特許第6268738号(P6268738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268738
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】車両用画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/00 20060101AFI20180122BHJP
   B60R 1/04 20060101ALI20180122BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20180122BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   B60R1/00 A
   B60R1/04 Z
   H04N7/18 J
   G06T1/00 330Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-77597(P2013-77597)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-201146(P2014-201146A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】都筑 隆宏
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−100180(JP,A)
【文献】 特開2011−188028(JP,A)
【文献】 特開2010−130647(JP,A)
【文献】 特開2007−221200(JP,A)
【文献】 特開2004−064150(JP,A)
【文献】 特開2008−141578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
B60R 1/04
G06T 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を視認可能なハーフミラーを有するハウジングと、車両に固定された車載用カメラと、前記ハウジングに内蔵されかつ前記車載用カメラにより撮像された被写体画像を前記ハーフミラーを通じて視認可能なディスプレイとを備え、
前記車載用カメラは、被写体を撮影する撮影光学系と、該撮影光学系により前記被写体画像が形成される撮像素子とを少なくとも備え、
前記撮像素子と前記ディスプレイとの間に前記被写体画像を処理する処理回路と、前記処理回路により処理される前記被写体画像を映像信号に変換して前記ディスプレイに出力するデジタル・アナログ変換回路と、が設けられ、
前記処理回路には、
前記被写体画像よりも狭い矩形状領域の画像を切り出す画像切り出し回路と、
前記ハーフミラーの向きに応じてその向きのときに該ハーフミラーによりドライバーに対して直接映って見える像に対応する矩形状領域内の画像が前記ディスプレイに表示されるように、前記被写体画像に対する前記矩形状領域の切り出し箇所を変更する画像切り出し箇所変更部と、
前記画像切り出し回路と前記デジタル・アナログ変換回路との間に、前記画像切り出し回路により切り出される切り出し画像を伸長して縦横の所定アスペクト比による伸長画像を作成する画像伸長回路と、が設けられ、
前記デジタル・アナログ変換回路は、前記画像伸長回路からの前記伸長画像を映像信号に変換して前記ディスプレイに出力する
ことを特徴とする車両用画像表示装置。
【請求項2】
前記処理回路が前記車載用カメラに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
前記画像切り出し箇所変更部は、前記ハウジングの姿勢を検出する姿勢検出センサに接続され、該姿勢検出センサは車両用インナーミラーに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用画像表示装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用画像表示装置には、車載用インナーミラー本体(ハウジング)の内部に液晶表示装置(ディスプレイ)を設け、車載用カメラにより撮像された画像を液晶表示装置に表示させ、車載用インナーミラー本体の前面に設けられたハーフミラーを通じてドライバーに車両後方を視認可能とした構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−57023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載用インナーミラーでは、ハーフミラーの向きを変えると、ドライバーに対してハーフミラーにより直接映って見える車両後方の像が変わる。しかしながら、車載用カメラは車体に固定されているため、ハーフミラーの向きを変えても、液晶表示装置の表示画面に映っている画像は変わらない。
【0005】
このため、ドライバーの好みによって、ドライバーがハーフミラーに直接映って見える像の範囲を変えたとしても、車載用カメラにより撮影された画像をそのディスプレイに表示させたときには、そのハーフミラーによりドライバーに対して直接映って見える像とは異なる画像が表示され、ドライバーに違和感を与える。
【0006】
本発明に係る車両用画像表示装置は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、ハーフミラーの向きに対応させてディスプレイに表示される画像を変更可能とした車両用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用画像表示装置は、車両後方を視認可能なハーフミラーを有するハウジングと、車両に固定された車載用カメラと、前記ハウジングに内蔵されかつ前記車載用カメラにより撮像された被写体画像を前記ハーフミラーを通じて視認可能なディスプレイとを備える。
前記車載用カメラは、被写体を撮影する撮影光学系と、該撮影光学系により前記被写体画像が形成される撮像素子とを少なくとも備える。
前記撮像素子と前記ディスプレイとの間に前記被写体画像を処理する処理回路と、前記処理回路により処理される前記被写体画像を映像信号に変換して前記ディスプレイに出力するデジタル・アナログ変換回路と、が設けられる。
前記処理回路には、前記被写体画像よりも狭い矩形状領域の画像を切り出す切り出し回路と、前記ハーフミラーの向きに応じてその向きのときに該ハーフミラーによりドライバーに対して直接映って見える像に対応する矩形状領域内の画像が前記ディスプレイに表示されるように、前記被写体画像に対する前記矩形状領域の切り出し箇所を変更する画像切り出し箇所変更部と、前記画像切り出し回路と前記デジタル・アナログ変換回路との間に、前記画像切り出し回路により切り出される切り出し画像を伸長して縦横の所定アスペクト比による伸長画像を作成する画像伸長回路と、が設けられている。
そして、前記デジタル・アナログ変換回路は、前記画像伸長回路からの前記伸長画像を映像信号に変換して前記ディスプレイに出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハウジングの姿勢に対応させて、撮像素子に形成された被写体画像について画像の切り出し箇所を変更する構成としたので、ハーフミラーによりドライバーに対して直接映って見える像に対応する矩形状領域内の画像をディスプレイに表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明に係る車両用画像表示装置を備えた車両を上面から目視した平面図である。
図2図2図1に示す車両用インナーミラーの要部断面図である。
図3図3図1に示す車両用インナーミラーの正面図である。
図4図4図3に示すハーフミラーに直接映っている後方車両と遠方車両の一例を示す説明図である。
図5図5は本発明に係る車両用画像表示装置のブロック回路図である。
図6図6図5に示す撮像素子に形成された被写体画像の一例を示す説明図である。
図7図7図6に示す被写体画像に対する矩形状領域を示す説明図である。
図8図8は切り出し画像の伸長の一例を示す説明図である。
図9図9図8に示す伸長画像により得られた歪が除去された画像を示す説明図である。
図10図10はハーフミラーの姿勢を変更したときにハーフミラーによりドライバーに対して映って見える像の説明図である。
図11図11図10に示す向きにハーフミラーの姿勢を変更したときにディスプレイに表示される画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
図1は本発明に係る車両用画像表示装置を備えた車両を上面から目視した平面図である。
その図1において、符号1は本発明に係る車両用画像表示装置を備えた車両であり、符号1’は後続車両であり、符号1”は後続車両1’よりも遠くに位置する遠方車両を示している。
【0011】
車両1にはその後部に車載用カメラ2が設けられている。この車載用カメラ2は信号線を介して車載用インナーミラー3に接続されている。なお、符号4はドライバー、符号5は車内天井を示している。
【0012】
その車載用インナーミラー3はその車内天井5に図2に示すように支持部材6を介して支持されている。その支持部材6には球状ピボット部7が設けられている。
【0013】
その車載用インナーミラー3は、その車内用インナーミラー本体としてのハウジング8がその球状ピボット部7を支点にして上下左右に傾動可能とされている。これによりハウジング8の姿勢が変更される。
【0014】
そのハウジング8には、その前面にハーフミラー9が図2に示すように設けられている。そのハーフミラー9の背面には、図2に示すように液晶表示画面10aが設けられている。
【0015】
その液晶表示画面10aの背面にはバックライト照明部10bが設けられ、バックライト照明部10bの背面には電気回路基板部10cが設けられている。
【0016】
この液晶表示画面10aとバックライト照明部10bと電気回路基板部10cとにより公知のディスプレイ10が構成されている。
そのディスプレイ10は、車載用カメラ2により撮影された被写体画像がハーフミラー9を通じて視認可能とされている。
【0017】
また、ディスプレイ10のバックライト照明部10bをオフしたときには、ハーフミラー9の光の反射によりドライバー4に対して車両後方が直接映って見えるものとされている。
【0018】
その支持部材6には、図2に示すように、センサ取り付け板11が設けられている。そのセンサ取付け板11には、姿勢検出センサとしてのポテンショメータ12、13が設けられている。
【0019】
そのポテンショメータ12は、図2図3に示すように、そのハウジング8の水平方向(左右方向)の傾動を検出し、そのポテンショメータ13はそのハウジング8の垂直方向(上下方向)の傾動を検出する役割を果たす。
【0020】
ここでは、そのハーフミラー9(ハウジング8)に、例えば、図4に示すように、ハーフミラー9に後続車両1’の像と、遠方車両1”の像とがドライバー4に対して直接映って見えるように、そのハウジング8の姿勢が調整されているものとして説明する。
【0021】
車載用カメラ2には、ここでは、図5に示すように、被写体を撮影するための撮影光学系16と、撮影光学系16により被写体画像が形成される撮像素子17と、処理回路18と、デジタル・アナログ変換回路19とが設けられている。
【0022】
その撮像素子17には、図6に示すように、後続車両1’と遠方車両1”とからなる被写体画像が形成されている。その撮像素子17の縦横のアスペクト比(V:H)は3:4であり、これに対して、液晶表示画面10a、ハーフミラー9の縦横のアスペクト比(V:H)は1:4である。
【0023】
処理回路18は、撮像素子17とディスプレイ10との間に配置されて、撮像素子17から出力される映像信号を処理する機能を果たす。その処理回路18は、撮像素子17からの映像信号をデジタル化してフレームメモリ(バッファメモリ)にデジタル画像として一時的に保存する。
【0024】
その処理回路18には、図7に示すように、撮像素子17に結像された被写体画像G1よりも狭い矩形状領域RECの画像(切り出し画像)を切り出す画像切り出し回路18a、画像歪を除去するための画像伸長回路18b、画像切り出し位置変更部18cが設けられている。画像切り出し回路18aについては後述することにし、画像伸長回路18aについて先に説明する。
【0025】
画像伸長回路18bは、図7に示す切り出し画像G1’を伸長して縦横のアスペクト比(V:H)が3:4の伸長画像を作成する機能を有する。
例えば、その画像伸長回路18bは、横方向の一ラインに相当する画像データから同一の画像データの3ライン分を作成する。これにより、図8に示すように、縦方向に間延びした伸長画像G1”が形成される。
【0026】
その伸長画像G1”からなる画像データは、デジタル・アナログ変換19に入力される。このデジタル・アナログ変換回路19は、伸長画像G1”をNTSC方式の映像信号に変換してディスプレイ10に出力する。
これにより、縦方向に間延びした伸長画像G1”が図9に示すように圧縮されて歪のない画像がディスプレイ10の表示画面10aに表示される。
【0027】
この切り出し画像G1’の歪の除去については、例えば、特願2013ー21893号にその詳細が記載され、この切り出し画像の歪の除去は、本発明とは直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
処理回路18には、ハウジング8の向きに応じてドライバー4に対してハーフミラー9により直接映って見える像と同等の画像が液晶表示画面10aに表示されるように、被写体画像G1に対する矩形状領域RECの切り出し箇所を変更する画像切り出し箇所変更部12cが、図5に示すように設けられている。
【0029】
ここでは、ディスプレイ10がオフのときには、図4に示すように、ドライバー4には、後続車両1’がハーフミラー9の中央に映って見え、ハーフミラー9の右端側に遠方車両1”の一部が欠けて映って見えている。
【0030】
ドライバー4が、図10に示すように、後続車両1’と遠方車両1”との双方が欠けることなく視認できるように、ハウジング8の向きを変更したとする。
【0031】
すると、ポテンショメータ12、13はそのハウジング8の傾きを電気信号に変換して処理回路18に向かって出力する。処理回路18の画像切り出し箇所変更部18cには、例えば、テーブルメモリ(図示を略す)が設けられている。
【0032】
そのテーブルメモリには、ポテンショメータ12、13の出力に対応してマトリックス状に矩形状領域RECの切り出し箇所が記憶されている。
【0033】
ハウジング8の向きが変更されたときには、画像切り出し箇所変更部18cは、画像切り出し箇所変更信号を画像切り出し回路18aに向かって出力する。
【0034】
これにより、後続車両1’と遠方車両1”との双方が欠けることなくドライバー4に視認できるように、ハウジング8の向きが外向きに傾けられたときには、図7に実線で示す矩形状領域RECが図7に二点鎖線で示す矩形状領域REC’に変更される。
【0035】
その結果、図11に示すように、液晶表示画面10aに、ハーフミラー9によってドライバー4に直接映って見える像と同等の画像が表示される。
【0036】
すなわち、ハーフミラー9の向きに応じてその向きのときにこのハーフミラー9によりドライバー4に対して直接映って見える像に対応する矩形状領域REC内の画像がディスプレイ10に表示される。
【0037】
この実施例では、処理回路18が車載用カメラ2に設けられているが本発明はこれに限られるものではない。例えば、処理回路18は、車載用カメラ2とディスプレイ10との間に設けられていても良い。
【符号の説明】
【0038】
2…車載用カメラ
8…ハウジング
9…ハーフミラー
10…ディスプレイ
16…撮影光学系
17…撮像素子
18…処理回路
18a…画像切り出し回路
18c…画像切り出し箇所変更部
REC…矩形状領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11