【実施例】
【0010】
図1は本発明に係る車両用画像表示装置を備えた車両を上面から目視した平面図である。
その
図1において、符号1は本発明に係る車両用画像表示装置を備えた車両であり、符号1’は後続車両であり、符号1”は後続車両1’よりも遠くに位置する遠方車両を示している。
【0011】
車両1にはその後部に車載用カメラ2が設けられている。この車載用カメラ2は信号線を介して車載用インナーミラー3に接続されている。なお、符号4はドライバー、符号5は車内天井を示している。
【0012】
その車載用インナーミラー3はその車内天井5に
図2に示すように支持部材6を介して支持されている。その支持部材6には球状ピボット部7が設けられている。
【0013】
その車載用インナーミラー3は、その車内用インナーミラー本体としてのハウジング8がその球状ピボット部7を支点にして上下左右に傾動可能とされている。これによりハウジング8の姿勢が変更される。
【0014】
そのハウジング8には、その前面にハーフミラー9が
図2に示すように設けられている。そのハーフミラー9の背面には、
図2に示すように液晶表示画面10aが設けられている。
【0015】
その液晶表示画面10aの背面にはバックライト照明部10bが設けられ、バックライト照明部10bの背面には電気回路基板部10cが設けられている。
【0016】
この液晶表示画面10aとバックライト照明部10bと電気回路基板部10cとにより公知のディスプレイ10が構成されている。
そのディスプレイ10は、車載用カメラ2により撮影された被写体画像がハーフミラー9を通じて視認可能とされている。
【0017】
また、ディスプレイ10のバックライト照明部10bをオフしたときには、ハーフミラー9の光の反射によりドライバー4に対して車両後方が直接映って見えるものとされている。
【0018】
その支持部材6には、
図2に示すように、センサ取り付け板11が設けられている。そのセンサ取付け板11には、姿勢検出センサとしてのポテンショメータ12、13が設けられている。
【0019】
そのポテンショメータ12は、
図2、
図3に示すように、そのハウジング8の水平方向(左右方向)の傾動を検出し、そのポテンショメータ13はそのハウジング8の垂直方向(上下方向)の傾動を検出する役割を果たす。
【0020】
ここでは、そのハーフミラー9(ハウジング8)に、例えば、
図4に示すように、ハーフミラー9に後続車両1’の像と、遠方車両1”の像とがドライバー4に対して直接映って見えるように、そのハウジング8の姿勢が調整されているものとして説明する。
【0021】
車載用カメラ2には、ここでは、
図5に示すように、被写体を撮影するための撮影光学系16と、撮影光学系16により被写体画像が形成される撮像素子17と、処理回路18と、デジタル・アナログ変換回路19とが設けられている。
【0022】
その撮像素子17には、
図6に示すように、後続車両1’と遠方車両1”とからなる被写体画像が形成されている。その撮像素子17の縦横のアスペクト比(V:H)は3:4であり、これに対して、液晶表示画面10a、ハーフミラー9の縦横のアスペクト比(V:H)は1:4である。
【0023】
処理回路18は、撮像素子17とディスプレイ10との間に配置されて、撮像素子17から出力される映像信号を処理する機能を果たす。その処理回路18は、撮像素子17からの映像信号をデジタル化してフレームメモリ(バッファメモリ)にデジタル画像として一時的に保存する。
【0024】
その処理回路18には、
図7に示すように、撮像素子17に結像された被写体画像G1よりも狭い矩形状領域RECの画像(切り出し画像)を切り出す画像切り出し回路18a、画像歪を除去するための画像伸長回路18b、画像切り出し位置変更部18cが設けられている。画像切り出し回路18aについては後述することにし、画像伸長回路18aについて先に説明する。
【0025】
画像伸長回路18bは、
図7に示す切り出し画像G1’を伸長して縦横のアスペクト比(V:H)が3:4の伸長画像を作成する機能を有する。
例えば、その画像伸長回路18bは、横方向の一ラインに相当する画像データから同一の画像データの3ライン分を作成する。これにより、
図8に示すように、縦方向に間延びした伸長画像G1”が形成される。
【0026】
その伸長画像G1”からなる画像データは、デジタル・アナログ変換19に入力される。このデジタル・アナログ変換回路19は、伸長画像G1”をNTSC方式の映像信号に変換してディスプレイ10に出力する。
これにより、縦方向に間延びした伸長画像G1”が
図9に示すように圧縮されて歪のない画像がディスプレイ10の表示画面10aに表示される。
【0027】
この切り出し画像G1’の歪の除去については、例えば、特願2013ー21893号にその詳細が記載され、この切り出し画像の歪の除去は、本発明とは直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
処理回路18には、ハウジング8の向きに応じてドライバー4に対してハーフミラー9により直接映って見える像と同等の画像が液晶表示画面10aに表示されるように、被写体画像G1に対する矩形状領域RECの切り出し箇所を変更する画像切り出し箇所変更部12cが、
図5に示すように設けられている。
【0029】
ここでは、ディスプレイ10がオフのときには、
図4に示すように、ドライバー4には、後続車両1’がハーフミラー9の中央に映って見え、ハーフミラー9の右端側に遠方車両1”の一部が欠けて映って見えている。
【0030】
ドライバー4が、
図10に示すように、後続車両1’と遠方車両1”との双方が欠けることなく視認できるように、ハウジング8の向きを変更したとする。
【0031】
すると、ポテンショメータ12、13はそのハウジング8の傾きを電気信号に変換して処理回路18に向かって出力する。処理回路18の画像切り出し箇所変更部18cには、例えば、テーブルメモリ(図示を略す)が設けられている。
【0032】
そのテーブルメモリには、ポテンショメータ12、13の出力に対応してマトリックス状に矩形状領域RECの切り出し箇所が記憶されている。
【0033】
ハウジング8の向きが変更されたときには、画像切り出し箇所変更部18cは、画像切り出し箇所変更信号を画像切り出し回路18aに向かって出力する。
【0034】
これにより、後続車両1’と遠方車両1”との双方が欠けることなくドライバー4に視認できるように、ハウジング8の向きが外向きに傾けられたときには、
図7に実線で示す矩形状領域RECが
図7に二点鎖線で示す矩形状領域REC’に変更される。
【0035】
その結果、
図11に示すように、液晶表示画面10aに、ハーフミラー9によってドライバー4に直接映って見える像と同等の画像が表示される。
【0036】
すなわち、ハーフミラー9の向きに応じてその向きのときにこのハーフミラー9によりドライバー4に対して直接映って見える像に対応する矩形状領域REC内の画像がディスプレイ10に表示される。
【0037】
この実施例では、処理回路18が車載用カメラ2に設けられているが本発明はこれに限られるものではない。例えば
、処理回路18は、車載用カメラ2とディスプレイ10との間に設けられていても良い。