特許第6268841号(P6268841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268841
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】ルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/05 20060101AFI20180122BHJP
   B60J 10/16 20160101ALI20180122BHJP
   B60J 10/21 20160101ALI20180122BHJP
   B60J 10/23 20160101ALI20180122BHJP
   B60J 10/24 20160101ALI20180122BHJP
   B60J 10/82 20160101ALI20180122BHJP
【FI】
   B60J7/05 A
   B60J10/16
   B60J10/21
   B60J10/23
   B60J10/24
   B60J10/82
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-192091(P2013-192091)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-58746(P2015-58746A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】沢田 和希
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第10345855(DE,A1)
【文献】 特開2004−231088(JP,A)
【文献】 特開2005−162099(JP,A)
【文献】 特開2006−168588(JP,A)
【文献】 特開平07−223441(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0104276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/05
B60J 10/16
B60J 10/21
B60J 10/23
B60J 10/24
B60J 10/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に並設され、車両のルーフに形成される開口を覆うように前記ルーフに適合される複数のパネルを備え、
前記複数のパネルのうち、一の前記パネルである第1パネルは、前記開口を開閉可能に構成されており、
前記複数のパネルのうち、前記第1パネルに隣接してその車両の前方又は後方に配置される前記パネルである第2パネルは、前記開口を閉塞する状態で固定されており、
前記開口の全周に亘って前記ルーフに取着され前記開口の開口縁及び前記複数のパネルの周縁の間をシールするウエザストリップ本体、各隣り合う前記第1パネル及び前記第2パネルの境界部で該第2パネルに取着され前記第1パネル及び前記第2パネルの境界部をシールする境界ウエザストリップ、並びに前記ウエザストリップ本体及び前記各境界ウエザストリップの車両の幅方向両端の各々を一体的に接続する接続部を有するウエザストリップを備えた、ルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフ装置において、
前記ウエザストリップ本体は、前記開口の車両の幅方向両縁部に沿って車両の前後方向にそれぞれ延在する一対の側部ウエザストリップを有し、
前記各側部ウエザストリップは、前記ルーフに取着される取付部、該取付部に接続され前記開口の開口縁に液密的に接触する第1シール部、及び前記取付部に接続され前記第1パネル及び前記第2パネルの周縁に液密的に接触する第2シール部を有する断面略一定の押出材からなり、
前記接続部の車両の幅方向外側において、前記側部ウエザストリップの前記第1シール部が車両の前後方向に延在している、ルーフ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のルーフ装置において、
前記接続部の車両の幅方向外側において、前記側部ウエザストリップの前記第1シール部及び前記取付部が車両の前後方向に延在している、ルーフ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のルーフ装置において、
前記境界ウエザストリップは、断面略一定の押出材からなり、
前記接続部は、前記境界ウエザストリップの断面形状と前記第2シール部の断面形状との間を徐変する徐変部を有する、ルーフ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のルーフ装置において、
前記第2シール部は、その両端が前記取付部に接続されて該取付部と協働して中空断面を形成しており、
前記境界ウエザストリップは、前記第2パネルに取着されるパネル取付部、該パネル取付部に接続され前記第1パネルの前記第2パネルに対向する車両の前後方向縁端に液密的に接触する第3シール部、及び前記パネル取付部に接続され前記第2パネルの前記第1パネルに対向する車両の前後方向縁端に液密的に接触する第4シール部を有し、
前記第4シール部は、前記パネル取付部に片持ちで接続されて該パネル取付部と協働して非中空断面を形成しており、
前記徐変部は、前記第2シール部が形成する中空の断面形状と、前記第4シール部が形成する非中空の断面形状との間を徐変する、ルーフ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のルーフ装置において、
前記第2パネルは、前記ルーフに固定するように構成された金属製のベースパネルを有しており、
前記ベースパネルは、全閉状態にある前記第1パネルから前記接続部が受ける反力を受ける受け部を有した、ルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフに形成される開口を車両の前後方向に並設される複数のパネルで覆うように構成されるルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうしたルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。図11に示すように、車両のルーフに形成される開口を覆う複数のパネルのうち、車両の前方に配置されるフロントパネル91の縁部には、全周に亘ってパネル枠体92が固設されている。このパネル枠体92には、全周に亘ってウエザストリップ93が取着されている。
【0003】
一方、車両の後方に配置されるリアパネル96の縁部にも、全周に亘ってパネル枠体97が固設されている。このパネル枠体97には、前縁部を除く周りにウエザストリップ98が取着されている。
【0004】
そして、フロントパネル91及びリアパネル96が共に全閉状態にあるとき、ウエザストリップ93は、開口の車両の前方寄りの開口縁及びパネル枠体97の前縁に液密的に接触し、ウエザストリップ98は、開口の車両の後方寄りの開口縁に液密的に接触する。以上により、フロントパネル91及びリアパネル96の境界部と共に開口の全周に亘ってシール機能が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−95129号公報
【特許文献2】特開2012−96766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のルーフ装置では、フロントパネル91及びリアパネル96の境界部の側部でシール機能が切れている。これは、ウエザストリップ93とウエザストリップ98の前端との間のシール機能を確保することが困難であることによる。このため、例えば当該側部から雨水等の浸入を許容する可能性がある。
【0007】
なお、特許文献2に記載のルーフ装置のように、開口の全周に亘ってルーフにウエザストリップの取着されたものも知られている。この場合、車両の前方及び後方にそれぞれ配置される可動パネル及び固定パネルの境界部のシール機能は、例えば固定パネルの前縁部に取着された別のウエザストリップによって確保されることになり、特許文献1のルーフ装置に準じて境界部の側部でシール機能が切れることになる。
【0008】
本発明の目的は、ウエザストリップによるシール機能が切れることを回避できるルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するルーフ装置は、車両の前後方向に並設され、車両のルーフに形成される開口を覆うように前記ルーフに適合される複数のパネルを備え、前記複数のパネルのうち、一の前記パネルである第1パネルは、前記開口を開閉可能に構成されており、前記複数のパネルのうち、前記第1パネルに隣接してその車両の前方又は後方に配置される前記パネルである第2パネルは、前記開口を閉塞する状態で固定されており、前記開口の全周に亘って前記ルーフに取着され前記開口の開口縁及び前記複数のパネルの周縁の間をシールするウエザストリップ本体、各隣り合う前記第1パネル及び前記第2パネルの境界部で該第2パネルに取着され前記第1パネル及び前記第2パネルの境界部をシールする境界ウエザストリップ、並びに前記ウエザストリップ本体及び前記各境界ウエザストリップの車両の幅方向両端の各々を一体的に接続する接続部を有するウエザストリップを備える。
【0010】
この構成によれば、前記第1パネルは、その周縁及び前記開口の開口縁の間、並びに前記第2パネルとの境界部が単一の前記ウエザストリップでシールされる。同様に、前記第2パネルは、その周縁及び前記開口の開口縁の間、並びに前記第1パネルとの境界部が単一の前記ウエザストリップでシールされる。このため、前記第1パネル及び前記第2パネルの境界部を含め前記開口の全周に亘ってシール機能が切れることを回避できる。
【0011】
上記ルーフ装置について、前記ウエザストリップ本体は、前記開口の車両の幅方向両縁部に沿って車両の前後方向にそれぞれ延在する一対の側部ウエザストリップを有し、前記各側部ウエザストリップは、前記ルーフに取着される取付部、該取付部に接続され前記開口の開口縁に液密的に接触する第1シール部、及び前記取付部に接続され前記第1パネル及び前記第2パネルの周縁に液密的に接触する第2シール部を有する断面略一定の押出材からなり、前記接続部の車両の幅方向外側において、前記側部ウエザストリップの前記第1シール部が車両の前後方向に延在している
【0012】
この構成によれば、前記第1シール部は、前記接続部の位置でも断面形状を維持することができ、ひいては前記開口の開口縁との間のシール性能の変動を抑えることができる。
上記ルーフ装置について、前記接続部の車両の幅方向外側において、前記側部ウエザストリップの前記第1シール部及び前記取付部が車両の前後方向に延在している
【0013】
この構成によれば、前記第1シール部と共に前記取付部も、前記接続部の位置で断面形状を維持することができ、前記開口の開口縁との間のシール性能の変動を更に抑えることができる。
【0014】
上記ルーフ装置について、前記境界ウエザストリップは、断面略一定の押出材からなり、前記接続部は、前記境界ウエザストリップの断面形状と前記第2シール部の断面形状との間を徐変する徐変部を有する
【0015】
この構成によれば、前記徐変部により、前記第2シール部の断面形状が急変することを抑えることができる。
上記ルーフ装置について、前記第2シール部は、その両端が前記取付部に接続されて該取付部と協働して中空断面を形成しており、前記境界ウエザストリップは、前記第2パネルに取着されるパネル取付部、該パネル取付部に接続され前記第1パネルの前記第2パネルに対向する車両の前後方向縁端に液密的に接触する第3シール部、及び前記パネル取付部に接続され前記第2パネルの前記第1パネルに対向する車両の前後方向縁端に液密的に接触する第4シール部を有し、前記第4シール部は、前記パネル取付部に片持ちで接続されて該パネル取付部と協働して非中空断面を形成しており、前記徐変部は、前記第2シール部が形成する中空の断面形状と、前記第4シール部が形成する非中空の断面形状との間を徐変することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、前記徐変部により、互いに異なる断面形状同士である前記第2シール部及び前記第4シール部を緩やかに繋げることができる。
上記ルーフ装置について、前記第2パネルは、前記ルーフに固定するように構成された金属製のベースパネルを有しており、前記ベースパネルは、全閉状態にある前記第1パネルから前記接続部が受ける反力を受ける受け部を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、前記第1パネルから前記接続部が受ける反力を、金属製の前記ベースパネルの一部である前記受け部で受けることで、例えば前記接続部の弾性変形の姿勢が不安定になってシール性能が低下する可能性を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ウエザストリップによるシール機能が切れることを回避できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図。
図2】同実施形態を示す平面図。
図3】固定パネルを示す平面図。
図4図2の4−4線に沿った断面図。
図5図2の5−5線に沿った断面図。
図6図2の6−6線に沿った断面図。
図7図2の7−7線に沿った断面図。
図8図2の8−8線に沿った断面図。
図9】本発明の変形形態を示す平面図。
図10図9の10−10線に沿った断面図。
図11】従来形態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、ルーフ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車両の幅方向を「幅方向」といい、車室内方に向かう車両の幅方向内側及び車室外方に向かう車両の幅方向外側をそれぞれ「車内側」及び「車外側」という。
【0021】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口11が形成されている。この開口11の開口縁は、その略全周に亘って下方に延びる略四角筒状のボデー側フランジ部11aを含む。そして、ルーフ10には、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12及び固定パネル13が前後方向に並設されている。第1パネルとしての可動パネル12は、開口11の前部を開閉可能に取り付けられている。すなわち、可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ動作、及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。可動パネル12による開口11の前部の開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。なお、可動パネル12は、その周縁部に沿う、例えば樹脂材からなる略四角環状の縁部12aを含む。
【0022】
一方、第2パネルとしての固定パネル13は、開口11の後部を常時閉塞するように取り付けられている。なお、固定パネル13は、その周縁部に沿う、例えば樹脂材からなる略四角環状の縁部13aを含む。
【0023】
また、ルーフ10には、開口11の幅方向両縁部にそれぞれ沿って前後方向に延在する一対のガイドレール14が設置されている。さらに、ルーフ10には、開口11の前縁部に沿って延在して両ガイドレール14の前端同士を幅方向に接続するフロントハウジング16が設置されるとともに、開口11の後縁部に沿って延在して両ガイドレール14の後端同士を幅方向に接続するリアハウジング17が設置されている。各ガイドレール14は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、フロントハウジング16及びリアハウジング17は共に、例えば樹脂材からなる。
【0024】
なお、両ガイドレール14には、一対の機能部品(図示略)がそれぞれ前後方向に移動可能に支持されている。両機能部品には、それらの間に橋渡しされる状態で前記可動パネル12が連係及び支持されている。可動パネル12は、両機能部品の前後方向の移動に伴って開閉作動する。
【0025】
ルーフ10には、ウエザストリップ20が設置されている。このウエザストリップ20は、開口11の周縁部に沿う略四角環状のウエザストリップ本体21、固定パネル13の前縁部に沿って幅方向に延在する境界ウエザストリップ25、及びウエザストリップ本体21及び境界ウエザストリップ25の幅方向両端の各々を一体的に接続する型成形の接続部26を有する。そして、ウエザストリップ本体21は、開口11の幅方向両縁部に沿って前後方向にそれぞれ延在する一対の側部ウエザストリップ22、及び開口11の前後方向両縁部に沿って幅方向にそれぞれ延在する一対の前後部ウエザストリップ23を有する。各側部ウエザストリップ22の前端及び後端は、型成形の角部24をそれぞれ介して一対の側部ウエザストリップ22の先端にそれぞれ接続されている。なお、各側部ウエザストリップ22は、前後方向に略一定断面を有する押出材からなり、各前後部ウエザストリップ23及び境界ウエザストリップ25は、共に幅方向に略一定断面を有する押出材からなる。
【0026】
図2及び図4に示すように、各側部ウエザストリップ22は、ガイドレール14に取着されており、幅方向各側において、開口11のボデー側フランジ部11a及びパネル12,13の縁端の間をシールする。すなわち、固定パネル13の縁部13aの幅方向両端縁及び後端縁は、それらの略全長に亘って下方に延びるパネル側フランジ部13bを含む。また、各ガイドレール14は、その長手方向略全長に亘って上方に立設された略長尺状の被取付壁15を有する。
【0027】
一方、側部ウエザストリップ22は、被取付壁15の上部が挟着される断面略鋏状の取付部31、該取付部31から車外側に湾出する第1シール部32、及び取付部31から車内側に湾出する第2シール部33を有する。取付部31は、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのソリッド材からなり、第1シール部32及び第2シール部第33は共に、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのスポンジ材からなる。
【0028】
第1シール部32は、両端が取付部31の上端及び被取付壁15よりも車外側の下端にそれぞれ接続されており、自由状態においてボデー側フランジ部11aに向かって車外側に凸となる断面略弓形に成形されている。第1シール部32は、取付部31と協働して略D字の中空断面を形成しており、ボデー側フランジ部11aに車両の高さ方向で一部重なるように弾性変形してこれに液密的に接触する。
【0029】
一方、第2シール部33は、両端が取付部31の上端及び被取付壁15よりも車内側の下端にそれぞれ接続されており、自由状態においてパネル側フランジ部13bに向かって車内側に凸となる断面略弓形に成形されている。第2シール部33も、取付部31と協働して略D字の中空断面を形成しており、パネル側フランジ部13bに車両の高さ方向で一部重なるように弾性変形してこれに液密的に接触する。
【0030】
図7に示すように、可動パネル12の縁部12aの幅方向両端縁及び前端縁は、それらの略全長に亘って下方に延びるパネル側フランジ部12bを含む。第2シール部33は、全閉状態にある可動パネル12のパネル側フランジ部12bにも車両の高さ方向で一部重なるように弾性変形してこれに液密的に接触するようになっている。
【0031】
なお、フロントハウジング16には、被取付壁15と同様の被取付壁(図示略)が設けられており、車両の前方の前後部ウエザストリップ23には、取付部31、第1シール部32及び第2シール部33と同様の取付部、第1シール部及び第2シール部が配設されている。従って、この前後部ウエザストリップ23は、フロントハウジング16の被取付壁の上部が取付部に挟着されて、第1シール部がボデー側フランジ部11aに液密的に接触するとともに、第2シール部が全閉状態にある可動パネル12のパネル側フランジ部12bに液密的に接触する。
【0032】
また、リアハウジング17にも、被取付壁15と同様の被取付壁(図示略)が設けられており、車両の後方の前後部ウエザストリップ23には、取付部31、第1シール部32及び第2シール部33と同様の取付部、第1シール部及び第2シール部が配設されている。従って、この前後部ウエザストリップ23は、リアハウジング17の被取付壁の上部が取付部に挟着されて、第1シール部がボデー側フランジ部11aに液密的に接触するとともに、第2シール部が固定パネル13のパネル側フランジ部13bに液密的に接触する。
【0033】
境界ウエザストリップ25は、固定パネル13の前縁部に取着されており、全閉状態にある可動パネル12及び固定パネル13の境界部(隙間)をシールする。すなわち、図5に示すように、固定パネル13の縁部13aの前端縁には、下側部から車両の前方に向かって断面略フック状のパネル側係合突部13cが突設されている。
【0034】
一方、境界ウエザストリップ25は、固定パネル13のパネル側係合突部13cに互い違いで係合するように上側部から車両の後方に向かって断面略フック状のパネル取付部としてのシール側係合突部25aが突設されている。また、境界ウエザストリップ25は、シール側係合突部25aから車両の前方に湾出する第3シール部25b、及びシール側係合突部25aから車両の後方に突出する第4シール部25cを有する。シール側係合突部25aは、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのソリッド材からなり、第3シール部25b及び第4シール部25cは共に、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのスポンジ材からなる。
【0035】
第3シール部25bは、両端がシール側係合突部25aの上端及び下端にそれぞれ接続されており、自由状態において可動パネル12のパネル側フランジ部12bに向かって車両の前方に凸となる断面略弓形に成形されている。第3シール部25bは、シール側係合突部25aと協働して略D字の中空断面を形成しており、パネル側フランジ部12bに車両の高さ方向で一部重なるように弾性変形してこれに液密的に接触する。一方、第4シール部25cは、一端がシール側係合突部25aの上端に接続される片持ち支持の状態にあり、自由状態において固定パネル13の縁部13aに向かって車両の後方に延びる断面略リップ状に成形されている。つまり、第4シール部25cは、シール側係合突部25aと協働したとしても非中空断面を形成することになり、パネル側フランジ部13bに液密的に接触する。
【0036】
図2に示すように、各接続部26は、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーからなり、車外側に向かって徐々に拡幅される平面視略T字状に成形されている。接続部26の車外側の端末は、境界ウエザストリップ25を挟む前後方向の範囲で第2シール部33の一部に割り込むように該第2シール部33に接続されている。そして、接続部26の車内側の端末は、境界ウエザストリップ25の先端に接続されている。接続部26は、その前側部で全閉状態にある可動パネル12の対向する縁部12aに密着するとともに、後側部で固定パネル13の対向する縁部13aに密着する。
【0037】
各接続部26は、固定パネル13に支持されている。すなわち、図3に示すように、固定パネル13は、その周縁部に沿って下方に配置された鋼板からなる略四角枠状のベースパネル41を備える。このベースパネル41は、固定パネル13をルーフ10に固定するように構成されている。そして、図6に併せ示すように、ベースパネル41は、接続部26に対向する縁部13aの角部で該縁部13aよりも車両の前方に延出する支持壁部41aを有する。この支持壁部41aに接続部26が載置されている。
【0038】
また、各接続部26は、これに対向する縁部13aの角部でパネル側係合突部13cに互い違いで係合する断面略フック状の係合突部26aを有する。各接続部26は、係合突部26aがパネル側係合突部13cと係合することで固定パネル13に固定されている。
【0039】
なお、図3に示すように、ベースパネル41は、支持壁部41aの先端から上方に起立する爪状の受け部41bを有する。この受け部41bは、全閉状態にある可動パネル12の縁部12aが密着する接続部26の前側部に沿って略弓側に曲成されている。図7に示すように、受け部41bは、接続部26に差し込まれており、可動パネル12から接続部26が受ける反力を受ける。これは、例えば接続部26の弾性変形の姿勢をより安定化するためである。つまり、接続部26は、両パネル12,13の縁部12a,13aやベースパネル41により位置が規制されて、各パネル12,13とのシール機能が確保されている。
【0040】
図3に示すように、ベースパネル41は、両支持壁部41a間に挟まれる幅方向の位置で車両の前方に延出する延出壁部41cを有する。そして、この延出壁部41cの前端部には、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーからなる略帯状の上下シール部29が固着されている。この上下シール部29は、その上端部が全閉状態にある可動パネル12の下面に液密的に接触する。なお、上下シール部29は、境界ウエザストリップ25に一体に設けられていてもよい。
【0041】
既述のように、側部ウエザストリップ22の第2シール部33は、取付部31と協働して中空断面を形成しており、境界ウエザストリップ25の第4シール部25cは、シール側係合突部25aと協働して非中空断面を形成している。図2に示す接続部26の後側部は、図8図6への変化で示すように、第2シール部33が形成する中空の断面形状と、第4シール部25cが形成する非中空の断面形状との間を徐変する徐変部27を有する。これにより、接続部26において、第2シール部33の断面形状が急変することが抑えられる。
【0042】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態によれば、可動パネル12は、全閉状態にあるときにそのパネル側フランジ部12b及び開口11のボデー側フランジ部11aの間、並びに固定パネル13との境界部が単一のウエザストリップ20、即ちウエザストリップ本体21の前部、境界ウエザストリップ25及び両接続部26で全周に亘ってシールされる。つまり、可動パネル12は、ウエザストリップ20の前部に形成される一つの開口を覆ってこれに密着する。同様に、固定パネル13は、そのパネル側フランジ部13b及び開口11のボデー側フランジ部11aの間、並びに可動パネル12との境界部が単一のウエザストリップ20、即ちウエザストリップ本体21の後部、境界ウエザストリップ25及び両接続部26で全周に亘ってシールされる。つまり、固定パネル13は、ウエザストリップ20の後部に形成される一つの開口を覆ってこれに密着する。このため、可動パネル12及び固定パネル13の境界部を含め開口11の全周に亘ってシール機能が切れることが回避される。そして、開口11における水漏れや空気漏れが抑制される。
【0043】
なお、可動パネル12の開閉作動に際しては、前記各機能部品の一部がパネル側フランジ部12b及び側部ウエザストリップ22の間から上方に突出することになる。可動パネル12の開閉作動における各機能部品の移動範囲では、上記突出する部位が境界ウエザストリップ25に到達しないように設定されている。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル12及び固定パネル13の境界部を含め開口11の全周に亘ってシール機能が切れることを回避できる。
【0045】
(2)本実施形態では、接続部26は、第1シール部32を残して側部ウエザストリップ22及び境界ウエザストリップ25の先端を接続する。従って、第1シール部32は、接続部26の位置でも断面形状を維持することができ、ひいてはボデー側フランジ部11aとの間のシール性能の変動を抑えることができる。
【0046】
(3)本実施形態では、接続部26は、取付部31を更に残して側部ウエザストリップ22及び境界ウエザストリップ25の先端を接続する。従って、第1シール部32と共に取付部31も、接続部26の位置で断面形状を維持することができ、ボデー側フランジ部11aとの間のシール性能の変動を更に抑えることができる。
【0047】
(4)本実施形態では、接続部26は、境界ウエザストリップ25の断面形状と、少なくとも第2シール部33の断面形状との間を徐変する徐変部27を有することで、第2シール部33の断面形状が急変することを抑えることができる。そして、固定パネル13のパネル側フランジ部13bとの間のシール性能の急変を抑えることができる。
【0048】
(5)本実施形態では、徐変部27は、第2シール部33が形成する中空の断面形状と、第4シール部25cが形成する非中空の断面形状との間を徐変する。従って、徐変部27により、互いに異なる断面形状同士である第2シール部33及び第4シール部25cを緩やかに繋げることができる。
【0049】
(6)本実施形態では、全閉状態にある可動パネル12から接続部26が受ける反力を、金属製のベースパネル41の一部である受け部41bで受けることで、例えば接続部26の弾性変形の姿勢が不安定になってシール性能が低下する可能性を低減できる。特に、ベースパネル41が金属製であることで、支持壁部41aを延出させて受け部41bを配置しても、十分な支持強度を確保することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図9及び図10に示すように、境界ウエザストリップ25を挟む前後方向の範囲で側部ウエザストリップ22の全体に割り込むように該側部ウエザストリップ22に接続された型成形の接続部51であってもよい。この場合であっても、接続部51は、その前側部で全閉状態にある可動パネル12の対向する縁部12aに密着するとともに、後側部で固定パネル13の対向する縁部13aに密着する。また、接続部51は、取付部31に準じて被取付壁15の上部が挟着される中間取付部52を有するとともに、第1シール部32に準じてボデー側フランジ部11aに液密的に接触する中間シール部53を有する。
【0051】
・境界ウエザストリップ25を挟む前後方向の範囲で側部ウエザストリップ22の取付部31及び第2シール部33に割り込むように側部ウエザストリップ22に接続された型成形の接続部であってもよい。このように変更をしても、第1シール部32は、接続部の位置でも断面形状を維持することができ、ひいてはボデー側フランジ部11aとの間のシール性能の変動を抑えることができる。
【0052】
・前記実施形態において、ベースパネル41の受け部41bを省略してもよい。
・前記実施形態において、側部ウエザストリップ22の取付部31と、境界ウエザストリップ25のシール側係合突部25aとの間を更に徐変する徐変部であってもよい。
【0053】
・前記実施形態において、第2シール部33が形成する中空の断面形状と、第4シール部25cが形成する非中空の断面形状との間を徐変する徐変部27を省略してもよい。
・前記実施形態において、境界ウエザストリップ25の第4シール部25cは、シール側係合突部25aと協働して中空断面を形成してもよい。
【0054】
・前記実施形態において、各側部ウエザストリップ22は、ルーフ10に適宜のブラケットを介して取着されていてもよい。
・前記実施形態において、前側の前後部ウエザストリップ23は、ルーフ10に適宜のブラケットを介して取着されていてもよい。
【0055】
・前記実施形態において、後側の前後部ウエザストリップ23は、ルーフ10に適宜のブラケットを介して取着されていてもよいし、固定パネル13に取着されていてもよい。
・前記実施形態において、開口11を覆うパネルは、前後方向に3枚以上並設されていてもよい。要は、可動パネル(第1パネル)及び固定パネル(第2パネル)が前後方向に交互に配置されていればよい。そして、各隣り合う可動パネル及び固定パネル間に、境界ウエザストリップ25を配設すればよい。
【符号の説明】
【0056】
10…ルーフ、11…開口、12…可動パネル(パネル、第1パネル)、13…固定パネル(パネル、第2パネル)、12a,13a…縁部、20…ウエザストリップ、21…ウエザストリップ本体、22…側部ウエザストリップ、25…境界ウエザストリップ、25a…シール側係合突部(パネル取付部)、25b…第3シール部、25c…第4シール部、26,51…接続部、27…徐変部、31…取付部、32…第1シール部、33…第2シール部、41…ベースパネル、41b…受け部。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11