード部と他のリード部との間を離隔しているスリット部分の中央位置を越えて他のリード部側に延びている上記(1)〜(3)のいずれかの発光素子実装用リードフレーム。
【0013】
(5)アンカー用突起部が、他のリード部における一のリード部に対向する端辺の、一のリード部に最も近い位置を越えて他のリード部の側まで延びている上記(4)の発光素子実装用リードフレーム。
(6)アンカー用突起部を、単位実装領域を構成する2以上のリード部の互いに隣り合っている複数の端辺のうち、該単位実装領域の中央位置に最も近い端辺を有するリード部の当該端辺に、又は、これに対向する隣り合う他のリード部の端辺に設けてなる上記(1)〜(5)のいずれかの発光素子実装用リードフレーム。
(7)アンカー用突起部がハーフエッチングにより形成されている上記(1)〜(6)のいずれかの発光素子実装用リードフレーム。
【0014】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの、アンカー用突起部を備える発光素子実装用リードフレームと、リードフレームに一体成型されて、単位実装領域を構成する2以上のリード部の表面が底面として露出する複数の凹部を有する樹脂層と、を備えることを特徴とする発光素子実装用樹脂成型体。
【0015】
(9)アンカー用突起部が樹脂層により被覆されている上記(8)の発光素子実装用樹脂成型体。
(10)アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側に樹脂層が被覆されると共に、表面側も前記凹部を囲む前記樹脂層により被覆されている上記(9)の発光素子実装用樹脂成型体。
【0016】
(11)上記(1)〜(7)のいずれかの、アンカー用突起部を備える発光素子実装用リードフレームの単位実装領域と、該単位実装領域に一体成型されて、該単位実装領域の表面が底面として露出する凹部を有する樹脂層と、凹部の底面として露出する該単位実装領域表面に各リード部と通電可能に実装される発光素子と、凹部に充填される透明性樹脂からなる透明性樹脂層と、を備えることを特徴とする表面実装型発光装置。
【0017】
(12)アンカー用突起部が樹脂層により被覆されている上記(11)の表面実装型発光装置。
(13)アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側に樹脂層が被覆されると共に、表面側も凹部を囲む樹脂層により被覆されている上記(12)の表面実装型発光装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光素子実装用リードフレームは、2以上のリード部と、2以上のリード部を互いに離隔させるスリット部とからなる単位実装領域と、単位実装領域を複数連設する連結部と、単又は複数のアンカー用突起部とを備え、該アンカー用突起部が、単位実装領域を構成する2以上のリード部のうち、少なくとも一のリード部に、同領域の隣り合う他のリード部の側に突出するように構成されている。これにより、一のリード部と他のリード部との短絡を確実に防止した上で、アンカー用突起部の少なくとも1部がスリット部又はスリット部を縦方向に延長した空間中に存在する。樹脂成型体中では、スリット部を埋める樹脂層中にアンカー用突起部が突き刺さったように存在する状態になる。これにより、樹脂成型体を個片化して得られるリフレクタや発光装置において、スリット部周辺の樹脂層の耐久性(機械的強度)、特にスリット部に沿った折れ曲がりに対する耐久性が顕著に高まる。その結果、スリット部に沿った破断が顕著に抑制され、製品として使用可能なリフレクタや発光装置の取り個数を著しく増加させることができる。
【0019】
また、本発明におけるアンカー用突起部は、その長さ等の調整により、樹脂成型体の個片化の際に裁断する必要のない部分とすることができる。換言すれば、本発明におけるアンカー用突起部は、樹脂成型体の個片化の際に裁断しない領域に配置することができる。したがって、本発明のアンカー用突起部を採用することにより、製品として使用可能なリフレクタや発光装置の取り個数を増加させつつ、裁断刃の不要な消耗を抑制し、裁断刃の取替え回数を低減化することができ、工業的に非常に有利である。
【0020】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部を、一のリード部における他のリード部に対向する側の角部に設けることにより、アンカー用突起部と、他のリード部の一のリード部と対向する側の端辺とでスリット部を囲むような支持体を構成できるので、樹脂成型体を個片化後のリフレクタや発光装置におけるスリット部周辺での樹脂層の機械的強度が増し、スリット部に沿った破断を顕著に抑制できる。
【0021】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部が、他のリード部に対向する方向に対して斜め外側に傾斜する方向に延びるように構成することにより、スリット部が縦方向に真っ直ぐ延びるのではなく、スリット部が少なくとも1つの折れ曲がり部分を有するように構成することができる。その結果、縦方向の応力に対するスリット部及びその周辺の樹脂層の耐久性が一層高まり、スリット部に沿った縦方向の破断を顕著に抑制することができる。
【0022】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部が、一のリード部と他のリード部との間を離隔しているスリット部の中央位置を越えて他のリード部側に延びるように構成することにより、樹脂層のみからなるスリット部において最も破断し易いスリット部の中央位置に樹脂層の支持体が配置されるようになり、スリット部の樹脂層の機械的強度が増強され、スリット部に沿った縦方向の破断を顕著に抑制することができる。
【0023】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部が、他のリード部における一のリード部に対向する端辺の、一のリード部に最も近い位置を越えて他のリード部の側まで延びるように構成することにより、アンカー用突起部を有する一のリード部と、他のリード部の端辺とにより囲まれるスリット部を小さくすることができる。その結果、リフレクタや発光装置において、スリット部に沿った縦方向の破断を抑制する効果が顕著に大きくなる。
【0024】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部を、単位実装領域を構成する2以上のリード部の互いに隣り合っている複数の端辺のうち、該単位実装領域の中央位置に最も近い端辺を有するリード部の当該端辺に、又は、これに対向する隣り合う他のリード部の端辺に設けるように構成している。単位実装領域に樹脂層を被覆形成した場合に、最も破断し易いのは、単位実装領域の横方向の中央位置に最も近い端辺を有するリード部の該端辺付近である。したがって、該端辺にアンカー用突起部を設けることにより、該端辺付近での破断を抑制する補強を効率良く実施できる。また、単位実装領域の横方向の中央位置に最も近い端辺を有するリード部に対向する隣り合う他のリード部の端辺にアンカー用突起部を設けても、ほぼ同等の破断抑制効果が得られる。
【0025】
本発明のリードフレームにおいて、アンカー用突起部がハーフエッチングにより形成されるように構成することにより、樹脂層がアンカー用突起部の下側表面にも被覆形成されるので、樹脂層とアンカー用突起部との一体化の度合いが高まり、スリット部における樹脂層の機械的強度をさらに高めることができる。
【0026】
本発明の発光素子実装用樹脂成型体は、アンカー用突起部を備える上記発光素子実装用リードフレームと、リードフレームに一体成型されて、単位実装領域を構成する2以上のリード部の表面が底面として露出する複数の凹部を有する樹脂層とを備えるように構成することにより、個片化の際に、スリット部に沿った縦方向の破断が抑制され、リフレクタや発光装置の収量を増加させることができる。
【0027】
本発明の樹脂成型体において、アンカー用突起部が樹脂層により被覆されていることにより、スリット部に存在する樹脂層の機械的強度がさらに増強され、個片化の際に、スリット部に沿った縦方向の破断が顕著に抑制される。
本発明の樹脂成型体において、アンカー用突起部が樹脂層により被覆されている形態として、アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側に樹脂層が被覆されると共に、表面側も前記凹部を囲む前記樹脂層により被覆されている形態が挙げられる。この形態のように構成することにより、アンカー用突起部の表側及び裏側の表面に樹脂層を容易に被覆形成できるので、アンカー用突起部が樹脂層に楔のように突き刺さった状態になって、アンカー用突起部と樹脂層との一体化の度合いが高まり、スリット部における樹脂層の機械的強度がより一層増強される。
【0028】
本発明の表面実装型発光装置は、アンカー用突起部を備える上記の発光素子実装用リードフレームの単位実装領域と、該単位実装領域に一体成型されて、該単位実装領域の表面が底面として露出する凹部を有する樹脂層と、凹部の底面として露出する該単位実装領域表面に各リード部と通電可能に実装される発光素子と、凹部に充填される透明性樹脂からなる透明性樹脂層と、を備えるように構成することにより、単位実装領域のスリット部に沿った縦方向の破断が顕著に抑制され、優れた耐久性を有しているので、取扱い性が顕著に向上し、輸送時や照明機器等への取付時等に破断して不良品になることが非常に少ない。
【0029】
本発明の発光装置において、アンカー用突起部を樹脂層により被覆することにより、単位実装領域のスリット部に沿った縦方向の破断がより一層抑制されるので、発光装置の長期耐久性、取扱い性等がさらに向上する。
本発明の発光装置において、アンカー用突起部が裏面側をハーフエッチングされてなり、ハーフエッチングされた該裏面側を樹脂層で被覆すると共に、表面側も凹部を囲む樹脂層で被覆して、アンカー用突起部全体が樹脂層で被覆されるように構成することにより、アンカー用突起部と樹脂層との一体化の度合いが高まり、単位実装領域のスリット部に沿った縦方向の破断がほぼ防止される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】単位実装領域の構成を示す模式図である。(a)は平面図及び(b)は(a)のX−X切断面線での断面図である。
図2】第1実施形態のリードフレームの構成を模式的に示す平面図である。
図3】単位実装領域の他の実施形態の構成を模式的に示す平面図である。
図4】第2〜4実施形態のリードフレームの要部の構成を拡大して模式的に示す平面図である。
図5】第5〜6実施形態のリードフレームの要部の構成を拡大して模式的に示す平面図である。
図6】第7〜実施形態および参考例のリードフレームの要部の構成を拡大して模式的に示す平面図である。図6(a)は第7実施形態、図6(b)は第8実施形態、および図6(c)は参考例である。
図7】本発明の樹脂成型体の一実施形態の構成を示す模式図である。(a)は樹脂成型体の表側の面を示す平面図である。(b)は樹脂成型体の裏側の面を示す平面図である。(c)は要部拡大図である。(d)は(a)の切断面線Y−Yでの断面図である。(e)は(a)の切断面線Z−Zでの断面図である。
図8】本発明の発光装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
図9】別形態の単位実装領域及び該単位実装領域を備える第10実施形態のリードフレームの構成を模式的に示す平面図である。
図10】従来の発光素子実装用リードフレームの構成を模式的に示す平面図である。
図11】従来技術の問題を説明するための模式図である。
図12】従来の発光素子実装用リフレクタの裏側の面の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態の単位実装領域10の構成を示す模式図である。(a)は平面図及び(b)は(a)におけるX−X切断面線での断面図である。図2は、第1実施形態のリードフレーム1の構成を模式的に示す平面図である。図2においては、紙面の縦方向及び横方向をそれぞれ縦方向及び横方向とする。また、図2に示すリードフレーム1では、単位実装領域10が縦横に9列ずつ連設されているが、これに限定されず、縦横とも任意の数の列を連設することができる。
【0032】
図2に示すように、リードフレーム1は、複数の単位実装領域10と、複数の単位実装領域10を縦横に連結して支持する連結部11とを備えている。複数の単位実装領域10は、連結部11を介して縦横に連設されている。
【0033】
単位実装領域10は、第1のリード部20と、第2のリード部21と、縦方向に延びる帯状の空間であって、第1、第2のリード部20、21を横方向に離隔するスリット部23と、第2のリード部21のスリット部23を介して第1のリード部20と対向する側の角部21c、21dに設けられるアンカー用突起部22とからなる。
【0034】
単位実装領域10において、第1、第2のリード部20、21は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の基本形状を有し、スリット部23を介してほぼ平行になるように配置されている。なお、第1のリード部20は、スリット部23を介して第2のリード部21と対向する側の2つの角部にほぼ直角三角形状の切り欠きが設けられている。これにより、アンカー用突起部22を介して第1、第2のリード部20、21が短絡することが確実に防止される。また、第1、第2のリード部20、21の周縁部20a、21aにはハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0035】
本実施形態では、第1、第2のリード部20、21の基本形状はほぼ矩形であるが、これに限定されず、矩形の四隅が三角形、四角形等の形状で欠損した形状、矩形の四隅が丸くなった形状、正方形、菱形、半円形、楕円形等であってもよい。
【0036】
単位実装領域10に樹脂層を形成して発光装置を作製する場合、例えば、第1のリード部20は発光素子を実装するダイパッドの機能を持たせると共に、正負一方の電極として機能させることができ、第2のリード部21は正負他方の電極として機能させることができる。もちろん、第1のリード部20に電極機能だけを持たせ、第2のリード部21にダイパッド機能と電極機能とを持たせても良い。
【0037】
アンカー用突起部22は、第2のリード部21に連続して繋がり、第2のリード部21のスリット部23を介して第1のリード部20に対向する側の2つの隅である角部21c、21dにそれぞれ設けられ、第1のリード部20の側に突出するアンカー用突起部22a、22bからなる。アンカー用突起部22a、22bは、第1のリード部20及び連結部11とは接触することなく、それぞれ斜め外側(縦方向における斜め上方及び斜め下方)に傾斜する方向に延びる帯状体であり、スリット部23を縦方向に延ばした領域内に存在する。
【0038】
このようなアンカー用突起部22a、22bを設けることにより、これらが樹脂層中に埋まってアンカー効果により樹脂層を支持すると共に、スリット部23が縦方向にほぼ真っ直ぐ延びるのではなく、スリット部23に折れ曲がった部分が生じる。これにより、スリット部23内の樹脂層が縦方向の応力に対して耐久性を示すようになる。
【0039】
また、本実施形態では、第1のリード部20の端辺20bと、第2のリード部21の端辺21bとが互いに対向している。そして、これらの端辺20b、21bのうち、単位実装領域10の横方向の中央位置(単位実装領域10の横方向両端から等距離にある位置)に最も近い端辺が端辺20bである。単位実装領域10に樹脂層を被覆形成した場合に、最も破断し易いのは端辺20b周辺である。したがって、この端辺20bにアンカー用突起部を設けることにより、端辺20b周辺での破断を効率的にかつ顕著に抑制できるが、本実施形態では、単位実装領域10の横方向の中央位置に最も近い端辺20bに対向する第2のリード部21の端辺21bにアンカー突起部22が形成されている。このように構成しても、端辺20bにアンカー用突起部を設けるのとほぼ同等の効果が得られ、端辺20b周辺での破断を一層抑制できる。
【0040】
上記した各構成により、リードフレーム1の表面に樹脂層を一体成型した樹脂成型体の個片化で得られるリフレクタ及び発光装置において、スリット部23周辺の樹脂層の機械的強度が増強され、スリット部23に沿った破断が抑制され、不良品率を低下させるとともに、これらの長期的な耐久性及び取扱い性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、リードフレーム1は、一枚の金属板に所定のエッチング処理を施すことにより作製されるので、アンカー用突起部22a、22bは、第2のリード部21に連続するように一体形成され、第2のリード部21と同じ材料からなる。これにより、第2のリード部21とアンカー用突起部22a、22bとの接続強度が高まり、リフレクタや発光装置を作製した時のスリット部23周辺での破断がさらに抑制される。
【0042】
また、本実施形態では、アンカー用突起部22a、22bは、スリット部23の中央位置を示す仮想線αを越えて第1のリード部20側に延びるように構成されている。スリット部23の中間とは、スリット部23の領域において、第1のリード部20の第2のリード部21と対向する側の縦方向に延びる端辺20bと、第2のリード部21の第1のリード部20と対向する側の縦方向に延びる端辺21bとの両方から横方向に等距離になる位置である。第1、第2のリード部20、21が前述のように横方向にほぼ平行に配置され、かつこれらの形状がほぼ矩形状であることから、端辺20b、21bもほぼ平行となる。したがって、スリット部23の中間は縦方向の直線となり、図1に示す仮想線αで示される。
【0043】
この構成により、リフレクタや発光装置を作製した時のスリット部23周辺の機械的強度が一層高まり、スリット部23周辺での破断が顕著に抑制され、不良品率を顕著に低下させることができる。
【0044】
第1、第2リード部20、21の表面には、金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属層を形成することができる。金属層の厚みは特に限定されず、金属層を構成する金属の種類等に応じて適宜選択される。例えば、金属が銀である場合は、金属層の変色や発熱、剥離等を抑制する観点から、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましくは1μm〜15μmである。金属層は、例えば、電気めっき、化学めっき、蒸着、スパッタリング、拡散等の各種方法を利用して形成することができる。また、リードフレーム1は、電気良導体である金属材料を用い、エッチング法等により形成される。金属材料としては特に限定されないが、体積抵抗が0.07Ω・m未満であり、かつ熱伝導率が60W/(m・k)以上の金属材料が好ましく、たとえば、鉄、銅、銅合金(例えばリン青銅)等が挙げられる。
【0045】
連結部11は、第1のリード部20を縦方向に連結する2本の連結片11aと、第2のリード部21を縦方向に連結する連結片11bと、第1のリード部20とその右横方向に隣り合う第2のリード部21とを横方向に連結する連結片11cと、連結片11a、11b、11cにより縦横に連結された複数の単位実装領域10の集合体を一体的に支持する枠部12とを備えている。
【0046】
図3は、別形態の単位実装領域の構成を模式的に示す平面図である。図3(a)〜(e)に示す単位実装領域13〜17は、単位実装領域10と類似の構造を有し、共通する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0047】
図3(a)に示す単位実装領域13は、第1、第2のリード部24、25と、アンカー用突起部26と、第1、第2のリード部24、25を離隔する縦方向に帯状の空間であるスリット部27とを備えている。
第1のリード部24は、基本形状がほぼ矩形状であり、かつ、スリット部27に突出するほぼ矩形状の凸部を有している。第2のリード部24は、形状がほぼ矩形状であり、縦方向の寸法が第1のリード部24のスリット部27に突出する矩形状凸部とほぼ等しくなるように構成されている。
【0048】
アンカー用突起部26は、端辺25b側を第2のリード部25の主面とした場合、第2のリード部25の縦方向における上(下)側の側面から一旦上(下)方向に突出し、途中で直角に折れ曲がって第1のリード部24側に延びるアンカー用突起部26a(26b)からなる。アンカー用突起部26a、26bは、それぞれ、スリット部27の中間を示す仮想線αを越え、さらに第1のリード部24(他方のリード部)の第2のリード部25(一方のリード部)と対向する側の端辺24bを越えて、第1のリード部24側に延びている。
【0049】
スリット部27は、第1のリード部24の第2のリード部25と対向する側の端辺(矩形状凸部の端辺)24bと、第2のリード部25の第1のリード部24と対向する側の端辺25bとの間に存在し、縦方向に延びる帯状の空間である。
【0050】
本実施形態では、アンカー用突起部26a、26bが、一のリード部(第2のリード部25)の角部ではなく、一のリード部の側面から他のリード部(第1のリード部24)に向けて延び、かつ、スリット部27の中間を示す仮想線αに最も近接している第1のリード部24の端辺24bを越えて第1のリード部24側に延びるように構成している。このように構成することにより、スリット部27を閉空間に近い小さな空間とすることができ、かつ、スリット部27に充填及び硬化された樹脂層の機械的強度を向上させることができるので、リフレクタや発光装置におけるスリット部27に沿った破断が顕著に抑制され、これらの長期耐久性や取扱い性を著しく向上させることができる。
【0051】
図3(b)に示す単位実装領域14は、第1、第2のリード部28、29と、アンカー用突起部30と、第1、第2のリード部28、29を離隔する縦方向に帯状の空間であるスリット部27とを備えている。
【0052】
第1のリード部28、29は、基本形状がほぼ矩形状である。アンカー用突起部30は、第2のリード部29と連続して繋がるように形成され、第2のリード部29の第1のリード部28と対向する側の2隅である角部から、第1のリード部28に対して斜め外側に傾斜する方向に延びる帯状の金属片であるアンカー用突起部30a、30bからなる。アンカー用突起部30a、30bは、スリット部27の中央位置を示す仮想線αを越えて、第1のリード部28側に延びている。スリット部27は、第1のリード部28の第2のリード部29と対向する側の端辺28bと、第2のリード部29の第1のリード部28と対向する側の端辺29bとの間に存在し、縦方向に延びる帯状の空間である。
【0053】
本実施形態では、アンカー用突起部30a、30bが、一のリード部(第2のリード部29)の角部から他のリード部(第1のリード部28)に向けて斜め外側に傾斜するように延び、かつ、スリット部27の中間を示す仮想線αを越えるように構成している。このように構成することにより、スリット部27が折れ曲がり部分を有するようにすることができる。これにより、スリット部27内に形成された樹脂層の、縦方向にほぼ真っ直ぐな応力に対する機械的強度が高まり、リフレクタや発光装置におけるスリット部27に沿った破断が顕著に抑制され、これらの長期耐久性や取扱い性を著しく向上させることができる。
【0054】
図3(c)に示す単位実装領域15は、第1、第2のリード部32、33と、アンカー用突起部34と、第1、第2のリード部32、33を離隔する縦方向の帯状空間であるスリット部27とを備えている。
【0055】
第1のリード部32は、第1のリード部24とほぼ同じ形状を有している。第2のリード部33は、ほぼ矩形状である。第1のリード部32の縦方向の最大寸法と、第2のリード部33の縦方向の寸法はほぼ等しくなるように構成されている。アンカー用突起部34は、第2のリード部33と連続して繋がるように形成され、第2のリード部33の第1のリード部32と対向する側の2隅である角部から第1のリード部32に向けて、第2のリード部33の端辺33bに対してほぼ直角になるように延びる帯状の金属片であるアンカー用突起部34a、34bからなる。アンカー用突起部34a、34bは、スリット部27の中央位置を示す仮想線αを越えて、第1のリード部32側に延びているが、第1のリード部32における該仮想線αに最も近い端辺32bを越えないように構成されている。スリット部27は、第1のリード部32の第2のリード部33と対向する側の端辺32bと、第2のリード部33の第1のリード部32と対向する側の端辺33bとの間に存在し、縦方向に延びる帯状の空間である。
【0056】
本実施形態では、アンカー用突起部34a、34bが、一のリード部(第2のリード部33)の角部から他のリード部(第1のリード部32)に向けてほぼ直角に延び、かつ、スリット部27の中間を示す仮想線αを越えるように構成している。このように構成することにより、スリット部27がほぼ閉空間に近い小さな空間とすることができ、かつ、スリット部27内に充填及び硬化される樹脂層を四周から支持するように構成されるので、リフレクタや発光装置におけるスリット部27に沿った破断が顕著に抑制され、これらの長期耐久性や取扱い性を著しく向上させることができる。
【0057】
図3(d)に示す単位実装領域16は、第1、第2のリード部35、36と、アンカー用突起部37と、第1、第2のリード部35、36を離隔する縦方向の帯状空間であるスリット部27とを備えている。
【0058】
第1のリード部35はほぼ矩形状であり、第2のリード部36と対向する側の2隅である各角部がほぼ直角三角形状に切り欠かれている。第2のリード部36は基本形状がほぼ矩形状であり、第1のリード部35と対向する側の2隅である各角部にアンカー用突起部37a、37bからなるアンカー用突起部37を有している。第1、第2のリード部35、36は、縦方向の寸法がほぼ等しくなるように構成されている。
【0059】
アンカー用突起部37a、37bは、第2のリード部36の前記角部において、第2のリード部36に連続して繋がるように設けられて少なくともほぼ扇型の形状を有する金属片であり、全体としては第2のリード部36に対向する第1のリード部35に向けて延びているが、部分的には多方向に延びている。アンカー用突起部37a、37bは、スリット部27の中心位置を示す仮想線αを越え、さらに第1のリード部35の該仮想線に最も近い端辺35bを超えている。スリット部27は、第1のリード部35の第2のリード部36と対向する側の端辺35bと、第2のリード部36の第1のリード部35と対向する側の端辺36bとの間に存在し、縦方向に延びる帯状の空間である。
【0060】
本実施形態では、第2のリード部36に対向する側の2隅である角部がほぼ直角三角形状に切り欠かれた第1のリード部35と、第1のリード部35に対向する側の2隅である角部に扇型(1/4円)の形状を有するアンカー用突起部37a、37bを設けた第2のリード部36とを対向配置することにより、スリット部27の横方向の幅を大きく変動させることなく、スリット部27に折れ曲がり部分を形成している。これにより、スリット部27に形成される樹脂層の、スリット部27に沿った縦方向のほぼ真っ直ぐな応力に対する耐久性を向上させ、リフレクタや発光装置の長期耐久性や取扱い性を高めている。
【0061】
図3(e)に示す単位実装領域17は、第1、第2のリード部35、39と、アンカー用突起部40と、第1、第2のリード部35、39を離隔する縦方向の帯状空間であるスリット部27とを備えている。
【0062】
第2のリード部39はほぼ矩形状であり、第1のリード部35と対向する側の2隅である各角部にアンカー用突起部40a、40bからなるアンカー用突起部40を有している。第1、第2のリード部35、39は、縦方向の寸法がほぼ等しくなるように構成されている。
【0063】
アンカー用突起部40a、40bは、第2のリード部39の前記角部において、第2のリード部39に連続して繋がるように設けられほぼ長円型の金属片であり、全体としては第2のリード部39に対向する第1のリード部35に向けて延びているが、部分的には多方向に延びている。アンカー用突起部40a、40bは、スリット部27の中心位置を示す仮想線αを越え、さらに第1のリード部35の該仮想線に最も近い端辺35bを越えている。スリット部27は、第1のリード部35の第2のリード部39と対向する側の端辺35bと、第2のリード部39の第1のリード部35と対向する側の端辺39bとの間に存在し、縦方向に延びる帯状の空間である。
【0064】
本実施形態では、第2のリード部39に対向する側の2隅である角部がほぼ直角三角形状に切り欠かれた第1のリード部35と、第1のリード部35に対向する側の2隅である角部に長円型の形状を有するアンカー用突起部40a、40bを設けた第2のリード部39とを対向配置することにより、スリット部27の横方向の幅を大きく変動させることなく、スリット部27に折れ曲がり部分を形成すると共に、スリット部27をほぼ閉空間に近い状態にしている。これにより、スリット部27に形成される樹脂層の、スリット部27に沿った縦方向のほぼ真っ直ぐな応力に対する耐久性を向上させ、リフレクタや発光装置の長期耐久性や取扱い性を高めている。
【0065】
図4は、第2〜4実施形態のリードフレーム1A〜1Cの構成を模式的に示す平面図である。リードフレーム1A〜1Cはリードフレーム1と類似の構造を有し、共通する部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。図4(a)に示すリードフレーム1Aは、複数の単位実装領域10Aと、複数の単位実装領域10Aを縦横に連結して支持する連結部11と、を備え、単位実装領域10Aが下記に示す所定の構成を有することを特徴とする。
【0066】
単位実装領域10Aは、第1、第2のリード部45、46と、第1、第2のリード部45、46を横方向に離隔するスリット部48とからなり、第1のリード部45に連続して繋がるアンカー用突起部47a、47bが設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部45、46は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の基本形状を有し、スリット部48を介してほぼ平行になるように配置されている。第2のリード部46の第1のリード部45に対向する側の2隅である角部は、ほぼ直角三角形の形状に切り欠かれている。また、第1、第2のリード部45、46の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0067】
アンカー用突起部47a、47bは、第1のリード部45のスリット部48を介して第2のリード部46と対向する側の2つの隅である角部に続くように設けられ、他方のリード部(第2のリード部46)及び連結部11と接触することなく、それぞれ第2のリード部46に対向する方向に対して斜め外側に傾斜する方向(斜め上方向又は斜め下方向)に延びる帯状の金属板である。アンカー用突起部47a、47bは、スリット部48を縦方向に延長した領域内に存在する。本実施形態では、リードフレーム1Aは一枚の金属板に所定のエッチング処理を施すことにより作製されるので、アンカー用突起部47a、47bは第1のリード部45と一体形成され、第1のリード部45と同じ材料で構成されている。アンカー用突起部47a、45bを設けることにより、リフレクタや発光装置を作製した時のスリット部48周辺に存在する樹脂層の機械的強度が高まり、スリット部48周辺での破断が抑制され、不良品率を低下させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態のように、アンカー用突起部47a、47bの少なくとも一部がスリット部48を縦方向に延ばした領域内に存在し、かつ、アンカー用突起部47a、47bの少なくとも一部、特に先端部が、第1のリード部45の第2のリード部46と対向する側の端辺45bと、第2のリード部46の第1のリード部45と対向する側の端辺46bとからそれぞれ等距離となる位置であるスリット部48の中間を通ってその長手方向に延びる仮想線(不図示)で区画される第2のリード部46側に存在するように構成することが好ましい。この構成により、リフレクタや発光装置を作製した時に、スリット部48周辺の樹脂層の機械的強度が高まり、スリット部48周辺での縦方向の破断が顕著に抑制され、不良品率を一層低下させることができる。
【0069】
図4(b)に示す第3実施形態のリードフレーム1Bはリードフレーム1は、複数の単位実装領域10Bと、複数の単位実装領域10Bを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Bが下記に示す所定の構成を有することを特徴とする。
【0070】
単位実装領域10Bは、基本形状がほぼ矩形状である第1、第2のリード部49、21と、第1、第2のリード部21を横方向に離隔するスリット部50とからなり、第1のリード部49が第2のリード部21に対して突出する台形状の凸部を有し、第2のリード部21の第1のリード部49に対向する側の2隅である角部に、第2のリード部21に連続して繋がり、第1のリード部49に対して斜め外側に傾斜する方向に延びるアンカー用突起部22a、22bが設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部49、21の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0071】
アンカー用突起部22a、22bは、スリット部50及びそれを縦方向に延ばした領域において、第1のリード部49及び連結部11に接触することなく、第1のリード部49、特にその台形状の凸部を縦方向に挟み込むように配置されている。さらに、アンカー用突起部22a、22bの各先端は、いずれも、スリット部50の中間位置を通って縦方向に延びる仮想線(不図示)で区画される他方のリード部(第1のリード部49)側に存在し、第1のリード部49の前記中間位置に最も近接する端辺49bを越えて延びている。
【0072】
このように、スリット部50及びそれを縦方向に延ばした領域において、第1のリード部49の凸部とアンカー用突起部22a、22bとがそれぞれ逆方向から突出し、かつ、アンカー用突起部22a、22bが前記凸部を縦方向に挟み込むように構成することにより、リフレクタや発光装置を作製した時に、スリット部50周辺の樹脂層のスリット部50に沿う方向の応力に対する機械的強度が一層高まる。その結果、スリット部50周辺における厚み方向の破断の抑制及び不良品率の低下が一層顕著になる。
【0073】
図4(c)に示す第4実施形態のリードフレーム1Cは、複数の単位実装領域10Cと、複数の単位実装領域10Cを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Cが下記に示す所定の構成を有することを特徴とする。
【0074】
単位実装領域10Cは単位実装領域10Bの変形例であり、第1、第2のリード部45、51と、第1、第2のリード部45、51を横方向に離隔するスリット部52とからなり、第1のリード部45に連続して繋がるアンカー用突起部47a、47b、及び、第2のリード部51が、第1のリード部45に対向する側に第1のリード部45に向けて突出する台形状の凸部を有していることを特徴とする。第1、第2のリード部45、51は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の形状を有し、スリット部52を介してほぼ平行になるように配置されている。また、第1、第2のリード部45、51の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0075】
第1のリード部45に連続して繋がるアンカー用突起部47a、47bは、前述のように、スリット部52を縦方向に延ばした領域において、第2のリード部51及び連結部11に接触することなく、それぞれ斜め上方及び斜め下方に延びる帯状の金属板である。第2のリード部51に設けられた台形状の凸部も、第1のリード部45及び連結部11と接触することなく、第2のリード部51の第1のリード部45と対向する側の端辺51bと、第1のリード部45の第2のリード部51と対向する側の辺45bとの間に位置するスリット部52を第1のリード部45に向けて突出するように設けられている。
【0076】
要するに、単位実装領域10Cは、スリット部52及びそれを縦方向に延ばした領域において、帯状のアンカー用突起部47a、47b及び台形状の凸部が単位実装領域10Bとはそれぞれ逆方向から突出し、帯状のアンカー用突起部47a、47bが台形状の凸部を縦方向に挟み込むように構成されている。このように構成すれば、アンカー用突起部47a、47bが樹脂層を支持すると共に、スリット部52が縦方向に真っ直ぐ延びるのではなく、折れ曲がり部分を持つことになるので、単位実装領域10Bを用いるのと同等の効果が得られる。リードフレーム1B、1Cの形態は、スリット部50、52周辺を補強する効果が高く、本発明の中でも好ましい形態の1つである。
【0077】
図5は、第5〜6実施形態のリードフレーム1D、1Eの構成を模式的に示す平面図である。リードフレーム1D、1Eはリードフレーム1と類似の構造を有し、共通する部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。図5(a)に示す第5実施形態のリードフレーム1Dは、複数の単位実装領域10Dと、複数の単位実装領域10Dを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Dが所定の構成を有することを特徴とする。
【0078】
単位実装領域10Dは単位実装領域10Bの変形例であり、第1、第2のリード部53、46と、第1、第2のリード部53、46を横方向に離隔するスリット部54とからなり、第1のリード部53に連続して繋がるアンカー用突起部47a、47bが設けられ、さらに第1のリード部53の第2のリード部46に対向する側には、第2のリード46に向けて突出する台形状の凸部が設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部53、46は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の基本形状を有し、スリット部54を介してほぼ平行になるように配置されている。また、第1、第2のリード部53、46の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0079】
単位実装領域10Dは、第2のリード部46に向かう方向に対して斜め外側に傾斜する方向(それぞれ斜め上方及び斜め下方)に延びる帯状のアンカー用突起部47a、47b並びに台形状の凸部が全て第1のリード部53に連続して繋がるように設けられていることを特徴とする。このように構成しても、単位実装領域10Bを用いるのとほぼ同等の効果が得られる。
【0080】
図5(b)に示す第6実施形態のリードフレーム1Eは、複数の単位実装領域10Eと、複数の単位実装領域10Eを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Eが所定の構成を有することを特徴とする。
【0081】
単位実装領域10Eは単位実装領域10Bの変形例であり、第1、第2のリード部20、55と、第1、第2のリード部20、55を横方向に離隔するスリット部56とからなり、第2のリード部55に連続して繋がるアンカー用突起部22a、22bが設けられ、かつ、第2のリード部55の第1のリード部20に対向する側の端辺55bに、第1のリード部20に向けて突出する台形状の凸部が設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部20、55は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の形状を有し、スリット部56を介してほぼ平行になるように配置されている。また、第1、第2のリード部20、55の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0082】
単位実装領域10Eは、それぞれ斜め上方及び斜め下方に延びる帯状のアンカー用突起部22a、22b並びに台形状の凸部が全て第2のリード部55に連続して繋がるように設けられていることを特徴とする。このように構成しても、単位実装領域10Bを用いるのとほぼ同等の効果が得られる。
【0083】
図6は、第7〜実施形態および参考例のリードフレーム1F、1G、1Hの構成を模式的に示す平面図である。図6(a)に示す第7実施形態のリードフレーム1F図6(b)に示す第8実施形態のリードフレーム1Gおよび図6(c)に示す参考例のリードフレーム1Hはリードフレーム1と類似の構造を有し、共通する部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。第7実施形態のリードフレーム1Fは、複数の単位実装領域10Fと、複数の単位実装領域10Fを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Fが所定の構成を有することを特徴とする。
【0084】
単位実装領域10Fは、第1、第2のリード部57、58と、第1、第2のリード部57、58を横方向に離隔するスリット部59とからなり、第1のリード部57に連続して繋がるアンカー用突起部47b、及び、第2のリード部58に連続して繋がるアンカー用突起部22aが設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部57、58は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の形状を有し、スリット部59を介してほぼ平行になるように配置されている。また、第1、第2のリード部57、58の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0085】
単位実装領域10Fでは、第1のリード部57に連続して繋がって斜め下方に延びる帯状のアンカー用突起部47bと、第2のリード部58に繋がって斜め上方に延びる帯状のアンカー用突起部22aとが、スリット部59を介して縦方向に対向するように構成されている。好ましくは、スリット部59の対角線の交点である中心点に対して、点対称の位置になるように配置されている。このように構成することにより、アンカー用突起部の面積を減らしながら、スリット部59周辺を閉空間に近い状態とし、スリット部59周辺の樹脂層を支持及び補強する効果を高め、該樹脂層の機械的強度を向上させ、スリット部58に沿った破断及び不良品率の低下を顕著に抑制することができる。
【0086】
図6(b)に示す第8実施形態のリードフレーム1Gは、複数の単位実装領域10Gと、複数の単位実装領域10Gを縦横に連結して支持する連結部11とを備え、単位実装領域10Gが下記の所定の構成を有することを特徴とする。
【0087】
単位実装領域10Gは、第1、第2のリード部60、61と、第1、第2のリード部60、61を横方向に離隔するスリット部62とからなり、第2のリード部61に連続して繋がるアンカー用突起部22aが設けられていることを特徴とする。第1、第2のリード部60、61は、いずれも、縦方向が長手方向となるほぼ矩形の形状を有し、スリット部62を介してほぼ平行になるように配置されている。また、第1、第2のリード部60、61の周縁部はハーフエッチングが施され、他の部分よりも厚みが薄くなっている。
【0088】
単位実装領域10Gでは、第2のリード部61に連続して繋がって斜め上方に延びる帯状の金属板であるアンカー用突起部22aを設けるように構成している。このように、1つのアンカー用突起部22aを設けることによっても、スリット部62に沿った破断を抑制し、不良品率を低下させる効果を得ることができる。
【0089】
(参考例)
図6(c)に示す参考例のリードフレーム1Hは、図3(d)に示す単位実装領域16と、複数の単位実装領域16を縦横に連結して支持する連結部11とを備えることを特徴とする。単位実装領域16の構成及びそれに基づく破断防止効果は上述した通りである。
【0090】
上記した各実施形態では、帯状、台形状及び直角三角形状のアンカー用突起部が用いられているが、これに限定されず、例えば、矩形状、正方形状、直角三角形以外の三角形状、円状、半円状等の各種形状を有するアンカー用突起部を用いることができる。また、1つのリード部に設けられるアンカー用突起部の数も特に限定されず、1〜複数個の中から適宜選択できる。また、単位実装領域が複数のリード部を備える場合、全てのリード部にアンカー用突起部を設けてもよく、一部のリード部にアンカー用突起部を設けることができる。さらに、複数のリード部が3個以上のリード部である場合、1又は2個以上のリード部にアンカー用突起部を設けることができる。
【0091】
上記した各実施形態において、斜め上方に延びるアンカー用突起部22a、25aは、個片化する際の連結片11a、11bの切断予定領域よりも下側に配置し、かつ、斜め下方に延びるアンカー用突起部22b、25bは、個片化する際の連結片11a、11bの切断予定領域よりも上側に配置することが好ましい。これにより、切断する金属の領域を増やすことなく、各単位実装領域におけるスリット部周辺の機械的強度を増強することができるので、切断刃の余分な消耗及び発光装置の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0092】
図4〜図6(但し図6(c)を除く)に示すリードフレーム1A〜1G及び単位実装領域10A〜10Gは、それぞれ、リードフレーム1及び単位実装領域10と同様の変形例を有している。
【0093】
次に、本発明の発光素子実装用樹脂成型体は、本発明のリードフレームの表面に樹脂層を一体成型したものである。すなわち、本発明の樹脂成型体は、従来のリードフレームに代えて本発明のリードフレームを用いる以外は、公知の樹脂成型体の構成を採用することができる。
【0094】
図7は、リードフレーム1を用いて作製された樹脂成型体65の一実施形態の構成を示す模式図である。(a)は樹脂成型体65の表側の面65aを示す平面図である。(b)は樹脂成型体65の裏側の面65bを示す平面図である。(c)は(a)に示す面65aの要部拡大図である。(d)は(c)に示すY−Y切断面線における断面図である。(e)は(c)に示すZ−Z切断面線における断面図である。
【0095】
樹脂成型体65は薄板状の形状を有し、リードフレーム1と、リードフレーム1の表面に一体成型された樹脂層68とを備える。樹脂成型体65の表側の面65aにおいて、樹脂層68は、底面に単位実装領域10が露出した凹部69を複数有している(図7(a))。また、樹脂成型体65の裏側の面65bにおいて、第1、第2のリード部20、21のハーフエッチングが施されていない部分が露出し、ハーフエッチングが施されている部分には樹脂層68cが形成され、及びスリット部23内には樹脂層68bが形成されて露出し(図7(b))、樹脂層68a、68b、68cが一体的に形成されて樹脂層68を構成している。樹脂成型体65は、例えば、リードフレーム1にトランスファモールド成型を施すことにより作製できる。また、樹脂成型体65を個片化することにより、リフレクタを作製することができる。
【0096】
図7(d)に示すように、第1のリード部20は、凹部69の底面69aに露出する第1インナーリード部20cと、第1インナーリード部20cに繋がり、樹脂層68と接する第1アウターリード部20dとを備える。図7(d)において、第1インナーリード部20cと第1アウターリード部20dとの間に図示した破線がこれらの境界を示している。また、第2のリード部21は、凹部69の底面69aに露出する第2インナーリード部21cと、第2インナーリード部21cに繋がり、樹脂層68と接する第2アウターリード部21dとを備える。図7(d)において、第2インナーリード部21cと第2アウターリード部21dとの間に図示した破線がこれらの境界を示している。
【0097】
樹脂層68は、単位実装領域10の表面から立ち上がるように形成され、発光素子からの光を前方に向けて反射する反射部68a(凹部69を囲む斜面)と、スリット部23に充填及び硬化されて、第1、第2のリード部20、21間に介在してこれらを絶縁する絶縁部68bと、第1、第2のリード部20、21の周縁部20a、21aであるハーフエッチング部分の下面に設けられた保護部68cとを備える。樹脂層68及び凹部69の形状は特に限定されず、公知の形状から適宜選択できる。
【0098】
上記の構成を有する樹脂成型体65は、リードフレーム1を用いて作製され、さらにアンカー用突起部22a、22bの表側、裏側及び外側に樹脂層68が形成され、アンカー用突起部22a、22bが樹脂層68中に埋まった状態(図7(e))になっているので、単位実装領域10における第1、第2のリード部20、21を離隔するスリット部23(絶縁部68bが充填及び硬化されている)に沿って破断することが顕著に抑制されている。したがって、樹脂成型体65を切断により個片化した後に、得られるリフレクタやリフレクタに発光素子を実装した発光装置に破断が発生し難くなり、1枚のリードフレーム1から得られる発光装置の収量を増加させ、さらにリフレクタや発光装置の長期耐久性や取扱い性をより一層高めることができる。
【0099】
発光装置は、樹脂成型体65の各凹部69に発光素子を実装しかつ透明性樹脂層を形成した後、切断刃により個片化することにより作製してもよく、また、樹脂成型体65を個片化し、得られたリフレクタの凹部69に発光素子を実装しかつ透明性樹脂層を形成することによって作製してもよい。また、図7(d)、(e)に示す構成は、本発明のリフレクタの構成と同じである。
【0100】
図8は、本発明の一実施形態である発光装置66の構成を模式的に示す斜視図である。発光装置66は、リードフレーム1の単位実装領域10と、前記単位実装領域10に一体成型されて、単位実装領域10の表面が底面に露出する凹部69を有する樹脂層68と、凹部69の底面として露出する単位実装領域10の第1、第2のリード部20、21と通電可能に実装される発光素子70と、凹部69に充填される透明性樹脂よりなる透明性樹脂層(不図示)とを備えるように構成されている。
【0101】
発光装置66において、凹部69の底面に露出する単位実装領域10には、第1、第2のリード部20、21及びこれらを絶縁する絶縁部68bの一部がそれぞれ露出する。そして、第1のリード部20表面には発光素子70が固定され、発光素子70に接続された2本の金線等のワイヤーボンディング71、72のうち、一方のワイヤーボンディング71が第1のリード部20に接続され、他方のワイヤーボンディング72が第2のリード部21に接続されることにより、凹部69の底面に発光素子70が実装されている。発光素子70の実装後、凹部69には液状透明性樹脂が充填され、透明性樹脂層が形成される。
【0102】
発光装置66は、複数の単位実装領域10が縦横に連結されたリードフレーム1を用いて作製されるので、第1、第2のリード部20、21間のスリット部23に充填して硬化された絶縁層68bに沿って破断することが顕著に抑制されている。したがって、発光装置66の取扱い性等が顕著に向上し、運搬する際や各種照明機器等に取り付ける際に、発光装置66の破断や割れが発生することが非常に少なくなると共に、照明機器等に装着後の長期耐久性にも優れている。
本発明の発光装置の構造は本実施形態の発光装置52の構造に限定されず、本発明のリードフレームを用いて作製する以外は、公知の発光装置の構造をいずれも採用できる。
【0103】
図9(a)は、別形態の単位実装領域75の構成を模式的に示す平面図であり、図9(b)は、第10実施形態のリードフレーム18の要部を拡大して模式的に示す平面図である。単位実装領域75は、第1、第2、第3のリード部76、77、78と、第1、第2リード部76、77を互いに離隔させる第1のスリット部81と、第1、第3のリード部76、78を互いに離隔させる第2のスリット部82とからなる。また、リードフレーム18は、複数の単位実装領域75と、複数の単位実装領域75を縦横に連結して支持する連結部11とを備えている。
【0104】
単位実装領域75において、第1のリード部76は、矩形の四隅83a〜83dが直角三角形状に切り欠かれた形状を有し、後述する連結片11aにより縦方向に連結されている。第1のリード部76の周縁部76aはハーフエッチングが施され、第1のリード部76の他の部分よりも厚みが薄くなっている。単位実装領域75に樹脂層を形成して発光素子を実装する場合、第1のリード部76は例えばダイパッドとして機能させ、発光素子を実装することが好ましい。
【0105】
第2のリード部77は、ほぼ矩形状の形状を有し、第1のスリット部81を介して第1のリード部76とほぼ平行になるように配置され、連結片11b、11cにより縦方向及び横方向に連結されている。第2のリード部77の周縁部77aはハーフエッチングが施され、第2のリード部77の他の部分よりも厚みが薄くなっている。単位実装領域75に樹脂層を形成して発光素子を実装する場合、第2のリード部77は、正負一方の電極として機能させることが好ましい。
【0106】
第2のリード部77の第1のリード部76に対向する側の二隅である角部には、第2のリード部77に連続して繋がるアンカー用突起部79a、79bが設けられている。アンカー用突起部79a、79bは、スリット部81を縦方向に延ばした領域において、第1のリード部76及び連結部11に接触することなく、第1のリード部77の切り欠き部分の端辺とほぼ平行になるようにそれぞれ斜め上方及び斜め下方に延びる帯状の金属板である。アンカー用突起部79a、79bの先端部は、スリット部81の中間位置を通って縦方向に延びる仮想線(不図示)で区画される第1のリード部76側に存在している。スリット部81の中間とは、第1のリード部76の第2のリード部77と対向する側の端辺76bと、第2のリード部77の第1のリード部76と対向する側の端辺77bの両方から横方向において等距離になる位置である。アンカー用突起部79a、79bは、第1のリード部76のスリット部81の中間位置に最も近接する端辺76bを越えて延びている。む
【0107】
第3のリード部78は、ほぼ矩形状の形状を有し、第2のスリット部82を介して第1のリード部76とほぼ平行になるように配置され、連結片11b、11cにより縦方向及び横方向に連結されている。第3のリード部78の周縁部78aはハーフエッチングが施され、第3のリード部78の他の部分よりも厚みが薄くなっている。単位実装領域75に樹脂層を形成して発光素子を実装する場合、第3のリード部78は、正負他方の電極として機能させることが好ましい。
【0108】
第3のリード部78の第1のリード部76に対向する側の二隅である角部には、第3のリード部78に連続して繋がるアンカー用突起部80a、80bが設けられている。アンカー用突起部80a、80bは、スリット部82を縦方向に延ばした領域において、第1のリード部76及び連結部11に接触することなく、第1のリード部76の切り欠き部分の端辺とほぼ平行になるようにそれぞれ斜め上方及び斜め下方に延びる帯状の金属板である。アンカー用突起部80a、80bの先端部は、スリット部82の中間を通って縦方向に延びる仮想線(不図示)で区画される第1のリード部76側に存在している。スリット部82の中間とは、第1のリード部76の第3のリード部78と対向する側の辺76cと、第3のリード部78の第1のリード部76と対向する側の辺78bの両方から横方向において等距離になる位置である。
【0109】
このようにアンカー用突起部79a、79b、80a、80bを設けることにより、これらが第1のリード部76を取り囲むように構成され、第1、第2のスリット部81、82の周囲を閉空間に近い状態としてその四周に支持体が配置されるようにし、かつ、第1、第2のスリット部81、82が折れ曲がり部分を持つようになる。その結果、単位実装領域75の表面に樹脂層を一体成型してリフレクタや発光装置を作製した場合に、スリット部81、82周辺の垂直な方向からの応力に対する機械的強度が増強され、スリット部81、82に沿ったリフレクタや発光装置の破断が顕著に抑制され、不良品率を著しく低減化することができる。
【0110】
なお、アンカー用突起部79a、80aの縦方向の先端部は、連結片11a、11bの個片化時の切断予定位置よりも下側に存在し、かつ、アンカー用突起部79b、80bの縦方向の先端部は、連結片11a、11bの個片化時の切断予定位置よりも上側に存在するように構成することが好ましい。これにより、従来のリードフレームと同様に連結部11のみを切断することで、リフレクタや発光装置におけるスリット部81、82周辺での機械的強度の顕著な向上を達成しつつ、切断刃の余分な消耗を抑制することができる。その結果、発光装置の不良品率の著しい低減化と、切断刃の交換回数を減らすことによる製造コストの低減化とを一度に達成できる。
【0111】
連結部11は、第1のリード部76を縦方向に連結する連結片11aと、第2、第3のリード部77、78をそれぞれ縦方向に連結する連結片11bと、横方向に隣り合う第2、第3リード部77、78を横方向に連結する連結片11cと、連結片11a、11b、11cにより連結された単位実装領域75の集合体を一体的に支持する枠体12とを備えている。
【0112】
このような構成を有するリードフレーム2の表面に樹脂層を一体成型して樹脂成型体を作製し、さらにこの樹脂成型体を個片化してリフレクタ及び発光装置を作製することにより、発光装置の収量を顕著に増加させ、発光装置の製造コストを低減化できると共に、発光装置を取り付ける際の取扱い性や使用時の長期耐久性を向上させることができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0114】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、2 リードフレーム
10、10A、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、13、14、15、16、17、75 単位実装領域
11 連結部
11a、11b、11c 連結片
12 枠部
20、24、28、32、35、45、49、53、57、60、76 第1のリード部
21、25、29、33、36、39、46、51、55、58、61、77 第2のリード部
22、22a、22b、26、30、34、37、40、47a、47b、79a、79b、80a、80b アンカー用突起部
23、27、48、50、52、54、56、59、62 スリット部
65 樹脂成型体
66 発光装置
68 樹脂層
68a 反射部
68b 絶縁部
68c 保護部
69 凹部
70 発光素子
71、72 ワイヤーボンディング
78 第3のリード部
81 第1のスリット部
82 第2のスリット部82
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12