(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支柱の下端部から前脚を前方に延出させた左右の脚体と、これらの脚体上に主軸を介して配設され前記主軸まわりに天板使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作する天板と、この天板の反使用端側に支持され前記天板のフラップ動作に伴って幕板使用姿勢から収納姿勢までの間で作動する幕板とを備えたフラップ天板付家具であって、
前記幕板が、左右両端部を前記左右の脚体の前脚上に延在させたものであり、この幕板を前記主軸を中心にした円弧軌道から外れた軌道に沿って移動する連結要素を介して前記天板に支持させているとともに、
天板が跳ね上げ姿勢の近傍から跳ね上げ姿勢に到達するまでの最終作動領域において、幕板を天板に支持させるための連結要素が天板に対して相対的に上動可能であり、前記幕板がこの連結要素の前記天板に対する相対的な上動に連動して前記天板に対し相対的に移動可能であることを特徴とするフラップ天板付家具。
前記連結要素が、前記天板に固定された天板側ブラケットと、前記幕板に固定された幕板側ブラケットとを連結するピン状のものであり、前記天板側ブラケットに前記連結要素の略上下方向の遊動を許容する長孔を設けている請求項1または2記載のフラップ天板付家具。
前記連結要素が、前記天板に固定された天板側ブラケットと、前記幕板に固定された幕板側ブラケットとを連結するピン状のものであり、前記幕板側ブラケットに前記連結要素の幕板厚み方向への遊動を許容する逃げ孔を設けている請求項1、2または3記載のフラップ天板付家具。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
この実施形態は、
図1〜
図18に示すように、本発明をいわゆるフラップテーブルと称されるフラップ天板付家具Tに適用した場合のものである。
【0016】
このフラップ天板付家具Tは、
図1〜
図6及び
図10〜
図16に示すように、左右対をなす脚体1A,1Bと、これら脚体1A,1B上に配される天板2と、この天板2を前記各脚体1A,1Bに天板使用姿勢(U)から跳ね上げ姿勢(F)までの間でフラップ動作し得るように支持させる左右対をなす天板支持機構3A,3Bと、これら両天板支持機構3A,3B同士を結合させる連結ビーム4と、前記天板2の使用端x側の下方に配設された棚5と、前記天板2の反使用端y側の下方に配設された幕板61,62を具備してなる。そして、前記左右の天板支持機構3A,3Bと、これら天板支持機構3A,3B同士を結合させる連結ビーム4とを主体としてプラットフォーム化の中核となるメカユニット7が構成されている。すなわち、このフラップ天板付家具Tは、支柱11の下端部11aから前脚13を前方に延出させた左右の脚体1A,1Bと、これらの脚体1A,1B上に主軸37を介して配設され前記主軸37まわりに天板使用姿勢(U)から跳ね上げ姿勢(F)までの間でフラップ動作する天板2と、この天板2の反使用端y側に支持され前記天板2のフラップ動作に伴って幕板使用姿勢(U)から収納姿勢(F)までの間で作動する幕板61とを備えたものである。
【0017】
以下、前記各構成要素について詳述する。
【0018】
<脚体>
前記右の脚体1Bは、
図1〜
図8に示すように、支柱11と、この支柱11の下端部11aから使用端x側に延設された後脚12と、この後脚12よりも内側に位置させて前記支柱11の下端部11aから反使用端y側に延設された前脚13と、これら後脚12及び前脚13の先端に設けたキャスタ14とを備えてなる。
【0019】
前記支柱11は、
図1〜
図6及び
図8に示すように、例えばアルミニウム合金を材料にして一体に作られた押し出し素材を所要長さに切断して作られるもので、その内部に下方からボルト111を装着可能な竪ネジ孔112を有する脚取付用ブロック113と、左右方向からボルト114を装着可能な横ネジ孔115及び位置決め孔116を有する軸プレート取付用ブロック117とが固設されている。この支柱11の上端には、合成樹脂製のキャップ118が帽着されている。なお、前記横ネジ孔115及び位置決め孔116は、この支柱11の起立面である内側面119にそれぞれ開口させてある。
【0020】
前記後脚12は、
図1〜
図8に示すように、基端側に前記支柱11の下端に嵌合する嵌合部121を有したもので、その嵌合部121を貫通して前記支柱11の竪ネジ孔112に下側から螺合させたボルト111により該支柱11に取着されている。この後脚12の外側面122と前記支柱11の外側面110とは略面一に連続させてあり、前記前脚13は、これら支柱11及び後脚12よりも内側に偏位させて設けてある。
【0021】
前記前脚13は、
図1〜
図7に示すように、基端側外側面131を前記後脚12の基端側内側面123に一体化させたもので、この前脚13と前記後脚12とは、例えばアルミニウム合金を材料にして一体に作られたダイキャスト製のものである。すなわち、この前脚13は前記後脚12の嵌合部121を介して前記支柱11の下端部11aに取り付けられている。なお、本実施形態の後脚12及び前脚13は、従来のものと比べてできる限り低い位置に設定されている。すなわち、脚体1Bの下面側に形成される前脚12と後脚13との間の角度を従来のものよりも大きくなるように設定して、前脚12と後脚13とからなる側面視「人型」の形状部分の高さ寸法を可及的に小さくしている。このようなものであるため、幕板61の上下方向寸法を大きく設定した場合であっても、幕板61が幕板使用姿勢(U)から収納姿勢(F)に作動する際の幕板61の下端部が前脚13の上面に当接するタイミングを遅くすることができる。また、前記後脚12及び前記前脚13の各中間部分は下方に開放された中空体状をなしており、内部に図示しない補強用のリブを備えている。
【0022】
前記左の脚体1Aは、
図1〜
図4及び
図10〜
図14に示すように、以上説明した右の脚体1Bと左右対称形状をなすものであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
前記左の脚体1Aの後脚12及び前記右の脚体1Bの後脚12は、
図1〜
図4及び
図7に示すように、後方に向って漸次その間隔が大きくなるように傾斜させてあるとともに、前記左の脚体1Aの前脚13及び前記右の脚体1Bの前脚13は、前方に向って漸次その間隔が小さくなるように傾斜させてある。
【0024】
上記の構成であるため、前記天板2を跳ね上げた状態で前記両脚体1A,1Bの後脚12,12間に同一構造をなす図示しない他の家具の左右の前脚13,13を侵入させることによって、当該フラップ天板付家具Tの使用端x側に、同一構造をなす他のフラップ天板付家具をスタッキングさせることができるようになっている。
【0025】
<天板>
前記天板2は、
図1〜
図7及び
図10〜
図14に示すように、左右方向に細長い長方形状をなすものであり、使用端x側の端部及び反使用端y側の端部の形態以外は通常の木製天板と同様な構成をなしている。天板2の使用端x側の端部は、後方に向かって厚み寸法が漸次小さくなる傾斜面24を下面21側に有している。天板2の反使用端y側の端部は、前方に向かって厚み寸法が漸次小さくなる傾斜面25を下面21側に有している。すなわち、この天板2は、全体として側面視船底形状をなしており、使用端x及び反使用端yは薄く見えるように成形されている。この天板2の下面21における左右両端部には、天板受け取付用の埋設ナット22が設けられている。そして、左右方向中央に天板2の中央部が下方にたわむのを防止するための天板たわみ防止部材26が取り付けられている。
【0026】
<天板支持機構>
前記右の天板支持機構3Bは、
図1〜
図4、
図7及び
図8に示すように、前記脚体1Aに取り付けられる軸プレート31と、この軸プレート31に軸支持され上面で前記天板2を受ける天板受け32と、この天板受け32を前記天板使用姿勢(U)及び前記跳ね上げ姿勢(F)に選択的にロックするためのロック爪33と、前記天板受け32の上面から前記天板2の下面21までの距離を確保するためのスペーサ34とを配してなるものである。なお、このスペーサ34は、本実施形態では天板2の高さ調整を行うために用いられたが、天板支持機構3Bの必須要素ではない。すなわち、この天板支持機構3Bは、前記脚体1Bに取り付けられ上半にヘッド部36を有した軸プレート31と、この軸プレート31のヘッド部36に主軸37を用いて軸支持された天板受け32と、この天板受け32内に配設された天板ロック用のロック爪33とを備えたものである。
【0027】
前記軸プレート31は、
図3、
図7、
図8及び
図10〜
図12に示すように、前記取付面351を有した取付部35と、この取付部35から上方に延出し前記天板受け32を主軸37を介して軸支持するヘッド部36とを備えたものである。前記取付部35は、外側に取付面351を有したものである。
【0028】
前記取付部35は、
図7、
図8及び
図10〜
図12に示すように、前記支柱11の横ネジ孔115に対応する複数の第1のボルト挿通孔352と、前記連結ビーム4の軸心に対応する第2のボルト挿通孔355とを備えている。第1のボルト挿通孔352は、内側からボルト114を挿通して当該軸プレート31と脚体1Bとを結合するためのもので、内方端にボルト114の頭部を収容する座ぐり孔を備えている。第2のボルト挿通孔355は、外側からボルト356を挿通して当該軸プレート31と前記連結ビーム4の一端とを結合するためのもので、外方端にボルト356の頭部を収容する座ぐり孔を備えている。なお、この取付部35の取付面351には、前記支柱11の位置決め孔116に嵌合する位置決めピン38が突設されている。
【0029】
前記軸プレート31のヘッド部36は、
図8及び
図10〜
図12に示すように、前記天板使用姿勢(U)に達した天板2を前記天板受け32を介して上端面391により受け止めるヘッド部本体39と、このヘッド部本体39の一側に設けられ前記ロック爪33が選択的に係わり合う第1、第2の係止部301,302を有した爪受け30とを備えている。すなわち、前記軸プレート31のヘッド部36は、前記天板使用姿勢(U)に達した天板2を上端面391により受け止めるヘッド部本体39と、このヘッド部本体39の一側に設けられ前記ロック爪33と係わり合って前記天板2を天板使用姿勢(U)にロックする第1の係止部301及び前記ロック爪33と係わり合って前記天板2を跳ね上げ姿勢(F)にロックする第2の係止部302を有する爪受け30とを備えたものである。そして、前記爪受け30の前記ロック爪33に対面する側の端縁303は、前記ヘッド部本体39の端縁392よりも奥に控えた位置に配されている。
【0030】
前記爪受け30は、
図8及び
図10〜
図12に示すように、前記ヘッド部本体39と一体に成形されたもので、前記ヘッド部本体39の外側に配されている。すなわち、前記軸プレート31は、アルミダイキャスト製のもので、前記ヘッド部本体39及び前記爪受け30からなるヘッド部36と、前記取付部35とは、一体に成形されている。
【0031】
前記天板受け32は、
図5及び
図8〜
図12に示すように、前記天板2の下面21に取り付けられる上板321と、この上板321の両側縁から延出され前記ヘッド部36の両側に位置する対をなす側板322,323とを備えたものである。具体的には、この天板受け32は、板金素材を折り曲げ成形することにより前記上板321と前記両側板322,323とを一体に形成したものであり、前記両側板322,323は、大きな力が作用した際に離間する方向に弾性的に変位可能なものである。
【0032】
前記上板321は、
図8〜
図12に示すように、天板2の下面21に密着する平板状のもので、スペーサ34のボルト挿通孔341を介して前記埋設ナット22に螺着されるボルト324により天板2に取り付けられている。なお、
図10〜
図12ではスペーサ34を中実に示している。
【0033】
前記側板322,323は、
図5、
図6及び
図8〜
図12に示すように、この上板321の両側縁から延出され前記ヘッド部36の両側に位置するものである。前記両側板322,323には、前記主軸37が貫通する主軸用貫通孔325と、ロック爪33を支持する駆動軸333が貫通するロック爪用貫通孔326とが設けられている。
【0034】
前記ロック爪33は、
図8及び
図10〜
図12に示すように、例えば、先端側に屈曲部331を備えた鎌状のもので、基端部332に前記駆動軸333が一体回転可能に貫装されている。駆動軸333の外方端334は、一方の側板332から外側方に突出しており、その外方端334にロック解除用の操作レバー330が装着されている。このロック爪33は、図示しないねじりコイルスプリング等により軸プレート31の爪受け30方向に回動付勢されている。ロック爪33は、天板使用姿勢(U)においては、このロック爪33の屈曲部331が前記爪受け30の第1の係止部301に係わり合い、跳ね上げ姿勢(F)においては、前記屈曲部331の先端が前記爪受け30の第2の係止部302に係わり合うようになっている。
【0035】
なお、このロック爪33は、
図8に示すように、屈曲部331の先端に向かって漸次薄くなるように成形されており、前記係止部301,302に係わり合う先端には、カム面335が形成されている。このカム面335は、前記ロック爪33が強い衝撃力を受けて軸プレート31に押し付けられた際に、このロック爪33を厚み方向に案内して、その先端部を軸プレート31の外側面と前記天板受け32の外側の側板323との間に、当該天板受け32の弾性変形を惹起させながら食い込むようにするためのものである。すなわち、ロック爪33の先端に工夫をこらしていない従来の構成のものであれば、跳ね上げ姿勢(F)においてフラップ天板付家具T全体が前方に倒れた場合、天板2の使用端xが床面に衝突した瞬間にメカユニット7、あるいはメカユニット7と天板2との接続部分に極めて大きな衝撃力が作用して、いずれかの部位が破壊されるという不具合を招くおそれがある。しかしながら、本実施形態のような構成によれば、このような不具合を解消または抑制することができる。
【0036】
すなわち、以上のような構造によれば、
図15に示すように、転倒により天板2の使用端xが床面に衝突してロック爪33の先端が軸プレート31に強く押し付けられた場合、ロック爪33の先端に形成されたカム面335の案内作用によりロック爪33が側方に偏位する。そして、このロック爪33の先端が軸プレート31と天板受け32の側板323との間に入り込んで、ロック状態が解除され、
図16に示すように天板2全体が床面に当接した状態で停止する。天板2全体が床面に当接した状態では、天板2を脚体1A,1Bに対して回転させようとする外力が働かないことになるため、各部に無理な応力が作用することを大幅に緩和することができる。
【0037】
この天板支持機構3Bは、前記ロック爪33及び前記ヘッド部36を隠ぺいするようにして前記天板受け32に設けられたカバー327を備えているとともに、使用者の膝で操作レバー330が誤操作されるのを防止するためのキックガード336を備えている。
【0038】
前記キックガード336は、
図3、
図5〜
図7及び
図9〜
図12に示すように、天板受け32の使用端x側の端部外側に設けられたもので、使用者の膝により押し上げられた操作レバー330がロック解除位置(U)に達するまでの手前位置で前記膝の上動を禁止することができる高さ寸法に設定されている。すなわち、操作レバー330は、
図5に二点鎖線で示すように、最も低位に保持されるロック位置(L)と、最も高位まで回動されるロック解除位置(U)との間で手動操作可能な形状に設計されており、前記キックガード336とは干渉しないように設けられている。つまり、手で引き上げる際には、ロック位置(L)からロック解除位置(U)まで、何らの支障もなく操作レバー330を操作することができる。しかしながら、使用者の膝で操作レバー330を上方に回動させた場合には、その膝は前記キックガード336に当接して、操作レバー330をロック解除位置(U)まで回動させることができないようになっている。
【0039】
前記左の天板支持機構3Aは、
図3、
図4、
図13及び
図14に示すように、以上説明した右の天板支持機構3Bと左右対称形状をなすものであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
<連結ビーム>
前記連結ビーム4は、
図3、
図4、
図7、
図8、
図13及び
図14に示すように、横断面円形をなすパイプ素材を所定長さに切断してなるビーム本体42と、このビーム本体42内の両端近傍部に剛結された固定ナット板43とを備えたもので、前記固定ナット板43の中心に前記ボルト356が螺着されるネジ孔44が形成されている。そして、この連結ビーム4により前記左右の天板支持機構3A,3B同士を結合させることにより、前記メカユニット7が構成されている。
【0041】
<メカユニット>
前記メカユニット7は、
図3、
図8、
図13及び
図14に示すように、左右に対をなす天板支持機構3A,3Bと、これら天板支持機構3A,3Bの軸プレート31,31同士を連結する前記連結ビーム4と、前記天板支持機構3A,3Bの駆動軸333,333同士を連結する操作連動ビーム71とを備えたものである。
【0042】
前記軸プレート31と前記連結ビーム4との結合は、連結ビーム4の端面を軸プレート31の内側面に当接させ、軸プレート31の外側面側から第2のボルト挿通孔355に挿入したボルト356を前記連結ビーム4のネジ孔44に螺合させ緊締することにより行われる。前記ボルト356をネジ孔44に締着した状態では、前記ボルト356の頭部が前記軸プレート31の座ぐり孔に埋没するようになっている。
【0043】
また、これら両天板支持機構3A,3Bにおける軸プレート31,31の外側に形成された取付面351,351を左右に対をなす脚体1A,1Bの内側に形成された起立面にそれぞれ取り付けている。すなわち、前記脚体1A,1Bと前記軸プレート31との結合は、脚体1A,1Bの支柱11に設けられた起立面である内側面119に軸プレート31の取付部35に形成された取付面351を添接させ、前記取付部35に設けられた第1のボルト挿通孔352に挿入したボルト114を前記支柱11のネジ孔115に螺合させ緊締することにより行われる。なお、脚体1A,1Bの支柱11の起立面である内側面119に軸プレート31の取付面351を添接させる際に、前記軸プレート31に設けられた位置決めピン38が前記支柱11に設けられた位置決め孔116に嵌合し、軸プレート31と支柱11との位置決めがなされるようになっている。これによって、そのメカユニット7の外側に前記脚体1A,1Bがそれぞれ配されることになる。
【0044】
<棚>
前記棚5は、
図3〜
図5、
図7、
図10、
図11、
図13及び
図14に示すように、左右対をなす側フレーム51,52と、これら側フレーム51,52間に架設される横架材53とを備えたものである。前記側フレーム51,52はそれぞれ、基端部を前記連結ビーム4に回動可能に支持させるとともに、先端部を自由端タイプのリンクステー54を介して前記天板2の使用端x側、具体的には、天板受け32の内側の側板322,323に支持させたもので、その内側面に前記横架材53の端部を保持する図示しない保持孔を備えている。側フレーム51,52の基端部はそれぞれ、天板使用姿勢(U)において下方に開放された形態をなし、上側から前記連結ビーム4に対して着脱し得る形態をなしている。具体的には、前記棚5の側フレーム51,52の基端部はそれぞれ、前記連結ビーム4に対して径方向から部材の一時的な弾性変形を利用して着脱し得る側面視C字形をなすものである。
【0045】
<幕板>
この実施形態のフラップ天板付家具Tは、
図1〜
図7及び
図10〜
図14に示すように、それぞれ剛性を有した複数の幕板61,62と、これらの幕板61,62を互いの動きを阻害しないように各幕板使用姿勢(U)から各収納姿勢(F)までの間で作動させる幕板作動機構8とを備えている。詳述すれば、このフラップ天板付家具Tは、複数の幕板61,62、具体的には、第1の幕板61と、第2の幕板62とを備えている。
【0046】
前記第1の幕板61は、
図1〜
図7及び
図10〜
図14に示すように、前記天板2の下面21との間に隙間63を形成して下肢空間の前面側に配されており、正面視長方形状をなすものである。第1の幕板61は、例えば木製のもので、左右両端部を前記左右の脚体1A,1Bの前脚13上に延在させたものである。第1の幕板61の内面には、上方に開放された樋状をなす配線ダクト64が前記隙間63とほぼ平行に設けられている。
【0047】
前記第2の幕板62は、
図1〜
図3及び
図10〜
図14に示すように、前記隙間63に配されており、正面視長方形状をなすものである。第2の幕板62は、合成樹脂製の幕板本体621と、この幕板本体621の左右両端部に装着したキャップ622とを備えたものである。
【0048】
前記幕板作動機構8は、
図5〜
図7及び
図10〜
図14に示すように、前記天板2のフラップ動作を利用して各幕板61,62を動かすもので、前記幕板61,62同士を互いに摺接させながら動かすようになっている。具体的には、前記幕板作動機構8は、前記第1の幕板61の上縁側を前記天板2に懸吊支持させる懸吊機構81と、前記第1の幕板61の下縁側を前記脚体1A,1Bに連結し第1の幕板61の下縁側の動きを規制するリンクステー82と、前記第2の幕板62の上縁側を前記天板2に回動可能に支持させるヒンジ83とを備えたものである。
【0049】
前記懸吊機構81は、
図5、
図6及び
図10〜
図14に示すように、前記天板2に固定された天板側ブラケット84と、前記第1の幕板61に固定された幕板側ブラケット85と、これらブラケット84,85同士を連結するピン状の連結要素86とを備えたものである。
【0050】
前記天板側ブラケット84は、
図5、
図6、
図10〜
図14、
図17及び
図18に示すように、先端側に前記連結要素86の略上下方向の遊動を許容する長孔87を設けたものである。長孔87は、
図17及び
図18に示すように、連結要素86を安定保持する中央部分871と、この中央部分871から上方に延び前記第1の幕板61が幕板使用姿勢(U)と収納姿勢(F)との間で動く際に、前記連結要素86が上下方向に往復動作するのを許容するための遊動部分872と、前記中央部分871から前方に伸び前記第1の幕板61が前記支柱11から離れる方向に一定以上遊動するのを禁止するためのロック部分873とを備えたものである。
【0051】
前記幕板側ブラケット85は、
図5、
図6、
図10〜
図14、
図17及び
図18に示すように、先端側に前記連結要素86の幕板61厚み方向への遊動を許容する逃げ孔88を設けたものである。逃げ孔88は、
図17及び
図18に示すように、第1の幕板61に作用する重力により連結要素86を安定保持する中央部分881と、この中央部分881から斜め下後方に延び前記第1の幕板61が前記支柱11から離れる方向に遊動するのを許容するための後半部分882と、前記中央部分881から斜め下前方に延び前記第1の幕板61が前記天板2から離れる方向に遊動するのを許容するための前半部分883とを備えたものである。
【0052】
前記連結要素86は、
図5、
図6及び
図10〜
図14に示すように、前記逃げ孔88と前記長孔87に貫通させて脱落不能に設けてある。そのため、この連結要素86は、前記長孔87及び逃げ孔88に沿って適宜移動し得るものであり、前記主軸37を中心にした円弧軌道から外れた軌道に沿って移動するようになっている。すなわち、この連結要素86は、前記天板2と前記幕板61とを回転及びスライド可能に連結するピン状のものである。
【0053】
前記リンクステー82は、
図1、
図3、
図5、
図7及び
図10〜
図14に示すように、自由端タイプのもので、一端を前記第1の幕板61の下縁近傍に設けたブラケット65に枢着するとともに、他端を前記脚体1A,1Bの支柱11に枢着したものである。リンクステー82の長さ寸法は、幕板使用姿勢(U)において第1の幕板61がほぼ鉛直に垂下するとともに、収納姿勢(F)において第1の幕板61の下縁が脚体1A,1Bの前脚13のごく近傍に位置するように設定してある。
【0054】
前記ヒンジ83は、
図5、
図6及び
図10〜
図14に示すように、前記第2の幕板62を天板2の下面21に前後方向に回動可能に支持させるためのものである。
【0055】
次いで、この実施形態の作動を説明する。
【0056】
前記天板使用姿勢(U)においては、
図1〜
図5、
図7、
図10及び
図13に示すように、天板2は水平に保持され、ロック爪33が第1の係合部301に係合してこの天板使用姿勢(U)が維持される。この状態から、操作レバー330を上方に回動操作してロック爪33を第1の係合部301から離脱させ、天板2の使用端x側を持ち上げると、この天板2は主軸37を中心として回動する。その際、
図11に示すような途中段階を経た後、
図6、
図8、
図12及び
図14に示すような跳ね上げ姿勢(F)において、前記ロック爪33が第2の係合部302に係合してロックされる。
【0057】
前記天板使用姿勢(U)においては、第1の幕板61は、懸吊機構81とリンクステー82との協働によりほぼ鉛直方向に垂下した状態に維持されている。一方、第2の幕板62は、自重により垂下しその下端部が前記第1の幕板61の上縁部内面に添接した状態となっている。なお、これら第1,第2の幕板61,62の添接部分に、両者を磁力により添接状態を維持するための図示しないマグネットキャッチを設けておいてもよい。
【0058】
この状態から、前述したように天板2を跳ね上げ姿勢(F)にまで回動させると、その途上において、
図11に示すように、前記第2の幕板62が前記第1の幕板61の上縁に押圧されて天板2側に回動して、最終的に
図12に示すように、第1の幕板61の前面側に回り込むことになる。かかる動作が行われる際の第1の幕板61の動きは、次のようなものである。すなわち、天板使用姿勢(U)においては、連結要素86が天板側ブラケット84の長孔87の中央部分871である下端に位置するとともに、幕板側ブラケット85の逃げ孔88の中央部分881に位置した状態で、前記第1の幕板61が天板2に懸吊支持されている。天板2が天板使用姿勢(U)から跳ね上げ姿勢(F)方向に回動すると、この状態を維持したまま第1の幕板61が後退しつつ下降することになる。その際、跳ね上げ姿勢(F)の近傍から跳ね上げ姿勢(F)に到達するまでの最終作動領域においては、リンクステー82の働きにより第1の幕板61の下降度合いが抑制され、跳ね上げ姿勢(F)に到達した段階で第1の幕板61の下端が前脚13の上端に近接した状態となる。かかる最終作動領域にさしかかると、この第1の幕板61を支持している連結要素86が天板側ブラケット84に対して相対的に上動する。そのため、主軸37を中心とする円弧軌道から外れた軌道を通ることになる。このように、跳ね上げ姿勢(F)に至るまでの間に、前記連結要素86が一旦長孔87の遊動部分872の上側まで移動した後に中央部分871へと戻るように移動する。
【0059】
以上の動作が行われる際に、
図17に示すように、第1の幕板61と支柱11との間に指や手などの介在物Fが存在した場合には、第1の幕板61に前方への付勢力が働くことになる。そのため、前記連結要素86が幕板側ブラケット85の逃げ孔88の中央部分881から後半部分882に移行して、その介在物Fに大きな挟圧力が作用するのを抑制することができる。なお、この際、前記連結要素86は、天板側ブラケット84の長孔87のロック部分873に移行している。
【0060】
一方、
図18に示すように、第1の幕板61と天板2との間に指や手などの介在物Fが存在した場合には、第1の幕板61に後方への付勢力が働くことになる。そのため、前記連結要素86が幕板側ブラケット85の逃げ孔88の中央部分881から前半部分883に移行して、その介在物Fに大きな挟圧力が作用するのを抑制することができる。前記介在物Fが天板2と第1の幕板61の上端部付近に存在する場合には、前述したように第1の幕板61が後方に逃げるだけでなく、第2の幕板62が前方に回動して、その介在物Fに大きな挟圧力が作用するのを抑制することになる。なお、この際、前記連結要素86は、天板側ブラケット84の長孔87のロック部分873に移行している。
【0061】
<本実施形態の効果>
以上に述べたように、本実施形態にかかるフラップ天板付家具Tは、支柱11の下端部から前脚13を前方に延出させた左右の脚体1A,1Bと、これらの脚体1A,1B上に主軸37を介して配設され前記主軸37まわりに天板使用姿勢(U)から跳ね上げ姿勢(F)までの間でフラップ動作する天板2と、この天板2の反使用端y側に懸吊支持され前記天板2のフラップ動作に伴って幕板使用姿勢(U)から収納姿勢(F)までの間で作動する幕板61とを備えたものであって、前記幕板61が、左右両端部を前記左右の脚体1A,1Bの前脚13上に延在させたものであり、この幕板61を前記主軸37を中心にした円弧軌道から外れた軌道に沿って移動する連結要素86を介して前記天板2に支持させてなる。
【0062】
このように円弧軌道から外れて動く連結要素86により幕板61が天板2に支持されているため、幕板61の上下方向寸法を自由に設計することができる。すなわち、本実施形態のように、前脚13の上面と幕板61の下端との干渉を抑制するように幕板61の支持箇所が下方に下がりすぎないように設定すれば、幕板61の上下方向寸法を大きく設定することができる。したがって、布等の可撓性を有するものではなく剛性を有する幕板61であっても隠蔽する面積を広くとることが可能となる。
【0063】
特にこの実施形態においては、幕板61の左右両端部が前脚13の上まで延在しているので、幕板61の左右幅寸法も大きくすることができる。そのため、幕板61を上下及び左右方向に大きく設計でき、広い範囲にわたって隠蔽することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の連結要素86は、前記天板2と前記幕板61とを回転及びスライド可能に連結するピン状のものであるので、比較的簡単な構成で前述した連結要素86の動きを実現できる。
【0065】
前記連結要素86が、前記天板2に固定された天板側ブラケット84と、前記幕板61に固定された幕板側ブラケット85とを連結するピン状のものであり、前記天板側ブラケット84に前記連結要素86の略上下方向の遊動を許容する長孔87を設けているので、幕板61の下端部が前脚13の上面に当接した際に、連結要素86を上下方向に逃がすことができる。そのため、幕板61及びリンクステー82に無理な力がかからないようにすることが可能となる。
【0066】
前記連結要素86が、前記天板2に固定された天板側ブラケット84と、前記幕板61に固定された幕板側ブラケット85とを連結するピン状のものであり、前記幕板側ブラケット85に前記連結要素86の幕板61厚み方向への遊動を許容する逃げ孔88を設けているので、幕板61の前面側もしくは背面側に指やもの等の介在物Fが挟まった際に、連結要素86を前後方向に逃がすことができる。そのため、介在物Fに大きな挟圧力が作用するのを抑制できる。特に、本実施形態の逃げ孔88は、中央部分881から前後方向の両側に延びるものであるため、幕板61を前後両側に動かすことができる。
【0067】
また、収納姿勢(F)において第1の幕板61の下縁が脚体1A,1Bの前脚13のごく近傍に位置するようにリンクステー82の長さ寸法が設定してあるので、第1の幕板61の上下幅寸法を最大限にすることができる。
【0068】
本実施形態では、天板2が、使用端x側の端部及び反使用端y側の端部にそれぞれ傾斜面24、25を有した側面視船底形状をなすものであるので、従来のような角張りがなくなり、使用感や見た目を良好なものとすることができる。特に、使用端x及び反使用端yが薄く見えるように成形されているので、比較的重量のある天板2の見た目を軽快なものとすることができる。
【0069】
さらに、このような比較的重量のある天板2は、操作レバー330がロック解除位置(U)にある場合にバランスが崩れやすくなるが、本実施形態のフラップ天板付家具Tは、キックガード336を備えているため、使用者の膝で操作レバー330が誤操作されるのを防止することができる。
【0070】
また、第2の幕板62が本実施形態のような構成であるため、第2の幕板62を後方に押圧することにより隙間63を自由に開放することができる。そのため、この隙間63から手を入れて前記配線ダクト64へアクセスが容易となり、配線作業の円滑化を図ることができる。また、ヒンジ83によって回動可能に支持されている第2の幕板62に沿って配線ダクト64が配されているため、当該配線ダクト64上に配置した電源コード等を第2の幕板62を回動させて表側、すなわち天板2の反使用端y側へ引っ張り出し、天板2上に載置したノートパソコン等の電子機器端末に接続するという使い方が可能となる。
【0071】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0072】
例えば、フラップ天板付家具は、単一の幕板を備えたものであってもよい。すなわち、上述した実施形態では、複数の幕板を備えたフラップ天板付家具において本発明の幕板を第1の幕板に適用するようにしていたが、第2の幕板を備えていないものであってもよい。また、第2の幕板を備えている場合であっても、当該第2の幕板は、例えば布等の可撓性のある材料で形成されたものを適用する等、上述したものに限られず種々変更可能である。
【0073】
以上の実施形態においては、ピン状の連結要素を天板側ブラケットの長孔に沿って移動させることにより、当該連結要素が主軸を中心にした円弧軌道から外れた軌道に沿って移動するようにしたが、本発明はこのようなものに限定されず例えば、
図19及び
図20に示すようなものであってもよい。すなわち、
図19及び
図20に示すものは、天板2の下面21に設けた天板側ブラケットに対応するレール89に板状の連結要素86を前後方向に回動及びスライド可能に保持させ、この連結要素86に幕板61の上端側を支持させるようにしたものである。このようなものであっても、上述した実施形態に準じた作用効果を得ることができる。なお、
図19及び
図20において、上述した実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
また、本発明の脚体は、上述した実施形態のものには限られない。例えば、上述した実施形態のような側面視逆Y字状をなす脚体の他に、支柱とこの支柱の下端部から使用端側及び反使用端側にそれぞれ延設された前脚及び後脚とを備えた側面視逆T字状をなす脚体や、支柱とこの支柱の下端部から反使用端側に延設された脚ベースとを備えた側面視L字状をなす脚体の他、種々変更可能である。また、同一構造をなす他の家具をスタッキング可能なものだけでなく、スタッキングができない構造を有する脚体であってもよい。
【0075】
また、本発明のフラップ天板付家具は、移動可能なものには限られず、上述したキャスタを備えないものであってもよい。
【0076】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。