特許第6268892号(P6268892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268892
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】アルコール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/149 20060101AFI20180122BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20180122BHJP
   C07C 31/125 20060101ALI20180122BHJP
   B01J 23/64 20060101ALI20180122BHJP
   B01J 23/68 20060101ALI20180122BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20180122BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20180122BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180122BHJP
【FI】
   C07C29/149
   C07C31/20 B
   C07C31/20 Z
   C07C31/125
   B01J23/64 Z
   B01J23/68 Z
   B01J37/18
   B01J37/04 102
   !C07B61/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-210728(P2013-210728)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-74619(P2015-74619A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉井 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】和田 展広
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−046873(JP,A)
【文献】 特開平09−241192(JP,A)
【文献】 特開昭48−018206(JP,A)
【文献】 特開2001−046871(JP,A)
【文献】 特表平01−503459(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスの存在下、水中で、ポリカルボン酸化合物と、
ロジウムと白金、ロジウムとパラジウム、ロジウムとルテニウム、イリジウムと白金、イリジウムとルテニウム、タンタルとルテニウム、レニウムとルテニウム、ルテニウムと金、ルテニウムとパラジウム、ジルコニウムとルテニウム、ハフニウムとルテニウム、の組み合わせから選ばれる2種の金属化合物(A)と、
モリブデン又はレニウムの酸化物(B1)或いはカルボニル化合物(B2)と、
を混合し、室温で水素雰囲気下にて加圧して、その後に加熱し、還元処理して得られる触媒とを接触させることを特徴とする、アルコール化合物の製造方法。
【請求項2】
ポリカルボン酸化合物が、コハク酸、又は、アジピン酸である請求項1記載のアルコールの製造方法。
【請求項3】
触媒が担体に担持されているものである請求項1〜2記載のいずれか1項に記載のアルコールの製造方法。
【請求項4】
担体が、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、チタニア、ジルコニア、活性炭、グラフェン、カーボンナノチューブ及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種の担体である請求項に記載のアルコールの製造方法。
【請求項5】
ロジウムと白金、ロジウムとパラジウム、ロジウムとルテニウム、イリジウムと白金、イリジウムとルテニウム、タンタルとルテニウム、レニウムとルテニウム、ルテニウムと金、ルテニウムとパラジウム、ジルコニウムとルテニウム、ハフニウムとルテニウム、の組み合わせから選ばれる2種の金属化合物(A)と、
モリブデン又はレニウムの酸化物(B1)或いはカルボニル化合物(B2)と、
からなる、水中で、水素ガスによる水素化反応により、ポリカルボン酸化合物からアルコールを製造するための触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カルボン酸化合物から対応するアルコール化合物を製造する方法としては、カルボン酸をエステル化した後に、還元する方法が広く知られていた。しかしながら、還元するに先立ちカルボキシル基をエステル化する必要があった。そのため、カルボン酸化合物をエステル化することなく、直接アルコール化合物を製造する方法が望まれている。
【0003】
カルボン酸化合物から直接アルコール化合物を製造する方法としては、例えば、下記の(1)〜(3)の方法が知られている。
(1)過酸化物により酸化された炭素上にパラジウム/銀/レニウムが担持された触媒の存在下、マレイン酸を還元して1,4−ブタンジオールを製造する方法(例えば、特許文献1参照)。
(2)パラジウム/銀/レニウム/金属(M)が炭素に担持された触媒の存在下、マレイン酸を還元して1,4−ブタンジオールを製造する方法(例えば、特許文献2参照)。
(3)過酸化水素で処理された活性炭に、ルテニウム/スズ/白金が担持された触媒の存在下、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸の混合物を還元して、対応するジオールを製造する方法(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−12207号公報
【特許文献2】特開2001−46871号公報
【特許文献3】特開2000−355562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の方法では、触媒の製造に先立って、炭素担体と酸化剤とを接触させて酸化された炭素担体を使用しなければならず、酸化されていない炭素担体は、触媒活性が低いことが比較例において明確に開示されている(例えば、実施例2と比較例Bの対比)。そのため、触媒の製造が煩雑となるという問題があった。
更に、当該触媒においては、LHSV(液体空間速度)や反応温度によって、生成物が大きく変化するため、反応条件を限定して設定する必要があった(段落番号[0045]と[0046]の対比)
【0006】
また、特許文献2の方法では、第4成分の金属(M;アルミニウム、鉄、コバルト)が触媒活性の必須の構成要件となっており(参考例1、実施例1及び比較例の対比)、参考例1及び2(触媒の使用前の処理)を参酌しても触媒の製造が煩雑であるという問題があった。
【0007】
一方、特許文献3においては、活性炭を予め過酸化水素などで処理しなければならないという問題の他、特許文献1と同様な問題も存在していた。
【0008】
以上提案されている上記いずれの触媒を使用した還元反応においても、例えば、ジカルボン酸化合物を還元した場合には、不完全還元体であるヒドロキシカルボン酸化合物が残存、環状エステル化合物、環状エーテル化合物などが生成してしまうという問題も残っていた。
【0009】
そこで、本発明は、特定の構成成分からなる触媒を用いることによって、カルボン酸化合物を出発原料として、高い反応速度で、高収率且つ高選択的にアルコール化合物を製造することが可能とする、工業的生産に適用し得るアルコール化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、水素源の存在下、カルボン酸化合物と、
ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A)と、
周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)と、
を混合し、還元処理して得られる触媒とを接触させることを特徴とする、アルコール化合物の製造方法によって解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、カルボン酸化合物を還元して、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に上記カルボン酸化合物に対応するアルコール化合物を製造することが可能な触媒及び当該触媒の製造方法を提供することができる。また、本発明では、上述の触媒を用いることによって、高い反応速度で、高収率且つ高選択的にアルコール化合物を製造することが可能であり、工業的生産に適用し得るアルコール化合物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
(触媒)
本発明の触媒は、
ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A)と、
周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル(B2)化合物と、
を混合し、還元処理して得られる触媒である。
以下、本発明の触媒を製造する際の構成成分について説明する。なお、以下、各構成成分を混合させてものを「混合物」と称することもある。
【0013】
(ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A))
ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A)としては、例えば、
三塩化ロジウム、六塩化ロジウム三アンモニウム、六塩化ロジウム三カリウム、六塩化ロジウム三ナトリウム、三硝酸ロジウム、ヘキサヒドロキシロジウム(III)酸三ナトリウム、ヘキサヒドロキシロジウム(III)酸三カリウム、ヘキサヒドロキシロジウム(IV)酸二ナトリウム、ヘキサヒドロキシロジウム(IV)酸二カリウムなどのロジウム化合物;
三塩化イリジウム、三臭化イリジウム、四塩化イリジウム、四臭化イリジウム、イリジウム酸アンモニウム塩、ヘキサアンミンイリジウム三塩化物、ペンタアンミンクロロイリジウム二塩化物、六塩化イリジウム三アンモニウム、六塩化イリジウム三カリウム、六塩化イリジウム三ナトリウム、四塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二カリウム、六塩化イリジウム酸、六塩化イリジウム二ナトリウム、ヘキサヒドロキシイリジウム(IV)酸二ナトリウム、ヘキサヒドロキシイリジウム(IV)酸二カリウムなどのイリジウム化合物;
二塩化白金、四塩化白金、六塩化白金酸、二臭化白金、四臭化白金、六臭化白金酸、二ヨウ化白金、四ヨウ化白金、二塩化白金二アンモニウム、六塩化白金二アンモニウム、六塩化白金二アンモニウム、四塩化白金二アンモニウム、六塩化白金二ナトリウム、四塩化白金二カリウム、六塩化白金二カリウム、二臭化白金二アンモニウム、四臭化白金二カリウム、六臭化白金二アンモニウム、六ヨウ化白金酸ナトリウム、六ヨウ化白金酸カリウム、酸化白金、ヘキサヒドロキソ白金酸水素、水酸化白金、ヘキサヒドロキシ白金酸ナトリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸カリウムなどの白金化合物;
三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、五塩化ルテニウム二アンモニウム、六塩化ルテニウム三アンモニウム、六塩化ルテニウム二カリウム、六塩化ルテニウム二ナトリウム、六臭化ルテニウム三カリウム、六臭化ルテニウム二カリウム、過ルテニウム酸カリウム、過ルテニウム酸(テトラプロピルアンモニウム)、過ルテニウム酸(テトラブチルアンモニウム)、テトラオキソルテニウム(VI)酸二カリウム、テトラオキソルテニウム(VI)酸二ナトリウム、テトラヒドロキシルテニウム(IV)化合物などのルテニウム化合物;
五塩化タンタル、五臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、タンタルペンタエチラート、タンタル酸ナトリウム、タンタル酸カリウム等のタンタル化合物;
三塩化レニウム、五塩化レニウム、三ヨウ化レニウム、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸カリウム、過レニウム酸ナトリウム、六塩化レニウム三カリウム、六塩化レニウム二カリウム、七酸化二レニウム等のレニウム化合物;
二塩化パラジウム、二臭化パラジウム、二ヨウ化パラジウム、二酢酸パラジウム、二硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、ヘキサヒドロキシパラジウム(IV)酸二ナトリウム、ヘキサヒドロキシパラジウム(IV)酸二カリウム、水酸化パラジウム
等のパラジウム化合物;
三塩化ランタン、三臭化ランタン、三ヨウ化ランタン、三硝酸ランタン、リン酸ランタン、三硫酸二ランタン、三炭酸二ランタン、ギ酸ランタン等のランタン化合物;
塩化第一セリウム、臭化第一セリウム、三シュウ酸二セリウム、三硝酸セリウム、四水酸化セリウム、三炭酸二セリウム、硝酸第一セリウムアンモニウム、硝酸第二セリウムアンモニウム、リン酸セリウム、硫酸第一セリウム、硫酸第二セリウム等のセリウム化合物;
三塩化サマリウム、三酢酸サマリウム、三シュウ酸二サマリウム、三硝酸サマリウム、三炭酸二サマリウム、三ヨウ化サマリウム、硫酸サマリウム等のサマリウム化合物;
三塩化イッテルビウム、三臭化イッテルビウム、三硝酸イッテルビウム、三硫酸二イッテルビウム、三酢酸イッテルビウム、三シュウ酸二イッテルビウム、三ヨウ化イッテルビウム、リン酸イッテルビウム等のイッテルビウム化合物;
三塩化ルテチウム、三酢酸ルテチウム、三シュウ酸二ルテチウム、三硝酸ルテチウム、硫酸ルテチウム等のルテチウム化合物;
四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、四硝酸ジルコニウム、二硫酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物;
四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、四ヨウ化ハフニウム、四硝酸ハフニウム、二硫酸ハフニウム等のハフニウム化合物;
五塩化ニオブ、五臭化ニオブ、五ヨウ化ニオブ、五(シュウ酸水素)ニオブ、ニオブペンタエチラート、ニオブペンタ−n−ブチラート、三酸化ナトリウムニオブ等のニオブ化合物;
三塩化モリブデン、五塩化モリブデン、三臭化モリブデン、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸カリウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム等のモリブデン化合物;
四塩化タングステン、六塩化タングステン、五臭化タングステン、ケイタングステン酸、ケイタングステン酸カリウム、ケイタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム等のタングステン化合物;
二塩化コバルト、二臭化コバルト、二ヨウ化コバルト、二フッ化コバルト、二硝酸コバルト、酸化コバルト、リン酸コバルト、二酢酸コバルト、トリヒドロキシコバルト(III)、ギ酸第一コバルト、クエン酸第一コバルト等のコバルト化合物;
二塩化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル、シュウ酸ニッケル、二硝酸ニッケル、二水酸化ニッケル等のニッケル化合物;
一塩化銅、二塩化銅、二塩化銅二アンモニウム、ギ酸第二銅、一臭化銅、二臭化銅、硝酸銅、リン酸銅、硫酸銅、酢酸銅、炭酸銅、シュウ酸銅等の銅化合物;
一塩化金、三塩化金、四塩化金酸、三臭化金、三ヨウ化金、水酸化金、四塩化金カリウム、四臭化金ナトリウム、四臭化金酸等の金化合物;
が挙げられ、好ましくは、
三塩化ロジウム、三硝酸ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、イリジウム酸アンモニウム塩、六塩化イリジウム三ナトリウム、四塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二カリウム、六塩化イリジウム酸、六塩化イリジウム二ナトリウム、二塩化白金、四塩化白金、六塩化白金酸、ヘキサヒドロキソ白金酸水素、水酸化白金、ヘキサヒドロキシ白金酸ナトリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸カリウム、三塩化ルテニウム、五塩化ルテニウム二アンモニウム、六塩化ルテニウム三アンモニウム、六塩化ルテニウム二カリウム、六塩化ルテニウム二ナトリウム、過ルテニウム酸カリウム、過ルテニウム酸(テトラプロピルアンモニウム)、過ルテニウム酸(テトラブチルアンモニウム)、テトラオキソルテニウム(VI)酸二カリウム、テトラオキソルテニウム(VI)酸二ナトリウム、五塩化タンタル、タンタル酸カリウム、三塩化レニウム、五塩化レニウム、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸カリウム、過レニウム酸ナトリウム、七酸化二レニウム、二塩化パラジウム、二酢酸パラジウム、二硝酸パラジウム、水酸化パラジウム、三塩化ランタン、三硝酸ランタン、リン酸ランタン、三炭酸二ランタン、ギ酸ランタン、塩化第一セリウム、三硝酸セリウム、四水酸化セリウム、三炭酸二セリウム、リン酸セリウム、三塩化サマリウム、三酢酸サマリウム、三硝酸サマリウム、三塩化イッテルビウム、三硝酸イッテルビウム、三酢酸イッテルビウム、リン酸イッテルビウム、三塩化ルテチウム、三酢酸ルテチウム、三硝酸ルテチウム、四塩化ジルコニウム、四硝酸ジルコニウム、四塩化ハフニウム、四硝酸ハフニウム、五塩化ニオブ、三酸化ナトリウムニオブ、三塩化モリブデン、五塩化モリブデン、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸カリウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム、四塩化タングステン、六塩化タングステン、ケイタングステン酸、ケイタングステン酸カリウム、ケイタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム、二塩化コバルト、二硝酸コバルト、リン酸コバルト、二酢酸コバルト、二塩化ニッケル、二硝酸ニッケル、二水酸化ニッケル、一塩化銅、二塩化銅、硝酸銅、リン酸銅、酢酸銅、一塩化金、三塩化金、四塩化金酸、水酸化金、四塩化金カリウムが挙げられ、更に好ましくは、
三塩化ロジウム、三硝酸ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、塩化イリジウム酸、二塩化白金、四塩化白金、六塩化白金酸、水酸化白金、三塩化ルテニウム、過ルテニウム酸カリウム、過ルテニウム酸(テトラプロピルアンモニウム)、五塩化タンタル、タンタル酸カリウム、三塩化レニウム、五塩化レニウム、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸カリウム、七酸化二レニウム、二塩化パラジウム、二酢酸パラジウム、二硝酸パラジウム、三塩化ランタン、三硝酸ランタン、塩化第一セリウム、三硝酸セリウム、三塩化サマリウム、三酢酸サマリウム、三硝酸サマリウム、三塩化イッテルビウム、三硝酸イッテルビウム、三酢酸イッテルビウム、三塩化ルテチウム、三酢酸ルテチウム、三硝酸ルテチウム、四塩化ジルコニウム、四硝酸ジルコニウム、四塩化ハフニウム、四硝酸ハフニウム、五塩化ニオブ、三酸化ナトリウムニオブ、三塩化モリブデン、五塩化モリブデン、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸カリウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム、四塩化タングステン、六塩化タングステン、ケイタングステン酸、ケイタングステン酸カリウム、ケイタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸アンモニウム、二塩化コバルト、二硝酸コバルト、二酢酸コバルト、二塩化ニッケル、二硝酸ニッケル、二水酸化ニッケル、一塩化銅、二塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、一塩化金、三塩化金、四塩化金酸、四塩化金カリウム、が使用される。
【0014】
なお、本発明においては、金属化合物(A)は、上記以外にもスカンジウム、イットリウム、チタン、バナジウム、チタン、マンガン、鉄などの金属化合物の使用も可能である。
【0015】
(周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2))
周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)の金属としては、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウムなどが挙げられるが、好ましくはバナジウム、モリブデン、タングステン、レニウムである。
【0016】
金属酸化物(B1)の形態は、ひとつの金属−酸素結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、水和物や有機化合物の付加体であってもよく、過酸化金属酸、過酸化金属酸塩の形態をとっていても良い。更に、金属酸化物(B1)は、担体に担持されていてもよい。なお、これらの金属酸化物は、一種を単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0017】
金属酸化物(B1)としては、酸化金属、過酸化金属酸及び過酸化金属酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属酸化物が好適に使用される。その具体的な例としては、例えば、酸化バナジウム、三酸化二バナジウム、二酸化バナジウム、五酸化二バナジウム、三臭化バナジウム、ピロバナジン酸カリウム、テトラオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸ナトリウム、ピロバナジン酸ナトリウム、トリオキソバナジン(V)酸リチウム等のバナジウム酸化物;ケイモリブデン酸、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸カリウム、テトラオキソモリブデン酸カルシウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸マグネシウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸リチウム、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等のモリブデン酸化物;テトラオキソタングステン(VI)酸ナトリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸カドミウム(II)、テトラオキソタングステン(VI)酸カリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸カルシウム等のタングステン酸化物;テトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウム、テトラオキソレニウム(VII)酸ナトリウム、二酸化レニウム、三酸化レニウム、七酸化二レニウム等のレニウム酸化物が挙げられる。好ましくは、五酸化二バナジウム、トリオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸ナトリウム、ピロバナジン酸ナトリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸ナトリウム、ケイモリブデン酸、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウムテトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウム、七酸化二レニウムが使用される。
【0018】
金属カルボニル化合物(B2)の形態は、ひとつの金属とカルボニル炭素結合(M−CO;Mは金属)を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、水和物や有機化合物の付加体であってもよく、過酸化金属酸、過酸化金属酸塩の形態をとっていても良い。更に、金属カルボニル化合物(B2)は、担体に担持されていてもよい。なお、これらの金属酸化物は、一種を単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
金属カルボニル化合物(B2)としては、例えば、ヘキサカルボニルバナジウム、ヘキサカルボニルクロム、ヘキサカルボニルモリブデン、トリカルボニルシクロペンタジエニルモリブデンダイマー、ヘキサカルボニルタングステン、デカカルボニル二マンガン、トリカルボニルシクロペンタジエニルマンガン、ペンタカルボニルヒドリドマンガン、デカカルボニル二レニウム、ペンタカルボニルクロロレニウム、ペンタカルボニルブロモレニウム、ペンタカルボニルヒドリドレニウムが使用される。
【0020】
前記周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)の使用量は、金属化合物(A)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜30モル、更に好ましくは0.5〜20モルである。金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)の使用量が多すぎると、反応における活性が低下し、少なすぎると反応における選択率が低下する。
【0021】
(担体)
本発明の触媒は担体に担持された触媒(担持触媒)であってもよい。使用される担体は、多孔質の担体が好適に用いられる。具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア及び活性炭、グラフェン、カーボンナノチューブ、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ、メソポーラス−カーボン)などであり、好ましくは、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、チタニア、ジルコニア及び活性炭、グラフェン、カーボンナノチューブ、ゼオライト等が使用され、更に好ましくはシリカ、アルミナ、及び活性炭が使用される。これらの担体は、一種を単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
本発明の触媒が担持触媒である場合には、前記混合物と担体とを含む組成物を焼成してもよい。焼成温度は、好ましくは50〜800℃、より好ましくは100〜600℃である。焼成時間は適宜調整することが可能であり、好ましくは0.1〜20時間、より好ましくは0.25〜15時間である。
【0023】
(多価酸塩)
本発明の触媒では、前記混合物に多価酸塩を共存させてもよく、このような多価酸塩としては、炭酸や硫酸、リン酸等のような2価以上の酸に由来する塩のことをいう。そのような多価酸塩としては、多価無機酸塩であれば、例えば、リン酸三カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム等のリン酸塩;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩(炭酸水素塩も含む広い意味として);硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩等が挙げられる。又、多価有機酸塩であれば、例えば、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム等の多価カルボン酸塩が挙げられる。これらの多価酸塩は、水和物や有機化合物の付加体であっても良く、又、担体に担持されていても良い。
【0024】
なお、好適には多価無機酸塩であり、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、更に好ましくはリン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、炭酸カリウム、硫酸カリウムが使用される。
【0025】
前記多価無機酸塩を用いる際の使用量は、金属化合物(A)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜30モル、更に好ましくは0.5〜10モルである。なお、これらの値は、金属原子換算である。
【0026】
(触媒の製造)
本発明の触媒の製造においては、まず、ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A)と、
周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)と、
を混合するが、その混合形態は特に制限されない(このとき混合物が生成)。
【0027】
前記混合物の還元処理は、水素を発生させることが可能な通常の還元剤を用いて行うことができる。例えば、当該混合物と水素ガスとを接触させる方法が好適に採用される。当該混合物と水素ガスとを接触させる際の接触温度は、好ましくは40〜300℃、より好ましくは50〜200℃であり、接触圧力は、好ましくは常圧〜20MPa、より好ましくは0.2〜15MPaである。
【0028】
本発明の触媒の好ましい態様としては、
ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の貴金属化合物(A)と、
周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)と、
担体と、
必要に応じて多価無機酸塩と、
を混合し、還元処理して得られるものである。
【0029】
なお、本発明の触媒は、例えば、濾過、洗浄する等して一旦単離してもよく、懸濁液の状態でそのままアルコール化合物の製造に使用してもよい。
【0030】
以上の方法によって得られた触媒は、カルボン酸化合物からアルコール化合物を製造する触媒として用いることができる。次に、上述の触媒を用いたアルコール化合物の製造方法の好適な実施形態を説明する。
【0031】
(アルコール化合物の製造)
本発明の反応は、水素源の存在下、カルボン酸化合物と、前記触媒とを接触させることによって、対応するアルコール化合物を製造するものである。
【0032】
前記カルボン酸化合物は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物であるが、カルボキシル基の数に特に限定はない。また、前記化合物は、例えば、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシル基、ハロゲン基などの置換基や、多重結合を有していても良い。
【0033】
そのような化合物の具体例としては、例えば、以下のようなモノカルボン酸やポリカルボン酸(複数のカルボキシル基を有する化合物)が挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、9−ヘキサデセン酸、11−オクタデセン酸、リノール酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロフラン−2−カルボン酸、
ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、イタコン酸アコニット酸、フランジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、グルカル酸、酒石酸、タルトロン酸、シトラマル酸
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−フランカルボン酸、没食子酸、フランジカルボン酸、トルイル酸(位置異性体を含む)、キシリル酸(位置異性体を含む)、α−トルイル酸、ケイ皮酸、
その他のカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、ロイシン酸、メバロン酸、バントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、α−ケトグルタル酸、アセト酢酸、オキサロ酢酸、アセトンジカルボン酸、レブリン酸、
などが使用される。これらのカルボン酸は複数の混合物であっても良い。
【0034】
本実施形態における反応において使用する触媒の量は、金属化合物(A)の合計量の金属原子換算で、カルボン酸1モルに対して、好ましくは0.0005〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.075モルである。この使用量とすることで、十分な反応速度を得つつ、高収率且つ高選択的にアルコール化合物を得ることができる。なお、触媒は、複数種の触媒を別々に調製して使用してもよい。
【0035】
本実施形態における反応において使用する水素源とは、水素を提供する化合物ならば特に限定されず、例えば、水素ガス、アンモニアガス等の還元性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈されていてもよい);水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、クロロギ酸等の有機酸類;塩酸、硫酸等の無機酸類であり、好ましくは還元性ガス、より好ましくは水素ガスが使用される。
【0036】
上述の水素源の量は、カルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは5〜200モル、より好ましくは10〜160モルである。この使用量とすることで、十分な反応速度を得つつ、高収率且つ高選択的にアルコール化合物を得ることができる。なお、触媒は、複数種の触媒を別々に調製して使用してもよい。
【0037】
本実施形態における反応は溶媒中で行うことが好ましい。使用する溶媒としては反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシメタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロシクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらのうち、好ましくは水、炭化水素類、エーテル類であり、より好ましくは水、エーテル類、特に好ましくは水、1,2−ジエトキシメタン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテルである。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
上記溶媒の使用量は、カルボン酸化合物1gに対して、好ましくは0.05〜100g、より好ましくは0.1〜20gである。この使用量とすることで、攪拌が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
【0039】
本実施形態における反応形態は、触媒の形態により回分式(バッチ式)又は連続式のいずれの方法も選択することができる。また、触媒の性質により均一系、及び不均一系(懸濁反応)のどちらの反応系でも実施できる。担体に担持させた触媒であれば、固定床で連続的に反応を行うこともできる。
【0040】
本実施形態における反応は、例えば、カルボン酸化合物、触媒及び溶媒を混合し、水素源の存在下にて、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜300℃、より好ましくは50〜200℃であり、反応圧力は、水素分圧として、好ましくは常圧〜20MPa、より好ましくは0.2〜15MPaである。この反応温度、及び反応圧力とすることで、副生成物の生成を抑制しつつ、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に目的物であるアルコール化合物を得ることができる。なお、反応を促進させるために、必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の塩基を存在させてもよい。このような酸又は塩基の量は、カルボン酸化合物1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1モル、より好ましくは0.005〜0.05モルである。
【0041】
本実施形態における反応により、目的とするアルコール化合物が得られる。このアルコール化合物は、反応終了後、得られた反応液から、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作によって単離・精製することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本発明の触媒の略語は以下の構成からなる。
(金属化合物(A)の1つ目の金属)−(金属化合物(A)の2つ目の金属)−(周期表第5族〜7族の金属)/(担体)触媒
【0044】
【0045】
実施例1(触媒の製造)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、三塩化ロジウム・3水和物13.3mg(ロジウムが0.050mmol)、四塩化白金16.9mg(白金が0.050mmol)、リン酸三カリウム24.8mg(0.12mmol)及び水3mlを加え、100℃で60分間加熱攪拌した。これを一旦室温まで冷却した溶液に、七酸化二レニウム18.2mg(レニウムが0.075mmol)と活性炭(AC、カルゴンカーボンジャパン製、MH4−8A)200mgを加え、室温で5分攪拌した。次いで、室温にて水素雰囲気にて8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して混合物を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除き、残渣として活性炭にロジウムが2.1質量%、白金が4.3質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Rh−Pt−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0046】
実施例2(触媒の製造)
三塩化ロジウム・3水和物13.3mg(ロジウムが0.050mmol)、四塩化白金16.9mg(白金が0.050mmol)、リン酸三カリウム24.8mg(0.12mmol)及び水3mlを混合し、均一水溶液を調製した。調製した水溶液を活性炭(AC:カルゴンカーボンジャパン製、商品名:MH4−8A)に加え、80℃で減圧濃縮し、溶媒を留去した。次いで、水2mlに七酸化二レニウム18.2mg(レニウムが0.075mmol)を溶解させた水溶液を加え、再び80℃で減圧濃縮し、溶媒を留去した。得られた残渣を更に60℃で8時間減圧乾燥して、活性炭にロジウムが2.2質量%、白金が4.1質量%、レニウムが5.5質量%担持された固体(以下、「Rh−Pt−Re/AC(2)」と称することもある)260mgを得た。
【0047】
実施例3(触媒の製造)
実施例2において、活性炭をシリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、商品名:CARiACT G−6)に変えた以外は、実施例2と同様にしてシリカにロジウムが1.8質量%、白金が3.8質量%、レニウムが4.9質量%担持された固体(以下、「Rh−Pt−Re/SiO(1)」と称することもある)260mgを得た。
【0048】
実施例4(触媒の製造)
実施例1において、七酸化レニウムをナトリウムテトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム(モリブデンが0.075mmol)に、活性炭の使用量を450mgに変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にロジウムが1.2質量%、白金が2.2質量%、モリブデンが1.6質量%担持された触媒(以下、「Rh−Pt−Mo/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0049】
実施例5(触媒の製造)
実施例2において、七酸化二レニウムをナトリウムテトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム(モリブデンが0.075mmol)に変えた以外は、実施例2と同様にして活性炭にロジウムが1.9質量%、白金が3.8質量%、モリブデンが2.7質量%担持された固体(以下、「Rh−Pt−Mo/AC触媒(2)」と称することもある)を得た。
【0050】
実施例6(触媒の製造)
実施例1において、四塩化白金を二塩化パラジウム9.0mg(0.050mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして活性炭にロジウムが2.1質量%、パラジウムが2.1質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Rh−Pd−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0051】
実施例7(触媒の製造)
実施例1において、四塩化白金を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして活性炭にルテニウムが2.0質量%、ロジウムが2.1質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Ru−Rh−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0052】
実施例8(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化イリジウム・n水和物(0.050mmol)に、活性炭の使用量を450mgに変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にイリジウムが2.2質量%、白金が2.2質量%、レニウムが3.1質量%担持された触媒(以下、「Ir−Pt−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0053】
実施例9(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化イリジウム・n水和物(0.050mmol)に、七酸化二レニウムをナトリウムテトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム(0.075mmol)に、活性炭の使用量を450mgに変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にイリジウムが2.2質量%、白金が2.2質量%、モリブデンが1.5質量%担持された触媒(以下、「Ir−Pt−Mo/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0054】
実施例10(触媒の製造)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、塩化ルテニウム・3水和物6.5mg(ルテニウムが0.025mmol)、三塩化ロジウム・3水和物6.6mg(ロジウムが0.025mmol)、リン酸三カリウム13.3mg(0.063mmol)及び水4mlを加え、100℃で60分間加熱攪拌した。これを一旦室温まで冷却した溶液に、七酸化二レニウム9.1mg(レニウムが0.038mmol)と活性炭(AC、カルゴンカーボンジャパン製、MH4−8A)96.1mgを加え、室温で5分攪拌した。次いで、室温にて水素雰囲気にて8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して混合物を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除き、残渣として活性炭にロジウムが2.7質量%、ルテニウムが2.6質量%、レニウムが7.3質量%担持された触媒(以下、「Ru−Rh−Re/AC触媒(2)」と称することもある)を得た。
【0055】
実施例11(触媒の製造)
シリカ(富士シリシア化学株式会社製、商品名:CARiACT G−6)0.50gを、テトラオキソルテニウム(VI)酸二カリウム水溶液(株式会社フルヤ金属製、ルテニウム濃度4.3質量%)0.244g(ルテニウム換算で0.104mmol)に水0.2gを加えた水溶液中に含浸させ、110℃で7時間乾燥した。次に、得られた粉末を、六塩化イリジウム酸(和光純薬製、イリジウム濃度37.7質量%)53.0mg(イリジウム換算で0.104mmol)を水0.4gに溶解させた水溶液中に含浸させ、110℃で7時間乾燥した。さらに、得られた粉末を、テトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム27.9mg(レニウム換算で0.104mmol)を水0.4gに溶解させた溶液中に含浸させ、110℃で7時間乾燥させた。この粉末を250℃で4時間乾燥して、シリカにルテニウムが2.1質量%、イリジウムが4.0質量%、レニウムが3.9質量%担持された固体触媒(以下、「Ru−Ir−Re/SiO触媒(1)」と称することもある)588mgを得た。
【0056】
実施例12(触媒の製造)
実施例1において、七酸化レニウムをドデカカルボニル二レニウム(レニウムが0.075mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にロジウムが2.2質量%、白金が4.1質量%、レニウムが5.5質量%担持された触媒(以下、「Rh−Pt−Re/AC触媒(3)」と称することもある)を得た。
【0057】
実施例13(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を五塩化タンタル(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にタンタルが3.9質量%、ルテニウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Ta−Ru−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0058】
実施例14(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を五塩化レニウム(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にレニウムが4.0質量%、ルテニウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Re−Ru−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0059】
実施例15(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を四塩化金酸(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にルテニウムが2.2質量%、金が4.3質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Ru−Au−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0060】
実施例16(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を二塩化パラジウム(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にルテニウムが2.2質量%、パラジウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Ru−Pd−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0061】
実施例17(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を四塩化ジルコニウム(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にジルコニウムが2.0質量%、ルテニウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Zr−Ru−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0062】
実施例18(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を四塩化ハフニウム(0.050mmol)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にハフニウムが3.9質量%、ルテニウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Hf−Ru−Re/AC触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0063】
実施例19(触媒の製造)
実施例1において、担体を活性炭からグラフェン(STREM製)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にロジウムが2.1質量%、白金が4.3質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Rh−Pt−Re/グラフェン触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0064】
実施例20(触媒の製造)
実施例1において、三塩化ロジウム・3水和物を三塩化ルテニウム・n水和物(0.050mmol)に、四塩化白金を二塩化パラジウム(0.050mmol)に担体を活性炭からグラフェン(STREM製)に変えた以外は、実施例1と同様にして活性炭にルテニウムが2.2質量%、パラジウムが2.2質量%、レニウムが6.1質量%担持された触媒(以下、「Ru−Pd−Re/グラフェン触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0065】
実施例1A(コハク酸からの1,4−ブタンジオール合成)
【0066】
【化1】
【0067】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例1で得られた残渣(Rh−Pt−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.600g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は69.8%、同選択率は69.8%、1−ブタノールの収率は9.7%、同選択率は9.7%、γ−ブチロラクトンの収率は2.1%、同選択率は2.1%であった。
【0068】
実施例1B(アジピン酸からの1,6−ヘキサンジオールの合成)
【0069】
【化2】
【0070】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例1で得られた残渣(Rh−Pt−Re/AC触媒(1))、アジピン酸1.460g(10.0mmol)を加え、アジピン酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で30時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アジピン酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,6−ヘキサンジオールの収率は93.6%、同選択率は93.6%、1−ヘキサノールの収率は2.5%、同選択率は2.5%であった。
【0071】
参考例1C(レブリン酸からの1,4−ペンタンジオールの合成)
【0072】
【化3】
【0073】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例1で得られた残渣(Rh−Pt−Re/AC触媒(1))、レブリン酸1.75g(15.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.30g(0.30mmol)を加え、レブリン酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で15時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、レブリン酸の転化率は100%であり、1,4−ペンタンジオールの収率は63.6%、同選択率は63.6%、γ−バレロラクトンの収率は1.7%、同選択率は1.7%、2−メチルテトラヒドロフランの収率は4.0%、同選択率は4.0%、2−ペンタノールの収率は4.3%、同選択率は4.3%であった。
【0074】
参考例1D(ヘキサン酸からの1−ヘキサノールの合成)
【0075】
【化4】
【0076】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例1で得られた残渣(Rh−Pt−Re/AC触媒(1))、ヘキサン酸1.16g(10.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.20g(0.20mmol)を加え、ヘキサン酸が15%になるようにジエチレングリコールジメチルエーテルでメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら180℃で9時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサン酸の転化率は97.3%であり、1−ヘキサノールの収率は58.6%、同選択率は57.0%、ヘキサン酸ヘキシルの収率は2.3%、同選択率は2.2%であった。
【0077】
実施例2A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0078】
【化5】
【0079】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例2で得られた固体(Rh−Pt−Re/AC触媒(2))120mg、水2mlを加え、室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して固体を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除いた。得られた残渣にコハク酸1.50g(12.7mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.25g(0.25mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で36時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンによるエステル化で確認)、1,4−ブタンジオールの収率は82.3%、同選択率は82.3%、1−ブタノールの収率は11.5%、同選択率は11.5%、γ−ブチロラクトンの収率は0.16%、同選択率は0.16%であった。
【0080】
実施例3A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0081】
【化6】
【0082】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例3で得られた固体(Rh−Pt−Re/SiO(1))120mg、水2mlを加え、室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して固体を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除いた。得られた残渣にコハク酸0.35g(3.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は82.9%、同選択率は82.9%、1−ブタノールの収率は15.5%、同選択率は15.5%、γ−ブチロラクトンの収率は3.9%、同選択率は3.9%であった。
【0083】
参考例3B(3−ヒドロキシプロピオン酸からの1,3−プロパンジオールの合成)
【0084】
【化7】
【0085】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例3で得られた固体(Rh−Pt−Re/SiO(1))128mg、水2mlを加え、室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して固体を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除いた。得られた残渣に3−ヒドロキシプロピオン酸の30%水溶液1.50g(5.0mmol)を加え、3−ヒドロキシプロピオン酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で4時間、更に140℃で14時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の転化率は77.6%であり、1,3−プロパンジオールの収率は65.1%、同選択率は83.9%、1−プロパノールの収率は12.2%、同選択率は15.7%であった。
【0086】
実施例4A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0087】
【化8】
【0088】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例4で得られた残渣(Rh−Pt−Mo/AC触媒(1))、コハク酸0.600g(5.0mmol)、1.0mol/l NaOH水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は70.1%、同選択率は70.1%、1−ブタノールの収率は9.6%、同選択率は9.6%、γ−ブチロラクトンの収率は2.8%、同選択率は2.8%であった。
【0089】
実施例5A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0090】
【化9】
【0091】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例5で得られた固体(Rh−Pt−Mo/AC(2))120mg、水2mlを加え、室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して固体を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、遠心分離により水層を除いた。得られた残渣にコハク酸0.35g(3.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンによるエステル化で確認)、1,4−ブタンジオールの収率は74.9%、同選択率は74.9%、1−ブタノールの収率は4.0%、同選択率は4.0、γ−ブチロラクトンの収率は3.7%、同選択率は3.7%であった。
【0092】
実施例6A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0093】
【化10】
【0094】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例6で得られた残渣(Rh−Pd−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.600g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は61.7%、同選択率は61.7%、1−ブタノールの収率は13.0%、同選択率は13.0%、γ−ブチロラクトンの収率は2.3%、同選択率は2.3%であった。であった。
【0095】
実施例7A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0096】
【化11】
【0097】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例7で得られた残渣(Ru−Rh−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.600g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は61.0%、同選択率は61.0%、1−ブタノールの収率は9.3%、同選択率は9.3%、γ−ブチロラクトンの収率は2.1%、同選択率は2.1%であった。
【0098】
実施例8A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0099】
【化12】
【0100】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例8で得られた残渣(Ir−Pt−Re/AC触媒(1))、コハク酸1.20g(10mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.20g(0.20mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で60時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は57.5%、同選択率は57.5%、1−ブタノールの収率は23.8%、同選択率は23.8%、γ−ブチロラクトンの収率は1.9%、同選択率は1.9%であった。
【0101】
実施例9A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0102】
【化13】
【0103】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例9で得られた残渣(Ir−Pt−Mo/AC触媒(1))、コハク酸1.20g(10mmol)、1.0mol/l水酸化水溶液0.20g(0.20mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で60時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は60.8%、同選択率は60.8%、1−ブタノールの収率は10.8%、同選択率は10.8%、γ−ブチロラクトンの収率は6.9%、同選択率は6.9%であった。
【0104】
参考例10A(3−ヒドロキシプロピオン酸からの1,3−プロパンジオールの合成)
【0105】
【化14】
【0106】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例10で得られた残渣(Ru−Rh−Re/AC触媒(2))、3−ヒドロキシプロピオン酸の30%水溶液1.50g(5.0mmol)を加え、3−ヒドロキシプロピオン酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で4時間、更に140℃で14時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の転化率は88.0%であり、1,3−プロパンジオールの収率は76.3%、同選択率は86.7%、1−プロパノールの収率は8.8%、同選択率は10.0%であった。
【0107】
参考例10B(乳酸からの1,2−プロパンジオールの合成)
【0108】
【化15】
【0109】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例10と同様の方法で得られた残渣(Rh−Ru−Re/AC触媒(2))、乳酸の90.3%水溶液0.50g(5.0mmol)を加え、乳酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で22時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、乳酸の転化率は97.5%であり、1,2−プロパンジオールの収率は77.4%、同選択率は79.4%、1−プロパノールの収率は4.6%、同選択率は4.7%、2−プロパノールの収率は1.5%、同選択率は1.5%、であった。
【0110】
参考例11A(3−ヒドロキシプロピオン酸からの1,3−プロパンジオールの合成)
【0111】
【化16】
【0112】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例11で得られた残渣(Ru−Ir−Re/SiO触媒(1))60mg、3−ヒドロキシプロピオン酸の30%水溶液1.50g(5.0mmol)を加え、3−ヒドロキシプロピオン酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で4時間、更に140℃で11時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシプロピオン酸の転化率は87.0%であり、1,3−プロパンジオールの収率は65.8%、同選択率は75.6%、1−プロパノールの収率は18.9%、同選択率は2.2%であった。
【0113】
参考例11B(乳酸からの1,2−プロパンジオールの合成)
【0114】
【化17】
【0115】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例11で得られた残渣(Ru−Ir−Re/SiO触媒(1))60mg、乳酸の90.3%水溶液0.50g(5.0mmol)を加え、乳酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で15時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、乳酸の転化率は95.2%であり、1,2−プロパンジオールの収率は85.3%、同選択率は89.6%、1−プロパノールの収率は5.1%、同選択率は5.3%、2−プロパノールの収率は2.0%、同選択率は2.1%、であった。
【0116】
参考例11C(プロピオン酸からの1−プロパノールの合成)
【0117】
【化18】
【0118】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例11で得られた残渣(Ru−Ir−Re/SiO触媒(1))60mg、プロピオン酸0.375g(5.0mmol)を加え、プロピオン酸が10%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら100℃で17時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、プロピオン酸の転化率は98.9%であり、1−プロパノールの収率は93.2%、同選択率は94.2%であった。
【0119】
実施例12A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0120】
【化19】
【0121】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例12で得られた残渣(Rh−Pt−Re/AC触媒(3))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で36時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は64.6%、同選択率は64.6%、1−ブタノールの収率は11.6%、同選択率は11.6%、γ−ブチロラクトンの収率は5.9%、同選択率は5.9%であった。
【0122】
実施例13A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0123】
【化20】
【0124】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例13で得られた残渣(Ta−Ru−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で36時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は87.2%、同選択率は87.2%、1−ブタノールの収率は7.8%、同選択率は7.8%、γ−ブチロラクトンの収率は4.7%、同選択率は4.7%であった。
【0125】
実施例14A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0126】
【化21】
【0127】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例13で得られた残渣(Re−Ru−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は80.9%、同選択率は80.9%、1−ブタノールの収率は4.9%、同選択率は4.9%、γ−ブチロラクトンの収率は2.2%、同選択率は2.2%であった。
【0128】
実施例15A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0129】
【化22】
【0130】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例14で得られた残渣(Ru−Au−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら150℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は68.1%、同選択率は68.1%、1−ブタノールの収率は6.4%、同選択率は6.4%、γ−ブチロラクトンの収率は3.0%、同選択率は3.0%であった。
【0131】
実施例16A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0132】
【化23】
【0133】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例15で得られた残渣(Ru−Pd−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は62.1%、同選択率は62.1%、1−ブタノールの収率は11.0%、同選択率は11.0%、γ−ブチロラクトンの収率は0.25%、同選択率は0.25%であった。
【0134】
実施例17A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0135】
【化24】
【0136】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例17で得られた残渣(Zr−Ru−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で18時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は90.4%、同選択率は90.4%、1−ブタノールの収率は9.1%、同選択率は9.1%であり、γ−ブチロラクトンは観測されなかった。
【0137】
実施例18A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0138】
【化25】
【0139】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例18で得られた残渣(Hf−Ru−Re/AC触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は70.1%、同選択率は70.1%、1−ブタノールの収率は8.5%、同選択率は8.5%、γ−ブチロラクトンの収率は5.0%、同選択率は5.0%であった。
実施例19A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0140】
【化26】
【0141】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例19で得られた残渣(Rh−Pt−Re/グラフェン触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で6時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は75.2%、同選択率は75.2%、1−ブタノールの収率は12.4%、同選択率は12.4%、γ−ブチロラクトンの収率は5.5%、同選択率は5.5%であった。
実施例20A(コハク酸からの1,4−ブタンジオールの合成)
【0142】
【化27】
【0143】
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、実施例20で得られた残渣(Ru−Pd−Re/グラフェン触媒(1))、コハク酸0.60g(5.0mmol)、1.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液0.10g(0.10mmol)を加え、コハク酸が15%になるように水でメスアップした。室温にて水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で15時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、コハク酸の転化率は100%であり(トリメチルシリルジアゾメタンでエステル化して確認)、1,4−ブタンジオールの収率は80.8%、同選択率は80.8%、1−ブタノールの収率は11.0%、同選択率は11.0%、γ−ブチロラクトンの収率は2.4%、同選択率は2.4%であった。
【0144】
以上の結果から、
(1)ロジウム、イリジウム、白金、ルテニウム、タンタル、レニウム、パラジウム、ランタン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、銅及び金からなる群より選ばれる少なくとも2種の金属化合物(A)
(2)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(B1)或いは金属カルボニル化合物(B2)
とを混合し、還元処理して得られる触媒(本発明の触媒)が、カルボン酸化合物と水素源の存在下にて接触することによって、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に対応するアルコール化合物を与えることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明により、カルボン酸化合物を還元して、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に対応するアルコール化合物を与えうる触媒を提供することができる。上記カルボン酸化合物がジカルボン酸であれば、対応するジオール化合物を製造することができる。得られたジオール化合物は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマー原料、樹脂添加剤、医農薬中間体原料、各種溶剤等として有用である。