特許第6268922号(P6268922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6268922リングブラシユニット及びブラシロール、ブラシ式路面清掃車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6268922
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】リングブラシユニット及びブラシロール、ブラシ式路面清掃車
(51)【国際特許分類】
   E01H 1/05 20060101AFI20180122BHJP
   A46B 7/10 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   E01H1/05
   A46B7/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-223471(P2013-223471)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2014-206040(P2014-206040A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-56873(P2013-56873)
(32)【優先日】2013年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】川本 靖
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治之
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭41−014949(JP,Y1)
【文献】 特開2008−012123(JP,A)
【文献】 特開2009−023045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/05
A46B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に伸びる複数の線状のブラシ片からなるブラシ片集合体と、前記ブラシ片集合体をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえ部材とを備えてブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシを、軸方向に複数枚重ねて、各前記リングブラシの前記押さえ部材を同時に貫通する複数の軸部材によって互いに連結してなるリングブラシユニットであって、
各前記リングブラシの前記一対の押さえ部材は互いに同形のリング体であり、
何れか一方の前記押さえ部材には、隣接する前記リングブラシ側と当接する筒状のスペーサが直交状に貫通する状態で設けられ、他方の前記押さえ部材には、前記ブラシ片集合体を挟持した状態で前記スペーサと軸方向で一致する透孔が設けられて、
前記軸部材は、各前記リングブラシを軸方向に重ねた状態で軸方向に並ぶ前記スペーサと前記透孔とにも貫通していることを特徴とするリングブラシユニット。
【請求項2】
放射状に伸びる複数の線状のブラシ片からなるブラシ片集合体と、前記ブラシ片集合体をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえ部材とを備えてブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシを、軸方向に複数枚重ねて、各前記リングブラシの前記押さえ部材を同時に貫通する複数の軸部材によって互いに連結してなるリングブラシユニットであって、
各前記リングブラシの前記一対の押さえ部材は互いに同形のリング体であり、
前記一対の押さえ部材には、隣接する前記リングブラシ側と当接する筒状のスペーサが直交状に貫通する状態でそれぞれ設けられると共に、前記スペーサと同心円上の透孔がそれぞれ設けられて、前記一対の押さえ部材は、前記ブラシ片集合体を挟持した状態で互いの前記スペーサが相手側の前記透孔と一致するように軸方向に重ねられて、
前記軸部材は、各前記リングブラシを軸方向に重ねた状態で軸方向に並ぶ前記スペーサと前記透孔とにも貫通していることを特徴とするリングブラシユニット。
【請求項3】
前記複数の軸部材は、リング状の第1セットプレートに立設されており、軸方向に複数枚重ねた前記リングブラシの一端側から前記押さえ部材に貫通させた先端部が、前記リングブラシの他端側に設けたリング状の第2セットプレートに連結されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリングブラシユニット。
【請求項4】
前記軸部材の先端に、前記押さえ部材の貫通を案内し、前記第2セットプレートへの連結時には取り外される案内部材を着脱可能に設けたことを特徴とする請求項に記載のリングブラシユニット。
【請求項5】
第2の軸部材を前記第1セットプレート側から挿入して前記リングブラシの前記押さえ部材に貫通させ、前記第2セットプレート側で固定したことを特徴とする請求項3又は4に記載のリングブラシユニット。
【請求項6】
隣接する前記リングブラシ間で当接する前記押さえ部材同士を、前記スペーサを介して結合したことを特徴とする請求項1又は2に記載のリングブラシユニット。
【請求項7】
ブラシシャフトに、請求項1乃至の何れかに記載のリングブラシユニットを軸方向に複数重ねて装着したことを特徴とするブラシロール。
【請求項8】
車体の後部に、主ブラシとして請求項に記載のブラシロールを用いたことを特徴とするブラシ式路面清掃車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシユニットと、そのリングブラシユニットを用いてなるブラシロールと、そのブラシロールを用いたブラシ式路面清掃車とに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、ブラシ式路面清掃車40は、車体41の左右に側ブラシ42を、車体41の後方に主ブラシ43をそれぞれ備え、回転する側ブラシ42によって集められた路面上の塵埃を回転する主ブラシ43によって掃き上げて、コンベヤ装置44及び逆回転パドル45によってホッパー46へ移送するようになっている。
この主ブラシ43には、ブラシシャフトに複数のリングブラシを装着してなるブラシロールが用いられる。ブラシロールとしては、例えば特許文献1に開示のように、リング部材の外周にブラシ素材が放射状に植設された波ブラシ(リングブラシ)を、主ブラシコアの外周に複数外装してなるものが知られている。また、特許文献2には、断面コ字状のポリプロピレンチャンネルへ、ポリプロピレン繊維の融着部を挿入して挟着板で挟着し、加熱して融着固定したブラシ材を環状に成形してブラシロールを得る発明が開示されている。さらに、特許文献3には、横断面が略U字状となるチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を芯線とチャンネルとの間に挟んでチャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−313838号公報
【特許文献2】特開2007−54614号公報
【特許文献3】特開2011−45498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、リングブラシにおいても、使用後の廃棄が容易でリサイクル可能なものが要求されているが、特許文献1の波ブラシは、リング部材とブラシ素材との分離が容易でなく、リサイクルが困難なものとなっている。これは、チャンネルとブラシ片との材質が異なる特許文献3のチャンネルブラシにおいても同様である。一方、特許文献2のブラシロールは、チャンネルとブラシ材とが同じポリプロピレンであるため、リサイクルが容易であるが、毛折れが発生しやすく、耐久性に問題があった。
そこで、本件出願人は、先願である特願2012−137532において、ブラシシャフトに装着されるリング部材と、そのリング部材から放射状に伸びる線状のブラシ片からなるブラシ片集合体とを備え、ブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシであって、ブラシ片集合体を、合成樹脂製でリング状のブラシ基部の外周に、ブラシ基部と同じ合成樹脂製のブラシ片を放射状に接着して形成する一方、リング部材を、ブラシ片集合体をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえ部材から形成したことを特徴とするリングブラシの発明を提供している。
しかし、このリングブラシをブラシシャフトへ取り付ける場合には、ブラシシャフトから放射状に突設させた金具に、リングブラシを一つずつ固定する作業を行っていたため、ブラシロールの製作に手間と時間とが掛かるものとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、リングブラシの組み付け工数が削減でき、ブラシロールの製作時間が短縮可能となるリングブラシユニット及びブラシロール、ブラシ式路面清掃車を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、リングブラシユニットであって、放射状に伸びる複数の線状のブラシ片からなるブラシ片集合体と、ブラシ片集合体をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえ部材とを備えてブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシを、軸方向に複数枚重ねて、各リングブラシの押さえ部材を同時に貫通する複数の軸部材によって互いに連結してなるリングブラシユニットであって、各リングブラシの一対の押さえ部材は互いに同形のリング体であり、何れか一方の押さえ部材には、隣接するリングブラシ側と当接する筒状のスペーサが直交状に貫通する状態で設けられ、他方の押さえ部材には、ブラシ片集合体を挟持した状態でスペーサと軸方向で一致する透孔が設けられて、軸部材は、各リングブラシを軸方向に重ねた状態で軸方向に並ぶスペーサと透孔とにも貫通していることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、リングブラシユニットであって、放射状に伸びる複数の線状のブラシ片からなるブラシ片集合体と、ブラシ片集合体をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえ部材とを備えてブラシ式路面清掃車のブラシロールに用いられるリングブラシを、軸方向に複数枚重ねて、各リングブラシの押さえ部材を同時に貫通する複数の軸部材によって互いに連結してなるリングブラシユニットであって、各リングブラシの一対の押さえ部材は互いに同形のリング体であり、一対の押さえ部材には、隣接するリングブラシ側と当接する筒状のスペーサが直交状に貫通する状態でそれぞれ設けられると共に、スペーサと同心円上の透孔がそれぞれ設けられて、一対の押さえ部材は、ブラシ片集合体を挟持した状態で互いのスペーサが相手側の透孔と一致するように軸方向に重ねられて、軸部材は、各リングブラシを軸方向に重ねた状態で軸方向に並ぶスペーサと透孔とにも貫通していることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、複数の軸部材は、リング状の第1セットプレートに立設されており、軸方向に複数枚重ねたリングブラシの一端側から押さえ部材に貫通させた先端部が、リングブラシの他端側に設けたリング状の第2セットプレートに連結されることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項の構成において、軸部材の先端に、押さえ部材の貫通を案内し、第2セットプレートへの連結時には取り外される案内部材を着脱可能に設けたことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項3又は4の構成において、第2の軸部材を第1セットプレート側から挿入してリングブラシの押さえ部材に貫通させ、第2セットプレート側で固定したことを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、隣接するリングブラシ間で当接する押さえ部材同士を、スペーサを介して結合したことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、ブラシロールであって、ブラシシャフトに、請求項1乃至の何れかに記載のリングブラシユニットを軸方向に複数重ねて装着したことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、ブラシ式路面清掃車であって、車体の後部に、主ブラシとして請求項に記載のブラシロールを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リングブラシの組み付け工数が削減でき、ブラシロールの製作時間も短縮できる。
特にスペーサによってリングブラシの間隔が保持されると共に、軸部材で組み付ける際の軸力を受けることができ、軸部材による各リングブラシの一体化が好適に行える。
特に、請求項2に記載の発明によれば、一対の押さえ部材のそれぞれにスペーサを設けているので、リングブラシユニットの組み付けが強固に行える。
請求項3及び4に記載の発明によれば、軸部材を立設した第1セットプレートの採用により、リングブラシユニットの組み付けがさらに容易に行える。
請求項に記載の発明によれば、第2の軸部材の採用により、リングブラシユニットの組み付けがさらに強固に行える。
請求項に記載の発明によれば、押さえ部材同士を結合したことで、リングブラシユニットの組み付けがさらに容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ブラシ式路面清掃車の説明図である。
図2】ブラシロールの縦断面図である。
図3】リングブラシユニットの分解図である。
図4】リングブラシユニットの組み付け状態を示す説明図である。
図5図4のA−A矢視図である。
図6】リングブラシユニットの正面図である。
図7図6の円Bにおける断面の展開図である。
図8】フィラメントアッセンブリの説明図である。
図9図8のA部のC−C線断面図である。
図10】一方の押さえプレートの正面図である。
図11図10のD−D円弧における断面の展開図である。
図12】他方の押さえプレートの正面図である。
図13図12のE−E円弧における断面の展開図である。
図14】変更例のリングブラシユニットの分解図である。
図15】変更例の一方の押さえプレートの正面図である。
図16図15のF−F円弧における断面の展開図である。
図17】変更例の他方の押さえプレートの正面図である。
図18図17のG−G円弧における断面の展開図である。
図19】変更例のリングブラシユニットの正面図である。
図20図19の円Hにおける断面の展開図である。
図21】変更例のリングブラシユニットの分解図である。
図22】一体型の押さえプレートの正面図である。
図23図22のI−I円弧における断面の展開図である。
図24】変更例のリングブラシユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、図1で説明したブラシ式路面清掃車40の主ブラシ43に用いられるブラシロール1の縦断面図で、ブラシロール1は、ブラシシャフト2と、ブラシシャフト2に軸方向へ重ねて装着される3つのリングブラシユニット3,3・・とからなる。
まずブラシシャフト2は、一端が大径の頭部5、他端がネジ部6となるシャフトコア4の外周に、図4,5に示すように、複数(ここでは8枚)のリブ7,7・・を放射状に設けてなり、頭部5側のリブ7の端部には、リブ7の突出径よりも大径の抜け止めフランジ8が固着される一方、ネジ部6側のリブ7の端部には、リブ7の突出径よりも小径の小フランジ9が固着されている。
【0010】
次に、リングブラシユニット3は、複数のリングブラシ10,10・・を軸方向に重ねて一体化して形成されている。このリングブラシ10は、図3に示すように、線状のブラシ片としてのブラシフィラメントを放射状に設けてなるブラシ片集合体としてのフィラメントアッセンブリ11と、そのフィラメントアッセンブリ11の軸方向の前後に配置される一対のリング状のゴムプレート12,12と、そのゴムプレート12,12の外側からフィラメントアッセンブリ11を軸方向の前後から挟持する押さえ部材としての一対のリング状の押さえプレート13,14とからなる。
【0011】
まずフィラメントアッセンブリ11は、図8,9に示すように、ブラシ基部としてのPET(ポリエチレンテレフタラート)製のリング状のシート材15により、同じPET製のブラシフィラメント16,16・・の基端を挟んで接着することで、中央に透孔17を有する円盤状に形成されている。
ゴムプレート12は、天然ゴム製で、内径はシート材15の内径と略同じであるが、外径はシート材15の外径よりも大きくなっている。
【0012】
そして、押さえプレート13は、図10,11に示すように、半径方向の凹部18と凸部19とが傾斜部20を挟んで45°間隔で交互に形成される波形で金属製のリング体で、このうち90°間隔で位置する4つの凹部18,18・・の中心側は、凸部19よりも長く形成されて、内径がブラシシャフト2のリブ7の突出径よりも小径となる突出部21となっている。この突出部21には、リブ7が嵌合可能な切欠き22がそれぞれ形成されている。また、4つの凹部18のうち、点対称に位置する一対の凹部18,18には、筒状のスペーサ23が直交状に貫通する状態で取り付けられて、当該凹部18,18以外の凹部18及び各凸部19には、スペーサ23と同心円上に位置する透孔24がそれぞれ形成されている。
【0013】
一方、押さえプレート14も、図12,13に示すように、押さえプレート13と同じ形状となっているが、ここではスペーサ23が設けられておらず、凹部18と凸部19との全てに同心円上に位置する透孔24がそれぞれ形成されている。なお、透孔24は、スペーサ23の内径よりも小さくなっている。
【0014】
以上の如く構成されたリングブラシ10を用いてリングブラシユニット3を作製する場合、図3に示すように、フィラメントアッセンブリ11を中心にしてゴムプレート12,12を前後からあてがい、一対の押さえプレート13,14を、スペーサ23が設けられた押さえプレート13が表側に、スペーサ23がない押さえプレート14が裏側にそれぞれ位置するようにして互いの凹部18と凸部19との位相と突出部21の位相とを合わせた状態で、フィラメントアッセンブリ11とゴムプレート12,12とを挟むようにして組み合わせる。
【0015】
すると、表側の押さえプレート13のスペーサ23が、フィラメントアッセンブリ11及びゴムプレート12を貫通して裏側の押さえプレート14の凹部18に当接して、スペーサ23と透孔24とを一致させたリングブラシ10が得られる。このとき、フィラメントアッセンブリ11は押さえプレート13,14の凹凸形状に合わせて波形に変形する。
【0016】
このリングブラシ10を複数作製して各スペーサ23が軸方向へ直線上に並ぶように位相を合わせて重ね合わせた状態で、リング状のセットプレート25,25を用いる。ここで、一方のセットプレート25には、押さえプレート13,14の透孔24と同心円上で点対称位置に一対の透孔26,26が形成されると共に、その透孔26と90°位相をずらした同心円上の点対称位置に、軸部材としての一対のスタッドボルト27,27の一端が固定されている。他方のセットプレートには、4カ所に透孔24のみが形成されている。
【0017】
よって、一方のセットプレート25を、スペーサ23にスタッドボルト27を貫通させるようにして最外のリングブラシ10の外側にあてがい、他方のセットプレート25を反対側の最外のリングブラシ10の外側にあてがって、他方のセットプレート25から突出するスタッドボルト27,27の先端にナット28を締め付けると、隣接するリングブラシ10,10・・同士がスタッドボルト27を介して互いに連結されたリングブラシユニット3が得られる。このリングブラシユニット3においては、図6に示すように、セットプレート25,25よりも中心側に各押さえプレート13,14の突出部21の先端が突出しており、図7に示すように、隣接するリングブラシ10同士は、スペーサ23によって一定の間隔が維持されている。
【0018】
こうして作製した3つのリングブラシユニット3を、ブラシシャフト2へ順に外装させる。このとき、突出部21の切欠き22にブラシシャフト2のリブ7が嵌合する位相となるようにしてリングブラシユニット3にブラシシャフト2を貫通させる。なお、互いに隣接するリングブラシユニット3,3と同じ位相とするとスタッドボルト27同士が干渉するので、隣接するリングブラシユニット3,3同士は互いに90°位相をずらせる。こうすれば、スタッドボルト27の先端は、隣接するリングブラシユニット3のセットプレート25の透孔26を貫通し、干渉することはない。
【0019】
そして、3つのリングブラシユニット3,3・・をブラシシャフト2へ順に外装させた状態で、図4に示すように、シャフトコア2のネジ部6に、抜け止めフランジ30を固着した止めナット29をねじ込み、抜け止めフランジ30を貫通させたボルト31をシャフトコア2の小フランジ9にねじ込めば、図2のようにブラシシャフト2に複数のリングブラシ10.10・・が連続的に装着されたブラシロール1が得られる。この状態で各リングブラシユニット3は、抜け止めフランジ8,30によって軸方向に抜け止めされ、各押さえプレート13,14の突出部21の切欠き22にリブ7が嵌合することで回転方向に回り止めされる。
【0020】
このように、上記形態によれば、放射状に伸びる複数の線状のブラシフィラメント16からなるフィラメントアッセンブリ11と、フィラメントアッセンブリ11をその軸方向の前後から挟持する一対の押さえプレート13,14とを備えたリングブラシ10を、軸方向に複数枚重ねて、各リングブラシ10の押さえプレート13,14を同時に貫通する複数のスタッドボルト27によって連結してなるリングブラシユニット3を用いたことで、リングブラシ10の組み付け工数が削減でき、ブラシロール1の製作時間が短縮可能となる。
【0021】
特にここでは、各リングブラシ10の押さえプレート13に、隣接するリングブラシ10側と当接するスペーサ23を設けて、スタッドボルト27をスペーサ23にも貫通させているので、スペーサ23によってリングブラシ10の間隔が保持されると共に、スタッドボルト27で組み付ける際の軸力を受けることができ、スタッドボルト27による各リングブラシ10の一体化が好適に行える。
【0022】
なお、上記形態では、リングブラシユニットを3つ作製しているが、数は適宜増減可能である。また、リングブラシユニットが含むリングブラシの数も上記形態に限定されない。スペーサ及びスタッドボルトの数も適宜変更できる。
【0023】
図14は、リングブラシユニットの変更例を示すもので、ここに示すリングブラシユニット3Aにおいては、軸部材としての4本のスタッドボルト27,27・・と第2の軸部材としての4本の固定ボルト32,32・・とが用いられる。スタッドボルト27は、一方のセットプレート(第1セットプレート)25に、大径のスタッドボルトベース27aを介して周方向に等間隔で立設されており、先端には、先端を先細りのテーパ状とした案内部材33がそれぞれ着脱可能に設けられている。セットプレート25におけるスタッドボルト27,27の間には、固定ボルト32の貫通孔が形成されている。固定ボルト32は、基端に大径のフランジ部32aを備え、先端に小径のネジ部32bを備えている。
【0024】
一方、押さえプレート13は、図15,16に示すように、4つの凸部19の中心側に、切欠き22を有する突出部21が形成されると共に、筒状のスペーサ23が直交状に貫通する状態で取り付けられている。4つの凹部18には、スペーサ23と同心円上に位置する透孔24がそれぞれ形成されている。スペーサ23の下端は、凹部18の下面と面一となるまで突出している。
また、押さえプレート14には、図17,18に示すように、押さえプレート13と同様に4つの凸部19に突出部21及び切欠き22が形成されるが、ここではスペーサ23が4つの凹部18にそれぞれ取り付けられて、凸部19には透孔24がそれぞれ形成されている。スペーサ23の上端は、凸部19の上面と面一となるまで突出している。
【0025】
よって、このリングブラシユニット3Aでは、フィラメントアッセンブリ11を中心にしてゴムプレート12,12を前後からあてがい、一対の押さえプレート13,14を、それぞれスペーサ23の突出量が小さい側が向かい合う格好で、且つ互いの凹部18と凸部19との位相と突出部21の位相とを合わせた状態で、フィラメントアッセンブリ11とゴムプレート12,12とを挟むようにして組み合わせる。すると、押さえプレート13の凸部19のスペーサ23が、フィラメントアッセンブリ11及びゴムプレート12を貫通して押さえプレート14の凸部19に当接して透孔24と合致する一方、押さえプレート14の凹部18のスペーサ23が、フィラメントアッセンブリ11及びゴムプレート12を貫通して押さえプレート13の凹部18に当接して透孔24と合致したリングブラシ10が得られる。このとき、フィラメントアッセンブリ11は押さえプレート13,14の凹凸形状に合わせて波形に変形する。
【0026】
このリングブラシ10を複数作製して、リングブラシ10,10・・を、表裏を交互に逆にして、隣接するリングブラシ10,10の押さえプレート13同士と押さえプレート14同士とが交互に当接するように重ね合わせて、押さえプレート13,13・・の各スペーサ23と、押さえプレート14,14・・の各スペーサ23とが同軸上に並んだ状態とする。但し、スタッドボルト27の差し込み側(図14の右端)に位置するリングブラシ10では、スペーサ23がなく、凹部18及び凸部19にそれぞれ透孔24が形成された押さえプレート13aが用いられている。また、図14の左端のリングブラシ10では、表裏共に押さえプレート13が用いられている。
【0027】
この状態で、セットプレート25を、押さえプレート13の4つのスペーサ23に4本のスタッドボルト27をそれぞれ貫通させて右端のリングブラシ10の外側にあてがう。但し、右端のリングブラシ10の押さえプレート13aとセットプレート25との間には、スタッドボルトベース27aを覆う大径のスペーサ23aを介在させる。スタッドボルト27の先端には、案内部材33が設けられているので、各スペーサ23の貫通はスムーズに行える。
合わせて4本の固定ボルト32を、セットプレート25の貫通孔を介して押さえプレート14の4つのスペーサ23にそれぞれ貫通させる。
【0028】
そして、左端のリングブラシ10のスペーサ23から突出するスタッドボルト27から案内部材33を取り外し、スタッドボルト27の先端を他方のセットプレート(第2セットプレート)25の透孔26を介して貫通させてナット28を締め付けると共に、セットプレート25の透孔26を介してスペーサ23に挿入した段付きナット34を固定ボルト32のネジ部32bに締め付けると、図19,20に示すように、隣接するリングブラシ10,10・・同士がスタッドボルト27及び固定ボルト32を介して互いに連結されたリングブラシユニット3Aが得られる。
こうして作製した3つのリングブラシユニット3Aを、先の形態と同様にブラシシャフト2へ順に外装させて固定すれば、ブラシロール1が得られる。
このように、上記リングブラシユニット3Aによれば、一対の押さえプレート13,14のそれぞれにスペーサ23を設けているので、リングブラシユニット3Aの組み付けが強固に行える。特に、スタッドボルト27を立設したセットプレート25の採用により、リングブラシユニット3Aの組み付けがさらに容易に行える。
そして、4本のスタッドボルト27に加えて4本の固定ボルト32を用いているので、リングブラシ10の組み付けがさらに強固に行える。
【0029】
一方、押さえプレートは、図21に示すように、隣接するリングブラシ10,10間で当接する押さえプレート13,13同士と、押さえプレート14,14同士とをそれぞれ結合して一体化したもの(押さえプレート13A,14A)を用いてもよい。図22,23は、押さえプレート13Aを示すもので、押さえプレート13,13の同位相の凸部19,19間に、一本のスペーサ23の両端がそれぞれ貫通して固定されることで、押さえプレート13,13が結合されている。
このように、隣接するリングブラシ10,10間で当接する押さえプレート13,13同士及び押さえプレート14,14同士をスペーサ23を介して結合すれば、リングブラシユニット3Aの組み付けがより容易に行える。
【0030】
なお、上記変更例では、固定ボルト32をスタッドボルト27と同じ側から貫通させているが、図24に示すリングブラシユニット3Aのように、固定ボルト32をスタッドボルト27と反対側から貫通させるようにしてもよい。
また、上記形態や変更例では、リングブラシユニットの両端にセットプレートを設けているが、これを省略して両端の押さえプレートの間でスタッドボルトを組み付けるようにしてもよい。
【0031】
その他、上記形態や変更例のリングブラシにおいては、ブラシ片集合体と押さえプレートとの間にゴムプレートを介在させているが、押さえプレートの形状や材質によってはゴムプレートを省略することは可能である。
また、ブラシ片集合体の材質も、ブラシ片とブラシ基部とが同じ材質であれば、PET以外の他の合成樹脂を採用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1・・ブラシロール、2・・ブラシシャフト、3,3A・・リングブラシユニット、4・・シャフトコア、7・・リブ、10・・リングブラシ、11・・フィラメントアッセンブリ、12・・ゴムプレート、13,14・・押さえプレート、16・・ブラシフィラメント、18・・凹部、19・・凸部、21・・突出部、21・・切欠き、23・・スペーサ、25・・セットプレート、27・・スタッドボルト、32・・固定ボルト、33・・案内部材、40・・ブラシ式路面清掃車、41・・車体、42・・側ブラシ、43・・主ブラシ。
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