(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力を風、光、熱又は音のいずれかに変換して出力する動作を行う本体部と、該本体部の下方に接続され、設置された際に地面に接触する接地領域を有する基体部と、前記基体部の下面側に地面と接地しないよう接続され前記本体部に電力を供給するバッテリパックと、を備えた電気機器において、
前記本体部は、前記基体部と離間した状態で複数の支脚を介して前記基体部に取り付けられ、
前記基体部の前方には前記本体部の動作の制御に用いられる操作部が設けられ、前記基体部は前記バッテリパックが後方から装着されるバッテリパック取付部を具備し、
平面視において、前記支脚は前記バッテリパック取付部よりも外側で前記基体部に接続され、前記バッテリパックは、前記接地領域の外周部よりも外側に出ないように前記バッテリパック取付部に装着されることを特徴とする電気機器。
電力を風、光、熱又は音のいずれかに変換して出力する動作を行う本体部と、該本体部の下方に接続され、設置された際に地面に接触する接地領域を有する基体部と、前記基体部の下面側に地面と接地しないよう接続され前記本体部に電力を供給するバッテリパックと、を備えた電気機器において、
前記本体部は、前記基体部と離間した状態で複数の支脚を介して前記基体部に取り付けられ、
前記基体部は、前記バッテリパックの上面と接する状態で、前記バッテリパックが一方向に沿って一方の側から装着されるバッテリパック取付部を具備し、
平面視において、前記支脚は前記バッテリパック取付部よりも外側で前記基体部に接続され、前記バッテリパックは、前記接地領域の外周部よりも外側に出ないように、前記バッテリパック取付部に装着され、
かつ、前記バッテリパックは、上面側及び前記一方向における他方の側が覆われ、かつ下面側が覆われない状態で前記バッテリパック取付部に装着されることを特徴とする電気機器。
前記基体部の下側を接地させた状態で前記電気機器が設置された際に、前記バッテリパック設置面に対する前記バッテリパックの装着は、前記バッテリパック設置面に沿って前記バッテリパックを後方の斜め上方から前方の斜め下方に移動させることによって行われることを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
前記取付角度の調整によって前記本体部又は前記支脚と前記接地脚との間のなす角度を最小とし、前記本体部を下側、前記接地脚を上側として前記電気機器を設置した場合において、前記バッテリパック設置面は、前記接地脚よりも下側に位置することを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の電気機器。
【背景技術】
【0002】
商用AC100Vの電源の供給が困難である屋外等で使用される電気機器の電源としては、バッテリパック(バッテリ:蓄電池)が使用される。例えば、屋外の建築工事現場等で使用される送風機(扇風機)においても、バッテリパックを電源とするものが使用されている。一般に、電動工具の電源として使用されるバッテリパックは、乾電池等と比べて高出力であるため、これを電源として用いた場合には送風機の風力を高める、あるいは連続使用可能時間を長くとることができるため、好ましい。また、作業において使用する電動工具用のバッテリパックと、作業環境において使用される送風機のバッテリパックとを兼用することができれば、非常に効率的である。
【0003】
一般に、こうした電動工具用のバッテリパックは、電動工具とは別体の充電器で充電された状態で、電動工具に装着されて用いられる。このため、バッテリパックの装着は容易かつ確実に行われるような構成とされる。一般に、バッテリパックの装着は、電動工具に設けられたバッテリパック設置面に沿ってバッテリパックをスライドさせ、固定用の凹部や凸部を係合させてバッテリパックをバッテリパック設置面に固定することによって行われる。この際に、バッテリパック設置面に設けられた端子と、バッテリパック側の端子とが接する設定とされる。バッテリパック設置面あるいはバッテリパックは、一般にこの電動工具を使用する際の障害とならないように、電動工具の端部に設けられる場合が多い。このバッテリパックを送風機に装着して使用するためには、送風機においても電動工具と同様にバッテリパック設置面を設けることが必要となる。
【0004】
しかしながら、電動工具用のバッテリパックは乾電池等と比べて大型となる。これに対して、送風機においては、回転する羽根(ファン)の面積を特に大きくとる必要があり、これ以外の構成要素の面積は限定される。このため、送風機にこのバッテリパックを装着し、かつ使用しやすい形態とすることは容易ではない。特許文献1には、これらの点を考慮した送風機(扇風機)が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の送風機においては、ファンを備えたヘッド部が支脚の上側に取り付けられ、バッテリパックは、支脚の最下部に設置される。この送風機においては、設置時には、最下部のバッテリパックがこの送風機全体を支える。この構造により、全体の構成を単純化することもできる。こうした構成は、送風機のみならず、地上に設置されて使用され、バッテリパックを電源として動作する本体部を備えた電気機器全般(例えば、音響機器、ヒーター、投光器等)においても有効である。
【0006】
また、送風機とは異なるが、上記の送風機と同様に、脱着が容易なバッテリパックを電源とし、屋外で使用されるラジオが、特許文献2に記載されている。このラジオにおいては、バッテリ収納カバーを開いた内部においてバッテリ接続部が設けられ、バッテリパックやバッテリ設置部に水滴や粉塵等が付きにくい構成とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、上記の送風機は、屋外の建築作業現場において地面に置かれて使用される。こうした使用態様において、操作性と信頼性を共に得ることは容易ではない。
【0009】
特許文献1に記載の送風機においては、バッテリパックが最下部に設置されるために、バッテリパックの脱着の際には、送風機を持ち上げる。あるいは横倒しにする、という作業が必要である。このため、その脱着作業は容易ではなかった。更に、装着された際に地面に接するバッテリパックの下面は、平坦であることが必要であるため、他の電動工具用のバッテリパックを使い回すことが困難である場合が多かった。また、バッテリパック自身が地面と接するために、バッテリパックが損傷しやすかった。
【0010】
一方、特許文献2に記載のラジオのように、カバーで保護された内部にバッテリパックを設置する形態とすることにより、バッテリパックの保護をすることができる。また、この場合には、装着ができる限りにおいて、任意の形状のバッテリパックを使用することができる。しかしながら、この場合には、バッテリパックを装着すべき部分全体が大型となるために、上記のような、屋外等で使用される送風機の形態としては好ましくない。
【0011】
また、送風機全体をコンパクトな形状とするためには、前記の通り、大きく重い本体部を、本体部よりも小さく、本体部の下部にある構造体で支持する構造が必要となる。一般的に、こうした形態の送風機は設置された際に転倒しやすい。これは、振動が多い屋外の作業環境等では特に顕著である。この点については、特許文献1に記載の送風機についても同様であり、この送風機は転倒しやすかった。
【0012】
すなわち、着脱式のバッテリパックが電源として用いられる送風機(電気機器)において、操作性と信頼性を両立することは困難であった。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の電気機器は、電力を風、光、熱又は音のいずれかに変換して出力する動作を行う本体部と、該本体部の下方に接続され、設置された際に地面に接触する接地領域を有する基体部と、前記基体部の下面側に地面と接地しないよう接続され前記本体部に電力を供給するバッテリパックと、を備えた電気機器において、前記本体部は、前記基体部と離間した状態で複数の支脚を介して前記基体部に取り付けられ、前記基体部の前方には前記本体部の動作の制御に用いられる操作部が設けられ、前記基体部は前記バッテリパックが後方から装着されるバッテリパック取付部を具備し、平面視において、前記支脚は前記バッテリパック取付部よりも外側で前記基体部に接続され、前記バッテリパックは、前記接地領域の外周部よりも外側に出ないように前記バッテリパック取付部に装着されることを特徴とする。
本発明の電気機器は、電力を風、光、熱又は音のいずれかに変換して出力する動作を行う本体部と、該本体部の下方に接続され、設置された際に地面に接触する接地領域を有する基体部と、前記基体部の下面側に地面と接地しないよう接続され前記本体部に電力を供給するバッテリパックと、を備えた電気機器において、前記本体部は、前記基体部と離間した状態で複数の支脚を介して前記基体部に取り付けられ、前記基体部は、前記バッテリパックの上面と接する状態で、前記バッテリパックが一方向に沿って一方の側から装着されるバッテリパック取付部を具備し、平面視において、前記支脚は前記バッテリパック取付部よりも外側で前記基体部に接続され、前記バッテリパックは、前記接地領域の外周部よりも外側に出ないように、前記バッテリパック取付部に装着され、かつ、前記バッテリパックは、上面側及び前記一方向における他方の側が覆われ、かつ下面側が覆われない状態で前記バッテリパック取付部に装着されることを特徴とする。
本発明の電気機器は、前記本体部の動作の制御に用いられる操作部が前記基体部に設けられたことを特徴とする。
本発明の電気機器は、前記
バッテリパック取付部に装着された前記バッテリパックが、前記操作部よりも後方に位置することを特徴とする。
本発明の電気機器において、前記本体部は、前記基体部に対して前後方向における取付角度が調整可能な状態で前記支脚を介して取り付けられ、前記操作部が、前記基体部において、前後方向における前記取付角度の調整の際の回動軸よりも前方に設けられたことを特徴とする。
本発明の電気機器において、前記基体部は、後方に向かって延伸する接地脚を具備することを特徴とする。
本発明の電気機器において、前記バッテリパックは、前記バッテリパック取付部における略平面状のバッテリパック設置面に対して装着され、前記
バッテリパック設置面と地面とのなす角度は、前記バッテリパック設置面に前記バッテリパックを装着する際に、前記バッテリパックが前記接地脚と干渉せず、かつ前記基体部及び前記バッテリパックが前記支脚、前記本体部のいずれとも干渉しないように設定されたことを特徴とする。
本発明の電気機器は、前記基体部の下側を接地させた状態で前記電気機器が設置された際に、前記バッテリパック設置面に対する前記バッテリパックの装着は、前記バッテリパック設置面に沿って前記バッテリパックを後方の斜め上方から前方の斜め下方に移動させることによって行われることを特徴とする。
本発明の電気機器において、前記バッテリパック設置面は、前記回動軸よりも後方に設けられたことを特徴とする。
本発明の電気機器は、前記取付角度の調整によって前記本体部又は前記支脚と前記接地脚との間のなす角度を最小とし、前記本体部を下側、前記接地脚を上側として前記電気機器を設置した場合において、前記バッテリパック設置面は、前記接地脚よりも下側に位置することを特徴とする。
本発明の電気機器は、前記電気機器の制御を行う制御回路が形成された基板が、前記基体部に設けられたことを特徴とする。
本発明の電気機器は、前方に向かって送風を行うファンが前記本体部に設けられた送風機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成されているので、着脱式のバッテリパックが電源として用いられる電気機器において、操作性と信頼性を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態となる電気機器の構成について説明する。この電気機器は、着脱式のバッテリパックを電源とする送風機である。このバッテリパックは送風機において設けられたバッテリパック設置面に装着されるが、この送風機においては、粉塵や水滴がこのバッテリパック装着面に及ぼす悪影響が低減される。このため、劣悪な環境でこの送風機が使用される場合であっても、操作性と信頼性を両立することができる。ここで、操作性における操作とは、この送風機の制御のための操作と、バッテリパック脱着の操作を意味する。
【0018】
図1は、この送風機1の斜視図であり、
図1(a)は斜め前方から見た斜視図であり、
図1(b)は斜め後方から見た斜視図である。ここで、動作時には、送風は前方に向かってなされ、この送風機1は地面に置かれて使用されるものとする。また、
図2は、この送風機1を四方向から見た図であり、
図2(a)はその上面図、
図2(b)はその正面図、
図2(c)はその側面図、
図2(d)はその背面図となっている。
図1、2は、この送風機1が使用される際の形態(折り畳まれていない状態)を示している。
【0019】
この送風機1は、回転する羽根(ファン)11が設けられた本体部10を具備する。
図1(b)に示されるように、本体部10の後方中央にはファン11を回転させる直流モーターを内蔵するモーター収容部12が設けられる。ファン11は、前方、後方共に、ファン11が生成した冷却風は透過させるが使用者がファン11に接することを抑制するための籠状のガード部13で覆われている。本体部10の上側には、利用者がこの送風機1を持ち運ぶ際に把持するハンドル14が設けられている。本体部10の左右両側には、下方に延伸する支脚21、22がそれぞれ固定されている。
【0020】
支脚21、22は、本体部10の下側に離間して位置する基体部30の左右端に、前後方向における取付角度が調整可能な状態で取り付けられる。この取付角度調整は、基体部30における、左右方向(鉛直方向及びファン11の回転軸方向と垂直な方向)と平行な回動軸Rを中心として行われる。また、
図1(b)、
図2(a)(c)に示されるように、基体部30は、後方に向かって延伸し平面視においてU字形状の接地脚31を具備する。この送風機1が地面に設置される際には、この接地脚31の下面が設置することによって、送風機1全体が支持される。
図1、2においては、
図2(c)に示されるように、本体部10が地面に対して直立するように前記の取付角度が設定され、この場合にはこの取付角度は90°となっている。この場合においては、この送風機1を地面に安定した状態で設置して、前方に送風をすることができる。この取付角度を調整することによって送風の角度を調整することができる。また、接地脚31側を回動軸Rを軸として本体部10の背面側に回動させこの取付角度を0°近くとする(最小とする)ことによって、この送風機1を折り畳んだコンパクトな形態とすることができる。利用者は、この状態でハンドル14を把持してこの送風機1を持ち運ぶことができる。
【0021】
図1(a)、
図2(b)に示されるように、基体部30の前方には、この送風機1の動作を制御するためのスイッチ類や送風機1の動作状態等を表示する小型のディスプレイ等を備えた操作部32が設けられている。ここで用いられるスイッチとしては、この送風機1の主電源のオン・オフを制御する電源スイッチや、ファン11(モーター)の回転速度を制御するスイッチ等がある。利用者は、前方からこの操作部32におけるディスプレイを目視し、スイッチを操作することによって、この送風機1を制御することができる。この送風機1全体の制御を行う制御回路が形成された基板は、操作部32に隣接して基体部30の内部に設けられている。
【0022】
この送風機1の電源は、電動工具用のバッテリパック40であり、例えば公称電圧14.4V、公称電圧18V等の高出力のものを用いることができる。このバッテリパック40は、基体部30に装着される。基体部30には、バッテリパック40が設置される略平面状のバッテリパック設置面が設けられ、このバッテリパック設置面は、基体部30における回動軸Rよりも後方側の上部において後方に突出するように設けられたバッテリパック取付部33の下面として形成される。このため、バッテリパック40は、バッテリパック取付部33の下側に装着される。また、
図1(b)、
図2(a)に示されるように、上面から見ると、バッテリパック取付部33、バッテリパック40は、後方で接地脚31に囲まれるように設けられる。
【0023】
バッテリパック40の上面とバッテリパック設置面には、バッテリパック40とバッテリパック設置面とを固定するための凹部や凸部が設けられている。バッテリパック40をバッテリパック設置面に沿って移動させ、これら凹部と凸部とを係合させて固定することによって、バッテリパック40がバッテリパック設置面(バッテリパック取付部33)に固定される。この際に、バッテリパック設置面に設けられた端子とバッテリパック40側の端子とが接する設定とされる。これによって、この送風機1に対してバッテリパック40側から直流電力が供給される。この構成は、バッテリパックが電動工具等に装着される際の構成と同様である。
【0024】
図3は、
図2(c)に対応した形態において、バッテリパック40をバッテリパック設置面34に脱着する際の形態を示す透視図である。ここで、この送風機1が平坦な地面Gに設置される際には、基体部30(接地脚31)が地面Gと当接する。この際の安定性を高めるために、
図2(b)に示されるような基体部30の前方の左右2箇所の前方接地領域301と、基体部30(接地脚31)の後方中央の後方接地領域302において、基体部30が接地する形状とされる。バッテリパック設置面34は、基体部30における後方上部において上側後方に向かって突出したバッテリパック取付部33の下面となっており、バッテリパック設置面34は、後方斜め下側を向いて形成されている。バッテリパック40の脱着は、バッテリパック50におけるバッテリパック上面41をバッテリパック設置面34に沿って
図3中の矢印方向に平行に移動させることで行われる。
【0025】
バッテリパック40の装着時には、バッテリパック40におけるバッテリパックの上面(バッテリパック上面41)と、基体部30におけるバッテリパック設置面34とが当接する。この際、バッテリパック40は、バッテリパック取付部33と地面Gとの間に位置し、
図3におけるバッテリパック40の下面(バッテリパック下面42)は地面Gと当接しない。このため、この形態でこの送風機1を地面に置いた際においても、バッテリパック40は、接地脚31によって保護され、バッテリパック40が損傷することはない。また、取付角度を変えた場合でも、バッテリパック40と接地脚31の位置関係は不変であるため、
図3におけるバッテリパック下面42は、取付角度によらず常に保護される。
【0026】
この構成においては、
図1、2に示されたように送風機1が設置された場合においては、バッテリパック設置面34は斜め下側を向く。このため、例えば雨天時の屋外においても、バッテリパック40が装着されない状態で、バッテリパック設置面34に水滴が付着しにくくなる。粉塵に対しても同様である。また、バッテリパック40が装着された場合においても、バッテリパック40とバッテリパック設置面34との間に水滴や粉塵が進入しにくくなる。このため、バッテリパック設置面34やバッテリパック40に設けられた端子が水滴や粉塵によって劣化することが抑制される。このため、この送風機1を屋外や劣悪な環境で使用した場合においても、高い信頼性を得ることができる。
【0027】
また、バッテリパック取付部33(バッテリパック設置面34)を基体部30の後方に設けたために、基体部30の前方には大きな構造物は存在しない。この際、バッテリパック40の装着は、前方からではなく、バッテリパック設置面34に沿ってバッテリパック40を後方の斜め上方から前方の斜め下方に移動させることによって行われる。このため、操作部32を基体部30の前方に設けることができ、これを目視、操作することが容易となる。
【0028】
また、
図3において、バッテリパック40が装着された際には、バッテリパック40は、水平方向において、前方接地領域(接地領域)301の前端と、後方接地領域(接地領域)302の後端の間に位置する。このため、バッテリパック40は、基体部30における接地領域の最外周部よりも外側に出ないように装着される。なお、接地領域としては、
図2(b)〜(d)に示されるように、前方の2箇所の前方設置領域301、後方に1箇所の後方接地領域302があり、バッテリパック40は、この3箇所の接地領域で囲まれる内部に位置する。このため、水平面内のどの方向から見ても、バッテリパック40は、接地領域の最外周部よりも外側には出ないように設置される。
【0029】
例えば、上記の構成とは逆に、バッテリパック設置面を基体部の前方に設け、バッテリパックが基体部の前方に装着される構成とすることも可能であり、この場合においてもバッテリパックの装着を容易に行うことができる。しかしながら、この場合には、操作部を基体部の前方に設けることが困難である。あるいは、仮に操作部を基体部の前方に設けたとしても、大きなバッテリパックが存在するために、ディスプレイを目視しにくい、スイッチの操作が容易ではない、等の問題が生ずる。
【0030】
また、操作部を基体部に設けず、例えば支脚に操作部を設けることも可能である。しかしながら、前記の通り、操作部にはスイッチが設けられ、この送風機を使用するに際しては、利用者は、このスイッチを操作する(押下する)必要がある。この際に、基体部よりも高い位置にある支脚にこのスイッチがある場合には、スイッチを押下する際に、支脚からトルクが加わるために、本体部が動く、あるいは、取付角度が変動しやすくなる。
【0031】
上記の送風機1においては、基体部30に操作部32を設けたことによって、こうした問題点が解消される。また、操作部32を基体部30における前方に設けたことによって、通常は送風がなされる側にいる利用者がディスプレイを目視しやすく、かつスイッチの操作が特に容易となることも明らかである。また、前記の通り、バッテリパック40は電動工具用のバッテリパックであるため、バッテリパック40は多数の電動工具で使い回されて使用される場合が多い。このため、バッテリパック40が装着された場合において外側に露出するバッテリパック下面42には、小さな傷が付きやすい、あるいは、この面は特に汚れやすい。こうした場合に、上記の送風機1においては、バッテリパック下面42は下側を向き、この送風機1が設置された状態においては、利用者からはバッテリパック下面42は見えない。このため、汚れたバッテリパック50を用いた場合でも、美観を損なうことがない。
【0032】
更に、操作部32が設けられた基体部30にバッテリパック40を装着することによって、この送風機1内で使用される配線を単純化し、配線の信頼性を高めることができる。
図4は、この送風機1における配線の構成を正面図において模式的に示す。ここで、この送風機1全体の制御に用いられる半導体素子等が搭載された基板50が操作部32の内側において操作部32に隣接して設けられており、基板50からモーター収容部12(本体部10)に至るモーター配線60の経路が示されている。ここで示されたモーター配線60は、実際には+−に対応した2本の配線で構成される。モーター配線60は、基板50から基体部30の中を通り、支脚21の内部を経由し、本体部10におけるモーター収容部12中の直流モーターに接続される。この構成においては、モーター配線60以外の全ての配線は、基体部30の内部に収容されている。このため、モーター配線60のみを支脚21内に設けることにより、他の全ての配線を基体部30の内部に収容することができる。
【0033】
これに対して、操作部を支脚に設ける場合には、支脚は細いために、上記の操作部32のようにディスプレイや全てのスイッチ類を1箇所に集中して設けることは困難である。このため、2本の支脚のそれぞれに操作部は分離されて設けることが必要となる。このために、モーター配線以外にも、少なくとも2つの操作部に関わる配線を、上記のモーター配線60と同様に、支脚と基体部との間に設けることが必要となる。ここで、支脚は基体部に回動可能な状態で取り付けられるために、支脚と基体部の接続部分にこうした多数の配線を設けることは、配線の長期にわたる信頼性を確保する上では好ましくない。一方、操作部に隣接して基板を細い支脚の内部に設けることは困難であり、基板を基体部に設けた場合には、基板と操作部との間の配線も同様に支脚と基体部の接続部分を経由することになる。このため、操作部を支脚に設けた場合には、支脚と基体部の接続部分を経由する配線が多く、複雑となるため、信頼性を高くすることが困難となる。上記の送風機1においては、操作部32又は基板50を基体部30に設けることにより、こうした問題も解消され、送風機1で使用される配線の信頼性も高めることができる。
【0034】
また、上記の送風機1においては、大きなファン11やモーターを具備する本体部10が重く、基体部30は、少なくともバッテリパック40が装着されない状態ではこれよりも軽い。このため、軽く面積が小さな基体部30側で重い本体部10を支えるために、この送風機1の設置時の安定性を高めることが重要である。この点に対して、上記の送風機1においては、水平方向において、バッテリパック40は、基体部30における接地領域の最外周部よりも外側に出ないように装着されるため、安定性を高めることができる。
【0035】
更に、上記の送風機1においては、バッテリパック40が基体部30の後方下側に装着されるため、装着時には、重いバッテリパック40は基体部30の下側に位置する。このため、全体の重心の位置を下げる(地面に近い側とする)ことができる。一方、バッテリパックを基体部の上側に装着した場合には、全体の重心の位置は高くなる。このため、送風機が設置された際の重量バランスが悪くなる。
【0036】
また、
図2(c)の状態において、動作時には、送風は前方(
図2(c)における左方)に向かって行われる。このため、送風の反作用によって、この送風機1全体には、
図2(c)における基体部30を軸として時計回りのトルクが働く。このトルクに対しては、基体部30の後方に形成された接地脚31が後方接地領域302において送風機1全体を支える。送風時の反作用以外にも、
図2(c)の状態で本体部10に前方(図中左側)から外力が加わった場合においても同様である。しかしながら、
図2(c)の状態で、例えば本体部10に後方(図中右側)から力が加わった場合には、基体部30を軸として反時計回りのトルクがこの送風機1全体に働く。この場合、前方接地領域301は前方には突出していないために、この送風機1は前方(図中左側)に転倒しやすい。すなわち、基体部の後方側にのみ接地脚が形成された構造においては、送風機が後方に転倒することは抑制されるものの、前方には転倒しやすくなる。接地脚と同様の構造を基体部の前方側にも形成すれば、前方への転倒も抑制されることは明らかであるが、この場合には、この送風機を折り畳み可能な形態とするためには、全体をより複雑な構造とする必要がある。あるいは、この送風機を折り畳んでコンパクトな形態とすることが困難となる。
【0037】
この場合において、上記の送風機1においては、重いバッテリパック40を基体部30の後方側に設置することによって、前方への転倒が抑制される。これに対して、基体部の前方側にバッテリパックを装着した場合には、前方に転倒しやすくなることは明らかである。すなわち、上記の送風機1においては、接地脚31を後方側においてのみ形成した状態において、接地脚31が形成されない前方側への転倒が抑制される。
【0038】
また、
図5は、回動軸Rを中心として接地脚31側を本体部10の背面側に回動させ、これらの間のなす角度を0°近く(最小)として、この送風機1を折り畳んだ状態とした際の形態を斜め後方から見た斜視図である。ここで、
図5(a)は、この状態において、バッテリパック40が装着された状態、
図5(b)は、バッテリパック40が装着されない状態をそれぞれ示す。
図5(a)の状態においては、U字形状の接地脚31内にバッテリパック下面42が見えているが、前記の通り、バッテリパック下面42は接地脚31よりも上側に突出することはないため、バッテリパック下面42は接地脚31によって保護される。
【0039】
一方、バッテリパック40を装着しない状態(
図5(b))においては、バッテリパック下面42の代わりにバッテリパック設置面34が露出する。バッテリパック設置面34には電極等が設けられているために、バッテリパック下面42よりも、バッテリパック40が装着されない状態でのバッテリパック設置面34を更に強く保護する必要がある。これに対して、この場合には、バッテリパック設置面34はバッテリパック40が装着された場合のバッテリパック下面42よりも接地脚31に対して
図5(b)中の更に下側に位置する。このため、バッテリパック設置面34に傷等が付くことが抑制される。
【0040】
これに対して、送風機の設置時においてバッテリパック設置面が上側を向く構成とした場合には、基体部においてバッテリパック設置面は接地脚と反対側を向いて設置される。この場合のバッテリパック設置面は、
図5(b)と同様の状態においては、図中の下側において露出する。このため、バッテリパック設置面にカバーを設ける等の施策を施さない限り、バッテリパック設置面に傷が付きやすい、あるいはバッテリパック設置面が汚染されやすい。この点においても、この送風機の信頼性が損なわれる。
【0041】
このように、上記の送風機1においては、バッテリパック設置面34(基体部30)を上記の構成とすることにより、この送風機1が折り畳まれてバッテリパック40が取り外された状態であっても、バッテリパック設置面34が接地脚31によって保護される。この点においても、この送風機1においては、高い信頼性が得られる。
【0042】
ここで、
図3におけるバッテリパック設置面34の設定角度(
図3における地面Gの後方側とバッテリパック設置面34とのなす角度)は、バッテリパック設置面34の法線の向きが、鉛直方向下側、斜め後方下側となるように設定されることが好ましい。この設定角度の下限は、バッテリパック40を装着する際に、バッテリパック40が接地脚31と干渉しないように設定される。その上限は、バッテリパック取付部33(基体部30)及びバッテリパック40が、支脚21、22、本体部10のいずれとも干渉しないように設定される。ただし、この設定角度が0°未満である場合には、バッテリパック設置面34は下側から前方側を向くため、バッテリパック40をバッテリパック設置面34に装着する作業が困難となる。この設定角度が垂直に近くなる場合には、バッテリパックが装着された状態で送風機1が地面Gの上に設置された際の全体の重心が高くなるため、設置の際の安定性が損なわれる。
【0043】
なお、上記の構成においては、基体部30は接地脚31を具備するものとしたが、基体部30の底面が送風機1を充分支持できる形状である。あるいは充分な面積をもつ場合には、接地脚31は不要である。
【0044】
また、上記の構成においては、支脚21、22を設けることによって、本体部10と基体部30を離間させた構成とした。こうした構成は、送風機1によって発生した冷却風を地面から離し遠方まで送ることができるために有効である。しかしながら、その反面、この場合には、前記の通り、設置の際の安定性が悪くなり、送風機が転倒しやすいという問題が顕著となる。この場合において、接地脚が設けられた基体部の後方側(接地脚側)にバッテリパックを装着する構成は、特に有効である。この場合、基体部の前方側に操作部を設けることができ、利用者が操作部を操作する際における安定性も確保されることも、前記の通りである。すなわち、支脚、接地脚を設けた場合において、上記の構成で基体部にバッテリパックを装着させ、操作部を設けた構成は特に有効である。
【0045】
一方、上記の送風機において、バッテリパック設置面等を保護する観点から高い信頼性を得るためには、上記の構成において、例えば、基体部においてバッテリパック設置面が下側を向き、かつ装着されたバッテリパックが接地しないように構成されれば、例えば操作部が設置された箇所に関わらず、効果を奏することも明らかである。
【0046】
一方、折り畳み式の送風機において使用される配線の信頼性を高める観点からは、バッテリパック設置面等の構成に関わらず、操作部や回路基板を基体部に設ける構成が有効である。また、バッテリパックの装着を容易とする観点からは、操作部等の設置箇所に関わらず、
図3に示されるように、バッテリパックを後方の斜め上方から前方の斜め下方に移動させることによって、バッテリパック設置面に装着させる構成が有効である。ただし、上記の通り、バッテリパック設置面の構成を上記の通りとすることによって、バッテリパックの装着方向も上記の通りとすることが容易であり、かつ操作部等を上記のように設置することも容易となる。すなわち、上記の構成を組み合わせることによって、特に信頼性が高く、かつ使いやすい送風機となる。
【0047】
上記の例では、電気機器が送風機であるとしたが、同様の構成が、バッテリパックを電源として動作する他の電気機器に対しても有効であることは明らかである。この場合、上記の本体部を、送風ではない他の機能をもつ構成要素とすればよい。この際、本体部が大きく重くなる場合に、特に上記の効果が顕著となる。こうした本体部としては、バッテリパックによって供給された電力を風、光、熱又は音のいずれかに変換して出力する動作を行うものが考えられる。具体的には、本体部をディスプレイとした表示装置、本体部をスピーカとした音響装置を同様の構成とすることができる。また、本体部を発光部とした照明機器、本体部を発熱部としたヒーター等においても、同様である。
【0048】
この際、上記の送風機における本体部が前方に向かって送風をするのと同様に、表示装置においては表示が前方に向かってなされ、音響装置においてはスピーカが前方に向かって音声を発し、照明機器やヒーターにおいては、光や熱放射が前方に向かってなされる場合においては、利用者が電気機器(本体部)の前方にいる場合が一般的である。こうした場合において、操作部が基体部の前方に設けられた上記の構成は同様に有効である。
【0049】
一方で、こうした電気機器においても、バッテリパックの脱着時以外には利用者が通常触れる必要のないバッテリパックやバッテリパック設置面を、通常使用時に利用者が接することがない後方の下側に設けることによって、通常使用時におけるバッテリパックやバッテリパック設置面に対する悪影響を低減することができる。例えば、表示装置、照明機器、ヒーターにおいては、発光する本体部の下側に蛾等の昆虫が集まる場合があるが、こうした昆虫がバッテリパックやバッテリパック設置面に対して与える悪影響が上記の構成によって同様に低減されることは明らかである。すなわち、本体部が前方に対して動作を行う電気機器であれば、送風機に限らず、上記の構成は有効である。特に、電動工具用のバッテリパックが電動工具と同様に使用されるため、こうした電気機器は、電動工具等が使用される屋外等の作業環境において特に好ましく使用することができる。