特許第6268921号(P6268921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6268921通信デバイスおよび通信デバイスの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268921
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】通信デバイスおよび通信デバイスの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20180122BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180122BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   H01L21/68 A
   B65G1/137 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-223188(P2013-223188)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-87790(P2015-87790A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】谷本 好史
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−020611(JP,A)
【文献】 特開2013−030003(JP,A)
【文献】 特開2009−135255(JP,A)
【文献】 特開2008−310467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04 −19/05
19/418
G05D 1/00 − 1/02
H01L 21/67 −21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置と接続される通信デバイスであって、
ネットワークを介して通信する通信部と、
前記製造装置と接続するための少なくとも一つのIOポートと、
前記製造装置と前記製造装置を制御する製造コントローラとが前記ネットワークを介して通信しているパケットデータを、前記通信部を介してモニタリングするパケットモニタ部と、
前記IOポートの状態をモニタリングするIOモニタ部と、
前記パケットモニタ部および前記IOモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報を、前記製造装置に処理対象物を搬送するため及び/又は前記製造装置から処理対象物を搬送するための搬送装置へ前記通信部を介し、かつ、前記製造コントローラを介さずに送信する制御部とを備える
通信デバイス。
【請求項2】
前記通信部は、
前記製造装置が接続される第1の通信ポートと、
外部装置が接続される第2の通信ポートと、
前記搬送装置が接続される第3の通信ポートと、
前記第1の通信ポートと前記第2の通信ポートとの間でパケットデータを中継する中継部とを有し、
前記パケットモニタ部は、前記中継部によって中継されている前記製造装置と前記外部装置との間のパケットデータをモニタリングする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項3】
前記IOポートは、前記製造装置の前記処理対象物を搬出入するための載置ポートに接続され、
前記IOモニタ部は、前記載置ポートの状態をモニタリングする
請求項1または請求項2に記載の通信デバイス。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記パケットモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報に含まれる、前記製造装置が前記載置ポートを識別するための第1識別情報を、前記搬送装置が前記載置ポートを識別するための第2識別情報に変換し、変換した前記第2識別情報を含むモニタリング情報を前記搬送装置へ送信する
請求項3に記載の通信デバイス。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、前記パケットモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報に、所定のコマンドが含まれるか否かを判定し、所定のコマンドが含まれる場合に、前記モニタリング情報を前記搬送装置へ送信する
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の通信デバイス。
【請求項6】
前記搬送装置は、前記製造装置へ前記処理対象物を搬送する搬送台車と、複数の前記搬送台車を制御する搬送コントローラとを備え、
前記制御部は、前記モニタリング情報を前記搬送台車および前記搬送コントローラの少なくとも1つに送信する
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の通信デバイス。
【請求項7】
前記搬送コントローラによって、前記製造装置へ前記処理対象物を搬送する搬送台車が前記複数の搬送台車の中から割り当てられ、割り当てられた搬送台車を識別するための第3識別情報が前記製造装置へ送信され、
前記制御部は、前記第3識別情報で識別された搬送台車へ前記モニタリング情報を送信する
請求項6に記載の通信デバイス。
【請求項8】
ネットワークを介して通信する通信部と、製造装置と接続するための少なくとも一つのIOポートとを備える通信デバイスの制御方法であって、
前記製造装置と前記製造装置を制御する製造コントローラとが前記ネットワークを介して通信しているパケットデータを、前記通信部を介してモニタリングするパケットモニタステップと、
前記IOポートの状態をモニタリングするIOモニタステップと、
前記パケットモニタステップおよび前記IOモニタステップにおいてモニタリングされたモニタリング情報を、前記製造装置に処理対象物を搬送するため及び/又は前記製造装置から処理対象物を搬送するための搬送装置へ前記通信部を介し、かつ、前記製造コントローラを介さずに送信する制御ステップとを含む
通信デバイスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造装置と接続される通信デバイスおよび通信デバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば半導体製造装置の載置ポートへ、ウェハを収納したポッド(FOUP:Front Opening Unified Podなど)を載置、および搬出するために、天井走行台車などの搬送台車が用いられている。半導体製造装置本体は、製造コントローラにより制御される。一方、天井走行台車は、搬送コントローラにより制御される。また、載置ポートと天井走行台車との間は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)のE84通信が適用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このようなシステムでは、製造コントローラから、製造スケジュールに基づいた所定のポッドに対する処理が半導体製造装置に対して指示される。また、製造スケジュールに基づいた処理に対応するように、搬送コントローラで搬送スケジュールが生成され、搬送コントローラから天井走行台車に対して搬送指示が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−184760号公報
【特許文献2】特開2011−018737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなシステムでは、半導体製造装置から製造スケジュールの変更の要求があった場合、製造コントローラは変更の要求に基づいて製造スケジュールを変更する。そして、製造コントローラは、その変更を搬送コントローラに伝える。搬送コントローラは、製造スケジュールの変更に基づいてポッドの搬入ができるよう天井走行台車に指示を出す。
【0006】
すなわち、製造側の上位のコントローラからの指示を、搬送側の上位のコントローラが受けて天井走行台車の制御が行われる。
【0007】
このように、半導体製造装置等で製造スケジュールの変更があった場合、一旦上位の製造コントローラに上げて、さらに製造コントローラから搬送コントローラへスケジュールの変更が伝えられ、搬送コントローラから天井走行台車に搬送指示が出されるため、時間がかかる。このため、すでに天井走行台車が走行を開始しているような場合に、天井走行台車の搬送経路の変更が効率よくできない場合があり、搬送の効率、ひいては製造の効率が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、天井走行台車などの搬送台車を含む搬送装置において搬送経路の変更を効率よく行うことができる通信デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る通信デバイスは、製造装置と接続される通信デバイスであって、ネットワークを介して通信する通信部と、前記製造装置と接続するための少なくとも一つのIOポートと、前記製造装置が前記ネットワークを介して通信しているパケットデータを、前記通信部を介してモニタリングするパケットモニタ部と、前記IOポートの状態をモニタリングするIOモニタ部と、前記パケットモニタ部および前記IOモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報を、前記製造装置に処理対象物を搬送するため及び/又は前記製造装置から処理対象物を搬送するための搬送装置へ前記通信部を介して送信する制御部とを備える。
【0010】
これにより、例えば、製造装置においてエラーが発生した場合等に、上位のコントローラから製造スケジュールの変更通知を受ける前に、搬送装置が製造装置の状態を知ることができ、状態に応じて搬送経路の変更を効率よく行うことができる。
【0011】
また、前記通信部は、前記製造装置が接続される第1の通信ポートと、外部装置が接続される第2の通信ポートと、前記搬送装置が接続される第3の通信ポートと、前記第1の通信ポートと前記第2の通信ポートとの間でパケットデータを中継する中継部とを有し、前記パケットモニタ部は、前記中継部によって中継されている前記製造装置と前記外部装置との間のパケットデータをモニタリングしてもよい。
【0012】
これにより、通信デバイスは、例えば製造コントローラである外部装置と製造装置との間における例えばLAN接続等のネットワーク接続に対して、中継装置として構成されるため、通信デバイスのために新たな例えばLANケーブル等を敷設する必要がない。
【0013】
また、前記IOポートは、前記製造装置の前記処理対象物を搬出入するための載置ポートに接続され、前記IOモニタ部は、前記載置ポートの状態をモニタリングしてもよい。
【0014】
これにより、処理対象物を搬出入するための載置ポートの状態をモニタリングすることができる。
【0015】
また、前記制御部は、さらに、前記パケットモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報に含まれる、前記製造装置が前記載置ポートを識別するための第1識別情報を、前記搬送装置が前記載置ポートを識別するための第2識別情報に変換し、変換した前記第2識別情報を含むモニタリング情報を前記搬送装置へ送信してもよい。
【0016】
これにより、製造コントローラにおける載置ポートの識別情報と、搬送装置における載置ポートの識別情報が異なっていても、モニタリングした情報を搬送装置側で正しく認識することができる。
【0017】
また、前記制御部は、さらに、前記パケットモニタ部によってモニタリングされたモニタリング情報に、所定のコマンドが含まれるか否かを判定し、所定のコマンドが含まれる場合に、前記モニタリング情報を前記搬送装置へ送信してもよい。
【0018】
これにより、例えば、マニュアルモードに変更されたといった装置の状態が変化したことを示すコマンド、およびエラーが発生したことを示すコマンド等の所定のコマンドに応じた対応をすることができる。
【0019】
また、前記搬送装置は、前記製造装置へ前記処理対象物を搬送する搬送台車と、複数の前記搬送台車を制御する搬送コントローラとを備え、前記制御部は、前記モニタリング情報を前記搬送台車および前記搬送コントローラの少なくとも1つに送信してもよい。
【0020】
これにより、モニタリング情報を搬送台車および搬送コントローラの少なくとも1つに送信することができる。
【0021】
また、前記搬送コントローラによって、前記製造装置へ前記処理対象物を搬送する搬送台車が前記複数の搬送台車の中から割り当てられ、割り当てられた搬送台車を識別するための第3識別情報が前記製造装置へ送信され、前記制御部は、前記第3識別情報で識別された搬送台車へ前記モニタリング情報を送信してもよい。
【0022】
これにより、搬送に割り当てられた搬送台車の例えば台車番号等の第3識別情報が通知されている場合には、搬送台車にもモニタリング情報を送信することができ、さらに迅速に対応することができる。
【0023】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば製造スケジュールの変更があった場合等であっても、天井走行台車などの搬送台車を含む搬送装置において搬送経路の変更を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明に係る通信デバイスが用いられる製造システムの概要の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態における通信デバイスが用いられる製造システムにおける接続の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態における通信デバイスの機能構成を示すブロック図である。
図4A図4Aは、実施の形態における通信デバイスの制御部が有する変換テーブルの一例を示す図である。
図4B図4Bは、実施の形態における通信デバイスの制御部が有する変換テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態における通信デバイスの動作の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態の通信デバイスが用いられる製造システムにおける接続の他の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態における通信デバイスの制御部が有する変換テーブルの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
(実施の形態)
図1は、本発明に係る通信デバイスが用いられる製造システムの概要の一例を示す概略図である。
【0029】
製造システム10は、例えば半導体等の製品を製造するためのシステムであり、製造系システムとして、図1に示すように製造装置21、22、23、…、LAN(Local Area Network)24、および製造コントローラ25を備えている。また、搬送系システムとして、搬送コントローラ31、無線アクセスポイント32、33、複数台の天井走行台車(搬送台車)34、LAN35、およびレール36を備えている。なお、半導体等の製造システムでは、一般的に複数の製造装置が備えられるが、図1では便宜上3台の製造装置を図示している。また、天井走行台車(搬送台車)34は、一般的に複数台(例えば数十〜数百台)備えられるが、図1では便宜上1台しか図示していない。また、LAN24およびLAN35は独立のLANであっても良いし、例えばゲートウェイ等を介して接続されていてもよい。
【0030】
製造装置21、22、23は、例えば半導体等の製品を製造する製造装置であり、例えばウェハ等の処理対象物を収納したポッド37を搬出入するための載置ポートを1つ以上備えている。図1に示す例では、製造装置21は、4つの載置ポートを備えている。また、製造装置22、23は、それぞれ2つの載置ポートを備えている。
【0031】
LAN24は、各製造装置21、22、23と製造コントローラ25とを接続するためのネットワークである。
【0032】
製造コントローラ25は、製造スケジュールを生成し、生成した製造スケジュールに基づいて、LAN24を介して接続されている各製造装置21、22、23に対して、所定のポッド37(実際には、ポッドに収納されている処理対象物)に対する処理を指示する。また、製造コントローラ25は、搬送コントローラ31に対して、処理が行われる所定のポッド37の搬送を要求する。
【0033】
搬送コントローラ31は、製造コントローラ25からの要求により、搬送スケジュールを生成する。搬送コントローラ31は、生成した搬送スケジュールに基づいて、各天井走行台車34に対して、所定のポッド37の搬送を指示する。
【0034】
無線アクセスポイント32、33は、LAN35に接続され、無線LANにより天井走行台車(搬送台車)34と通信を行うための無線LANアクセスポイントである。
【0035】
天井走行台車34は、レール36に吊り下げられる形で取り付けられており、レール36に沿って走行し、製造装置21、22、23等にポッド37を搬送する。また、各天井走行台車34は、制御部および通信部(図示しない)を備えており、搬送コントローラ31および各製造装置21、22、23と通信し、製造装置21、22、23の載置ポートへのポッド37の搬出入を制御する。
【0036】
LAN35は、各天井走行台車34と、搬送コントローラ31および各製造装置21、22、23とを接続するためのネットワークである。
【0037】
通信デバイス100は、製造系システムおよび搬送系システムに接続される。
【0038】
図2は、本実施の形態における通信デバイス100が用いられる製造システムにおける接続の一例を示す図である。ここでは、4つの載置ポートを備えている製造装置21に対して通信デバイス100が接続されている例を示している。また、図1と同様に図面上、LAN24およびLAN35は接続されていないが、独立のLANであってもよいし、例えばゲートウェイ等を介して接続されていてもよい。
【0039】
通信デバイス100は、ハブ(HUB)41を介してLAN24に接続されている。また、通信デバイス100は、ハブ42を介してLAN35に接続されている。通信デバイス100は、LANを介して製造装置21に接続されている。さらに、通信デバイス100の各IOポート106〜109は、製造装置21の各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)に接続されている。なお、図2では、通信デバイス100と製造コントローラ25が同じハブ41に接続されているが、製造コントローラ25はLAN24に直接または他のハブを介して接続されていてもよい。また、通信デバイス100と搬送コントローラ31が同じハブ42に接続されているが、搬送コントローラ31はLAN35に直接または他のハブを介して接続されていてもよい。
【0040】
図3は、本実施の形態における通信デバイス100の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
通信デバイス100は、製造装置21、22、23と接続される装置であり、図3に示すように、第1通信ポート101、第2通信ポート102、中継部103、パケットモニタ部104、制御部105、IOポート106、107、108、109、IOモニタ部110、および第3通信ポート111を備えている。また、第1通信ポート101、第2通信ポート102、第3通信ポート111、および中継部103により、通信部120が構成されている。
【0042】
第1通信ポート101、第2通信ポート102、および第3通信ポート111は、LANを介して通信が行われるポートである。
【0043】
中継部103は、第1通信ポート101と第2通信ポート102の間でパケットデータを中継する。すなわち、第1通信ポート101に接続されている製造装置21と第2通信ポート102に接続されている製造コントローラ25との間でパケットデータを中継する。
【0044】
パケットモニタ部104は、中継部103によって中継されている第1通信ポート101と第2通信ポート102との間のパケットデータをモニタリングする。すなわち、第1通信ポート101に接続されている製造装置21と第2通信ポート102に接続されている製造コントローラ25との間で通信されているパケットデータをモニタリングする。
【0045】
IOポート106、107、108、109は、例えば有線のパラレル通信線により製造装置21の各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)に接続され、信号の入出力を行う片側8ビット、双方向で16ビットのパラレルポートである。ここで、入出力される信号は、例えばE84通信プロトコルに基づく、ポッド37の搬出入に関する信号である。
【0046】
IOモニタ部110は、各IOポート106、107、108、109で入出力される信号をモニタリングすることで、各IOポート106、107、108、109の状態をモニタリングする。ここで、各IOポート106、107、108、109の状態とは、各IOポート106、107、108、109から受け取ったそれぞれ例えば8ビット等のデータのデータパターンである。
【0047】
制御部105は、パケットモニタ部104およびIOモニタ部110によってモニタリングされたモニタリング情報を、搬送コントローラ31および天井走行台車34へ第3通信ポート111を介して送信する。また、制御部105は、第3通信ポート111を介して天井走行台車34から受信したデータを各IOポート106、107、108、109に出力する。これにより、製造装置21の各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)と天井走行台車34との間で、ポッド37の搬出入に関する信号をやり取りすることができる。
【0048】
また、制御部105は、変換テーブル112を有しており、この変換テーブル112を用いて、パケットモニタ部104によってモニタリングされたモニタリング情報に含まれる、製造装置21が載置ポートを識別するための第1識別情報を、搬送コントローラ31および天井走行台車34が載置ポートを識別するための第2識別情報に変換する。ここで、第1識別情報は、製造装置21が載置ポートを識別するための情報であり、製造装置21内で一意に特定されるローカルなID(例えば1〜4等のポート番号)である。また、第2識別情報は、搬送コントローラ31および天井走行台車34が載置ポートを識別するための情報であり、製造システム10内で一意に特定されるグローバルなID(グローバルID)である。
【0049】
図4Aおよび図4Bは、制御部105が有する変換テーブル112の一例を示す図である。
【0050】
変換テーブル112は、図4Aおよび図4Bに示すように、通信デバイス100に接続されている製造装置21の例えばIP(Internet Protocol)アドレス等の装置アドレス、載置ポートのポート番号、載置ポートのグローバルID、および載置ポートに割り当てられた天井走行台車34の台車番号を対応付けて管理している。
【0051】
製造コントローラ25は、製造装置21の装置アドレスおよび載置ポートのポート番号を用いて、製造システム10内において載置ポートを識別している。また、搬送コントローラ31および天井走行台車34は、上記のようにグローバルIDを用いて、製造システム10内において載置ポートを識別している。
【0052】
次に、上記のように構成された製造システム10および通信デバイス100の動作について説明する。
【0053】
製造システム10において、製造コントローラ25は、製造スケジュールを生成し、生成した製造スケジュールに基づいて、LAN24を介して接続されている各製造装置21、22、23に対して、所定のポッド37に対する処理を指示する。また、製造コントローラ25は、搬送コントローラ31に対して、処理が行われる所定のポッド37の搬送を要求する。
【0054】
搬送コントローラ31は、製造コントローラ25からの要求により、搬送スケジュールを生成する。搬送コントローラ31は、生成した搬送スケジュールに基づいて、各天井走行台車34に対して、所定のポッド37の搬送を指示する。すなわち、処理が行われる所定のポッド37の搬送を複数の天井走行台車34の中から1台の天井走行台車34を割り当て、割り当てた天井走行台車34に対して対象のポッド37の搬送を指示する。このとき、搬送コントローラ31は、割り当てた天井走行台車34を識別するための第3識別情報を、搬送先である製造装置に送信する。ここで、第3識別情報は、製造装置が天井走行台車34を識別するための情報であり、製造システム10内で天井走行台車34を一意に特定する台車番号である。
【0055】
対象のポッド37を搬送する天井走行台車34が、処理が行われる製造装置(例えば製造装置21)に到着すると、天井走行台車34と製造装置21の対象となる載置ポート(例えばLP1)との間で、ポッド37の搬出入に関する信号がやり取りされ、ポッド37の搬出入(移載)が制御される。具体的には、制御部105は、IOモニタ部110によってモニタリングされたモニタリング情報、すなわち各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)の状態を天井走行台車34へ送信する。また、制御部105は、天井走行台車34から受信したデータを各IOポート106、107、108、109に出力する。これにより、製造装置21の各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)と天井走行台車34との間で、ポッド37の搬出入に関する信号をやり取りすることができる。
【0056】
そして、製造装置21の載置ポート(LP1)にポッド37が載置されると、ポッド37に収納された処理対象物が製造装置21において処理される。
【0057】
このようにして、製造システム10において、一連の処理が行われ、例えば半導体等の製品の製造が行われる。
【0058】
ところで、製造装置21は、各載置ポート(LP1、LP2、LP3、LP4)単位に、例えば、マニュアルモードに変更されたといった装置の状態が変化した場合、またはエラーが発生した場合等には、製造コントローラ25に所定のコマンドを送信する。これにより、製造コントローラ25は、例えば製造装置21のどの載置ポートが使用できなくなったか等の製造装置21の各載置ポートの状態が分かる。そして、例えば製造装置21の載置ポートが使用できなくなった場合には、製造コントローラ25は、製造スケジュールの変更を行うことになる。
【0059】
このような場合における通信デバイス100の動作について説明する。
【0060】
図5は、本実施の形態における通信デバイス100の動作の流れを示すフローチャートである。
【0061】
パケットモニタ部104は、第1通信ポート101に接続されている製造装置21と第2通信ポート102に接続されている製造コントローラ25との間で通信されているパケットデータをモニタリングする(ステップS101)。そして、パケットモニタ部104は、モニタリングしたパケットデータを制御部105に通知する。
【0062】
制御部105は、パケットデータに含まれているコマンドの対象となる載置ポートのポート番号を、変換テーブル112を用いて製造システム10内で一意に特定されるグローバルIDに変換する(ステップS102)。例えば、図4Aに示すような変換テーブル112を用いると、制御部105は、ポート番号が例えば「2」であれば、グローバルIDとして「102」に変換する。ここで、コマンドとは、製造装置21から製造コントローラ25に送信される、例えば、マニュアルモードに変更されたといった装置の状態が変化したことを示すコマンド、エラーが発生したことを示すコマンド、および製造装置の載置ポートにおける処理対象物に対する処理が完了したことを示すコマンド等である。
【0063】
次に、制御部105は、パケットデータに含まれているコマンドの対象となる載置ポートへのポッド37の搬送に割り当てられた天井走行台車34の台車番号が通知されているか否かを判定する(ステップS103)。ここで、天井走行台車34の台車番号は、上記のように搬送コントローラ31において天井走行台車34が割り当てられ、搬送コントローラ31から送信される。例えば、グローバルIDが「102」の載置ポートへの搬送に台車番号が「511」の天井走行台車34が通知されれば、制御部105は、図4Bに示すように変換テーブル112を更新する。この変換テーブル112を用いて、制御部105は、天井走行台車34の台車番号が通知されているか否かを判定する。
【0064】
この判定の結果、天井走行台車34の台車番号が通知されている場合(ステップS103でYes)、制御部105は、パケットモニタ部104によってモニタリングされたモニタリング情報を、通知されている台車番号で特定される天井走行台車34、および搬送コントローラ31へ送信する(ステップS104)。具体的には、パケットデータに含まれているコマンド、およびコマンドの対象となる載置ポートのグローバルIDが送信される。これを受けて、天井走行台車34は、コマンドの内容に応じて、対象となる載置ポートへの移動を変更する。例えば、マニュアルモードに変更されたといった装置の状態が変化したことを示すコマンド、およびエラーが発生したことを示すコマンド等の、載置ポートが使用できなくなったことを示すコマンドである場合には、天井走行台車34は、対象となる載置ポートでのポッドの移載を中止する。また、搬送コントローラ31は、コマンドの内容およびコマンドの対象となる載置ポートに応じて、搬送スケジュールを生成し直し、変更し、例えば、当該走行台車34の進行経路上に他の移載の可能な載置ポートがあれば、その載置ポートでのポッドの移載を行わせる。
【0065】
一方、天井走行台車34の台車番号が通知されていない場合(ステップS103でNo)、制御部105は、パケットモニタ部104によってモニタリングされたモニタリング情報を、搬送コントローラ31へ送信する(ステップS105)。これを受けて、搬送コントローラ31は、モニタリング情報、すなわちコマンドの内容およびコマンドの対象となる載置ポートに応じて、搬送スケジュールを生成し直す。
【0066】
次に、通信デバイス100と製造装置との接続の他の例について説明する。
【0067】
図6は、本実施の形態における通信デバイス100が用いられる製造システムにおける接続の他の一例を示す図である。ここでは、2つの載置ポートを備えている製造装置22、23に対して通信デバイス100が接続されている例を示している。図7は、制御部105が有する変換テーブル112の一例を示す図である。
【0068】
通信デバイス100は、ハブ41を介してLAN24に接続されている。また、通信デバイス100は、ハブ42を介してLAN35に接続されている。通信デバイス100は、LANおよびハブ43を介して製造装置22、23に接続されている。さらに、通信デバイス100の各IOポート106〜109は、製造装置22の各載置ポート(LP1、LP2)、および製造装置23の各載置ポート(LP1、LP2)に接続されている。
【0069】
このように接続された場合には、制御部105が有する変換テーブル112は、図7に示すように、通信デバイス100に接続されている製造装置22、23の装置アドレス、載置ポートのポート番号、載置ポートのグローバルID、および載置ポートに割り当てられた天井走行台車34の台車番号を対応付けて管理している。図7の例では、製造装置22の装置アドレスが「IP2」、製造装置23の装置アドレスが「IP3」である。
【0070】
以上のように、本実施の形態では、製造装置21(22、23、…)と製造コントローラ25との間で通信されているパケットデータをモニタリングし、モニタリングしたモニタリング情報を、天井走行台車34および搬送コントローラ31の少なくとも1つへ送信している。これにより、製造コントローラ25から製造スケジュールの変更通知を受ける前に、製造装置の状態を知ることができ、状態に応じて搬送スケジュールを変更することができるので、搬送経路の変更を効率よく行うことができる。また、搬送に割り当てられた天井走行台車34の台車番号が通知されている場合には、天井走行台車34にもモニタリング情報を送信しているので、さらに迅速に対応することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、制御部105は、製造装置21と製造コントローラ25との間で通信されているパケットデータをモニタリングし、すべてのモニタリング情報を天井走行台車34および搬送コントローラ31へ、または搬送コントローラ31へ送信しているが、これに限られるものではない。例えば、制御部105は、製造装置21と製造コントローラ25との間で通信されているパケットデータに所定のコマンドが含まれているか否かを判定し、所定のコマンドが含まれている場合にだけ、モニタリング情報を天井走行台車34および搬送コントローラ31の少なくとも1つへ送信しても構わない。
【0072】
ここで、所定のコマンドとは、製造装置21から製造コントローラ25に送信される、例えば、マニュアルモードに変更されたといった装置の状態が変化したことを示すコマンド、およびエラーが発生したことを示すコマンド等の、載置ポートが使用できなくなったことを示すコマンドとすることができる。この場合、制御部105は、モニタリング情報を天井走行台車34および搬送コントローラ31の少なくとも1つへ送信することで、天井走行台車34は、対象となる載置ポートへの移載を中止することができる。また、例えば、製造装置の載置ポートにおける処理対象物に対する処理が完了したことを示すコマンド等であっても構わない。この場合、制御部105は、モニタリング情報を搬送コントローラ31へ送信することで、例えば処理対象物に対する処理が完了した載置ポートの近くに、天井走行台車34を事前に配置することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、搬送台車として天井走行台車を用いているが、これに限られるものではなく、例えば地上を走行する走行台車等であっても構わない。
【0074】
また、本実施の形態では、制御部105は、変換テーブル112を用いて、製造装置のポート番号をグローバルIDに変換しているが、これに限られるものではない。例えば、製造コントローラ25における載置ポートの識別情報と、搬送コントローラ31における載置ポートの識別情報が同じであれば、識別情報を変換する必要はない。
【0075】
以上、一つまたは複数の態様に係る通信デバイスについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、天井走行台車などの搬送台車を含む搬送装置において搬送経路の変更を効率よく行うことができ、例えば半導体等の製品を製造するための製造システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 製造システム
21、22、23 製造装置
24 LAN
25 製造コントローラ
31 搬送コントローラ
32、33 無線アクセスポイント
34 天井走行台車(搬送台車)
35 LAN
36 レール
37 ポッド
100 通信デバイス
101 第1通信ポート
102 第2通信ポート
103 中継部
104 パケットモニタ部
105 制御部
106、107、108、109 IOポート
110 IOモニタ部
111 第3通信ポート
120 通信部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7